※この作品はR-18です。

暁の堕姫~堕ちていく人妻~   作:人妻大好き

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6話

 シンディに勧められて綾瀬の店を初めて尋ねてから、雪菜の日常生活に変化があったかと言われれば、これといった変化はない。

 もともと、雪菜は公私混同をしない性質だ。公の仕事なれば、多少効率が悪くても真面目に正面から正規の手続きに則って遂行する公務員気質を十代の頃から培ってきた。実戦から離れてデスクワーク主体の仕事になったからといって、そうした気質が変わることはないし、むしろ雪菜の性格と今の仕事は相性がバツグンにいい。

 風俗もマッサージも所詮は娯楽の一つでしかない。それで、日常生活に影響が出るのなら、大問題だ。ギャンブルだって、抜け出せなくなるくらいに打ち込むのが問題であって、趣味の範疇に収まるのならばさほど目くじらを立てるほどでもないのだ。

 もっとも、雪菜は夫もいれば子どももいる上に国家の重責を担う立場にある。マッサージならばまだしも風俗店の利用が表に出れば、多くの非難を浴びることだろう。

 ならば、通うのをやめるべきだ。 

 単に、客が店に見切りをつけて離れていっただけに過ぎない。

 それで、これまで通りに戻る。

 仕事をこなし家事と育児をこなす。普段の生活から、綾瀬の店が消えるだけ。

 

「いらっしゃいませ、雪さん」

 

 人の良い笑みを浮かべる綾瀬がいる。

 結局、雪菜は今日も綾瀬の店を予約してしまった。

 いつもいつも、これが最後と決意しながら、暇ができると不意に予約しようかと思ってしまう。

 若い頃から節制してきた欲望が、止めどなく溢れてしまう。自分の身体がここまで淫らだとは思わなかったし、自分はもっと理性的な性格だと思っていた。

 しかし現実には欲求を我慢することができなかった。この日も、肉欲だけでなく、寂しさもあってついこの店に通ってしまうのだった。

 

「……あの、よろしくお願いします」

 

 小さく頭を下げて、足早に店内に入っていく。

 相変わらず店内は静かで、落ち着いた雰囲気だ。待合室から個室なので、誰とも顔を合わせる必要がないのが通いやすさに繋がっているのだ。

 誰にも咎められないので、雪菜はこの店の暖簾を後ろめたさを感じながらもくぐってしまう。

 

「雪さん。本日のコースはどうしましょうか?」

 

 ベッドに腰掛け、お絞りを渡された後で綾瀬に問われる。

 メニュー表を眺めながら、雪菜は悩んだ。

 この店のコースは細かく分かれていて、まだ経験していないコースがいくつもある。似たり寄ったりではあって、プレイの内容が若干変わる程度ではあるが、未経験のプレイがいくつもあるのだ。正直、興味はある。ただ気持ちよくなるだけでなく、そういったプレイそのものへの関心も、雪菜には芽生えていた。

 

(挿入のあるコースだと、やっぱり不味いし。今日も……) 

「今日も、いつもと同じで、お願いします」

 

 雪菜は後ろ髪を引かれながらも毎回同じコースを選ぶ。セックスのないマニアックコースだ。

 コース選択をした後で、雪菜は服を脱いで裸になる。

 綾瀬に裸を見せるというのも慣れてしまったのか、もう抵抗はない。羞恥心はあるが、それ以上に期待感のほうが強かった。

 

「はあ、はあ、はあ……んんっ……ふぅ」

 

 身体を洗って汗を流した後で、ベッドの上でプレイに入る。

 オプションでアイマスクを選び、装着した雪菜は真っ暗な視界で身体の感覚が鋭敏になっていくのを感じている。

 香りのよいオイルを身体に垂らし、強張った筋肉を解す。

 肩から背中にかけてツボを刺激しつつ、背骨を真っ直ぐにするように調整していく。性感マッサージを謳っているが、こうした真っ当なマッサージについて綾瀬の技術は高いのだ。

 二の腕の優しく揉み解して、仰向けにする。

 本来隠すべき乳房も秘所も、この時点であられもなく曝してしまっている。

 ここから、綾瀬の性感マッサージが始まるのだ。

 いつもの流れで、脇の下から乳房の下までを刺激しながらマッサージする。ここが強い性感帯になっていて、雪菜は溜まらず身じろぎする。

 

「ふぅっ……ぅ、ん……はあ……んん」

 

 綾瀬の指が乳首を優しくタッチする。手の平が乳房に吸い付くように絡みつき、乳房全体を揉み解す。敏感な部位だが、痛みはまったくない。

 雪菜は常連客で、綾瀬は一流のマッサージ師だ。

 雪菜の身体のことは、すでに知り尽くしている。どうすれば雪菜が感じるのか、手に取るように分かる。

 焦らすように乳首に優しく触れる。マッサージというよりもくすぐる感じだ。

 

「はぁ、はぁ、ん……はあ、ふ、ぅ……ん、ぁぁ……ぁ……ぁふ、ん」

 

 小さく声を漏らす雪菜。

 着実に乳首に快感が蓄積している。

 雪菜の意識は今、乳首に集中している。重点的に焦らされているこの部位は、こうしている間もどんどん敏感になっているのだ。

 

「うふぅ、んふぅ……はあ、ぁ……んぁ、はあ、ぅぁ、はあ……ぅ、胸、ばかり、ん、ひぅ……ふぅぅ、ぁ」

 

 数分も愛撫を続ければ、雪菜はすっかり蕩けてしまっている。

 胸を集中的に触られているのに、秘所からは愛液が滲み出ている。性的興奮が雪菜の全身を鋭敏にしているのだ。

 綾瀬は手早く雪菜の両胸に手を押し当てて、乳首を弾くように連続で刺激する。

 それまでの優しい指使いから一転した、強い刺激に雪菜は思わず声を上げてしまう。

 

「はあん……♡ あ、あ、あ、あ、あ、あんんぅ! ん、ふぅ、んああ……!」

 

 切なげに呻く雪菜は腰をひくつかせた。

 

(ああ、分かる。綾瀬さんの指がどんなふうに触れているのか。見えないけど、感じてる)

 

 見えないからこそ想像してしまう。触角だけで状況を把握しようとする。剣巫だった雪菜はその能力に長けているが、だからこそ身体の敏感さは一級品だ。

 綾瀬をして、こんなに感度の高い女性は初めてだった。これだけの美人でしかも感じやすいとなると、正直、愛撫のしがいがある。

 

「はあ、はあ……ふぅ、はあ……ぁぁ、胸だけなのに……」

「イキましたね、軽く」

「……あ、はい……ふぅ……」

 

 ドキドキしている。胸を徹底的に弄られて、雪菜は軽く絶頂した。まだ深いものではないが、導入から身体は準備を整えている。

 

(わたし、このお店に来た時点でもう……)

 

 パブロフの犬のようだと雪菜は思った。

 綾瀬の店を訪れた時点で、快感を貪れるのだと身体が覚えてしまっている。この部屋の雰囲気も匂いもすべてが、雪菜の身体を発情させるのに役立っている。これは綾瀬が客をその気にさせるために色彩から家具の形からオーダーメイドしたものだが、雪菜の身体はすっかりこれを覚えてしまっているようだ。

 

「あはぁ……はぁ……ん、綾瀬さん、ここ」

 

 身体を起こした雪菜は、もじもじとしながら自ら秘所を開いてみせる。

 

「今日、クンニ……してください」

「分かりました。それでは失礼します」

 

 心臓が高鳴る。

 雪菜は自らクンニを強請り、それによってさらに興奮を重ねた。

 雪菜はM字に足を開いて、綾瀬を待つ。アイマスクで様子が見えないから、いつクンニが始まるのか分からず、今か今かと身体が待ち侘びているのを感じる。

 綾瀬はそんな雪菜の太ももにまず手を触れて、くすぐるように肌を撫でた。

 むず痒さに雪菜は小さく呻く。

 ここに来て、また焦らされているのではないか。雪菜はそう思った瞬間に、胸の内に燃え上がるものがあった。

 

「ふぅ……ぅ、ふぅ、ん、う゛、んん……ふぅ……はぁ……」

 

 秘所の周辺を愛撫し、ジワジワと快感を与えるのは綾瀬の常套手段だ。これに、何度もイカされてきた雪菜は、この状況を愉しんですらいた。

 これを耐えれば耐えるほど、その後に来る絶頂は凄まじいものになると知っている。だから、雪菜は歯を食いしばって声を堪え、快感に耐え続ける。

 

(……まだ、なの? いつ、シテくれるの? あそこがむずむずする。周りばかりじっくりと責められてる。もう、我慢が……!)

「ふ――――ぅ゛、ん、ぅ……く、ん、は、ぁ……ん、ぅ」

 

 太ももの筋肉が痙攣するようにピクピクと震える。

 雪菜の秘所は涎を垂らす犬のように愛液を滴らせて、だらしなく刺激を求めている。

 もう十分すぎるほど解れているように見える。実際、今か今かと挿入を待ち望んでいるのが見て取れる。

 焦らしに焦らした後で、不随意に動く大陰唇が淫らに蠢いている。

 そんな雪菜の秘所に綾瀬は唇を寄せ、ぷっくりと勃起したクリトリスにキスをする。

 

「ふわあ♡ あ、あっ♡」

 

 さらにキスした後で、舌で丹念に秘所を舐めていく。流れ出る愛液を舐め取りながら、桃色の綺麗な色をした膣口に舌を挿入する。

 

「ああ~~~~っ! んあ、あ、はあぁ……!」

(これっ。これ、待ってた!)

 

 溜まらず熱い嬌声を漏らした雪菜。

 ぎゅうっとシーツを握り締めて、腰を跳ね上げる。

 そんな雪菜の腰を、綾瀬はしっかりと押さえつけて逃げられないようにする。太ももの下から手を入れて、がっしりと押さえ込む。

 

「じゅる、れろ……れろ……れろ……じゅる、ちゅ……ちゅう、ちゅぶ……れろぉ」

「はふっ。んふ――――あ、ぁ、ふぅん……んん、あ、イイぃ。ん、ふぅ……綾瀬さん、んあ、もっと……ん、ふぅ、ふあ、あ、あ……んんぅ、ふう、はあ……うあぁ」

 

 ゆっくりと膣口からクリトリスまで舐める綾瀬。その舌遣いに雪菜は翻弄される。決して強くはない刺激だが、感じるところを的確に刺激してくる。

 

(男の人にあそこを舐められてる。ざらざらした舌がわたしのマンコに入って来てる♡)

 

 異性が最も触れさせてはならない場所を舐めているという現実に雪菜はどうにかなってしまいそうだった。本来、忌むべきことなのに、すっかり快感を覚えてしまっている。視界を塞がれた今、秘所から与えられる性的快感と水気を帯びた音だけが雪菜に外界の状況を知らせている。

 

「んふぅ……あ、あ、んぁぁ……ふぃ、あ、ん……あ、はぁ、あ、ん、ん、んんぅ、あ……あ、そこぉ、ふあ、あ、気持ちイイ……♡ ん、そこ、イイ、あふ、ん……んあ、ああっ……」

 

 膣口から流れてくる快感が頭を蕩かして、快感に唇が勝手に快感を紡ぐ。

 敏感な部位を舌が舐め上げる度に、腰が跳ね上がり綾瀬から逃げようとしてしまう。そんな身体の反応の一方で、快感を求める気持ちも同居している。

 

「れろ、れろ……ぴちゃ、れろ……れろぉ、ちゅ、ちゅ……れろ、じゅるる」

「ふ――――んぅぅ! あ、ぁぇあ……ふ、んあ、ひ、ぃぃぃ♡」

 

 雪菜の足が張り、シーツをに食い込んだ。腰がガクガクと震えているのが分かる。綾瀬にとって、雪菜をイカせるのは容易いことだ。

 せっかくお得意さんになってくれたのだ。このまま快感を与え続けて、もっと嵌ってもらいたい。それが熱意となって雪菜への奉仕を加速させる。

 

「うっ、あ、はあ♡ ん、ふうぅ……ぉ、あ、はっ、んああ、い、い、く……あ、んん」

 

 綾瀬の舌先がクリトリスを弾く。チロチロと細かく行き来する舌先に触れられて、最も敏感な部位の一つが瞬く間に強烈な快感を脳に送り届けてくる。

 

「こ、れ……はあん! ん、ひ、ぃ、ぅ……ああっ!」

(また……イッ、たぁ……)

 

 恍惚の笑みを浮かべて雪菜は脱力した。

 優しい絶頂の余韻に浸る雪菜は、座っていられずベッドに倒れこんだ。

 綾瀬はここに来て雪菜を解放する。

 

「はあ……はあ……はあ……ぁ、ぁ、ん……ふうぅ……」

「雪さん。アイマスク、外しますよ」

「……ぁい」

 

 すっかり蕩けた表情を浮かべる雪菜は、言われるがままに頷いた。綾瀬はそんな雪菜のアイマスクを外す。

 

「如何でした?」

「すごく、よかったです。はあ……気持ちイイ」

 

 その答えを聞いて、綾瀬は小さく笑みを浮かべた。

 

「何ですか?」

「いいえ。少し、嬉しかったもので。雪さんが、ちゃんと快感を口にしてくれるのが」

「あ、いえ……これ……その」

「いいんですよ。もとより、それはこの店のコンセプトの一つです。以前にも説明しましたが、日常を忘れる時間を楽しんでもらうのが当店の掲げる目標ですからね。雪さんにももっとご自身を解放してほしいと常々思っておりました」

「解放と言われても……」

 

 確かについつい快感を口にすることはあった。

 雪菜がこの店に慣れてきた証と言えるだろう。心理的な壁が日に日に小さくなっているのだ。

 

「無理をする必要はありませんよ。雪さんはとても真面目な方です。雪さんのような方は、まずはいつでも真面目である必要はないのだということに気付くことから始めるべきでしょうね」

「いつでも真面目である必要はない?」

「母であり妻であり社会人でもある。そして、昔から遊びは苦手。となると息抜きをする場所がない。それどころか生き抜きそのものにも意味を見出せず、いつでも何かしらの活動をしてしまうという人はですね、意外に多いのです。遊び下手と言いますか、休み方を知らないといいますか……」

「……ぅ」

 

 雪菜は心当たりがありすぎて言葉を失う。

 仕事は夜遅くまでしているし、家に帰っても零菜がいる。休日は子どもの事で気を張っている。最近は、手を離れてきたが、だからといって安心はできないし、時間ができても雪菜はその時間を持て余してしまう。

 考えてみれば十五歳で第四真祖の監視役になって以来、学業と仕事を常に両立していたし、二十歳で子どもを産んでからは仕事と子育ての両立だ。三十余年の人生の中で、雪菜の自由にできた時間がどれだけあっただろうか。

 

「四六時中真面目に堅苦しく生活していてもストレスを溜め込むだけです。時に不真面目になることも大切だと思います」

「不真面目ってそんな」

「では言い方を変えて、気晴らしをすることも大切です」

「気晴らしですか……」

「はい」

「それで、このお店のコンセプトですか」

「ご夫人方のリピーターが多いのは、まあ、当店を利用している時間は妻でもなく母でもない感覚を味わえるからなのですよ。これはアンケートでいただいたご意見ですよ」

「そう、ですか」

 

 雪菜はつい笑みを零した。

 なるほど綾瀬の言うことは理解できる。雪菜が繰り返しこの店を利用してしまった心理も何となく分かった。雪菜は気晴らしを求めていたのだ。日常からの解放。非日常的空間を堪能したかったに違いない。夫以外の男性と性的に接触するという「不真面目」な行為に雪菜は気付かないうちに喜悦を覚えていた。優等生だったからこそ、足を踏み外した時の快感には抗いがたかったのだ。

 

「……じゃあ、それなら……今日、ここで気晴らし、していきます」

「承知しました。それでは、続けますね」

「はい……ん」

 

 雪菜は自ら綾瀬に唇を差し出した。

 桃色の形の良い唇を綾瀬は優しく啄ばむ。

 軽い接触を数回してから、互いに貪るような深いキスに移行する。

 

「はむ、んちゅ……れる、れりゅ……んあ、ちゅぶ……ん、ん……んんーーーーぷぁ、ん、あふ、ちゅっ、れろぉ……んく……ん、ちゅ……んふ、れろぉ」

 

 雪菜は舌と唇を使って綾瀬に積極的なディープキスを繰り返した。

 自分の舌を相手の舌に絡みつかせて涎を啜る。吐息と涎を交換し合いながら、淫らなキスを何度もしていく。大人しかったのは最初だけだった。

 

「ちゅ……んちゅぶ、れる……んあぁぁーーーー♡ れろれろ……ちゅ、じゅぶ、れろ……ちゅ、ちゅ……んふ、ちゅ」

「んん、ちゅ……れろ……雪さん。いつになく積極的、ですね」

「ん、ちゅ……はあ、不真面目にしてみないとと思って……ダメでしたか?」

「いいえ。むしろ光栄です」

「よかったです……ん、ちゅ……ん、あふ、んんぅ♡」

 

 雪菜は綾瀬の首に抱きついて、しっかりと唇を合わせる。隙間なく綾瀬の口を塞いで舌を押し込み、綾瀬の口内を味わうように舌を蠢かせる。

 

「れちゅぅ、じゅる、ん、ふぅぅ……んんぅ、れるっ……ぴちゅ、れる……んはぁ」

 

 唇を離す雪菜。

 二人の間に銀色の橋が掛かった。

 

(キス、すごい気持ちイイ……自分からすると、こんなに違うんですね)

 

 また一つ、新しい発見をした雪菜は茫洋とした瞳で綾瀬の股間を見つめた。

 大きく膨らんだそれは、勃起したペニスである。

 

「綾瀬さんも、感じてるんですね」

「ええ、はい。雪さんのような美人にこうも積極的にキスをされれば当然ですよ」

「お上手、ですね。……して、いいですか?」

「喜んで」

「……あの、はい。拙い、ですけど」

 

 一方的にされているだけだと、物足りなくなってくる。

 綾瀬が感じてくれているのが喜ばしくて、もっと雪菜からしたくなってくる。

 体勢を変えて綾瀬が下になる。

 下着を下ろして、半勃ち状態のペニスを取り出すと、雪菜はそれをまじまじと見つめる。

 

(ちゃんと勃ってないのに、こんなに大きい。それに臭いも……ああ、オスの臭いがしっかりと)

 

 鼻を突くような雄臭に雪菜はうっとりとしてしまう。

 どういうわけか、この臭いを不快だと思えないのだ。日常生活で嗅いだら絶対に眉を潜めるだろうに、このベッドの上ではむしろ好意的に受け取れる。

 不思議な臭いに惹かれるように、雪菜はペニスの先端に舌を伸ばす。

 

「れろ……れろ……ん、れろ……」

 

 舌が敏感な部位に触れて、綾瀬のペニスがぴくんと動く。

 雪菜は右手で陰茎をしっかりと握り締めて逃がさないようにして、亀頭を舐め回した。

 雪菜のフェラチオは決して上手いというわけではない。まだ不慣れなところが多いが、それでも絶世の美女がペニスを咥えているのだ。その光景だけでも射精感を高める。

 

「れろぉ、ちゅぷ……んん、ちゅ……れろれろれろ……ん、ぁ……先走り、出てきましたね」

 

 手淫するとにちゅにちゅと粘ついた音がする。

 先端から溢れた汁を雪菜は舌先で舐め取っていく。

 

「れぉ……ぺろ、ちゅ、んれおぉ……はあ、はあ、どんどん、出て来ます。ん、ちゅぷ……はむ、ん、んんぅ……ん、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ」

 

 雪菜は舐めるのをやめてペニスを咥え始めた。

 喉の奥までペニスを飲み込んで、頬を窄めて先走り液を吸い出しながら頭を前後に激しく揺する。

 じゅぶじゅぶと激しい水音が響き、温かくぬめった雪菜の口内に包まれてペニスが快感に悲鳴を上げる。

 

「じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ、ん、んふぅ、ん、れるれる、ちゅぷ……ん、んぅ……ちゅぱ、はあ、はあ、はあ、まだ、大きくなるんですか? れろ……すごい……綾瀬さんの、おちんちん……れろぉぉ♡」

 

 口から出したペニスを眺める雪菜は、その屹立した姿に強い魅力を感じてしまう。

 血管が浮き出た裏筋を舌の腹でこそぎ、張り出たエラを舌先でぐるりと舐め回す。汁を滲ませる先端をキスをしてその汁を啜った。

 

「ろうれすか? これで、いいれすか?」

 

 雪菜はフェラをしながら上目遣いで綾瀬に尋ねてくる。

 かいがいしく唇と舌でペニスに奉仕する雪菜は、人妻とは思えない積極性で綾瀬のペニスの弱点を学習していく。

 亀頭の裏側をペロペロと舐めて、すぐに喉奥まで飲み込み、唇で陰茎を扱く。生暖かい涎が泡立って、ペニスを溺れさせる。雪菜も先走り液に嫌悪感を示さず、進んで舐め取り、啜り、吸い出そうとしている。これではどちらがマッサージする側なのか分からない。

 

「雪さん。この後、どうしますか?」

「ちゅぷ……この後?」

「フェラもクンニも前戯に過ぎません。お金をもらっている以上は雪さんを気持ちよくしなければなりませんので」

「あ、はい……すみません……あの、それじゃあ」

 

 雪菜はペニスに視線を落とす。

 

(わたしが選んだのはマニアックコースで、セックスはできない……この、すごいのを挿入したらって思ったけど……ダメなら)

「この前、シンディの家でしたのと同じ……で」

「はい。それでは、ベッドに」

 

 雪菜は促されて綾瀬と位置を変える。うつ伏せになって枕に顎を乗せ、挿入しやすいように腰を上げる。

 雪菜が口で勃起させたペニスにコンドームを装着した綾瀬は、雪菜の尻を両手で掴み、左右に分けた。

 

「それでは、雪さん。挿入するので、力を抜いてくださいね」

「はい……」

 

 期待感に胸を膨らませて、雪菜は頷いた。

 ローションを塗った指を最初にアナルに挿入して、ぬめりを与えている。

 そこに、ひくつくアナルの入口に亀頭を押し付けて、綾瀬はゆっくりと雪菜の直腸内にペニスを挿入する。

 

「んっ! ん、ふぐっ、うぅぅぅ~~~~~~!」

 

 苦しげに雪菜は呻く。 

 本来挿入する場所ではない部位だ。

 しかし、雪菜のそこはすぐに綾瀬のペニスに馴染んだ。経験している事ではあるが、ずっぷりと根元まで咥え込んで、息苦しさの中に快感を生じさせているのには驚かされる。

 

「は――――っ。あ、あ、ふっ……ん――――、ふ、ぉ、あ、んくぅぅ!」

 

 ぎゅっと唇を噛んで、異物感に抗う雪菜。

 

「しっかりと挿入できました」

「う、あ……は、い……ぁぁ」

 

 震えながら雪菜は綾瀬のペニスを受け入れたことに悦びを感じている。苦しげに突き出した舌の先から雫が零れ落ちて糸を引く。

 噴き出す冷や汗が額を濡らす。苦しい事に変わりはない。それが、快感に変わっていくのが不思議でならないのだ。

 綾瀬が腰をゆっくりと動かし始める。

 さすがに女体をよく分かっている。アナルが性器でない以上は、より丁寧な扱いが求められる。下手をすれば怪我をさせる要因にもなる。雪菜の直腸内をじわじわと解き解しながら、少しずつ角度を変えて突く。

 

「ん……ふぅ……はあ……んんっ……ふぅ……ん……んあ」

 

 ペニスが動くと反射的に声が漏れる。

 アナルの中で前後に動くペニスの存在感が増しているような気がする。不浄の穴に他人のペニスを受け入れているという倒錯的な状況に雪菜の気持ちは昂ぶっていた。

 

(あ――――抜けそう……)

 

 出口付近までペニスが引かれると、それを残念に思う気持ちと排泄したいという身体の欲求が重なり合う。自然と力が篭って、ペニスを押し出そうと括約筋が動き出す。

 外に出してしまえば、息苦しさからは解放される。異物を挿入する器官ではないのだから、アナルは一気に楽になる。

 アナルセックスに慣れ切っていない雪菜の身体は、当然の反応として異物の排泄を試みる。

 そこを狙っていたかのように綾瀬はペニスを前進させる。

 締まった直腸が押し返されて、密着し、より強く刺激を与えられる。

 

「う……あ……奥にっ……んふぅぅ……押し込まれてる。あ! ん、ふう……あぅ……ん、ふう……あぁ!」

 

 たっぷりと時間をかけて雪菜の直腸を慣らしていく。

 次第にペニスの滑りがよくなってきて、雪菜の緊張も解れてきた。直腸の筋肉は、ペニスの律動に合わせるように蠢いている。排泄しようとする動きが、適度な締まりとなってペニスを圧迫している。

 綾瀬は雪菜の尻肉を両手で掴んで、揉み解しつつ腰を動かす。激しさはなくとも、律動のペースを上げていく。動きは小さく、壁面を擦るようなイメージだ。

 

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ! ん……んぐ……ふぅっ、んあっ。はあ……んあ、あ、んあ、んひっ。んあ、あ、んあ、んん~~~~。ん、ふう、あ、ん、ふう、ぅ……んひぃ、あはっ!」

 

 雪菜は綾瀬の執拗な抽送によって与えられる感覚に喘いでいる。

 みっちりと締め付ける腸壁をペニスのエラが削り、角度をつけた挿入は直腸内を広げて強い刺激を味わわせてくれる。

 

「ん、あっ、ああん♡ ぉ、ぉお、お、ふぐぅ……あ、ひあぁ、はっ……んあ、あ、ああ~~~~♡」

 

 雪菜の身体がアナルセックスに慣れてきたと見た綾瀬は、雪菜の胸に手を回す。

 

「あふっ、あ、綾瀬さん?」

「体勢を変えますよ」

「え、あ……はい」

 

 突然の綾瀬の宣言。

 抽送を一時中断したことで、快感に水を差される形になった雪菜は戸惑いながら体位を変える。背後から抱かれた姿勢をそのままにベッドに上に座った綾瀬の股座に座る体位――――背面座位の姿勢になる。

 

「ふ、ぅあっ!」

 

 雪菜の直腸内が押し潰されるような感覚。大きく膨れ上がったペニスが、ずっと奥深くまで届いたのだ。雪菜自身の体重が加わって、一層深い結合を可能としたのである。

 

(これ……深いっ……お尻の奥までしっかり届いてるのが分かる!)

 

 すっかりアナルセックスに馴染んでしまった直腸は、最奥部までの挿入にも対応した。雪菜のアナルはがっちりとペニスを掴んで離そうとせず、快感は前にも増して雪菜の頭を苛んでいる。

 

「は――――ぁ、あ……ん、んんっ! あ、ふぐぅ……ぉ、んあ、あ! うご、いて……ん、くふぅ♡」

 

 下からの突き上げで乳房が揺れる。

 汗を垂らして雪菜は快感に喘いだ。

 

「はあ――――んあ、もっと……あん、ん、んあ、もっとぉ……ん、あっ!」

 

 綾瀬が突き上げていると雪菜はうっとりとした表情を浮かべる。口からは媚びを売るような蕩けた言葉が漏れ出し始める。

 

「もっと、どうしたいんですか? いいですよ、雪さんの望みのままに」

「んあ、あ……ん、これ……は、あっ。ん、今のは――――あ、ん、んん」

 

 雪菜はとっさに口元を隠す。

 あまりの快感に前後不覚になり、ついつい言葉を誤ってしまった。雪菜の理性を、淫らな言葉を否定しようとする。

 そんな雪菜にアナル以外の場所から快感が届けられる。

 

「ふあ……!?」

 

 それは、秘所だ。

 綾瀬が手を回して、手マンを始めたのだ。クリトリスを優しく弄り、びしょびしょに濡れた膣内を指で穿っていく。

 

「あ! ああっ。それっ、ダメですっ。ん、そんな、一緒になんてぇ♡」

 

 アナルを突かれながら、秘所を穿られる。

 性感帯を徹底的に弄り回される快感が、雪菜の理性を溶かしていく。

 

「ふああん、んあん……あ、んんぅ……ふぅう、んあ、んあ、はあんあ、あ、あっ、あっ、んあ、あぃ、ぃいん……あ、いあぁ……」

 

 身じろぎしながら雪菜は身体を綾瀬に預ける。

 前と後ろからぐちゅぐちゅと淫らな音を立てながら、雪菜は立て続けに与えられる快感に蕩けていく。

 

「あっ、あっ、あああ~~~~~~」

 

 綾瀬は休みなく快感を与えながら、雪菜の首筋に舌を這わせる。

 ぞくぞくとした感覚が雪菜を襲う。

 小柄な身体を綾瀬は抱きかかえ、首から耳にかけてキスをし、舐めていく。うなじからは汗と女のいい匂いがして、ペニスを興奮させる。

 

「んあ、はっ、あ、んんぅ……ふ、はっ。ぃう。ん、ひぃ、あ、あ、くあ……んん」

(お尻とマンコ、一緒に犯されて……気持ちイイ)

 

 うっとりとした雪菜は、自ら腰を振り始める。じゅぶじゅぶと激しさを増す抽送は、いつしか雪菜が主体となっていた。

 

「雪さん。ご自身で、腰を振ってますね」

「え? あ、いや。これ、は……」

 

 かあっと雪菜は顔を紅くした。無意識の行動ではあったが、指摘されると恥ずかしさで顔から火が出そうだった。

 

「す、すみません。はしたないことを……」

「ふふ、いいんですよ。それで。そうやって、ご自身で思ったように快感を受け止めていただければ。今、この時間はあなただけのものなのですから」

「ん、それ……ん、はう……んひ、は……あ――――ん、くふぅ……はあ、ん、それなら、う、動いて、いいですか?」

「もちろんです」

「あう、ぁ……」

 

 雪菜は少しだけ逡巡した。

 知らず知らずのうちに腰を動かしていたのとは意味合いがことなる。自分の意思で腰を振るというのは、自らの意思で快感を求めていくことでもある。他人から与えられる快感を享受するだけならば、まだ諸々の言い訳も立つというものだが。

 綾瀬のペニスは、雪菜の逡巡とは無関係に動き出す。

 ずぶずぶと抽送されるペニスを雪菜の理性を溶かし、狂わせるには十分だ。

 

「あふぅ、んお♡」

 

 雪菜の迷いは、その一突きで崩れ去る。

 背面座位の体位は、男から突き上げるのには向いていない。一方で、女が自分で腰を振るにはちょうどいい。両手で身体を支えて、上下運動すればいいのだ。 

 

「はあ、はあ、はあ、んあ、はあ……ん、んん、んく、はあ……ああっ……ん、ふっ、んふ、はあ、お、んぉお」

 

 快感を求めて雪菜は腰を振り、自分で気持ちのいい角度を探る。

 時に奥深くまでペニスを挿入した状態のまま左右に腰を捻ってみたり、上下に身体を跳ねさせてみたりする。動く度に可愛らしい嬌声が部屋に響く。

 雪菜が抽送を自分でしてくれるようになったので、綾瀬は雪菜の秘所を思う存分にかき回した。

 

「はうぅ、ん、ふおっ……お、おぐ、ん、んあ、ひ――――んあ、い、イイっ……ん、気持ちイイ、です♡」

「どこがですか? 前? 後ろ?」

「どこって、そんな、い、言えません。ん、ふあぁ♡」

 

 雪菜は時に白目を剥きながら、喘ぐ。口を大きく開けて涎を零す様は、生真面目な普段の姿からは程遠い。今の雪菜を知人が見ても、別人だと思うことだろう。

 

「言葉は重要です。口に出すことで、もっと気持ちよくなれるのですから」

「もっと、気持ちよく? ん、ひ、ひ、んん――――。はあ、い、いぃ……でも、どっちがなんて……んあ、はあ、んんん! ど、どっちも、気持ち、イイですからっ。はあ、ん、やあぁ。ああ――――イクっ」

 

 快楽を口に出した瞬間に枷が外れたように絶頂の波が襲ってくる。目を見開いて、体内で炸裂した快楽に雪菜は溺れる。

 

「はうっ――――ぅあ、あ、あああああああああああ!」

 

 背中を反らして絶頂する雪菜。何の予兆もない不意打ちにも似た絶頂は、雪菜の理性の皮を剥ぎ取っていった。

 

「あひっ。んひ、んふぉぉお……お、き、気持ちイイ……♡ こんな、知らない。はあ、はあ、ん、ぉぉ」

 

 下品に崩れた表情が、快楽の凄まじさを語っている。

 それでも、快感に溺れた表情はいやらしさと共に愛らしさもある。絶世の美人は、どんな表情を浮かべても美人のままなのだ。

 だからこそ、抱き甲斐もあるというものだ。

 正直に言えば、この仕事をしていると美人もいればそうでない客もいる。雪菜の存在は綾瀬にとっても、仕事を差し引いても清涼剤であって、手放したくない客であった。だからこそ、雪菜の身体の研究には余念がないし、イカせるのも全力を出す。

 アナルも膣も雪菜の好きな場所は押さえてある。指でもペニスでも、そこをしっかりと刺激して、より深い絶頂に導くことができるのだ。

 

「まだまだ、いきますよ」

「うあ――――んあぁ! ん、ふ、ふぅ、あや、せさん! わたし、今、イッたばかりで敏感……あ、ああクリ、ダメ、ん、はうぅ♡」

 

 びくんびくんと雪菜の身体が悦びに打ち震える。

 汗と愛液を噴き出して雪菜は海で溺れているかのように喘ぐ。

 襲い掛かってくる快楽の津波を、堪える精神力は雪菜には残っていない。

 

「ああ、イク! また、イキますっ! んあっ、ああああああああああああっ!」

(気持ちよすぎる……何も考えられない……)

「どんどんイってください。ここにはあなたと私しかいません。どれだけ乱れも、誰にも知られることはないのですから」

 

 甘い、悪魔のような囁きが雪菜の耳に寄せられる。

 

(誰にも、知られない――――そう、か)

 

 ふと視線を横に向けると姿見があった。男女が結合している様が写っている。淫らな姿だ。男の立派なペニスをアナルで受け入れて、熱に浮かされたような表情で腰を振る女の姿がそこにある。

 

(何て、気持ち良さそうな顔……あれが、わたし? あんな顔して……こんな声を上げて……)

 

 ずぶりずぶり、と自ら快楽を求めて腰を振る。イキながら抽送を強請っている自分の身体を客観的に見て、雪菜は一人で納得する。

 

(こんなに気持ちがイイのなら、こうなってしまうのも仕方がないんだ)

「うあぁ! い、くぅ♡ んほぉ――――お、んあ、あ゛あ゛っ!」

 

 もはや雄叫びと言ってもいいくらいの絶叫。

 身も心も快楽を受け入れた雪菜は、絶頂を堪える必要もなくなった。すべてをありのままに受け入れる。昇りつめて昇りつめて昇り詰める。

 連続絶頂で、恍惚とした表情のまま雪菜は喘ぎ続ける。

 

「気持ちイイっ。イクの、止まらないっ。んひぃぃ♡」

 

 アナルの締め付けがきつくなる。容赦なく雪菜は腰を叩きつけてくる。負けじと綾瀬は巧みな指使いで膣内を穿り返し、愛液を掻き出していく。

 

「んあああ~~~~イク。んあ、またイキますぅ。ん、ふひっ。んへあ、んあぁ、んおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」

 

 壊れたように雪菜は叫び、狂ったように呻く。

 何度も身体を痙攣させて、アナルを締めてペニスに全身で喰らい付いた。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 精魂尽き果てた雪菜はぐったりと枕に身体を預けた。

 残り時間は少ないが、とてもプレイの続きをする気分にもなれなかった。何よりも鏡に映った淫らな自分の姿が目に焼きついて恥ずかしさがこみ上げてくるのだ。

 

(あんな……わたし……)

 

 落ち着けば理性的に物事を捉えることができる。別に四六時中セックスのことばかり考えているわけではない。しかし、いざ、プレイに入ると我を忘れてしまう。

 それだけ綾瀬の技術が優れているということか、それとも雪菜の身体が自覚がなかっただけで淫乱だったのか。

 前者だと思いたいが、鏡に映った自分の顔は、快感ですっかり蕩けきっていた。淫乱なメスの顔。それが、雪菜自身の顔だったのだから、冷静になって羞恥心でいっぱいになるのも無理はない。

 

(あれを、綾瀬さんに何度も見せてたなんて……)

 

 人に見せるような顔ではなかった。

 アナルと秘所を同時に責められて、気持ちイイという感覚以外がなかった。

 

「落ち着きましたか?」

「は、はい。その、すみませんでした。わたし……その、はしたない、ことを、その」

「いいんですよ。それがこの店での正しい姿ですから」

「それは、どういう……」

「あなたに限らず、普段の理性的な振る舞いを取り払い本能的な振る舞いをするのもストレス解消にはいいのです。理性の仮面を被っている人は、時にそれを外す必要があるのです」

「理性の仮面」

「はい。本能は誰でも持ってます。それを抑制するのが理性だというのも、まあ、一般的です。ですが、四六時中それでは疲れますからプライベートくらいは羽目を外してリフレッシュするものです。今日の雪菜さんはいい感じで理性の仮面を外してくださいましたね」

「……そ、そういうものですか」

「そういうものです」

 

 雪菜は呼吸を整えて身体を起こした。

 アナルはまだジンジンするし、秘所には絶頂の余韻が残っている。疲れ果てたと自覚するほど絶頂を繰り返したのに、雪菜の身体は貪欲に精を求めているのだ。

 雪菜は、最後にキスをせがんだ。

 

「ん、ちゅ……れろ……ちゅぷ……れろ……れろ……ちゅぶ……んぁ……ん、んふぅ」

 

 唇を吸い、舌を絡め合う。

 その日を終えるには、熱烈すぎる口付けだ。ほんの少し、唇を触れさせるだけでいいと思っていた雪菜だが、キスをするとすぐにスイッチが入ってしまった。ディープキスで綾瀬の唇を濡らしていく。

 

「れろ、れろ、れろ……ん、んぅ……ちゅぷ……れろぉ」

 

 そして、時間が来た。

 名残惜しそうに唇を離す雪菜。

 そんな雪菜の唇に綾瀬は舌先でちろりと触れた。

 

「ずるいです。綾瀬さん。そんなことされたら、わたし……」

 

 また利用したくなってしまう。

 この先を知りたいと、思ってしまう。

 まだ、してないことはたくさんある。

 綾瀬の店を出た後で、雪菜はふと足を止める。

 

(もしも、綾瀬さんのを前で受け入れたら……)

 

 アナルでさえ、気を失いそうになるくらい気持ちよかったのだ。いっそ、本来の性器で受け入れたらどうなるのだろうか。素朴な疑問。しかし、それは禁忌の誘惑でもあった。

 だが、それでも知りたくはあった。理性の仮面を剥ぎとって、本能のままに求める行為を。たとえ、それが禁忌であったとしても、快楽を知ってしまった雪菜は次の段階が見えてしまっていたのだった。

 

 

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