最近、37度の熱が一ヶ月以上もずっと続く原因不明の病に父親共々苦しんでおります。
これほんと何なんだろうか…。
次回がまた場面が変わるため、今回はすごく短いです。
それでは18話よろしくおねがいしますm(__)m
かかってきた電話の相手がまさか雪ノ下とは全く予想だにしなかった。こんな夜遅くだ。何かしらの理由があるのだろう。
先程とは全く違った緊張だ。どうしてこうも心臓に悪いことばかり立て続けに起こるんだ…。
「それで、こんな夜遅くに何の用だ?」
深夜だが、気温は高めなので窓を開けてある。ベランダから入り込む夜風にうたれながら、明日というか今日の仕事に支障をきたすので手短に話を済まそうと本題を尋ねることにした。
『その、夜分遅くにゴメンなさい』
「…?どうしたんだ?」
端末越しに聴こえる雪ノ下の声はどことなく、浮遊しているような感じがした。再会してからというものの、雪ノ下は二人で話す時、落ち着かない様子をよく見せている気がする。
雪ノ下はしばらく答えなかった。
『め、名刺よ』
「ん?あぁ、今日渡したやつか?」
どこか変なところでもあったか?別段ひねりを加えた要素は無いはずだが。
『ええ、名刺交換するべきだったのに、私は渡すことができなかったから』
なんだ、そんなことだったのか。律儀だな。そんなこと気にしなくても良いのに。
「別に俺は気にしてないぞ」
『私の気がすまないのよ』
「だからってお前、こんな夜遅くに電話しなくてもいいだろ…」
『そ、それは。ごめんなさい。貴方の職業上、10時とかでも仕事中だろうと思ったから』
雪ノ下なりに電話をするか否か悩んだのかもしれない。俺だって、口ではこんな事を言いつつも、内心では踊り狂ってしまいそうなくらい舞い上がっている。
「その、ありがとな。確かにさっきまで用事があったから、ちょうどいい時間だったわ」
『…そう』
雪ノ下の声は温かかった。安堵の吐息が携帯から伝わる。その声を聴いて俺も全身の緊張が解けた。
『…用事だったのね』
何か含みのある言い方だった。俺の用事が一体どのようなものだったのか気になっているようだが、俺があえて濁したようにも取れたのだろう。
「別に隠すことでもないから聞いてくれても良い」
『聞かないで欲しいと言うようにも聴こえたけど?』
「…正直半々くらいかもしれない」
『なら聞かないわ』
「一色の相談に乗ってた」
『結局言うのね』
煽りよる。お前が言わせるように誘導したんだろうが。
『一色さん、比企谷君と同じ会社なのね。驚いたわ』
「あぁ。因みに、大学も同じだった」
そう伝えると雪ノ下はしばらく押し黙った。まさか大学まで一緒とは思わなかったのだろう。
『そうなのね。それで。まさか、一色さんが貴方と同じ場所を選び続ける理由がわからない貴方ではないでしょう?』
「……まぁな」
もう何度も告白されているとは言えなかった。一色の真意なんて、火を見るよりも明らかではあるが、雪ノ下にそのことを告げられない自分がいる。
「流石に驚いたか?」
『ええ、最初彼女だと分からなかったわね』
「そんなに見た目が変わってたか?」
『久しぶりに会った身としては、劇的なものだったわ。一色さん、あどけなさが抜けて、大人っぽくなっていたから』
「そっか。俺は殆ど毎日のように会ってたから、分からんかった」
『でしょうね。人間、緩やかな変化には中々気づかないものだから』
雪ノ下は変わらず不機嫌そうだ。
「確かに。昨日雪ノ下に会った時、俺も最初認識できなかったな」
『そう。私も変わったかしら?』
「あぁ」
『どう変わったとは言わないのね』
さっき、自分は一色に対して言ったのにってか?
言えるわけないだろ。口に出来ないから言わなかった。それくらいお前なら分かるだろう?
「…もしかして期待してたのか?」
『ええ。それなりに』
「正直だな。そして黒いな、お前」
『それ、答えを言ったようなものだと思うのだけれど』
「答えを言っていないからセーフなんだよ」
『ふふ。そういうことにしておくわ』
「なんで勝ち誇ったような雰囲気出してるんだ…」
『そんなことはないわよ』
雪ノ下は満足げだった。別に勝負をしていたわけでもないが、なんとも言えない敗北感を味わされる。寝付きが悪くなりそうだ。
「明日、つーか今日か。またお前の仕事場に行くから宜しくな」
自身に切り替えるよう言い聞かせるために話題を変えた。こんな調子で、雪ノ下に会うとなると心労が絶えなさそうだ。
『ええ、こちらこそ』
なんだ。変わったなと思うところもあったが、根っこのところは何も変わらないな。いつもの調子で会話が出来ている。
その後、少しばかりお互いが何も話さない沈黙の時間が流れた。本来であれば、会話の切り上げどころであるし、夜も遅いので次の仕事のことを考えれば電話を切って眠りに就くべきだろう。
それでも、お互い電話を切ろうとしなかった。俺は雪ノ下が電話を切るのを待った。
…ん?
何も聴こえない。端末の故障か?
思わず画面を見たが、通話時間は1秒1秒と規則正しく時を刻んでいる。
もう一度、携帯を耳に当てた。やはり何も聴こえない。
「…雪ノ下?」
受話器の奥の彼女を探すように問いかけたが、返事がない。
そうしてから、10秒ほどだろうか。
『…比企谷君、まだ聴こえてる?』
ようやく雪ノ下の返事が返ってきた。
「あぁ、聴こえてるぞ」
『…そう』
雪ノ下は何か確認をするように問いかけた。そして俺の反応を認めると、また一人で何か納得したように声を漏らす。
『じゃあそろそろ、寝ましょう。由比ヶ浜さ、、、いえ、もう由比ヶ浜さんではないのね。なんて言えばいいかしら。奥様と言うのもまた違うと思うし』
雪ノ下から結衣の話が出てくるとは。
「別に由比ヶ浜でいいだろ。お前が別の呼び方する方が違和感あるわ」
『そうね、そうするわね。彼女はもう寝ているのよね?』
「あぁ、俺が帰ってきた時には“もう寝るね”と連絡が来てた」
『そう。だとすると、余計に彼女に悪いわ』
「お前が気にすることはない。これは仕事上の会話だろ?必要なことだった」
『そうね。そういうことにしておきましょう』
ん?そういうこと以外に解釈があったのだろうか。少し引っかかったが、自分もかなりの睡魔に襲われていたので流すことにした。
「そんじゃ、また明日…つーか今日、よろしくな」
『ええ、おやすみなさい』
「ああ、おやすみ」
俺たちは同時に通話を終了した。
夜風の肌寒い空気が閑散としたリビングになだれ込んでいる。スマホを床に置くと、一気に疲労が吹き出した。肩が重い。
時計を見ると既に一時になろうとしていた。寝よう。
ベランダから、誰かの家の犬だろうか。鳴き声が響く。それに呼応して他の家のペットの犬が吠えている。夜中の犬の大合唱はマンション特有の風物詩かもしれない。結衣を起こしてしまうと悪いので窓を閉めた。カーテンを静かに横に滑らし、音を立てないように努める。
洗面所の鏡で自分の顔をじっと見つめた。ここ数日でかなりやつれたような気がする。今でも唇に一色の感触が残っている。
身体が熱くなった。
寝る前だというのに、冷水を思いっきり顔につけると、タオルで乱暴に拭き取った。
続く
二話くらい前にアンケートでどのくらいの投稿間隔が良いかという話をいたしましたが、読者様から何件かのご意見をいただくことが出来ました。本当にありがとうございます!
結論としては、場面毎に切りつつ、場面が切り替わる時は2週間。同じ場面の場合はそれよりも短い間隔で投稿しようかと思ってます。ちょっと体調不良もあるので、ある程度は長めの投稿間隔になりがちになるとは思いますが、よろしくおねがいします。
次回は二週間後の投稿の予定です。
すでに話は出来上がっているのでお楽しみにしていただければ幸いです。
今回も読んで下さってありがとうございました!!
それではまた次回もよろしくお願いいたしますm(__)m