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「そうですか~。この子がアメリカで再会したっていう留美ちゃんなんですね~☆」
「八幡、この人の事は聞いてないんだけど…」
「い、いや、え~とだな…」
俺は今食堂で尋問を受けている。正直、目の前にある味噌汁を温かいうちに飲みたいのだが、食事を摂ることすら許されないような状況下に置かれていた。俺の両隣をしっかりと確保し、逃すまいと2人の美女が俺を監視しているからだ。しかも全く笑顔を崩さないのが怖くて仕方ない。蛇に睨まれた蛙の方が幾分生きた心地を味わっているのではないかと思えるくらいには俺は生きた心地がしていない。というか生きながらにして死んでいる。
周りの様子をうかがうとちらちらと俺たちを見ては目をそらすといった行為を繰り返している。どうやら注目の的になってしまっているらしい。正味、いろはと飯を食べていると必然的とも言えるくらいには視線を集めてしまうのだが、今日はそのいろはに負けずとも劣らない容姿の留美もいるため大変なことになっている。そんな女性二人に囲まれている俺は当たり前だが、針のむしろになるわけだ。
だが、今回に限ってはそんな男達からの冷ややかで恨みの籠もった嫉妬の視線の方がすこぶるマシと思える程に両隣からの圧が尋常じゃない。心臓を直接掴まれたかのような息苦しさを感じる。俺の精神が摩耗しきって潰れようとも、この2人は自分たちが納得するまで俺のことを詰問し押しつぶしてくるに違いない。俺に残された選択肢は死にながら質問に答えきって彼女たちを納得させるしかない。
現在に至るまで俺は2人との関係性を根掘り葉掘り喋らされている。とはいえ、核心部分についてはまだ触れていないような状況だ。あくまで、表向きの俺たちの関係性というものを把握している段階にある。
「先輩、留美ちゃんのことはまぁ聞かされてはいましたけど、まさかここまで親密になってるとは思いもよりませんでしたよ。しかも休日デートを何度もした仲なんですってね?わたしなんかたったの一回しかしてもらってないのに」
いろはが脇腹を思いっきりつねる。痛みなど正直感じない。いろははこうして詰め寄る度に留美との対応の違いを責め立ててきた。
「それは一色さんが八幡に受け入れてもらっていない証拠」
「あ”ぁ”?」
「ちょ、ちょっと……!?ルミサン?」
その度にルミルミが火に油を注ぐような事を言ってくるから収集がつかない。いろはがあまりにも憤怒の業火に包まれすぎて溶岩原人みたいになっている。そろそろれんごくかえんでも吐きそうな勢いだった。
「チッ…。言わせておけば生意気な…」
ちょ、ちょっと…いろはす?マジで表情が大変なことになってるけど大丈夫?これまで会社で築き上げてきたイメージとか総崩れの恐れがあるけど平気なの?かたやその矛先を向けられているルミルミはというと歯牙にもかけない様子で冷ややかにいろはすをじっと見つめている。
「こちとら、10年近くも側にいて計画を進めてきたっていうのに…まったくとんだ邪魔が入った…」
いろはすが何やらおぞましいことを口にしていたような気もするが、それについて聞くのはまた今度にしよう。今はそれどころではない。
「そんなこと私には関係ないでしょ?生意気も何も、私はほんの数回で八幡の心をつかんだ。それの何が問題なの?単に一色さんよりも私の方が八幡と相性が良かったってだけのことじゃない?」
それがトドメの一言になったのかいろはが噴火したのが直ぐに分かった。
「あはははははははははははははははは。先輩、こいつ殺しても良いですか?いや、絶対ぶっ殺します」
「お、落ち着いて。頼むから手に持ってるナイフをテーブルの上に置いてくれ…」
悪鬼羅刹と化した一色いろは閻魔大王を鎮めるのに苦労しながらもなんとか場をおさめていく。いや、おさめきれていないからこうなっている。
周りからは何事かと言った視線で見られていた。これは俺もいろはも明日以降の身のあり方を考える必要があるぞ…。
「八幡、愛人はちゃんと選んだ方が良いんじゃない?いくら見た目が凄く良いからって見境無いのはどうかと思うよ?」
ルミルミから見当違いの忠告が出てくる。いや、合っているんだけど今言うことではないんじゃないか?
「ま、まぁ見た目が良いのは当たり前ですけどね、ふん!」
なんでいろははちょっと懐柔されちゃってるんだよ。それこそ留美にナメられるのに。
「ねぇ、八幡。この人って普段からこんな感じなの?」
「いや、俺が絡むとこうなるだけだぞ」
「ふ~ん…。八幡も罪な男だね」
留美がくすくすと笑う。
「というか愛人って。先輩もしかして、この子も手篭めにする気ですか?」
いろはは冷静になったのか留美の一言を反芻して問いただしてきた。
「え、あの、だな」
「八幡は私のこと好きって言ってくれたよ」
「な”!?」
「お、おい…!」
「あ”~~q●wせ○dr*&^%ftgyふJIこl☆▲XO( ゚д゚)」
いろはすがもう言語化出来ないようなうめき声をあげて頭を抱えている。
「それよりも八幡」
「な、なんだよ…」
「さっき一色さんが『この子”も”手篭めにするんですか?』って言ってたんだけどさ、あれってどういう意味かな?」
留美が俺の手首を鷲掴みにする。
「え、えと…その…留美…さん?」
前門の虎、後門の狼とはまさにこういうことを言うのだろう。俺には一切の逃げ場が無い。
「雪ノ下さんのことは聞いていたけどまさか、それ以外の人にも声をかけているとは思わなかったなぁ…」
留美の右手に力がこもる。このまま握りつぶされるのではないかという程に力強く締め上げてきた。俺の手がうっ血仕掛けているのも関係無しだ。
「私と連絡取っていない間にこんな事になってるなんて、流石の私でも我慢の限界ってものがあるんだけど?」
ルミルミコワイ。笑顔なのが本当にコワイ。
「まぁそれに関してはわたしも同意ですね。しかも、この子雪乃さんにそっくりじゃないですか。というか上位互換だし」
いろはの視線が留美のある部分に集中している。もしその言葉を聞かれたらいろはも雪乃にあの世送りにされるんだけどな。まぁたしかに留美は大きい方だ。どことは言わないけど。
「…変態」
俺の視線に気づいたらしい留美が自身の胸部をかばうようにしてこちらを見ていた。
「い、今のは一色が悪いだろ…」
「”一色”?」
いろはが鬼のような形相に変わる。いや、お前が人前ではこれまで通りの呼び名にしろって言ったんじゃね―か…。なんで名前呼びじゃない事にキレてるんだ。
留美はというと恥ずかしそうにしながらも赤みがかった頬を見せながら俺をそっと見上げる。
「まぁこれで八幡が気に入ってくれたのなら嫌な気持ちはしないよ。他の男からは嫌な気持ちにさせられるけど」
こういうことを当たり前に言っちゃうから留美って可愛いんだよなぁ。ほら、案の定いろはすがとんでもない表情してるし。
「やっぱり大きい方が好きなんだね、八幡」
それを無視して会話を続ける留美。絶対わざとだ…。
「まぁ、な」
「変態」
「自覚はある」
いろはに言われたせいで余計に彼女の豊かに胸に目が行ってしまう。確かに留美は大きい方だと思う。スーツの上からでもわかるくらいには女性の象徴が実っているのがわかる。
「開き直るんだ」
「だってもうバレてるだろ?」
「心理テストやったからね」
そういえば心理テストで性欲の深さ広さが太平洋級みたいな不名誉な称号を与えられた覚えがある。
「あれはもう忘れてくれ…」
「ふふふ。どうしよっかな~」
「それで!留美ちゃんは先輩のことどう思ってるんですか!?」
俺達とのやり取りに割り込むようにいろはが口を挟んだ。彼女はハンバーグを切らずに、フォークで山賊食いしながら留美を睨んでいる。そこまでに目の敵にする必要はないと思うのだが。
「ど、どうって…。その…」
自分が標的になった途端にしおらしくなる留美。こういうところは幼さが抜けていないと思わされる。
「どう思ってるって質問に率直に回答するなら、私は八幡の事好きですよ、異性として」
「な”!?」
いろはがまたもや奇声を発した。こいつ、この昼飯の間で何回キャラ崩壊を起こすのだろうか。留美の回答に俺も思わずそんな奇声を発しそうになったから人のことはとても言えないのだが。いろはの圧迫面接にもしっかりと自分の考えを伝える留美の胆力にも目をみはるものがある。
しばらく黙り込んでいたいろはだったが、ようやく顔を上げるとすぐに口を開いた。
「先輩、今日の夜は本当に楽しみですね☆玉木さんにも報告する内容が増えたことですし、これは3人でじっくり話し合わないといけないですね~♫」
異論は認めないという強い目で俺をじっと睨んでいる。おとなしく首肯するしかなさそうだ。
「はぁ、本当に先が思いやられますね…でもまぁ、こういう人だってのは分かってたから良いんですけど」
呆れられすぎて許容されている。これでも見捨てないのが一色いろはの凄いところだと思う。最早この程度は想定内といった様子だった。いろはすすごい。俺は一生彼女に頭が上がらないのだろう。
「降りる気はないんですか?」
留美がいろはに尋ねた。言葉足らずだが、内容がわかってしまう。
「それはこっちのセリフなんだけど。まだまだ若いのにそうやって人生捨てることもないと思うけどなぁ」
いろはは挑発的な目で留美を見下ろした。というか俺と付き合うことを人生を捨てるという表現に変えるあたり、この後輩、俺に対して辛辣すぎる。だが、それが良い。そうやって貶すくせに俺に首ったけなところが世界一可愛い。というかこの2人妙に敵対意識が強い気がする。いろはに関しては想像に難くなかったが、留美もとは思ってなかった。いや、怒られるし呆れられるとは思っていたけど。
「この話は水掛け論になると思いますけどね」
留美はどこか諦念を持っているかのようにいろはを諭した。いろはは留美が牙をむくかと考えていたところに冷水を浴びせられたような状態になり、面食らってしまっている。
「まぁここで争うのは得策ではないというのは同意するけど」
「3番手は譲る気はないですよ?」
留美がいろはに宣戦布告をする。しかし、それを聞いていろはは安心したような表情を見せた。
「なら、別に三番手は好きにしてくれちゃってどうぞって感じですね~わたしが狙っているのは一番ですから☆」
「「な””!?」」
いろはが留美の目の前で堂々と腕を絡めると今度は留美が声を上げた。周りの視線もあるというのにどういうつもりなんだ。
「別に周りも本気だとは思ってませんよ。冗談の一つと捉えてくれますって」
いろははいつものように俺の心を読むと当たり前のようにフォローした。確かにこれまでの俺といろはのやり取りを断片的にでも知っている連中であればまたいつものかと呆れるよう展開に見えるだろう。そう見られていると計算した上でのいろはの行動であると納得はしたものの、それもそれで問題ではないのか…?
「…八幡」
「な、なんだ…?」
「一色さんとの時間が終わったら直ぐに私にLINEしてね」
「アッハイ…」
留美はそれだけ言うといつの間にか食べ終わっていた食器をまとめて返却口へと向かって行った。残された俺はいろはの方をちらと見る。いろはは訝しげに留美を目線で追っていた。そして、俺に僅かに届くような小さな声で『手強そうだな…』と呟いた。
続く
ルミルミVSいろはすって需要あるのだろうか……(・∀・;)
100UA記念ssについて補足。
内容はキャラクターによっては、このssの世界線とは異なる場合もあります。
ifストーリー的なものとして楽しんでいただければ幸いです!
因みに長さもどれくらいにするかも考えてません。
新たな一つのオリジナル展開ものとして。本編とは切り離した上でご一考ください。_| ̄|○
それではいつになるかは分かりませんが、次回もよろしくお願いしますm(_ _)m
総合UA100万記念で書いてほしいキャラ
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ガハママ