「……」
筈、だったのだが。先程までの良い話ムーブは何だったのか、突然すん、と黙った凪咲。返事どころか身じろぎ1つしやしない。
――え、あれ? 今完全に、「ええ、わかったわ」だなんて言って、優しく手ほどきが始まる流れだったよね? 折角凪咲が好きそうなリアクションしてやったのに、反応無しなの?
10秒立っても反応のない凪咲を不審に思った俺は、片目を開けてちらり、と凪咲の様子をうかがってみる。
「……」
「うおぁッ!?」
恐る恐る目を開いた俺の視界に飛び込んできたのは、据わった眼をして、じっと押し黙ったままこちらを凝視している凪咲の姿だった。そのあまりの恐ろしさに思わずびくりと体を震わせ、幽霊を怖がる子供のように身じろぎしてしまう。
「な、何だよ。突然スイッチ切れたみたいに黙りやがって……」
まさかこのバグのせいで、同じ場にいる凪咲のアバターにもバグが起こってしまったのか。心配して起き上がりかけた俺だったが、すぐに無用な心配だったということが分かった。むしろ、自らの心配をしたほうが良いレベルの災いが俺を襲うことになるのだ。
「ど、どうしたん――」
異様な凪咲の様子に、俺が上半身を起こそうとした瞬間。ピー、と少し前に聞いたばかりの電子音が耳に入る。と同時に、お腹辺りに発生した異様な感触に、俺の動きがぴしりとフリーズした。
つつきがいのあるぷにぷにのお腹に、むにゅりと突き刺さった熱量を伴った固いもの。
先端がぬるぬるしてて、固くて、ギンギンに反り返ってそうな、棒状の何か。
今のVRを中心とした生活に慣れ切った人類には馴染みのある電子音と、不可解なバグによって凪咲の意のままに変化した俺。そして、凪咲が熟れ切った果実を前にした時、何を思い、その結果何が起きてしまうのか。こんな簡単な推理ゲーム、子供でも解けてしまうに違いない。
「お前、まさか……」
「……」
部屋に沈黙が満ちる。口角を限界まで吊り上げた凪咲の深い笑みに、ぞくりと寒気が走った。
「女の子とエッチするなら竿役がいる。そうだろ?」
「お前、お前ーッ!?」
少しでも優しくした俺が馬鹿だった。折角、折角乗ってやったというのに、お前ってやつは、どうしてそう期待を裏切るのが上手いんだ!!
「頼まれたからには、私にはアキを気持ちよくする責任がある。でも、女の子を悦ばすにはでっかいおちんちんが居る。そして今の私には、都合良く宿った謎のバグがある……これはもう使うしかないでしょ!!」
「優しくって話はどうした!?」
「煮えたぎってる私の股間に優しい方法をとることにしました!!」
「こんの、ふざけ……っ」
俺の抗議の声を遮ったのは、腹部から感じる大きな質量だった。
凪咲の股間から屹立した、凪咲の容姿からは似つかわぬ肉棒。サイズは俺についていた物と遜色無いレベルで、明らかに意識したに違いない。こいつの性格からして、大は小を兼ねるとか言いかねないのが怖いところだ。
ねっとりとした我慢汁は大きく開いた鈴口から漏れ、俺の腹に滴っている。
「ま、マジで言ってんの……?」
淫液でてらてらと輝く凪咲の男性器。とろとろとしたカウパーが肌に触れるたび、そこから熱を発している錯覚すらする。
凪咲ですら痛がるようなデカさのこれを、凪咲より小さな体躯である今の身体の中に収めろって? さすがに冗談が過ぎるだろ。
「1人エッチはともかく、これの扱いに関しては第一人者だと自負してるからね。私に任せてくれれば、仮にアキが処女だったとしても、アヘ顔になるまで全力で可愛がってあげるられるよ?」
全力でご免こうむりたいのだが、玩具を与えられた子供の様に楽し気な凪咲は話を聞かない。止めるどころか、言葉も満足に紡げない俺に見せつけるように、ゆっくりと腰を動かす。
身体は恐怖で強張り動かないのに、視線の先で動き続けるそれから不思議と目が離せない。
手慣れた手つきで胸を愛撫されると、きゅんとあそこが疼いてしまったのを感じる。
「大丈夫だよ、絶対痛くしないし、私がお任せで気持ちよくしてあげる!! アキは私に任せて、とろとろしててくれたらいいからさ」
さも私はついでですよ、とでも言いたげな凪咲だが、男の快楽への期待感で胸が躍っているのは明らかだった。それだけじゃない。全身を真っ赤に染め、発情し切った様子のご馳走を前にした狼さんはとても機嫌が良さそうで、鼻歌でも歌い始めそうなほどにうきうきの様子。
「はっ、はっ、はっ……ぁっ、ぅ……」
対して俺は、反論することすらできない。くちゅくちゅと厭らしい音を立て始めたそれから、目が離せない。
呼吸が浅くなる。目が潤んでくる。凪咲が腰を素振りする度にちりっ、と女芽に男根が掠る度に迸る衝撃に、変な鳴き声を上げてしまう。とうの昔に限界を迎えた理性は、引導を渡してほしいと泣き叫んでいる。
「怖いなら手を握っててあげる、心配ならずっと抱きしめてても良いよ。アキが動いてって言うまで絶対動かさないから。だからセックスしようよぉ、ね?」
「う、ぅぅ……」
普段であれば、まるでぐずる子供に言い聞かせる口調の凪咲に、お前が入れたいだけだろと一喝するところだが。
「わ、わかった、よ……入れて、良いよ」
こくり、と頷く。恥ずかしくて正面を向けず、ふいっと視線をそらす。
誤魔化されてはいるつもりはない。我慢の限界であることは否定しないし、半ば自棄になっているのも事実だ。でもそれ以上に俺自身が、凪咲と繋がりたいと思ってしまっているのだ。
凪咲がハマる女の快楽を知りたい興味本位が半分。愛する女にここまで求められて、答えてあげたいという男の甲斐性が残り半分。例え、それが男女逆転していようが、相手が好いた人間ならば良いのだと、思うことにした。
もう限界だった。燃えるような熱を感じるあそこからの衝動に、これ以上逆らえなかったのだ。
「でも、ゆっくりだぞ。絶対、痛くするなよ……!?」
「わかってるよぉ。とびきり、優しくしたげるからね」
んふ、と鼻にかかった声を出した凪咲は、俺の膝を抱え上げる。露になった下半身に咲く未成熟な蕾は、期待に打ち震え蜜を垂れ流していた。とくとくと漏れ出る愛液は、先ほどの情事の爪あとを上書きするように、じわりとシーツの上に広がっていく。
凪咲は人差し指で淫らな水溜りから液体を掬い取ると、そのまま銜え込んだ。ねっとりと舌を使い、ちゅぱちゅぱと音を立てて味わう様を見せ付けられる。
「蜂蜜みたいに美味しいお汁だね。甘くて舌が蕩けそうなくらい……自分の舐めるとしょっぱいのに、アキのだって思うと美味しく感じちゃうんだよね……不思議」
雄を挑発する仕草を目にし、俺の中に沸き起こる衝動。その感覚は、背筋の凍るような嫌悪感ではなく、燃え上がるような熱情。
ぴっちりと閉じた淫唇を下からなぞる様に触れられると、お腹の奥がきゅんと疼く。カリッ、と爪で軽くクリトリスを弾かれると、独りでに腰がはねる。
「あうっ、あぁっ」
「ああ、いつもはカッコいいアキがこんなに可愛くえっちに鳴いてるなんて……ああもう、おちんちんが張り切れそうだよぉ」
軽いタッチとは裏腹に、凪咲が触るたびに全身に甘い痺れが生じ、俺に恥ずかしい喘ぎ声を強制させる。
「うう、出したくて、出したてるわけじゃ……勝手に、きゅぅんん!! 声が、出ちゃうんだあっ!?」
「今のアキはとっても可愛いんだから、我慢しなくて良いんだよぉ。この調子でどんどん喘いじゃおう?」
「い、嫌に決まってるだろっ!! は、恥ずかしいし……」
我慢したくて掌を硬く握り締めるが、凪咲はそっと解くと、指と指を絡ませる。汗ばんでしっとりとした手の感触。行き場をなくした衝動が、蜜を生産し続けているあそこへと集中していく。
じっと俺を見つめる凪咲の視線。どくん、と跳ねる鼓動に、思わず覚悟を決めるように、ごくりと生唾を飲んでしまった。
凪咲が腰を大きくグラインドさせると、その大きなペニスが俺の女性器をなぞり上げる。
ずりゅ、と淫らな水音が耳に届くとともに、ぞわりと駆け上がるメスの性感。恋人繋ぎで逃げ場を失ったことで漏れでた嬌声が、更に俺を高ぶらせていく。
「あぁっ、んんっ」
「んふふ、可愛いよ、アキ……」
決して早くは無い、ゆったりとしたペースで腰を動かす凪咲。
ぐりっ、と亀頭でクリが押し潰され腰が跳ねたかと思えば、ぱっくりと花開き始めた膣の浅瀬を刺激される。絶え間ない様々な快感に、視界がちかちかと明滅し始める。見知らぬ快楽に翻弄されっきりの俺は、されるがままに淫らな声で歌わされ続けるしかない。
「あっ、ぁっ、な、なぎしゃぁ」
「どうしよ、私を『なぎしゃ』って呼ぶアキが尊すぎてどうかなっちゃいそう。ん、んんっ、やば、もう出ちゃう……」
もう自らが何を言っているのかすらわからない。身近に愛する人の熱を感じながらの前戯に、されるがまま見も心も蕩ける快楽に包まれている俺。
だが、異性の快楽に翻弄されているのは俺だけではないようで、凪咲もびくびくと快楽で体を震わせながら、ふぅふぅと荒い息を吐いていた。
「ちょ、ちょっとタイムね、アキ……」
イかない様に歯を食いしばっている凪咲は、こんな千載一遇の機会は二度と無い、もっと楽しまないと、とばかりに、一旦仕切り仕切り直そうと腰を引く。
絶え間なく続いていた刺激が無くなり、不定形にまで蕩けていた思考も、僅かに纏まりを取り戻していく。
だが、半ばお預けを食らった形になった俺の理性は、とうに限界を迎えていた。
「なぎさぁ……」
意識せず、せつなげな声が独りでに出てしまう。何が、なんて言わなくても伝わっていた。
無くなった刺激を求め、かくかくと腰が前後する。今俺が、男としてとんでもない発言をしていることは、麻痺しかけの頭の端で理解しているものの。ぱくぱくと、呼吸をするかのように閉じ開きしている、この幼い体の女性器。そこから沸き起こってくるリビドーが、理性を軽く押しのけていた。
「なぎさぁ、はやくぅ」
それに、相手が凪咲である事も要因だった。散々悪態をついたものの、凪咲なら大丈夫だろうと結局、気を許してしまっているのだ。だからこそ、余計に歯止めがきかない。一度決壊した理性は、これ以上の我慢を許さなかった。
潤んだ視界の中で、凪咲と視線が合う。生唾を飲み込むように、艶めかしい彼女の白い喉が蠢動する。
凪咲は覚悟を決めたように、目の前の未成熟な割れ目に先端を添えると、震える声で俺に話しかけてくる。
「いきなり中出しは止めようって思ってたのに、誘ってきたアキが悪いんだよ……? ど、どうなっても知らないんだからねっ!?」
僅かに開かれた割れ目から直接感じる凪咲の熱量に、一層意識が蕩けた俺は、こくりと頷いた。確認するが早いか、興奮から鼻息が荒い凪咲は、ぎりぎり残った理性を働かせ、ゆっくりと腰を動かし始める。
じゅぷ、と亀頭が淫花を潜り抜ける音と共に感じる、その長大な質量。狭まっていた膣壁が徐々に開き、初めて入れられた男性器をまるで歓迎するかのように絡みつきもてなしている。
「ふぅっ、は、っあぁぁぁぁ……」
痛みはない。凪咲のモノが奥へ奥へと進むたびに、えも言われぬ快感が込み上げてくる。更に、凪咲にゆっくりと慎重に入れられる事で、その感覚が引き延ばされているようにも感じられ、自然と笑みを浮かべてしまうのがわかる。
普段の男の快感では味わえない、足りなかったものを埋められたような充足感も合わさり、反射的に気のない声をあげてしまっていることにすら気づけなかった。
そして、異性の快感に翻弄されているのは目の前の凪咲も同じようで。
「あっくぅぅぅ……!! き、気持ち良いけど、せっま……!!」
片目を瞑り、何かを我慢している様子の凪咲。ただでさえロリ体型で膣も狭いのに、初めての快感で制御できず、無意識に締め付けているせいで余計にきつく感じるのだろう。痛いのではないかとふと心配になるが、口端が吊り上がっているのを見るに、快感のほうが勝っているようだ。
どうやら処女膜は無いらしかった俺だが、初めての経験ということに変わりはない。初めての俺が痛くないようにという、直情的な凪咲らしからぬ俺を慮っての行動に、思わず胸が高鳴る。
「「あっう!?」」
そのときめきで思わず腰がびくりと動いてしまい、衝撃で二人してあられのない声を上げる。
セックス中とは思えないほどキリっと引き締まった表情の凪咲は、汗をチラつかせながら俺に真剣に話しかけてくる。
「お願いだから静かにして、動かないでねアキ……私は今、今にも出しちゃいそうなおちんちんの快楽と、可愛すぎるアキを、ガンガンピストンしてアンアン喘がせたい欲望と戦ってるんだから……!!」
「お、お前って奴は本当に……!! あっん!!」
「やめてよアキ!! そういう可愛い喘ぎ声!!」
「無茶言うなぁ!? ふぁあぁっ」
凪咲の必死の形相に少し理性が戻りかけるものの、波状攻撃で襲い来る快楽の波に、敢無く陥落する理性の砦。チリチリと脳が焼けつくような快楽の調べに口が自然と空いてしまい、喘ぎ声は垂れ流しになった。
もどかしさと戦っているのだろう、噛みしめて耐えている凪咲とは対照的である。
あの凪咲カスタマイズの肉棒が半ば以上入り込んだ時、挿入時から感じていた違和感が、強烈な圧迫感に転じた。体の中に異物が入り込んでいるかのような、吐き気が混じった拒絶感に近い。
こんな小さなロリボディに20cmに迫るサイズのモノを入れようというのだから、そうなるのも当然だった。だが、目の前の恋人が我慢しているのだから自分も我慢しないと、と自然と思った俺は、何とか不快感に混じった快感に集中して気を紛らわせる。
段々と息が浅くなり、ぴりぴりとした痛みも感じる。だが俺も男だ、とどこか矛盾した決意に駆られて必死に我慢する。
「はっ、はぁ、ふぅ……」
「もう少し、もう少しだからね……」
「っぐ、ふううぅぅぅ……」
体感時間では10分以上もかけたような長い時を味わった末、俺と凪咲の腰が密着し、脱力した声が反射的に漏れる。
ようやく、凪咲の男性器が全て俺の中に納まったのだ。
「全部、入ったぁ……こ、子供の体温って高いって聞くけど、本当なんだね。アキの中、とっても暖かい……」
「ふ、ふぅ……ふぁぁっ」
達成感すら感じる気持ち良さげな感想を漏らす凪咲に対し、俺はもう喋ることすら億劫だった。
圧迫感と心地良さが同居した、奇妙な感覚。膣道にみっちりと詰め込まれた凪咲の逸物からダイレクトに伝わる、凪咲自身の興奮と昂ぶり。下半身に力を入れるとその肉棒を締め付けてしまい、改めて思い知らされるその大きさ。下半身にもう1つ心臓ができたかのように、どくどくと俺の中で脈打つ他人の鼓動に、意識がすべて持っていかれていた。
「お、っきい……」
涙を流しながら漏れでた賛辞は、一見苦悶の表明に聞こえるだろう。だが、目の前の美しい蹂躙者は、言葉の端々に滲んだ賞賛の感情を見逃さなかった。
流れ出た涙をそっと拭われると、凪咲の浮かべた笑みが良く見える。
「息苦しいけど、ちょっとじんじんするけど、そんなのどうでも良くなるくらい嬉しい。大好きな人と繋がって、愛してもらえて、知らず知らずのうちに笑みがこぼれそうなくらい、嬉しいよね。
私もそうだから、よーくわかるよ」
凪咲はいつもこうだ。普段はこっちが呆れる位ふざけているくせに、本気を出す場面を心得ているというか、どうすれば俺が喜ぶのか、ツボを抑えている。
いつものように、快楽ボケしたような事を言ってくれればまだ誤魔化しようがあるのに、冗談や嘘の類だとわかれば良いのに、愛おしそうに目を細める凪咲を見てしまえば、俺の躊躇いも無くなってしまう。
凪咲が寝転がっている俺に覆いかぶさるように体制を変える。
興奮で潤んだ瞳に、汗の滴る長い睫や、玉のような汗が浮かぶ肌。眼前にまで迫る恋人の顔つきが何倍にも魅力的に見え、心臓が早鐘のように打つ。
「アキが良いって言うまで、絶対動かないからね。もっとゆっくり、楽しも……?」
唇を合わせると、自然と舌を絡めあう。
貪りあうように求め合う、いつもの欲情に満ちた物ではない。お互いの愛を確かめ合うように、静かに絡まる舌と舌。リードする凪咲の動きに逆らわず、為されるがままに全てを任せる。
「んっ、んぅ……」
舌と絡み合う唾液が、酷く甘く感じる。流し込まれるがまま嚥下すると、体の中から火照っていく気がする。組み敷かれ、心地よさを甘受するだけの状態に、思考すらも甘く溶けていっているような気さえしてくる。
体に力が入る度膣壁が蠢動し、俺に凪咲の大きさや形を伝えてくる。カリ首のえぐい角度や、子宮口にすら届くその大きさが、手に取るようにわかる。
「んあ……」
男なのに女の体にされた挙句、恋人から恐ろしくでかい男性器を入れられ、抵抗することもなく受け入れている。
下半身から感じる感触や快感は、そんな情けない有様をアリアリと見せ付けられているようで、沸き起こる背徳感が俺を攻め立ててくる。
自覚した瞬間、ふるり、と全身が震えた。頭の中が真っ白になり、視界すらも消えたような錯覚。
相手にも伝わるその震えは、凪咲にも快感を促し、確信を抱かせた。
「アキ、軽くイッちゃったんだね。目がとろんとして、おまんこがきゅんきゅん動いたから一発でわかっちゃった」
「ふ、ぁ……」
これが、女がイクって感覚……
余韻が痺れのようにいつまでも残り、体や思考の自由を許さない。イキ顔を至近距離で観察されて羞恥を感じているのに、否定の言葉を思い浮かべることすらできない。
いつまでもこの感覚に浸っていたいと、本能だけが残照のように頭の中にいつまでも居座っている。
ちゅ、と額に口付けを1つ落とされる。
「でもね、今のなんてほんの序の口。本気イキはもっと凄いんだよ。がくがく体が痙攣して、ぽわーって頭の中が幸せで溢れて、ふわっと意識が飛んじゃうの。
アキの体温を感じながらイク時なんて、それはもう頭おかしくなっちゃいそうなくらい気持ち良いんだから。
もしアキが味わっちゃったら、もう男に戻りたくなくなるかも……それでも、続ける?」
お前こそ、だなんて憎まれ口を思いつく余裕すらなかった。むしろ、意地悪な笑みを浮かべる凪咲を見て、被虐的な悦びを覚えてしまう始末だった。
通報する前に、一回くらい、経験してみても良いんじゃないか。
所詮VR世界だから、だなんて言い訳を心の中で唱えながら、凪咲の背中に手を回す。
耳元で、くすりと笑う恋人の声が聞こえた。
「じゃあ、動くね……?」
こくりと黙って頷く。見えなくても、意思は伝わる。
ずるりと引き出されたそれは、先ほどより少し早いくらいの速度で俺の中に戻ってくる。
ゆっくりゆっくり、引き抜かれる肉の槍。亀頭に引っかかりながら、擦り上げられる膣壁。今までの人生で経験したことのない類の快楽の波に、思考は一瞬で白熱した。
「あん、んあぁッ!!」
「うあぁ、やっば、アキのおまんこめっちゃ絡み付いてきて、気持ち良すぎっ……!!」
ぱちゅ、と水音が鳴ると共に、二人同時に嬌声が上がる。
馴染ませるような挿入されっぱなしだった状態から一転、こつん、と膣の奥を叩かれると、反動で勢いが付いたように怒涛の快楽が押し寄せてきた。
「ふあぁ!! んあぁ!! あっぐぅ、ふ、かいぃ……!!」
「あ、だめ、アキの中気持ちよすぎて、腰が止まらないよぉっ……!!」
頭で処理しきれない程の快感に視点が定まらず、ぐるぐると世界が回っているような錯覚に陥る俺の耳に、凪咲の賛辞交じりの弱音が聞こえる。
ぱちゅ、ぱちゅ、と音を立てながら夢中で腰を振る凪咲。恐る恐る、といった凪咲の心情が見て伺えるそのピストンは、男性器が立派なせいで子宮口に軽く触れてしまうことを除けば、優しさに満ちた愛のある性行為だろう。とはいえ、普段の凪咲ならば、
『抉るように!! もっと激しく!!』
とクレームが来るくらいの、へっぴり腰で童貞丸出しの弱弱しいピストンだった。
だが、女の子初心者の俺からすれば、そんな拙い腰使いですら脅威だった。
その長大な陰茎が行き来するたび、膣壁の粘膜が刺激されひりひりと痛む。だが同時に、襲ってくる膨大な熱と痺れる様な甘い電流が、その痛みを補って余りあるほどの心地良さを生む。
「あんっ!! や、あぁっ!! あう、あっあっ、ああっ……!!」
「やばいよぉ、ただでさえアキのおまんこ名器なのに、喘ぎ声が可愛すぎて、おちんちんに響くぅッ!?」
悦びの声と共に、ぎゅ、と抱きしめる手の力が強くなる。
挿入される前に感じていた僅かな嫌悪感は、我慢するしない以前に、俺の中から消え去っていた。
嫌悪感が沸きおころうとすると、顔をうずめた首筋から、汗と女の匂いが香る度、相手が凪咲なのだと気づく。将来を共にしたいと誓いを立てる、愛する恋人が相手なのだと思い出す。その度、愛おしさが俺の中に溢れ、どうしようもなく嬉しくなってしまうのだ。
無我夢中で腰を振り、にへらとだらしない笑みを浮かべているであろう恋人に、喜びを感じてしまうのだ。
SMプレイなどではなく、純粋に男女の役割が逆転したセックスに溺れる俺たち。次第に早くなる呼吸に、凪咲の限界が近いことを察した。
「アキ、私、もう駄目ぇ。アキがえっちすぎて、これ以上おちんちんが言うこと聞かないの、今にも射精しちゃいそうなの……!! ね、中に射精して良い? アキのお腹の中に一杯、白いの出して良いかなっ!?」
――VR世界でも、中出しをすれば子供は出来る。現実世界の身体情報と照らしあわせ、タイミングが合った時に中出しすると、一定確率でVRマシンに搭載された医療機能により、人口受胎で妊娠出来るようになっているのだ。
普段であれば、未婚の関係だからして、流石の凪咲でも中出しは避けるところだ。
必死に懇願する凪咲の言葉に、お腹の奥が疼きだしたのがわかった。この偽者の体が、凪咲の子供を孕みたがっているらしい。
なけなしの理性が、流石にそれはまずい、と警鐘を鳴らす。だが、俺達の根底には、所詮これはバグで発生した仮初の体、さすがに子供作りの判定などしている訳がない、という楽観があった。
運営に通報すれば終わってしまう、泡沫の夢である。もうどうにでもなれ、と俺は自棄になった。
「来てっ……!! いっぱい、出してぇ……!!」
既に息も絶え絶え、思考回路もまともに回っていない俺は、そう言うのが限界だった。射精間近で余裕のない凪咲も、ピストンを早める事を返事代わりにし、快感の波を早めていく。
「あっ、あっ、あっ」
「っふぅ、はぁ、はぁ……!」
ぱちゅぱちゅとリズミカルに鳴る水音に合わせ、2人の女の嬌声が上がり続ける。不可思議で、溺れるような快感に満ちた空間で、重なり合い快楽を貪っている俺達。
触れ合う肌から、高まりを感じる。抽挿が早まり、びくびくと中で脈動しているのがわかる。
「イク、イっちゃう、射精ちゃうぅ……!!」
「あっ、あん、ひぅっ!!」
雄の快感に耐えながら、搾り出すような声を出す凪咲。
雌の快感に翻弄されっきりで、先ほどから浅く低くイキ続けている俺。
最後に向けて、段々とばらばらだった息が重なってくる。肌の火照りや熱が交じり合い、1つになるように同調していく。
一際腰を深く引き、きゅ、と肉棒が中で一瞬縮むのを知覚した、次の瞬間。
「で、るぅぅッ!!」
ずん、とお腹の奥にまで響く衝撃と共に、膨大な熱量が押し寄せてきた。それを認識するより早く、意識がふわり、と浮かび。
「おおおぉ、射精て、るぅぅぅぅうッ!? おちんちんの中、ずりずりって、ザーメン出てるぅぅぅぅぅっ!?」
「ッ~~――!!」
待望の射精に喜びの声を上げる凪咲とは対照的に、俺は無言の叫びをあげていた。
未熟な処女子宮に怒涛の勢いで叩きつけられる、灼熱のザーメン。聞こえるはずがないのに、俺の中でびゅるびゅるとザーメンが吹き出す音や、子宮が快楽で炙られ焼ける音が、いつまでも頭の中で反響し続ける。
余韻を楽しむように、射精しながらぐりぐりと擦り付けるように刺激されると、意識がより一層高い所に飛ばされた。
瞬間的な男の射精とは比べ物にならない、長く深く響き続ける、女のオーガズム。
きゅう、と喉の奥が締まったような声が漏れる。全身を仰け反らせ、足がピンとつま先まで伸び、がくがくと全身を余りの快楽に呼吸が出来ず、ぱくぱくと口を開閉させ、静かにその快楽の強さを讃える事しか出来なかった。
「はーやっばい、射精って、こんなに気持ち良いの……男の人がお猿さんみたいにシコるのも納得だよぉ、癖になりそう……」
ようやく射精が収まった凪咲が俺の耳元でうっとりと呟いた頃、俺はようやくアクメの高波から降りてこられた。
「――かはッ、はぁ、はー、はー……!!」
仰け反らせていた手足がベッドに落ちる。快感を享受した後の身体は、鉛の様に重かった。心臓は酸素を取り込もうと煩いくらいに跳ね回り、取り込んだ端から必死に送り込んでいる。
呼吸をする度にジン、と全身に流れる甘やかな残響は俺を苛み、未だに自由を許さなかった。
「さぁて、お待ちかねのアキのアクメ顔、ご拝見だよ~!!」
「は、はぁ、あぁ、ふあぁッ……」
そんな俺とは対照的に、もう凪咲は回復したのか、俺の顔を見るために上半身を起こす。
視界にぱっと写りこむ凪咲の可愛らしい顔は桜色に染まり、にっこりと満足げに笑みを浮かべていた。
「やっぱりロリ娘のトロ顔って最高だよぉ。喋れないくらいイキ過ぎてくったりしてるところも、
それがアキなら尚更だよね、えへへ」
「恥ずかしい事を、言うんじゃなぃ……」
壮絶な絶頂に息も絶え絶えな俺は、強く否定する元気も残っていなかった。体力全てがアクメに吸い取られた気分である。指先すら動かせる気がしない。毎回これ味わってる凪咲って、結構凄かったんだな、と変な所で感心していると。
「ね、気持ちよかったでしょ? 女の子のエッチ」
「……まぁ、そうだな。悪くは、無かったよ」
凪咲に問いに、癖になりそう、という言葉は飲み込んでおく。
俺の言葉に目尻を細くした凪咲と、ふんわりと唇を合わせるだけの口づけ。
にんまりと心底嬉しそうに笑う恋人の笑顔を見れれば、付き合った甲斐があったというものだ。
さて、凪咲も満足しただろうし、そろそろ通報するか、と手を伸ばそうとした俺だったが、そうは問屋が卸さない。
「もうアキったら素直じゃないんだから。そんな素直じゃない娘にはお仕置きだよ!! 抜かずの二回戦に行っちゃうぞー!!」
「……ええ?」
一瞬で愛おしそうだった視線に欲情が混じり、眦が下がり嫌らしい視線を浴びせてくる。
俺が状況を把握する前に、いつ買ったのか、インベントリから取り出した手錠を、鮮やかな手さばきで俺に取り付け拘束すると、乱暴に唇を奪われた。
「~~――!?」
落ち着きかけた呼吸が再び乱れる。凪咲に貪るように口内を蹂躙されている最中、押しつぶすように乳首を刺激され、軽く絶頂へ押し上げられる。
ふす、と鼻から抜ける息がこそばゆい。揺れる視界の中、目の前に迫った凪咲の瞳が物語っている、まだ終わらせる気はないぞ、と。
「ぷはっ。思春期の男の子が一回で満足する訳ないじゃない。アキのお腹がポッコリ膨れちゃうまで一杯出すから、覚悟するんだよぉ……!?」
ぐいっと口元を拭う男らしい仕草に、不意に胸が跳ねる。
「思春期って柄かよお前!? それただの色情狂じゃね、ふぁあッ!?」
入れたまま萎えていた男性器が、再び膣壁一杯に大きくなり始める。その都度ひだ一枚一枚を舐めるように滑っていくあそこからの快感と同時に、絶妙な指運びでクリトリスをカリカリとひっかかれると、じれったいような甘痒い感覚が全身に広がっていく。喋りすら途中で断絶され、甘ったるい声をあげさせられる。
「ふへへ、一回で良いからSMプレイってやってみたかったんだよねぇ。折角ならお尻の穴も使ってみたいし、たっぷり焦らしプレイして、イかせてよぉ、って言うアキのおねだりも聞きたいし……いやぁ今日は忙しいなぁ!!」
「ひぅ……」
涎を垂らしながら爛々と瞳を輝かせるその姿は、正しく餓えた獣のよう。
手を拘束されて、抵抗すら許されない自身の状況に考えが至ると、ぞくぞくと背筋に走る悪寒と嬉しさの予感に、情けない声が出てしまう。
「まだまだ寝かさないよ。もう戻りたくないって言うまで、たっぷり可愛がってあげる……
アキ、だーいすきっ!!」
反論しようにも、脈絡無く呟かれたそれに上手く絡めとられる。俺がその言葉に弱いと知っていて、わかっていて使われていても、それが嘘ではないとわかってしまった瞬間にもう駄目だった。抵抗感すら取り上げられた俺に、出来ることなどもうなく。
「せめて、優しくしてぇッ……!!」
その懇願が更に焚きつけてしまうとも知らず、俺は生娘のようにきゅっと目を瞑り、何とかそんな言葉だけを絞り出したのだった。
次回、エピローグ
(もし、書くとするなら)次のうちどの蛇足が見たい?
-
幸平と美衣
-
慶介と恵里佳
-
アキと凪咲
-
真尋と亜美
-
TSしちゃった連合の飲み会話