生きてました笑 おまたせして申し訳ございません_(:3」∠)_
とりあえず、今月はしっかりと休みつつ25000字くらいは書き溜めておきました。
投稿ペースもとりあえず二週間に一度の間隔に戻せそうです。
細かい話はあとがきにて。
それでは十四話です。よろしくおねがいします。
-Side Hachiman-
さて、比企谷八幡君。ここで一つクエスチョンだ。スーパーひ◯し君人形は賭けなくてもいいぞ。
落ち着いて考えてみよう。
何故、こんなところに雪ノ下雪乃がいるのだろうか?(出題音♪)
それではシンキングタイム。
場所は?
ここは俺の仕事場で東京に位置している。
雪ノ下の仕事場は?
千葉県にある。こことは真反対の方向だ。
電車の乗り間違いか?
そんな凡ミスと呼べぬほどの失態はありえない。俺の嫁じゃあるまいし。
では何故?
おそらく、依頼客ということでこちらに来たのだろう。
いやはや、まさか昨日今日で再会してから、いきなり仕事場という別のスイッチが入っている現場に乗り込まれるとは想定外だったが。
学校の友達と塾で会いたくない、仕事場の人間とプライベートでスーパーやデパートで出くわしたくない。そんな感じだ。自分は会う人間によって自分の中の顔を切り替えるタイプなので、雪ノ下に自分の仕事場での風景を見られるのはなんとなく嫌な気がした。別に出向先は予め自分の中で営業用の八幡に切り替わっているので良いのだ。しかし、仕事場の八幡は家庭ともプライベートとも異なる顔の一つとして確立されている。人に見せる顔は一人に付き一つで十分だ。それが俺なりの人間関係を良好に保つための秘訣の一つであるというのが持論でもある。
雪ノ下の顔をちらと窺ってみた。
「?」
雪ノ下は眼を丸くして不思議そうにこちらを見ている。お前、いつからそんな無邪気な可愛い顔が出来るようになったんだ。
そして、なんか今日すごく綺麗だし。俺じゃなくても誰もが一瞬で心を奪われてしまいそうになる。くそ、目をそらそうとしてもまたあの目に捕らわれてしまう。
事実、既にこの場にいた男性社員全員が雪ノ下に釘付けだった。他の女性社員たちの恨めしそうな表情から心情が面白いように窺える。まぁ、とどのつまり、社内の様子は完全に混沌と化している。
芦間はというと怪訝な顔で俺と雪ノ下の表情を交互に見比べていた。しばらくすると僅かだが、雪ノ下を見つつ口端を上げたように見えた。相変わらず腹の底で何を考えているのかよく分からないやつだ。
「比企谷君、おはよう!」
振り返ると智佐吹さんが今日も空元気じゃないのかと言わんばかりの快活な声で挨拶をしていた。こちらとしてはそんなテンションじゃないんですけどね。
「あぁ、智佐吹さんおはようございます。どうして、俺の倍は働いているのにそこまでの快調を保てているのか、不思議でならないですよ」
本気でそのエンジンを分けてもらいたい。色々な意味で今日は心労が多くなりそうだ。
「そりゃあ、毎朝、青汁とヨーグルトを摂取しているからね」
「食生活でどうにかなったら、この世から過労死やストレスによる精神病なんて問題が出てくるとは思えないんですが」
英語で過労死って言葉がそのまま使われているくらいだからな。Karoshi って。
「さては君は人も食事も好き嫌いいっぱいなんだろう?」
なんとまぁ、あけすけな物言いだ。周りからそんな感じで見られているのだろうか。まぁ、聞くまでもないか。
「それなりに克服はしていますよ。家内のおかげでね」
同棲を始めた当初は、好き嫌いとかそんな贅沢を言うどころの騒ぎではなかったからな…。昨今の日本人たちは、“食べ物”が食卓に並ぶ喜びを知らないだろう。
「なんで急に遠い目をするんだ」
「嫁の飯が〇〇◯、ってやつですよ。智佐吹さん」
おい、そこ。余計なことは言わなくても良い。
「まぁ嫁さんの良さはもっと別のところにあるんだろ?耳にタコが出来るほど聞かされているからフォローしなくてもいいぞ」
「そんなに説明したか?」
「自覚がお有りでない!?」
こいつは重症だ…、芦間が頭を抱えていた。おかしい。やつには結衣の良さを氷山の一角しか教鞭を振るっていないはずだが。
「随分と円満な結婚生活を送られているそうで」
雪ノ下がナイフを懐に刺し入れる。
笑顔なのに顔が笑っていない。冷や汗が顔に伝わるが、笑みがこぼれそうになる。雪ノ下も楽しんでいるのか後ろを向きながら肩を震わせている。
「やっぱり、比企谷ってどの環境でもそういうキャラなのな」
芦間が納得したように頷いていた。
「勝手に解決しないでもらえるか…。どうせお前のことだから碌でもない方向に勘違いしていそうだ」
「俺か?」
「お前以外に誰が居ると思ったのか」
「まあまあ。ふふふ。俺はお前の味方だぜ、比企谷」
芦間は肩をポンと軽く叩くとそのままコーヒーを取りに席を外した。いや、何だったんだ今のは。
「さて、私と雪ノ下さんも少し話があるので外すよ。比企谷と雪ノ下さんは旧知の仲なんでしょ?積もる話もあるだろうから昼食でも一緒に取ったらどう?」
なんという要らぬ世話。こんな人目につきまくる場所で俺が雪ノ下と飯なんて食ったらどんな結果になるかなんて、考えるまでもないだろ。
「え!?飯行くの比企谷!?」
芦間がオフィス端のコーヒーサーバーから声を上げた。お前はどっから反応してんだ…。
いや、待てよ。二人きりで食うよりかはあいつに居てもらったほうが会食という面目で騒ぎを収束させ易いのではないか?
うん、それが良い。そんでもって無理やり智佐吹さんも呼んでしまえばもう疑いの余地がない。完璧。
「因みに、いろはちゃんも多分飯に来るだろうけど、そこんところどうすんの?」
いつの間に後ろに。
というかさとり妖怪か己は。なんで毎度毎度、俺が考えていることがわかるんだ。
芦間は何事もなかったかのように飄々とした顔で自身の席に着いた。おい、この状況少しでもなんとかするとか無いのか。
しかしながら、こいつの言うこともご尤もだ。
雪ノ下がこのオフィスの中に居るということは既に一色と顔を合わせているだろう。下手に彼女の存在を隠すことは逆効果と言わざるを得ない。10年弱ぶりの再会だろうか。俺や結衣が居る上で会話をしたことはあるだろうが、二人きりで言葉を交わすといったことは殆ど無いはずだ。好奇心もあるが、俺としては、今後の自分の立場のあり方を決めるためにもどんな雰囲気だったのか非常に気になる。
ただ、一色と雪ノ下が居る状況下で飯なんて食事が喉を通らないなんてレベルじゃない。胃が蜂の巣にされるような修羅場にしかならない気がする。
雪ノ下は先程の芦間と同じく俺と芦間を見比べるようにじっと見ていた。俺が軽口をたたき会える人間が居ることに心底驚いている、といったところか。そりゃあまぁ高校時代を知る人間からしてみれば考えられないことは理解できるが、何もそこまでど肝を抜かさなくてもいではないか。
ふと、雪ノ下と目が合った。
雪ノ下は仕事の場故に髪を纏めて前髪だけ少し下ろしたような髪型をしている。
本当に綺麗だ。
いやいや、何を考えているのだ俺は。
雪ノ下は恥ずかしそうに下を向きながら髪をかきあげると妖艶な笑みを浮かべた。
その瞬間に全身が熱くなるような感覚に襲われた。血管の中の血液という血液が滾り、心臓が縄で締め付けられるような苦しさに見舞われる。
あぁ、くそ。鏡を見なくても今の自分が笑えるくらいに顔が紅潮しているのが分かる。玉木さんが笑った時にこんなにも照れた事はなかった。智佐吹さんのときも一色が笑った時だって、こんなに自分の理性が一瞬で崩れ落ちそうになったことは無い。
雪ノ下が物欲しそうに少しだけ口を開いた。
その仕草が自分を求めてくれているような気がして、心がかき乱される。
これ以上は自分がどうにかなってしまいそうだったので顔を逸らした。
横目で雪ノ下を見ると彼女は残念そうな、いや、意気地なしと避難するような目でこちらを見ていた。
お前ここ職場だぞ。しかも、俺の今の周りの環境だって知らないわけじゃないだろ。勘弁してくれよ。
いや、待て。その言い方だと、職場じゃなければ良いみたいじゃないか。
というか何だこの異常なまでの自意識過剰は。
本当に最近の俺はどうしたんだ。
まるでそうあってほしいと期待しているようではないか。
「それでは雪ノ下さん、こちらに」
智佐吹さんが雪ノ下に移動を促すと、雪ノ下はこちらを一瞬見る。そういえば、商談で来ているんだったな。完全に失念していた。
再度、雪ノ下と目が合う。
なんて声をかけたら良いのだろう。
昨日のやり取りを思い出してみた。うん、殆どロクな会話をしていない。全く参考にならなかった。
周りの社員たちの視線がまた突き刺さる。
とにかく沈黙はまずい。なにか言葉をひねり出さなければ…。
よーしここは、とりあえず、会社の場らしく粋な一言を。
「じゃあ、また後でな」
……………。
はい終わった。
本来であればビジネス上の会話が求められる場面なのだろうが、口から出た言葉は旧知の間柄を彷彿とさせるような砕けたものだった。比企谷八幡選手、完全に空気を読み間違えております。ハチマン終了のお知らせ。
というか、何俺は智佐吹さんが言ってたことを雪ノ下の反応も見ずに鵜呑みにしているのだ…。完全な早とちりではないか?
雪ノ下は狐につままれたような顔をしていた。俺が距離を詰めてくるような言動に心底驚いたに違いない。
そりゃそうでしょうね。私自身もそんなクッサイ台詞が自分の引き出しの中に眠っていたかと思うと、自分のことながら寝耳に水ですよ。
中学時代の痛い自分を思い出しちゃいましたよ。いや、あの時の勘違いのほうが今と比べたら可愛い方じゃないですか。なーに、やらかしちゃってんの自分。馬鹿じゃないの馬鹿じゃないの!?
あんたバカァ!!??うん、馬鹿です。紛うことなきアホンダラです。
…………。
何故、あんな言い方をしてしまったのだろう。
話しかける前の状況を思い出してみた。
昼食の話が出てきた時に周りの男性社員がチャレンジしてみようという魂胆が見え見えの表情をこちらに見せていた。
その瞬間、雪ノ下が周りの男達と話しているところを想像した。
男が質問をして雪ノ下がそれに答える。
吐き気がした。
そうか、そういうことだったのか。
よもや自分にも嫉妬心とかいう女々しい感情があろうとは。
つまり、俺は雪ノ下は自分と親しいのだと主張したかったのかもしれない。会社の男たちの羨望の眼差し。隙あらば話しかけようという狩人の目になった同僚たちの目線に無意識に気色ばんでいたか。
全く、社会人を何年も経験しておきながら、未ださもしい男の矜持に取り憑かれているのか俺は。我ながらなんとも情けない。
お前はもう既に彼女とのつながりを諦めた愚かな男として生きていくことを何年も前に選んだのではないのか。
それを再会しただけで断ち切ったはずの自分にも機会があると何を今更、期待している?
「比企谷君」
雪ノ下が俺を呼ぶ声がする。
彼女は一体どんな表情をしているのだろう。
直視できそうにもない。
自分の中の嫉妬心を自覚してしまった今、どんな顔を彼女に向けたら良い?
迷い。後悔。呵責。連なった負の感情が全身を緩やかに支配した。
それでも見たい。
彼女ともう一度分かり合いたい。
雪ノ下雪乃との関係をこのままにしたくない。
俺は顔を上げた。
雪ノ下は名残惜しそうな、憂いているような切ない表情をわずかに浮かべていた。
その顔から心情を読むことは出来なかった。
考える間も与えずに直ぐにその場を離れるように雪ノ下は智佐吹さんの後ろに続いた。
は、なんとまぁおめでたい男だ俺は。
結局、こんなものだろう。
切り替えるように、パソコンの画面を起動し、メールのサーバーに接続する。
もう気持ちを引きずることはなかった。これまで幾度となく別れと失敗を繰り返してきた人生だ。
なのに、俺は彼女の後ろ姿を目で追い続けている。
そう思った時、雪ノ下が立ち止まった。
そしてふいに振り返ると、こちらに俺だけに分かるように微笑んだ。
「また後で」
そう言うと、智佐吹さんや後に続いて会議室の中へと入った。その姿を追うように見つめていた。呆けていた自分の意識が返ってくるのに幾ばくかの時間を要した。他の男性社員たちも同じくして雪ノ下の後ろ姿を思い返しているようだ。
年甲斐もなく高揚している。
一体、いつからあいつは落としてから上げるなんて技を覚えたのだろうか。
今、鏡を見たらとんでもないくらい情けない表情をしているに違いない。
俺は慌てて目線を自身の机に戻すと、溜まっているメールの返信から取り掛かることにした。
キーボードを叩く音が心なしか弾んでいる。
自分にもまだ可能性があるのだろうか?
そう思うと、昼が待ち遠しくて仕方がなかった。
だが、少年のような若々しい興奮は長続きせず、程なくして冷静さを取り戻さざるを得なくなっていた。
メールの返事を淡々とキーボードで入力しながら今後の相関図を頭の中で整理する。
当然、先の一件がもたらすものは何も良いことだけではない。
寧ろ、俺はこれから激しく困難な道程を歩まなければならなくなったと評する他無いのかもしれない。
何年も先延ばしにしていた課題が大きな津波となって、容赦無く押し寄せてきたのだ。
雪ノ下が会社に来た。
その時、あいつは会社の入り口で相当驚いたことだろう。
既に一色との再会イベントは発生しているはず。
あの二人の接触はそれ即ち、結衣と雪ノ下の邂逅もそう遠くはない話になったということだ。
加えて、雪ノ下姉もこの件に間違いなく絡んでいる。
現状は俺と雪ノ下を引き合わせただけでこれといった介入行為はされていない。
しばらくは静観するつもりなのだろうか。とはいえ、必ず時間が来れば次なる爆弾投下も辞さない構えだろう。彼女に取って俺たちは格好の玩具なのだから。その玩具の一つに自身の大切な妹が入っているという点に関しては雪ノ下さん本人も、キャストである俺も立ち回りには細心の注意を払う必要がある。
その上で最も重要になるのが一色だ。
おそらくあいつは俺の周りの人間関係を結衣以上に把握することになる。
そしてあいつは俺のことが好きだ(自分で言うのもあれだが)
この三角関係をおとなしく様子見するなんていう魂胆はまず無い。間違いなくこの混乱に乗じてなにかしらのアプローチがあって然るべきだ。大学時代の一色を思い返せば想像に難くない。
本来であれば彼女をこの騒動には関わらせるべきではないのだ。これは俺と雪ノ下、そして結衣の問題なのだから。
だが、一色を外に追いやり、敵に回すというのは愚にもつかない蛮行と言わざるを得ない。一色も、いきなりの雪ノ下の登場に少なからず困惑をしているはずなのだ。あいつの現在の状況は雪ノ下の処遇を検討している最中だろう。心の整理がつくまでは目立った動きはないと俺は考えている。その前からこちら側が一色に働きかけるのはどうにも愚策に思える。受け身思考にも思えてしまうが、一色の様子を見て対応を考える方が余程賢い。
何より、目下、一番の問題は一色がどんな結論を出すかということよりも、あいつが結衣に雪ノ下のことを話すかどうかだ。
そう、今更だが、俺は結衣に雪ノ下と再会したこと未だに話していない。
そして一色はその事を知らないのだ。
仮に現在の状況で一色が結衣に雪ノ下のことを話してもみろ。なぜ俺が雪ノ下のことを黙っていたのだという話になることは目に見えている。
それに対する弁解の余地も無いことは勿論だが、このままだと俺の頭の中で考えも纏まらない内に事がとんでもない方向に進みかねない。
俺が一番恐れていることはこれだ。取り返しがつかなくなる前に何とかして、この崩壊寸前のダムをせき止めておきたい。
なのでまずは一色に現在の俺の状況を理解してもらいつつ、しばらくはこちらの関係に水を差すことなく見守ってもらうよう取り図らねばならない。
…でそんなことどうやったら出来るんだ?
一色にとって現状維持が最も本意ではない結果であるのにもかかわらずだ。
何も首を突っ込まずにそっとしておいてくれと頼まれて素直に首肯出来る奴が果たしているのだろうか。否、無理に等しい。
話が長くなったので、少しまとめよう。
俺の今後の立場を考えるためにも現在の俺を取り巻く人間関係について俺の個人的な視点から論述してみる。当然だが、これはあくまで俺の主観であって確実性は不明という前提の元というのは言わずもがなだ。
さて・・・まずは、、、、
「ふふふ。私の出番かね?比企谷君」
気がつけば芦間が隣の席から覗き込むように珈琲の入ったカップを差し出していた。いつの間に新しいものを淹れてきたようだ。
本当に空気を読んでいるのか読みすぎてあえて読まないようにしているのか、こいつは絶好のタイミングで水を差してくる。今から八幡くんが格好良く解説を決める大事な場面だろう!いや、まぁそんな大層なものでもないですけど。
芦間のグレーのスーツに似つかわしくもない真っ青なネクタイがやけに存在感を主張している。それなのに何故か似合っている。イケメンって卑怯。
「何のことだ?」
物凄く鬱陶しそうな視線をくれてやりながら返事を返した。因みにお前の出番なんてものは知り合ってから、ついぞ期待したこともない。
「あらま。強がっちゃって」
「手を借りる必要は無いぞ」
「お前完全に見惚れてたろ?」
「俺は嫁一筋だ」
「あーらら。こりゃあ随分と拗らせちゃってるなぁ」
芦間がぼやく。生憎だが、拗らせているのは生来のものだ。物心ついたときからこの性格と付き合っているから高校の頃ぐらいから随分と好きになってしまっている。
「とりあえずだ。お前さ、あの雪ノ下さんっていう黒髪美人とただならぬ関係だったんだろ?」
「ただならぬとは何だ…」
それだと俺と雪ノ下が何やら爛れた仲みたいじゃないか。
「とはいえ別に男女の仲ってわけではないが、親しい間柄だったとは思ってる」
「アッハイ。お前の中でどう違うのかは聞かないことにしておこう…」
芦間は若干納得がいっていない様子だったが、一定の理解は得られたようだ。
「それで、お前がどう俺を助けると言うんだ?」
「随分と上からだなぁ…。比企谷って直ぐに表情に出るからそれなりに親交のある人間からすればお前ほど分かりやすい奴居ないからな」
ケタケタと品のない笑いでなじられた。顔に出るというのはいつも周りの人間に言われていることだが、本当にそうなのか未だに疑っている。
ともあれ自分の現状と雪ノ下とのなんとも言い難い距離感を他人にどう説明すれば良いものなのだろうか。それよか、芦間は信用に足る人物なのかどうか。後者のほうが熟考すべき議題かもしれない。
とりあえず、芦間には雪ノ下は高校の部活の仲間であり、結衣とも親友とも言える関係にあった人物であること。その部活動の中で一色と知り合ったこと。数年間に渡る音信不通からの突然の再会であること。時間が空きすぎてしまったが故に彼女の事が分からなくなってしまっていることを話した。
芦間は静かに頷き、噛みしめるようにしながら黙り込んでしまった。一体何を考えているのだろうか。周りでは既に会議の準備に向けて資料を整理している社員たちの姿が目立ち始めている。
二分ほどしてようやく芦間が口を開いた。
「話は断片的にだけども、相分かった」
「それで、これをどう見る?」
「どう見るって言われてもなぁ。それは俺よりもお前のほうが絶対に事情分かってるはずだぞ」
「…。それが皆目見当がつかないからこうして恥を忍んで相談していてだなぁ」
「というか、比企谷の高校時代を聞くに、こうして人に相談しているのも成長したってことなんだろうなぁ」
「それは言わんでもいい。もう高校の知り合い達から死ぬほど言われた」
「あはは。やっぱりそうか」
芦間は肩の力が抜けきっている様子だった。こちとら、肩に力入りすぎてもう朝っぱらからずっとガチガチで石になりそうだってのに。
「それでさ比企谷。一個質問があるんだけど」
芦間が唐突に真面目な顔に戻る。
「ん?何だ??」
間の抜けた返事を返すと、芦間はその空気に似つかわしくないほど張り詰めた表情でこちらに迫る。
「結局、比企谷ってどうしたいわけ?」
こいつは本当に一番俺が言われたくないことを、一番相談相手が言うべきことを的確に述べてくる。
続く
改めまして、1ヶ月ぶりの投稿。前回の後書き通り一応納期は守れたのでホッとしてあります(^_^;)
次話分もすでに出来上がっており、さらにその次の話を書き始めているので、ペースとしては以前の状態に戻ることができたかなと思います。
物語の中の補足は今の所、特にはないかなと思ってます。
次の投稿は一応、2週間後でお願いします。
まあ、週一に戻せたら良いのですが、とりあえず1週間納期で自分を追い込みながら書いてみよう…。
今回はこれにて。読んでくださってありがとうございました!
それでは、次回もまたよろしくお願いします^ - ^