暁の堕姫~堕ちていく人妻~ 作:人妻大好き
「はあ……はあ……はあ……はあ……はあ……」
ベッドの上で淡く色づいた肌を曝す乙女が一人。仰向けに寝転んだ少女は、アイマスクのみを身に着けていて、胸を上下させている。深く、何度も呼吸しているのに熱い吐息は収まることがなく、時折、ぴくりと震えては、シーツをぎゅっと握り、足を張って身じろぎする。
栗色の髪は肩よりも少し上で切りそろえられていて、女性らしい二つの丘はぷっくりと膨らんでいてお椀のように綺麗な形をしている。
年齢は少女の域を出ていないが、身体つきは女の色気を十分に醸し出している。大きな胸に反して、腰は括れていて、よく鍛えられた太ももは余計な肉のなく健康的だ。
「ふうっ、あっ……ん、ぁ……ふあぁう……」
少女は一人で切ないため息をつく。
彼女の肌の濡らすのは汗だけではない。しっとりとした湿り気の正体は、発情を促す媚薬である。美容成分と媚薬を混ぜ込んだ液体を全身に隈なく噴霧されているのだ。肌から吸収されるだけでなく、気化した媚薬を吸入しても効果がある。内側と外側から少女の女を呼び覚まし、じっくりと焙るように感じさせているのだ。
「羽波、少し気を抜きすぎたんじゃないか。この程度でガマンできなくなるようだと、これから先困るだろう」
「す、すみません……んっ、あっ」
「言った傍から軽くイったのか」
ここは綾瀬の家である。
絃神島のマンションの一室を借りて生活している綾瀬は、一人暮らしである。転勤してきたばかりで家に呼ぶような知人もいないので、出入りは自分だけだ。
そんな彼の家に年若い少女が出入りするというのは、事情を知らない人が見たらちょっとした事件なのだが、これは仕事のうちであった。
今日の客の羽波唯里は、獅子王機関の剣巫の一人だ。最近、デビューしたばかりの新人ながら、才能に溢れた逸材で、将来を嘱望されている。天才ではないが同年代では実力上位の秀才で、努力家。大抵のことは器用に熟して見せる優等生だ。そして、ピンチにも強い。雪菜もそうだが、このレベルの剣巫はそうそう出現しないもので、今の十代半ばは獅子王機関の黄金世代と言ってもいいのではないだろうか。
そんな唯里だが、絃神島に来るまで綾瀬が調律を担当していた。
任務で呪詛を受けた唯里の治療を命じられたのがきっかけだ。将来有望な剣巫なので、きちんとしたケアが必要。そういう上層部の判断だった。
「どうした。まだ、ちゃんと触ってもいないのに」
「はっ、はっ、はっ、あ、ん……すみませ、んっ……はうっ、あ……あっ……」
唯里は小さな痙攣を繰り返している。
触れてもいないのに、軽くイっているのだ。
媚薬の効果で鋭敏になった肉体は、少しの刺激で快楽を貪ってしまう。いっそ、思い切り秘所を掻き回して自慰に耽りたいとすら思う唯里であったが、それは禁じられていた。
「綾瀬さんが、見てると思うだけでわたし……ふ、んあっ♡」
「見られてイクなんて、ずいぶんといやらしくなったもんだ。触らないのに想像だけでイケるんだからな。羽波、少し見ない間に変態になったな」
「そんなこと、い、言わないでください、あ、ん……こんな風になったの、綾瀬さんの所為なんですから、んっ、あっ」
「変態は否定しないのか」
「そ、そういうことじゃ、んんっ、わ、わたし、変態じゃな、はうっ、あっ」
太ももの間から露が滲み出てシーツを濡らしている
「ん、んんんっ、んあっ、ふぐっ、ぅ、ん、んんっ」
ギリギリと唯里は歯を食いしばっている。
身体中を這いまわるような快楽がじわじわと全身をあぶり続けている。抜け出すすべはなく、調律が終わるまではこのままだ。
これまでに何度も綾瀬に身体を弄られてきた。その都度、途方もない快楽を味わってしまって、唯里は半ば中毒も同然の状態だ。調律と同時に身体を弄ばれているという自覚もあるが、唯里は止めることができなかった。
綾瀬は、唯里の乳首に触れる。ピンと自己主張する桃色の乳首をくりくりと弄る。唯里は腰を跳ねあがて悶絶する。
「そんなに暴れるな。これは触診だぞ」
そう言いながら、綾瀬は乳首を弄りながら唯里の肌を指先でなぞる。刺激は弱く、撫でるだけの愛撫だ。それでも今の唯里にとっては電流が走り抜けるような刺激だった。
「あっ、んあっ、はあう♡」
がたがたを腰を揺らす唯里。
昂った性感が身体を火照らせて、汗を滲ませている。
綾瀬は、唯里の太もものあたりを撫でて、秘所のギリギリを責める。
「ん、ん、ふ、あっ、あっ、そ、そこっ、あ、んんっ」
唯里を焦らすように綾瀬の指は性感帯に直接触れることはしなかった。
「はぁ、んふっ、あっ、どう、してっ」
「どうした?」
「んっ……あっ、んん、ふう……はあ……はあ……んっ」
綾瀬の手が離れる。
唯里の身体を発情させてから、ずっとこの調子である。身体は小さくイキ続けているが、終わりはなく、大きな絶頂を迎えたくても弄れないからイケないままだ。
(気が、狂いそうっ)
指を伸ばして、クリトリスでも膣内でもいいから弄り回してしまいたい。綾瀬に見られてもいいから、オナニーして、このじれったさから逃れたい。その一心で唯里は自分の秘所に手を伸ばす。
「それはダメだって言ったぞ」
と、無慈悲にも綾瀬が妨害する。唯里の手を掴んで、オナニーを禁止するのだ。
「オナニーは調律が狂うじゃないか」
霊力の流れを整える調律。綾瀬はこう見えて一応計画的に治療している。唯里についてはほぼ治療が終わっているので、これはどちらかというと整体のような身体の調子を整えるくらいの意味合いしかないのだが、それでも計画外の動きをされると悪影響に繋がりかねない。
ただ意地悪をしているのではなく、安全のための措置でもあるのだ。
「ふう、あっ……でも、あ、の、わ、わたし、もうっ、う、く、苦しくてっ、はっ、ぁ、うっ」
しかしながら、焦らされ続ける唯里にとっては堪ったものではない。
一度ついた火はそうそう消えることはない。不完全燃焼のまま終わっても、尾を引くことになる。なんとしてでもオーガズムに達しなければ、おかしくなってしまいそうだった。
「弄ってほしいのか?」
綾瀬は言う。
「ふぐ……ん、あ……んんっ」
唯里は唇を引き締めて、口を突きそうになる答えを封殺する。ギリギリの理性が安易な答えを許さなかった。この辺りはさすがに剣巫だ。言葉そのものが呪詛になることを心得ている。一度口にすれば、言葉に縛られることもある。それに、乙女としての羞恥心も手伝って、唯里は崖っぷちで踏ん張っている。
「なら、このまま調律を続けるぞ」
「え、あっ……」
唯里の心に暗雲が立ち込める。
意地を張って言うべきことを言わなかった。その代償に唯里はお預けを食らったのだ。
胸に去来するのは後悔と絶望感。何も言わなくても、弄って欲しかった。口には出さなかったが、本心では限界を迎えていて、なりふり構わずおねだりしたかった。
「ふぅぅ、あっ、あっ、ああっ」
それから十分。唯里は放置された。触ってもらえず、自分で触れることも許されず、綾瀬がどこにいるのかも分からないまま、ただベッドの上に寝かされていただけだ。しかし、身体を舐る悦楽の火は消えず、ろくにイクこともできず、小さな絶頂を繰り返す身体からは体力と精神力が削り取られていく。
「はあぁっ、んふっ、はっ、あっ……んんっ、あっ……ふぐぅ♡」
小刻みに震える身体。
呼吸は荒くなる一方で、体内に蓄積していく熱を発散する術を持たない唯里はただ苦しさが募っていくばかりだ。
せめて自慰だけでもさせて欲しい。しかし、それは禁じられている。自分の身体を自分で弄ることすらできないもどかしさ。そして、それを自分の意思で思いとどまらなければならない苦しさは想像を絶するものであった。剣巫の強靭な精神力で抵抗しているが、もはやそれも限界だった。
「羽波、今日の調律は苦しいか?」
「はっ、はっ、ん……ぁ……は、はいっ」
唯里はつい頷いてしまった。
綾瀬が太ももに触れてくる。それだけで期待してしまう。もっと上、膣を早く犯してほしいと。唯里は処女ではない。綾瀬の調律の中で、肉体関係を持っている。セックスの悦びをすでに味わっている唯里にとって、今の状態で交わることがどれだけの快感をもたらしてくれるのか想像することができた。
「か、身体、熱いです。く、苦しくて、い、もっと、イキ、たいっ、んっ、んっ、ふうっ、ぁ……ぁっ」
「そうか。いい娘だ。最初からそうやって素直になっていればよかったんだぞ」
「ご、ごめんなさいっ。は、恥ずかし、くて……あ、ふう……んっ、あ、あの、は、早く、そのっ」
「ん?」
意地悪な手つきで唯里のクリトリスを摘まむ。
「んひぃぃっ♡」
敏感になった身体にとって、これは苦痛も同然の快感だ。唯里はクリトリスへの刺激だけで一瞬で高みに達してしまう。
「あっ、あっ、ああっ」
しかし、綾瀬の愛撫は一瞬だけだ。強烈な快感を味わった直後に、またお預けされてしまう。その絶望感は唯里の心を強く縛り上げる。
「あ、綾瀬さんっ、意地悪、しないでくださいっ」
「意地悪は嫌?」
ぶんぶん、と唯里は頭を縦に振る。
「そうか。じゃあ、触らないでおくよ」
「へ……? え、あ、なんで?」
「そりゃ、意地悪は嫌なんだろ? 触られて無理にイカされたくないだろう?」
「ち、違っ、そうじゃ、なくてっ、あ、んあっ、あっ」
競り上がってくる焦燥感。
唯里の心は限界だった。
無理矢理イカされたくないのではない。無理やりにでもイカされたいのだ。こんな風に焦らされるのが嫌なのだ。
「はあ、はあ、はあ、は、うううっ」
「どうした。ちゃんと言わないと分からないぞ」
「あ、ん……ふうう……」
唯里は太ももをすり合わせて唇を噛み締める。
僅かな沈黙の後で口を開いた。
「……してください」
「ん?」
「エッチ、してください」
頬を真っ赤に染めて、唯里は絞り出すような声で言った。
「エッチして欲しいのか? 俺の仕事は調律で、呪詛が抜けた羽波は、もうその段階、もう終わってるんだが」
「っ……や、やだ、だって、このままじゃ変になっちゃうっ、んっ、ぁ……はあ、はあ、無理、綾瀬さん、意地悪しないで、エッチしてください」
「意地悪をしているつもりはないんだけどね。そうだな、じゃあ、羽波。自分が変態だと認めたうえで、どんなエッチをして欲しいのか言ってみろ。そうしたら、ちゃんと気持ちよくしてやる」
「あ……ん、ふあっ」
囁き声ですら、唯里の理性を蕩かす。それが、この苦痛から逃れるための導きなのだとしたらなおのことだ。
「へ、変態です。変態ですから。綾瀬さんのおちんちんでおマンコの奥まで掻き回して欲しいですっ」
冷静になったら恥ずかしくて死んでしまいそうな言葉でも今の唯里は容易く口にしてしまう。半年前まで男を知らない普通の女の子だった唯里だったが、呪詛を抜くためとはいえ綾瀬の調律を受けてすっかり性に堕落してしまっていたのだ。
綾瀬が絃神島に渡って、唯里の担当を外れてから、性の話題を避けていた唯里だったが、結局は我慢できずに休暇を利用して絃神島まで来てしまった。本心では、綾瀬の調律ではなく、セックスが目的だったのだ。
「そこまで言うなら仕方ない。羽波、自分で広げて見せろ」
「は、はいっ」
唯里は期待感に胸をときめかせて、股を広げた。大陰唇を指で開いて、膣口を見えるようにする。
「はあ、はあ、はあぁ♡」
唯里の綺麗な膣口に綾瀬はペニスの先端を押し付ける。
すっかり勃起したペニスはギンギンになっていて、唯里の膣を犯したくて仕方がない。この時を待っていたのは、綾瀬も同じだ。唯里ほどの美少女が、ずっと部屋の中で一人、喘いでいたのだ。性欲を刺激されるのは当然だった。
「挿入するぞ」
そう言ったときにはすでに、ペニスは半ばまで唯里の膣内に押し入っていた。
「んはあああ♡」
唯里は背中を反らせて嬌声を上げた。
「あ、あ、ああ……入って、来たぁ♡」
心底から嬉しそうに唯里は声を蕩かせる。
ずぶり、と膣肉の奥深くまでペニスを挿入する。
つぶつぶとした襞の感触が気持ちイイ。長らくお預けされていた膣内は愛液で濡れていて、挿入に手間取ることもなかった。
「ふぅ、相変わらず、イイ感触だな」
「ひはっ、あひっ、ん……ひいあっ、あ、あ、んん、あっ、あっ」
挿入されただけで唯里は夢見心地になっている。
よほど待ちわびていたのだろう。キチキチに締め付けてくる膣肉は、ペニスにしがみ付いて離れようとしない。
腰を引いて、ずるりと奥に押し込む。ゆっくりとしたピストン運動で唯里を高ぶらせていく。
「はっ、はっ、はあぁ♡ あっ、んあっ、イイ、気持ちイイ、ですっ、んあっ、はあぁん♡」
唯里は悦楽の炎に身を焦がし、喉を反らして嬌声を上げる。
自分でも腰をくねらせて本能に任せてペニスを扱いた。
「あふ、んふ、ふわぁ、あっ、あっ、んんっ、ふあん♡ あ、イイです、もっと、もっと奥、突いてください♡」
「すっかり淫乱になったもんだな、羽波。ちょっと前とは別人だ」
「だ、だって、だってこんなの、ん、知っちゃったから……はあう♡ ん、ふう♡ あっ、あっ、綾瀬さんは、命の恩人だし、だから、いいんです♡ あ、んあぁ♡」
気持ちよさそうに声を出して、唯里は積極的に綾瀬を求める。
膣肉が次から次へとペニスに絡みついてくるようだった。律動を繰り返すペニスに合わせて媚肉が形を変えているようで、大人しい見た目に反して獰猛な膣肉をしていると感心する。
綾瀬は唯里のアイマスクを取った。
「は……あう……んあ、あっ、あふぅあぁ……♡」
露になった唯里の顔はすっかり蕩けたメスの顔だった。性欲に溺れ、堕落し、快楽のために淫語を口にすることも厭わない。
熱を帯びて潤んだ瞳は発情しきっていて、どうしようもない喜悦を浮かべている。
ペニスを押し込むと形のよい唇からだらしない喘ぎ声があふれ出る。
「はう、んあっ、はあっ、ふうっ、んっ、んっ、はあぁ、あ、気持ちイイっ、ん、あ、奥、イイ、です、ああん♡」
唯里は綾瀬に抱き着いて、両足を綾瀬の腰に絡ませる。腰を跳ね上げて自分から快楽を貪り、膣奥までペニスを誘導する。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、あ、ああ、ん、ひゃあ♡ あ、ん、ふぐ、ん、あ……んちゅ」
柔らかな唯里の唇を綾瀬は吸った。
触れるだけのキスは一瞬で、すぐに舌を絡めるねっとりとしたキスに移り変わる。
「はあ、んふ……れる……れる……はあぁ♡ あ、んあ、あっ、はっ、ん、ちゅぷ……れる……んんふぅ♡ ふぁう♡ あ、れろぉ♡」
唯里の舌が綾瀬の口内に入ってくる。
ねろり、と上顎を舐めてくる唯里に対抗した綾瀬も舌を伸ばしてこれを絡め取り、押しのけて逆に唯里の口内を蹂躙する。
「ふぐ……んぐ……んん……ちゅ……れる……ふぁ、う……ん……ふう……ふう……れる、れろ……ちゅ……ぁ、ん、んふぅ♡」
舌先を絡め合い、ざらざらとした感触を確かめ合う。交じり合う涎は上から下へ流れて唯里の口の中に溜まっていく。
「ん、はぅ……ん、んふ……ちゅぷ、ん、れろ……れろ……れろ……んんんっ」
涎を飲みながら唯里は熱心にキスを繰り返した。
もちろん、こうしている間にも腰を振ることを止めはしない。
子宮口まで犯しながら、唯里を絶頂まで高めていく。
「はふ、んふっ……あ、あ、あ、ん、んんんぅ♡」
熱い膣肉がペニスを吸う。
精液を欲しいと訴えてよがり狂っている。
そんな膣を乱暴に掻き回しながら、綾瀬は唯里が崖っぷちにいることを察する。
力強く腰を打ち付ける。
果ててしまえとメッセージを叩き付ける。
「はひっ、あ、あ、ひぎぃ♡ んあっ、あ、あ、ああ、い、イクっ!」
「いいぞ、イケ。そのまま果てろ羽波」
「は、ああ、ああ、ん――――い、ぁ、はあああああああああああ♡」
ひと際激しい嬌声を上げて、唯里は絶頂する。その唯里に追い打ちをかけるように綾瀬の精液が膣内に注ぎ込まれた。
「ふ……あっ、あはぁ♡」
びくんびくん、と唯里は嬉しそうな顔をしたまま痙攣した。
この日一番のオーガズム。
待ちに待った激しい絶頂で唯里は意識を手放しそうになった。大きな疲労感と満足感で心がいっぱいに満たされている。
「羽波、落ち着いたな」
「あ……はい、綾瀬さん」
しばらくして落ち着きを取り戻した唯里は、気恥ずかしそうに顔を反らす。
自分の言動が思い出されて羞恥心を刺激されたのだ。いくら身体を交えているとはいえ、ここまで理性をなくしてしまうとは思っていなかったからだ。
「まあ、羽波は変態だからな」
「はう……それは、あ、綾瀬さんが言わせたんです……」
「そうだけどな。どこまでが本心だったんだ?」
「知りません、そんなの」
唯里は顔を紅くしてそっぽを向く。
その可愛らしい反応に綾瀬は苦笑した。
「綾瀬さんは、今はゆっきーの担当なんですよね」
「そうだな。一応、専任ということになってる」
「しばらくは忙しい、感じですか?」
「そうでもない。何せ担当が一人だけだからな。まあ、この島はいろいろあるし、姫柊の仕事も生半可なもんじゃないから、何が起こるか分からんけどな」
「じゃ、じゃあ、その、また来てもいいですか? 時間を作って」
「それは構わないけど、お前だって暇じゃないだろ。今回は休暇で来たみたいだけど」
「そうですね。時間は作れるようにします。そのだから、また会えたら、その、今日みたいに……」
「また、次に機会にな」
「は、はい」
恥ずかしそうにしつつ、嬉しそうに相好を崩す唯里。
まるでそれは恋する乙女のような表情であった。
次の機会がいつになるのかは当人でも分からない。剣巫は忙しい職業だ。才能に左右されるだけに交代要員も簡単には見つからないし、休みも取りにくい。次の休暇がいつになるか見通しが立たないのが現状ではあるが、次に会えたら、というのがモチベーションにはなる。
唯里はこの日一日、綾瀬の家に「検査入院」してから、翌日の便で本土に帰っていった。