UA数見たら凍りつきました。(4桁行くとか思ってもなかった…)
こんなに一気にたくさんの方に読まれるとは思ってもいなかったのでありがとうございますm(_ _)m
ゆっくり更新になると思いますがよろしくお願いします。
一応ですが、話の大まかな流れやコンセプトは既に出来上がっているので、あとは言語化していくだけ・・・。
第一話
Mundane Monday…ありふれた月曜日という言葉がある。
月曜日の朝はどんなときも普遍でそして週末への名残をあざ笑うかのように全ての人類に平等に押しかける。
たとえ俺たちがどれだけ年齢を重ねようとも技術の革新が進もうとも不文律の如く、全ての人類をつつがなく社会という腐れきった歯車仕掛けの装置に送り込むのだ。何百年と繰り返され、受け継がれてきた先の見えない奉仕活動に人々は心血を注ぎ思考を奪われていく。
高校生の俺であればそんな社会に一石を投じ、数多の有名政治家達が舌を巻くような感動的な演説文を記し、喝采を浴びたことだろう。実際には後世に語り継がれるべき我が渾身の力作は、当時の担任の魔の手によって日の目を浴びることなく黙殺されてしまった次第だが。
今となってはそんな社会の波に抗うことにすら面倒になってしまった自分がいる。
とどのつまり、高二病と診断されたこの俺も世俗という不明瞭な人間の集合が作り出す時代の流れに逆らわないことが一番であると考えるようになった。
・・・月曜日の朝が嫌すぎて頭の働きが良いんだか悪いんだか。
「そんじゃ、まぁ行ってくるわ」
気を取り直して、使い込んだ鞄を手に取る。
玄関の鏡を見るとそこにはシワのない清潔なグレーのビジネススーツを着て、幼少期から全く変わらない細い目をした無気力なサラリーマンの姿がはっきりと写っていた。
ドアに手をかけようとしたその時、リビングの方から大きな足音が聞こえてくる。
「あ、行ってらっしゃい八幡!」
気だるげな朝のマンションの一室に響く活発で明るい声が響いた。今日も俺の愛する妻は変わらぬ笑顔で俺を送り出してくれる。
由比ヶ浜結衣。
いや、比企谷結衣か、未だに慣れないな。
ともあれ彼女が俺が専業主夫の道を捨てて働かざるを得なくなった要因である。
あれだけ働くことに嫌悪感を出し、女性に養ってもらうことを望んでいた自分が愛する女性のために仕事に向かうことになろうとはなんとも皮肉な話だった。
「おう、サンキューな」
「うん」
結衣はとっくに成人したとは思えないほどのあどけなさを残しており、彼女と話す度に学生時代の初々しい会話を思い起こさせる。
「八幡、お昼はどうするの?」
「会社の食堂でテキトーに食う」
「もー!体に悪いよ!」
こんなことを言うのは夫として最低だが敢えて言わせてもらうと、お前の手料理をまともに胃の中に入れるよりかは数段マシだ。
相も変わらず結衣の料理スキルは壊滅的で進歩が見えない。それ以外の一般的な家事はそつなくこなすことが出来るのに何故食材を扱うことになると力が出ないのか。
…誰かこの超問を解いて欲しい。
「今、すごく失礼なこと考えたでしょ?」
頬を指で突かれた。正鵠を射ている。女の勘はやはり侮れない。
「なんのことやら」
「もう!それなりに付き合い長いんだから八幡が嘘ついた時は直ぐ分かるからね?」
結衣は年甲斐もなく頬をぷくーっと膨らませていた。そんなあざとい仕草も結衣がやると彼女のためにあるような仕草だと理解できる程愛らしさを感じさせる。
「八幡、キモい」
「いい加減、夫のニヤケ顔くらい許してくれませんかね」
「マジキモイじゃなくなった分だけ良いんじゃないかな?」
「結局キモイは取れないのかよ・・・」
「えへへ」
結衣が屈託のない笑顔を見せる。
俺と結衣はそれくらいの軽口はたたき合える仲になっていた。昔は、こんなやりとりを出来る相手は小町を除けば一人だけだろうと思っていたのだが。
「今日も帰りは遅いの?」
「そうだな。悪い、先に夕飯食べておいてくれ」
「うん、分かった。気をつけてね!」
そう言うと結衣は顔を近づけて唇を重ねてきた。嫌がることなく彼女の愛に応える。
結衣が背中に手を回してきた。自分も彼女に倣って華奢な腰を両腕で包んだ。出る所はきちんと出てへこんでいる所はきちんと締まっているメリハリのついた彼女の身体はいつ抱きしめても筆舌に尽くしがたい高揚をもたらした。
高校の時から結衣のプロポーションは悪化するどころかさらに良くなっていた。
おまけに大人の色香を帯びるようになり、連れて歩けば周りの人間から嫉妬の目を向けられるのが日常になっている。当然俺の居ない間に彼女を口説こうとする男が後を絶たないわけだが結衣はその勧誘をあっさりとかわしていた。
かつての彼女であればどんな相手であっても、最低限仲良くするという対応を取っていただろう。しかし、最近はわりと自分の感情を外に出すようになっており、きちんと断るか、露骨に俺以外目に入らないという仕草を周りに見せることで相手を牽制するようになった。
こんないい女を独占できるという優越感がないといえば勿論嘘になる。
貪るように彼女の唇を奪い続けた。
ひとしきり彼女を堪能するともう時間だよと促すかのように結衣が両手で体をそっと突き放した。
「行ってらっしゃい、八幡」
本心はもっと一緒に居たいであろう気持ちを押し殺し、満面の笑みで俺を送り出す。家を出る度に天然で名残惜しさを植え付けてくるのは卑怯ではないのか。
「あいよ」
呟くように返すと扉を開けた。
振り返ることはしなかった。
妻の顔を見ると仕事に行きたくなくなるとか、新婚か。
結婚してそれなりに経つが、未だ夫婦円満が過ぎるのが我が家である。
今日もまた長い1日になりそうだ。
一週間の始まりを告げる朝の日差しが職場への道のりを眩しいくらいに明るく照らしていた。
仕事場への道のりはDoor to Doorで一時間程度だ。駅まで自転車で向かったあとは快速に乗って東京駅へ向かう。中央口から出て、整頓された道を10分も歩けば地上40階建てほどの高層ビルが見えてくる。そこが俺の職場なのだ。
…おいこら、そこ。嘘だなんて顔をするんじゃありません。八幡泣いちゃうよ?
ビルの自動ドアを抜けるとだだっ広い空間に出迎えられた。
全体ガラス張りの開放的な入り口は警備という点で見れば手薄に思える。
勿論、センサーやら監視カメラといった現代的な警備装置は配備されているわけだが。
一階の受付のOL達の無機質な『おはようございます』は毎朝のことだがどう返して良いものなのか分からない。
軽く会釈だけを返し、大広間の奥に目をやった。
ちゃぶ台よりも少しだけ高いガラスの机に、座っている人を見たことがないソファが4つ囲むように鎮座している。こんな無駄に広い場所では座ったとしても正直落ち着かないだろ…。空間を持て余さないためのインテリア的役割として設置されているだけ。家具たちも不本意な役回りだなと下らないことを考えつつエレベーターへと向かった。
一階のゲートで社員証をかざすとSNSのメッセージ受信音のような簡素な効果音が吐き出された。俺にとってはプライベートから仕事モードのスイッチに切り替わる大事な音でもある。
上へ向かうボタンを押してエレベーターが降りてくる間、他の人間が来ないことを必死に願った。高層ビルのくせにエレベーターがそこまで広くないため、知らない誰かと一緒に乗ると息苦しさを感じてしまう。その上、話しかけられでもしたら地獄だ。
来るなよ、来るなよ。フリじゃないからな。
扉のベルが到着を告げる。幸いにも自分が乗り込んだときには一人だった。安堵の息を漏らしつつ37階のボタンを押すと、まもなく扉が閉まった。
重厚な音をたてることもなく静かに機体は上昇をする。かなりの速度で動いているはずなのにこれほどの静音を維持するとは感服ものだ。
ガラス張りの機体の中、外に目をやると人々の往来が遠くなっていくのが見えた。東京駅のホームを見ると豆粒のような大きさになった社会人達が忙しなく動き回っているのが確認できた。
見ろ、人がゴミのようだ。タワーとかホテルの上階に行ったら皆が絶対に思うことランキング三位くらい。一位と二位は知らん。
そんなことを考えているうちに目的の37階に到着した。
扉が開くと廊下をまっすぐ道なりに歩いて入り口へと向かう。
自分が勤める会社の従業員の数は500人ほどで事業内容としては経営コンサルタントや監査がメインだ。俺の配属先はコンサルティングである。数学が苦手な俺が監査法人は無理だ。
不本意ではあるが、学生時代の奉仕部の活動の経験によって問題解決能力、ボトルネックの把握や解消は他と比べると自分の長所と言えるものになっていた。今ではそれなりに、会社のエースの一人としてこの会社の稼ぎ頭になりつつある。コンサルティングも無論、数学的分野は必要とされるが、自分の場合、根本的な経営方針や人事に対する問題解決を基軸としているので俺でも充分務めることが出来た。
入り口の自動ドアをくぐると、会社の受付嬢がこちらを見てにっこりと微笑んだ。
「おはようございます、比企谷さん」
「お、おはようございましゅ」
今日はこの人なのか。
「ふふ。まだ慣れてはくれないんですか?」
「からかわれるのに耐性がない人なんて中々居ないんじゃないですかね?」
女性は「ごめんなさい。そんなつもりはないですよ」と言っているが、くすくすと笑っていた。
その目は明らかに悪戯心を含んでいる。
会社の受付嬢は複数おり、時間帯や曜日によって異なるのだがその中でも玉木さんが担当の時は勤務開始前から試練だった。
彼女は俺が女性が苦手なのを知ってかやたらと艶めかしい声で挨拶をしてくる。露骨にとは言わないが、他の男性社員には若干の淡白さを織り交ぜているのに。
俺が非難の目で玉木さんに目をやると真っ直ぐに見つめ返してきた。
普通なら目を逸らすはずなのに。結衣もそうなのだが見つめ返してくる女性は俺にとっては天敵だ。
「っ・・・では失礼します」
自分が仕掛けたはずなのに目のやり場に困り、そそくさと先に退散する羽目になってしまう。名状しがたい敗北感が両肩に重くのしかかった。
「またね、比企谷くん」
背後からの玉木さんのダメ押しの一発に赤面しながらもオフィスの中へと逃げ込むように足を運んだ。
読んでくださってありがとうございました(_ _;)
しばらくはエロ無しです…。展開もゆっくり。
基本的には八幡が段々と堕ちていく進行なので心理描写多くしていくのですが、エロ描写多めの方がいいのかなぁ。
それでは次回もまたよろしくお願いします。^ - ^