暁の堕姫~堕ちていく人妻~ 作:人妻大好き
時刻は午後九時を回り、太陽はすっかり水平線の彼方に消えている。もっとも、今日は台風であった。南国の暁の帝国は夏から秋にかけて悪天候に悩まされることが少なくない。沿岸部は塩分を含んだ大量の海水が巻き上げられて重大な塩害を引き起こす。科学技術最先端を行く暁の帝国であっても、自然災害の被害をゼロにするところまではできていないのが現状だ。
テレビを見ればちょうど綾瀬のいる地域がちょうど暴風域に入ったところで、予報円は国家全体をすっぽりと覆っている。がたがたと窓を揺らす風と雨は、徐々に強まっているようにも思えた。
「ごめんねー、押しかけちゃって」
「ん、まあ、別にいいけど」
にこやかに脱衣所から出てきたのは金髪の少女だった。綾瀬の一つ上の学年の幼馴染で、零菜の異母姉である萌葱だ。
アメジストのような深い紫の瞳が綾瀬を見つめている。
「急に来たから驚いた」
「あははー、ごめんごめん。あたしも想定外が重なっちゃってね。綾瀬君のマンションが近くて助かったよ」
「こんな時間に外をうろついてるのはどうかと思う。立場的にも」
「う……まあ、それは言い訳のしようがないっちゃない」
萌葱は第四真祖の娘だ。夜中に一人で外を出歩くというのは褒められたことではない。ただの女学生ではないのだ。特別な立場にいる吸血鬼だ。
「それで、なんで外にいたの? 台風だよ?」
「だからこそなんだよね」
冷蔵庫から缶ジュースを取り出した萌葱はプルタブを開けながら言う。
「だからこそ?」
「傘を試したくて」
「傘? あのぶっ壊れたヤツ?」
「そうそう」
「何かあんの?」
「本当は傘の下に雨風九十パーセントカットの力場を発生させるっていう最新科学の結晶だったんだよ」
「壊れてんじゃん」
玄関に放置された青い傘を綾瀬は見る。
見た目は普通の傘と変わらない。暴風を受けて見るも無残な姿になったのも、そこらのコンビニで売ってる傘の末路と変わるところがない。
「不良品を掴まされたかなって。最初はよかったんだけどさー、風で骨が折れた途端に力場が出なくなったんだよね」
「台風を想定した作りじゃないんじゃない?」
「風もカットするなら台風でも機能すると思うでしょ、普通」
「で、それを試したくて夜中に抜け出してきたってこと。浅葱さん、怒るんじゃない?」
「うちは今、空っぽ。雪菜さんもそうでしょ?」
「ああ、そういうこと」
テレビを見ると台風上陸に伴い暴風警報が発令されていることが分かる。
雪菜も浅葱も役所仕事だ。担当は違うが、こういう時には出勤することになっている。だから、萌葱も主不在の家を抜け出して夜遊びができたというわけだ。
「でも、危ないもんは危ない」
「何、心配してくれてるの?」
「そりゃ、するでしょ。当たり前に」
「そう? ありがと」
萌葱はジュースを口にしながら、ベッドに腰掛ける。濡れてしまった衣服は洗濯機の中だ。今は綾瀬のシャツとジャージのズボンを借りている。
「うーん、綾瀬君の服、結構大きいんだね。こんなんだったっけ?」
「そりゃ、そうでしょ。さすがに」
体格が同じくらいだったのは、小学生くらいまでだ。
今となっては頭二つは綾瀬のほうが背が高い。
女子の平均身長より少し高い程度の萌葱から見れば、綾瀬の服が身体に合わないのは当たり前だった。
「綾瀬君さ、さん付けじゃなくて、昔みたいにお姉ちゃんって呼んでよー」
「……じゃあ先輩で」
「急に距離感が出すぎて大ショック。泣きそうですねえ」
「だったら、せめてそのフリくらいしたら?」
泣きそうと言いつつ、萌葱はニヒルな笑みで口角を上げている。ベッド上で足を延ばして、大いにくつろいでいる。
「ていうか、萌葱さんはこの後どうすんの? タクシー呼ぶか魔法陣で零菜んとこに行くって手もあるけど」
「えー、暇だしなぁ。零菜も今日はいないでしょ、確か。いいじゃん、綾瀬君、今日は泊めてってよ」
「……いや、それはどうなの」
「零菜とほぼ一緒に住んでるような状況じゃん」
「それを言われると……」
年頃の男女が、と言い出したら零菜と同居している事実が出てくる。雪菜に引き取られて家族も同然というのなら、萌葱だって家族みたいなものだ。零菜と萌葱は異母姉妹だ。綾瀬とだって幼少期からずっと交流がある。
「それとも、お年頃の綾瀬君は幼馴染のお姉ちゃんを襲っちゃったりするのかなー?」
「しないっての」
にやにやしながらそんなことを聞いてくる。
質が悪いのは、本当に萌葱が本当に美人であるということと綾瀬が年頃の夢魔であるということだろう。これはかなり強烈な誘いであって、綾瀬は内心の不安やらなにやらを押し殺し、努めて表情を変えないようにする必要があった。
「……ふぅん。ま、いいや。彼女でもできた?」
「なんで?」
「どうなのかなって。綾瀬君、もてるでしょ?」
「もてないし、いないよ、彼女なんて」
「そう、へー、いないの。寂しい夏休みだねぇ」
「余計なお世話ですけど。萌葱さんだって似たようなもんでしょーが」
「あたしは立場があるし、素性の知れない男と関係持てないっての。別に彼氏いないからどうってわけでもないし」
萌葱は綾瀬の反撃を受けてむくれた。
立場の縛りもあって萌葱が表立って恋愛することはできない。禁止されているわけではないが、そういう雰囲気に萌葱となろうという男がそもそも現れないし、萌葱もそんな視線で同級生を見てきたわけではない。
萌葱のことは誰もが知っている。萌葱と恋愛関係になるというのはリスキーだ。いくら美人でもその背後に第四真祖がいるのでは、互いに二の足を踏むものだ。
「素性が知れてる相手なら、別枠かもだけど」
「そんなんいる? 周りに?」
「……さあ、どうだろね」
萌葱は視線をベッド上に置いたスマホに落とした。ストレッチをしながら、スマホを操作し始めた。意図的に綾瀬との会話を打ち切ったようでもある。
それから十分ほど後、突然、電気が消えた。
「あれ?」
と、綾瀬と萌葱は同時に蛍光灯を見上げる。
窓の外も真っ暗で何も見えない。
夜の十時前だ。いつもなら人工の明かりで夜空を染め上げる程度にはまだ明るい時間帯である。テレビも消えた。萌葱が弄るスマホの明かりだけが今は頼りだった。
「停電だね、珍しい」
「どんなもん?」
「ネットだと結構大規模みたいだね」
見渡す限りの暗闇。ここ数年見ることのなかった景色ではある。月明りも星明かりもないので、本当に真っ暗だ。
「綾瀬君、ラジオある?」
「うちにはない。零菜んとこも、確かなかったと思う」
「まあ、仕方ないか、それは……ろうそくは?」
「ない」
「まったく防災準備してないのね」
「普段、そこまで意識しないからな」
「スマホもあるけど、充電器ないからつけっぱってわけにもいかないし、そういえば、あたしの荷物に貰い物のアロマキャンドルがあったわ」
「なんでそんなのが?」
「おばあちゃんからもらったヤツ入れっぱなしにしてた」
そう言って萌葱は持ってきたハンドバッグから小さなアロマキャンドルを三つ取り出した。高さ五センチ程度の本当に小さなアロマキャンドルだ。
「これ使う?」
「ちょうどいいから使ってみるか。アロマキャンドルなんておしゃれなもん、うちで使ったことないな」
「そうなんだ。あたしもあんま焚かないな。これだってほったらかしにしてたわけだし」
包装紙を剥がして、テーブルの上に置いた。それにライターで火をつけた。キャンドルの優しい明かりは無機質な蛍光灯の明かりとは味わいが違う。小さく揺れる火は見ているだけで不思議と落ち着いてくる。
「なんかいい匂いがする」
「アロマキャンドルだからね。何の匂いかは、分からないけど」
「分からないのか」
「確認してなかった。包装紙は捨てちゃったし」
急な停電で何もすることがなくなってしまった。スマホを弄るというのも手ではあるが、そんな気にはならない。復旧がどれくらいかかるか分からないので、いっそのこと寝てしまうしかないのではないか。アロマキャンドルをもう少し楽しんでから、少し早いが今日は寝る。もうそれでいいように思う。
ちくりとした痛みで目を覚ます。
いつの間にか眠っていたのか。頭がぼうっとしてうまく働かない。身体がずっしりと重く、熱い。
「あ……ん……ん」
小さな声。くぐもった響きと小さな痛み、そしてぬるりとした感触が首にあった。
「萌葱さん?」
「ん……あ……あ、綾瀬君?」
綾瀬の身体の上に萌葱がいる。
萌葱は綾瀬にしがみ付いて、首に牙を突き立てていた。
「あれ……あたし、なんで綾瀬君の血、吸ってんだっけ?」
「俺に聞かれても、困るけど」
「ん、そっか……ごめん」
「別にいいけど」
そう言いながら、萌葱はどこか夢を見ているようだった。
綾瀬の首にもう一度噛みついた萌葱は、吸血鬼らしく血を啜る。瞳を真っ赤に染めて、綾瀬の背中を手で押さえつけている。
「はあ……ぁ……なんか、変。あたし、本当にどうして、こんなこと」
血を吸って魔力が身体に循環したことで、頭が一気に覚醒した。目を見開いていつの間にか綾瀬の首に噛みついていた自分に気が付いた。
萌葱は瞳の次に顔を真っ赤に染め上げた。
「萌葱さん?」
「ご、ごめんね、あたし、なんか、本当に変なことしちゃって……あの、あはは……迷惑だね、こんな」
(なんで、どうして、ホントにどうかしてる!? いつから吸ったの、初めてだったのに!?)
吸血鬼であっても相手がいない歴=年齢だ。吸血経験は皆無だったし、それなりに夢も見ていた。それが、自分でも意図しないうちにいつの間にか初めての吸血を終えていたのだ。それも弟も同然の幼馴染を相手にである。動転し、驚愕し、困惑する。頭が冷静ではいられなくて、思わず後ずさる。それから明かりに目が向いた。
(アロマキャンドル……まさか、あれの所為?)
萌葱の祖母がわざわざ萌葱にくれたアロマキャンドル。一流の科学者であり、少しマッドが入った祖母のことだ。そういう気分になる薬を調合していても不思議ではなかった。
「萌葱さん、なんか、くらくらする」
「あ、綾瀬君っ、ちょっと……んっ」
ぐい、と抱き寄せられた萌葱。抵抗する間もなく唇を奪われた。
(え……あれ……何、嘘……あたし、綾瀬君とキスしてる?)
あまりのことに頭が真っ白になった。
唇の柔らかい感触だけがそれが現実だと教えてくる。
「ん……ぁ……ふぅ……ん……んんっ」
萌葱は綾瀬からの強引な求めに抵抗ができなかった。
(離れないと……こんな形でキスなんて……綾瀬君だって迷惑、なのに……頭がぼうっとする……なんか気持ちイイ)
「ふむ……ん……ん……ぁ……ん……んちゅ……んん……ん」
とろんとした表情を浮かべて萌葱はキスを受け入れ始めた。
驚愕の次にやってきたのは説明できない安心感。このままでいい。むしろ続けたいとすら思える安息の気持ちだった。
「はあ……ん……綾瀬君、強引」
「ごめん……でも、止められなくて」
「気に、しないで。多分、あたしが悪いから」
「どういうこと……?」
「もっとしようってこと……だよ」
今度は萌葱からキスをした。
綾瀬の唇を啄むように軽く唇を押し当てる。
萌葱の唇が震える。柔らかく、愛らしく、そして緊張しているのが分かる。
「萌葱さん、舌出して」
「ん、ぁ……んんっ」
萌葱は言われた通りに舌を出した。萌葱の舌を綾瀬は吸い出して、絡め取った。
「ふぅんっ……ん……んぁ……れる……んんっ……ちゅぷ……れる……んはう……あ……ぁ……れろ」
(何、これ……あたし、綾瀬君とディープキスしてるの?)
「んっ、んっ、んんっ、あ……はあ……ふぐ……ちゅ……ん……れる……れろぉ……ちゅぷ……んはぁ♡」
(ダメだ、これ気持ちイイ……頭が蕩けてダメになりそう)
萌葱はすぐに綾瀬にすべてを委ねるようになった。自分からも舌を動かして綾瀬を求めた。拙い舌使いではあったが、綾瀬は萌葱の舌を受け入れてくれた。キスがどうこうではなく、この一体感が心地よかった。
生まれて初めての感覚。自分の口の中を他人に舐められるのがこんなにぞくぞくするとは思ってもみなかった。知識としてはあっても、この感覚はさすがに経験しなければ分からない。
「ん……あっ……はあ……はあ……はあ……ぁ……」
初めてのキスでディープキスまで行ってしまうというのはそうあることではないが、これもすべてはアロマの所為だ。
だから、仕方がない。どうしようもないのだ。身体が火照って、何もかもがどうでもよくなる。口づけですべての理性が溶け落ちてしまう。そんな感覚がした。
「萌葱さん……?」
「綾瀬君は、そのままじっとしてて」
萌葱は綾瀬の股間に手を伸ばした。
案の定、すっかり元気になっている。
「いつまでも年下にいいようにされてるわけにはいかないでしょ」
それは、自分に言い聞かせているようでもあって、萌葱は綾瀬のジャージのズボンを脱がせてペニスを取り出した。
「あ……まだ、なんだ」
ペニスは元気になってはいたが、よくて半勃ちといったところか。まだ先端が下を向いている。
「あ、あたしがちゃんとすっきりさせてあげるから」
萌葱は緊張に顔を強張らせながら綾瀬を見上げて言う。
力加減すら分からず、ペニスを握りながら手を上下させる。完全にAVの見様見真似である。上手いか下手かで言えば、下手だが、今の綾瀬はどうにも感じやすくなっている。それに、萌葱に手淫してもらえるというだけで興奮してしまう。
「あ、すご……大きくなってきた」
萌葱は目を見張った。右手で扱いているだけで綾瀬のペニスは瞬く間に膨らんで上を向いてくる。人体でここまではっきりと形状を変化させる部位は他にない。萌葱は自分にはない男特有の生理現象を興味深そうに眺めた。
「これが、男の人の匂い……はあ……我慢汁、出てきたし……感じてるんだ……」
手の中で脈打つペニスをしっかりと感じている。
この先、どう進めていいのかはっきりとしたことは分からない。しかし、すべては見様見真似だ。男子が喜びそうなことをしてみる以外にない。
「ん……舐めるよ、綾瀬君」
「萌葱さん……ぅっ」
「れろ……」
先端を萌葱は一舐めする。
滲み出る先走り液をちろりと舐め取った。苦みで顔を顰めながら、萌葱は止めることなく舌を動かし続ける。
「はむ、んちゅ……れろ……れろ……れろ……れろ……ちゅ……ちゅ……れろ……ん……ふぅ……れろぉ……れろぉ……ふむ、ふう……はあ……ん……れろぉ」
側面を啄んでみたり舌でぴちゃぴちゃと音を立てて舐めしゃぶる。
亀頭は重点的に舌を押し付けて、舌先で何度も愛撫を繰り返す。
「ちゅぷ……ちゅぷ……ちゅぷ……れろ……れろ……れろ……はあ、ん……れろ……どうかな、綾瀬君、んちゅ……れろ、うまく、できてる?」
「ん……うん、大丈夫」
「そっか、よかった……れろ……れろ……ちゅる……んむ、はあ……れろぉ♡」
萌葱は先端部分を手淫しながら、ペニスの根本に舌を這わせる。柔らかくざらつく舌の感触がくすぐったい。根本から舐めたり吸い付いたりを繰り返しながら先端まで萌葱は愛撫を続ける。裏筋を舌先で舐り、カリ首をゆったりと舐める。見よう見まねという割には堂に入ったフェラだ。
「あ、んむ……じゅるぅ……んちゅぷ……ちゅぷ……じゅる……ん、ふっ……じゅる……れるれる……じゅるる」
萌葱はペニスを咥えて頭を前後に揺らす。
ぬるぬるとした萌葱の口の中で口内粘膜に包まれる気持ちよさで腰が抜けそうだ。
「んむ……んむ……じゅる……じゅる……ん、んん……ふぅ、はあ……あむ……んん……ちゅぷ、ちゅぷ……じゅぷ……じゅるる」
根元まで咥え込むフェラ。
なまじ初めてなだけに大胆だ。
萌葱自身、様子見だったり創意工夫を凝らしたりする余裕はなかった。これでいいのかと不安になりつつ、知識にあるフェラチオをできる限り再現するようにしているのだ。
「萌葱、さん……そろそろ……」
「ん? あ……んちゅる……ぁ……じゃあ、する?」
涎でぬめるペニスは、十分以上に勃起して射精の時を今か今かと待ちわびている。口の中に射精してしまいたいという欲求を堪えた綾瀬は、コンドームをペニスに装着する。
「綾瀬君も男の子だね。そういうの、ちゃんと持ってるんだ」
「そりゃ、そうだよ」
「……もしかして、経験ある、とか」
「あるよ」
「え? あれ、でも彼女いないって」
「彼女はいないけど、経験はあるってこと」
「えぇ、なんかショック」
そう言いながら萌葱は綾瀬に跨る。
ペニスを握って、自分の秘所に宛がった。
「い、いくよ……」
萌葱は感触を確かめるように腰を下ろす。
「ふぅ……んっ……ぅ、ぅぅっ」
亀頭が膣口に飲み込まれ、そして萌葱との結合がより深くなっていく。
「んぃ……つっ」
びく、と萌葱が震える。
「萌葱さん、初めてなんじゃ」
「大丈夫、吸血鬼だし……こんな、ぃぅ……んん」
萌葱は深々とペニスを飲み込んだが動けない。破瓜の痛みが思った以上だったようで、涙目になっている。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫、だってば……こんなの平気だし……ん、ふう、ぅ」
破瓜の痛みといっても個人差がある。対して痛みを感じない人もいるし、とても強い痛みを感じる人もいる。萌葱の場合は痛みそのものは最初のうちは強かったが、すぐに治まったようだ。さすがに吸血鬼なだけあって、傷には強い。すぐに再生を開始する。
「ん、ホントにもう大丈夫になった。はあ、吸血鬼でよかった……これ、人だったらもっと痛かったのかな」
「さあ、俺に聞かれても。そもそも吸血鬼じゃないし」
おまけに目の前で本気で痛がられると、このまま続けていいものか悩む。綾瀬の相手はこれまで雪菜だけだ。すでに出産も経験した雪菜と処女だった萌葱とは感じ方がやはり違う。
「じゃあ、動くから。綾瀬君はそのままでいいからね」
萌葱は仰向けになる綾瀬を見下ろしながら言う。綾瀬の腰の上に跨ったまま、腰を上下させ始める。
「ふ――――ん……う……ぅ……ぅ……んん」
おっかなびっくりと言った様子で腰を動かす。
これが初めてのセックスになる。腰の動かし方はぎこちなくまだ慣れていない感じが如実に伝わってくる。
「はあ、んく……ん……ふう……はあ……はあ……ん、ん……ふう……こんな、感じ? ん、ふう、ぅん……ぅ……う……んん」
萌葱自身、これまでの行為で興奮していたらしい。膣内は愛液を滲ませていて、十分な潤いがあった。初めて受け入れる男のペニスにも関わらず、しっかりとしがみ付いてくる。
「く、ふう……ん……ん……ぅ……ぁ……んあ……はあ……はあ……くう……ぅ、んん」
萌葱は小さく声を漏らしながら身体を揺らす。
ペニスは萌葱が動くたびに扱かれて、嬉しい悲鳴を上げる。
「うく……萌葱さん、ヤバい」
「ん……ほんと? うまく、できてる?」
頷く綾瀬に萌葱は相好を崩す。
「んふふ……よかった。ま、当然だけど、ん、あたしの処女を上げたんだし……んく……はあ……ん……特別、なんだから……んぁ……くう……はあ……んんっ……はあ、はあ……んあっ」
萌葱が漏らす声も徐々に色づいてくる。
結合部の水音は徐々に大きくなり、ベッドの軋みもそれに比例して大きくなった。リズミカルにギシギシと音を立て、スプリングを軋ませる。
「あっ……あっ……あっ……んあっ……ふう……んふう……はあ、ぁ……あ……んん……これ、変な感じ」
「何が?」
「綾瀬君のがあたしの膣内に入ってるって、ん……なんか変だよ……自分の中に綾瀬君のを感じるのっ、ん、くう……はあ……ぅぅ……んぅ……ふうあ♡ はあ、あっ、あっ、んぁ♡」
弾みをつけて萌葱は上下運動を続ける。
膣肉で包み込んだペニスをできる限り気持ちよくする。男と繋がり、快楽を得て、一つになろうとしている感覚の心地よさは想像以上だった。
「はあ……あっ、んんぅ♡ はあ、はあ……んっ」
「萌葱さん、気持ちイイ」
「んっ、あっ。あたしも……イイ……はあう、ん、声、出ちゃう……ん……んっ、あ……ふぐっ!」
夢中で腰を振る萌葱を綾瀬が突き上げた。
突然の攻撃に萌葱は愕然とし、目を見開く。
「あ、綾瀬君っ、急に動いちゃ……んふっ、んあっ、あっ、や、ダメ……それ、んくう♡」
萌葱は唇をひきむすんで突き上げを堪える。
下から上への刺突から萌葱は逃れられない。体重をかけてそのすべてを受け止めざるを得ないのだ。
「萌葱さん、俺、このまま」
「あっ、ん、いい、よ……あたしも、そろそろ限界、んんっ」
萌葱の膣の締め付けは一段ときつくなる。
綾瀬のペニスは射精欲を促され、限界に限界を重ねていく。もとより我慢など必要ない。萌葱を突き上げ、射精する。それ以外に考えられなくなる。
「あっ、あっ、あっ、んあっ、あ、お、大きくなって……ふぐっ――――あっ!」
膣内で強い魔力と熱が迸った。
ゴム越しに感じる欲望の塊につられて萌葱もまたオーガズムを味わう。
「ひっ、んぃっ、あっ、んんんん♡」
びく、びく、と萌葱は痙攣する。
膣がきゅんきゅんする。
コンドームが邪魔に思えた。綾瀬の精を生で味わいたいとすら思う。これが噂に聞く夢魔の魔力なのか、それとも綾瀬という個人の魅力なのか分からない。
「あ……はあ、はあ、ん、ふうぁぁ……」
萌葱はうっとりとした表情でペニスを抜いた。ゴムにたっぷりと溜まった精液を見て生唾を飲む。
(これつけてなかったら、この精液が全部あたしの膣内に入ってたんだ)
初めて見る生の精液。そして、その臭いに萌葱はドキドキした。
ふと、顔を上げる。
コンドームから目を離し、綾瀬を見るといつの間にか手早く二回戦の準備をしていた。
「え? あれ? 綾瀬君、なんでまたゴム着けてるの? ていうか、今射精したよね?」
「ん? そりゃ、俺は夢魔だから一回じゃ収まらないよ」
当たり前のように二回目に突入しようとする綾瀬に萌葱は驚愕する。一度射精すれば、ペニスは萎えるものだとばかり思っていたが、綾瀬が夢魔だということを失念していた。その精力の強さは萌葱の想像以上だった。
「あ、待って……このまま?」
「うん、一回や二回で満足できないし、萌葱さんから誘ってきたんだし」
「そうだけど、あたしも今はイッたばかりだし……んあっ」
綾瀬は衝動のままに萌葱を押し倒した。
「綾瀬君、ちょっと……ん」
綾瀬のペニスは一度も射精していないかのように勃起している。それが、萌葱の膣口に擦り付けられている。
「姉さん、このまましたい」
「こんな時ばっかりそんな呼び方……ん、ふう、ぁ……でも、収まらないなら、仕方ないよね」
萌葱も心拍数が上昇していくのを感じている。
綾瀬に押し倒されてぞくぞくしている。姉と呼ばれたことで、思わず相好が崩れた。ペニスの先端が膣口に当たっている。それに、萌葱は自分から膣口を擦り付けてしまう。
「挿入するよ」
「ん……は……あっ!」
二度目ともなると挿入はスムーズだった。オーガズムを味わったばかりの萌葱の膣内は愛液に濡れたままでぬるぬるしている。あっさりと奥まで侵入したペニスは、変わらぬ締め付けをしてくる膣肉の圧力にすぐに射精してしまいそうになる。
「ふぅ、ん……はあ、姉さん、これ気持ちイイよ」
「あっ、だから、その呼び方……ふう……んあ……ダメ、だって……ん、ふぁあ♡」
綾瀬が腰を振り始めると、萌葱は堪らず嬌声を漏らした。
「んく……ぁ……大、きい……っ、あ、ふうあ、一回、射精してるのに、これって、ん、ふうぁ♡ あ、んく、っふ、んあっ」
綾瀬がストロークが大きくなっていく。ずるりと膣から抜かれるペニス。それがすぐに抉るように最奥まで入ってくる。
決して早いピストンではない。
しかし、確実に萌葱の感じるところを狙ってきている。
「ふぐ……ん、く……ふう……あ……んくうっ……あ、んあ、う……あ……くう、はあ、あっ!」
ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ、と瑞々しい音が響く。
愛液があふれ出て泡立っている。
ペニスが抜かれるとカリが襞に引っかかって腰が跳ね上がりそうな快感を味わう。その直後にポルチオまで押し込まれるペニスの圧迫感に息が詰まりそうになる。
「あふん、んふ、はひゃっ……ん、あ……や、あ……いぁああ♡」
がつん、と膣奥に亀頭が当たる。
衝撃は頭まで駆け抜けて、萌葱の理性を犯していく。
「はひっ、んひっ、ひぃ、あっ、あ、あ、あ、あ、んあっ、あ、すご、ひっ、イイっ、これ、あひっ、そんな、ずんずん、するのナシっ、あ、はひゃあっ!?」
(ヤバい、これ、頭に響く。綾瀬君の感じすぎて、変になるっ、お腹の奥までいっぱいになって、飛ぶ)
萌葱の中に危機感が膨れ上がっていく。
それを知ってか知らずか、綾瀬は焦らすように入口ばかりを浅く突き始める。一番感じるポルチオをお預けされながらも快感だけはじわじわと注ぎ込まれる状況に萌葱は気が狂いそうになる。
「それ、ず、ずるい、あ、あ、んなっ……く……んんっ! あ、ん、ふあっ、あくっ、ぐうう♡」
奥歯を噛み締めて快楽を堪える萌葱。
しかし、綾瀬のテクニックは萌葱の我慢を凌駕する。
(頭が変になる。こんな、焦らされるなんて……綾瀬君、どうしてこんなに上手なのっ……これじゃ、あたし)
「奥までちょっと突くよ」
「へふっ、んひゃああっ♡ あ、それ、イイっ♡」
(あっ……あたし、今っ)
思わず口走った言葉に萌葱は驚き、そして口をつぐむ。
一瞬、頭が真っ白になり、我慢も何もなくなり、そして悦楽に染まった声を発してしまった。
「あふ、ふぅ、んあっ、あ、あ、ああ――――んあ、くぅ♡ はあ、はあ、はあ、や、ダメ、これ以上、ダメ、綾瀬君、んん、ふむぅ、あひ、ぃああっ」
「萌葱姉さん、今、イッた?」
「い、イって、ない……はあ、はあ」
「そう? 膣内、すごく痙攣しているし、気持ちよさそうだけど」
「違うからっ、とにかくあたしは違うんだから」
そう言いながら、萌葱は体勢を変えようとする。あわよくば休憩し、呼吸を整えようとしているのだろう。それを察した綾瀬は、萌葱の行動を邪魔しなかった。その代わり、萌葱が四つん這いになったところで後ろに回り、バックから強引に挿入した。
「あ――――ひあっ! 綾瀬君、いきなりっ」
「まだ終わってないから」
「それはそうだけど、ん、ふうあっ、ちょっと休ませて」
「萌葱姉さん、イッてないなら休みいらないでしょ」
「それはっ、あ、んあああああああ♡」
ずぶりと膣奥を貫かれる。焦らされた挙句に強引にイカされた直後だ。感度が高まっていて、この一刺しだけでイッてしまった。
「あっ、あっ、ああ……」
(入れられただけで、イッた? 嘘、あたしの身体、ヤバい……!)
「ひ――――あっ、あやせ、君……まっへ……らめ、今、動くのホントに、あふあっ、んへあああ♡ やあ、め、んあ、ひぃあ♡」
がくん、と萌葱が崩れ落ちる。ゆさゆさと前後に揺さぶられながら、綾瀬のなすがままに膣内を犯され続ける。
(こんな、綾瀬君のいいように、なんて……あたしが年上なのにっ)
「はっ、はっ、はっ、ふぐっ、あっ、あ、ぃ、ぃぎっ、んあ゛あ゛っ」
後ろから尻肉を掴まれてペニスを打ち込まれる。膣肉が絶叫を上げ、抵抗しようにも打ち砕かれる。萌葱の膣は綾瀬のペニスに奉仕するだけの肉穴となったかのようで、萌葱は与えられる快楽に咽びなくことしかできていない。
「は、ぐ、んふう……んあ、くう……ひう……ああっ、んあ、んあ、んあ、ん、ぐう、はあ……んん」
(こんなのは絶対ダメ、何とか主導権を取り返さないと。あたしがしてあげるんだから。あたしが、綾瀬君をイカせるんだからっ、だから、絶対こんな、一方的になんて、ダメなんだから)
歯を食いしばり快楽に抗う。
綾瀬のペニスも萌葱の膣内に入って快楽を得ている。そう何度も射精できるものではないのだ。綾瀬だって我慢しているはずだ。
弟分に初めてのセックスでイカされまくるわけにはいかない。萌葱は唇を噛み締めて反撃の機会を窺う。
「ひぃ、んあ、はひゃあ♡」
バックから犯され、絶叫し、絶頂し、オーガズムを延々を繰り返させられた萌葱の表情はすっかり蕩け落ちていた。
結論を言えば反撃の機会は訪れなかった。萌葱の想像以上に夢魔の性欲は強烈で、若さに任せた精力と本能的に探り当てた萌葱の弱点を突き続けてきた。萌葱は我慢に我慢を重ねていたが、それゆえにダムが決壊したように理性をかなぐり捨てる結果となった。
「あっ、あっ、あっ、ひうっ、あはっ、イイ、気持ちイイっ……んはっ、あっ、綾瀬君、んあ、くう、はあぁ♡」
うっとりとしながら、萌葱は自ら綾瀬を求めて腰を振る。
絶頂した回数は覚えていない。
この時点で使いつぶしたコンドームは七つだ。まだまだペニスは固いままで萌葱は綾瀬に向き合って対面座位の体位で腰をくねらせる。
冷房の止まった真夏の夜、部屋の中は蒸し暑く二人とも汗だくになっていた。それでも、シャワーにも向かわず、ただ結合を続ける。
「ふう、ふう、ふうっ、はあ、あふっ、あ、あ、あ、んあっ、ひう、ああ、うっ、綾瀬君の、まだまだ大きい……ん、くふっ、はあっ」
「俺、全然いけそう」
「あ、たしは、さっきからイッてばかりで、ん、へふっ、あ、んあ、気持ち、イイ……んあ、ん、ちゅ」
萌葱は密着したまま綾瀬にキスを強請る。舌を伸ばして闇雲に綾瀬の唇を舐め、吸い付いてくる。首に手を回し、さらに深いつながりを求めた。
「ふは、んちゅ……れる……んあ、れろれろれろ……ちゅぷ……ん、はう、はあ、はあ……ぁ……はあ」
萌葱は汗を流しながら腰を打ち付ける。
「はあ、んあ……ふう……ん……ぁ……あうん♡ はあ、はあ、んく、ふう、はあ……」
「姉さん、激しい」
「だって、気持ちイイんだもん、綾瀬君が、あふ、ん、あたしの弟なのに、こんなにイイの持ってるのが悪いんだからっ」
「く……さっきまで処女だったのに、姉さんもこういうの結構好きなんだね」
「ん、あっ、そうかも……んっ、はあ、はあ、弟チンポにイカされるの、好き、はふっ」
ずん、という衝撃が膣から子宮まで届く。萌葱は嬉しそうに笑みを浮かべて悦楽に酔いしれる。
(本当にさっきまで処女だったのに、あたし、綾瀬君にイカされるの気持ちよすぎて……エッチ、忘れられなくなっちゃったじゃない)
「はふ、んちゅ……れる……れる……んはぁ♡ はあ、はあ、んあ、あ、またイク、ん、あ……い、くう♡」
ガクガク震える萌葱。
絶頂の予感に綾瀬のペニスも興奮を隠しきれない。
「う、くっ」
先に我慢できなくなったのはペニスだった。射精し、魔力を放出する。それに触発されて萌葱もまた火山の噴火のように強烈な快感に身を焦がす。
「イグっ、イクイクイク、また、い、ひいいいいあああああああああ♡」
綾瀬の身体にしがみ付いて萌葱は絶頂する。びくびくと射精で震えるペニスの感触を膣内で味わいながら、綾瀬の魔力に身体を汚染されるのを実感しながら、萌葱はうっとりとした表情で綾瀬の肩に顎を乗せて法悦に浸る。
気持ちイイ。
萌葱の頭にあるのはただそれだけだった。
綾瀬に征服されるのが、今までで一番の快感だった。
もう忘れられない。萌葱の膣が綾瀬のペニスを完全に覚え込まされた。その実感が萌葱の中で膨らんでいた。
「はあ、あく……ん、れる……ちゅ」
体力を使い果たして、それでも萌葱は結合を解かない。綾瀬の首やら唇やらにキスをして、舌を這わせて、さらに深く長い繋がりを求めて密着する。
綾瀬はそんな「姉」に興奮しペニスを固くしつつ、華奢な身体をしっかりと抱きしめた。
結局、二人は欲望の赴くままに日が昇るまで繋がり続けたのだった。