※この作品はR-18です。

雪の楽園   作:ホネ

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終わりの始まり。





第四部
第四十話☆


閑散とした部屋の中、高級ベッドの軋む音が時の止まったマンションの一室で鳴り響く。

ベッドルームは余計なものが配置されておらず、ダブルベッドや照明、ベッドの側にポツンと置かれた小さな机と一脚のソファのみだった。

 

暖色の間接照明に照らされたそんな一室で俺は雪ノ下雪乃と激しく交わっていた。

「はぁ!・・・んん!!くっ!・・・あああああ!!」

雪ノ下が俺の上で淫らに腰を振っている。あの氷の魔女すら凍てつかせるほどの妖艶さとクールさを持った彼女がこうも本能に逆らえず快楽を貪る様を俺のような男が特等席で見て良いものなのか。そう自問しながらも下半身に伝わる極上の刺激に酔いしれていた。

雪ノ下は一定のリズムで硬直した一物を攻め立てている。

「んぐ・・・・ぅ・・・雪ノ・・・・し・・・t」

「あぁん!あ!はぁ!ひ・・・・ひきがや・・・く・・・ふぅ!んん!!!」

乱れたシーツに腕をやりおもむろに起き上がると、慎ましやかな胸の先端を口に含んだ。乳飲み子に戻ったかのように一心不乱に吸い上げる。何度も飽きることなく形の整った乳首を舌で転がす。刺激を与える度に雪ノ下の身体が敏感に律動する感触が伝わってくるのが心地よい。

突然の奇行に雪ノ下は最初、一瞬目を見開いたが、まもなく飲み込んだ肉棒に意識を戻すと俺の頭を細長く美しい両の腕で包み込んだ。

「はぁ・・・・!うぅ!・・・・ん・・・・嬉しい・・・。比企谷くん・・」

愛おしそうに後頭部を撫でる。子供をあやす母親のような優しい温もりが全身を支配した。

その間にも雪ノ下は下半身の運動を止めていない。愛撫に合わせるように腰を滑らかに動かしている。

甘美な快楽の浴槽に浸かったかのようだ。

雪ノ下に抱かれているだけで満たされていくのが分かる。

 

満たされてはいけないのに。

「比企谷くん・・・?」

見上げると雪ノ下が不安げな顔でこちらを見ていた。どうやら物思いにふけっていたせいで、動きが緩慢になっていたようだった。その間にも緩やかな腰の動きで奉仕を続けている。底の見えない母性とも言えるほどの愛情に身体も心も何もかもが彼女に奪われていく。

「あ、いや。なんでもない」

思考を止めると雪ノ下の引き締まった尻を乱暴に掴んだ。そして彼女の身体を持ち上げると勢いよくペニスに引きつけた。

「あああああああああ!ん!!いや・・・!だめ!!」

抜いては突き、また抜いては突く。

楔を打ち込むように強く。

男根を打ち付ける度に雪ノ下の嬌声が鼓膜を通り抜けて脳の中枢を麻痺させていった。

こんな麻薬のような快楽が存在したのか。

俺はたった今知ってしまった。

気づけば二度と抜け出すことの出来ない禁断の果実を口にしてしまっていた。

それは雪ノ下雪乃も同じであった。

脳髄の芯まで痺れさせる交わりに思考を奪われた男女がそこにはいた。

虚ろな目で雪ノ下の目を見ると彼女も既に焦点が定まっていないようだった。

「んん!あぁっ!・・・・はぁ、はぁう!!」

「雪ノ下・・・そろそろ・・・んぐ!!!」

「はぁ・・・・!はぁ・・・!いいわよ。出して!」

「いやでも、お前・・・・」

「いいから。お願い!」

雪ノ下が腰の動きを早めた。両腕を前に突き出し俺の胸で突っ張る。止めどない刺激に下半身がまるごと持っていかれてしまいそうな感覚に陥った。

「我慢しないで・・・・んん・・・、だ・・して」

そう言うと雪ノ下は唇を重ねつつ柔らかな舌を唇の隙間にねじ込む。激しい下半身の運動と口内の蹂躙から生じる快感の波に為す術もなく飲み込まれていく。

「ゆひの・・・した、出る!!」

「んん!いや!ぁん!ああああああああああああああああああああああああ!」

限界は突然訪れ、精液が間欠泉のように吹き出した。溢れ出た白濁が雪ノ下の膣内へと注がれていった。

中出しを許した雪ノ下は恍惚とした表情で蜜壺をうねらせ砲身に残された子種の発射を促した。

くぐもったうめき声をあげてそれに応える。

「ぅ…ぐ…はぁ、はぁ、はぁ…」

長い射精を終えてようやく肉欲の鎖から開放されると、雪ノ下は聖母のような微笑みで優しく俺を胸の中に受け入れた。

「ごめんなさい・・・。でも、嬉しかった」

そう言うと雪ノ下は頭にキスを落とした。

「俺は・・・・」

「あなたは悪くないわ。私が弱かったから・・・。また、あなたに甘えてしまったの」

 

———結局、結衣には会議が長く続いて帰れなくなったので今日はホテルに泊まる旨を伝えた。雪ノ下との一回目を終えて携帯を確認すると返事が返ってきていた。

『分かった〜(:_;) お仕事頑張ってね!☆明日には帰ってくるよね?』

心が痛む。たった今俺は愛する妻を裏切ってしまったのだ。なのに不思議と後悔の念が自分が予期していた程湧いて出てこない。雪ノ下雪乃と永遠と交わっていたいという邪な感情が身体を支配していた。

「由比ヶ浜さんから?」

雪ノ下が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。かくして結ばれた俺達は今までよりも更に距離感が無くなっていた。雪ノ下は一切の遠慮もなく身体をぴったりと合わせると首元に吸い付いてきた。右手では乳首をその白い指先で丁寧に愛撫する。

「あぁ、“分かった”だとさ」

「そう…」

「流石にバツが悪いか?」

「ええ。罪悪感が無いと言えば嘘になってしまうわね。曲がりなりにも彼女は私の数少ない理解者だったのだから」

雪ノ下は手で奉仕しているのとは反対の乳頭を舌で転がしながら呟いた。

「ちゅ…。れろ…。でも、今はこの気持ちに嘘がつけなくなってしまった」

「あぁ」

俺たちは無言で両手を絡め合う。そして互いの顔を近づけ合うと唇を合わせた。

「ちゅ…ちゅく…ちゅる…れろ。れろ…ちゅぱ。ちゅ、ちゅ…」

あっという間に愚息が硬直を取り戻した。彼女の柔らかな手が触れるとそれに呼応するようにして跳ね上がる。旋律を奏でるような優しい動きで指先が砲身の血管を這っていた。

「また固くなったわね」

艶のある声で鼓膜を愛撫される。雪ノ下雪乃という女性から発せられる言葉の一つ一つが麻薬となって脳内を麻痺させた。彼女の声を聴くたびに下半身が熱くなってしまうのだ。自分の脳内で快楽と彼女の声がリンクするようにプログラムを書き換えられていく。雪ノ下は徹底して、言葉と行為の回路を繋げていった。甘い声で囁く時は肉棒を触れるか触れないかの微弱な快感を与えられる。そう身体に叩き込まれていった。

「雪ノ下の声を聴いただけでこうなった」

「なら、もっと聴かせてあげる…」

雪ノ下の荒い吐息が耳殻を這う。背中にゾクゾクとしたざわつく感触が登り、彼女の慎ましやかな胸が上半身にぴったりと貼り付いた。

雪ノ下の手は砲身に触れるか触れないか、すんでのところで徘徊している。今か今かと待ち望んでいるのに、彼女の手がやってくることはなかった。

「…ここにきて焦らされるのか」

「貴方、何を言ってるの。私は、十年近くも焦らされていたのよ?これくらいお返しだわ」

「わ、悪かったって」

雪ノ下の後頭部を撫でた。絆された猫のように頭を擦り付けて甘えてくる。

「許さない」

「え」

「ふふ…冗談よ。ねぇ、いっぱい出して」

「ぅあ…」

雪ノ下の手が上下に動いて摩擦するたびに腰が跳ねる。媚薬とも言える彼女の言霊が鼓膜から全身に回った今、自身を制御できる器官は何もない。最高の奉仕によって抵抗する間もなくオーガズムへと導かれるだけだった。

精液が飛び出した。止めどない量の体液が溢れ出て雪ノ下の汚れのない手を汚した。足先までぴんと伸びた脚が痙攣するようにビクビクと波打ち、腰を突き上げて射精しやすい体勢を取る。雪ノ下の腕がベッドと腰の間に差し入れられ俺の身体を支えた。

「そのまま」

「ぉあぁ!ぐぅ!あぁ!!!」

雪ノ下の手が止むことはなかった。動きを早め、先端を執拗に刺激する。排尿の感覚が上り詰める。亀頭が熱い。爆発しそうだった。

雪ノ下は俺の悶える脚を意も介さず手淫を続ける。怪しく笑う彼女は淫魔と見間違うほどに婀娜やかだった。

「で・・出る!!」

「そう。じゃあ、可愛い比企谷くんをもっと見せてね…」

「ぁ…がぁぁ!ああああ!」

雪ノ下の運動が更に早まり、仕上げに入った。

刹那、自分でも膨大な量の透明な液体が吹き出した。さながら間欠泉だった。自分の中にこれ程までに水分があったのかと目を疑うくらいだ。止まらない。

体中に電撃を受けたような強烈な衝撃。

気持ちが良すぎて白目をむいた。

あらゆる神経を触覚に割いたために他の感覚が鈍くなっていた。

息も絶え絶えだった。

微かに見える視界で雪ノ下の顔を見る。

蠱惑的な笑みを浮かべていた。

雪ノ下の髪から肉棒から放出された体液が滴っている。

“気持ち良かった…?”

そう言っているような気がした。「ぁぁ…」と蚊の鳴くような声で応えると雪ノ下が爛漫とした笑みを見せた。

波打ち際に打ち上げられた身体を雪ノ下のベッドの上に晒す。

雪ノ下は俺の精液の量に驚いているようだった。

「結構出るのね」

「…ふぅ、はぁ……ほ、他の男と、、、比べたことがないから分からん」

「私も他の男の人と関係を持ったことがないから分からないわ」

持ったことがないのにどうしてこんなに上手いんだ。

「あ、でも…」

「何かしら?」

「い、いや。なんでもない」

智佐吹さんに手で絶頂させられた時にとんでもない量だと褒められたのを思い出した。だが、今ここでそんな事を言おうものなら雪ノ下に殺されるのが目に見えていたので言うのを止めた。

「…今他の女の人のこと考えていたのではないかしら?」

バレていた。雪ノ下雪乃も結衣と同じで元より勘の鋭い女性だ。咎めるような目でこちらを睨んでいた。

「わ、悪い…」

咄嗟に謝った。雪ノ下に「そ、そんなに怯えたように言わなくても」と小さな声で言われる。

「べ、別に、気には…するけど、だからといって責めるつもりもないわよ…。その、これから私のことだけ考えてくれるようになっていけば良いのだから」

雪ノ下がのしかかって、キスを求めてきた。少女のような嫉妬心も雪ノ下雪乃であれば一つの魅力として御せるだけの器があった。こんな自分を好いてくれる彼女が愛おしくて仕方がない。

「ん…好き…。ひきがや、くん…」

「くちゅ…あぁ、俺もだ。雪ノ下」

身体の間に手を滑り込ませてなだらかな双丘を揉みしだく。確かに大きさは平均よりも小さいかもしれないが、俺にとっては最高の胸だった。

「はぁう…。ん…ぁ…気持ち、良ぃ…」

どうやら雪ノ下は胸が弱いらしい。乳首はとりわけ感度が予想よりも遥かに高かった。乳腺を刺激すると雪ノ下は深い吐息を漏らして静かに広がる快感の余韻を味わっていた。そして、乳頭を刺激すると激しい声をあげてその美しい肉体をよじらせた。

結衣と同じく色々な音を奏でる楽器のようだ。しかし、音色も旋律も全く異なっている。好奇心が膨らむ。ここに触れるとどうなるのだろう。触る度に期待以上の反応を雪ノ下が見せてくれた。調律が楽しくて永遠と触っていられる。

それにしても、“これから私のことだけ考えてくれるように”か。雪ノ下が随分と略奪愛に意気込んでいるが分かる一言だった。

彼女も本気になってくれている。それがたまらなく嬉しい。

「雪ノ下。その、ちょっと良いか……むぐぅ…!」

「ちゅ、くちゅ。れろ…。ごめんなさい、も、もう少しキスしてからじゃ、だめ?」

「……あぁ、分かった」

そう言ってから雪ノ下が口を離したのは30分も後のことだった。

結局俺は、何を言おうとしていたのか。今になってはどうでもいいことだった。

雪ノ下が仰向けになるように体位を入れ替えた。これからどうなるのかと少女のように怯える彼女の股の間に割り入る。そして、数十分前の吐精などとうに忘れた肉棒をあてがった。

動揺と興奮の入り混じった彼女の顔をじっと見つめる。これからお前を犯すのだと目で教える。彼女の膣口から愛液が滴り、受け入れる準備は万全のようだ。嗜虐心が何倍にも増幅していく。このまま雪ノ下を視姦し続けるのも悪くない。

「は、はやく…いれて……」

雪ノ下が嘆願する。腰を動かして自分から繋がろうとしていた。

なんと卑猥な光景なことか。今にもペニスが破裂しそうだ。血管が浮き出して外郭を突き破らんと血流が一同に介していた。

我慢の限界だった。彼女の腰を持って奥まで届くようにしっかりと固定すると、臀部を深く前に突き出して彼女を貫いた。

「ぁぁん、はぁ…うぅ!……はぁ!あぁぁん! く…ふぅ…あ、あ、あぁ…!」

甘美な嬌声が部屋中に響き渡る。

そのあまりの官能さにまたたく間に膣内に射精してしまう。入れただけで柔肉が絡みつき子種を絞り出そうとしてきた。信じられない程の名器だ。歯止めが効かない。まるで水漏れした蛇口のように白濁が溢れ出た。

出し足りない。精液が足りないと思ったのは今日が初めてだった。

「雪ノ下、今度は後ろからでも良いか?」

「ちょ、ちょっと私の返事もなしにこ、腰を持たない、、、で、ん…はぅ、、、!」

彼女の答えもままならぬままに俺は雪ノ下の白く無駄な肉のない尻を持ち上げて三回目の交尾を始めた。これまでとは違う角度での挿入に酔いしれながら、未開拓の境地をかき回していく。

打ち付ける度に雪ノ下が美しい肉体を弓なりに逸らした。おとがいをあげる彼女の姿は紛れもなく芸術そのものだった。

体液という体液が互いの身体を汚し合う。ベッドのシーツは余すところなく淫猥な湿り気を帯びて濃厚な情事の残り香を漂わせた。

何年も味わうことのなかった充足感が全身に浸透した。

ずっと味わっていたくなるような快感を貪り続ける。

 

五回目の交接でとうとう雪ノ下が失神してしまった。

目も虚ろになって快楽を機械的に享受し続けるその軀を俺は嬉々として欲望のままに弄んだ。

「ぁ…ぅ…ぁ…く…」

うめき声のような雪ノ下の嬌声。

その度に肉棒が悦び、もっと聴かせろと膣内で暴れていた。そのあまりの快楽に自分もまた、色欲に従順な奴隷へと変貌していた。

体裁など最早しがらみにもならない。今の自分を縛るものはもう何も無かった。

雪ノ下雪乃という女性に腰を打ち付け、肉欲に流されるまま禁断の果実を貪り尽くす。麻薬のように脳髄を侵食される。男根が溶けてしまいそうなほど雪ノ下の膣内は熱く、絡みつくひだで愚息を癒やしてくれた。

一物が萎えることなく俺は雪ノ下雪乃を犯し続けた。

一頻り突いてはその愉悦をじっくりと味わう。ある時は中に出し、またある時は身体中に精液を振りまいた。最後は雪ノ下の口内に肉棒を強引にねじ込んで、性を放った。朦朧としている彼女を見ながら支配欲が満たされていくのを感じた。

口からこぼれ落ちる精子は出しすぎた事もあって既に色を失っている。

口元から滴る精液が間接照明に照らされて怪しい魅力を放っていた。

雪ノ下は肩で息をしながらこちらを見上げた。

「けほ…けほ…。ぜ、絶倫なのね…」

「悪い…。その、嗜虐心を刺激されて思いっきり好き勝手に犯ってしまった…」

「いいの。野獣谷くんの性欲の深さを見くびっていた私が悪いのだから」

「根に持ってるじゃねーか……」

「しょ…初夜なのにあんなに乱暴にされるなんて思うわけないでしょ」

「す、すまん」

「ちょっとそのまま座ってなさい。はむ…」

「うぐぅっ…」

絶頂したばかりの愚息をぱっくりと咥えられた。そしてそのまま砲身に残っていた子種を吸い出される。下半身を根こそぎ持っていかれるような吸引だった。

膝立ちが出来なくなって後ろに倒れ込む。肉棒が雪ノ下の口から離れること無く、生暖かい感触が残ったままだった。

「じゅぼ…じゅ、じゅ。じゅるるるるるるる。ちゅ、ちゅぱ…れろ…。じゅ、じゅ」

萎えてしまった硬直を強引に取り戻させる勢いで雪ノ下の頭が上下した。

柔らかな手で袋を揉みほぐされる。心臓マッサージのようにポンプの役割を果たしたそれはつつがなく精液を陰茎へと輸送した。

俺の意識が朦朧とし飛んだ後も雪ノ下はペニスを舐り続けていた。

最後に見た雪ノ下の表情は蠱惑的なものだった、怪しく微笑む美女の顔に酔いしれながら体力の限界を迎えた俺はそのまま深い眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

目が覚めた時には太陽がとうに顔を出していた時間だった。

朝の日差しが差し込む部屋の中で眠り姫を肩に抱きながら背筋を伸ばす。眠れる美女を起こさぬよう、そっとベッドから降りて携帯を確かめた。

スマートフォンのロック画面は9時30分を示している。自分が一体何時に眠りについたのか記憶が定かではないのだが、恐らくは3時間以上の睡眠時間は確保できていると思う。とはいえ、体中に残るけだるさは未だ顕在で、半日にも及ぶフライトと昨晩の逢瀬で歩くことさえままならないような状態だった。

洗面所で口を濯ぐ。鏡を見ながら目立つ場所にキスマークが残っていないか入念に確認した。

雪ノ下が起きたらシャワーを借りよう。顔を洗いながら昨日の事を思い出していた。

 

 

とうとう、関係を持ってしまったんだよな…。

 

俺は雪ノ下雪乃を抱いたのだ。理性という人間が持つリミッターを外し、欲望のままにお互いを求めあった夜。あんなにも甘美で恍惚とした時間は人生で一度たりとも無かった。禁忌を犯すとはこれほどまでに人間を溺れさせる力があるのか。

寝室に戻って彼女の寝顔を見た。

美しい顔だった。

こんなにも美しい容姿を持った女性が居るのだろうか。

たまらない。

犯したい。

邪な感情が沸々とこみ上げてきた。

「…あまりジロジロと見られるのは恥ずかしいのだけれど」

「悪い…。起こしたか?」

「いいえ、あなたが起きる少し前に目が覚めていたわ」

「そうか」

雪ノ下は着崩していた寝間着を来直すと徐に起き上がった。

「おはよう、比企谷くん…」

「あぁ、おはよう」

掛け布団を肩にかけながら話す彼女の姿は優艶以外の何物でもない。

「その、、、今日はよく眠れたかしら?」

「お陰様でな。ぐっすりだ」

「皮肉なの?」

「他意は無い。本当にいい夜だった」

「い、いきなり真っ直ぐに言われると物凄く恥ずかしいのだけれど…」

「なら雪ノ下はどうだった?」

意地悪く雪ノ下にそう聞いてみた。雪ノ下はいじらしそうに顔を伏せた。

「……………とても気持ち良かったわ」

そう応える雪ノ下の顔は紅く染まっていた。布団で口元を隠す仕草がまた可愛くて仕方がない。

「なら良かった」

「私も顔を洗ってきてもいいかしら?」

「分かった」

雪ノ下はベッドから降りると覚束ない足取りで洗面所へと向かった。彼女もまた腰が砕けているのか、まともに歩けないようだった。

ベッドに手をかける。シーツの上に長い黒髪が落ちていた。当然だが、雪ノ下の髪だ。手にとってみると本当に毛先まで艷やかで乱れのない髪だった。俺はそっとそれを口につけた。

「お待たせ」

雪ノ下が洗面所から戻ってきた。それにしてもすっぴんでこの美顔か。あまりにも整っている。何の躊躇いもなく“綺麗だ”という褒め言葉が口から出ていた。

「あ、ありがとう…」

雪ノ下はちょこんと俺の隣に座った。合図もなくただ自然と肩を寄せ合う。

乾いた砂漠から湧き出る水のように内側から充足感が広がった。

 

 

「ねぇ、比企谷くん」

「どうした?」

「その……後悔はしていない?」

「今更じゃないか?」

「確かめたいのよ。何度でも」

「するわけがないだろ。こんなにも幸せなのに」

「そう…」

雪ノ下はその小さな頭を肩に載せる。

「私も幸せよ…」

俺たちはそっと唇を合わせた。

ベッドの上に静かに倒れ込むと、上下を入れ替えながら唇を激しく貪りあった。

この時間が永遠に続けばいいのに。

今は、そう願うだけだった。

 

 

続く





一年かかってようやくプロローグにたどり着きました。
ここまで書くことが出来たのは読者の皆様のおかげだと思っています。本当に感謝しかないです。

これから、ラストに向かって突っ走っていきますのでどうぞ宜しくおねがいしますm(_ _)m



次回の投稿は1週間後を予定しています。
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