※この作品はR-18です。

TS百合短編集   作:くえん

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昨日行方不明になった分も含めまして、誤字報告適用致しました。してくださった方感謝です。この機能革命ですよ本当に…



10(後編)

 目が覚めると、俺は女の子になっていた。

 

 まさしく三流以下の書き出しで、もし俺が編集だったなら、一目見ただけで駄作以下の何かと弾くに違いない。それだけありふれており工夫の欠片もないこの表現は、限界を迎えつつある俺の精神がかろうじて捻りだした、端的で的確な現状の説明だった。

 

「くそ、なんだよこれ……」

 

 結論としては、亜美に促されて飲んだTS薬とやらは本物だったのだ。目が覚め、戸惑いと共に出て来た声と真っ白な肌、そしてTシャツの胸部を押し上げる何かの感触、更には心もとない股間の感覚に、俺は直前に飲んだ薬のラベルを思い出し、驚き慌てふためいた。

 

 何せ、身長こそ変わっていないが、体がいつの間にか女の体になっているのだ。亜美程ではないがしっかり胸は膨らんでおり、髪は勝手に伸び、何ならちょっと手触りが良くなってるし、声もかわいくなってる上、更には若干割れていた腹筋がなくなり、代わりに腰がくびれていたりと、押し寄せる怒涛の展開に理解が追い付かなかった。

 

 予想外の事態に動揺し、騒ぎ立てている当事者に対し、一部始終を見ていた傍観者はというと、極めて冷静だった。突然倒れた俺をベッドに横たえた後、変化の様子をじっくり観察していたらしい。ちなみに、変化は胸から始まり、そこから全身に波及するように変化していったという。なんでそんな冷静なんだ。

 

 そして今は何をしているかというと、似合わない洋服を全部引んむかれ、ベッドで仰向けに寝転ばされ、亜美に全身を観察されていた。

 

「……」

「う、うう……」

 

 新しい“俺"の造形を確かめるように、視線で全身をくまなく走査する亜美。無表情で真剣に俺を観察するのは結構だが、茶化す訳でもなくまじまじと見られるのは、いくら男とは言え恥ずかしいものがあった。これなら、まだからかってくれたほうがマシだ。

 

「あの、まだ服着ちゃだめですかね……?」

「ダメです。しかし、見事に女性の体になってますね。顔の造形も元の原型を残しつつ、体は確実に女性のものになっている。貴女の双子の姉妹と入れ替わったと言われたほうがまだしっくり来るレベルです。一体何を使えば実現できるのか、不思議でしょうがありませんね……」

 

 裸ということは胸も女性器も丸出しだということで、恥ずかしいところが全開なのである。付き合ってる女性に、男性器より先にできたばかりの女性器を見られてしまうのは、男として恥ずかしさの極みなのではなかろうか。しかも、まだ現実が受け入れ難く、本人すら見ていないあそこを見られているという事実が、より一層俺を羞恥地獄に陥れてくる。

 

 亜美だけ服を着ていることもあり、戸惑いより先に気恥ずかしさが勝ち、何だか妙な気持ちになってくる。

 

 多少恥ずかしがるのが当たり前なのに、じっとこちらを見続けている亜美に居心地の悪さを感じ、すっと視線を逸らしたその時。

 

 ぴとっ

「ひあッ!?」

「お腹に触っただけです。恥ずかしいから喘ぎ声出さないで下さい」

「あ、喘ぎ声じゃないっ!!」

 

 ひとりでに出た声に頬が熱くなる。相変わらず無表情ながら楽し気な様子の亜美にさすさすとお腹を撫でられ、くすぐったさにぴくぴくと全身が震えた。

 

「ん、んんっ……くふっ」

「ふむ、真尋の弱点にくすぐりはなかったはず。肌も色白になってますし、これはもしかしなくても、ピーリング処置した後のように皮膚が敏感になっているのでしょうね」

「なる、ほどぉっ」

 

 今までの人生で感じたことのないようなレベルのくすぐったさに、腕を噛み轡にしても声を堪えられず、ぽろぽろと漏れてしまう。

 

 その後も、ふにふにとお腹を押してみたり、胸を揉んでみたりと、全身を隈なく調べていく亜美。

 

 亜美にそういう意図がない事はわかるのだが、表面だけ擽る様なその触り方は、新生したせいで敏感になっている全身の神経を、否応なく高ぶらせていく。

 

 触診が粗方終わったころには息も絶え絶えで、全身汗でずぶ濡れになってしまっていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 早鐘のように鳴る心臓の鼓動が、頭に煩く響く。かいた汗は肌を伝いベッドに染み込み、僅かに甘い香りを発していた。

 

 嗅覚にとらえたのは、男の発する精悍さを感じる匂いではなく、まるで若い女性の放つ甘く怪しい香り。こんな甘ったるい香りを発しているのが自分だと理解が至ると、噴き出る汗の量はまた増える。

 

「この甘酸っぱい香りは、体臭まで変わっていると見ました。どうやら、体の中までしっかり女の子になっているみたいですね」

「いっそ、殺せぇ……」

 

 すん、と鼻を鳴らす亜美が視界に入ると最早羞恥の極みで、腕で目を覆い隠し現実から逃避した。しかし、この探求心の塊はそれでも逃がしてくれない。

 

 つつ……

「ひあぁッ!!」

 

 未だに直視できない下半身から、全身の神経に電流が走る。

 

 目隠しを解き慌てて下のほうを見ると、亜美は俺の僅かに毛の生えた女性器に指を伝わせ、周囲に浮かんでいる汗以外の何かを掬い取っていた。

 

「にゃ、にゃにをっ!?」

 

 焦りでろれつが回らない口で戸惑いを口にするが、亜美は止まらない。人差し指に乗った液体の匂いを嗅ぎ、口に含んで真剣にテイスティングをしていた。

 

「ふむ、味も匂いも愛液そのものですね。男性器から変化したらから匂いや味も違うと思ったら、そんなこともありませんし。恐らく、内臓まで女性の物に変化しているのでしょう。もし実用化されていれば、ノーベル賞は堅い世紀の発明ですね。そんなものを玩具の中に混ぜているのだから、とても興味深いわ」

「もう好きにして……」

 

 俺の抗議は実ることなく、羞恥心等よりも諦念の方が勝った俺は、すべてを投げ出したのであった。体の隅々まで徹底的に精査されたのだった。

 

 俺の大切な何かを犠牲にしたおかげで、亜美の好奇心は最後まで満たせたようである。

 

「満足しました」

「それは、何より……」

 

 最終的にM字開脚であそこを割り開き観察されるまでになった俺に、羞恥心など残っているわけがなかった。この部屋には鏡がないから見る術もないが、精神的に疲れ切ってベッドに肢体を投げ出した今の俺は、死んだ魚のような目をしているに違いない。

 

 ぐったりとした俺とは対照的に、肌をてかてかとさせている亜美は、ベッドの端に腰掛けながら、TS薬が入っていた瓶を持ち上げる。

 

「この薬を作った人間は紛れもない天才ですわね。これだけ急激な体の変化があれば、普通副作用があってしかるべきですが、心配していた副作用もありませんでしたし、ラベルの表記通りなら何の心配も無いでしょう。一安心ですね」

「もしかして、全身触ってたのはそういう……?」

「当たり前です。ふざけ半分で飲ませたつもりの薬がまさか本物だなんて誰も思わないでしょう。貴方の体に何かあれば一大事だと思い、真剣に調べていたのです。解放されてから詳細な検査は必要でしょうが、一先ず差し迫っての危険は無さそうで良かったです」

「亜美……」

 

 心外だとばかりに拗ねた表情の亜美に、俺は感動しきりだった。てっきり俺は、亜美が知的興味を満たす為に弄んでいたとばかり思っていたのに、そうではなかったのだ。俺の暫定恋人は、主人公がTSする物語にありがちな、そんじょそこらのTS女性の幼馴染とは格が違ったのである。

 

「勿論、女の子になった真尋に興味があったのは否定しませんが」

「そうだよね、まぁそれくらいはわかるよ」

「ただ触ってるだけで官能的な声を出してしまい、恥ずかしさで顔を真っ赤にする真尋が、それはもう可愛くて可愛くて。私は満足です」

「恥ずかしいから止めて……」

 

 と思ったらやっぱり違った。さも良い事をしたかのようにほっこりした表情をされても、された仕打ちに恥ずかしさがこみ上げるだけだった。表情を見られなくて、ベッドにうつ伏せになって顔を埋める。男の時とは違い、むにゅりと潰れる胸の感触が気持ち悪い。

 

 薬1本で性別が変わってしまう以上、それ以上の事が起こってもおかしくない今の状態で、すぐに危険はないとほっと一息つけたのは事実だった。

 

「ありがとう、亜美」

「元はと言えば勧めた私が悪いのですし、お気になさらず」

 

 笑みを湛えてこちらを見やる亜美のあまりの可憐さに、羞恥以外の感情で頬が染まるのが自分でもわかった。

 

 昔から無表情のイメージが強く、たまに受けているメディア取材でも営業スマイルの1つも見せないことから、仕事人だとか冷徹な美女とあだ名をつけられがちな亜美。

 

 高嶺の花に違いない美女が、俺の前でだけ見せる普通の女の子らしい表情。他の誰も見た事のない表情を俺が引き出せていることに、彼女が見せてくれている事に、俺は堪らなく嬉しくなってしまう。なんて単純な男なのか。

 

 だからこそ、俺は頑張りたいのだ。早く彼女の希望に添い、彼女の父に認めてもらって、大手を振って付き合えるように。その為に俺は頑張ってきたのだから。とんでもない目にあったが、お蔭でその目標を改めて自覚出来た。

 

 そうとなれば、一刻も早く男に戻りたい。女などになって寄り道している場合ではないのだ。

 

「さて、そろそろ男の体に戻りましょうか」

「え、戻れるの?」

「ええ、戻れますよ。その為に問題がないか、貴方の体を調べたのですから」

 

 俺の心を読んでいたように、タイミングが良い亜美の話に、俺はがばりと体を起こす。

 

 亜美はすっくと立ちあがると、TS薬の入っていたスペースに近づいて行く。

 

「この薬の効果は半永久的に続き、目立った副作用も体の変化に伴う倦怠感だけ。元に戻るなら、副作用が無いことを確認したうえで、変化してしまったときとは逆の薬……つまり、女性用のTS薬を服用すれば良いんです」

「なるほど、完全に女の体になってるから女性用で良いのか……」

 

 聞けば納得だが、戻るためとはいえ女性用を飲む羽目になるのは若干複雑だ。

 

 亜美はTS薬を手に取り、ラベルの注意書きをのぞき込む。

 

「でも、それこそ副作用とかあるんじゃないの? さっき飲んだばかりだし」

「注意書きには特には。むしろ、元に戻る場合は飲めと説明に書かれてますし大丈夫でしょう。まぁこれが嘘なら大問題ですが、今更こんなところで嘘をつくメリットなんてありませんし……」

 

 亜美の説明に、俺は納得に納得を重ねる。確かに、俺たちをここに閉じ込めた犯人の事を考えると、その可能性も薄いのは当然だった。今までの携行から察するに、この愉快犯はただ2人をこの密室に閉じ込めるだけで、俺たちに直接手出しをするわけじゃないのだから。

 

「しかし、面白半分で互いに飲まなくてよかったですね。もし飲んでたら、性別が入れ替わった状態で外に出る羽目になりましたし……」

「本当にね」

 

 俺も亜美が男になった姿に興味が無いわけではないし、飲まされた腹いせに飲ませ返してもおかしくない。亜美が語る光景も実際に十分あり得た未来であり、俺はぞっとした。だって、男女入れ替わってるってことは、仮に亜美と結婚することになれば、女になったままの俺は男になった亜美とセックスして、最終的には子供を産むってことになる。想像できないレベルの話じゃないのがまた、ぞっとしない所だ。

 

「そうですね。視界が埋まるほど性玩具はあるくせに、コンドームは1つも見当たりませんし、ここでヤってしまえば子供ができてしまう可能性も無きにしも非ず。そうなれば、元女社長が元男の恋人を孕ませて、責任取って出来婚、だなんて、醜聞が……」

「どうしたの?」

 

 徐々に言葉尻が弱くなる亜美を不思議に思い、薬棚の前で立ち止まる彼女を見やった。彼女は返事も返さず、俺が飲んだ薬の片割れを持ち上げたまま、フリーズしていた。

 

 感情を見せないための無表情。仕事中や気を許していない人間がいるときに浮かべているその表情は、今時時代錯誤な、帝王学だとかいうよくわからない教えを父親から受けてきたせいで身についた、彼女の悪癖だ。

 

 長年被った仮面の下の感情は、普通の人間では察するどころか想像すら出来ないだろう。だが、小さな頃から接してきた俺なら、彼女の微妙な感情の揺れも読み取ることができる。

 

「あ、亜美……?」

 

 読みとれるからこそ、俺は困惑していた。憶測でしかないが、何故か彼女は今、人生を左右するレベルの大きな決断をしようとしているようなのだ。

 

 なぜそんなことを断言できるのかというと、過去見たことがあったからだ。俺が切り出した別れの言葉を聞いた彼女が聞いたその時。20年を超える付き合いの中で、たった一度だけ、見た事がある亜美の表情に、嫌な予感が走る。

 

「……」

 

 俺の問いかけには答えず、彼女はもう一本別の薬瓶を手に取ると、俺に歩み寄り、二本の薬を差し出した。

 

 右の手のひらに置かれているのは、一本は最初に飲んだピンク色の物とは対照的な、青いラベルの薬。亜美の話通りなら、飲めば男に戻れるという、俺が求めてやまない物だ。

 

 だが、左手に乗っている物がどう考えてもおかしい。中身がピンクで、『狙った女を絶対に堕とす!!』、『女性が雌に変貌する……!!』等と怪しげな文言が踊る、『姫殺し』と銘打たれた小瓶。どこからどう見ても、立派な媚薬だった。しかも女性用。

 

「え……?」

「選んでください」

「選ぶって、何を? どちらを飲むかってこと?」

 

 こくりと頷く亜美に困惑しながらも、俺はTS薬の方を指さした。

 

「どちらって、そりゃこっちだよ。俺は男に戻りたいし、どちらにせよ、女同士のままじゃここから出られないし」

 

 当然だった。確かに、この体でやり残したことは多い。折角女の体になったからにはやってみたいことはあるし、多少勿体ない気もするが、亜美が同じ部屋にいる状況でやれることではないのである。

 

 先ほどの彼女の表情は、俺の気のせいだったのか。

 

 ふざけているのかと思い、溜息をつきつつ窘めるように喋っていると、亜美はそうではないとばかりに首を降る。

 

「確かにその通りですが、もっと広く捉えてください」

「広く……?」

「そうです。私が聞きたいのは、この2本のどちらを飲むかではなく。男に戻るか、女性のまま生きるか、という話です」

「えぇ……」

 

 やはり、真面目なふりをしてふざけていたパターンだったようで、大事だと覚悟して緊張していた体に、どっと疲れが来た。大方、媚薬を見つけて俺の痴態を想像し、男に戻すのが勿体なくなった、といったところか。俺の制止も聞かず、嬉々として全身を弄っていた事を思い返すに、この展開も当然といえば当然かもしれない。

 

 先ほどは俺の体の確認、という名目があったとはいえ、今回ばかりは許すわけにはいかなかった。

 

 媚薬を飲んだとなると、先の身体検査以上の事に発展することは間違いない。既に十分恥ずかしい姿を晒している気がするが、仮にも男として、女の体でイク姿を彼女に見られるのは気まずいどころの話ではなかった。

 

 俺に被虐趣味はないし、至ってノーマルな性癖しかないのである。

 

 いい加減にしろ、と口を開こうとしたが、批判の言葉は紡げなかった。至極真面目な表情の亜美を見て、冗談ではないことを察したからだ。

 

「……なんでそんなことを言うのさ」

「真尋。貴方は、あの日の事を覚えていますか?」

 

 俺たちの間で『あの日』という言葉は、ある一日の事を指す。

 

 彼女に交際を申し込み、快諾された翌日。どこからか話を聞きつけた彼女の父親に呼び出され、関係を断つよう脅しを受け、悩んだ末に別れを切り出したその日。

 

 先程思い出したばかりの、すっと冷え切った彼女の表情が、再び脳裏に蘇る。

 

「当たり前だろ。亜美に告白した、次の日だよな」

「では。私が駆け落ちしようと言ったことも、覚えていますか?」

「……それも覚えてるよ。忘れるほうが、どうかしてる」

 

 あんな父親の事を聞く必要なんてない。

 

 二人で駆け落ちしよう。

 

 彼女が言った言葉、そして自分がした返事は、昨日のことのように思い出せた。

 

「あの男の人を見る目は確かです。真尋が家族の事を大切にしていて、それを盾に取れば、たとえそれが嘘だとわかっていても逆らえないことを、よく理解しています」

 

 ギリ、と歯ぎしりをする亜美。

 

「あの男の考えることなどお見通しです。きっと貴方に、事あるごとに“責任"という単語を繰り返したことでしょう。会社が潰れたらどうする気だ、路頭に迷う人間にどう謝罪する気だ、などとありもしない事の責任を押し付けた挙句、その覚悟がないなら娘のためにも退け? 私を出汁にして真尋から別れを切り出させようようとするなど、言語道断です!! どうせ自分が選んだ人間しか認めない癖、もっともらしく別れさせるために小細工を弄する性格に、心底反吐が出る……!!」

 

 当時の事を思い出したのだろう、怒りのあまり全身を震わせている亜美の視線は、壁を貫き、どこかにいる彼女の父に向かっていた。

 

 しばらくそのまま見つめていた彼女だったが、ふっと怒気が収まると、俺へと視線を戻す。

 

「あの時、私が駆け落ちを提案しても、真尋はうんと言ってくれませんでしたね」

「それは……」

「いいのです。私も、うんと言ってくれるとは思っていませんでしたから」

 

 彼女は言い淀んだ俺に対し、攻めているわけではないのだとすかさず補足する。

 

「そう、真尋はそんなに無責任な人ではないのです。そんなところで、すべてを投げ出すような人間ではないのです。だからこそ、真尋が自らの夢と私の願いを叶えるために、頑張ってくれていることは一番身近で見てきた私がよく知っています。筋を通し、成果を挙げることで正々堂々と私の父に認められようとしてくれていることは嬉しいですし、心から応援しています」

 

 でも、と目を伏せた彼女は続ける。

 

「その一方で、父があなたの事を認める事がないことも、私はよくわかっているのです」

「亜美……」

 

 彼女の熱に押され、引け目のある俺は黙り込む。

 

「ずっと、考えてきました。どうすれば貴方と結ばれることができるのか。あの男に、私達の交際を認めさせることができるのか。散々考えてきて様々なことを実行しましたが、須らくうまくいかず、最近では見合いを強制される始末です。そうした時に、戯れにこう思った事があったのです。どうして私と真尋は、女と男だったのか、と」

 

 唐竹を割ったように直截な言い方を好む亜美にしては迂遠な言い回しと、目の前に差し出されたそれらが頭の中で結びつき、俺は理解してしまう。亜美が今、何を言おうとしているのかを。

 

「もし私が男で真尋が女性だったなら、手をつないで、キスをして、好きに愛し合って良かったはずなのです。そう、男児が家を継ぐべきなどとくだらない事を言っているあの男ならば、結婚して家に来るのが花婿ではなく花嫁なら、諸手を挙げて歓迎されていたはず。そう、父に何を言われようと、私がもし男なら。何をしても、私がすべての責任を取れるのです」

 

 熱に浮かされたように、彼女は言葉を紡ぐ。

 

「今までは、空想の中の話にすぎませんでした。IF、もしもの話でしかなかった。でも、妄想でしかなかった出来事を、実現する機会が目の前にある。今すぐ貴方と結ばれることが出来る手段が、私の手の中にあるのです」

 

 思いもしなかったも無かった考えだが、確かにそうかもしれない。

 

 彼女の父が俺に語っていたのは、亜美に取り入って新堂グループを手中に収めようとしている男に対し、説教や忠告をかましているかのような口調と内容だった。

 

 幹部層はともかく、トップの経営陣は家族経営に近い形態を取っている新堂グループならば、確かにそう危惧するのも頷けない話ではない。事実、彼女の夫の座を射止めたものは、将来の総帥を約束されるとまで言われているのだから、あながち間違いではないのだ。

 

 そう考えれば、会社を任せられると思った人材以外の結婚は認めるはずがなく、経営など考えたこともない俺では到底無理な話である。つまりは、いくら俺が料理の世界で台頭しようと、彼女との結婚には結びつかない、ということになる。

 

 俺の頑張りは、俺自身の夢を実現することは出来ても、彼女との幸せには繋がらないのだ。

 

「俺が男に戻らないままの方が、全部上手くいくと?」

「100%そうだとは言ってません。私達が普通にセックスして、既成事実だけを作って帰っても、不可抗力という言葉が使えますし、貴方との結婚はぐっと近づくはずです」

 

 でも。

 瞳を通して語り掛けてくる。語らずとも、言いたいことは伝わった。

 

「俺が女で、亜美が男の方が、万事うまくいく、と……」

 

 視線を薬に戻す。

 

 亜美の言うことには概ね同意するしかない。単純に考えれば、そうすれば世間体も何もかも全てが解決するのだから、彼女が提案するのもわかる。

 

 このまま悲恋で終わる可能性がある今より、男になってでも俺と結ばれようとする亜美の気概は、視線に宿った感情の深さで理解した。

 

 自惚れでなければ、俺と彼女は両想いだ。彼女の父に何を言われようと、諦める気が無いのはお互い一致した意見の筈。

 

 男としては情けない限りだが、散々待たせている身としては、彼女の決意に応えてやりたい気持ちはある。だが、俺個人として、どうしても最後の一歩を踏み出せない理由があった。

 

「この得体のしれない薬は、世間には流通していない物です。もう手に入らない可能性がある以上、これを飲んでしまえば最後、元に戻れる保証はありません」

「後戻りはできない、ってことか」

 

 そう、この質の悪い部屋にあった質の悪い薬の出どころがわからない以上、この機会を逃せば、俺が男に戻れるチャンスはほぼないのだ。加えて、俺だけでなく亜美まで飲んでしまえば、被害者は更に倍となり、二人が元に戻れる可能性はもっと低くなる。

 

 これは、俺が男に戻るか戻らないかという簡単な二択ではなく、既成事実だけ持って元の人生に戻るか、性別が入れ替わった状態で戻り、大義名分を得て婚姻まで一気に認めさせるかという、似ているようで大きく違う二択なのだ。

 

 ノータイムで選べるはずの2択が、2人の人生を左右する重大な決断に早変わりしてしまい、俺は決断できないでいた。

 

 とはいえ、俺自身に関してはどうでも良かった。若干の心残りはあれど、彼女と一緒になれるのであれば後悔はない。一番気にしている要因は、彼女の方だ。

 

「……仮に、の話だ。亜美は一生男になって、相手が女の俺で良いわけ? その、普通に考えたら、女の幸せってやつは味わえない可能性もあるわけだけど」

 

 そも、築き上げた社会的地位や生活基盤で遥か上に行かれていることから、今更男としての甲斐性を振りかざす気はないが、この質問は重要な事だった。俺だって、男として彼女を満足させたい気持ちくらいあるし、彼女がそう思っていてもおかしくない。彼女を気遣ってそう尋ねた俺だったが、心配は杞憂だった。

 

「愚問ですね。私が生涯を添い遂げようと思う人間は、後にも先にもあなた一人だけです。それは例え、貴方が女性であっても同じこと。私の幸せは貴方と一緒に居ることなのですから、子供はどちらが産もうと関係ありません」

「普通、男が言う台詞だと思うんだけどな……」

 

 完敗だった。何の躊躇いもなく言い切った亜美に俺は降伏し、左手に乗った媚薬を手に取る。亜美は嬉しそうに微笑むと、残った方の薬瓶を両手で持ち、パキリと蓋を開く。

 

「逆に覚悟は出来てますか? 今から真尋は、とんでもなくイケメンになった私に抱かれるんですよ?」

「いや、覚悟はまだなんだけどさ。その無類の自信はどこから来るの……?」

「何故って、私の家系は美男美女ばかりですし。父方と母方、どちらに似てもイケメン間違いなしですよ」

 

 イケメンになる事を疑いすらしていない亜美は、躊躇なく一気に中身を煽った。

 

 確かに、亜美の家は会う人会う人、美人だらけである。父母は勿論、祖母や祖父まで整った容姿をしているだけに、期待は持てそうだ。だが、心は男のつもりの俺からすれば大きなお世話である。

 

「イケメンは結構だけど、出来たら中性的な感じでお願いしたいな……亜美だと頭でわかってても、男に抱かれるってのはやっぱり拒否感が……」

 

 薬がちゃんと効けば、中身は亜美であっても外見は普通の男になる。言ったからには覚悟は出来ているものの、想像するだけでも寒気が走るし勘弁してほしいのが正直なところだ。できるだけ拒否感を和らげるためにも、元男に配慮してマイルドな感じでお願いしたいものである。

 

 喋っている間に飲み干した亜美は、空き瓶を仕舞い込むと、何処からか取り出したハンカチで口元を拭う。

 

「そう言われましても、私にはどうしようもありませんよ。私のDNAに聞いてください」

「わかってるんだけど、亜美ならどうにか出来るかなって……それでどう? 眩暈とか、どこか変な所とかは無い?」

 

 俺の記憶通りだと、飲み終えた直後に意識がなくなったはずである。作用が男女で同じならば、亜美も昏倒してしまうのではないかと心配で声を掛けたのだが、亜美は緩やかに首を振る。

 

「今のところは全く。貴方のように意識が遠のく気配もありませんし、体が痛むこともありませんね」

「え。まさかとは思うけど、あんな決意しといて、やっぱりなしってオチじゃないよな?」

「そんな締まらない事あります? 私の一世一代の告白は何だったんですか……」

 

 優に一分は過ぎているのだが、未だに変化の兆候は無く、お互いに透かされた気分にさせられていた。

 

 なんだそれ、まさかここにきて効果なしなのか。気合を入れて媚薬を手に取った俺の気持ちを返してほしい。しかも、単に俺が女になって終わったら、ただ結婚への障害を増やしただけで、女になり損である。

 

 そもそも、なんで俺媚薬なんて受け取ったんだ。よく考えなくても、男に戻らない選択肢をとるにしたって媚薬を飲む必要なんて無いのである。なんでこれ渡されたんだ。

 

「なぁ、なんで俺媚薬持たされて……って、どうしたの亜美?」

 

 一足先に冷静になった俺が媚薬について抗議しようとすると、亜美は首をかしげて自分の全身を眺めていた。

 

「いえ。言葉にはできないのですが、どうにも違和感があってですね」

「だ、大丈夫なのか!?」

「もしかすると、男女で効果時間に差があるのかもしれませんね。効果のメカニズムはわかりませんが、精巣等の男女で違う臓器系の変成等で時間に差異が――」

 

 遅れてやってきた変化の兆候に焦る俺とは対照的に、冷静に考察を重ねていた亜美の言葉がふと止まる。訝しんだように眉を潜めていたが、違和感の原因を閃いたらしい亜美は、突然スカートをめくりあげる。

 

「ふぇぁっ!? 何してんの、って、え……」

 

 唐突な痴女行為に目を背けようとするが、好意を寄せている女性のエロティックな姿というのは、抗いようのない興味をひいてしまう。顔を横にそらす中で、好奇心と性欲には勝てず、ちらりと見てしまった。そこには俺が期待した通りの光景が広がっていたのだが、同時に強烈な異物感も同居していた。

 

「ふむ……直接見たのは初めてですが、中々にグロテスクな見た目をしていますね」

 

 亜美のデリケートゾーンを守護している布切れは、想像通りの瀟洒でデザインの良い物であるが、その小さな衣類は今、中から出てきた物ではち切れんばかりに伸び切っていた。

 

 勿論、亜美が今の一瞬で急激に肥えた訳ではない。僅かに見えている真っ白な肌のお腹は、ほっそりと引き締まっているし、日頃スーツを着こなしているスマートな彼女の印象を損なうものでは無かった。では何かというと、原因は股間から生えている何かだった。亜美が持っているわけがなく、俺がつい先ほど失くしたばかりの物。ありていに言えば、ご立派なペニスが生えているわけである。

 

「え、いや、ええ……!?」

「おかしいですね。真尋の場合変化は胸からだったはずですが、私は股間からですか。多少の差異はあるにしろ、あまりにも他の変化が遅すぎます……もしかして、私には効き目が悪いのでしょうか」

 

 慌てふためく俺とは裏腹に、極めて冷静に考察を重ねる亜美。大規模な改修が入った俺とは違い、股間の一部だけというピンポイントな変化に留まった亜美は、生えてきた男性器を興味深そうにまじまじと観察している傍ら、飲んだ薬瓶の但し書きを読み始めた。するとしばらくして、亜美は落胆した表情とともにああ、と納得の声を上げる。

 

「そういうことですか……」

「何かわかったの?」

「ええ。当薬の効果には個人差があり、特にAB型の方には効果が薄く、一部変化しか現れないケースがあります。予めご了承ください、だそうです」

「つまり?」

「これ以上待とうと、私が男になることはないということです」

「そ、そうなの……」

 

 事ここに至って効果には個人差がありますとは、肩透かしというか何というか。効果は非科学的なくせに、妙なところで現実的で、若干納得がいかない。

 

「でも、むしろこっちの方が良かったじゃないか。俺的にもそのままの姿の方が安心できるし、二人とも姿が変わってたら、帰ってから俺たちがどこの誰なのか証明しようがないだろうしね」

「それもそうですね。DNAまで変わっているのでしょうから、何をしようと証明できない可能性は非常に高いですし、結果として良かったのは間違いなかったのですが」

 

 とはいえ、この方が好都合なのは間違いない。

 

 男になった亜美に抱かれるより背徳感は薄れるし、俺の精神衛生上大変よろしい。男に迫られるのと女の子に迫られるのでは、ハードルがかなり違うのだ。

 

 少し安心した俺とは裏腹に、落胆を隠せない様子の亜美は、深い深いため息をつく。

 

「いささか消化不良ですね。やるからには、私がタキシードで真尋にはウエディングドレスを着せる気でいたのですが、このままでは二人ともウエディングドレスを着る羽目になります。どうしましょう、夫婦でペアルックのウエディングドレスというのは、現実的にありなのでしょうか? それとも、竿役は私ですし、私がタキシードを着るのが正しいのですかね。どれも面白そうなだけに、とても悩みます……」

「普通に俺がタキシードで良いでしょ。それに、お嬢様が竿役とか下品な言葉を使わない!!」

 

 未だに俺自身の容姿がわからないために、頭の中で繰り広げられる想像図は、男の姿の俺に真っ白なウエディングドレスを当てはめたものになる。ぞっとしない光景になるのも当然で、ウエディングドレスを着るなんてごめんだった。

 

「そんなに可愛らしい容姿でタキシードを着るおつもりですか? 馬子にも衣装って言葉知ってます?」

「え、そんなに子供っぽい容姿なの? 今から見るのが怖いんだけど……」

「制服を着たら完全に学生で、ウエディングドレスがぎりぎりアウトくらい、私たちをパッと見た時、百人が百人、真尋がネコで私がタチと答えると思う、って言ったらわかります?」

「マジか、そんなレベルなのか……」

 

 ウエディングドレスですら浮きそうなレベルなのに、タキシードなんて着た日には、完全に『背伸びした子供』になるぞ、と亜美は言っているわけである。要するに、今の俺は、新卒感丸出しの女子くらいの容姿をしているのだ。亜美が言わんとする程度を察し、俺は愕然とした。

 

 改めて手を持ち上げ、眺めてみる。日焼けしたことのなさそうな白い肌に、男の時と比べて随分と細く、頼りなくなった四肢。触り心地の良さそうなぷにっとしたお腹と、すっかり寂しくなった下腹部は、成熟していなくとも十分女性的で。

 

「そうか、今は女なんだよなぁ……」

 

 ぽろりと零れた情けない声も、これまた可愛らしく、今更ながら、本当に女になってしまったのだと自覚させられ、心中には複雑な感情が入り乱れる。

 

 戯れで飲んでしまった事が原因とはいえ、この決断は間違っていなかったのか。亜美は、これで本当に納得しているのか。雰囲気に流され、お互いに間違った決断をしてしまったのではないのか。

 

 薬はもう無く、後戻りできない事が、思考の迷走に拍車をかける。

 

 ぐるぐると思考が堂々巡りを回り始め、鬱々とした気分に身を任せそうになる中、左手から伝わった熱に、反射的に顔を上げた。

 

「亜美……」

 

 目を上げ俺の隣に腰かけた亜美は、優しく微笑みながら、両手で俺の小さな手を包み込む。

 

「私はどっちでも構いませんよ。私が真尋を好きになった理由は、容姿じゃないですから。貴方の魅力は、初めて会ったばかりの泣いてる女の子の為に料理を練習してくれる、真摯な姿勢です」

「あ……」

 

 ふと、忘れていた光景が頭にフラッシュバックした。俺と彼女が出会い、俺が料理人を志すきっかけとなった、その光景を。

 

 幼稚園の交流会で、一人お弁当を食べていた彼女。お金持ちの両親は、彼女の為に大層豪華なお弁当を用意していたが、それ故に浮いてしまい、一人寂しそうに食べていた彼女が可哀そうと、俺が近づいて声を掛け、1つ約束をしたのだ。手作りの料理を食べたことのない彼女に、俺が弁当を作って来てあげる、と。

 

 それから仲良くなった俺達は、通う学校は違っても、会う機会を作り、俺は弁当を渡し続けた。年齢を重ねる度に次第にレベルアップしていった内容は、繰り返していく内に習慣となり、弁当から手料理、そしてコース料理にまでシフトしていき、日常的な行為となる。そのせいで俺はすっかり忘れてしまっていたが、俺の無意識は約束を覚えていたのだろう。今も昔も、彼女の喜ぶ顔が俺の夢の原点だったのだ。

 

「どんな形であっても、真尋が隣に居てくれる。それだけで、私は幸せですから」

「亜美……」

 

 恥じる様子もなく、まっすぐに俺を見つめる亜美に、迷いはない。

 

 彼女の言葉に答えるように、亜美の両手に空いた右手を重ねる。

 

「そうだな。弁当を作ってやるくらい男でも女でも出来るし、亜美が良いんなら俺もそれで良いよ」

「ふふ、あの約束、覚えててくれたんですか?」

「今の今まで忘れてたけどな」

 

 いたずらっぽい笑みに苦笑で返す。けなげに覚えててくれた亜美には本当に悪いことをした。文句を言われても仕方ないだろう。

 

「でも、もう忘れないから。約束したからには、最後まで責任を取るよ」

 

 亜美との関係は、障害が多すぎて中々発展せず、結婚どころか正式に付き合う事ですらいつか実現したい、で留まっていた。

 

 しかし、亜美の話を聞き、彼女の思いを再度知り、性別が入れ替わってでも実現したいという彼女の決意の固さを知り、俺は今度こそ覚悟を決めた。

 

 若干話が逸れたり脱線もしたが、今度こそ。

 

「俺と、付き合ってくれないか。そして、結婚しよう」

「……嬉しいっ!!」

「わっ」

 

 ぱっと明るくなった表情に、華やぐような雰囲気の亜美は、俺をベッドに押し倒した。

 

 彼女のうるんだ瞳に、うっすらと今の俺の顔が映っている。目元のぱっちりとした、少女然とした容姿の女の子は、嬉しそうに微笑んでいた。

 

「やっと、言ってくれた。もう二度と聞けないかと思ってた」

「ごめん……」

「私も悪いんです。貴方は関係ない、これは私と真尋の問題だと私が断言出来ていれば、あんなことには」

「障害がある方が恋は燃えるっていうだろ? 終わりよければ全て良しさ」

「……そうですね。ここから脱出するためではなく、気持ちが通じ合った上で同衾出来るのは、とても嬉しい事です」

 

 押し倒した状態のまま、ぎゅっと抱きしめてくる亜美。

 

 押し付けられる亜美の柔らかな感触と、むにゅり、と押し潰れた自身の胸の感覚が同期し、奇妙な心地だった。

 

 ゆっくりと近づいてくる亜美の顔に、俺は何をされるのか理解し、目を瞑り……

 

「でも、責任を取るのは私ですからね。今から私が真尋の処女を貰って、中出しして一発で胎ませて、真尋のご両親にこう言うんです。お嬢さんと結婚させてください、ってね」

「え、なにそれ聞いてな、うむっ!?」

 

 驚いて目を開いた隙に、亜美は俺の唇を奪い、二度目のキスを交わした。あの時は逆で、突然の彼女は積極的に舌を絡ませてくる。困惑に困惑が重なり、反射的に押しのけそうになるが、思いとどまった。

 

 女である、ということを受け入れるとはこう言うことだ。冷静なようで、直情的な彼女の性格を知らない訳ではない。そして、けっして俺も嫌じゃなかった。

 

 びっくりして硬直していた体のこわばりが抜ける。俺を抱きしめるように両手を背中に回してきた彼女に答えるように、俺も彼女の腰に手を添え、きゅっと軽く抱きしめる。

 

 やっと亜美と思いを遂げられる。嬉しさに浸り、俺はゆっくりと全身の力を抜き、彼女の成すがままになるのだった。

 

「愛しています、真尋」

「俺も。愛してるよ、亜美……」

 

 どちらともなく出た言葉に、俺たちは嬉しさが零れ、笑いあったのだった。

 




次回、間に合えばエロシーン、間に合わなければエピローグになります。絶賛体調不良の中で間に合うのか、待て次回!

(もし、書くとするなら)次のうちどの蛇足が見たい?

  • 幸平と美衣
  • 慶介と恵里佳
  • アキと凪咲
  • 真尋と亜美
  • TSしちゃった連合の飲み会話
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