暁の堕姫~堕ちていく人妻~ 作:人妻大好き
低血圧を自称する綾瀬は、休みの日に朝早くから起きるということは滅多にない。その日に予定があれば、きちんと時間通りに起きるのだが、特に何もなければ昼前まで寝ようとする。二度寝、三度寝は珍しいことではない。零菜が起こしに来るのが先か、いよいよ寝るのに飽きて動き始めるのが先かという程度である。
そんな綾瀬が六時半という休日にしてはかなり早い時間に目覚めたのは、たまたまではない。何か、妙な感覚がしたからだ。いつもとは違う温かさと心地よさが綾瀬の意識を急速に覚醒させたのである。
寝覚めはとてもよかった。
まだ寝ていたいとかそんなことは頭になかった。
ただ、まだ夢の中にいるような気はした。
「んじゅる……じゅる……くぷ……んちゅる……じゅる……じゅる……じゅぷ……ちゅぷ……」
温かいのは股間であった。具体的にはペニスである。それが柔らかくぬめるものに包まれて、愛撫を受けている。
「雪菜さん? どうして?」
綾瀬は目をぱちぱちとした。
信じられない光景であった。
身体を起こした綾瀬が見たのは、勃起したペニスを頬張る雪菜の姿だ。眠っている間にパンツを下ろされ、露出したペニスを咥えられていたのである。
「ちゅぷ……あ、ん……ぉ、おはよう、綾瀬君」
「お、おはようございます……ええと、雪菜さん」
綾瀬は驚天動地の心境だ。
雪菜の右手がしっかりと綾瀬のペニスの根本を抑えている。雪菜はグレーのTシャツを着ただけで、どうやら下は何も来ていないらしい。ベッドの上に愛らしい桃色のパンツと細いジーンズが綺麗に畳んでおいてある。
雪菜の右手が上下する。ちゅく、と音を立てて皮が引っ張られる。
「雪菜さん、そのいきなりどうしたんですか?」
「えぇと、これは、綾瀬君がしたいって言ったことを試してみたんだけど」
「俺が?」
「うん。この前、朝フェラっていうのに興味があるって」
「あ、あー……はい」
雪菜と肉体関係になって半月ほどが経過した。二人の関係は基本的に家の中で完結していて、外部には出ていない。唯一、神社の中で交わったことがあるが、それも雪菜の管轄下の建物だ。義理の母子の肉体関係だ。誰にも知られるわけにはいかないし、家の中だけに留まっているために、誰かに知られる可能性は低い。毎日顔を合わせる。肉欲を知った夢魔の少年と愛欲を思い出した寂しさを抱える人妻は互いにウィンウィンの関係を結んでいる。
そうした中でのちょっとした会話が雪菜をこの行動に走らせたのだ。
確かに、朝一番でフェラチオ、というのに興味があると雪菜に言ったのは事実だった。まさか、実行するとは思いも寄らなかった。
「それで、どうかな? わたし、フェラ、うまくできてる?」
「え、あ、はい。それはもう……う」
雪菜はべろり、と裏筋を舐め上げた。
赤い舌が形の良い唇から伸びてきて、赤黒いペニスの先端に纏わりつく。ゆったりとしたペースで亀頭を舐めていく雪菜。朝勃ちでいつも以上に固くなってしまう夢魔のペニスを愛おしそうにしゃぶる。
「ぺろ、ぺろ、ぺろ……ちゅ……れろぉ……ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ……んちゅ……ふは、ぁ……れろ……れろ……んちゅ……ん……んぁう……んむ……ん、んんぅ……んじゅぷ」
「あ……くっ」
「ん――――ぐ、ん……ふう……じゅるるるるぅ♡ ちゅぷ……はあぁ……綾瀬君の本当に大きいね……はあ、はあ、ん……顎が疲れちゃうよ」
「す、すみません」
「ふふ……れろ……れろ……ん、ちゅ……大きいの、舐め甲斐があって、いいと思うよ……れろぉ♡」
ざらつく舌、熱い口内、こそばゆい吐息、ぬめる涎、それらが一纏めになってペニスを襲ってくる。雪菜の清純かつ透明感のある美しい顔がフェラチオに歪む。喉の奥までペニスを飲み込んで、いやらしい音を立てて頭を揺り動かしている。
「じゅぷ……じゅぷ……じゅぷ……じゅぷ……じゅるる……じゅるる……はぁう……んむ……れるれるれる……ん――――くぷ……じゅぷ……じゅる……ん、ちゅぷ……はあ、はあ、んっ……じゅるる」
「雪菜さん……これ、本当にヤバい」
「いいよ、好きに射精して……あむ……じゅるるるうっ」
射精すると忠告しても雪菜はペニスを逃がしてくれない。むしろ、一層激しく吸い立ててくる。もはや、どちらが夢魔なのか分からない。貪欲にペニスに食らい付いてくる雪菜の口に射精したくて堪らなくなる。
「く……あ、ぐ……」
「んっ!? んっ――――っ!?」
雪菜の口の中で綾瀬は果てた。
恐ろしいほどの脱力感が襲い掛かってくる。びゅるびゅると精が飛び出して行って雪菜の口内を満たしていく。
「ん、あっ、んんっ!? すご、い!?」
思わず口を離してしまう雪菜の顔にも精液が飛び散った。
「す、すいません」
「いいの、気にしないで……ん、れろ」
顔についた精液を拭った指を雪菜は舐める。
その妖しげな行動に思わず綾瀬はドキッとしてしまう。
「はあ……朝一番だからかな、すごい射精したね」
「昨日、抜いてないんで」
「そうなんだ。溜まってた分が一気に出たのかな? ふふ、それで、どうだった?」
「最高でした」
「よかった」
雪菜はちらりと時計を見る。
「まだ時間あるけど、どうする?」
雪菜の瞳から劣情を読み取る綾瀬。もちろん、健全な男子としては、誘われて応えないわけにはいかなかった。
パンっ、パンっ、パンっ、と力強く、しっかりと腰を打ち付ける。
雪菜のアナルを今日も犯す。
「コンドームの用意はない」そういうときの雪菜はアナルの誘いをしているのだ。アナルへの中出しに雪菜は嵌っていた。直接夢魔の精を送り込まれる中出しは、雪菜の性欲を大いに掻き立てる。膣内へはまだ認めていないが、妊娠のリスクのないアナルセックスならば思う存分に射精させられる。
Tシャツを着たままの雪菜の尻を綾瀬は貫く。
「ふっ……あっ、んあっ……あんっ……あんっ……んあっ……はあぅ……ん、ああっ!」
雪菜は四つん這いのまま喘いだ。
アナルに太いペニスを押し込まれ、力強く拡張される感覚にも慣れてしまった。初めてを捧げてからすでに三度、雪菜はアナルを使っている。その都度射精され、腸内で言葉にできない快感を覚えた。
「はあ、はあ、はあ……ああっ! くっ! んっ! ふうぅ……あ、あ、んあっ!」
身を捩り、シーツを掴んで、しかしそれでも身体を支えられなくなってぐったりと倒れ込む。枕に顎を乗せて、腰を突き出して快感に喘ぐ。
「ふう、はあ……ああ……んあ……ああ……はあ……はあ……ぁ……んあっ……ふうぅ♡ ひぃ、あっ♡ はあぁ♡」
「く……締まる、すごい」
「ああっ、綾瀬君も、すごい、よ♡ はあ、はあ、ん……朝から、固い……こんな、あっ♡ ふう……はあ、ああ、気持ちイイ、よ♡」
「雪菜、さん」
綾瀬は雪菜に覆いかぶさるようにしてその身体を抱きしめる。
「ふ――――あああぁ♡」
体勢が変わり、ペニスの角度も変わった。雪菜の直腸の形が無理矢理変えられて、抉られるように奥を突かれる。
抱きしめて、雪菜の髪と汗の香りを堪能しながら綾瀬は雪菜の胸を揉んだ。Tシャツの下にも何も着ていないのだ。ブラジャーすら着けていない彼女の胸はシャツの上からでもその柔らかさと形がはっきり分かる。
「あっ、あっ、あっ、あっ、んぐぅ♡ はあ、はあ、はあぁ♡ あ、んふぅ、あはぁ♡ ん、深いっ♡ あああん♡」
よがり声を上げて、甘えるように綾瀬のペニスを括約筋が絞る。
雪菜の良く鍛えられた筋肉は伊達ではない。その全身が凄まじい凶器であり、性技に使えばペニスから無制限に精液を搾り取る魔性の肉体だった。
「ふう♡ ふう♡ ふう♡ はあ――――ぁ♡ んはあ♡ あ、あ、あ、んんっ……ふう、はあ、くう、んふぅ♡」
「雪菜さん、俺もうイキます」
「うん、いいよ、来てっ」
きゅ、とアナルが締まる。
綾瀬のペニスが限界を感じ取った時にはすでに遅く、我慢できない快感が射精を強要した。
「あ――――んくぅぅ♡」
言葉にできない法悦。
雪菜の表情が蕩け落ちる。
(お尻の中で綾瀬君の精液がいっぱい♡ 気持ちイイ……♡)
どくどくと脈打つペニス。
どろりとした精液。
そこに込められた女を堕とす魔性の力が身体中に行き渡って、雪菜の思考に靄をかける。
いやらしいことがどんどん好きになってしまう。昔の自分とは比較にならないほど変わってしまった今の自分ではあるが、後悔はまったくなかった。
(どうして、こんなに気持ちイイことを今までしてこなかったんだろう)
そんな風にすら思ってしまうくらいだった。
仕事に行く前の僅かな時間に、雪菜は一日分の活力を補給した。
(お尻でこんなに気持ちイイんだったら――――経口ピル、買おうかな)
雪菜はパンツを履いて、ジーンズに足を通す。綾瀬といつも通りの言葉を交わしながら、頭の片隅でそんなことを考えていた。
☆
中学二年生くらいから自分を取り巻く環境が変わってきたと零菜は思う。
零菜自身が意識して何か変えたというわけではないが、肉体的な変化は確かに周囲の自分を見る目を変えていた。身長も小学生のころに比べて伸びたし、なによりも女性的な身体つきになっていった。身体の変化には戸惑ってばかりで、膨らんでくる胸が恥ずかしかった。男たちの視線も気になってしまうようになったし、雪菜の若いころにうり二つとまで言われるほどになって、生きにくさを感じていた。
それでも家庭の中はさほど大きくは変わらなかったのはありがたいことだった。
一緒に暮らしていると言っても過言ではない綾瀬は同学年の男子。しかし、幼少期から一緒にいるのでいいところも悪いところも知っている。
零菜が女性らしく成長するのと同時期に綾瀬も男性らしく成長を始めた。それはもうすくすくと背が伸びて、がっしりとした身体つきになった。女の子でも通せたのも今は昔のこととなり、綾瀬は少しやせ気味ではあっても、しっかりとした男の子になっていた。
綾瀬と同じ学校に通ってはいるが、ほとんど学校での会話はない。クラスが違うし、程よい距離を取っている。それでも存在はずっと感じている。
小さいころから傍にいて、一緒に育った魔力を零菜は無意識のうちに追いかけるようになっていたからだ。
「はあ、ん……ん……」
小さく声を押し殺して、零菜は自分の秘所に指を這わせる。
人が部屋に入ってきてもいいようにタオルケットをかぶって、ベッドの上で小さく身体を震わせる。パジャマのズボンを下ろしてパンツも脱いで指先で膣の入り口をマッサージするように愛撫をする。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、ん……ふう、ぁ……んあ……ふぅ、うっ、あ……綾瀬君……ん、そこ、はあ、はあ――――ぁ」
気持ちイイところを探りながら自慰をする。
妄想するだけならタダだ。
シチュエーションは多様で、ドラマや漫画からインスピレーションを得たものや、自分の妄想を発展させていった題材もある。
共通しているのは頭の中で零菜の相手をしているのは、いつも綾瀬だということくらいだ。
「はあ、はあ、はあ、ん……ん……ん、んんっ」
零菜はタオルケットの中でもぞもぞと動く。
白い布を顔に押し当てながら、クリトリスを弄る。
「ふっ……ぅ……ん、はあぁぁ♡」
深い吐息の後で、布の匂いを嗅ぐ。嗅ぎながらオナニーを続ける。
「はあ、はあ、んはぁ♡ 綾瀬、くん♡」
この布を広げると一枚のシャツになる。
無地のシャツは一日分の汗をよく吸って、少し湿っている。
さっき、洗濯機の中からこっそり持ってきたものだ。自分のものではない。綾瀬のシャツだ。
「んむ……ふむ……ん、はあ……ん……ん……ふうぅ♡ はあ、ぁ、んん♡」
シャツに顔を埋めて呼吸する。綾瀬の匂いで頭がいっぱいになる。誰も見ていないのをいいことに、シャツをこっそり舐めてみたりもする。汗の塩辛い味は、そのまま綾瀬の味に違いない。本物を知らないので、想像でしかないが、それでも最も本物に近い味のはずだった。
「ん……ん……ふう……はあ……ん、気持ちイイ……ん、ん、ん……はぁ、ふ、んむ」
(なんて、変態……でも、綾瀬君に、こんな風に触られたら……っ)
想像するだけで胸の奥にほの暗い火が灯るようだった。
幼馴染かつ同居人をこっそりとおかずにしてオナニーをする。
乙女として人に知られたら破滅するような行為である。本人に知られたら、気持ち悪がられるのは確実だ。
それが分かっていながら、零菜は指で膣口を弄るのを止められない。一度ついた火は一回や二回の絶頂では消えない。
(わたし、欲求不満、すぎ……こんなに、なんて)
恥ずかしすぎて顔から火が出てしまいそうだった。
今日はすでに二回オーガズムを経験している。なのに、零菜はもうあと一回だけと言い訳を重ねて、自慰を繰り返していた。
妄想も止まらない。エスカレートする一方だ。
(綾瀬君の血を吸いたい。綾瀬君と本当のセックスがしたい、キスもお尻もフェラもしてみたい、身体にいやらしく触って、舐めて、身体の中も外も全部知り尽くして、いっぱいいっぱい求めて、力強く抱きしめてほしい、わたしの恥ずかしいところ、いっぱい見て、知ってほしいっ)
小学生の時に零菜はオナニーを覚えた。その行為の名前も意義も知らなかったが、身体に関わることなので恥ずかしいことだというのは理解していた。誰にも相談しないまま、気持ちイイという理由だけで数日に一度のペースでオナニーをするようになった。
何となくやっていたオナニーだったが、今はもう違う。きちんとした知識を持って零菜は快楽を貪っている。最初は手持ちの漫画の少しエッチな描写をネタに、次にネット上の動画や画像をおかずにするようになった。そして、綾瀬を明確に意識するようになってからは、もっぱら綾瀬を題材に妄想している。行為はエスカレートし、ついには綾瀬の衣服を密かに手に取るようになってしまった。
罪悪感はあるが、それ以上の興奮があった。綾瀬なら許してくれるという甘い考えもあった。一緒に住んでいる幼馴染の汗が染み込んだシャツを洗濯機からくすねては、零菜は自分を慰めるのに使っている。
この前の朝、綾瀬を起こしに行ったとき、朝勃ちでパンツが盛り上がっているのを見てしまった。そういう生理現象だと分かってはいたが本物を見てしまって驚いた。その場では起こって見せたが、実際にはドキドキしてしまっていた。忘れられなくて、その日には綾瀬のパンツをくすねてしまったくらいだった。
「ん、ん、ん……はあ……綾瀬君の匂い……ん、イキそう……はあ、はあん♡ ふう、んんんん♡」
くちゅくちゅと淫らな音がする。
自分の股から奏でられる悦楽の音色を零菜はより激しくする。
「んっ、んっ、んっ、ふう、はあ……あっ、ん、気持ちイイ……綾瀬くぅん……はあ、はあ、そこ、もっと……」
膣口を掻き回す指が止まらない。
気持ちイイことを止められない。
悪いことだと分かっていても、この行為のむなしさを理解していてもこの瞬間の快楽には代えられない。
暁家の家事分担で零菜は洗濯を担当している。
綾瀬に洗濯物を触られるのは年頃の乙女として抵抗感があったし、雪菜は帰りが遅い。零菜がするのが合理的だった。その立場を悪用して、こうして選択前におかずを堪能していた。綾瀬は自分の部屋から出てくることはあまりないし、まして零菜の部屋にやってくることはほとんどない。そのおかげで、こんな恥ずかしいことをずっと続けてこれたのだった。
シャツかパンツのどちらかをその日の気分で決める。
今日はシャツにした。強い汗の匂いで頭をいっぱいにしたい気分だった。
「ふぅ、んぅぅぅ♡」
我慢する必要はない。イキたいだけイケばいい。クリトリスを引っ掻くようにして、零菜は絶頂する。
小さな痙攣が収まってから、零菜は深いため息をついた。
感情が追い付かない。
綾瀬を思うと不安が募る。
ネットで見た動画の内容を頭の中で自分と綾瀬に置き換える。かなり過激だ。頭の中だからこそできることだ。しかし、そういうことを綾瀬としてみたいという気持ちもある。
零菜に性経験はない。
あるとすれば、キスくらいのものだ。
子どものころに綾瀬とした「秘密」。一時期流行ったドラマの内容を子どもらしく真似たのだ。今にして思えば、顔から火が出そうなくらい恥ずかしいことだ。綾瀬が覚えているかどうかは分からない。零菜自身そこまではっきりとは覚えていない。しかし、特別な経験ではあったと思う。とはいえ、零菜の身体が欲しているのは、子どもの遊び程度のキスではない。もっと深く情熱的で劣情に塗れた欲望を形にしたものだ。同じキスでも、その在り方はまったく異なっている。
(いやらしい)
湧き上がってくる軽蔑の念。
オナニーで果てるたびに、自分をそう蔑んだ。
もうこんなことは止めようと、心に誓う。その場限りの誓いは数日後にはあっさりと崩れていて、また同じような行為に及んでしまう。
性欲を蔑みながら、性欲にもっとも貪欲になってしまう。そういう年頃ではある。純粋だった小さな頃には戻れない。変わってしまった自分を極力出さないように、綾瀬に接していくしかないのだ。
その晩、夢を見た。
零菜と綾瀬は生まれたままの姿で抱き合って、愛を囁き合う。蕩けるような口づけの後で、行為に及んだ。情感に溢れた淫らな夢。自分の身体を割って、貫くペニスに息が苦しい。何度も膣口から出たり入ったりする肉の棒を、零菜は眦に涙を浮かべながら見つめる。
パンパンと音を立てて零菜自ら腰を振る。
甘えるように綾瀬にしがみ付き、足を腰に絡ませて、
「あ、う、んむぁっ、はうっ、あはぁ♡ イイ、綾瀬君、好きっ♡」
キスをして、血を吸って、零菜は綾瀬に身体を捧げて何度も何度も絶頂する。
夢の中の零菜は綾瀬の恋人だ。
当然のように愛を育み、パソコンの画面の中でしか見たことのない行為に耽っている。零菜の意識はそんな自分を客観的に眺めている。夢だというのに、思うようにはいかないものだ。自分ではあっても自分ではない。脳が作り出した理想像であっても、意識が別の場所にあればそれはただの映像であり、他人事だ。零菜自身の経験には加算されない。零菜は夢が覚めるまで自分の中の淫らな欲望を眺め、見つめ続けることしかできなかった。