暁の堕姫~堕ちていく人妻~ 作:人妻大好き
燃えるような熱が身体の芯から湧き上がって全身を犯している。
細胞の一つ一つが敏感になって、そのすべてが感覚器に変貌したかのようだ。
噴き出す汗が髪を肌に張り付ける。
珠のように美しい肌もしっとりと濡れて、健康的な朱色を滲ませている。
「ふう、ん……はあ、ふ……ん……ぁ……ふう、んん……」
くちゅくちゅ、という粘性のある音が耳に残る。
綾瀬に身体を預けるようにして跨った美女が身を捩りながら口づけを求めている。
雪菜の瑞々しく柔らかい唇の感触が幾度も幾度も綾瀬の唇に重なってくる。時に口を開き、唇を咥え込むようにして吸い付いてくる。吐息が混ざり合い、シャンプーと体液が隠し切れないメス臭を醸し出している。
「ん、んん……ん、ふむ、ぅ、ん……ちゅ……はふ……ん……れろ……れろ……んんっ」
雪菜は綾瀬の頬を両手で抑えると身悶えしながら熱烈なキスをする。
剥き出しの胸を綾瀬の身体に押し付けて、舌を相手の口内に押し込んでいく。
真っ赤な舌が涎を乗せて男の口内に侵入する。
舌先が歯茎をなぞり、歯列を超えて舌の裏側に潜り込む。そこから舌の先端まで舐めてから、円を描くようにして舌と舌が絡み合っていく。
綾瀬は身体を起こしているので、雪菜は喉を反らすようにして唇に吸い付いている姿勢だ。互いに口を開いていれば、自然と涎は上から下へ流れ落ちてくる。
「はぁ、ふう♡ ん、ちゅぷ、れろ……れろぉ……ん、はあ……あふ……んん……ん、れろ、れろ、れろ……ちゅぷ……ん、はあぁ♡」
がっしりと唇を重ね合わせて、空気を取り込む隙間もないほどに密着させて雪菜と綾瀬はディープキスを続ける。傍から見れば分からないが、両者の舌は互いの口内を行き来しながら主導権を争うように激しく絡み合っている。
雪菜の舌が綾瀬の舌先をくすぐるように軽く撫でるとそれにつられて綾瀬は雪菜の舌を求めてしまう。お返しとばかりに雪菜の口内に舌を滑り込ませて涎を泡立てるように激しく犯す。苦しげに呻く雪菜を逃がさず、唇を押し開いてさらに舌の根本まで舐めまわしてやる。
「ん――――んんっ♡ ふぅむっ、ちゅぷ、ちゅぷ、ん……ふうぅ♡」
雪菜の身体が感電したように痙攣し、脱力した。
喉奥まで舐められて軽く絶頂したのだ。そして、さらなる快楽を求めてキスを続ける。綾瀬の舌を唇で挟み込み、吸う。涎まで纏めて吸い出して味わいながら舌を絡める。
男を貪り食らう魔性の口づけとでも言おうか。雪菜のキスは激しく、熱く、蕩けるようだった。
「ちゅ――――ぷ、ん、はあ……♡」
長いキスの後、雪菜はすっかり蕩けた表情を浮かべていた。
瞳は悦楽の熱で潤み、頬は紅色、そして口元は涎でべっとりと汚れていて、額から汗の雫がしたたり落ちる。
「はぁ、はぁ、はぁ、ぁ……はぁ♡」
呼吸を止めていたのだろう。雪菜は肩で息をしている。
「涎、ください」
雪菜は口を開いて舌を伸ばした。
そんな雪菜の口内に向けて、綾瀬は望まれたままに涎を垂らす。
性的興奮で粘性を増した涎が雪菜の口内に滴り落ちる。
「はぁ、あぁ♡」
雪菜は涎の糸を絡め取るように舌を蠢かせる。
(綾瀬さんの涎、美味しい。こんないやらしいことお願いして、飲まされて、わたし興奮してる)
うっとりとした表情を浮かべて、頬を上気させる。そんな雪菜に綾瀬は軽く口づける。
「今日はやけに積極的ですね?」
「それは、その……」
雪菜は口ごもる。
身体を重ねてから何か月も経つ。その間に雪菜の身体は膣の中まですっかり綾瀬の色に染められていた。当初はキスすら拒んだ貞淑な人妻だったが、転げ落ちるのは早かったと言えるだろう。
すっかりセックスに嵌った雪菜。
しかし、今日のようにいきなりキスだけでトロ顔を浮かべてしまうのも珍しいと言えば珍しい。
「よほど欲求不満だったんですね」
「そ、そういうわけでは、ないんですけど」
「なら、どういうことなんですか? 欲求不満でなければ、うちの扉を潜りませんよね?」
「あ……はう、ぅ……」
雪菜を抱き寄せた綾瀬は彼女の耳たぶを舐める。
静かな毒のような悦びが雪菜を震わせる。
そのまま雪菜の鎖骨から首筋まで舐めてみる。
「ひゃあ、ああ」
「れろ……敏感ですね。マンコのほうも、もう我慢ができなくなってるんじゃないですか?」
「あ、そんな……ダメ、んんっ」
雪菜は綾瀬に跨ってはいるが、まだ挿入はしていない。
勃起した綾瀬のペニスの棹に雪菜の秘所は乗っかっている。
「ふふ、ちゃんと弄ってないのに、もう濡れてる」
「み、見ないでください、そんな」
「私のペニスを濡らしてるのは、あなたですから」
「ああ、そんな、つもりじゃ……んっ」
雪菜の双丘を手に取って、大きな円運動で揉み解す。
手のひらに張り付くもちもちとしたきめ細かい肌はさすがの一言だ。柔らかいのにハリがあって、型崩れしない形のよい乳房。その頂点にちょこんと乗ったピンク色の点を軽く抓る。
「あ、ああっ、ダメです。そんな触ったら」
「雪さんも好きでしょう? ここ、もうおっぱいだけでイケるくらいになってるんですし」
「あ、や、やあ……本当に、ダメ。わたし、そんなに大きく、ないですし」
「ん? どうしたんですか、急に。そんなことを言い出すなんて。大きさなんて、今まで気にしたことなかったでしょうに」
「それは、今までは……ん、気にすることは、確かになかったですけど。ん、あっ、はあ、く、ふう……」
ゆっくりと乳首を撫でて、弱く摘まむ。雪菜に刺激的な快感を与えるのではなく蓄積するような快感を与えていくことにした。
「ああ、もしかして零さんですか?」
「っ!?」
「ふふ、なるほど、そうですか。もしかして娘さんと比べてしまったんですか」
「ぁ……ん、あっ」
雪菜は焦ったような表情を浮かべている。
どうやら図星を突かれたようだ。
雪菜には雪菜と顔立ちのよく似た一人娘がいて、彼女もまた綾瀬と関係を持っている。以前に3Pを経験しているというくらいには綾瀬と母娘の関係性は爛れていた。
「ふう……それは、仕方ないじゃないですか。あの娘のほうが、胸は大きいんですから。どうしたって……ん」
雪菜は観念したように白状した。
零菜は肉体的にも魅惑的に育った。程よく鍛えられた太ももに引き締まった腰、そして女性的な胸。多くの男性にとって零菜の肉体は魅力的だろう。
「はあ、はあ、はあ……ふうっ、ん……あ……んんっ、はあ」
「雪さんと零さんは違うのですから、気にしなくてもいいんですよ」
「本当はいけないのは分かってるんです。でも、どうしても……んっ、はあ……最近は綾瀬さんの予約も取れなかったので」
「すみません。立て込んでましたので」
「あの娘は、何度か通っていたみたいですね」
「個人情報ですから何も言えませんよ」
「分かってます」
三人でしてから、雪菜と零菜は秘密を共有する関係になった。以前に比べれば母娘の関係は大幅に改善されたと言えるだろう。
本来は誰にも知られてはならない秘密を共有するのだ。ある種の連帯感が生まれる。母と娘だけの秘密。しかし綾瀬の店にかけられる時間は零菜のほうが多かった。多忙を極める雪菜はなかなか店に顔を出せず、時間を見つけても予約がいっぱいになっていた。その一方で零菜は運よく空き時間に滑り込めていたようで、何度か雪菜の見ていないところで綾瀬と関係を持っていた。
「わたし、きっと羨ましかったんです。綾瀬さんに抱いてもらえるあの娘が。だから……」
「実の娘に嫉妬していたんですね。私としては嬉しい限りですが、いけないお母さんですね」
「そんな言い方……確かに事実ではあるんですけど」
雪菜は傷ついたような顔をする。
自覚はあるのだ。
自分の心を蝕む負の感情の正体。
綾瀬と関係を持つ娘への嫉妬心だ。自分が店に行けない間に零菜は雪菜が気づいただけで三回は行っている。学校が早上がりだった日もあるとはいえ、結構な頻度だ。零菜の懐事情にも余裕があったからでもあるだろう。
零菜と秘密を共有するようになり、多少なりとも気が楽になった。しかし同時に零菜と自分を比較してしまって、差を感じることも増えた。
実の娘と「女」を競うというのは、何ともばからしいことではあるし、母親失格の烙印を押されても仕方のないことだ。
「でも、今日は雪さんだけですから」
そう言って綾瀬は雪菜の頬を撫でる。
雪菜はすぐに甘えるように目を細める。
「してもらえますか、私にも?」
「はい……もちろんです」
自分だけ気持ちよくなろうとは思わない。
綾瀬も一緒に気持ちよくなってほしいと思う。雪菜は綾瀬の身体から降りて、下がっていく。そして、綾瀬のペニスを手に取って扱きながら、顔を近づけた。
「もう、大きい」
「雪さんのキスがすごかったからですね」
「……ぁ、ん……すごい臭い、もう、こんなになって」
びくびくと脈動するペニスをうっとりと眺める雪菜。
鼻を突く悪臭も魅力的にしか思えない。
力強い反りかえり。太くたくましい棹。そして膨れ上がった亀頭。雪菜に女を思い出させたものであり、零菜を女にしたものでもあるそれが言葉にできないほど愛おしい。
「ん……ちゅ」
雪菜はペニスの側面に唇を押し付け、軽く吸う。
(わたしで感じてくれているのが、こんなに嬉しいなんて)
ドキドキと高鳴る胸の鼓動に突き動かされて、雪菜はペニスに頬擦りをする。灼熱が肌から伝わってきて、子宮がうずうずし始めた。
「はあ……ふう……ん、ぁ……れろぉ♡」
扱いているだけでは足りない。
雪菜は性欲に任せて舌を伸ばす。
フェラチオもすっかり板についたようで、赤い舌を大きく突き出して、ねっとりと裏側を舐め上げた。
「いいですよ、雪さん」
「ありがとうございます。もっとしますから、そのままで……ちゅ……れろ、れろ、んふ……ちゅぷ……れろぉ……れろぉ……れろぉ……」
亀頭の根本を右手で扱きつつ、雪菜はペニスの根本を舐める。側面をぴちゃぴちゃと敢えて音を響かせて舐め回し、吸い付いて、裏筋を挑発的な舌使いで刺激する。
「ん……ん……ん……んあぁ……」
口をもごもごとしてから大きく開く。とろりとした涎が滴って亀頭に垂れ落ちる。そして右手を使って涎をペニス全体に広げていく。
「本当に上手になりましたね」
「綾瀬さんがいっぱい教えてくれたんですよ。れろ、れろ、れろ、んちゅ……ああむ」
舌先で鈴口を虐めてから雪菜は亀頭を咥えた。
「ふく、んむ……んむ、ちゅる……れる……じゅるる……じゅる……じゅる……んん……ふう、ふう、んふ、ちゅ……ちゅぷ、じゅる」
雪菜はペニスをしっかりと咥えて頭を振って刺激を与える。
温かい口内粘膜に包まれて蠢く舌が追撃を仕掛ける。唇はすぼまってペニスの直径をぐいぐいと圧搾してくる。
(何度しゃぶっても固くてたくましい。精液の味が、もう出てる)
「ふむ……んむ……んむ、じゅる……れるれるれる……ん――――じゅるる……じゅるる……じゅるる」
ペニスを吸い立てる雪菜の舌技に綾瀬は腰が抜けそうになる。
このまま射精してしまいたいという抗いがたい誘惑に耐えて、綾瀬は射精を堪える。
それは奇跡的な自制心だろう。
雪菜ほどの美人が熱心にペニスにしゃぶりついてくれるのだ。射精すれば、彼女は確実にその精を一滴残らず飲み干してくれる。あるいは顔を汚しても文句を言わず、逆に発情するだろう。そんな女の口奉仕に我慢できるのは日ごろの鍛錬の結果だろう。
「雪さん、そろそろしますか」
平静を装い綾瀬は尋ねる。
「ちゅぷ……ぁ……はい」
雪菜は期待感を込めた瞳でペニスを見つめ、そして頷く。
雪菜を抱き上げて、押し倒す。小柄な身体は容易く組み伏せられて、仰向けに横たわった。
汗でしっとりと濡れた白磁のような肌がまぶしい。雪菜は秘所を手で隠し、恥ずかしそうなポーズを取る。いじらしい姿に興奮を隠せない綾瀬は、雪菜の両膝を押し上げてM字に開かせた。
「あ……」
「雪さん、自分で広げてください」
「え?」
「我慢できないんでしょう? こんなにトロトロになってる。入口をもっとしっかり見せてくれたら、挿入しますから」
悪魔のような囁きを雪菜はどう受け止めたか。
何も変わらない。いつも通りだ。快楽に胸を焦がした雪菜はより強い快楽のために辱めを求める。肉体的な責めのみならず精神的な屈辱すらも今となっては快楽に結び付く。
(気持ちよくしてもらえる)
呼吸を荒げて雪菜は両手で以て自らの「メス」を広げ、綾瀬に見せつける。
「ど、どうぞ……はあ、はあ……ん……見てください……もっと好きなだけ」
大陰唇を広げた先でピンク色の媚肉が裏返る。
何度も使い込んだはずなのに綺麗なままの肉が愛液に濡れて光っている。その襞の中心に奥が見通せない暗い道が続いている。入り込んだら抜け出せない魔の道。食虫植物のように綾瀬を誘い、食らい付こうとしている。
(身体が変……触ってもらってもいないのに、綾瀬さんに見られてるだけでぞくぞくする)
雪菜の瞳が淫欲に蕩ける。
早く欲しい。
今のじれったい気持ちよさではなく、気が狂いそうなくらいの強烈な快感が欲しい。
「綾瀬さん……い、入れてください」
「ふふ、もう我慢の限界ですか。分かりましたよ」
綾瀬も挿入したくて堪らなくなっている。
綺麗なマンコが自分のペニスを待ちわびているのだ。オスを大いに刺激する光景だ。膣口に亀頭を押し込んで、もはや慣れ親しんだ肉の道に突き入れる。
「ん――――あああっ!?」
雪菜はシーツを掴んで喉逸らす。
一瞬でペニスは膣奥まで侵略する。
がっつりと根本まで押し込まれて、内臓まで圧迫されるようなキツさがあり、そして次にオスが打ち込まれたことからくる被虐感と言葉にならない快感が押し寄せてくる。
「あ、んああぁ……き、来ました……これ、この感覚……っ。ずっと、ほ、欲しかった……気持ちイイ……」
腰をくねらせて雪菜は待ち望んだ快楽を味わっている。
「チンポの形、しっかり覚えて……わたしの膣内、広がってます」
「雪さんの膣内、相変わらず気持ちイイですね。キツイのに奥まで届く……動きますよ」
「あ、う、んんっ――――ぁ、はあ♡」
ずるっ、とペニスを引いて、ぐいっ、とねじ込む。
雪菜の膣肉はこなれた様子でペニスに食いついてくる。
「あひっ、んひっ、ひあっ、あ、あ、あ、あ、あああっ、ん、ぃ……あ、ふあっ、ああ、んあ、んあ、んあ、ん……ひ、はっ、ああっ」
ずんずん、と奥を突く。
雪菜の膣奥を丁寧に力強く叩いていくと雪菜はあっという間にオーガズムの階段を駆け上っていく。
「ひは、あ、あ、あ……気持ち、イイ……これ、すごい……はあ、はあ、んあ、あはあ♡ やっぱり、反則……んくう……ひはっ、あふぅ、ん……くひ……はあ……あはあ……ああ……くぅぅ♡」
絶頂の一歩手前で雪菜は我慢した。
歯を食いしばり目を瞑って膣肉の狂乱を封じ込める。
「我慢しないで、雪さん。欲求不満を思い切り解消するのは今しかないんですよ」
「あ……ん……それは……はあ、く……」
子宮がきゅんきゅんしている。
力強い律動で打ち込まれるペニスに雪菜の肉体はすでに屈している。精神も堕落し、今となっては悦楽を貪ることしか頭にない。それでも素直に絶頂を認めないのは、なけなしの意地があるからだ。
「はっ、あっ、あっ、んくう……はあ、ふう、んんんっ……!」
媚肉がペニスを絞るように圧搾してくる。
ぬるぬるの愛液をこれでもかと分泌していながら引くのも押すのも力がいる。ペニスの形にぴったりとフィットし、満遍なくしゃぶりつくそうという膣は、名器中の名器であった。
「あ……くぅ……はあ、はあ、ああっ!」
しっかりとペニスに媚肉を絡みつかせるということは自然と接点が増えることにもなる。快感もその分多く味わわされる。雪菜は唇を噛んで気をしっかりと持ち、絶頂を抑え込んでいる。
「そんなに堪えて、辛くないんですか?」
余裕そうな綾瀬の表情。
ペニスは容赦なく突き込まれている。
(そんなの……辛い。辛いに決まってます。本当は今すぐにでも、イキたいっ)
綾瀬の言葉が雪菜の我慢強さを削っている。
イキたいと心の中で思ってしまえば、後は流されるままに絶頂してしまう。もう少しでオーガズムに到達するという期待感は拭えない。苦痛ではなく快楽。身も心もそれを味わうことを望んでいるのだから我慢するのは大変な苦痛を伴う。
「は――――ぁ、あっ、んくううう♡」
それでも雪菜はギリギリと奥歯を噛む。
突き上げるペニスに身体が揺れて、子宮口まで犯されているのを全身で認識しながら、快感で溶け落ちそうな理性を繋ぎとめる。
「どうしたんです? いつもなら、もう三回はイってるころなのに」
「そ、そんなこと、ないです。はあっ、んっ、ふう、まだ、ん、んっ」
「そうですか」
「――――ふはっ♡」
綾瀬のペニスが角度を変えて下から上へ膣道を抉るように突き上げてきた。さらに腰を捩じり、斜めに突き込んでくる。膣口から膣奥深くまでが無理矢理広げられる。濡れた肉壁がその都度変形を余儀なくされて、大きな変化は快感の波を狂わせる。
「んはっ――――あっ、あっ、それ、だめ、です。そんなふうにされたら、わたし、もうっ」
「いいじゃないですか。我慢は毒ですよ? 雪さんだってイキたいんですよね」
「い、イキた……あ、ダメ、ダメです。そんな、ん、ふうあっ、くっ、綾瀬さんが、イってないのに、んふう、はあっ」
雪菜は綾瀬を自分よりも先にイカせようとしていたのだ。そのために懸命に快楽を堪えていた。
「何もそこまで考えなくてもいいんですよ?」
「だって、娘が、んんっ、あなたをイカせたって言ったから……んくっ、あくっ、わたしも負けられないと思って……んんんっ、あぁ、はあぁ♡」
じゅぷじゅぷ、と愛液が零れだす。
雪菜の焦点がぶれにぶれて、口の端から涎が零れ落ちる。強い快楽で脳が沸騰してしまいそうだった。
雪菜の告白に綾瀬は思わず射精しそうになった。
雪菜が絶頂を堪えていたのは、単に零菜に遅れを取りたくないという対抗意識からのもので、なんとも可愛らしい理由だった。
「実の娘さんにそこまで対抗意識を燃やさなくてもいいじゃないですか。別に勝敗を競うわけでもありませんし」
「でも、でも、あの娘のほうが若いし、スタイルもいいし、わたしは、あ、んんっ」
「雪さんは雪さんで魅力的ですよ。ここまでいじらしく求めてくれるのですから男冥利に尽きるというものです。だから、このままイッてください。思い切り。負けてしまってもいいでしょう? それも気持ちイイものですよ?」
「負けるのが気持ちイイ、なんて、そんな……あ、あ、あ、ああ何で、わたし、こんなぁ♡」
雪菜の子宮が一瞬にして燃え上がるような熱を持つ。
雪菜は戸惑い、そして綾瀬からすれば案の定といった反応だ。
綾瀬と関係を持ち続けた雪菜は自然とマゾヒストとして開花している。娘に敗北する屈辱は雪菜を性的に興奮させるだけだ。
「本当に雪さんはどうしようもないマゾさんですね。何をどうしたって気持ちよくなってしまう変態。こういうことを言われても、今のあなたは感じてしまうんですよね?」
「ひあ、あ……違っ、そんなことは……あ、あ、ああっ、どうしてぇ♡」
刺すような快感が全身を駆け抜ける。
綾瀬の言葉が耳から脳を蕩かせる。
(負ける……綾瀬さんに屈服させられる……このままガンガン突かれて、滅茶苦茶にされる。そんなの……そんな気持ちよさそうなこと、我慢できないっ。零菜にも負ける。チンポに突かれてだらしなくイってしまいますっ)
「はっ――――ひゃあああ♡」
ガクガク、と雪菜は痙攣する。
ズンズン、とリズミカルな抽挿を受けて快楽信号がせわしなく脳に送り込まれる。頭の中は綾瀬に愛される幸福感でいっぱいで他の感情は軒並み追い出されてしまった。
綾瀬は雪菜と手の平を合わせて指を絡める恋人つなぎをする。そのまま身体を倒して全体重をペニスの乗せて、顔を近づける。
雪菜は顔をそむけなかった。
むしろ自ら口を開き、顎を僅かに上げて唇を突き出した。
「んむ……♡」
触れ合う唇はすぐに押しつぶし合い、接触面が分からないくらいに繋がり合う。
「んん……ん、ふう、んちゅぷ……ふう、んんっ、んあ、あふ、ん、れろぉ♡ はふ、ん、あむ、ちゅぷ、んんんんんっ♡」
(キスしながら連続で突くなんて、ダメ、すごすぎて頭が変になる♡)
口も膣も溶け落ちて、混ざり合って何も分からなくなる。なけなしの理性は失われ、身体の感覚だけが雪菜を突き動かした。
「くひぃ♡ はひぃ♡ あはっ、あ、あ、あ、ああっ♡」
雪菜の声音が変わる。
敗北を意識したことで箍が外れたのだ。一度上り詰めてしまえば、静かに下ることは許されない。頂点から飛び立って、墜落するしかない。
「ちゅぱ……んちゅ……んあ、んあ、んああっ、はひっ、い、いぃっ、ひはっ、ああん♡ 来ちゃう♡ こんな、すぐに来ちゃいます♡」
「いいですよ。そのまま一気に駆け上がってくださいね。我慢なんてしないで。雪さんはそのままで魅力的なんですから」
「はっ、はっ、はっ、あ、ひぃ♡ ん――――いぁぁぁ♡」
ごりり、と膣奥が抉られたのを感じる。
ポルチオが的確に撃ち抜かれた。
強烈な快感。電撃を浴びせられたかのような痺れが雪菜の我慢を突き崩す。一瞬、視界が真っ白に染まり、そして我慢に我慢を重ねたが故にオーガズムは何倍にも増して襲い掛かってくる。
絶叫を上げようと開いた口に綾瀬の舌が押し込まれる。ぬるりとした感触と柔らかい唇の感触。その二つが雪菜の声を封殺する。
「ふむぅぅぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡」
チカチカする視界。酸素が足りなくなり、全身の痙攣が止まらない。絶頂が止まらず連続でイキ続ける。雪菜の黒瞳が裏返り、綾瀬の背中に回った手足がぎゅっとその身体を抱きしめて密着する。雪菜の強いオーガズムで膣内も痙攣する。その刺激はペニスにも伝わり、一気に射精欲を迸らせた。
どぴゅるるるるるるっ。
「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん♡」
灼熱が膣奥に解き放たれる。
ペニスの脈動を敏感な膣肉は感じ取っている。熱すぎる粘液の刺激で雪菜はまた絶頂する。
やがて、オーガズムの波が過ぎ去った後、唇を離す。雪菜は心底幸せそうな表情を浮かべて放心した。
「ふう……あ、あ……あ、気持ち、イイ……はあ、ふ、あ……」
「そんなに気持ちよくなってくださってよかったですよ」
雪菜の敏感な身体は何度やっても飽きが来ない。
この仕事をしていて本心からよかったと思えるのは雪菜のような客に巡り合えることだ。
「んむ、んむ、じゅるる……ふう、んちゅ……れろぉ♡」
体力を使い果たした雪菜は、それでもフェラチオで綾瀬に奉仕している。ペニスを頬張り、舐めしゃぶり、唇と喉で扱いている。
「う、く」
綾瀬が呻く。
雪菜の口内に白濁液を注ぎ込んでしまう。
「ふむ……ん、んく……んんぅ♡」
二度三度跳ねるとペニスを雪菜は口で抑え込み、尿道に残る精液まで啜り出す。口内に広がる苦みも慣れたものだ。今となっては味わい深く、また綾瀬を射精に導いたという達成感すら感じられた。
「ちゅる、じゅる、じゅる……れる、れる、れる……んふぅ、まだ固い……ちゅっ、れるれる、れろぉ♡」
そそり立つオスは一度や二度の射精ではまったく満足していないようだ。雪菜の眼前ですぐにむくむくとたくましさをアピールし始める。そんなペニスに雪菜は舌を伸ばして奉仕する。涎をたっぷりと絡めてざらざらとした舌粘膜を押し付けていく。
「雪さん……そろそろお時間ですよ」
「ちゅぷ……ん……延長」
「はい?」
「延長、します」
「お時間、大丈夫ですか?」
「はい。それより、もっと……欲しくて……あむ、ん、ふうぅ♡」
雪菜は茫洋とした表情のまま喉奥までペニスを咥え込む。
精巣があっという間に精液を補充しようと全力稼働する。その魅力的な女性を徹底的に染め上げなければならなないというオスの義務感が湧き上がり、綾瀬の性欲に薪をくべた。
雪菜の口内粘膜を愉しみながら、綾瀬は次にどのようなプレイで雪菜を満足させてやろうかと思案するのだった。
☆
「うーん、遅い」
零菜は時計を見て呟いた。
雪菜の帰りが遅いのはいつものことではあるが、今日は年休を取ると言っていた日だ。それにも拘らず、日が暮れてからもまだ帰ってこない。
零菜が学校から帰ってきたときにはまだいなかったので、平日の昼間からどこかに出かけているのだろう。同級生と遊んでいるのかとも考えたが、やはり平日というのは違和感がある。雪菜の交友関係など知る由もないが、社会人は平日は忙しいというのが零菜の中にある定説である。
「延長したな」
ごろり、とソファに転がってテレビを眺める。内容は頭に入ってこない。
雪菜が夜まで帰ってこないとなれば、間違いなく綾瀬の店に顔を出しているのだろう。仕事でもなければ夜遊びには縁のなかった人だ。まず間違いない。
真面目一辺倒で厳格だったはずの雪菜がいつの間にか外に男を作り、悦を貪っている。そのギャップに零菜は戸惑いながらも安堵した。零菜もまた同じ男と身体を交える関係ではある。雪菜が綾瀬と今行為に及んでいるというのは複雑な気持ちがしないでもない。無論、仕事と客の関係は維持しているはずだ。深入りしないで快楽だけを貪り合う関係は後腐れがない。雪菜も零菜も表面上は綾瀬との関係をそうしている。
雪菜が悦楽に染まり、よがり狂う姿を間近で見て、それを美しいと感じてしまう自分がいたのも事実。雪菜が感情を爆発させ、肉欲に溺れる様は娘から見ても酷く倒錯的でドキドキしたものだ。
だらだらと過ごしていたら、不意にインターホンが鳴った。映像を確認すると見知った顔だったので、そのまま家の中に通した。
「お邪魔します、零菜」
「いらっしゃい、萌葱ちゃん」
異母姉に当たる人物。零菜と同じ吸血鬼で第四真祖の娘である暁萌葱は高校の制服の上から白衣を着ていた。彼女は学生だが、同時に優れた科学者でもあるのだ。零菜の不安定な眷獣のコントロールを外部から支援するシステムを任されるなど手腕を発揮している。
整った顔立ち。金色に染めた髪をサイドテールにしている。
「どうしたの、こんな時間に」
「妹のとこに遊びに行こうと思っただけ。一応、差し入れもあるよ」
「え、何何?」
「コーヒーゼリーと桃、どっちがいい?」
「桃」
「だろうね」
にやりと笑い萌葱は零菜に桃のゼリーを投げて渡す。
「おっと、ありがと」
「はい、スプーン」
「どーも」
投じられるプラスチックのスプーンを受け取って零菜はお礼を言う。
「雪菜さんは?」
「まだ帰ってない」
「相変わらず忙しそうだね、あんたのとこは」
「んー、どうかな。ま、それを言えば萌葱ちゃんのとこもそうでしょ」
「まあ、立場が立場だけに? それなりに忙しそうではあるけどね」
テーブルについた萌葱はコーヒーゼリーを食べ始めている。萌葱の母の浅葱も、国家の重鎮の一人である。第四真祖の血の従者になる前から優れた能力を発揮していたと零菜は聞いている。
「なんか最近さ、雪菜さんとなんかあった?」
「……なんかって?」
「いや、なんとなく。いい意味で。雰囲気が丸くなったような気がしたから。仲直りしたの?」
「もともと喧嘩なんかしてないよ?」
「まあ、そうだけど。いっか、零菜がそれならそれで」
萌葱が感じた違和感の正体に思い当たる節がないわけではない。
零菜と雪菜の間に横たわっていた溝は、急速に修復している。きっかけはろくでもないことではあるが、互いに共有できる秘密ができたので母娘の会話が増えたのは事実だった。
「萌葱ちゃんも」
「んー?」
「なんでもない」
雪菜と零菜の秘密を萌葱が知ったら、どんな反応をするだろう。軽い見た目の割に、実は身持ちの固い彼女が乱れた風俗にどのような反応をするかは未知数だった。
結局、萌葱は何をするでもなく帰っていった。なんでもテストが近いのだとか。萌葱ならテスト勉強にそこまで力を入れなくてもと思わなくもないが、見た目がチャラいだけで真面目な性格なのでやることはやらないと気が済まないのだろう。
萌葱が帰ってから三十分ほどしてから雪菜が帰ってきた。ソファの背もたれに顎を乗せて、だらっとしながら雪菜を観察する。
特に変わった様子もない。が、仄かに香るアロマオイルの匂いは誤魔化せない。人間が相手ならともかく、零菜は吸血鬼なのだ。
「ママぁー」
「何?」
「マッサージ、気持ちよかった?」
「な、何、急に」
「別に……で、マッサージ行ったんでしょ?」
マッサージは今となってはある一つの事柄を指す隠語と化していた。
「まあ、悪くはなかったかな」
「ふーん」
雪菜はドギマギしながら誤魔化すように答えた。今更隠し立てする必要もないが、あけすけに話すような内容でもないからだ。
零菜はすぐにテレビに視線を戻した。雪菜から聞き出して、何かしようというわけでもない。ただ、なんとなく聞いてみただけだったのだ。
零菜はスマートフォンを弄る。開くホームページは「マッサージ店」のそれ。予定は合わないのでしばらくは予約できないが、気まぐれに予定表だけを眺めてみるのだった。
なんやかんやで早いもので一年経ってましたね。
本編関係ないイフをまたやりたい気になっています、零菜の同級生とか義兄とかに据えた綾瀬君的なやつで一つ……。