暁の堕姫~堕ちていく人妻~ 作:人妻大好き
雪菜の夫は、暁の帝国を統べる第四真祖。世界最強の吸血鬼で、この太平洋上に浮かぶ巨大な人工島からなる国家の頂点に君臨する存在だ。
雪菜はそんな第四真祖と学生時代からの付き合いがあり、多くの困難を一緒に乗り越えてきた第一の相棒だと自負している。
とりわけ、建国前後の一年は特に忙しかった。雪菜は当時中学生だった。まだ、暁の帝国が絃神島という名で、日本の領土だった頃だ。伝説だった第四真祖の存在が確認され、その監視役として送り込まれたのがそもそもの始まりだが、第四真祖の力があるというだけの高校生だった古城が、何故か毎回毎回事件に巻き込まれ、引き摺られる形で雪菜も一緒に降りかかる火の粉を振り払う日々だった。
あの頃は楽しかった。仕事上の責任もあるにはあるが、所詮は子どもだ。今とは比較にならないくらい肩の荷は軽かったし、純粋に古城を好きでいられた。
古城と結婚して、血の従者となり、子宝にも恵まれた。
傍から見れば、勝ち組の一人ではあるのだろう。
第四真祖と結ばれて、永遠の若さを手にしたのだ。経済的にも恵まれているし、夫からの束縛もほとんどないときた。
世の母親からすれば、羨ましい事この上ないのだろう。
けれど、それぞれの家庭には、それぞれの事情がある。
古城は父としては、零菜をきちんと気にかけてくれる。優しいし、家族思いだ。だが、一人の女としては、気が重い相手でもあった。
多くの女性の好意を集め、ハーレムを築いている。高位の吸血鬼は、強力な血の従者を侍らせることで、権威と軍事力を高めているので、これも仕方のないことだ。国家と古城のために、雪菜は容認せざるを得ない。だが、それによって雪菜の妻としての役割は、ほとんどなくなってしまった。古城と愛を育むことも、衝突することもめっきり減って、母としての機能だけが家庭に取り残されてしまった。
もう女としての雪菜は、必要とされていないのではないかとすら思える。
長く連れ添った夫婦は、よきパートナーではあっても性欲の対象ではなくなるというが、雪菜は血の従者となったことで、肉体的には二十代前半のままなのだ。
当然、性欲もその年代のまま維持されている。古城は他所で発散できても、雪菜は古城が相手をしてくれなければ、処理する機会がない。
この日、古城は久しぶりに雪菜のところに帰ってきた。
期待をしてはいたのだが、古城は雪菜と情を交わすことなく眠ってしまった。よほど疲れているのだろう。ちょっと揺すってみたが、目を覚ますことはなかった。明日の朝も早くに起きて、仕事に行ってしまう。
一緒のベッドで寝ているというのに、体温も吐息もそこにあるのに、触れる事すら憚られてしまうくらいに、夫は遠い存在になっていた。
愛している、という気持ちに変わりはないが、昔のように彼に求めることができなかった。大人になって、色々な事情を容認し、やむを得ないと不満を飲み込む癖がついたからだ。強引にセックスを強請るような歳でもないと、諦めてしまえるだけの事情が雪菜にもあった。
もう雪菜は、妻というよりも母であった。求められる役割が、二十年の間に変わってしまったのだ。かつて、雪菜が担っていた役割は、別の女性が担当している。
権力者からの寵愛の変遷は、どこの国、いつの時代でもありふれたものだ。長く生きる吸血鬼だからこそ、この役割の変化からは逃れられない。
それが、雪菜の望むものではなったとしてもだ。
☆
三十余年を生きて、肉体は二十代前半の瑞々しさをそのままに残す雪菜は、当然ながら性欲も若いままを維持している。
その上で精神的な疲労や不満は溜まる一方なのだから、身体を持て余すのも仕方がない。
これまでは、意識してこなかった。発散する術を知らなかったからだ。真面目に生きてきすぎた雪菜には、遊び心もなかったし、進んで性的な話題を斬り捨てていたので気にかけることもなかった。
けれど、この数ヶ月で雪菜の内面は人知れず変わった。
自分の中に蓄積している性欲を自覚した。そして、夫が自分の有り余った性欲を満たしてくれないと分かってしまうと同時に、その代替手段を見つけてしまった。
仕事や家事、育児に疲れたとき、雪菜はふと綾瀬の店を思い浮かべてしまうようになった。
限所、雪菜のありのままを受け入れてくれる唯一の場所だった。
雪菜すら知らない秘密を掘り当て、新しい世界を見せてくれる場所でもあった。
アナルで絶頂する等という体験を他のどこでさせてもらえるというのか。いやらしく、恥ずかしいことだが、相手はビジネスライクで付き合ってくれるし、他所に知られることもないという点で気楽だ。
むくむくと膨れ上がる性欲を処理する上で、こんなにうってつけの場所もない。
残業上がりの雪菜は、この日も綾瀬の店を訪ねた。
二日前に予約を入れて、ちょっと早目に店にやって来た。
「いらっしゃいませ」
「はい。また、お願いします」
雪菜は会釈して前金を払う。
この店に来て、サービスを受けることへの抵抗感は大分薄れていた。
あらかた見られたり、触れられたりして恥ずかしい場所は、だいたい綾瀬に触れられたからだろう。前回、アナルまで弄られたことで、むしろ吹っ切れたのだろうか。今となっては、この店でサービスを受けることを心待ちにしてしまう自分に雪菜は驚いているくらいだった。
「本日も、マニアックコースですね」
「はい」
すっかり慣れた様子で雪菜はいつものコースを選ぶ。
メニューに目を通して、オプションを選択するのも自然にできるようになった。
いかがわしいお店であることは百も承知。しかし、別に犯罪に手を染めているわけでもないし、自分の時間を自由に使っているだけだ。誰に強制されたものでもなく、止めようと思えばいつでも止められる。ただ、今通うのを止める理由もなかった。
スライム風呂――――は、さすがに刺激が強すぎたので、遠慮する。今日は普通にローターとバイブをとりあえず選択した。時間内ならオプションの追加ができるのも、この店の特徴だった。
「今日は、ちょっと長めにできるんですよね」
と、雪菜は聞いた。
最も短いコースは七十分。夜遅くに利用している雪菜は、延長した前回を除き、最短を選んでいた。しかし、今日はサービスデイ。この店では、毎月5のつく日は、二十分の無料延長ができるのだ。さらに、雪菜は五回目の利用ということで、特別オプションがつく。
「こちらが、五回に一度のサービスとなります、特性のハーブティーです」
「ありがとうございます」
雪菜は、一口サイズの小さなカップに注がれたハーブティーを受け取った。
この店は五回に一度、このハーブティーが振る舞われる。ただのハーブティーではなく、媚薬成分を含んだ特性のハーブティーだという。
カモミールを中心にした不安を和らげる優しい香りが特徴だ。
綾瀬は夢魔の一種で、能力的にも精神に作用するハーブの取り扱いは得意分野だった。
後に尾を引かない程度の軽い性的興奮を引き出しつつ、不安感を取り除くのが、このハーブティーの性質だった。
雪菜は香りを楽しみながらも、ハーブティーを一口で飲んだ。
清涼感のある爽やかな味わいが、疲れた身体にひんやりと染み渡る。
夢魔の綾瀬がブレンドしたものなので、多少なりとも効果があるだろうと思いながら雪菜はシャワーを浴びて、準備を整える。
この日は、まずは玩具で愛撫されることにした。男性と違って、女性はじっくりと性感を高めていかなければ本当の意味で欲情しないものだ。
ベッドの上で、二人は密着する。綾瀬は股の間に雪菜を座らせて、背後から抱きしめる姿勢を取った。膝を立てて、雪菜の逃げ道を塞ぐようにした上で、二つのローターで性感を高めていく。
ヴヴヴヴヴ、とローターが振るえる。
乳首を舐め回すように、ローターが責めてくる。
「はあ……ん……はあ……ん、ぁ……はぁ……」
深く呼吸して雪菜はローターによるマッサージに感じ入る。
綾瀬の両膝に手を置いて、背中を完全に綾瀬に預けて、目を瞑る。
時折、身体がぴくりと反応し、小さく声を挙げた。
「ふ、ぅ……ぁ…………ん…………ぅ、ん……はあぁ…………は、ぁ。ん、あん……」
ローターの音が室内に響く中、雪菜は乳首に与えられる快感に酔うように深呼吸する。
気持ちよくてくすぐったい。
乳首だけでイクのは難しいが、身体のスイッチを入れる導入としてはこの上ない性感帯だ。
ローターのソフトタッチが、雪菜の血流を促進する。
アンダーバストの表面を滑り、焦らすように乳首に触れる。気持ちがいいのは確かだが、刺激が足りない。もっと欲しいというところで、ぐっと押し込まれるようにローターが乳首にめり込む。これが、気持ちイイ。堪らない。
「はうっ、ん、んんぅ……! んはっ、あっ、あぅっ!」
思わず甲高い声を出してしまうくらいには、雪菜の乳首は開発されていた。
「あっ……あ、あっ……ん……ぅ、ぁ、ぁぁ……あっ……ん、ぅ」
自分の意思に関係なく反応してしまう筋肉を、雪菜は押さえ込みながら、ゆったりと熱を帯びて、鋭敏になっていく身体を実感していた。
(おっぱいだけで、もう出来上がっちゃってる。あそこにも、ローターで触って欲しい)
性欲が昂ぶってきて、身体の準備は万端なのに、胸ばかり愛撫されているものだから股座が寂しくて仕方がない。
始まってからさほど時間も経っていないし、直接触られてもいないのに、雪菜の秘所はすでに湿り気を帯びていた。
「ふぅー、ん、ふぅー、ん、は、は、あっ……ん、はあー、ふぅ、あ、あ、ふぐっ」
ローターの休みのない責めに雪菜はもぞもぞと太ももをすり合わせた。
乳首ばかり責められる最中に、秘所を自分で弄ってしまいたいという衝動に襲われる。
(綾瀬さんも、段取りを考えてくれているのかもしれないけど、でも……っ)
触りたい。
触って、指を押し込んで、目茶苦茶にかき回したい。とにかくオナニーしたい。
綾瀬にはもう自慰を見られている。これだけ曝け出した相手なのだ。彼の腕の中で自慰に耽っても、今更軽蔑はされないだろう。そんな考えが雪菜の脳裏に浮かんでは消える。
「ふ、ぐ……ん、ふぅ、ん、あ! ん、んぐ、ぅ……ふぅー、ふぅー、ふ、あ、あ、ん、ふぅ……」
もしかしたら、ハーブティーが効き始めたのかもしれないが、もうどうでもいい。
雪菜はなけなしの理性を振り絞って奥歯を噛み締める。
とはいえ、これも形だけの抵抗だ。
早くイキたいという気持ちと、まだイクのは早いという気持ちで葛藤しているだけなのだ。
そうして、絶頂を堪える雪菜を尻目に、綾瀬はローターをバイブに持ち換える。
「ふぁぅ……はあ、はあ……んく……」
雪菜は期待感を込めて、そのバイブの行き先を見守る。
スイッチの入ったバイブが、太ももからゆっくりと鼠径部をなぞっていく。
発情しすぎてぱっくりと開き、愛液を垂れ流す秘所にその先端が触れる。
ヴィヴィヴィヴィッ……と鈍い音が響く。
「ふぃっ……あっ!!」
雪菜はぎゅっと綾瀬の太ももの辺りを掴み、身体を硬直させる。
小陰唇を震動させられた雪菜はガクガクと震えてしまう。
「どうですか? 小陰唇をこうして広げて……クリトリスを弄られると」
「あぁ……ん、んんっ……それ、イイです……ふ、ん……ん、気持ちイイ……あっ。イッてしまいそうです。ん、ふぁ……んん」
「思う存分、果てていいですよ」
「んぅ、あっ……んん、ふぅ、ひぐっ……あぁ……あ、んぅ……あ、ふぅ……はあ、はあ、んんっ……」
深い呼吸をしながら、与えられる快楽を享受する雪菜。
バイブの先端が小陰唇を円を描きながら動き回り、膣口をつついている。
(膣内に欲しい。もっと、深く挿入してください……)
内心、じれったく思う。
すぐにでもバイブを押し込んで、内側から気持ちよくして欲しかった。
だが綾瀬はバイブをすぐには挿入してくれない。
先端だけを膣口に入れて、浅いところを刺激してから、クリトリスを刺激する。それも気持ちイイのは確かだが、膣の深いところが焦れて焦れて仕方がないのだ。
十二分に膣内が解れたと判断したのか、綾瀬がバイブをぐりぐりと捻りながら膣内に挿入してくる。
「ふひっ! あ、あぁんっ! んぉぉ! バイブ……膣内に! は、は、はっ……ん、ビリビリしてますっ! はっ、くひぅ……んんんんっ! ひぃ、ふぐっ!!」
散々に焦らされたから、雪菜の膣内は絶叫を上げてバイブを歓迎した。
膣の内壁が絞り込むようにバイブに絡みつき、そのすべてが震動で快楽を叩き込まれる。鍛えられた雪菜の下半身がしっかりとバイブに喰らい付く。喰らいつけば喰らい付くほど、バイブとの密着度が上がりより強力な快感が雪菜に与えられる。
膣肉の動きは不随意だ。雪菜の意思で制御できるものではない。
「んぃぃぃぃいいぃぃいッ!!」
喉を震わせて、雪菜は絶頂を迎える。
まだイキたくなかったのに、イってしまった。
引き抜かれるバイブが、雪菜の愛液で濡れそぼっていた。
イッた後の膣口を、綾瀬が慈しむようにマッサージしてくれる。強い刺激ではないが、腰が蕩けてしまいそうで、雪菜は身を預けた。
綾瀬は雪菜の首元に顔を埋め、肩にキスをして、うなじを舐める。耳たぶを舌で弾き、首筋を甘噛みする。
「はあ、あん……ぅ、ふぅ……」
軽いスキンシップから雪菜の全身を解していく。気分を高めていくことで、より感じやすい身体に仕上げていくのだ。
綾瀬は雪菜の口元に手を回して、唇に触れる。ぷりぷりとした感触の柔らかい唇は、日頃からケアしているのか荒れた様子はまったくない瑞々しさだった。
綾瀬は体位を変えて、雪菜と並んで座り直した。雪菜は綾瀬の肩に体重を預けるようにして横に座ることになる。
未だ、快感の波が引かない雪菜の頤を上げて、その顔を覗き込む。発情しきった表情がなんとも艶めかしい。親指で唇をなぞるとくすぐったそうにする。
「綾瀬さん……」
綾瀬の顔が近付いてくる。雪菜は、綾瀬の唇に視線が釘付けになって離せない。ほんの数センチ先に、綾瀬の唇があって、軽く背伸びをすればキスができる。雪菜はつい自分から口付けてしまった。
「キスは、よろしいのですか?」
「あ……その、少しだけなら」
視線を落とす雪菜の頤を、もう一度挙げる綾瀬は、触れるだけのキスをする。
「ん……」
雪菜の瑞々しい唇は、綾瀬の唇に張り付くように吸い付いてくる。
綾瀬は雪菜の唇を包み込むようにキスをする。
「ん、ふぅ……ぁ……ん」
雪菜の下唇を舌先で舐め、キスをしてから今度は上唇を舐める。
ちゅ、ちゅ……と、小さくキスの音がする。
綾瀬は雪菜の肩を抱き寄せて、より強く唇を押し付ける。
「ん――――ぅ……ん」
雪菜の唇の間を舌先でチロチロと舐める。その動きに合わせて、雪菜は小さく口を開けるが、すぐに口内には入らない。
まずは下唇の内側を軽く舐め、歯の表面を舌先でつつく。
(これ、絶対ダメだって思ってたのに)
そんなことを思いながら、雪菜は綾瀬の舌を自分の舌で迎えに行く。
舌先が軽く触れ合い、雪菜の口内でおずおずと舐め合う。
舌と舌が触れ合った瞬間に、電流のような感覚が雪菜の背筋を走った。
(なんだか気持ちイイ)
頭がぼうっとして、考えが纏らなくなる。
綾瀬の舌が雪菜の口の中に深く入り込んでくるのを、抵抗なく受け入れて、大きく口を開けて自分から舌を絡み付かせる。
「はふ、あ、あぁ……えろ、れろ……れろ……ぁ、あ……はふ、れちゅ……」
歯茎から上顎、舌の付け根まで綾瀬の舌が満遍なく雪菜の口内を舐め、刺激してくる。それをうっとりとした表情で雪菜は受け入れる。
ざらつく舌の表面で、綾瀬の舌の裏側を舐めて、もっと深くキスができるように唇を吸った。
「ちゅ、ん……ちゅぷ……れろぉ……はあ、あ、ん……ちゅ、れちゅ、んっんん……じゅる……あむ、ん、あぁ……ちゅぷ、れろ、ちゅぅ」
一度受け入れると、後はなし崩し的になってしまう。
雪菜は綾瀬の膝に手を乗せて体重をかけて、自分からキスをせがむように背伸びをする。綾瀬の舌と唇を貪るように吸い付いて、舌と舌をいやらしく絡ませ合う。
口の周りはすぐに涎でべとべとに汚れていくのに、それすらも気持ちよく思えてしまう。
唇を離すと、雪菜は名残惜しそうに舌先で綾瀬の口を舐めた。
「ずいぶんと情熱的にキスをするんですね」
「あ……ぁの、これは、久しぶりでしたから……」
唇を許すだけでなく、ディープキスまでしてしまった。蕩けるような甘い感触に、雪菜は耐えられなかった。
(ごめんなさい)
と、誰にともなく謝罪する雪菜。
しかし、思考とは裏腹に身体はさらなる刺激を求めてしまっている。
視線を下に向けると、綾瀬の水着が膨らんでいる。
勃起しているのだ。雪菜とのプレイの中で、綾瀬は確かに感じている。
(わたしで、感じてくれてるんですね……)
むくむくと膨らんでくる女の部分。
ここにある雄に、触れてみたいと思った。
「綾瀬さん。また、大きくなってますね……」
「お恥ずかしい。ですが、雪さんのような美しい女性が相手ですとどうしても。こればかりは男の本能なものでして」
「恥ずかしいだなんて、そんな……わたしだって似たようなものですし」
いつの間にか心拍数が上がって、ドキドキしている。
目がそこから離せなくて、生唾を飲む。
「綾瀬さん……その、無料オプション。わたしだけ、いつもしてもらうのも悪いですし……」
と、雪菜は顔を真っ赤にしながら呟く。
雪菜が追加したのは、手淫のオプションだ。
これを女性向けの店でこれをオプションにつけているのは、責めたい女性が世の中にいるからだ。当初はなかったが、客からの要望で導入したオプションだった。
オプションを追加したことで、綾瀬は水着を脱いだ。
露になるのは、すでに勃起してはち切れそうになっているペニスだ。
「すごい、ですね。こんなに……固くなって」
寝転がる綾瀬の股座に雪菜はいる。ガチガチに固まったペニスを柔らかい手で恐る恐る握った。
(すごく熱くて、固い……こんなのだったっけ)
ペニスなど、もう何年も直で見ていないし触れてもいない。最後にこれを秘所に入れたのは何年前のことだったか。
かつて夫にしたように、雪菜は手淫を始めた。右手でしっかりとペニスの棹を握って、上下に動かす。すべすべした雪菜の手による刺激が、性感の高まった綾瀬のペニスをさらに昂ぶらせていく。
勃起したペニスのグロテスクな見た目。反った棹に、大きな亀頭。エラはしっかりと張っていて、それこそ大きな茸のようだ。
(男の人の身体ってやっぱり不思議……あ、ちょっと出てきた)
先端から先走り液が滲み出てきた。
しっかりと雪菜の手淫で感じている証だった。
雪菜は右手で棹を扱きながら、左手の人差し指で尿道口をくりくりと弄る。ぬめる先走り液が指先を濡らす。
「ん……雪さん。お上手ですね」
「ありがとうございます……でも、本当に久しぶりなので、ダメなときは言ってください」
「まったくダメなところなんてありませんよ」
今まで、たくさんの女性とこういうことをしてきた綾瀬の言葉なので、真に受けはしないが、それでも上手だと言われて悪い気はしない。
先走り汁の量が増えて、亀頭から零れそうになっている。
臭いも増してきた。栗の花とか、イカの臭いとか言われる独特な香りだ。これが、鼻先で香っている。
(この臭いも懐かしい……全然、嫌じゃない)
昔覚えて杵柄なのか、それとも綾瀬にたっぷりとイカせてもらったからなのか、雪菜はペニスから漂う臭いに嫌悪感を抱かなかった。
むしろ、久しぶりに嗅いだ雄の臭いに下腹部がきゅんきゅんしてくる。
(すごく立派で……もしも、これが挿入されたら、なんて……)
馬鹿な事を考えてしまう。
目の前でそそり立つ雄は、雪菜の雌を求めている。きっとすぐにでも挿入して、雪菜の膣内に子種を撒き散らしたいに違いない。
酷い臭いの先走り液が雪菜の手を汚している。ねちゅねちゅと音を立てて、亀頭を手の平で包み込み、優しく扱く。
先走り液だけだと潤滑油が足りないと思った雪菜は、亀頭に涎を垂らして水気を追加する。
先走り液と涎をペニスに刷り込むように愛撫していくと、ペニス全体から水気を帯びたいやらしい音がするようになる。
すべりがよくなって、優しい刺激にペニスが包まれていく感覚が気持ちよく、綾瀬は腰が抜けそうだった。
「綾瀬さん……手だけだと、寂しいですよね」
雪菜は生唾を飲んで、舌を出した。
涎を乗せた舌先で、チロチロと裏筋を愛撫した。
「雪さん、そこまで」
「だめ、ですか?」
「いいえ。私はむしろ喜ばしいと思います」
「……そうですか」
雪菜はふっと笑みを浮かべて、手淫しながらフェラを始めた。至近距離で嗅ぐペニスの臭いにくらくらしながら、棹の裏側をペロペロと舐め、舌をカリ首に絡み付かせ、亀頭をぐるりと舐める。垂れていた先走り液を舐め取って、代わりに涎を塗布する。
「苦い……ん、れろぉ……ペロペロ……この味も久しぶりれふ……あぁむ……ちゅ」
雪菜は先走り液を味わいながら、舌のざらつきを活かして愛撫を続ける。
温かく柔らかい雪菜の口内は、涎が溢れていてぬめっている。そこに、ペニスが飲み込まれていく。
「ん、ふぅ……ん……じゅる……ふぅ……ん、ぅ、ん……れる、じゅる……んふぅ……れろれろ……ちゅぷ」
ペニスを頬張った雪菜は、頬を窄めて尿道から先走り液を吸いだしていく。
「くぷ、ぐぷっ、じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ……じゅる……ん、ちゅぷ……れろれろれろ……はあ、はあ、れろれろ」
ペニスを吸いながら、頭を上下に動かしたかと思えば、口から出して鈴口を指で愛撫しながら棹を舐め回す。惚けた表情で荒く息を吐きながら、舌を激しく動かす様は、真面目で済ましたいつもの雪菜とは百八十度別人だ。
「はあ、はあ、はあ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……れろれろ、ぺろ、んむ、ちゅ……れろぉぉ」
ペニスの側面に何度もキスをして、根元から亀頭までをべろりと舐め上げる。
久しぶりと言いながら、かなり卓越した技術だった。
「雪さん、本当にお上手ですね」
「そんなこと、ないですよ。れろ、ん、ちゅ……あむ」
雪菜が上手いのだとすれば、それは技術がさび付いていなかったということだ。昔、夫と一緒に夜を過ごしていた頃に身につけた技を身体が覚えていたのだろう。
(あの人のために身につけたことなのに、別の人にフェラすることになるなんて)
十年前の自分が今の自分を見たら、どう思うだろうか。絶句して、何も言わなくなるだろうか。それとも雪霞狼を向けるだろうか。
いずれにしても、その頃の雪菜はもういないのだ。
身体の疼きを堪えることができず、お店でお金を払ってでも解消しようとする情けない大人だ。こんなことになるなんて、過去の自分は想像もしていなかった。
「はむ、むちゅ、れろ、れろ……じゅる、ちゅっ……んふ、れろれろ……また、臭いがきつくなってきました。あむ、ん、ちゅる、ちゅる……んじゅる……れちゅれちゅ、ぴちゃ……れろ、れろ」
まるで別の生き物のように絡みつく雪菜の舌に綾瀬のペニスは悲鳴を上げる。今すぐにでも精液を放出したいよいう欲望が膨らんできて、どうにも制御できないのだ。
「そろそろ、出てしまいますよ」
「んちゅ……れろれろ……分かりました。ん、ちゅる、ん……あむ、ぅ、らひてくらはい……んぐぅ、ん、んんんぅ」
にゅるりとペニスを飲み込んだ雪菜は、上目遣いに綾瀬を見る。
口の中では相変わらず舌がぬるぬると蠢いて、鈴口からカリ首まで舐め回している。そのあまりにも卑猥で愛らしい光景に、我慢の限界を迎えた綾瀬は、そのまま雪菜の口の中に濃厚な白濁液を勢いよく放出した。
「ふ、ん……ん、んんっ……ん、ちゅ……んぅ」
雪菜はゆっくりとペニスを口から抜いた。
「んく、ん、ぁ、はあ……はあ……濃い、精液ですね」
雪菜は一滴残さず精液を飲んでしまったのだ。
苦味のある粘液が喉に絡む感じすら、昔を思い出してしまう。
「これは、私もきちんとお礼をしないといけませんね」
「お礼……いえ、これは」
「分かっていますよ。ですが、まだまだ時間はありますので、もっと丁寧に雪さんを気持ちよくして差し上げないと面子に関わります」
「あ……っ」
雪菜は綾瀬に押されて仰向けに倒れる。
綾瀬は、雪菜の乳首に触れるとこれをコリコリと愛撫し始める。
「あふっ、ん……んん」
ぴんと立った乳首は、今すぐにもでも触れて欲しいと訴えかけているようだった。
これを、綾瀬は唇で挟み込み、舌で舐りながら吸った。そして、乳首を吸いながら、雪菜の秘所を指で責める。
「は、あっ……んんっ……んあっ……んふぅ……う、う、ぅ、くぁっ……はあ、はあ、ん、んんっ……あっ」
フェラをしながら感じていたようで、雪菜の膣内はびしょびしょになっていて、指を入れると瞬く間に吸い付いてくる。
綾瀬は、体勢を変えて、雪菜の開脚した股の間に顔を突っ込み、クンニを始める。濡れに濡れたびらびらを舌で広げて、クリトリスをゆっくりと責める。
「は――――ぁ、ん、ふぅっ! んあ……そこ、舐めるの、ぁ、んぐっ……はぁ、んふぅ、ふぅっ……ん、ひぅっ」
舌が触れるたびに雪菜は気持ち良さそうに喘ぐ。シーツを握り、唇を引き結び、じっとりと汗を流し、太ももを寂しそうに震わせる。
そんな雪菜の反応を慈しむように綾瀬はゆったりとクンニをする。舌を膣内に押し込んだり、大陰唇から小陰唇までを丹念に舐めてみたりする。
「はあ、あ、んはあ……あ、んんっ……ふぅ、んふぅっ……イイです……これ、気持ちイイ……」
びくびくする身体に酔い痴れながら雪菜は言う。
雪菜は無意識のうちに綾瀬の頭を両手で押さえて、腰に押し付けるようにする。じゅぷじゅぷと淫らな水音が耳を犯し、這いずり回る舌が腰を溶かしていく。
「んあうっ、んぅ……はあ、はあ、んんっ、気持ちイイ……あ、あ、ああっ、ん、綾瀬さんのクンニ、好きです……ん、ぁ、ぁ、ぅ、んん……すごい、イイとこばかり、あっ、もっと舐めてください、もっと」
熱を帯びた瞳で虚空を見つめる雪菜は、自分で腰を動かしながら懇願した。頼まれた綾瀬は、雪菜のだらしなく開いた膣口を思い切り吸って、愛液を吸出し、クリトリスを重点的に舐め回す。
「んあ♡ ん、ああん♡ ふぐ――――ぅ、ん、ふひぃっ、あ、あ、あ、んああ~~~~♡ ん、あ、ひゃぁ、んひぃ、ん、ああっ。ひぅ、ひぅ、んひあ、あ~~~~♡ 気持ちイイ気持ちイイ気持ちイイっ、あっ、ん、イク、また、ふぎぃ♡」
だらしない表情で雪菜は悶える。
涎を垂らし、情愛の熱を瞳に宿して、髪を振り乱した。
びくっびくっと腰が反りあがる。それをがっしりと抑えた綾瀬が、さらに深く舌を押し込んで膣肉を舐め回すと雪菜は潰れたカエルのような声で、呻いた。
「お、おお♡ んほぉ、おっ、ふぉお! お、おぐっ、舐めて、あん♡ それ、イイですっ……んん、イクのぉ♡」
嬉しそうに雪菜は笑みを浮かべた。
全身を震わせて歓喜に浸る。
腰から噴き出した快楽の波は、一瞬で雪菜の脳に達して思考力を奪い去ったのだ。頭が真っ白になって、絶頂する。オーガズムによる不規則な痙攣で、雪菜の腰はびくびくとしている。
「あ゛、あ゛、んあ゛……」
精根尽き果てたと言わんばかりの雪菜は、苦しいのか気持ちイイのか分からない表情を浮かべていた。
すべてが終わった後、雪菜はばつが悪そうにしていた。
彼女自身、少々羽目を外しすぎたと思っているようだった。
「本日はありがとうございました」
「あ、いえ、そんな……」
キスどころかフェラまでしてしまった。正直、やってしまったと思った。
「あの、今日の事は……」
「口外無用。当然です」
「はい……お願いします」
人に知られるのはさすがにまずい。もちろん、この店もそういうサービスを提供している以上は、秘密は絶対に厳守されるだろうが……。
「雪さん」
「え、んっ……」
綾瀬は雪菜を抱き寄せて、その唇にキスをした。
「ん、んんっ……ぁ」
ちゅっと音を立てて離れる唇が、愛おしいと思った。
「また来てくださいね」
「……はい。時間を見つけて……」
後ろめたい思いを抱えながらも、雪菜は拒否できなかった。
最後のキス。これは反則だった。静まったはずの身体に、また火がついてしまいそうで、雪菜は足早に店を後にしたのだった。