※この作品はR-18です。

雪の楽園   作:ホネ

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コミケに参加してたらすっかり週一投稿ミスってました()遅れてしまいまして、申し訳ないです><

今年最後の投稿です!
明日はコミケ三日目なので戦争してきます。
それでは27話です!




第二十七話

ロザンゼルスの日差しは思ったよりも強く、気温は思ったよりも高くなかった。

「…そんなには暑くないですね」

「そう?島田さん、冷え性だからじゃない?」

「乾燥してるから、蒸し暑さは思ったほどじゃないのかもしれないですね」

「あー、久しぶりに来たけど、ここは相変わらずだなぁ…」

 

俺達一行は長い入国審査を終えてようやく空港の外に出ることが出来た。海外の入国審査ってあんなにも色んなプロセスがあるものなの?もの凄い待たされたんだけど。入国審査をしてくれたおっちゃん、滅茶苦茶スタンプの押し方雑だったんだが。あと、荷物が全然出てこない。他の三人はスターなんとかとかいう航空会員になってるらしいからすぐ出てきたけど、俺のスーツケースだけ最後の方まで出てこなかった。というか貴方達ちゃっかりマイル溜めてるんじゃないよ。俺も銀行のカード作ったときにマイルも一緒に貯まりますよみたいなやつ付けられたからそれにして作ったけど一回も使ったこと無いし。どんだけのポイントが溜まったのかも確かめたことないぞ…。

 

さて、ようやく出られたと思ったら、これからまた滞在先まで移動か。体内時計は深夜なのにこっちは昼下がりの時間帯。太平洋を越えた感覚は無い。だが、どこか遠方にやって来たんだなと言う実感はあった。

辺りを見渡してみると様々な人種が確認できた。白人は勿論、黒人、アジア系、中東、ヒスパニック、ヨーロッパ…。本当に入り乱れている。そのおかげもあって、俺達がある意味で俺達も人混みの中に溶け込んでいた。

眼の前では車の乗降が流れ作業のように行われていた。友人を迎えに来たものや、バスやタクシーの乗車がひっきりなしだ。歩道も往来が激しく、道の真中で立っているのも邪魔になるほどだった。

「トシ、これから移動はどうするの?」

智佐吹さんが帽子を深くかぶりながら、芦間に今後の移動を尋ねた。道行く人達が早速彼女に目を奪われていた。間違いなくモデルと間違われてもおかしくないスタイルをしている。俺達が居なければ速攻でナンパされただろう。

「移動なんですけど、タクシーよりも安いですしUber使おうかと思ってます。自分アカウント持ってるので、今から頼んじゃいますね」

「それ、日本だと高いけどこっちだとどうなんだ?」

「超安い。これのせいでサンフランシスコのイエローキャブとか経営破綻したからな」

芦間は慣れた手付きで行き先を入力し、車を手配した。端末の画面には料金と所要時間が表示されている。便利な時代になったものだ。

「四人での移動だから通常の手配は無理っすね。UberXで頼みました」

「どう違うんだそれ?」

「うーんと、まぁ。四人以上ならそれだ。UberXってのは直通で他の客と相乗りも無しのプランみたいな感じ。一番安いのはPoolってやつだな。乗り合いのやつ。学生は基本、皆それ使うかな。そうじゃないやつも居たけど」

芦間は俺達に移動するよう促した。どうやらUberなどの運転サービス専用の乗降場所があるらしい。ロサンゼルス国際空港は一階が到着のロビー、二階が出発のロビーになっている。乗降場所は二階らしい。エスカレーターで上階に移動しながら、俺達は会話を続けた。

「なんか大学でも車持ってる人とか偶にいるよね。それもスポーツカーみたいな結構良いやつ」

「大学だと、そういうの持ってないと女作れないみたいな変な固定観念あったりなかったりですよ。俺のルームメイトだった友達は親の車を無理して借りて自分のものだと言って涙ぐましい努力していましたよ。州立大でもそういうのありましたから、私立だともっとヤバそう。偏見だけど」

「州立ってのは日本の国立みたいなものか?」

「そそ。あと、例外あるかもだけど私立は生徒じゃない人間が校内に入れない。州立は観光者や地元の人が沢山いる。ジムや食堂とかの施設も一般開放されてるしな」

「食堂って美味いのか?」

「大学によりけりだな。俺のところはメッチャ不味かった」

「まぁそれは日本と同じか」

「日本は普通に店屋が美味いじゃんか〜。ふらっとラーメン屋に入っただけで良いやつが食えるし。こっちって安くて美味しいところなんて滅多に無いぞ」

芦間はぶーたれていた。こっちに居た時によほど食生活に不満があったのだろうか。

「お、そろそろ車が来るみたいだぞ。あの茶色い車だな」

「結構、早いな」

「俺が助手席座るぞ。話しかけられたらお前対応困るやろ?」

「それは助かるな」

「私車酔いするんだよね〜…。車内の臭いってホント苦手」

「さて、じゃあ乗りましょうか」

四人が車に乗り込むと、運転手が陽気な声で挨拶をする。何を言っているかあまり分からなかったが、芦間が全て応対していた。

俺は後部座席の中央に座っていた。窓の外を眺めると、日本では見たこともないような背の高い木々が立っていた。一番驚かされたのは車線の数だ。片方だけで6本程もある。車社会とは聞いていたが、本当に凄いな。

「どうしたの?さっきからキョロキョロして」

辺りを見回していると隣りに座っていた智佐吹さんに話しかけられた。

「あ、いや。目に入る全てが新鮮なものなので」

「あー…。翌々考えてみれば、今乗ってるこのフリーウェイも珍しいよね」

「金取られない日本の高速道路みたいなもんだな。まぁこっちにもトールウェイっていう有料道路あるんだけどな」

芦間が前から補足を入れる。芦間も久しぶりのアメリカで少し浮ついているようだ。

運転手は空いているスペースを見つけながら器用に車線を変更していた。俺一生ここ運転できる気がしない。車間距離がほぼ無い。

「君たちがこっちに来た理由は何だい?」

運転手がアイスブレイク代わりに話しかけてきた。まぁ共通点も無さそうな四人が纏めて車に乗っているのを見ると不思議に思うわな。

「仕事ですね、一週間ほどですがロサンゼルスを楽しもうと思いますよ」

芦間が流暢な英語で返答した。こいつが英語話しているところ初めてみたが、間近で見ると改めて留学経験者なんだなと思わされた。

「へぇ、そうなんだな。ここはいい街だけどあまり住むには向いてないと思うんだ」

芦間が事情を説明すると運転手が苦い顔でそう返した。

「それはよく分かりますね。物価が非常に高いし、思ったよりも居住に向いた立地をしていないです。自分もここではないですけど近くに留学していたので身に染みてます」

「お?こっちに住んでいたことがあるんだね。こっちで働こうって気にはならなかったかい?」

「選択肢にはありましたけど、今は外国人労働者に中々ビザ降りませんからね。エンジニアだったなら取りやすいんでしょうけど自分は経済学でしたから」

「経済学も十分良いとは思うよ。ビジネス専攻とかのほうがこっちだともっと印象いいけどね」

「一応、自分ビジネス専攻なんですよ。自分が居た大学はビジネススクールが無かったからビジネス・エコノミクスとかいう混合型の専攻でした」

「へー…、じゃあエコノミクス単体とかは無いのかい?」

「単体も有りましたよ。でも取る授業は結構違いましたね…」

前の座席では二人がよく分からない会話を永遠としていた。日本語でも何言っているのかも理解できないかもしれないのに、英語でそれを話しているものだからもっと混乱する。

「そういえば智佐吹さんは海外出張ってよくあるんですか?」

「ん、私?私も実はあまりないんだよね。だからこっちのことは殆ど島田さん任せになると思う。彼は毎年海外採用担当してる人だから」

「智佐吹さんはそんなこと仰ってますけど自分も大して経験があるわけじゃないんですよね。周りには信頼されてはいるものの、毎年、内心ではあたふたしているわけで」

島田さんが頬を掻いて照れくさそうにしていた。とても温厚な人だが、人を見抜く鋭い目は誰よりも持っている。

「一応、こちらでは昼ごはんの時間帯なんですよね。ミーティングはホテルの近くのレストランで取りながらの方が良いと思います」

「あー確かに、そう言われてみればお腹空いてきたかも。機内食も全然口につけなかったし。あの航空会社のご飯大体美味しくないんだよ…」

「智佐吹さん、オレンジジュースしか飲んでなかったですよね。食事も断ってましたし」

「ホントね。でもデザートに出てきたアイスは食べたけど」

「あれ、市販のアイスだったじゃないですか」

「市販のアイスだったから食べたのよ」

「私、機内食で出てくる固いパンとバターの組み合わせ好きですよ。周りで結構残していらっしゃる方多いのが不思議です」

「島田さんあれ好きなの!?もしかして何でもイケる人?」

「その言い方は語弊あるでしょ…」

「まぁ私は結構何でもイケる人ですよ」

「「え」」

「さーて、そろそろ着きますよ〜って比企谷と智佐吹さんはなんでそんな度肝抜かれた表情してるんだ?」

「あ、いや。何でも無い。何でもないという事にした方が良い」

「そうだね、うん。これ以上彼の深い世界に入り込むとこの車に居る時間だけじゃとても足りないよ」

「別に私はいつでもウェルカムですが」

「その言い方もまた変な方向に勘違いが発生しそうだけど…」

運転手がハンドルを切った。眼の前に8階建ての建築物が現れた。白い壁と窓ガラスで構成されたシンプルな作りとなっている。入り口には道中で見た背の高い木々がそびえ立っていた。

「じゃあ運転手さん、ありがとう!」

「おぅ!アメリカを楽しんでな!」

あっという間に意気投合した前席二人が挨拶を交わす。俺も慣れない英語でサンキューと伝えると降車した。

ロビーに入ると大きな天井に迎え入れられた。こういう客人を圧倒する造りは時として自分が場違いじゃないかと宣告されたような気持ちになる。

 

「では皆さん、各自荷物を部屋において30分後にロビーに集合ということで」

島田さんの号令の元、俺達は一旦解散した。部屋は一人一部屋きちんと確保されていた。部屋のドアの前でカードキーをかざして入室した。広さはビジネスホテルよりもやや広めの部屋でベッドと小さな机と椅子が用意されていた。スーツケースは部屋に置いてあったテレビの隣に置く。リュックは小さな机の上だ。ひとまずWi-Fiの接続を行ってメッセージの確認を行った。移動中SIMカードの交換を行っていないために、通信環境が無い限り海外では携帯電話を使うことが困難だった。ホテルにはインターネット環境が完備されていたのでパスワードを入力すれば誰でも使うことが出来た。

端末の待受画面に電波が書かれたマークが出現したことを確認すると早速SNSのメッセージの確認を行った。思った通り、結衣から連絡が届いていた。あと、一色からも連絡が来ていた。こいつは後にしよう。返信してしまうと長引いて話の流れを切るのに苦労する。

『無事に着いたら、連絡してね!☆ 心配だからさ><』

結衣らしい文章だな。直ぐに『ホテルに着いた。問題は無い』と返しておいた。その後に送られてきたメッセージで『もう!簡潔でつまらない!(# ゚Д゚) でも無事で良かった♫(*^_^*)』と返信が返ってきた。向こうって何時だ?深夜か早朝じゃないのか?もしかして俺の連絡を待っていたのかもしれない。それは申し訳ないことをしたな。日本が昼時になったらもう一度連絡を取っておこう。

とりあえず、一応、一色のメッセージも確認しておくか。

『着いたら連絡下さい!(´・ω・`)』

何故この顔文字なんだ。よく分からんが、とりあえず返信しておくか。

『着いたぞ。今はホテルに居る』よしこれでOK。これ以上の返信はあとにしてそろそろ集合場所のロビーに向かわないと時間が無い。

早速携帯がメッセージを受信した。おそらく一色からだろうが返信は後回しだ。というか、あいつもこんな時間まで起きていたのか。夜遅くまで何やってるのやら。

 

とりあえずスーツケースを置いて簡単に荷物整理だけ済ませるとまたロビーに戻った。

ホテルのロビーの中央には大きな木が立っている。天井にはこれまた豪勢なシャンデリアが吊り下げられていた。

「お、来たか比企谷」

集合場所にはまたもや芦間がいた。待合場のソファに深く腰掛けながら携帯電話をいじっていた。こいつ、集合場所にいつも一番に居る気がする。

「他の二人は?」

「島田さんはもう来てるよ。今トイレ行ってる。部屋でしなかったんかな?」

「どっちでもいいだろうに」

「ま、そやね。お、全員揃ったぞ」

芦間が目をやった先では、丁度智佐吹さんがエレベーターから現れたところだった。移動のときよりも更にラフな格好になっている。Tシャツにジーパンって。脚がエロい。仕事の服とは思えないがよく似合っている。あと、胸が強調されていてエロい。

「随分とバカンス気分な格好ですね」

「いいじゃない。トシもそんな暑苦しい格好なんかしていないで、着替えちゃったら良かったのに」

「自分はこの格好のが一番着慣れているので、このままで大丈夫ですよ」

「なんかもう堅苦しいなぁ。せっかくの出張なんだから少しぐらい羽を伸ばしたってバチは当たらないよ。ね、比企谷君☆」

智佐吹さんに腕を絡められた。彼女の柔らかい感触がダイレクトに伝わる。服の生地が薄いから体温まで伝わってくる。これは色々とマズイ…。

「おい、比企谷。お前鼻の下滅茶苦茶伸びているぞ」

「そうならない方がおかしいだろ」

「こいつ、開き直りやがった。奥さんに言いつけてやろっと」

「お前、結衣の連絡先知らないだろうが……」

「いろはちゃん経由で連絡という方法があってだな」

「すみません、それだけは勘弁してください。二重で最悪です」

少々強引だが、無理やり智佐吹さんから離れた。彼女はかなり不機嫌になっていたが仕方ない。

「もぅあんなに愛し合ったのに…」

智佐吹さんが、俺にだけ聴こえる声でそっと囁いた。聴こえない。俺は何も聴こえない。

「あらま、全員揃っていたんですね。まだ集合まで5分もあるのに」

島田さんがハンカチで手を拭きながら戻ってきた。

「さて、比企谷君。何が食べたいですか?」

「え、私でしょうか?」

「ええ。君が決めていいですよ。芦間くんがそのリクエストを聞いておすすめの店に案内して下さい」

「げ、俺そんなにお店知らないですよ」

芦間は突然の無茶振りに困惑している。だが、そんな知人に変化球を出して追い打ちをかけるほど、俺は人が悪くない。

「そうだな、じゃあ。グリル系の店で」

「なんだ、意外に親切」

そう言うと芦間はマップのアプリを開いて近くのレストランを検索し始めた。

 

 

続く

 





ついにアメリカ編に入りました。
長かった〜…。まさか今年ギリギリに滑り込むような形になるとは…(^_^;)

ちょっと先の話にはなりますが、実は海外編は二回ある予定です。しばらくしたらもう一回八幡はここに来ます。とはいえ、一回目も前座というわけでなくしっかりと話は展開しますので楽しみにして頂けたらと思います(*^_^*)

冒頭にも書きましたが、これが今年最後の投稿になります。4月の末からこの作品がスタートして半年以上経過してるんですね…。ここまで続いたのは読者の皆様のおかげだと常々思います。感謝の意と共に今年の〆とさせていただきます。本当にありがとうございます!!


それでは皆様良いお年を!!
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