25連勤を終えてようやく上げることが出来ました汗
では十二話よろしくお願いします!
重苦しいドアを引きつけると自動で玄関の電気が灯される。LEDの白い蛍光灯がまこと皮肉な程に足元を照らしていた。家の思いドアが閉まる音を聴いてようやく緊張の糸が解け、自分の中のプライベートのスイッチを入れることが出来た。
「おかえり〜!」
結衣の熱い抱擁で出迎えられた。
しかし、心に出来た虚無感のクレーターに水が満ちるような感覚は無かった。鏡を見ると、昨日ほど、自分の顔はやつれていないようだ。やつれていないはずなのに生気は伴っていないように見える。
彼女の後頭部を優しく撫でると、気持ちよさそうに胸元に顔を擦り寄せた。
今自分の瞳には屈託の無い満面の笑みを見せる最高の女性が写っている。
旦那思いの良き妻だ。そのはずだ。
鞄を結衣に預けるとスーツを脱ぎ捨てるように乱暴に放した。いつもとは違う職場での作業からだろうか、勤務時間の長さにしては疲労感が大きかった。仕事そのものよりは環境に神経を使った影響で今にも睡眠欲に流されてしまいそうだった。下着姿になった時、着ていたスーツが古代欧州兵が付けていた甲冑に思えた。虚脱感を纏った鎧をクローゼットに押し込むようにしまうと、そのまま結衣の居るリビングへと向かった。静けさの中、暖色の蛍光灯が廊下を照らしている。それが逆に人の気配のなさを象徴しているように見えた。脚を進めるために踏まれた床が僅かに沈むのが伝わった。その蠕動がゆっくりと這い上がり、ざわつく心の臓を鷲掴みにする。
軋む音が耳元にまとわりついている。
お前は本当に、ただ愛の巣へ帰るだけで良いのか、呪われているようだ。
後ろを振り向いたが、誰も居なかった。
玄関の電球が切れかかっていた。早く上がれた日に、道すがら電気屋にでもよって替えを買って帰るか。
リビングに入ると結衣がキッチンで料理の準備をしていた。匂いから察するに焼き魚だろうか。疲れで胃があまり食べ物を受け付けない状態になっていたので丁度良かった。肉を出されると流石にきつかったかもしれない。匂いで身体が食事を殆ど受け付けない状態でもあったが、愛する妻の食事を目の前にして食欲が無いなどとは言語道断の至極以外の何物でもない。
「先に風呂に入るわ。身体汚いし」
「うん、分かった!!じゃあその間に準備しておくね!」
机の上には既に煮物やおひたしなどの小鉢が秩序を保って陳列されていた。鮮度の落ちない内に食べないと勿体無いのでそそくさと風呂場へ向かった。
シャワーから出てきた水は冷たかった。そして徐々に熱を帯びていく。
中々、温かさが伝わってこない。結局、ぬるま湯のまま頭から水をかぶった。
浴槽に腰を沈める気がしなかった。ただ、せっかく結衣が追い焚きをしてくれていたので入ることにした。
浴槽に浸かると溜まっていた疲労が一気に吹き出した。塩水に付けられた貝が砂を吐くように倦怠の粒が行き場を失って身体から溢れている。立ち上る湯気を眺めながら、今日の一日を振り返った。
いや、振り返るべきは昨日今日の二日なのかもしれない。
まさに怒涛の日々と評するにふさわしい期間だった。数年間に及ぶ平穏の変化は突然に訪れた。昨日は取引先の相手として雪ノ下さんが突然現れた。そして、いきなり翌日に出向を命じられると、今度は彼女の妹が目の前に姿を見せる。一体、何年間連絡を取っていなかったのだろうか、お互い違う道を歩みすぎたのかもしれない。テレビや小説で主人公と恋の相手の立場が違いすぎて中々成就しないという展開がよくあるものだが、寧ろそういった二人の方が近い距離感の中にあるのではないかと思わされる。
仕事場では業務が重なっていたこともあって、雪ノ下と最初の会議室以外で会話することは無かった。途中、気になって何度か彼女の方をちらと見てみたが、彼女も多忙故、机と資料に縛られっぱなしだった。紅茶を入れにサーバーのところに向かう度に、わざわざ迂回してこちらの机の前を通るように移動していたのは気になったが。その後に戻る時もわざと自分の視界に入るように帰り道を歩いていた。
いかん、自意識過剰だ。そんなわけがないだろう。こちらの進捗を確認したり、自席近くの社員になにか言うことがあったからに違いない。いや、誰にも話しかけてる様子は無かったな。というか振り返ってみると、どんだけ雪ノ下のこと見てるんだ俺は。
…。
自分は何を考えているのだろうか…。
家に帰ってくるなり他の女が頭から離れないのは流石にどうかしている。
浴槽から立ち上がると、強烈な立ちくらみに襲われた。どうやら湯船に浸かりすぎてのぼせたようだ。風呂場の操作盤にある時計を見ると、40分近く経過していた。自分にしては随分と長風呂してしまったようだ。ある意味、貧血気味な自分に注意しながら風呂を上がると、夜のひんやりとした風に包まれた。結衣がベランダに洗濯物でも干しているのだろうか。帰り道の空模様を見るに明らかに雨が降りそうだったのだが、とりあえず火照りきった身体を冷まさせるにはお誂えだ。
夜風を愉しみながら寝巻きに着替えた。キッチンの方に耳を澄ませるとまだ、結衣が鼻歌を歌いながら料理を続けている。彼女の料理姿を勝手に想像しながら妄想を膨らませていた。
リビングに戻り、テレビの電源を点けた。早めの帰宅だった事もあって久しぶりにゴールデンタイムの番組を見た気がする。最近のテレビは知識享受のお得番組や、クイズ番組ばかりで全く代わり映えしない。過激なことをすれば直ぐに文句を言われるご時世だから結局の所そのくらいしか放送出来ないのだろう。「特別な許可を得て撮影しています」や「専門家の指導の下に撮影を行っています」などの注釈や断りを右下に表示しなければいけないのもその影響からだろうか。言わなくても分かることでは?と思ってしまうが、やはり言わなければ揚げ足を取られるに違いない。そういった事に突っ込む人間に限って日常的に何気ない一言で周りの人間を傷つけて…いや、これは撤回しておこう。自分もそちら側に行ってしまうような気がする。というか、元より俺はそちら側の重鎮か。
「おまたせー!出来たよ〜!!」
結衣が手料理を持ってきた。見た目は上々、さて味やいかに…。
着席しようとした時、ベランダから強い風が入ってきた。外を見るとやはり、雨脚が強くなりつつある。
「結衣、雨が降りそうだぞ、先に洗濯物入れるか?」
「え?あああ!ホントだ!いいよ、八幡がやらなくても!私がやっておくから冷めない内に食べちゃってね」
結衣は慌ただしくエプロンを台所に戻すと、小走りに干したての洗濯物に駆けていった。結衣に全部任せるのも気が引けたのでベランダの前に立って結衣が取ってきた洗濯物をソファに重ねておく程度の手伝いはしておいた。ありがとうと言った結衣の髪は少しだけ雨に濡れていた。その姿が艶美で心の奥底に眠る欲望がまた沸々と湧き上がってしまいそうだった。昨日あれだけ交わったのにも関わらず、節操のない男だ。すいません、でも嫁が可愛いから仕方ないでしょ。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
俺が夜遅くに帰ってきて一人で食事をする時、大抵結衣は隣りに座ってまじまじと俺が食べ終わるまで顔を見るのが日課だ。
しかし、偶に結衣は隣ではなく正面に座る時がある。
まぁ正面と言っても高さが同じというわけではなく。。。
「んちゅ・・・じゅぼ・・・ずずずず」
下半身から快感が伝わる。
結衣は時折、何故か俺の股の間に腰を下ろして、肉棒を啜るのだった。
別に俺がやってほしいと頼んだわけではない。いつからか自ずから進んで俺のズボンを下ろし、下半身丸出しで夕食を取らざるを得なくなっていた。我ながら何とも拙劣な状況説明で申し訳ないがこれ以上の解説の仕様が無い。
おひたしにポン酢を掛けて食べると小松菜の緑の香りが口の中に広がった。自分には丁度よい茹で加減だ。
「じゅるるる…ひっきぃ…おいひぃ?」
結衣が咥えながら聞いてきた。話すときくらいは口に含まなくとも良い気がするが、どんな時でも奉仕を続けるというのが結衣のこだわりのように感じられたので言うだけ野暮だろう。
「あぁ、美味いぞ。他のおかずも悪くない」
「しょっか。良かった。わたひもおいひぃよ、ひっひぃのおひんひん♪」
前代未聞の会話だ。会話が噛み合っているのに噛み合っていない。早く食べ終わらないと意識を全て愚息に持っていかれそうになる。今夜は珍しく結衣の食事が美味いのだ。個人的にはゆっくりと食事を楽しみたい気分だが、そうもいかないな。右手に持った箸をしっかりと握り直すとかきこむように夕食をたいらげていく。途中何度か喉に詰まりそうになったが、それよりも、愚息が頂点に上り詰めようとしていたのでその前になんとかして晩餐を済ませたい所存だった。そして最後に白飯を食べようとした時だった。
「じゅ!じゅぼ!!ジュルルルルルル!!」
「ぐぅっ!」
結衣がこちらの食事ペースを把握しきっているのか、合わせるかのようにラストスパートを始めていた。食卓に突っ伏してしまいそうになる躰を奮い立たせるように背筋を伸ばすと一気に白米を口に含んだ。
と、同時に限界も訪れてしまった。
「んんんんんんんんんんむ!!」
白米を食べながら白濁を出した。昨日枯れるまで出したはずだが、今日もまた生きのいい精液がふんだんに射出されていた。なにも毎度口内で受け止める必要は無いと思うのだが、結衣はいつも精液を外に出さず全て飲みこんでいた。同じタイミングで茶碗が空になり、見事お互いに完食(?)だった。
「「ごちそうさまでした」」
二人して席を立った。勿論、俺はズボンは穿いていない。そのまま積み重ねた皿を持ってキッチンの流しに持って行った。シンクのレバーを上げると冷たい水が流れ出る。スポンジに洗剤を付け、少量できめ細やかな泡を作った。手際よく食器を洗っていく。自分でも出来る家事は結衣に任せることなく自らすすんで行う習慣がついていたのは比企谷家で人権がない生活をしていた賜物かもしれない。
ところで洗うのは良いのだが、何も皿洗いに合わせて、ベトベトになった砲身を拭かなくてもいいと思うんですが…。
結衣は俺の背後で屈むと、リビングのテーブルに置いてあったアルコールのウェットティッシュを何枚か手に持って、丁寧に精液を拭っていった。なんか如何わしい店の手順みたいだ。勿論、俺は行ったこと無いぞ、うん。伝聞や本で知った知識だ。
アルコール独特の揮発性物質の清涼感が敏感な先凸に伝わり悶えてしまう。それがクセになっている自分も幾分変態であると言わざるを得ない。皿洗いが終わる頃には結衣の奉仕も終了していた。食洗機を干し場代わりにして皿を並べ、タオルで手に付いた水を拭き取っていると結衣がテーブルからズボンとパンツを持ってきた。そのまま、足を広げて履かせてあげると言わんばかりに笑みを浮かべている。
「いや、あの。自分で出来るから置いといてもらえるt・・」
「足上げて♪」
「…はい」
大人しく右足を上げた。こういう時は何も考えないほうが良い。虚心で受け入れる方が人生は楽だよな、うん。日本社会が生み出した社畜精神、無形文化遺産(負)として登録でもしたらどうだろうか。
パンツやズボンを履かされたのは何年ぶりだろう。遠くない将来、毎日介助士にやってもらう日々になるのだろうが、まだまだ自分はそんな年齢ではない。
全てを終えると、今度こそ抗えない眠気に見舞われた。
今日は疲れたな。
ベッドに倒れ込むように突っ伏した。あぁ、オフトゥン最高。いや、布団じゃないけど。
「八幡、今日の仕事はどうだったの?」
顔を上げると、結衣が寝室の入り口から控えめに覗くようにして立っていた。今日の仕事の調子や総括を聴いてくるのは彼女の日課だった。そういえば出向で今日はいつもと違うオフィスに向かったことは言っていなかった。昨日は雪ノ下さんがオフィスに現れたことしか触れていない。
さて、どうやって説明しようか。
素直に雪ノ下に会ったことを伝えて良いものなのだろうか。
これから、しばらくは彼女と顔を合わせる日々になることを伝えて良いものなのだろうか。
彼女と再会できたことに喜びを感じてしまったことを伝えて良いものなのだろうか。
正直そこまで頭が回っていなかった。とはいえ、今日一日でそこまで考えるというのが土台無理な話でもあるが。
しかし考えてもみろ。昨日、彼女が俺との宝を作ると決意した大切な日でもあるのだ。出来る限り彼女に不安を与えたくない。これから二人でもっと愛を育もうというこの大切な時期に水を差そうとしている。
おもむろに起き上がり、彼女の眼をじっと見た。そして、
「今日も面倒な一日だった」
それだけ伝えると彼女の返事を待たずして、気を失ったように眠りについてしまった。
続く
進まねぇ。。。。。
久しぶりの休日も睡眠と本屋めぐりで終わりました()
また20連勤になるかと思うので、次の更新はまたもや二週間後を見積もっております(;´д`)トホホ…
一応、次回分の話は書き上がっているのですが、ペースは崩さず書き進めるほうが自分としても良いのでその間に少しでもやっておきます_(:3」∠)_
今回も読んでくださってありがとうございました!!
では、次回もまたよろしくお願いします!!(_ _;)