※この作品はR-18です。

TS百合短編集   作:くえん

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ご無沙汰しております。
趣味を趣味として楽しめるレベルにまでは回復したので、生存報告がてら手慰みに書いたものを投げておきます。様々なお言葉を下さった皆様、大変ご心配をおかけしたと共に、温かい言葉ありがとうございました。少しずつでも頑張ります。
前回の続きじゃなくてすみませんが、折角書きあがったので良ければどうぞ。


エピローグのその後(アキ&凪咲)

 アバターが女になってしまった事が世間に知れるだけでも、セキュリティ管理が問われ政府高官の首がいくつか飛びかねない大事件である。だというのに、そこに現実世界での体まで女になってしまった事が加われば、世界を巻き込んだお祭り騒ぎになるに違いない。

 性別が変わるなんて、治らない病気は殆ど無くなったと言われている現代においても、明らかな異常事態である。そんな騒動の当人である俺も、突然扱い慣れない女の体になり、さぞかし驚き戸惑っているかと思いきや、意外とそうでもないのが実情だった。何せ。

 

「お前が、散々、犯しまくって!! 困惑する間もなく慣らしてくれたからなぁ!!」

「いやぁ、当然の事をしたまでだよ」

「ちっとも褒めてないの!! 警察が来るまであまり時間無いってのに、誰のせいでシャワー浴びる羽目になってると思ってんだコラァ!!」

 

 一日のほぼ10割を仮想空間の中で生活している昨今、現実世界に滞在することは少ないため、家は基本的に生活しやすいようには作られていない。シャワールームなんて、人1人入るのが精一杯なほどコンパクトに収まっている。そんなスペースに2人で入った日には、振り返ると凪咲の胸につっかえるほど手狭なのだが、洗い方も何も知らない俺はそれでも主犯に頼るしかなく、こうして洗い方の手解きを受けざるを得なくなっているわけだ。

 仕方なしに、鏡越しに今回の事件の主犯格を睨む俺だったが、犯人は俺の怒声で反省した様子もなく、むしろだらしない喜色満面の笑みを浮かべている。

 

「だってぇ、あれだけ良い思いして、まさかデザートまで出てくるなんて思わないでしょ? そりゃもう食いつくに決まってるじゃん、えへへ」

「開き直るな!! ああもう、何回口を濯いでもザーメンの味がするわ、いくら洗っても奥からザーメン垂れてくるわ、散々だ……」

 

 あの後、仮想空間ではやり足りなかったとばかりに、精巣の中の精子という精子を出しまくった凪咲。中出しにフェラに種付けプレスに、やりたい放題出し放題の絶倫ぷりを発揮していた。

 お蔭さまで、いくらうがいをしても喉の奥にまだへばりついている気がしてならない。とはいえ、そんな不快感も相手が凪咲だとわかっていると、受け止めようが違う。自分でこれだけ興奮してくれるのは嬉しい、などと考えてしまうのは、この体に毒されてきた証拠か。

 

「そんなこといったって、気持ち良いから仕方ないんだもーん。それに、アキも最後はラブラブちゅっちゅ状態だった癖にぃ」

「いいから忘れろ」

「背中に手を回してぎゅーって抱きしめてくる所なんてもう、尊すぎて心の中で拝んだねマジで」

「言うな、マジで恥ずかしいから」

「イキすぎてふにゃふにゃの口調でにゃぎしゃぁ、ってとろけながら私の名前呼ぶとこなんてもう、録画してたら無限にシコれるよね。脳内に永久保存したよ」

「いっそ殺してくれぇ……」

 

 照れ隠しで悪態をつこうと、内心は見透かされているのか、凪咲のニヤニヤ顔は止まらず、カァッと顔が火照るのが鏡を見なくともわかる。

 VR世界で感じる五感は、あくまで脳内信号に直接入力する疑似五感による再現でしかない。痛みも気持ちよさも何もかも、現実世界と比べると若干不鮮明に感じる、という事実は、現世に生きる人としては常識だったのだが、その事を改めて味あわされた形だ。

 マジで半端じゃない。体の中に恋人を受け入れるという行為の、何たる心地よさ。凪咲がハマるのもわからんでもない、自分で制御できない快感の嵐。やってる最中完全に頭おかしくなってた俺は訳の分からない事を喋り、我に返った時にはこれである。誰かこの公開処刑を止めてくれ。

 

「やだなぁもう、こんな愛らしい恋人離すわけないじゃないー。もうこのまま結婚決めちゃうしかないよねぇ?」

 

 凪咲は俺を背後から抱きしめると、もふもふのペットにするようにぐりぐりと身体を押し付けてくる。むにゅりと柔らかい感覚も伝わってきて役得なのだが、尊い雰囲気とは裏腹な個所が一点あるのだ。

 

「じゃあせめて、俺の背中に当たってる固い何かを収めてみ? 心の中で、このオナホ、絶対離さないからな? って言ってるだろ今」

「……えへっ」

「せめて否定しろッ!! この淫乱娘が!!」

「ええー。アキの一回挿入れたら最後、満足するまでおちんちん離してくれない淫乱ボディがいけないんじゃない? えっち大好きな体に生まれたのが運の尽きだよ、大人しく私に貪りつくされるといいと思うんだよ」

「誰の!! せいで!! そんな淫乱な体になったと思ってるんだ!!」

 

 てへぺろ、とでも言いたげないらっとする表情を浮かべている凪咲。それでもかわいいのが余計腹が立つのだが、凪咲の性欲に関しては何を言っても糠に釘、暖簾に腕押しである。

 仮想空間で連絡した時点で、警察には後3時間程で向かいます、と返事をされた。俺が連絡をしたのが17時で、今は19時45分の回ったところ。つまり、現実世界に戻ってから、俺と凪咲は2時間以上ヤリっぱなしだったわけだ。受け側が物足りない、というならまだわかる。出せば賢者タイムが発生してしまう男とは違うしな。だがしかし、入れる側で2時間ノンストップでやりつづけたこいつは、冗談抜きで性欲の化け物に違いない。今も俺の背中にずりずりと物を擦り付け始めている始末で、萎えるということを知らんのかこいつは。

 だがしかし、こいつの質の悪い所は、性欲に正直なようでいて、しっかり俺を見ながら責めてくる所だ。何度も何度も求めてくるいつもとは違い、身体が軋むような激しいピストン繰り出し暴走しているようで、その実こっちが痛くない様に絶妙に手心を加えてくるし、痛い素振りを見せたら胸やクリを愛撫しながら快感をキープする手腕は、実質童貞卒業初日とは思えない技術力。対するこっちは、快感で思う様に身体がコントロールできないし、一旦交尾が始まると、翻弄され流されるがまま、凪咲のいいようにされるしかないのである。

 

「もういいよ……兎に角もうすぐ来るんだから、早く洗ってしまってさっさと準備するぞ」

「じゃあその前に、また元気になった私の我儘ちゃんを一発抜いて頂――」

「くわけないだろ、さっきので満足したろ!!」

「そんなぁ!! じゃあ手コキ!! アキちゃんの小っちゃいおててで手コキでいいからさぁ!!」

「するか!! おててとか気色悪い言い方をするんじゃない!!」

「じゃあ見抜き!! 見抜きいいっすか私!!」

「良くないです帰ってください」

「そんな殺生な……これでヌキ納めかもしんないじゃん……」

 

 正直な所、色んな意味で絆されて、付き合ってやるのも悪くはない気分であるのは事実。それに、凪咲の言う通り、問題が解決すればもう味わえない、いわば期間限定とも言える今の状態を堪能しようというのは、ある意味間違ってはいないし、俺も若干ではあるが乗り気である。とはいえ、自分から通報しといて無視ってのは流石に体裁が悪いのも事実。

 

「どう考えても、警察読んだからってすぐ戻れる代物じゃないだろ。警察帰ったらもう一回付き合ってやるから、今は我慢しろって……」

「やったぁ!! アキ大好き!!」

 

 身長差のせいで、抱き着いてきた凪咲の胸の谷間に俺の後頭部が埋まる。男なら悶絶物の興奮ポイントだが、生憎俺の身体は今女である。むしろ、背中にあたる硬い何かで情事を思い出して濡れ始める股間の感触に気付いた俺は、流れるシャワーに紛れてそっとため息をつくのだった。

 

 

 

 そんなこんなで、俺達が長い長い準備を終えたのとほぼ同時のタイミングで、玄関のチャイムが鳴る。ギリギリ間に合って迎え入れられたのは警察……ではなく、何故か白衣を着た研究所の博士だった。しかも、凪咲と同じくらいの美人。

 

「私、国際技術復興研究所の高波と申します」

「はぁ、それはどうもご丁寧に……」

 

 何で博士? と首をひねりながらも、一先ずリビングに通し、お茶とソファーを勧め、テーブルをはさんで着席する。

 相対したその博士から差し出された名刺には、聞いたこともない研究所の名前と目の前の人の名前。そして、『人類再興プロジェクト技術部門リーダー』、という意味不明な肩書が書いてある。どう見ても警察の類ではない。

 

「ねぇアキ、知ってる?」

「知らない」

「知らないのも無理は無い。うちの研究はメジャーではありませんからね」

 

 凪咲が首をかしげながらこちらに話しかけてくるが、俺も知らない。学がある方ではない俺達だが、この研究所がメジャーではない事くらいはわかる。

 そんな声が聞こえてしまっていたのか、冷静な声で返されて思わず気圧された俺は、反射的に謝りの言葉を入れた。

 

「うっ、聞こえてましたか。すいません」

「お気になさらず。内容が内容なだけに、敢えて名前を広めてない部分もありますので」

「へぇ、そうなんですねぇ」

「あの、私達って、こう……とある問題があって、警察を呼んだ筈なんですけど。貴女は一体……?」

 

 気のない返事を返す凪咲は、何も考えていなさそうである。

 如何にも裏があると言いたげな口調に、妖しく思った俺は、内容を微妙に伏せながら訝し気に尋ねてみると、目の前の博士っぽいなるほど確かに気になりますよね、とあっさりと答えを教えてくれた。

 

「端的に言えば、貴方たちの身に起こった事は、私達が原因です。ですので、私が知っているのは当然です。まずは、今回このようなことになり、本当に申し訳ありませんでした」

「「……へぇ!?」」

 

 高波さんとやらそういうと、深々と頭を下げた。

 どうやら、警察が調査するまでもなく原因は明瞭だったようである。察するに公的機関の一種である研究所が引き起こしたことだから、警察ではなく、その原因たる研究所の偉い人が直接説明しに来た、ということか。

 

「え、じゃあ貴女が俺を女にしてこいつに……まぁその、うん。兎に角、現実世界の身体ごとアバターを変更したのは、貴女方が何かやったからってことですか!?」

「結果的にはそうなります」

 

『結果的には』。引っ掛かる言い方をした目の前の美人博士は、顔を上げるとそのまま話を続ける。

 

「私の所属する研究所は一旦置いておくとして、私が参画しているプロジェクトの名前は覚えていますか?」

「ええと、人類再興プロジェクト、でしたっけ」

 

 大層な名前だったから、良く名前は憶えていた。興味がなさそう、というか早く俺とセックスしたい、とばかりに身体を引っ付けてくるアピールしてくる凪咲を無理やり引きはがしながら、然り、と頷く博士の言葉を聞く。

 

「そうです。旧世紀、飛来した隕石が原因による汚染と遺伝子の変異により、人類の営みは変調をきたしました。それは例えば、大気の汚染による屋外での活動制限であったり、人間の生殖機能の損失であったり、影響は様々です。技術のブレイクスルーにより、仮想空間に生活の基準を置き、個人のDNAマップから精製した精子と卵子による人工授精により人口を維持することで生き永らえた我々人類。今となっては当たり前ですが、やはり今の生活様式は正常ではないのです。我々のプロジェクトは、人類の営みを本来のあるがままの形に戻す事。それが目的です」

「「はぁ……」」

 

 恐らく、素人にわかる様に丁寧に説明してくれているのだろうが、半分くらいしかわからなかった。まぁ、旧世紀レベルで外を出歩け、現実世界で普通に子供を産める生活を取り戻そうとしているらしい、というのは何となく伝わった。

 

「要するに、高波さん達は人類の為に頑張って研究してるってことですよね? それがどうして、アキがこんな可愛らしい女の子になって、私にでっかい絶倫のおちんちんが生えちゃうだなんてことに繋がるんですか?」

「余計な情報と言い方ァ!!」

 

 直截で阿呆な言い方に凪咲を引っ叩くが、高波さんはこちらを意に介さず淡々と話を進める。

 

「元の生活様式を取り戻すことが我々の最終目標ですが、その足掛かりとして、まずは人間の遺伝子の修復……つまりは、生殖機能の復活を試みたのです。その結果が、今の貴方方なのですが……」

「何でか、俺が女になってこいつに男性器が生えた、ってことですか?」

「いいえ、原因は明瞭です。半分は我々のせいであり、半分はあなた方の不運が原因です」

「不運?」

 

 俺達に落ち度なんて考えうる限り無いと思ったが、何かあったかな。

 

「我々が開発したのは、五感VR装置に没入したままに遺伝子治療と体の改変……つまり、アバターを現実世界に適用する技術です。貴女達も知っての通り、VR空間に入り込む五感VR装置には、人間の生命維持に必要なライフラインが、可能な限り搭載されています。その中には勿論、病気を患った際に必要になる外科的な治療が可能な機能も搭載されているため、この機能を利用し、遺伝子の治療に使おうとしたわけです」

「へぇ、それはすごい」

 

 語彙力皆無な返事を返してしまったが、正直に凄いとしかいいようがない。言われるまで忘れていたが、そういえば俺たちは、現実世界では童貞で処女のままなのである。

 遺伝子に異常をきたした人類は、男の精巣や女性の子宮や卵巣は存在するだけで機能を停止している。更には、快感を感じる機能すら死んでいるため、勃たないし濡れず、仮に射精できても精子なんていないし、仮に生きた精子を含んだザーメンを中出ししたところで卵子も死んでいるため、子供が出来る確率は0。

 今この世の中で妊娠して子供を産むまでの流れは、まずVR空間上で互いに妊娠する/される事に同意した状態で中出しした場合、一定確率で受精の成否を判定される。そこで受精の確率に当選すると、採取されたDNAマップを参考に製造された、人工精子と人工卵子を人工授精させ出来た受精卵を人口胎で保護し、子供が生まれる、という流れになっている。何せ、皆射精出来ないし生理も来ないから、子供を作るにはこれしかない。昔で言う不妊治療と一緒で、先ほど博士の言った、存亡の危機に追い込まれた人類が生み出した、重要技術の1つである。

 人工的なその手段を無くすことが出来るとすれば、仮にも結婚を考えている身としては喜ぶべきことだ。やはり、自らの腹を痛めて産んだ子、というのはやはり意味が違ってくる。どちらも尊ぶべき命だし、差別はしないが、本来あるべき流れに戻す、という意味では大きな意味を持つだろうし。

 

「そこまでは問題ありませんでした。ただし、生殖機能を修復するだけでなく、アバターを現実世界での姿に適用することで、行き来する際の違和感の低減を計ったのですが、それが間違いでした」

「間違いって?」

「セキュリティです。生活の一部に利用されていただけの昔とは違い、電子情報の中で生きているといっても過言ではない現在では、電子情報はその人の命をも握る重大で重要な生命線です。つまり、セキュリティはそれ相応に厳重になっており、人類の存亡を握る重大な研究とはいえ、そう簡単に解除の許可が下りなかったのです」

「はぁ」

「一度例外を認めれば、バックドアを仕掛けられ情報流出の原因にもなりかねません。ですが、かと言って人類の未来が掛かった我々も譲るわけにいかず……」

「普通に俺達に許可を取ればよかったのでは? 事情を最初から聴いてれば、普通に協力してましたよ。そもそも、よく考えれば俺達、承諾してないのに治験させられてません? これ」

 

 よくよく考えれば、これでは何が起こるかわからない実験体にさせられているようなものじゃないか。無事だったからいいものの、これで死んでいたらどうする気だったのか、と怒りが湧くが、博士のとんでもない言葉で一気に怒りの感情は吹き飛ぶ。

 

「治験ではありません。私自身で試しましたから。男から女になり、尚且つ子供を産むという、現状考えうるケースの中でも最大の負荷を3回繰り返し、私の寿命の問題も、生まれる子供の異常がないことも、それ以外の異常がないことも全て確認済みです。ですから、あなた方が受けるのは最終テストでしかなく、現実世界で子供を妊娠し、無事に出産していただくだけの簡単なテストのはずだったのです。本来ならば」

「「……えええぇえぇええ!?」」

 

 当然の様に発せられた言葉に、俺と凪咲は思わず立ち上がって叫ぶ。

 この胸はでかくて背も高くて、見惚れるような美人が元は男で、3児の母というのはあまりに衝撃すぎた。

 信用させるためか、これが子供の写真です、なんて差し出された写真には、博士ともう一人、揃いの結婚指輪をはめた女の人が、3人の子供に囲まれて幸せそうに笑っている姿が映っている。

 

「わぁ可愛い。奥さん似で美人さんに育ちそうですねぇ」

「ええ。私の自慢の娘たちですよ」

「高波さんも奥さんに生やしたんですか?」

「ええ。その方がどちらのパターンも確認できて効率的でしたし、私の妻も研究所務めでしたから許可もいりませんでしたからね」

「大きいんですか?」

「まぁその。私はどちらでも良かったのですが、妻が大は小を兼ねる、と」

 

 隣では、和やかに見せかけて段々淫猥になっていく不思議な会話が繰り広げられているが、俺の方は色んな情報が一気に攻め寄せてきすぎて、頭がパンクしそうだった。

 

「ってえ? 俺、妊娠するんですか?」

「え、させていいんですか!?」

「させなきゃダメです。こうなったからには、してもらわないと困ります」

 

 俺の困惑を、三段活用で肯定されてしまった。

 見なくてもわかる。やったぜ!! これで心置きなく犯しぬける!! という喜びのオーラが、隣の女からひしひしと伝わってくる。具体的に、子宮の辺りに視線を感じる。何をされるのか考えるだけで、ひたすらに怖い。

 

「え、いや、元のアバターに戻してもう一回身体を変えればいいじゃないですか!? 何でこのまま!?」

 

 いやいや待ってほしい、と俺は一縷の望みをかけて、高波さんにもう一度説明を求める。

 

「今回の実験に際し、アバター情報を抜き取るのに必要な許可は、一回限りしか得られていないのです。しかも、そこで出た許可というのがまた特殊でして……くしくも、それがあなた方の性別が入れ替わった理由にも繋がるのです」

「理由、ですか」

 

 だが、帰ってきたのは無情にも諦めてほしい、という諦観の念を俺に抱かせるような言葉。

 

「ええ。今回はVR空間の開発段階で利用していた、管理者権限を用いたのです」

「管理者権限?」

 

 オウム返しに聞き返した言葉に、頷く高波さん。

 

「そうです。今回貴女達のアバター情報だけを抜き取る為に用いたのは、個人情報を保管するサーバーを統括する者に付与されている、サーバー管理者権限です。貴女達の個人情報を一時的に例外処理に区分することで、セキュリティレベルを維持したまま、我々がアバターデータの情報だけを引っ張ってくることが可能になるのです。ところが、その権限の内には、デバッグで使用した開発者専用ツールが残っており、使用できるようになっておりまして。そのうちの1つが、音声でのアバター改変機能といってですね……」

「え。まさかあの時……」

「そのまさかです。凪咲さんがおっしゃられた通りに貴方のアバターが変わったのは、データ回収の真っ只中、たった5分足らずという限定的な時間で、彼女が偶然にも願望めいた事を言ってしまったことが原因です」

「じゃあ何ですか、後五分こいつの戯言がずれてたら、あれは戯言のままで済んだってことですか?」

「その通りです」

「マジか……」

「ほえー」

 

 その日一日どころか、今までの人生において、女になればいいのに!! なんて会話を繰り広げげたことなど、今回が初めてである。よくもまぁそんな偶然が起きたものだと、最早悲しむよりも先に感心が勝る。

 

「一応、このようなことを想定していなかったわけではありません。ですから、最終テストの人員選考には、VR世界統括コンピューターを使用し、今回の検証に適する二人……結婚しているか、もしくは将来結婚を考えており、子供を将来産む事を希望している2人を選別し、更に、その中で最も身体の変化について言及しない可能性の高い二人を選別しました。その一組が貴女達であり、だからこそ何事もなくアバターデータの引き抜きは終了するはずだったのですが……完全に予想外でした。最悪のケースを想定し、自分で検証しておいてよかったと、心の底から思いましたね」

「……」

「成程。つまり、めっちゃラッキーだった、ということですね?」

「まぁ、考えようによってはそうなります……かね?」

「なりません!! 嘘だろ……マジかよ……」

 

 統括コンピューターといえば、一台で全世界のVR空間を維持している最先端のスーパーコンピューターの事を指す。そんな大物まで利用して万難を排したはずが、コンピューターにも読めないこいつの突飛な行動により、あえなく計画は途中で変更にせざるを得なくなったというわけだ。

 絶句するしかない俺に対し、真面目腐った顔でふざける凪咲。高波さんも困惑した顔で返答するしかなく、俺は隣で頭を抱えるしかない。つまりは、あの時いらんこと凪咲を煽らなければ、ただ現実世界に拠点を置くだけ済んだということである。後悔先に立たずとはまさにこの事か。

 こほん、と仕切りなおすように咳払いを一つ入れる高波さんに、視線を上げる。

 

「聞き取り調査によれば、ご友人に結婚について相談していたそうですね? 事ここに至っては仕方ありません。ここは開き直っていただいて、関係を一歩進める良いきっかけになればと思います」

「貰う方と貰われる方じゃ随分違いますよ……」

「誤差です、結局相手は一緒なんですし。子供を産むのはきついですけど、産んだ後の達成感というか、子供を取り上げてもらう瞬間になると、辛い事なんてきっと吹き飛びますよ」

「そして私は気持ち良くなれますよ?」

「凪咲には聞いていません。ああもう……」

 

 嫌ではない。凪咲の子供を産むという事自体は、決して嫌な事ではない。だが、妊娠出産するのが確定路線というのも解せないし、男としては複雑な心境にならざるを得ないのはわかってほしい。

 

「世界で唯一同じ立場に立てる私としても、貴方が納得できていないのは重々承知ですし、このような形でお願いするのは私達にとっても大変不本意でした。しかし、今回の実験は、この研究と技術が認可されるか否かの最終確認を兼ねています。もし問題ない事が確認できれば、我々人類がかつての姿を取り戻す為の、初めの一歩に繋がるのです。お子さんを妊娠し、無事出産された暁には、報酬をお約束します。勿論、断られたとしても、出来るだけアバターは元に戻せるよう尽力は致しますが、確実に戻られたいのであれば、承諾していただいた方が早いのは間違いありません」

「戻れないんじゃ、わかりましたって言うしかないと私思うんだけど……アキ、どうする?」

「まぁ、普通に考えて承諾するしかないよな……」

「半ば強制する形になってしまったのは、私としても誠に遺憾なのですが……」

 

 高波さんの言う通り、これでは同意する方向へ誘導されているようにも感じる。

 しかし、申し訳なさそうにこちらを見ている高波さんとやらを見るに、故意ではないのは何となくわかる。だって、俺が女になってなければ、今回の依頼は美味しい事しかない訳だし。凪咲と子供を作るだけで報酬までもらえる上、中々踏み出せなかった結婚に踏み切るには良いきっかけになっただろう事は間違いないからだ。わざわざ断られる理由を増やす意味はない。考えるに、こうなってしまったのは、研究所とやらが狙ったわけじゃなく、本当に事故なのだろう。

 

「もし承諾していただけるのであれば、今回の実験の意義もありますので、これからお二人には主に現実世界で生活していただきます。勿論、必要になる住居や生活物資などは全てこちらで用意させていただきますし、実験期間休むことになるであろう今の務め先にもこちらから丁寧に説明をさせていただきます。お二人に子供さんが出来るまで、こちらで全面的にサポートさせていただきます」

「四六時中監視されてたり、はしないですよね?」

「当然です。一部どころか、まったく行いませんよ。今回の実験はあくまで、我々の開発した新技術によって、貴方方の身体に生殖機能が戻っているかの確認ですから、生活を管理するわけではありません。最低限、子作りだけはしていただく必要がありますが……」

 

 元々断る気など皆無の凪咲は、自分が気になるところを確認するだけして満足したようで、後はアキだけだよ? と言いたげにこちらを見ていた。

 

「どうする?」

「どうする、ったってなぁ……」

「私は得するだけだし、大変なのはアキの方だよ? いくら私でも、本当にアキが嫌だったらやらなくていいし……だから、アキが決めて?」

「う……」

 

 さっきまでノリノリだった癖に、最後は俺に決定権を委ねてくるあたりが本当に凪咲だ。さっきまでの攻めもそう。決定的に嫌がるラインは超えてこないし、普段はノリと勢いと快楽で生きてるくせに、重要なことは何だかんだ俺に決めさせてくれる。それが俺の彼女、凪咲という女だ。

 地味に待たせている自覚はある。これはもう、あらゆる意味で覚悟を決めるしかなさそうだ。

 

「わかりました。その話、受けます」

「本当ですか!!」

 

 勢いよく立ち上がった高波さんに、俺は苦笑い。

 

「正直話がでかすぎて、人類が云々ってのはよくわかんないですけど。愛する人との子供がちゃんと産めるって、今の世の中得難い経験だと思いますし……俺が産む側ってのは、解せないですけど」

「ありがとうございます……!! これ以上の万が一が無いよう、私共も全力でサポートさせていただきますので、宜しくお願いします」

「こちらこそ。よろしくお願いします」

 

 テーブル越しに握手を交わした高波さんの表情には、安堵の感情がぬぐい切れていなかった。

 初対面で抱いた無表情で淡々としてそうなイメージの割に、説明は丁寧かつ誠実だったし、同じ立場にしてしまった俺のことを心配してくれていたのだろう。

 変な人が担当じゃなくてよかった、と思うと同時に、これから具体的に何をすれば良いか話をしようと、着席を進めようとした所で、隣から衝撃が。

 

「じゃあ一先ず座っていただいて、この後のことを――」

「アキィ!!」

「どあぁ!!」

 

 途端、ぐるんと視界が回ると、天井を経由して凪咲の顔がドアップでカットインしてくる。

 

「もう話終わったでしょ? 早く子供を作ったほうが高波さんも助かるだろうし、早速お仕事再開しようね? えへへ、アキとの子供を作るのが仕事だなんて、私幸せだなぁ」

「おいおい待て待て待て!! ステイだ凪咲、まだ日は高いし高波さんもいるし話は終わってない!!」

 

 俺をソファに押し倒されたらしい凪咲は、そんなことを言いながら俺の上着に手をかけ始める。ボタンに手をかけようとする凪咲と抗おうとする俺が攻防を繰り広げる中、唖然としてる高波さんに向かって凪咲が問う。

 

「高波さん、後の話は後日でも?」

「え、ええまぁ……細部のご説明は、また明日にでも来ますかね……?」

「そうしていただけると、助かります!!」

「いや、助けてください高波さん!! このままじゃ、一日と立たずこいつに孕まされそうなんですけど!?」

「いや、けど、ああ、うーん……」

 

 目の前でおっぱじまろうとしている痴態に、高波さんは複雑な表情を浮かべていた。確かにそのほうが早い、という冷徹な研究者としての判断と、倫理的にも同じ立場にある人間としても、それは流石に……という常識的な判断の狭間で葛藤しているのが、眉をひそめた顔からも読んで取れる。しかし、悩むこと10秒ほど。無情な結論は出た。

 

「……では、また明日ご連絡しますね。後ほど、メールでアポイントを取りますので。本日はお邪魔しました」

「高波さん!?」

「またきてくださいねー」

 

 研究者としての判断が勝ったか、凪咲は自分には止められない、と諦めたか。どちらでもいいが、今俺が見捨てられたのは変わりようのない事実であった。

 高波さんは、呑気に手を振る凪咲に手を振り返すと、同情した瞳でこちらをみつつ、ぺこりと頭を下げ、視線で俺に謝ってから部屋を辞したのだった。

 

「……やっと、二人きりだね?」

「それ、全然ロマンチックなセリフじゃないからな?」

 

 キリッと決めた表情の凪咲に突っ込みを入れるが、俺の服を脱がそうとする手は止まらない。見境なしの性欲の化身は、玄関の閉まる音と同時にキスをかましてきた。

 

「んんっ……」

 

 舌を入れられ、味わう様に嬲られるがまま、甘く感じる体液を流し込まれると、こくこくと嚥下するしかない。手慣れた手つきでパンツをずらされると、閉じた蕾を花開くべくそっと指を差し入れ、くちゅくちゅと湿った音を立て始め、受け入れる準備を始めてしまう。今までとは逆の、リードされる愛撫。性欲を煽るような攻めに、上にも下にも集中出来ず、中途半端に火を付けられる。

 

「んくっ、あっ」

 

 密着する体から漏れ出る熱気と、口から零れる喘ぎ声。どちらが鳴いているかなど、言うまでもない。

 

「ぷはっ……もう、ちょっと待てなかったのか? んあっ」

「我慢できないよ。だって、アキが可愛すぎるんだもん」

 

 口は話しても、指の動きは止まらない。ぞくっ、ぞくっと背筋を這う快感に、言葉尻が震える様を見て、凪咲は興奮からか顔を赤らめる。

 

「男に、それは誉め言葉じゃないぞ……」

「でも、今は女の子でしょ?」

「そう、だけど。いきなり慣れろは、無理だろ」

「そうだね。でも、赤ちゃん作るなら、少しずつでも慣れていかないと、ね?」

「んぐ……」

 

 子供を産むなら、少なくとも一年の間はこのままということ。多少なりとも慣れる必要なあるだろう。

 

「わかってるつもり、なんだけどなぁ……」

「大丈夫だよ。女の子の先輩として、分からないことは教えてあげるし。最終的には、嫌でも慣れさせてあげるから」

「俺とは違って、最初から『男』を使いこなしてるやつは言うことが違うなぁ」

「へへ、そんなこと褒めると照れるぜ」

「褒めてねぇよ」

 

 いつものじゃれ合いに、男の振りをし始める凪咲というエッセンスが加わる。凪咲の可愛らしい声でイケボを出そうとしても、似合っていない上に俺も別に求めていない。だが、不思議とこんなこと言われてもちっとも腹が立たない。皮肉なことに、イラっとするこのやり取りが、こいつを本気で好きになってるんだなあと、俺が実感してしまう瞬間なのだ。

 

「でも、お前を受け止めきれるのは俺しかいないしな。お前が満足するまで、一生付き合ってやるよ」

「お? アキのツンデレ台詞とか、貴重も貴重じゃない? 今のアキちゃんの容姿だと可愛くて仕方ない……でも、嬉しい!!」

「あぎゅっ」

 

 胸に抱かれると、むぎゅりと顔に胸が寄せらる。喜んでるようで何よりだ。

 

「男に戻ったら、また改めて告白するから……それまでは、これで勘弁してくれ」

「ふっふっふ……果たして、戻る暇があるかなぁ? 産んだらすぐ次の子供作れば、永遠にアキちゃんのままってことだよねぇ?」

「え、嘘だろ? 冗談……だよな?」

「私、子供は5人欲しいんだよね。うちの子供だけでバスケチーム作るのが夢なんだ」

「お前がバスケやってるとか聞いたことないんだけど?? やめっ、あっ……」

 

 聞き捨てならない言葉と共に、ずぶっ、と割り入ってきた巨大な存在感のそれに、思考は沸騰し一瞬で爆ぜる。反射的に背中に手を回し、ぎゅ、と抱きしめ返すと、凪咲も嬉しそうな声色と共に

 

「私も!! 大好き!!」

「あっ、うんっ!!」

 

 大好き、の声で中を締めてしまう。思考も肉体も、もう止まらなかった。気持ち良さと、嬉しさを共有する。凪咲の愛を全身で受け止めると、俺達は行為の没頭するのだった。

 

 

 

 現実世界でやれることなど殆どない。生活空間が仮想現実に移っている今、娯楽どころか暇つぶしの手段すら現実世界に存在していないからだ。そんなこんなで、あの後中出しを5回も喰らい、互いの汗と体液でどろどろになった全身をシャワーで洗い流した後に、VR空間に戻った時の事。

 何だかんだ、やっぱりこっちの方が落ち着くよな、などと同棲している自宅にて喋っている時、ふと何かに気付いたように凪咲がこちらに話を振ってきた。

 

「ねえアキ、なんか凄いメール届いてるんだけど」

「あん? 凄いメールって、どうせしょうもない迷惑……メール……」

 

 俺のアカウントに転送されたメール。その差出人は、件の管理統括のスパコン様から。タイトルには、ご懐妊おめでとうございます、と一言。

 

「まさかの、『おめでた』だねぇ……」

 

 流石にびっくり、と凪咲も唖然としていた。今の世の中、子供が出来たという報告は、医者からではなく国から伝えられる。つまりは、毎回中出しする度に自動でお互いの体調から産出された受精確率に当選していた場合、その事はこのVR世界を管理している、スパコンを通して送られてくるのだ。ここまで言えばお察しである。高波さんとの一件での話ではなく、今の世の中的に常識的な出来方の方で、子供が出来てしまったのだ。

 だが、ここまでなら然程驚く事ではない。何せ、俺と凪咲は随分と前からお互いに妊娠同意の状態で致していた。つまり、いつそのメールが来てもおかしくはなかったのである。今回俺達が驚いたのは、その中身の問題である。

 

「え、嘘だろ!? あの一回で、孕まされたの俺!?」

 

 メール文には、父の欄に凪咲、母の欄に俺の名前があった。そう、普通の逆。性欲の権化たる凪咲のペースに付き合って、幾度となく中出ししても出来なかったくせに、その何千分の一の確率に達するであろう、あの騒動の何回かで当てやがったのだ。

 

「凄いなぁ。私もしかして、雄としての才能があるのかも」

「否定したいのに、納得してしまう俺が居るのが悲しいわ」

 

 精のつくものを摂取しまくってもついていけなかった俺以上のペースで出しまくる凪咲の絶倫具合を見ると、否定材料が全くないために思わず頷いてしまいそうだった。解せんが、認めざるを得ないかもしれない。

 ともかく、これで期せずして一人目が生まれてしまう事になった訳だ。マジで意味が分からない。まさか、俺のDNAも女の方が向いているとでも言いたいのか。

 

「そっか、赤ちゃんかぁ……ふふふ、女の子かなぁ、男の子かなぁ」

「楽しみだな……凪咲似なら美人確定だから、そっちよりだといいんだが」

「今はアキも女の子じゃない。きっと、どっちに似ても美人さんに育つよ」

 

 実感はいまいち沸いていないが、折角なら良い人生を送ってほしいと思うのは、いつの世も共通の親の性だろう。微妙な容姿の俺に似るより、天然記念物みたいに恵まれた容姿の凪咲に似た方が生きやすいに違いない、と思うのは、少々気の早い親心というかなんというか。

 とはいえ、凪咲に言われた通り今は俺も女。この合法ロリがリアルの容姿になってしまっただけに、後は凪咲の底なしの性欲を継承しないかだけが心配の種だ。

 まぁ、それももう少し先の話。明日の高波さんとの話し合いもあるし、目の前のことを片付けることが先だ。

 

「それもそうかもな。未来のことは置いといて、まずは明日の事を考えるか」

「そうだね。まずは、アキに種付けすることを考えないと」

「あってるけどあってないな、それは。さりげなくそのでかい物を擦り付けてくるんじゃない。徐々にベッドの方へ誘導するんじゃない。我慢しかねてお姫様抱っこで抱えるんじゃない!!」

 

 小さくなった体は凪咲の腕力でも容易に持ち上がり、ぼふり、とベッドに投げこまれてしまう。

 ベッドに寝転んだ俺に、四つん這いで這い寄ってくる凪咲。嫌がるふりをしているのはもうばれているのか、前みたいに馬乗りになったり腕を抑えられたりはしていない。

 

「だって、アキの事大好きなんだもん。好きな人と一杯エッチして、その人との子供を残したいと思うのは、自然の説に適ってると私は思うわけですよ。いくらしても足りないくらい、私の愛はでっかくて深いんですー」

「言ってろ。俺の方が、お前よりお前の事を愛してるからな」

 

 代わりに、手と手を絡ませ握りこんだ。しっとりと汗ばんだ手のひらの感触。伝わる感情と体温。二人して、同時に笑いあった。

 

「私、一人っ子だったんだ」

「知ってる」

「お父さんとお母さん、いつも仕事でいなかったし、お姉ちゃんか妹できないかなーってずっと思ってた。私もアキもそんなことはしないとは思うけどさ、心配だし。早く、この子にも兄弟作ってあげようね」

 

 打って変わってらしくもない真面目なトーンで言われては、からかうこともできない。

 

「ああ。何なら、出産予定日同じにして双子にしてやるか」

「おお、それいいね!! それなら、絶対寂しくない」

 

 思っていたことを正直に口に出すと、途端に伸し掛かってきた凪咲に、そのまま唇を奪われる。

 すぐに離れると、しっかりと目と目を合わせて俺は言葉を発する。

 

「結婚しよう」

「うん。待ってた」

 

 すぐに抱きしめられ、唇を再び重ねた。遠慮なく蹂躙される舌に、俺は凪咲の背に手を添える。

 雰囲気もくそもない、散々考えていた理想のそれとは程遠い、流れに任せた乱暴なプロポーズ。すでに現状からして立場は逆だし、信頼できそうな高波さん個人の思惑はともかく、政府やそのほかの団体がすんなり元の体に戻してくれるかも怪しいところ。今後の見通しもどうなるかわからない。それでも、凪咲と一緒なら悪い未来は想像できない辺り、俺が凪咲を運命の相手に選んだのは間違いではないと証明しているようで嬉しかった。

 ぐ、っと一気に押し込まれた押し込まれた凪咲の雄の象徴に、くはっと空気が漏れる。どくん、と胎動したのは、きっと心臓ではなく、もっと別の体の芯の方。

 ぶるり、と体の震えが向こうに伝わる。きゅっと締まった膣の感触で、びくんと震え返してくる凪咲の物に快感を伝達する。

 性欲を受け止めるのとぶつけられる事の違い。らしくもなく、凪咲に愛されているという実感が俺を包み込んでいた。

 後はもう、言葉などいらなかった。凪咲が満足するまで、俺たちは互いに溶け合っていた。

 

 

 

「お母さん、お腹すいたー」

「冬華、お父さんに向かってお母さんはやめなさい。飯は出来てるから、ママが起きたら食べようか。今夏姫が起こしに行ってるから、それまで待っててね?」

「ねえママ、何言ってもお母さん起きないんだけど」

「夏姫、パパに向かってママはやめなさい。いつもの事だろ、面倒くさがらないでもう少し粘り強く起こしてこ……」

「ママ! パパそっち行った!!」

「アキぃぃぃっぃぃ!!」

「うぉぉぉぉぉ火使ってるから危ないだろタックルしてくるな朝から盛るなぁあああ!! そして春香呼び方が逆ぅむぅ!!」

「あはは、お母さんとママ仲良しー」

「冬華、見ちゃいけません。春香、なんて言って起こしたの」

「ママの耳元で、キッチンでパパが裸エプロンで待ってるよって言った」

「何してんの……一度ああなったらお母さん長いの、春香だって知ってるでしょ」

「えへへ。だって、パパに蹂躙されてふにゃふにゃになるママ可愛いんだもーん。夏姫だって、ディープなキスでされるがままのママを動画にとっておかずにしてるの、私知ってるんだからね?」

「……先にご飯にしようか冬華。待ってたら長くなりそうだし」

「あー、逃げたな夏姫!!」

「うっさい!! 可愛いママが悪いの!!」

「ねぇお姉ちゃん、お母さんっておかずなの?」

「……そうじゃないけど、そうなの。いずれわかる話だから、冬華はまだわからなくて良いよ」

「変なお姉ちゃん達」




※長女夏姫:容姿は凪咲、性格はアキ似。むっつり性豪。おかずにしちゃうくらいママ大好き。
 次女春香:容姿はアキ、性格は凪咲似。フルオープン性豪。ママはおかず。
 三女冬華:ハーフハーフ。多分性豪。食べ盛り。お母さんはおかずと聞いて興味を持っている。

(もし、書くとするなら)次のうちどの蛇足が見たい?

  • 幸平と美衣
  • 慶介と恵里佳
  • アキと凪咲
  • 真尋と亜美
  • TSしちゃった連合の飲み会話
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