今回もよろしくおねがいしますm(__)m
「また、出張なの?」
「あぁ。そうらしい」
行為を終えてネットカフェにあったシャワーを浴びた俺達はカップルシートで肩を寄せ合っていた。下は下着だけで上はシャツまでしか着ていなかった。
雪乃に会う前に丁度、智佐吹さんに長期の出張があることを聞かされていた俺は雪乃にその旨を伝えた。
「それはどのくらいの期間になるのかしら」
「一ヶ月くらいだと」
「…そう。長いのね」
「延長は無い。それできっかり帰ってこられる」
「長さの問題ではないわ。貴方に会えないことに変わりはないのだから」
雪乃が唇を重ねてくる。舌を入れるような熱いものではなくソフトなものだった。
「そういえば、海外採用…私の会社も参加するみたい」
「お前は行かないのか?」
「私は人事担当ではないもの。もしも人事と変わってもらえるのであれば自ら打診したいのだけれど…」
雪乃が肩に頭を預けて甘えてくる。気高く美しい女性像は微塵も感じられない。しかし、これが本当の彼女だと知っているのは自分だけだと思うと優越感がたまらなかった。
「だが、もし行けたとしても会えないかもしれないぞ?会場は広いだろうし、日程だってお前ほどの立場なら自由な時間も無いかもしれない」
「行かなきゃ絶対会えないじゃない…。でも行けば会えるかもしれないわ」
雪乃は必死だった。少しでも俺と一緒に長く居たい。その気持がひしひしと伝わる程の熱意だった。
最近、彼女からの連絡の間隔が短くなってきているのはなんとなく分かってはいたのだが、大分俺に依存するようになってきたらしい。連絡にしろ、逢瀬にしろ、終わらせたくないという素振りが絶えないため俺が後ろ髪を引かれる想いが強くなる。
「ご…ごめんなさい…」
我の強さを反省したのか、雪乃がしおらしくなった。
「気にするな…。もう知ってるし、それが魅力だとも思ってる」
「これからもっと重い女になるかもしれないわよ?」
「心配すんな。俺も独占欲は強い方だ」
「性欲もでしょ?」
「そうだな」
「だから心配なのよ」
「何がだ?」
雪乃が俺の股間をさする。
「私の身体だけじゃ満足出来なくなりそうで…」
「心配すんな。俺が言えたことじゃないかもしれないが、雪乃もかなり強い方だと思う。だから満足してる」
「っ…!そ、それは…」
「良いんだよ。そういう雪乃の方が俺は好きだ」
「あ、ありが…とう…なのかしら?」
「さぁな」
俺はズボンをまた下ろした。
「舐めてくれるか?」
「ええ。勿論」
雪乃がまた髪をしっかりと結び直した。
「少しだけ、結衣に連絡を取ってもいいか?」
「ええ。そのまま舐めていても平気?」
「電話じゃないから大丈夫だ」
「良かった…んむ‥ぢゅる…」
粘着音が響く。俺はポケットからスマートフォンを取り出すと手早く結衣に返信した。
無表情で無感情なスライドで数行程度の報告を行う。
「ねぇ、比企谷くん」
「どうした?」
「一緒に舐めましょう」
「あぁ。勿論だ」
雪乃が腰を目の前に持ってくる。
ゆっくりと降ろされる美麗な臀部に口をつけて既に蜜で満たされている彼女の膣口をわざとらしく音を立てて吸い上げた。
「んん……!それ、すごくすき…」
雪乃も負けじと肉棒を啜る。
結局、俺達は時間が来るまで飽きもせずお互いの口が使い物にならなくなるまで性器を舐め合い続けていた。
…………。
「———それでですね〜。また最近会計部署のリーダーさんに言い寄られちゃったんですよ〜。あの人結婚して奥さんも娘さんも居るのに何考えてるんですかね…」
夜のバーで二人。一色がいつものように会社の同僚の愚痴をこぼしていた。この様子だと、玉木さんや他のOL仲間にも漏らしているのだろう。人の陰口や噂話というのは本当に足が早い。俺は会社の人間関係に関する愚痴は絶対に会社の人間には零さないようにしている。そんなことを心に決めておきながらとんでもない秘密をこの女性に握られているわけだが。
本当は雪乃に会いたかった。しかし、逢瀬の頻度が高すぎるとそれはそれであまりにも怪しい。どの口が言うんだと思ったそこの君、あとで先生のところに来なさい。
一色を隠れ蓑に使うのは憚られたが彼女の方からそういった提案が来た時には大層驚いた。とはいえそれだけが理由というわけでもなく、出張から戻ってきて以来、一色と話せる時間があまり無かった為、これがいい機会だと思ったからだ。
結衣には既に連絡してある。『了解!いろはちゃんによろしくね〜(*^^*)』と返信を貰っているので妻のお墨付きだ。なんの罪悪感もなく過ごすことができる。いや、何を言っているんだ俺は。
「そんなこと言ってお前。既婚者の男寝取ろうとしてるのは何処のどいつだよ…」
「むぅ…。先輩にしては嫌に核心に迫りますね…」
「俺は核心を突かなかった事が無い男だ」
「それはそれです〜」
一色がそっぽを向く。偶然通りがかった店員にハイボールを特大サイズで頼んでいた。おい、それは男が飲むレベルのやつだと思うんですがそれは。
「それで、雪乃さんとは最近どうなんですか?」
「おい、なんで俺が雪乃と仲が良いって前提なんだ」
「………雪乃て。本当、先輩隠す気無いでしょ?」
「あ」
先が思いやられる。これだと結衣に問い詰められでもしたら直ぐにでもボロが出そうだ。
「その様子だと大分熱々の関係を結んでいらっしゃるみたいで大変イラッときますね」
一色は手に持っていたカシスオレンジを一気に飲み干した。あの、さっきまでハイボール飲んでませんでした?
「先輩、もし私が会社にバラしたらどうするんですか?警戒心が無さ過ぎです」
「す、すまん…」
「はい、そこ謝らない。今、不倫してるって認めたようなものですよ?今までは疑惑で済んでいたのに」
「オフホワイトか?」
「私からすれば最初からオールブラックです」
「デスヨネ〜…」
「玉木さんも一瞬で見抜いていましたよ。出張から帰ってきて先輩がお土産渡した後に私あの人に会ったんですけど開口一番『比企谷君、不倫してるよね』って言ってましたよ。因みに不倫相手まで言い当てていました」
「………」
「女の人ってそういう匂いに敏感なんですよ。玉木さんは一際勘が鋭すぎてさとり妖怪かよって私ですら思う時はありますけど」
とりあえずカルーアミルクを飲んで一息ついた。一色が当たり前のように俺の飲み物を飲んでいる。
「まぁ今の所先輩の事好きな人しかその事実には気づいていないですし、皆同じ目的なので先輩の立場が悪くなるような事はしないから安心してください☆」
「え、何が安心してくださいなの」
己の隠し事の下手っぷりを呪う。確かに最近は雪乃の事ばかり考えて周りなど見えたものじゃなかった。これからは細心の注意を払われば…。
「それで、実際、雪乃さんとは出張から戻ってきてからの関係なんですか?」
一色は空気を切り替えるような声色でこちらを見る。
「あぁ。帰ってきてその日に雪乃に告白した」
「こ、告白とは…。先輩が言うとなんとも物珍しさが…」
一色が顔を赤らめてもじもじとしていた。
「因みになんて言って告白したんですか?」
「え、それ言わないといけないの?」
途端に一色が気色ばんだ。
「先輩…言っときますけどね。私が会社の人に雪乃さんと不倫してること言ったら人生詰むって分かってます?」
「ぐ…そ、それは。重々承知しております…」
段々と声に力が無くなっていく。
「まぁそれは私の本意では無いんですけどね☆」
一色は飄々とした表情でハイボールを飲んだ。
「別に言いたくないこと言わせるほど私もSじゃないですから」
「の割には結構な要求をされている気もするけどな」
「そんなことないですよ。寧ろ、この程度なら優しすぎていい女だと褒めてもらいたいくらいです」
「納得いかねぇ…」
「それを受け入れられるかどうかが男の器量ってものですよ☆」
結衣にもそんな事を言われた気がする。こういうのに慣れてるのは昔から小町の相手をしていたからだろう。
「…なんですか先輩。その娘を見るような父親の眼は」
「歳下なんだから別に良いだろ」
「もぅ…。私は娘じゃなくて恋人になりたいんですけど!」
最近の一色は堂々と好意を表現する。ここまでされると会社でも避難の目というよりも周りも温かい目で俺達を見守るようになってきた。毎週ある日常アニメのような当たり前の空気が漂っていた。外野すら味方につけてしまうのだからやはりいろはすは末恐ろしい。
「今日はこの辺にしておきましょ。先輩ったら雪乃さんのことばかり考えていて上の空みたいだし」
「…そんなことはねーよ…」
「そんなことありありです。女の子と一緒にいる時は他の人の事考えちゃ駄目ですよ。」
「善処する」
「うわ、これ口だけのやつだ…」
「行けたら行く」
「絶対行かないやつですね」
「安心しろ。俺は相手にそんな希望も持たせずに行かないと伝える」
「前提から間違っていますね。先輩まず誘われることがないでしょ」
「………」
「ふふん。わたしの勝ちですね♫」
一色が勝ち誇っている最中に会計を済ませる。店の外に出ると秋の夜風が肌を撫でた。
「少しずつだけど寒くなってきたな」
「そうですね。ここ数日は一気に気温下がりましたよね」
「だな。服の選択に困る」
「最近、結衣さんのことは抱いてあげていますか?」
「天気の話から急に変わりすぎだろ」
超展開過ぎる。要領を得ない一色の言動に怪訝な顔になった。
「結衣がしたいと言って来た時には必ず相手をしているぞ」
「いつもそんな感じで夫婦生活してるんですか?」
「俺の方から誘うこともたまにある」
「雪乃さんと付き合い始めてからは?」
「…俺の方から言ったことは無いな」
「それ、怪しまれません?」
「じゃあ今日、、、」
「今日誘ったらわたしの入れ知恵がバレるでしょう!もう、何考えてるんですか!…」
「すみません…」
さっきから一色に全く頭が上がらない。どうしたら良いものか…。
「ちゃんと奥さんのこともしっかりしてあげないと浮気出来ないじゃないですか。私が」
「お前がなのか…」
「女性としていちばん大事な20代の大半を先輩一人に使ってるんですよ!?これで抱かれもしなかったらどう責任とってくれるんですか!?」
「抱くのが責任の取り方なのかよ!?」
一色の剣幕に押されながらもそれは俺の知るところではないのではないかと逡巡した。しかし、一色がこうなってしまったのも俺に全くの原因がないとは到底言い切れないので言葉に詰まる。
「でも良いんです。先輩は近い内にわたしを抱くことになりますから♫」
「ん?」
自信満々にそう言う。どういうわけだろうか。
「そう言ってマインドセットするんです☆」
「眼の前でそういう事を言って俺に同情させるのも作戦の内か?」
「あ、バレました?☆」
「おい」
「まぁまぁ♫ 先輩だって私の身体、欲しくないですか?」
そう言うと一色は服のボタンを一つ外した。
思わず生唾を飲み込んでしまう。シャツの隙間から覗かせる水色のレースが視線を惹きつけて離さなかった。
「ふふ。獣の眼になってる♡」
「見間違いだ。眼科に行け」
「そういうことにしておいてあげます♫」
衣服を着整えると一色はさも当たり前のように腕を絡めてきた。
「おい、人前だぞ…」
「人前じゃなければ良いんですか?」
「そういうことではない」
「でも満更でもないでしょ?」
「回答に困る言い方をするな」
「よし…大分落ちてきてる」
「ん?なにか言ったか?」
「いいえ、なんでも♫」
一色はどこか楽しげだった。ネオン街の街灯がやけに目にささる夜だった。
続く
いろはすとの会話シーンってだらだら話してるようでこの作品ではとても大事な場面。
この作品も折り返しを過ぎて佳境に向かっております。
最後までお付き合いいただければ嬉しいですm(__)m
今回は短いですがこれで。
次回の投稿も1週間後を予定しております。
来週もまたよろしくおねがいします