※この作品はR-18です。

雪の楽園   作:ホネ

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遅れまして申し訳ありませんでした!(しばらく不定期になると思います><)


あと、ちょっとした企画と言いますかアンケートを載せました。確認していただけると嬉しいです。

詳細はあとがきにて……








第七十一話

-Side Hachiman-

 

「今日からまた1つ先輩の道を歩むことになったな比企谷」

朝っぱらから芦間にだる絡みされた。出社早々全くツイていない。

「他人事みたいに言ってるが、それはお前も同じことだろ」

今日から会社に新人が入ってくる。芦間はその事について話しているのだろう。俺は手元にあった資料を流し読みしながら雑に回答した。

「新入社員だからなぁ。今年は豊作とのことだが、どうなるか期待だな」

「豊作ってどっちの意味でだ?」

俺が聞きたいのは純粋に優秀な人材が多く入ってきた事による豊作か魅力的で上のおじ様たちが喜びそうな良い容姿の女性の豊作なのか。芦間が言うと両方の意味を含んでいそうな感じする。

「そりゃあ、お前聞くまでもないだろ。って、そのうちの一人に唾つけてるくせによく言うわ比企谷」

「何のことだかさっぱりだな」

「おいおい、しらを切るなよ。留美ちゃんなんて、今年の一番人気筆頭を開戦前から手篭めにしておいて何言ってんだか」

「昔の縁があっただけだろ。そんな関係にはなってないぞ」

「……今のところは?」

「さぁな…」

本当は心当たりがあったが聞き流すことにした。ブラックコーヒーを口に含みながら、隣をちらと盗み見ると、芦間は既にメールの返信を始めている。周りも新人が来るということでそわそわしているものの、自身の業務に戻っているようだった。かく言う自分も全く落ち着きがない。久しぶりに会う彼女に対してどういった顔をすれば良いのか皆目検討もつかないからだった。とはいえ、今日は研修もとい社内の案内であろうから、俺達のところには来るかも分からない。挨拶程度はあるとは思っているが。留美の事は気にはなっていたが、考えても仕方のないことだったので仕事に集中した。とは言いつつも昼休憩まで全く身が入らなかった。

 

………。

 

「せ~んぱい!ご飯一緒に行きましょ!」

俺の机にわざわざ出向いて昼飯に誘ってきたのは一色……いや、いろはだった。つい先日彼女とは深い関係を結んでしまった手前、彼女の顔を見るのが恥ずかしい。

「お、ぉぅ。どうしたんだよ…いろ」

言い切る前にいろはが手で俺の口を塞ぐ。

「馬鹿ですか先輩は!?こんなところで下の名前で呼んだら怪しまれるでしょ!」

小声で叱られた。言われてみれば至極当然なことをいろはは言っている。あれだけ、いやいやながらもランチに付き合っていたという状態に見られている俺がいきなり下の名前で彼女のことを呼んでいようものならあっという間に会社中の噂になってしまう。それだけ一色いろはという女性の認知度と話題性は高いことを忘れがちになる。近い距離にずっと居すぎた弊害とも言えよう。

「わ、悪い。そうだったな。ちょっと今やってるのだけ片付けたら行くから先に行って席でも取っててくれ」

「先輩が終わるまで待つんで大丈夫です。廊下で待っていれば良いですか?」

「いいのか?」

「一緒にご飯食べようって誘っているのに先に行く方がおかしいと思うんですけど。先輩、今度は逆にわたしのこと避け過ぎです。いつも通りで良いんですってば」

意識しすぎていたせいで普段の言動を完全に忘れている。我ながら本当に隠し事が下手なんだと自覚させられる。

「…わかった」

「じゃあ待ってますね☆早く来てくれないと、他の男社員たちがわたしのこと口説いてきて先輩の首が余計に絞まりますよ?」

「既に絞殺寸前なのにか?」

いや、もう慣れちゃったけど周りからの冷たい視線半端じゃないからね?しかも俺結婚してるから尚更逆風が酷い。

「それはもうお約束じゃないですか~。それに、これからもっと肩身が狭くなるでしょ?」

いろはは明言していないものの”彼女”の事を言っているのだろう。いくら違う部署とはいえ、同じ仕事場に在籍するのだから必然的にいつかは顔を合わせることになる。早いうちに引き合わせておいた方が後々の俺へのダメージもとい、いろは達からの糾弾も少ないはずだ。

「じゃあ、外で待ってますから早く来てくださいね」

いろはがその場を後にする。画面のパワーポイントを虚ろな目でじっと見ながら図形を挿入してスライドのレイアウトを仕上げていった。毎度のことだが、この業務だけは他の人に委託したい。面倒だし、結構建設の設計レベルで細かく指示飛ばされて修正くらうし。まぁ、汚いスライドのプレゼンってだけで相手の聞く気が失せることもあるから仕方のないことではある。

 

思いの外、キリのいいところが見つからず5分ほどかかってしまった。

廊下に出ると案の定、他の部署の男性社員達が一人で廊下に立っているいろはに話しかけていた。内容は言うまでもなく一緒にランチでもどうかという誘いの話だろう。珍しく俺が居なかったことで好機と見たのかもしれない。いろはは素人でも丸わかりの営業スマイルでにべもなく断っていた。

いろはは遠目に俺の姿を認めると素人でも丸わかりの本気の笑顔で目を輝かせながら俺のもとへと走ってきた。

「お~そ~い~!」

そんな女子高生のような口振りで言わないで欲しい。あざとい。あざとすぎて、他の女の子がやってたらまじでイラッとしちゃうやつ。正直、いろはすであってもちょっとイラッとしちゃってるし。まぁかわいいから許すけど。

「待たせた。んじゃ、そろそろ行くか」

「はい!」

流石の彼女も俺の腕に自身の腕を絡めてくるような真似はしてこなかった。後ろをちらと振り返ると男達の恨めしそうな視線が突き刺さった。俺は申し訳無さを表情に出しつつそそくさとその場を後にした。いろははというと、後ろを振り返ることは一度もなくただ俺の顔をじっと見つめていた。

「にしても、お前。挨拶ぐらいはしておいたほうが良いんじゃないのか?」

「良いですよ別に。前に何回も断ってますし」

同じ会社の社員である人間との摩擦は出来る限り少なくしたほうが良いという含みも込めて彼女を諌めるも暖簾に腕押しのようだった。

「何回も断られてもアプローチしてくるなんてよっぽどお前のことが好きなんだな」

「どうですかね?あの人、いろんな部署の可愛い子を食い物にしてることで有名ですから。ただ単純にわたしとセックスしたいだけだと思いますよ。自分のエロ履歴書に箔をつけたいだけのヤリ●ン野郎ですね」

「そ、そうなのか…」

いろはす、裏の顔が出た時マジで言葉を選ばないよなぁ…。

「まぁ玉木さんからの受け売りですけど。わたしは元々先輩以外の男性に興味がない人間なのでその人の情報は聞いても無駄でしかないので更々覚える気無かったんですけどね。あまりにもしつこいので玉木さんに愚痴った時に聞きました」

「食い物にしてるのも陰でやってることだろうから表に出ないのかね?」

「それはわたしもなんとも…。でも女の子の間で噂が回る速度って光回線よりも速いですからね~」

「最強のネットワーク回線だな」

「ですね、5Gも敵じゃないですよ」

「なんというか比喩がいろはらしくないな。珍しく知性を感じる」

「偶にダイレクトに失礼な事言いますよね先輩って…」

「もう慣れっこだろ?」

「まぁ、昔はそういうのって雪乃さんにしか言わなかったですからね。わたしにもそうやって当たり前に言うようになってくれたことに関しては素直に嬉しく思ってます」

「そ、そういう解釈をされるとは思ってもなかった」

いろはは穏やかに微笑んだ。その笑顔はあまりにも絵になりすぎていて、一瞬で大半の男達を虜にしてしまうこと必至だ。

隣を歩く彼女をじっと見る。いろはは時折、俺の方を見てそっと微笑んでは前を見るのを繰り返してた。

こうして改めて彼女を観察すると高校の時から彼女の容姿はガラリと変わっていた。

セミロングだった髪の毛は腰にかかるほど長くなり、顔や体つきも大人びて高身長とまでは行かなくとも、十二分にモデルでも通用する見た目に様変わりしている。にもかかわらず、どこか暗い闇を落としたような儚げな雰囲気を漂わせているものだから男達が放っておくわけがない。今はその長い髪をビジネス用に短くまとめ上げて結んでいるものの、それはそれで知的な女性を印象付ける良いアクセントになっている。

「……なんでそんなに舐め回すようにわたしのこと見つめているんですか先輩」

「あ、いや。特になんでもない」

いろはが訝しむ。あまりにもジロジロと見ていたせいで物凄いジト目で睨まれていた。

「そんな大したことじゃないぞ。ただ、まぁ、いろはが昔と比べるとめちゃくちゃ見た目が変わったなぁっとしみじみ回想してた」

「え、な、なんですか急に…!?なんか、キモい…」

「お前は中々の頻度でダイレクトに失礼な事言うよな…」

「それはいつものことじゃないですか?」

「それはそうなんだけども、改めて思うと俺はワンチャンでお前を訴えることが出来るんじゃないかと思う頻度だと思うんですけど」

「なら、わたしは先輩が全然わたしの想いに応えてくれなかった恨みで訴訟し返します」

「それが通用したら全国のストーカー共が各地の裁判所に一堂に会する状態になるだろうな…」

「それはそれで変態たちを一網打尽にできる妙案ですね」

「司法に仕える方々の気苦労と引き換えにな」

「というか何気に先輩、今わたしの事ストーカー扱いしませんでした?先輩も先輩で中々の頻度でエグい発言してくると思うのはわたしだけですか?」

「事実だけ見ればそうじゃないか?」

「否めないのが苦しいところ…でもそのストーカーに根負けして関係持っちゃったのはどこの誰だと思います?」

「それを言われてしまったら、ぐうの音も出ない」

「そういうことです。この変態」

「え、俺も変態になるの?」

「いや、だって。あんなねっとりとしたセックスされたらねぇ~♪」

「おまっ…!周りに気をつけろよ…」

「それは先輩もでしょ?さっきから周りを気にしすぎです。意識しないように意識して、結局挙動不審になっちゃってますよ?」

「わ、悪い…」

「はぁ…先が思いやられますね、これは」

いろはは俺のことを非難しながらも破顔していた。そしてこころなしか俺の横を歩く彼女の距離感は以前と比べると近くなっているような気がする。それは意識しなければ気づかれることのないようなコンマ数ミリの違い。肩が触れるか触れないかの絶妙な距離感で、社内の廊下を歩く。

周りには怪しまれていないだろうか?どうにも気になって周りをキョロキョロと見回してしまう。雪乃と関係を持っていた時は、彼女が会社には居なかったのでそれなりにいつも通りの立ち振舞をすることが出来たが(いろは曰くバレバレだったらしいが)、社内不倫ともなると俺も初めてのケースだ。正直、内心どうしたら良いものか緊張しっぱなしだ。

逆にいろははというとこれまでと全く変わらないといった様子で、俺との関係の変化を微塵も感じさせない。昔から仮面をかぶって自分を偽ってきた技術の差とも言えるのかもしれないが、そんなことを言ったら絶対にいろはが不機嫌になるので言わない。いつも通りのいろはが俺にとっては生殺しのような距離感になっており、焦らされているような状態になるのがまた一段と俺をモヤモヤとした気持ちにさせる。

もしこれが彼女の戦略の一部だとしたら、一色いろはという女性ほど俺のことをよく理解している女性はこの世に存在しないだろう。

いろはの顔を見るとこちらが見ていることに気づいたのか、怪しく微笑んで指先だけをそっと俺の手の甲に一瞬触れさせた。やはり侮れない。こうして蜜月な関係を結んだ今でも彼女は俺との駆け引きを楽しみ続けているのだと確信した。いろはすこわい。

「今日は仕事早く終わりそうですか?」

「まぁ、それなりには」

「なんですかその曖昧な答えは」

「正直予想がつかない。午後に仕事をぶち込まれなければ珍しく定時にあがれるかもしれないけど」

「じゃあ今日は玉木さんと3人で飲みに行きませんか?」

「え?」

どういう風の吹き回しだろうか。俺としては玉木さんと飲めるのは嬉しいことだけど、いろはの考えが読めない。

「毎度毎度2人きりだと怪しまれるじゃないですか…」

俺の頭に浮かんだ疑問を解消させるかのように直様いろはが補足した。思考を読まれることに関しては、流石にもう驚かなくなってきた。

「それに、玉木さんが先輩と一度飲んでみたいって言ったいましたし……不本意ですけど」

「しれっと最後に本音が出たな」

それにしてもあの人がいろはを使うとは…。今までは直接誘いの話が来ることしかなかったから、どうにもきな臭さを感じてしまう。これまで玉木さんは俺と話すための口実にいろはを使わないようにしていたと思っていたからだ。下手したら陽乃さんよりも掴みどころのない人だから正直怖いという気持ちのほうが大きい。嬉しさもあるけど。

「先輩って玉木さんみたいな女性めっちゃ好きでしょ?」

「見た目だけならな」

「そこは正直に言うんですね…」

いろはにジト目で睨まれる。だって、嘘ついても君分かっちゃうじゃん。

「”見た目だけなら”…ねぇ。まぁ言わんとしていることはよく分かります」

「なんだかんだお前が会社の中では一番近い人物だろうしな」

「そうですね。そのわたしですらあの人の心の中には不用心には入らないって決めてるくらいですから。あれはもう樹海よりも広くて深いですよ」

「何がだ…?」

「闇が」

「激しく同意だ」

「でも男の人てそういうところに惹かれるものじゃないですか?特に先輩みたいな物好きは」

「場合によるだろ。そういうのは別に変人だから好きになるってわけでもないしな」

「雪乃さんのことが好きなのにそれ言います?」

「まぁあいつの面倒臭さは滅茶苦茶好きだけど…」

「うわ、こいつめんどくさ」

「お前が言うなよ…。正直面倒臭さで順位付けするならお前はダントツの一位だぞ」

「げ、マジですか!?」

いろはが信じられないといった様子でこちらを見る。

「自覚がおありでない?」

「……先輩に面倒くさい認定されることがここまで屈辱的だとは思いもしませんでした」

「お前本当に失礼だよな…。俺だけに対して」

「心を許しているってことですよ。わたしみたいな可愛い後輩に心を開いてもらえるなんて先輩は幸せものですね☆」

「無理くりいい話にまとめようとするな」

「むぅ」

あざといポーズをしているいろはが頬を膨らませた。

 

…………。

「…食堂混んでそうだな」

「ですね~。新入社員の人達とタイミング被っちゃいましたね」

いろはの言う通り、社会人生活への期待と不安の表情がごちゃまぜになった若い世代たちが群をなして券売機の前に並んでいた。これでは当分買えそうにもないし、座席が確保できる可能性すら怪しい。

「同席するか誰かの隣に座るしかなさそうだな」

「え~…先輩と2人きりが良かったのに…」

こいつ2人で話している時はかなり露骨に俺に甘えてくるようになったな。しかも可愛いから困る。

「あ」

その時俺たちを見て何かハッとしたような声を上げる女性がいた。その声の方へ顔を向けるとそこには俺がよく知る彼女の姿が見えた。

「…っお、お前…いたのか」

「ん、どうしましたせんぱ……っ!」

「”お前”じゃない」

食堂に居る男達が等しく見とれてしまうような艶のある黒髪とすらっとした長身。大人びた顔立ちにどこか幼さを感じさせるその女性は不機嫌な表情を顔に作りながら俺たちをじっと見て言った。

「”留美”。久しぶり、八幡」

「ここは会社なんだから、ちゃんと苗字で呼べ、ルミルミ」

「む。八幡だって呼んでないじゃん…。そんなことよりも…」

留美はこちらへ近づくとニッコリとした笑顔を見せた。しかし、きのせいだとは思うのだが、黒いオーラを纏っているように見える。

「ねぇ八幡…」

「な、なんでしょう」

全然きのせいじゃなかった。

助けを求めるように横にいるいろはに目をやると、

「せ~ん~ぱ~い~♪」

「………っ」

俺の隣ではもうひとりの美女がそれはもう、これでもかってくらいどす黒いオーラを全身から放ち、冷たい笑みでじっと俺を見ている。それに対抗するかのように、留美からも同様に暗澹とした恐ろしい冷気が流れ出る。

あ、これは……。

「「この女誰?」ですか?」

どうやら悲しいことに平穏な時間はしばらく俺には訪れないらしい。

 

 

続く

 





会社が繁忙期を迎えており、なかなか浮上できずすみません。今月いっぱいまでは忙しい状態です……。

待っていてくださった皆様ありがとうございますm(_ _)m


気がつけば総合のUAが80万を超えまして非常に嬉しい限りです。原作パワー最強。
そこでUAが100万に行ったタイミングで私のSSの本編には登場予定のない(正確にはR18シーンを入れる予定が無い)キャラクターで八幡とのR18シーンを描く番外編的なものを投稿しようかなと思っています。キャラクターはアンケート最多得票のキャラクター1人を予定しています。

候補はこちら……

・はるのん

・サキサキ

・平塚先生

・ガハママ

他にもこのキャラ入れてくれよという熱烈な希望とかありましたら。追加するかもしれません()
期限はこのSSの総合UAが90万に行くまでにしようかなと思ってます。
アンケート機能使うの初めてなので集計が上手くいかないかもですが、そこらへんはご了承いただけると幸いです。

次回は月末までには投稿できるといいなと思いつつ、引き続きよろしくお願いいたします

総合UA100万記念で書いてほしいキャラ

  • 雪ノ下陽乃
  • 川崎沙希
  • 平塚静
  • ガハママ
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