暁の堕姫~堕ちていく人妻~ 作:人妻大好き
雪菜のこれまでの人生の中で、最も辛く悩ましい時期を迎えていると言えた。仕事は順調だ。まったく問題らしい問題がなく、個人としても組織としても着実に成果を出している。
悩ましいのプライベートだ。家庭の悩みももちろんあるが、今となってはそれが小さく思えるくらいの後悔を抱えてしまった。
どうして、こうなってしまったのか。
背負った罪は大きく、今もそれが表に出ないかびくびくとしている。
もしも、一度それが表に出れば雪菜は終わりだ。社会的に大きな関心と非難を集めることになり、家族にも職場にも大きすぎる迷惑をかけることになる。
だから結局は一人で抱えるしかないし、今できる最善を尽くすしかない。残念ながら、その「最善」は事態を緩やかに悪化させることにしかならないのだが、それ以外に手段がないというのが現実だった。
二進も三進も行かず、どうすることもできない雪菜は、完全にドツボに嵌ってしまったことを自覚していた。
★
大月が運転する車の助手席に座る雪菜は、憂鬱な思いで流れていく風景を眺めている。
彼と関係を持ってから三日。この三日間は、大月からこれといったアプローチはなかった。雪菜は内心の不安を隠して仕事を続けなければならなかった。
そして、二人切りで外回りの仕事に出なければならなくなった。
要件そのものは通常業務である。魔獣対策のために連携している企業との打ち合わせだ。大詰めを迎えた重要な打ち合わせなので、当然、これは事務方のトップでもある雪菜と経理に関わる大月が参加することになった。
今は、その帰り道だ。
大月が運転する公用車は、事務所に向かう道を逸れる。
「大月さん、道、外れていますけど……?」
「これでいいんですよ。この時間は、この道は混雑しますから。事故が起きれば、動かなくなりますしね」
一から作られた人工島を基盤とするこの島国は、一部が老朽化しており改築を進めている。
暁の帝国が国土を増改築によって広げていくと、地域ごとの人口比も変わってくる。昔は小さな道路で十分だった場所に多くの人が移住した結果、混雑が発生するようになった道路も少なからず存在する。
土地の形そのものが、日々変化する暁の帝国特有の悩みであった。
何年か前までは海に面していた地域が、いつの間にか巨大なビル群に飲み込まれているということすらあり得る。人の流れも物の流れも変わっていく中で、どのような区画整理を行うのかも今後の課題であった。
「ま、多少帰る時間が遅くなっても会議が長引いただの、渋滞が酷かっただの言い訳は立ちますよ」
「……っ」
二人を乗せた車は、鮮やかな色彩の看板が立ち並ぶ区画にやってくる。
所謂ラブホテル街だ。
帝国国内でも有数のカップルの街で、若い男女が一緒に歩いている傍を車はすり抜けていく。
「あの、ここは……さすがに、違いますよね」
「違いませんよ。これから、ラブホに行くんですから」
「……ぅ」
予想していたとはいえ、ここまであっさりと言われると雪菜は何と言っていいのか分からなくなる。
「……今は業務中ですよ。そういうことは……」
「やっぱり真面目ですね、雪菜さんは。でも、大丈夫ですよ。誰にもバレやしませんから」
「そういう問題じゃありません! 勤務の最中にこんないかがわしい場所を利用するなんてありえないと言ってるんです。バレるバレない以前の問題ですっ!」
「ホテル代くらいは俺が出しますよ」
「だから、そういうことではなく」
「じゃあ、やめますか? いろいろと困ることになるんじゃないですか?」
大月の笑みに雪菜は何も言えない。
服務規程に反した行動ではあっても、雪菜は大月に従わざるを得ないのだ。それだけの弱みを握られている。大月も雪菜が強く出られると言い返せないことを分かって問いかけてくる。意地に悪い問いかけに、雪菜は回答を避ける形で抗議するしかなかった。
「俺も、前の彼女と使ったっきりなんですけどね」
大月が選んだホテルは、連棟式で車庫に車を入れるとそのまま個室に入れる構造だ。誰にも見られないという点でフロントを通るホテルに比べれば利用しやすい。特に雪菜のような訳ありは。
入った部屋は、こういったホテル独特のフローラルな香りが充満していた。大きなベッドとふかふかのソファが置いてあるが、それ以外の家具はない。
お手頃価格なだけに設備としてはいまいちだが、それこそ少ない時間でやることをやるには十分だ。
「……どう、するんですか?」
「やるだけやって、戻りましょうよ。雪菜さんと一日一緒にいた所為で、目茶苦茶むらむらしてんですよ」
「そんなの、わたしは関係ありません」
手を掴まれる雪菜は、やはり抵抗できない。
ぐっと頤を上げられる。迫ってくる大月の顔を引っ叩いてしまいたかった。
「んっ――――」
柔らかい唇が重ねられる。
受け入れ難いキスに、嫌悪感を露にして眉を潜める雪菜。そんな雪菜の心情を無視して、大月からのキスを続く。
押し付けられた唇が開いて雪菜の唇を玩び始める。ちゅぷちゅぷと音を立てて、大月は雪菜の唇を貪った。
「へへ、柔らかいですね雪菜さんの唇は」
「……知りません」
「ツンツンしないでくださいよ。ほら、口開けてください」
「ッ……く、んぁ」
言われるがままに雪菜は口を開ける。
開いた口にむしゃぶりつく大月。侵入してくる舌が、瞬く間に雪菜の舌を絡め取る。
「んぶぅ――――、ん、れるっ……ん、ちゅぶっ、れろ、れる……んく、ちゅぶ、れろ……れろ……ちゅぶ、じゅる、れろ」
雪菜は目を白黒させてその激しいキスに無抵抗のまま翻弄される。
今までにない強引なディープキスだ。
反射的に逃れようとする舌を大月の舌が逃がさない。裏も表も関係なく舐め回してくる。あまりの激しさに口内で涎が泡立って、口外に溢れ出してしまう。
「んぐ……ぐ、ん、ちゅぷ、ん、んん――――っ! ん、れろ……ん、んんっ、ん、じゅる、ん、ふあ、あふっ、ん、んんっ……ん、れろ、ちゅる、んん」
息苦しくて口を離し、呼吸を整えようとしたところを追撃される。無理矢理合わさった唇は、感覚すらなくしてしまいそうで、口内を蹂躙する舌の感触だけが異様に頭に響いている。
「ん――――ん、あ、ふああっ」
雪菜の舌が大月に吸い出される。
男の口内でいいように玩ばれてしまう雪菜の舌。
大月から離れるように、胸を押し退けて雪菜は後退する。
「はあ、はあ、はあ……いきなり、キスなんて……っ」
「いやいや、最初はキスでしょ。それとも、ほかにしたいことがありました?」
「ありません。もう、今日はいいでしょう。帰らせてください」
「ダメですよ。まだ始まったばかりじゃないですか」
「やらなくちゃいけない仕事があるじゃないですかっ。こんなところで時間を費やしている場合じゃありません」
努めて冷静に雪菜は言った。
今は業務時間内で、先ほど打ち合わせを終えたばかりだ。最低限、今日のうちに打ち合わせの内容を纏めなければならない。
少なくとも雪菜はそういう道理は主張できる。
「はあ、分かりましたよ。さっさと仕事に戻りましょう。興が削がれました」
ふてくされたようにそう言う大月。
雪菜がほっと胸を撫で下ろしたとき、雪菜の両頬を大月が掴んで、二度目のディープキスをしてきた。
「ん!? ふぐっ!?」
ぬらりとした舌が口内に入ってくると同時になにやらカプセルのようなものが押し込まれた。
「んぐ、ん、ふ――――んんっ」
雪菜の口内で瞬く間にカプセルが溶けて、喉奥に流れ落ちていく。
「ぷあ、はあ、な、にを飲ませたんですか!?」
「さあ、何でしょう」
答えるつもりはないと、大月は笑みを浮かべる。
雪菜は自分が何かよからぬ薬を飲まされたことを自覚しながら、それがどのようなものなのか見当が付かない恐怖を覚えた。
★
そのまま、雪菜は事務所に戻った。
時刻は午後の四時を回っている。定時までは一時間あまりだが、とてもそれまで仕事を終えることはできなそうだ。――――いつものことではあるが。
パソコンを立ち上げて、キーを叩く。雪菜宛ての電話は滅多にかかってこないので、パソコンを向き合う時間が大半を占めるのが最近の状況だ。
大月の様子を盗み見ると、特に変わった様子はない。あれだけのことをしておいて、何事もないように仕事ができるのは、才能としか言いようがない。
「ん……っ」
急に、それがきた。
雪菜の下腹部が熱を帯びて、ジンジンとし始めたのだ。心拍数も上昇している。
(まさか、さっきの薬)
よりにもよって、遅効性の媚薬を飲まされたに違いない。
(なんてこと。まさか、そんなことまでするの!?)
驚愕を押し隠して、平静さを維持する雪菜。
薬の効果が少しずつ回っているのが分かる。子宮の当たりがむらむらしているし、秘所がじりじりと焼けるようだ。
「あの、雪菜さん。決済、もらえますか?」
「え、あ、はい」
声をかけてきたのは、二十代の女性職員だった。バインダーに挟まれた決済文書を受け取り、目を通し、決済印を押す。単純な確認作業だ。
「はい、どう……っ」
と、書類に印を押してバインダーを渡す。
その際に乳首の当たりが服に擦れた。ブラジャーの上からなのに、敏感になった乳首が必要以上にその刺激を感じてしまう。
「雪菜さん?」
「あ、すみません。ちょっと、咽てしまって」
「大丈夫ですか? 顔色が優れないようですけど、体調でも?」
「いいえ、大丈夫ですよ。心配してくれてありがとうございます」
動揺を抑え、雪菜は笑みを浮かべて言った。
女性職員はそれ以上何も言うことなく、自分のデスクに戻っていった。
雪菜の仕事量の多さは皆が知っているので、心配してくれたようだが、こればかりは誰にも言えない。
(これは、少しまずい……でも……)
薬を盛るなどという卑怯なやり方に怒りを覚える。
意地っ張りが性分の雪菜だ。
この卑劣なやり口に芽生えた怒りが、彼女の精神力を強めた。薬で生じた性欲を、強靭な理性を制御する。深呼吸を繰り返して、昂ぶる精神を落ち着かせ、普段通りの態度で仕事を続ける。
何食わぬ顔で決済を取りにくる大月にも、他の職員と同様の態度で接した。
身体の反応を、完全に無視して意識しないように心がけた。
日が沈み、所内から少しずつ人が消えていく。
残るのは大体同じ面子だ。
会話は特になく、パチパチとキーを叩く音だけが響き続ける。
媚薬に気付いてから、すでに五時間弱が経過している。驚いたことに、この薬の効果は依然として残り続けていて、今も雪菜の体内に性欲の日を灯し続けている。
幾度、トイレに行って一人でしてしまおうと思ったことか。それをしなかったのは、ただの意地だ。
「じゃ、すいません。わたしはこれで失礼しまーす」
と、軽い感じで言った女性職員の一人。カバンを担いで、部屋から出て行った。これで、残ったのは雪菜と大月の二人だけとなった。
雪菜は生唾を飲み、太ももをじれったそうに震わせる。
手元に視線を落とす。
決済文書に貼り付けてあった付箋には、大月の字で「残業お願いします」と書いてある。上司に対して信じ難い要求である。
(今度は、何を……っ)
と、考えかけたところで雪菜は思考をカットする。性的なことを想像すると、これまで我慢してきた身体の火が一気に燃え上がってしまいそうだった。
身体だけでなく心すらも律しなければ、瞬く間に瓦解してしまう。
雪菜は計算ソフトを親の仇を見るかのような視線で睨みつけ、キーを叩いていく。
(……だめ、ぜんぜん集中できてない)
余計なことに意識が向いてしまう。大月と二人切りになり、いつ何かしらのアクションがあるか分からない状況になったことで、雪菜の身体の熱が広がりを見せているのだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……ん」
深呼吸をしようにも呼吸が浅くなってしまう。喉も渇いてくる。緊張状態にある証だ。
大月と目が合う。
「雪菜さん、どうしたんですか? 顔が紅いですよ?」
「……っ。分かってますよね……あのとき、何を飲ませたんですか?」
「……それこそ、愚問というヤツでは。その様子だと、しっかり効果があったみたいですね」
すでに明白ではあったが、彼がその薬の効果を事実上認めたことで、ますます雪菜は悔しさに苛まれる。
「それで、わたしにどうしろと」
「そうですねー。とりあえず、こっちに来てもらえます?」
雪菜は言われるがままに大月の下に歩いていく。
今となっては振動すらも秘所に響いてしまう。
「スカート上げて、見せてください」
「な……っ」
「ほら、早く」
「く……っ」
雪菜は窓に目を向ける。ブラインドがしっかりと下りているのを確認してから、唇を噛んでスカートの裾を上げる。
「へえ、雪菜さん。すっかりびっしょびしょになってるじゃないですか。ずっと我慢してましたもんね」
至近距離でパンツを見られる。それも、滲み出した愛液で濡れて汚れたパンツだ。
「染みができてる」
「……見ないでください」
羞恥心が煽られて顔から火が出そうだった。
(ここ、職場なのに……!)
事務室内で若い男に発情して染みのできたパンツを見せている。そんな異常な状況が雪菜を責め苛んでいる。
「もう我慢できないって感じだ。どうです? 今すぐにでもヤリたいんじゃないですか?」
「そんなこと、ありませんっ」
きっぱりと雪菜は否定する。
ジンジンとした感覚は、ますます強くなっているような気がする。
「ふふふ、ま、いいでしょ。じゃあ、雪菜さん。ここに座ってください」
と、大月が指差したのは自分のデスクの下だった。ちょうど、人がしゃがめば入れる空間がある。意図が掴み切れないまま、雪菜は大月のデスクの下に潜りこむ。
「そのままフェラしてください」
「は?」
「フェラですよ。ちょうどいい高さでしょ」
「な、な、何を……職場でそんな……っ」
「誰もいませんよ。もう、残ってるのは俺たちだけです」
そう言いながら、大月はイスに座ったままズボンのチャックを下ろし、ペニスを取り出した。
(信じられない。なんて、常識はずれ)
絶句する雪菜の眼前に、すでにそそり立っているペニスが突きつけられる。
「臭い……蒸れてる」
「一日中働きづめでしたからね。雪菜さんの口で綺麗にしてくださいよ」
「何が働きづめですか……人をホテルに連れ込んでおいて」
「まあ、結局本番なかったじゃないですか。ちゃんと仕事はしてましたし。ご褒美ってことで」
「あなたに上げるご褒美なんてありません」
むわっと広がる男の臭いに雪菜は眉根を寄せる。
それでも拒否することはできない。
(最悪、こんな)
呼吸するだけでペニスの臭いが否応なく雪菜に届く。
早目に終わらせてしまおうと、雪菜は舌を亀頭に伸ばす。
「れろ……れろ……れろ……ぺろ……ん、れろ……」
「雪菜さんどうしたんですか。そんな単調なフェラじゃ終わりませんよ」
「……ん、ちゅぷ、れろっ……れろっ……ちゅ、ちゅぷ、じゅる……れろ、ん、ふぅ、あむ、じゅる、じゅる」
雪菜は亀頭を咥えて、口内で鈴口を舐める。頬を窄めて口全体でペニスに愛撫する。口の中に異物が入ってきたことで、反射的に涎の量が増える。
頭を前後に動かすと、じゅぶじゅぶと水音がするようになった。
「んふぅ、んふぅ、れる、れる……ん、じゅぶ、ちゅぅ……れろ、ちゅぶ、んんんぅ」
ペニスに吸い付き、黙々とフェラをする雪菜。喉奥に飲み込んでみたり、棹の根元から先端まで舐め上げたりと舐め方にも変化をつける。
「いいですよ。玉も舐めて」
「……分かりました。れろれろ、ちゅぷ、ん、じゅる、じゅる、れろ、れろ……ん、ふぅん」
言われるがままに雪菜はペニスの根元に顔を埋めて睾丸に奉仕し始める。舌先で皺を伸ばすようにし、吸い付いて舐め回す。
雪菜の愛撫に気をよくしたのか、大月の睾丸が動いているのが分かる。
(動いてる。今、精液作ってるんだ)
舌の上で子種が作られているのを感じ取り、雪菜の秘所がきゅんと悶える。
(ダメ、変なこと考えたら……今、ただでさえ薬が回ってるのに……この臭い、すごい。頭が回らない)
不快な悪臭が次第にいい臭いに思えてくる。舌の上に感じる苦味も、心なしか味わい深い。考えが纏らなくて、口と舌だけが懸命に動いている。
「んむ、ん、じゅる、ちゅ、れろれろ、ん、あむっ、ん、れろぉ、ちゅぷ、れろ、じゅる……ん、ふうふう、ん、じゅる、れろぉ……先走り、いっぱい、れろ、れろれろ……ん、ちゅぷ」
先端から零れ落ちる雫を雪菜は舌先で掬って飲んでいく。まるで、先走りが出てくるのを促すようにチロチロと鈴口を舐め、尿道から一気に汁を吸いだそうとしていうかのようにペニスを咥えてしゃぶりつく。
「ふー、ふー、んふー、じゅるる、じゅる、ん、ちゅぷ、じゅる、んじゅるる、れろれろ、じゅるるる!」
激しく雪菜はペニスを吸いたてる。
形振り構わず頭を前後に振って、うっとりとした表情を浮かべてしゃぶりまくる。
そんな雪菜の頭を大月が撫でる。まるで、上手く躾けられた犬にするような手つきだ。
直前まで嫌悪感を抱いていたとは思えない積極的なフェラだった。
取り憑かれたかのように雪菜はペニスを舐め回している。亀頭を手淫しながら、裏筋に舌を這わせ、睾丸をマッサージする。
「はあ、はあ、はあ……れろれろれろれろ、ぺろ、ぺろ、ちゅっ……臭い、きつくなって、ちゅ、ん、れろぉ、もう出そうなんですね……れろぉ、ちゅぷ、ん、じゅるる」
再びペニスを頬張った雪菜。そのまま喉奥に飲み込んでいく。生暖かい口の感触にペニスもビクビクと震えて限界を示し始めている。
「わっすれものー、しました!」
唐突に現れた乱入者が、それまでの淫靡な空気を吹き飛ばした。
先ほど出て行った女性職員が戻ってきたのだ。
「!?」
雪菜の動きが止まる。
大月との二人だけの空間だったからこそ、欲望に酔ってフェラできたのだ。第三者が現れるのは、想定外だ。考え得る限り最悪の展開である。
雪菜は大月のペニスから口を離そうとする。大月はそんな雪菜の頭を押さえて、さらにペニスを押し込んだ。
「んっ!?」
抗議の視線を大月に送る雪菜。
(そんな!? こんなとこ、人に見られたらっ!?)
決定的に終わってしまう。
職場で部下にフェラをしていた等ということになれば、二度と外を歩けなくなる。
「大月君、まだ残ってたんだねー」
「もう少しで区切りが付くんで。そうしたら帰りますよ」
「あ、そう? ところで、雪菜さんは?」
「席を外しました。その内、戻ってくると思います」
「そっか。何か、体調悪そうだったけど、大丈夫かな? 最近、忙しいし」
「雪菜さんは、前から忙しいですけどね」
「それもそうだけどね」
そんな雑談が続いている。
雪菜は大月のデスクの下でペニスを咥えながら、息を潜めて気配を消している。
口の中にペニスの味が広がっていく。
流れ出る先走り液の苦味。逞しく脈打つペニスの熱で舌を火傷しそうだ。
溢れる涎を飲もうと喉を動かすと、舌がペニスの裏筋をなぞってしまい、それが刺激となって大月が呻く。
「どうかした?」
「ちょっと、足が攣りかけただけ。久しぶりに外に出たからかな」
「そんな軟弱な鍛え方してないでしょー」
ケラケラと笑う女性職員。
「じゃあ、わたしはこれで。また月曜にね」
「はい、お疲れ様でした」
朗らかに手を振って、女性職員は帰っていった。
ふう、と大月は吐息を漏らした。焦っていたのは雪菜だけではなく大月も同じだったのだ。
「じゅぷ、げほっ。ん、大月さん、あなた何を考えているんですか!?」
「スリルがあったでしょ?」
「そんなレベルの話じゃありません。下手をすれば二人揃って大問題ですよ」
「そうですね。いやぁ、焦りました。と、ほら、口が休んでますよ」
「あ、く……んぅ……」
キッと大月を睨みながら、雪菜はフェラを再開する。
今ので正気を取り戻した雪菜だったが、求められている行為自体は変わりなく、身体の疼きも残ったままだ。
遠からず、また性欲に支配されてしまうのなら、速攻で射精させなければならない。
「んじゅるる、じゅるる、じゅるるるるるっ……じゅぶ、じゅぶ、じゅぼ、れるれる、ん、あふ、ん、じゅる、れろぉ」
睾丸を愛撫しながら、舌と唇で攻勢を強める雪菜。
射精感はすぐに高まってきて、破裂寸前だ。
「あふっ、んふぅ、れろれろれろ……ちゅぷ、じゅる……ん、ふぅ――――ちゅ、れろ、早く、らして……れろれろれろ」
特に敏感な鈴口を中心に雪菜は舌を動かした。
懸命なフェラが奏功して、大月のペニスは瞬く間に限界を突破してしまった。
「んんっ――――!!」
口内で跳ねるペニスから精液が発射される。勢いよく流し込まれる精液を、雪菜は必死に飲み干していく。
(零したら、服が汚れる)
事務所に精液を零すのも不味いので、一滴も残さず飲み尽す。
「んく、んく、んく……ん、ん、んぅぅ」
(なんて量……発情期の獣人ってこんなにすごいの? 粘ついて、絡む)
量も濃さも段違いだ。
「はあ、はあ、はあ、はあ……げほっ」
ペニスを口から出して、咽る雪菜。
見事に、精液を飲み干したのだ。
「いやあ、ありがとうございます雪菜さん。これ夢だったんですよ」
「こんなことが」
「職場で美人の女上司にフェラ抜きしてもらうってのは、大抵の男が妄想すると思いますけどね」
「男性の事情は、知りませんけど……」
デスクの下から這い出した雪菜は、身だしなみを整える。スーツに体液がついていないかどうかだけ念入りに確認した。
「それじゃあ、雪菜さん。このまま、ホテルで続きしましょうか」
「え……?」
「フェラは前戯でしかないですよ。それに、ほら、雪菜さんだって我慢できなそうだ」
「ッ……」
精液を飲んだことで、雪菜の身体の火照りは一層酷くなった。
オスの淫らな臭いが、まだ鼻にこびり付いているような気にすらなる。
「明日はどうせ休みですし。雪菜さんもシフト入ってないでしょ。ちょっとだけ、休憩がてらに」
「ちょっとだけ……」
「そう、ちょっとだけ。入って抜いて帰りましょうよ」
「……ちょっと、だけ、なら」
今、大月に逆らうわけにはいかない。身体の疼きもあるし、これまでに積み重ねた弱みもあった。雪菜は比較的あっさりと頷いてしまった。それだけ、判断力が鈍っていたのだ。
★
昼間に来たホテルで雪菜は一糸纏わぬ姿で四つんばいになっていた。
改めて前戯をする必要はなかった。雪菜も大月も、ホテルに来る前から十分に昂ぶっていた。雪菜のアナルを軽く解すだけで、いとも簡単に挿入できたのだ。
シャワーすら浴びることなく、服を脱ぐだけで二人は交わった。
「ふぅ――――あああああああああああっ」
ずぶずぶと入り込んでくるペニスに雪菜は悶絶する。
アナルに押し込まれたペニスはギンギンに勃起していた。何を思ったのかコンドームを装着してくれたが、正直それはもうどうでもよかった。
「あっあっあっんん、根元まで深いっ……ふはっ――――あ、はっ、ん、んぁああああ!」
奥深くまで挿入されたかと思えば、すぐにずるずると引かれる。カリのでっぱりが、腸壁を引っ掻いて、溜まらず雪菜は背中を反らせる。
「あぁん♡ ん、はあっ、あ、あ、あ、んん、動いて……あっ、ん、お尻、が……あ、つい、ん、ふあ、あ、んん、ふぅ、んあ、すごっ、ほあ、あ、んぉ、ぉ、んあ、あ、あ、んあ、大月、君の、あ、入って、んんっ」
雪菜はよっぽど辛い思いをしていたらしい。
媚薬の盛られてからずいぶんと経つ。その間、自慰をすることすらなく、解消できなかった性欲がペニスの挿入で炸裂したようであった。
「雪菜さん、相変わらず最高のケツ穴ですね。こんなにものほしそうに締め付けてくる」
「ひぅ、ひぅ、んあ、あ、変な言い方、しないでぇ、ん、ふあ、あ、んあ、強いっ……あっ、んあ、ふぐ、ん、んあ、ああ――――っ」
汗の雫が飛ぶ。
雪菜の口から涎が垂れて、シーツに染みを作った。
「はう、んあ、んあ、んあ、ん――――ふぅあ、あ、あ、あ、んあ、やだ、どうして、こんな、あ、んあ、感じ、て、はあ、んあ、ダメ、なのに……!」
アナルセックスで乱れるのは今に始まったことではない。しかし、媚薬の所為か今までとは比較にならない快感が雪菜を襲っていた。
「ずいぶんと乱れますね雪菜さん。そんなにケツ穴が好きなんですか?」
「好きとか、そんなんじゃ、ありません、あ♡ ん、あ、ふあ、ああ」
「でもしっかりと開発はされちゃってますよね。残念だな。俺がここを開発したかったなぁ」
「そんなこと、ありません、ありませ、あ、んあ、ん、ふぅ、んあ、んあ……あふ、ん、ふお、ぉ、ぉ、んおっ」
「雪菜さん、一つ提案があるんですけどね!」
「提、案?」
「はい。俺たち、そろそろきちんと契約しませんか? 正式にセフレになるんですよ。どうです?」
「セフレって、そんな、あ、ん、ふぐ――――あ、んあ」
これまでも雪菜は大月の求めに応じてきたが、それは雪菜が望んだものではなく、あくまでも脅されて仕方なくだ。
正式に契約というのがどういうことか分からないが、ともかくセフレになるなどとんでもない話だった。
「意味が分からない、んあ、ふぐっ、んあ、ぐ、くぅ、あ」
「身体の相性もいいし、あなたみたいな美人を手放したくもないんですよっ。だから、契約を結んで俺の物にしたい」
「だめ、だって、んあ、それ、んあ、ふう、わたし、夫が、あ、んあ、娘も、いる、んあ、あん♡」
「知ってますよ、そら。でも、夫がいて娘がいるあなたは今俺にアナル掘られて悦んでるんだ。そうでしょ? 別の男にフェラしてケツを許して、それで浮気じゃないなんてありえないからな」
「そ、れは――――んぐ、あ、んあっ、ふぐ……んあ、いやぁ、んあ、ふあ、あ、あ、んああ!」
雪菜がずっと考えないようにしていたことだった。前でのセックスを許していないから浮気じゃないなどという詭弁で自己弁護をしてきたその矛盾を突く言葉だった。
「嫌ッ、嫌ですッ、言わないで。言わないでください、んあ、ふぅ、あ、もう、動かさないでっ」
確信を突かれて雪菜は半ばパニックになった。目を背けていた事実を突きつけられたことで、精神的に大きく揺らいでしまったのだ。
雪菜の懇願を受けても、大月は腰を止めない。アナルを徹底的に陵辱し続ける。
「だからこその契約だ。俺の一族に伝わる淫紋契約だ」
「何ですか、それ……いったい」
「淫紋っていう俺と雪菜さんにしか見えない特別な印を刻む契約さ。俺たちの一族は、発情期がここで違いましてね。相手を発情させる手っ取り早い手段として編み出した契約魔術ですよ。そう発情です。刻まされた相手は、刻んだ相手に性的に縛られるのさ」
「そんな、の、ダメに決まって、んあ、ふあ、んん♡ んあ、ダメ、腰止めてくださ、あん、ん、ふああ!」
雪菜は喘がされる。背後から聞こえる悪魔の囁きとペニスに翻弄されながら、自分を繋ぎ止めようと必死になる。
(ダメ、お尻が熱くて気持ちイイ! 大月さん、何か言ってるけど、もう分からない!)
契約魔術である以上は相手の同意が必要だ。
よほど互いに好き合っていなければ、淫紋魔術は成立しない。それを、雪菜自身の判断能力を弱めることで、契約を結びやすくしているのだ。
「実際、契約しても今までと変わりませんよ。どうせ、雪菜さんは俺に逆らえないんだ。だったらいっそ快楽を認めて気持ちよくなってしまえばいい。関係性が変わらないのなら、気持ちイイほうを選びましょうよ!」
「そん――――あああっ。んあ、ん、ふう、んあ、あ、あ、あ、あ、あ、んあ、だからって、淫紋、んあ、ふぅ、んあ、あ、ん、んああっ、い、言えないぃぃ!」
ぐらんぐらんと頭が揺れる。一突きごとに思考が真っ白になっていく。獣のようなピストン運動が、アナルを抉り、雪菜の身体に快楽を注ぎ込んでくる。
ぐい、と雪菜の身体が持ち上げられて、背面座位に体位が変わる。
「ふぉ――――♡」
(すご――――深い)
雪菜の黒目がぐるりと回りかける。
自分の体重がアナルにペニスを埋め込んでしまう。奥の奥まで、ペニスが届いて蹂躙してくる。ぎゅっと大月が雪菜を抱きしめてくる。その人肌の温もりに、場違いな安心感を抱いてしまう。耳元で、大月がさらに囁いてくる。
「ほら、気持ちイイんですよね。淫紋契約はもっとすごいですよ。こんなもんじゃないです。一緒に気持ちのイイ浮気セックスしましょう」
「う、わきセックス。ん、ふぅ、んあ、もっと、すごい……んあ、ふぐ、これより……? あ、ふあ、ん、んあ、んお、あ、あ、んあ、ああ、んあ、ふぐぅ」
じわじわと雪菜の思考が蕩けていく。
甘い大月の囁きと激しいアナルセックスが、正常な思考を奪い尽くしているのだ。
「今と、大して変わらない、なら……」
雪菜が口を開く。
「もっと、気持ちイイほうが、いい……」
ぐりぐりとアナルの奥をペニスが犯す。
「んふ♡ んあ、ふぅ、んあ、もっとすごいの、してみたい、です……ふう、ふう、んあ、あ、淫紋、して、ください♡」
雪菜自身、自分が何を口走ったのかきちんと理解はしていないだろう。だが、この瞬間、雪菜は確かに同意してしまったのだ。身体の――――性欲の支配権を大月に譲り渡す禁断の契約だ。
にやりと笑った大月は、雪菜の鼠径部を手を当てる。
次の瞬間には、悪魔が羽を広げたようなデザインの紋様が雪菜の鼠径部に刻み込まれていた。
「ふぐ――――――――っ♡」
がくんと雪菜が頭を逸らした。
「はぎ、ぃ、ん、んあ、あ、何、これ、あ、熱いっ……んあ、あ、い、んひぃぃ、あ、あ、んあ、これ、あ、い、イイぃ♡ あ、ん、お、おふ、んお、ふおぉぉ♡」
雪菜は壊れた笑みを浮かべて自ら腰を動かし始める。
「いいですよ、雪菜さん、そうやってもっと乱れてください。あなたは今日から俺のもんですから」
「んぎい、ふあ、あ、んあ、こんなっ、こんな、嘘ですっ。んあ、すごっ、ひぃ、知らなっ、こんな、気持ちイイ、アナルセックス、知らないっ、んあ、あ、あ、ひぃ、んあ、き、気持ち、い、んあ、ひい、んあ、あへぁ」
だらしのない顔をした雪菜は舌を突き出して快楽に咽び泣く。淫紋の効力が身体を巡って、性的興奮を強制的に上昇させている。
淫紋が馴染めば、大月が命令するだけでオーガズムに達するようになる。
ぐぐっと雪菜のアナルの締まりが強まった。
それを絶頂寸前の兆候と見た大月は、ピストンを速める。
「んあ――――ああ! んあ、ふあっ、ああ、んあ、あ、ダメ、来るっ! んあ、んあ、また、お尻で、あ、イクっ、ん、んあ、あ――――あああああああああああっ!!」
尻を跳ねさせて雪菜は絶頂を味わう。
媚薬で敏感になった身体での絶頂は、それまでとは次元の違う気持ちよさだ。身体が内側から破裂してしまいそうだった。
「ああっ、んああ、イク、イクっ、イクのが止まらないっ。んああああああああああっ、淫紋、セックス、すご、すぎいぃい♡ んあ、あ、あ、あ――――んふおおあおあああああああっ」
大絶叫。
初めての淫紋魔術ということで、雪菜は半ばショック状態に陥っていた。絶頂に絶頂が重なって、息も絶え絶えといった状況だ。
一頻りオーガズムを体験した後は、繋がった状態のまま雪菜は気絶していた。
正気を取り戻した後、雪菜は自分の行いを深く恥じ入り、さらに後悔することになるのだが、こうなっては後の祭りであった。