※この作品はR-18です。

TS百合短編集   作:くえん

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ちゃんとした新作の方です。エロは後編にて!


運命の相手は、ふたなりサキュバス!?
前編


 双子の兄妹であるシージとアメリアは、最近名を上げてきた有力な二人組の冒険者である。

 新進気鋭である彼ら二人、通称『双魔双剣』の売りは、双子ならではの息の合ったコンビネーションと、双方が近接戦闘と魔法を高レベルで扱えることだ。

 基本的には、兄であるシージが前衛、妹のアメリアが後衛を務めている。オーソドックスな役割分担だが、たった2人のパーティで成立することは、相当の実力がないと難しい。

 何せ、多人数のパーティでさえ、多勢に無勢で前衛が抜かれ、パーティ崩壊の危機に陥るのは、どんな熟練パーティでもよくある話だ。

 だが、オークを一撫でにするシージと同等の剣術を使えるアメリアと、魔獣の巣を一撃で掃討できる魔法を放てるアメリアと同質の資質を持つシージにとっては、無関係の出来事である。

 クランを組まず少人数で行動する冒険者達の中では、中堅どころか現役でも一二を争うのは間違いない。その実力は、国からの指名依頼を幾つも受けていることからも証明されている。

 アメリアとシージの実力は、彼らの弛まぬ努力の賜物……であるのは間違いないが、その強みにはからくりがある。『共有』という、珍しいスキルを持っていることが原因だ。

 双子である彼らは、元々一般的な双子よりも互いの考えていることがわかる方だった。『共有』というスキルはその域を超え、二人の意思そのものを共有することで、喋るどころか思考無しに連携することが出来、更には互いの技術や才能も扱えるようになるという、類まれなレアスキルだ。

 スキル使用中は、五感も共有しているため、怪我や毒を受ければそれも共有してしまうという弱点も存在している。使用時間が長ければ、お互いの性格や記憶が混ざってしまったりと、副作用も少なくない。だが、多少腕が立つだけの彼らをたった数年で一線級の冒険者に押し上げた事から、短所を補って余りある強力なスキルであることは明白である。

 物怖じしない性格で、男女問わず距離を詰めることの出来るアメリアと、自己主張は控えめでも、貴族を相手に出来る教養を持つシージの組み合わせは、ありとあらゆる意味で抜群の相性である。正に、冒険者になるべくしてなった二人と言えよう。

 

 

 

 普段は王都に居を構え、日々様々な方面からの指名依頼を受けている彼らだが、今回はピンチヒッターとしてとある村に足を運んでいた。

 

「もう、久しぶりのオフだと思ったのに……」

 

 良く焼けた小麦色の肌に、肩より少し上で切りそろえられた黒髪の少女は、活発そうな印象とは裏腹に、重苦しい表情でそうぼやいた。

 動きやすい軽鎧にコートを羽織り、腰に小剣を帯び片手にスタッフを持っているのは、妹のアメリア。いつもは明るく無邪気な表情が若干陰っているのは、指名依頼続きの二人にしては珍しく、しばらく休みだったところに依頼が舞い込んだせいである。

 

「仕方ないさ。冒険者にとって人狼症は他人事じゃないし、困ってる時は助け合いだ」

 

 しょんぼりと肩を落としているアメリアを慰めるのは、兄のシージ。精神的な疲れも手伝い、ふらふらと道を左右に行き来しているアメリアとは違い、全身を覆う重鎧を身に纏いながら足取りがしっかりしているのは、日頃の訓練の賜物だろう。

 

「うん……頭じゃわかってるんだよ。ミラーさん、最近奥さん孝行してなかったみたいだしさ、いい機会だしゆっくり休んでねって心から思ってるんだけど……やっぱり、私もお休みしたかったんだよう」

 

 狼系統の魔物から傷を受けた場合、極稀に発症する事がある人狼症。どんな種族でも、罹患すると獣人の様に狼化してしまう感染症である。対処が遅れ進行が進んでしまうと、最終的には完全に狼と化してしまう恐ろしい病気だ。だが、魔法が部族の固有技術として一般化していなかった遥か古代なら兎も角、医術と医療魔法が発達した現代では、適切な治療を受ければ完治する一般的な病気である。

 とはいえ、発症すると性格が野性味に溢れてみたり、性欲が増進してみたりと荒ぶってしまうため、仕事を休みしばらく療養に努めるのが一般的だ。冒険者であろうと、それは例外ではない。

 そんなこんなで、彼らがルーキーの頃お世話になった先輩が依頼をこなすことが出来なくなってしまったため、その代打として立候補したのが、今回こうして山道をトボトボ歩く羽目になっているいきさつである。

 

「あーあ。予約してた限定プティングも、楽しみにしてたミリアールさんの新作劇も、一体何処へ……」

「終わったら俺も付き合ってやるから、元気出せって」

 

 しょぼしょぼと歩くアメリアを励ますように声を掛けるシージ。だが、慰めの言葉は逆に追い打ちになってしまったようで、振り返ったアメリアはカッと目を見開きシージの肩をつかむ。

 

「帰ってからじゃ遅いんだよぉ!! プティングも劇も期間限定だったから、帰るころには終わってるんだもん。オークキング速攻討伐出来て奇跡的に間に合ったと思ったのに、あんまりだよ……」

「やけに張り切ってたと思ったら、理由はそれかぁ」

 

 理由を聞けば納得ではあるが、冒険者たちが聞けば崩れ落ちること請け合いの返答に、シージは思わず天を仰いだ。

 基本的には良い子だが、どこか浮世離れした雰囲気のあるアメリア。

 流石に、笑顔で魔物を殺したりするサイコパスではないが、戦闘中に緊張感のない顔で魔法を放つことなどよくあること。いくら後衛だとはいえ、組んだ他パーティからもっと何とかならないかと苦情を受けることもよくある。

 そんなアメリアが、前回受けていた依頼でオークキングと相対した際は、かつてないほど真剣な表情を浮かべていたのだ。てっきり被害を出しているモンスターへの義憤からだと思い、すっかり冒険者らしくなったなとシージは感心していたのだが、よくよく思い返せば、『共有』を使った時に若干不純な感情を感じたかもしれない。

 僅か数分の差とはいえ、一応の兄としては今後が不安で仕方ないシージだったが、やることさえやればどんな人間でも評価されるのが、冒険者の良いところでもある。

 

「お兄ちゃんだって、無駄に高いお金払ってお見合いする予定だったじゃん!! 少しもイラっとしたりしてないの!?」

 

 カッ、と目を見開きシージに詰め寄るアメリア。

 兄への心配半分、自分ばかり悪態をついていることに気づいた気恥ずかしさ半分で、アメリアは冷静に振舞うシージを煽りだした。

 

「うーん、してない事は無いんだけどな……」

 

『能天気のアメリア』と『独身のシージ』とは、悪口で良く上がる二人の別名であった。

 2人は幼い頃、口減らしで村から追い出された経験を持つ。スキルを活かし冒険者となった事で、何とか生き延びることが出来ているが、家族と言う存在について完全に諦めたアメリアに対し、自分こそは幸せな家庭を築きたいと思ったシージ。

 だが、冒険者は出会いが少ない上、そもそも彼らは指名依頼などで忙しい為にあまり時間も取れないという悪循環に陥っている。現に、今回もそれなりのお金を払ってセッティングしたお見合いをスルーする羽目になっているのだ。シージとしても、マイナスな感情が全くないかと言えば嘘になるだろう。

 

「もしかしたら、今度こそ私のお姉ちゃんになる人だったかもしれないよ!? まぁ無駄だったと思うけど」

「悲しい事に我ながらそう思うけど……だからって、ミラーさんが困ってるのに放っておく訳にはいかないだろ?」

「そりゃそうなんだけどさああああ!!」

 

 一理ある、と頷くシージに追い打ちをかけるアメリアだったが、結局話は堂々巡りである。

 欲望に忠実なアメリアだが、だからと言って困っている知り合いを放っておくほど人でなしではないのだ。

 

「もう!! こうなったら、今から戦う魔物に鬱憤全部ぶつけてやるんだから!!」

「まぁ、程々にな……」

 

 立て続けに入り込んだ高難度討伐や指名依頼をさばききったと思ったら、この代打依頼である。

 シージも思う所が無い訳ではないが、自分より怒りに燃えるアメリアの姿を見ては、怒るに怒れないというのも事実。

 

「気晴らしくらいにはなってくれればいいけどな……」

 

 今回の依頼は、山小屋に住み着いたインプの討伐。この程度の魔物であれば、本来『双魔双剣』が出るまでもない依頼だ。高位の魔物の使いであることもあるので油断はできないが、よほどのことでもない限り気を抜いても問題ないだろう。

 ふんすと鼻息荒く山道を歩きだしたアメリアの後ろ姿にため息を吐きかけつつ、シージも重い足取りを進めるのだった。

 

 

 

 依頼主である近村の長から聞いた場所に到着する二人。質素な山小屋を想像していたシージとアメリアだったが、待っていたのは大きな洋館。

 本当にこの場所であっているかさんざん確認した上、覚悟を決めて武器を手に恐る恐る近づく二人。彼らを出迎えたのは、討伐対象である妖精くらいの小さな背丈で、悪戯好きで時に命に係わることまでしてしまう、はた迷惑な小悪魔インプ――ではなく。

 傾国と評されることも多い目を引く美しい容姿に、蝙蝠の翼に悪魔の尻尾が特徴的な人種。

 

「どうみても!! サキュバスじゃん!! あの村長さん気でも狂ったの!?」

「こらこら、指でさすのはやめなさい。気持ちはわかるけど……」

 

 目の前にいるのは、困り顔の長身女性と、その女性の背後から強気そうな表情でこちらを睨んでくる小柄だが女の子の2人。淫魔族は、一般的に男であればインキュバス、女ならサキュバスと呼ばれる為、二人はサキュバスで間違いないだろう。

 

「すみません。急に訪ねてきた挙句、こんな態度とってしまって」

「いえいえ、お気になさらないでください。もしかしなくても、依頼主はあの村の村長さんでしょう? あの方、何故か私たちを目の敵にしてきて困ってまして……」

「ああ、それはよくある話ですね。さぞお困りでしょう……」

 

 気配を察知しわざわざ門の前まで出迎えてくれたサキュバス2人に、シージは腰を折って丁寧に謝罪する。大人な対応をしてくれている長身のサキュバスは、手を振って否定してくる。

 種族の特性として、性欲と食欲がイコールである淫魔は、他の人種とは違い交尾に関する敷居が非常に低い。その為、普通の村や町では、性欲処理をする代わりに後腐れの無い独身者達を斡旋してもらうのが普通だ。男の筆おろしや女性の初体験も、サキュバスやインキュバスが手ほどきすることはよくあることである。

 だが、淫魔は性的なテクニックが総じて高く、一度交われば虜になってしまうものが少なからずいるのだ。その為、時折妻帯者ということを隠して関係を持ってしまう者が多く、人一倍痴情のもつれが多い種族でもあるのだ。古来より、そこから夫や妻を寝取られたと、淫魔を魔物として依頼を出す不届き者は後を絶たない。

 おそらくは、シージ自身も何度となく受けた事がある、淫魔の偽装討伐依頼だろう。その殆どは嫉妬した同性がパートナーを取り戻すべく依頼しており、今回もそのパターンかとため息をつく。

 

「ちょっと!! インプだなんて馬鹿にして、その女から謝罪もないわけ!? 常識知らずにも程があるわね!!」

 

 だが、ここに来る前に話した依頼主は男である。男がサキュバスの討伐依頼を出すのは珍しいな、と思考を逸らしていると、矢表に出ていた大人びた女性の後ろに隠れていた、背の低いもう一人のサキュバスがビシッ!! とその指をアメリアに突き立てた。

 

「人を指さしちゃ駄目よ、アイカ」

「だってお姉ちゃん!! あいつ、私たちがあんな羽虫と一緒って言ったのよ!? そりゃ怒るわよ!!」

「そ、それはごめんね!! でもこっちだって色々あったんだもん、スイーツも新作劇もふいにしちゃって、怒ってるんだから!!」

「私達関係ないじゃないの!! 八つ当たりの上、こんな山奥に住んでて見たことも食べたこともない物ばっかり!! 当てつけなんてサイテー、お里が知れるわね!!」

「な、なんだとぅ!? だったら今度連れてってあげるよ!! プティングの味とミリアールさんの劇見たら、二度とそんな口きけなくなるんだからね!!」

「楽しみにしてるね!!」

「ありがとう!!」

「……あれ、喧嘩してるんですかね?」

「さぁ? でも、アイカが久しぶりに楽しそうで何よりだわ」

 

 顔と顔を突き合わせてにらみ合い、不思議な言い合いをしている二人を尻目に、シージはアイカから姉と呼ばれた女性――ミリンと共に脇にそれ、話し込んでいた。

 

「私たちも元々あの村に住んでたのだけれど、新しい村長さんになった途端、何故か私たちに強く当たってきて……村に住む淫魔族を皆追い出しちゃうし、近くに建てた家に避難してた私たちもまともに交尾もさせてもらえなくて、あの子とても気が立ってるんです。ごめんなさいね?」

「いえ、お気になさらず。そもそも、機嫌が悪いからと当たり散らしてるあいつが悪いんですし。しかし、私たちに依頼するほどとは問題ですね。領主に相談はされなかったんですか?」

 

 依頼の金額は、受諾するパーティのランクに依存する。様々な種別の依頼があるが、今回の依頼は中堅以上のパーティしか受けられないランク制限のある依頼だった。

 初心者だったり駆け出しの冒険者であれば、経験を積むためと組合から依頼金に支援金が乗る。そのため、難しくない依頼であれば、こだわりさえなければかなり安あがりな金額で頼むことが可能だった。だが、実績を持つ中堅以降を指名となると、結構な金額に跳ね上がるのだ。

 元の請負者であるミラーのパーティも、彼ら程ではないにしろ、それなりの実績と実力の持ち主である。辺境の村長とはいえ、一過性の私怨でぽんと気軽に払える金額ではないのだ。

 

「何度か相談はしたのだけれど、良くて官吏の方が一言二言言って去っていくだけで。ひどいときは手紙すら届かない始末で、全く効果がないの。しかも、その度に村長さんから嫌がらせも増えるし、そろそろ出ていくべきかと相談してたところだったから、あの子も余計に爆発しちゃってるのかも」

「……それは、ひどいですね」

 

 異人種に対するよくある迫害だが、領主にまで声が届いてなおそれとは、随分珍しい対応である。大陸中の五大宗教が手を結び、人種平等宣言を出した昨今、そこまであからさまな差別や迫害を放置しては、自身の評判にも響くだろうに。この地域の領主は、他種族に対する恨み辛みでもあるのだろうか。

 政治に関しての事はともかく、国のバックアップを受け活動している冒険者としても、同じ大陸に根差す一人間としても、このまま彼女らを放置することはできない。

 

「そうですね。私達冒険者としても、何か協力できることがあれば――」

「言ったなぁ、この人間風情が!!」

「やってやろうじゃんか、サキュバスめぇ!!」

「何事?」

 

 何か出来ることはないかと、支援を申し出るつもりで口を開いたシージの言葉は、0距離でのにらみ合いから突然ザッと距離をとった二人に阻まれた。

 アメリアは手に持っていたスタッフを握り直し、アイカは腰に帯びていた小杖を手に取り、互いに杖先を向けあう。あからさまな戦闘態勢に、シージとミリンは困惑気味に二人に視線を戻した。

 

「急に殺気立ってどうしたんだ、アメリア」

「聞いてよお兄ちゃん!! この女、私のお姉ちゃんの方が何でもできてすごいって自慢するの!! 私が代わりに、お兄ちゃんのすごさを思い知らせてやるんだ!!」

「アイカ、初対面の人に杖なんて向けて、一体どうしたの?」

「言うに事を欠いてこの女、こいつの方がお姉ちゃんより何でもできてすごいって抜かすのよ!? 天誅でしょこんなの、私が成敗してくれるわ!!」

「「……はぁ」」

 

 小競り合いは、上の二人が気づかぬうちに姉兄自慢にすり替わっていたようだ。永遠に平行線な議論で堪忍袋の緒が切れた二人は、戦いで雌雄を決するべく、遂に杖を手に取ったらしい。

 

「お兄ちゃん、『共有』使うよ!!」

「お姉ちゃん、補助魔法お願い!!」

「「使わない(わ)よ、一人で戦いなさい」」

「「ええっ!?」」

 

 思いもよらぬ否定に、びっくりした顔で揃って二人のほうを向く妹勢。

 

「別にどっちが上でもいいんだけど、お前が買った喧嘩ならお前の範囲で納めろ。『共有』まで使ったら話が変わってくるだろう」

「そうよ。この人と私、どっちが凄いかなんて興味ないけれど、やるならあなた一人の力でやりなさい」

「「ぬぬぬ……!! やらいでか!!」」

 

 互いに向き直り、魔力を練り始める妹二人に対し、シージとミリンは恥ずかしいやら悲しいやら、複雑な心境でため息をつく。

 

「すみませんね、私の妹がご迷惑をお掛けして……」

「いえ、こちらこそすみません。ああいえ、それは構わないのですが、大丈夫ですか? あの子、結構強いと思うのですが……」

「え? ええ、まあ。普通にやれば、負けるでしょうね」

 

 種族ごとに特徴はあるが、サキュバスは魔法に長じる種族だ。魔力の質から察するに、彼女たちはその中でも更に上澄みに違いない。いかに一線級の腕前を持つアメリアといえども、素の実力ではかなり水をあけられているだろう。

 

「なら……」

「別にいいんですよ。鼻が伸びてるわけじゃないでしょうが、ちょっと調子に乗ってるならお仕置きくらいは必要でしょう。それに、お話から察するにお腹も空いてるのでは? そんな状態じゃまともにセックスも出来ていないでしょうし、私達で良ければお詫びにお付き合いしますよ。妹が負ければ、『淫魔の繭』でも何でも使っていいですし」

「え、本当ですか!?」

 

 人間の感覚で言えば痴女のような提案を顔色1つ変えず行ったシージだが、淫魔という人種を知っていれば、この大陸において至って普通の感覚である。

 サキュバスやインキュバスにとって、セックスとは愛情を確かめる行為ではなく、特段秘する行為でもない。その事を知っていれば、これくらいの提案は恥ずかしい内に入らないのだ。特に冒険者にとっては、淫魔族がパーティにいる場合、食事代わりにセックスするなんてごくごく普通の事である。アメリアやシージも、遠征や合同依頼などで何度となく経験のある行為。そのことを弁えずに性行為に溺れるから問題になるのであって、正しく理解していれば間違いの起こりようなどないのだ。

 

「ええ。色々あって鬱憤がたまってるあいつの気持ちもわかりますけど、明らかに被害者である貴方達の前で吐き出すものではないでしょうし。たまにはしっかり反省することも必要でしょう」

「燃え盛れ、イフリート・フレア!!」

「甘いわね!! 顕現せよ、スキュラ・バインド!!」

 

 二人を巻き込まないように、かつ高威力の魔法を全力で放っているアメリアに対し、シージはそう吐き捨てる。もう少し冒険者らしく矜持を持ってもらいたいシージとしては、淫魔の繭を使われたセックスはいい薬になるだろうと思ったのだ。

 

「ほ、本当にいいんですか……!?」

「ええ、良いですけど……何かありましたか?」

「いえいえ、何でもありませんよ!! そんなこと言ってくれる方なんて、本当に久しぶりで……しかも、こんな方が……うふふ。とっても、楽しみです」

「……?」

 

 尻尾を左右に振り、手を合わせて喜色満面の体のミリン。ぽっと頬を染めて、指をもじもじと絡ませる彼女の様子に、シージも困惑気味だった。何せ、シージの知る淫魔の価値観的には、食事に誘ったくらいの感覚である。まるでデートに誘われたような大げさな反応を見せられるなど、初めての経験だ。

 

「(討伐依頼をかけられてしまうくらいだ、久しぶりの食事にありつけて、テンションが上がっているんだろう)」

 

 シージも首をかしげて不思議そうな表情をするが、内心で無理やり理由をこじ付け、納得することにした。

 

「きゅう……」

「どうだ、私の、お姉ちゃんの勝ちだぁ!!」

 

 高らかに響き渡った勝利宣言。期待を裏切らず、案の定地面に這いつくばっているアメリアの姿に、シージは頭を振って額に手をやるのだった。

 

 

(もし、書くとするなら)次のうちどの蛇足が見たい?

  • 幸平と美衣
  • 慶介と恵里佳
  • アキと凪咲
  • 真尋と亜美
  • TSしちゃった連合の飲み会話
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