※この作品はR-18です。

エトの兄はやべーやつ   作:闇と帽子と何かの旅人

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14話 安久クロナ2 ナシロ

 強姦魔(レイパー)と姉が、激しくまぐわう所をじっと見ていたナシロ。起きて気付けば嘉納の姿はなく、姉、クロナが嫌そうにしながらも、快楽に抗えず溺れていく姿。

 ナシロの姉は思い込みが少々激しい。姉は打たれた薬が媚薬だと喚いていたが、あの薬にそんな効力は無い。自分達が逃げ出さない為の、喰種捜査官がよく用いる抑制剤。

 つまり、この場に存在する者達のいずれかが、喰種捜査官、あるいは喰種対策局(CCG)と繋がりがあるかもしれないという事。当たり前のように、軍人達が鞄から出すのを目撃しているナシロ。相手は想像より巨大なのかもしれない。

 部屋に居る者達は皆、ピエロ面以外は女とまぐわっている。ただ、全員の視線だけは強姦魔と姉に注がれていた。一際甲高い姉の嬌声。激しく震える姉の肢体をみつめながら、自身も昂揚しているのか、ショーツに滲む、何かが伝うような感覚。姉が犯され達する姿を見て、性的興奮を覚えたのだろうか。

 

 ふと、ナシロは馬鹿らしくなって、小さく鼻で笑う。何にせよ逃げ出すことは現状不可能。

 

 ならば――

 

 「聞こえてますか?」

 

 次は貴女の番ですと、逞しさを感じさせ、赤黒く輝く肉棒を見せ付けながら男が語りかけてくる。眼前のソレから漂う、姉が出したアイエキと、彼が出したセイエキの混ざり合ったような匂いが、ナシロの鼻腔を刺激する。嫌な匂いではない。むしろ――

 

 「……」

 

 側で横たわる姉。その秘部。そこから少し桃色に変わっているアイエキとセイエキの混合液が、とめどなく溢れている。はじめてを散らし、一人前の牝になったクロナ。辺りからも性的な匂いが漂ってくる。頭がどうにかなりそうだ。そう思いながら肉棒へ視線を戻す。

 牝と雄が交尾した臭い。ソレに当てられたのだろう。身体が火照っていくのをナシロは感じた。何もかも、どうでもよくなってくる。姉を連れて逃げ出す事はあきらめた。いつの間にか、この場から消えた嘉納。見捨てられたのだろうか。逃げ場なんて無い。

 

 「……聞こえてる」

 「続きをしましょう」

 「……」

 

 眼前で清々しいほど、逞しく肉棒を勃起させ、子供のように瞳を輝かせている。どこかチグハグさを感じさせ、悪意や敵意の欠片も自分達に見せない強姦魔。ただ純粋に、自分達と交わりたいだけなのだろう。他意はおそらく無い。この場に存在する者達の、誰よりもわかりやすい存在。

 

 今(、)だけは、この火照っていく身体に素直になってもいいかもしれない。眼前の男を懐柔するチャンスでもある。

 

 ナシロは男と向かい合う。着ているフードが男の手によって脱がされ、素肌が露になった。雪のように白く、10代特有の張りがある肌は、しみ一つない。細く華奢な脚は白いストッキングで覆われていて、誰もが無垢な少女としか形容できない。

 ストッキングを少々乱暴に破りながら下着を慣れた手付きでずらしたり、外していく男。大きくは無いが、品のある美しい乳房。薄い桃色の乳首。使い込まれていない、寧ろ未使用の証とも言える乳首と変わらぬ美しい色をした蜜壷。どれもこれも、一級品どころか最高級の品。

 ほう、と男は無意識に言葉を漏らす。まるで芸術品。少女特有の穏やかな曲線美が、極上の肢体が、彼の視界を離さない。ナシロは緊張しているのか、身体が少しこわばっている。

 

 彼は、そんなナシロの緊張をほぐすように、小さな陰核を指で優しくほぐしながら、身体を褒める。他者から、まな板等馬鹿にされた事はあるが、褒めちぎられる事は無かったナシロ。陰核に触られる感覚と同じように、こそばゆさを感じる。

 色々と囁きながら彼は、ナシロの乳首へ顔を近付ける。汗の匂いとミルクのような甘い香りが混ざったような、少女らしい匂いが、導くように漂う。しゃぶりつくように男はナシロの乳首を舐めだす。

 

 「ん……」

 

 少しくすぐったそうな声をあげるナシロ。彼女が男の表情を見れば、赤子が乳が欲しくて、必死に舐めて吸っているように見えて、少々おかしくなって口元を歪める。まるで彼を馬鹿にしているかのような表情だ。

 まだまだ余裕がありそうなナシロだったが、彼からもたらされる緩やかな刺激は、確実に彼女を快楽へと導こうとしていた。薄く淫らに染まる頬。徐々に荒くなる呼吸音。いやらしい水音。蜜壷から少量ながらも蜜が顔を覗かせる。

 

 「んん……ふっ」

 

 姉のように嬌声はあげないものの、静かに感じてはいるようだ。男はナシロの表情を見遣る。まだ余裕そうだ。不敵にナシロは笑っている。身体の緊張はどうやらほぐれたようだ。彼は一旦前戯をやめる。ナシロの拘束されている脚の間に身体を通しながら、表情を見ながらいたしたいのか前から抱え、そそり立つ自身の肉棒へと彼女を落とす。

 

 「ぐっ……!」

 

 はじめて味わう感覚に表情が歪むナシロ。前向きに男へ跨っているような体勢。姉のアイエキと、男のセイエキが混ざったモノでコーティングされた肉棒が、彼女の中へ侵入する。少量の赤い汁が肉棒に垂れていく。はじめてである証。

 程よく温まった彼女の蜜壷と肉棒が卑猥な音を静かに立てている。結合部分を惜しげもなく、まるで周囲へ見せ付けるように。ゆっくりと、肉棒が蜜壷へ収まる所を観客へ見せるのだ。ナシロは苦しそうにしながらも、恥ずかしげな仕草をする。

 彼女の膣内に半分ほど肉棒が収まる。そこで彼は一旦動きを止める。

 

 「きついですか?」

 「はぁ、ぐっ、はぁ……」

 

 苦しそうにしながらも、ナシロは問題ない。寧ろ思っていたより楽だと答える。まるで焼けた鉄棒で、お腹を抉られているかのような異物感を、彼女は感じているのだが、表面上はあくまで余裕そうに。今はヒトの無垢な少女と変わらないナシロ。感じる痛み。強がりながらも、額に脂汗がにじむ。

 

 「苦しそうですが?」

 「……さっきから……何なの?」

 

 クロにしたようにやればいい。挑発するような言葉、態度。自身の代わりに犯された姉に、罪悪感でも感じているのか。汚された姉と同じ目にあおうとしているようにも見える。少し自棄になっているナシロに当てられたのか、肉棒自体が意志を持っているかのように、更に怒張し熱くなる。無理矢理膣内を、自分のサイズへ馴染ませる為広げているかのようだ。

 まだ大きくなるのか。ナシロから余裕の色が消える。少しだけ怯えの色が瞳に彩色される。

 

 「では、遠慮なく」

 

 男はしっかりとナシロを見つめたまま肉棒を奥へ、奥へと進める。

 

 「あぐっ、ぐ……」

 

 苦痛に歪む表情を隠せなくなるナシロ。男は心配しているような表情を浮かべながらも、肉棒を膣内へ進める事をやめようとはしない。大丈夫だと少女が言っているのだ。途中でやめるなど、彼女の決意を穢す事になる。少女の身体を汚す事には、後ろめたさを感じないのか、それとも、少女の身体を己で汚す事が当たり前なのか。男はナシロを犯すこと自体には、罪悪感の欠片すら持っていないようだ。

 

 彼女の表情すら興奮する材料と、肉棒がはち切れんばかりに怒張する。

 

 そう、無垢な少女のはじめては一度限り。激しくいただくのもイイが、じっくりと味わうのも乙なモノ。痛みを我慢しながら、もがくような動き。苦しみを耐えるような少女の表情が、より一層、彼の昂ぶりを誘うのだ。ナシロにとっても、それは違わない。痛みが、快楽の扉をこじ開ける鐘のように。彼女は痛みと共にくる気持ちよさと、昂ぶりを少しずつ感じていく。

 

 「ぐ、あっ……ひぁ……」

 

 ナシロは苦しそうな声を漏らしながらも、時折痛みとは違う、快楽のようなモノが混じっている事を知覚する。姉が媚薬を打たれたのではないかと、困惑するのは仕方が無いと思った。これは抗えない(、、、、、、、)。女を悦ばせる為に産まれたのではないか。そう思えるほどに、眼前の男はナシロの快楽へのスイッチを、順序良く一つ残らず押していく。

 知識はあるものの、自慰すらした事も無く、絶頂経験すら無いナシロでさえ、迎えた事の無い頂へと導こうとでも言うのだろうか。性に関して無垢な少女は、男の丁寧で、みだらな責めを受け続ける。乳首を舐めていたかと思えば、腋まで舐めてくる。首筋、頬、耳すらねっとりと。

 

 「う、ぐっ……はうっ……」

 

 姉と違い、溢れ出る程ではないが、アイエキが太ももに滴る。ナシロの額から頬へ汗が流れ、彼はそれすら舐め取りながら、肉棒を彼女の膣内へとゆったり挿入する。気持ち良さそうに男が肉棒を抽送する。規則正しいリズムで、まだ慣れていない膣を広げるように穏やかに。けして膣奥まで力尽くで広げたりはしない。痛みが和らぐよう、快楽を与えながら、少しずつ丁寧に。

 

 「くっ、ううっ、はあ……」

 「やはりきついですね……初物は、それに少々滑りが悪い。少し増やしますか」

 「はぁ……くっ、え? ひっ、ひぁ……」

 

 男は言うや否や、蜜壷の浅い場所を、激しく肉棒で擦り付ける動きをみせる。浅い場所ならば痛みはほぼ無い。どちらかと言えば気持ちが良い。ナシロは艶やかな声を漏らす。男はナシロに断りも無く、勝手に射精する。

 まるで観客達に見せびらかすように。浅い場所で白い液体を吐き出すのだ。当たり前のように膣内へ出す男に対し、少々文句を言おうと思ったナシロ。だが彼はナシロが文句を言う前に体勢を変える。ソファーへ寝かしつけ、邪魔だと言わんばかりに、彼女の両脚に付けられたカフを千切る。最早役目は果たし、用は無い。

 

 両脚が自由になったナシロだったが、自由に動けずに居た。ナシロの脚を広げ、男が圧し掛かるように、彼女へともたれ、セイエキを潤滑剤代わりに肉棒を奥へと進めるからだ。射精した肉棒が衰える事も無く、大きさを保ったまま、抽送が再開される。

 喋ろうとするナシロの口を彼は口で塞ぐ。唐突に口付けされたナシロは、抵抗しようとも思わないのか、なされるがままだ。男の絶対に逃さない意志と、確実に孕ませてやろうという意志さえ感じさせる、穏やかでいて雄大なピストン。

 

 「んぷっ、んむっ……」

 

 部屋に響く水音も大きくなっていく。間近で見る男の瞳。まるで子供が宝物を見つけたように、光り輝いている。ナシロは不思議なモノを見てしまったように、男の瞳に引き込まれた。痛みというノイズに紛れ、快楽が少しずつではあるものの、確実に彼女の中で広がり続ける。呻きのような、艶声のような。二つが混ざったような音がナシロから漏れる。

 肉棒が再び欲望を出そうとしているのか、大きく伸縮する。蜜壷内が男の肉棒をきつく締め上げる。深々と膣奥へと肉棒を突きつけると、彼はたまらず二回目の射精を迎える。

 

 「むぐぅぅうう!?」

 

 膣内へ吐き出される欲望は先ほどの比ではない。勢い良くほとばしるセイエキは、ナシロが知覚できるほど凄まじい量でもある。彼の欲望は、子宮口へ叩き込まれるように子宮内を満たし、勢いを止める事無く、入りきらないセイエキが膣口まで逆流する。普通じゃあり得ない。すぐさま二回戦へと続ける事も、射精する勢いも量も、常人では真似できない。 

 そんな魂をこめた射精(con anima)をナシロは受けている。その刺激は嫌なものではなく、寧ろ心地よい。痺れるような何かが、解き放たれるようにナシロの中で弾ける。はじめての絶頂は小さいものの、心地よさからか、一瞬ではあるが、頭が真っ白になったような気がした。

 はじめての中イキを体験したナシロだったが、男は止まる様子が無い。肉棒から放たれるセイエキは落ち着きをみせたものの、彼自身が止まらない。泡立つ溢れ出たセイエキと少量のアイエキ。

 

 「んぐっ、んむっ!?」

 

 何度出す気なのだろうか。息を整えながらも、呆れたような視線を眼前の男へ向けるナシロ。彼は真剣な眼差しでナシロを見ていた。再びナシロを犯しはじめた男へ、待ったをかけるように何者かがぶつかる。

 

 「やめろっ! 今すぐシロから離れろ!」

 「……ん?」

 「んぷっ……クロ?」

 

 先ほどまで気を失っていたクロナが、男の蛮行を止めようとしていた。その瞳は憎悪で滾っている。視線でヒトを殺せるくらい、きつい眼差しを男へ向けるクロナ。

 

 「ああ、申し訳ない! 貴女の相手もしましょう」

 「なっ、違っ……んんぶぶぶっ!?」

 「……」

 

 滾っているのはクロナだけではない。男も滾っていた。口調こそ丁寧なままだが、行う動作が猛りを隠しきれていない。ぶつかって来たクロナへ触手を伸ばし、クロナの身体に巻きつける。乳首や陰核へ這わせたり、口へも突っ込む。何を思ったのかナシロに圧し掛かるのをやめて、姉妹を上下に向かい合わせるように、クロナをナシロの上へと乗せた。

 姉妹を同時に犯すつもりなのだろう。暴れるクロナを触手で固定し、男が犯しやすい位置に並べられる。男の肉棒がアイエキとセイエキを垂らしつつ、クロナの蜜壷へ再び侵入する。クロナは複雑そうな瞳で自身を見つめるナシロに、申し訳無さそうな表情。助けてあげられなくてごめんねと言っているようにも見える。

 

 彼はクロナの尻を叩く。急に乱入してきた事への、お仕置きだとでも言うのだろうか。尻を叩かれる度に、苦痛に歪んだ表情をみせていたが、繰り返すうちに、クロナからくぐもった嬌声が上がる。クロナの尻肉には桃色の手形が付いている。まるで男が施す、自分のものだという印(サイン)。

 

 ナシロは最早どうでもよくなっていた。なるようにしかならない。せいぜい強姦魔の機嫌を取ろうかと思うくらいだ。諦めの色をみせる妹に、やるせない気持ちが広がるクロナ。触手で乳首や陰核を愛撫され、抽送される肉棒を忌々しく感じる。同時に尻を叩かれ、嬉しそうにひくつく、自身の性器に嫌気が差す。まるで何かに負けたような敗北感。

 

 「ぐぶぶっ、んぶっ! ぶぶっ、ぐぶぶぶっ」

 

 やめろ。離せ。糞野郎。言葉にならない怨嗟の声。意志が噛み合わない男とクロナ。分かり合うのは性器だけで良いとでも言いたげに、彼は黙って肉棒を突き動かす。悔しそうに涙を流すクロナ。上から落ちてくる姉の涙に、何か言おうとしたが、気休めにもならないだろうと思ったのか、言葉を引っ込める。

 クロナが何かを喚こうが、絶え間なく肉棒を抽送する男。肉と肉がぶつかり合う音が、淫らな水音と共に響く。肢体が痙攣し、呻くような低い声を出すクロナへ射精したかと思えば、今度はナシロへ。うな垂れ、悔しそうにしているクロナ。そんな姉を見て何故か気持ちが昂ぶるナシロ。いやらしく蠢く触手が、粘着質な音を立てつつクロナを責め続けていた。

 

 ああ――姉が犯される所を見て興奮するなんて。

 

 なんて罪深き妹なんだろう。まともな思考ができなくなったナシロは、妙な感覚を覚える。そんな思考も肉棒によって塗りつぶされる。苦しさしか感じなかったソレは、いつしかノイズが止み、快楽だけを感じさせるモノになっていた。姉妹が奏でる甘美な鐘の音が部屋に響き渡る。

 男は姉妹を犯し、気が昂ぶっているのかクロナのニーソを、片方だけカフごと乱暴に脱がし、足裏を舐め始めた。無造作に捨てられたニーソは天高く舞い、観客達はニーソを求め走り出す。まるでハイエナのように、軍服男やサムライ、老紳士が我先にと。ニーソは軍服男が手にした。嬉しそうに掴んでいる。サムライと老紳士は悔しそうだ。

 

 気分が高まろうが観客へのファンサービスを欠かさない、強姦魔なりの、ちょっとした気遣いなのだろうか。彼は夢中でナシロの膣内を肉棒で味わいながら、クロナの足裏を堪能している。男はまたナシロへ射精した。蜜壷から滂沱(ぼうだ)のごとく流れゆく白濁液。強制的に覚えさせられる、中イキ。子宮内を染め上げるように、頭の中すら白く染める。

 

 だが、まだ終わらない。次はクロナを下へおろし、ナシロを触手で持ち上げ上にする。クロナの口から触手が離れ、今度はナシロの口へ触手が入り込む。ナシロの膣内に入っていた肉棒は、再びクロナへ。

 

 「んひっ、れったい……こお……す……」

 

 クロナから漏れる声。口腔は疲れと、触手から吐き出された液体で満たされていたのだろう。呂律が回っていない。何度出そうが肉棒は衰えず、寧ろより硬く、逞しくそそり立つ。クロナの膣内からは、止め処なくアイエキとセイエキが溢れ、そんなクロナに応えるように、男も肉棒を強く抽送する。蕩けきった蜜壷と同じように、クロナの表情は憎悪から、涎を垂らし、だらしのない顔に変わっている。

 

 「あっ、ひぁ……シ……ロ、みない……れ……」

 

 姉の痴態を間近で見て、恥ずかしさと共に昂ぶる何か。蕩けた姉の瞳から見える、艶色を映す自身の瞳。姉に申し訳ないと思う気持ちと、興奮し、昂ぶる自身の瞳を見られたくないのか。ナシロはクロナから視線をそらす。

 

 「やめ、ひぁぁっ! そお……ちがっ、ひぎっ!」

 

 姉妹の尻にも触手は這い寄る。肛門にも細い触手が侵入してくる。まるで楽器を調律するかのように、ゆっくりと這い動く。彼は彼女達の表情など見ずとも、感じているかは、肉棒や触手で繋がった場所から伝わる動きでわかるのだ。

 

 「ひぃにゃぁぁぁぁああああっ!」

 「ぐぶっ、ぶっ。ぶぶぶぶぶっ!」

 

 何度も、何度も膣内で出す男。出される度に痙攣するかのように、身体が震え、絶頂を迎える姉妹。

 

 「あひっ、んひっ、ひゃ、め……」

 「ぶっ、ぶふっ!?」

 

 クロナとナシロ。両方の膣内をセイエキで満たす。満たすどころか溢れ、ソファーベッドに水溜りのように垂れている。膣内はもう十分。身体にもかけてやろう。男は姉妹を性器が重なり合うほどくっつけ、蜜壷と蜜壷の間に肉棒を挟む。

 

 陰核が肉棒で刺激され、中イキとは違う絶頂を彼女達は迎える。叫ぶような声と、くぐもった低い喘ぎ声。姉妹を上下変えながら続ける、淫らでいて、美しい旋律。

 仕上げと言わんばかりに男は、クロナとナシロへ射精する。彼女達の美しい肢体に白化粧。肉棒から飛び散るセイエキが、白く彼女達を這うように染め上げる。

 

 それは他の少女達で奏でる音よりも完成された――美しい姉妹丼(三重対位法)による淫らな調べ(フーガ)。

 

 気付けば観客達は呆然と見ているだけだった。誰も口を開かない。ピエロで素顔を隠す二人も、軍服男も、サムライも、老紳士も、皆股間を隆起させ、ただ静かに涙を流していた。

 

 「あ、あぁ……」

 「ひぁ……」

 

 クロナは意識が朦朧としているのか、涎を垂らし、憎まれ口すら叩かない。ナシロも余裕そうな表情など何処かへ吹き飛び、蕩けた表情で男を見つめている。ナシロの瞳は艶めいていて、それでも尚、何かを訴えるような、言いたい事があるが、この場では言えない。複雑な視線を彼女は彼へ向ける。少なくとも行為による文句の類ではない。

 様々な色が混ざった瞳で、強姦魔を見遣るナシロ。彼女の瞳に応えるように、彼は貨物室から彼女を別の場所へ連れて行く事にした。

 

 「……撮影会は終了です。少し延長戦をするので」

 

 双子は持っていきます(テイクアウト)。そう言い残し、彼は倒れているクロナを触手で持ち上げ、ナシロを抱えながら挿入し、頷きながら貨物室を後にした。

 

 

 

 クロナをミザが寝ている部屋へ放置し、ナシロにフードを着せ、甲板に移動した強姦魔(レイパー)。乗客達は皆、客室で寝ているような深夜。冬の到来を告げるかのような風。熱く火照った身体を少しだけ冷ますには、丁度いいのかもしれない。身体が繋がったまま彼らは、少し冷たい風に当たる。

 天使のような像がある場所で、周りには見えないように、彼らは隠れるように言葉を交わす。

 

 「どうして私だけ」

 

 連れて来たの。ナシロは首を傾げながら問う。

 

 「貴女が何か言いたそうだったので」

 

 あの場では言い辛い事なのでしょう。まるで見透かしたような物言い。姉を置いてきた事といい、彼は察し(、、)がいい。ナシロは思わず、少しだけ笑ってしまう。

 

 「察しの悪そうなバカに見えたのに」

 「馬鹿に見えるのなら、馬鹿なんでしょう」

 「……ううん。違う。バカは自分をバカだと認めたりしない」

 「どうでしょうね。底抜けの馬鹿かもしれませんよ」

 

 馬鹿にされ、自分は馬鹿だと認め笑う者。否定し反論する者。ナシロは前者にはなりたくは無い者。では、強姦魔はといえば両方違う。美少女が馬鹿と言えば、馬鹿だと肯定するだけで何も(、、)思っていない。そもそも美少女(、、、)以外とは会話すら成り立たない事すらある。話を聞かない。ある種自分の世界で満たされ閉じている。

 

 そんな彼へ、何かを切実に訴えたい色を映す瞳。切なる色が彼を引き込む。

 

 「……話、聞いてくれる?」

 

 彼はじっとナシロの瞳を見つめた後、無言で頷く。

 ナシロは静かに語り始める。身の上話を。かつて、裕福な家庭で生まれ、今乗っているような船にも小さい頃、乗ったような覚えがあると。姉と、父と、母と四人で。最早顔すら思い出せない両親。うろ覚えの記憶。それでも彼女にとって、とても大切な記憶。

 今みたいな服じゃなくて、もっと可愛い白いワンピースに、白い帽子で。あまり遊んでくれない両親と、家族そろってのお出かけ。無論、父の仕事のついでだが。

 

 「クロと、かくれんぼみたいな事してたんだ」

 

 姉と船で遊んでいる時、被っていた白い帽子が風で飛んでいってしまう。帽子を追いかけて甲板を走っていると、眼前で飛んでいった帽子を捕まえてくれた少年が居た。自分より年上で、緑色の髪で丁度強姦魔を小さくしたような、そんな少年。ぱっと見、質素だが品質の良さそうな衣類(ブランド)を着ていて、自分達と同じように裕福な家庭の子なのだろうと思った。

 少年はナシロを見遣ると、すぐ帽子を渡してくれた。感謝を伝えようと、少年と目が合う。その少年の瞳は、とても澄んでいて、綺麗だった。まるでこの世界全てが宝物。視界に映る全てが、綺麗なモノに見えているような、そんな瞳。

 瞳に心を奪われた彼女の顔へ手を伸ばし、ナシロを綺麗だと呟く。唐突に手を伸ばし、顔を触りながら言うものだから、驚きつつも顔が火照っていくのがわかった。少年が何か言葉を続けようとした時、クロナ(姉)ではない黒い髪の少女が、派手なドレスをなびかせ少年に飛び掛る。口元をマスクで覆った、自分と変わらない年頃の少女。風邪でも引いているのかもしれない。そんな少女が少年に掴みかかるのだ。もしかしたら、自分達と同じようにかくれんぼか、おいかけっこをしていたのだろう。

 

 結局少年は黒い髪の少女に、追い掛け回されるように過ぎ去っていった。無論名前も知らなければ、顔も覚えていない。ただ、瞳だけが印象的で今でも覚えている。

 

 「何でかな……今思えば、お前と、同じ瞳に思える」

 

 そんな訳無いのに。生きていれば、眼前の男よりも大きな身体に、いい歳の大人になっているだろう。ナシロはやるせない笑顔をみせながら、寂しそうに笑う。

 ふと、ナシロは男の顔を見遣る。彼は何か奥歯に引っ掛かったような、苦いものでも噛んでいるのか、悩ましげな表情でナシロを見ていた。

 

 「何? 子供扱いされて怒ってるの?」

 

 小馬鹿にするように、彼に笑いながら声をかけるシロナへ、困ったような笑顔を返す彼。

 

 「……ああ、いえ」

 「何でだろう……こんな話、お前にしても、あの頃には戻れないのに……」

 

 唐突に誰かに言いたくなった。ナシロは寂しそうな瞳で呟く。

 

 「時々ね……」

 

 自分はもう生きていないんじゃないかと、思ってしまう時があると。

 この世界に、もう自分達の居場所なんて無いんじゃないのかと。おぼろげな記憶を夢で追想したり、懐かしんでは、現実(今)に彼女は押しつぶされそうになっていた。

 父親代わりの存在は、一応最低限親をしてくれているが、時折感じる、観察するような眼。自分達を実験動物か何かだと、見ているような瞳。そんな視線をよこす時がある。

 ナシロは苦手だ。そんな瞳を見ても、何も感じない自分が。己が壊れていると、自覚させられるようで。半喰種となってしまった自分。身体と同じく、心までバケモノと同じになってしまったのだろうかと。

 

 「……心がね、壊れてるのかも」

 

 壊れたような笑顔を浮かべ、儚げな瞳でナシロは自嘲する。

 

 「私、生きてるのかな……」

 

 生きてる実感が希薄だと。ナシロは彼へ小さく零す。

 

 「お前も、そうなんじゃないかなって……思ったんだけど」

 「……」

 「違う……よね」

 

 本当に大切な者(クロナ)には、言えない。もしかしたら、クロナも自分と同じ苦しみを抱えているかもしれない。姉に余計な心労をかけたくない。けれど、胸を締め付けるような苦しみを、少しでも吐き出したい。そんな呟き。

 

 「はぁ……バカみたい」

 

 彼女は自身を馬鹿にするかのように、口元だけを歪め笑う。馬鹿だと思いつつも、馬鹿になりきれない、壊れきってしまえない。姉が、大切な家族がまだ居るから。

 そんな不器用な己を自嘲するナシロ。置き去りにした過去に恋焦がれ、心を押し殺す現在を苦に感じる。胸の内からこみ上げてくる、苦しさを誰かに吐きたかった。行き場をなくした感情の吐露。誰でもよかった。それだけだ。深い意味は無い。

 

 「……」

 

 彼に心を許したとか、そういった事ではない。自分と同じように、チグハグに見える彼も、生きている実感が希薄なのかもしれない。自分の思いを少しは、わかってくれるかもしれない。そんな思いは多少あったが、彼の心なんてわからない。思いも、考えも、気持ちも、身体がつながっても理解できない。

 

 身体がつながっても、心なんて、つながるはずないのに。どうして簡単にいかないんだろう。もっと単純でいいのに。もう考えたくない。壊れきりたい。身体が気持ちが良いと感じるように、心も簡単にいかないのだろうか。

 

 ――彼女が願うは、久しく感じなかった束の間の安らぎ。

 

 「ねぇ……なんでかな……」

 

 誰に問うでもなく、自然と、こぼれゆく小さな声。猫が見上げる空を、ヒトは理解できないように、彼女が見上げる空と同じ景色を、男はみる事ができない。

 

 「この空みたいに、綺麗に……」

 

 なりたい。雲ひとつ無く、星が輝く夜空を見上げ、心なんて無い方がいいのかもしれない。そんな自棄になったような呟き。追い詰められたような表情を浮かべるナシロ。身体はゼロ距離でも、心の距離は遠い。甲板にある天使の像と重なり、純白の天使が空へ消えてしまう光景を幻視してしまいそうだ。

 

 そんな無垢な少女の、悲痛な呟きに――

 

 「世界に……」

 「……?」

 

 綺麗な瞳が。小さい頃に彼女が出会った、思い出の少年がみせたような瞳で、男は静かに答える。

 

 「世界に居場所を奪われたのなら、奪い返せばいい」

 「……」

 「奪えばいいんですよ」

 「どういう……意味?」

 「貴女が奪う側になればいい」

 

 それが当たり前と言うように。壊れきれない。追い詰められながらも姉を想う、心優しい少女をたぶらかすように。優しさで守れるモノなど――この世には存在しないと。そう教えるように。

 

 「できる……かな……」

 「簡単ですよ」

 

 純粋な瞳で、そう嘯く。

 

 「本当?」

 

 小さい子供のように聞き返すナシロ。止まっていた彼女の時間が、動き出したかのように瞳に光が少しだけ戻る。それに応えるように、止まっていた腰の動きを再開する男。

 

 「んんっ……人が真剣な話をしてるのに」

 「いや、つい……」

 「お前なんかに話した……私が馬鹿だった……」

 

 侮蔑する視線(ジト目)を男に向けるナシロ。そんな冷え切った少女の心を、身体から暖めようとでもしているのだろうか。彼は再び彼女の蜜壷を味わうような動きをみせる。

 

 「お前なんか……」

 

 死んじゃえばいい。呆れているような声色でナシロは男に小さく抵抗する。空へと消えそうだった純白の天使を、離さないと。そう言わんばかりに彼はしっかりとナシロを抱きしめる。

 ナシロが小さな抵抗をみせようと、男は特に気にした様子は無い。ナシロの言葉へ返した言葉も、もしかしたら反射的に返しただけで、冗談なのだろうか。

 

 ただ一つわかる事。彼は――彼女を求め、ナシロは呆れながらも相手をしている事実のみ。

 

 ナシロの目的だった懐柔は出来ているのだろうか。仮に懐柔できていたとしても、彼女の思い通りに男を動かす事は困難を極めそうだ。

 

 彼女が真に求めていたのは――欲しかったのは、ほんの少しの温もり。ただ、それだけだったのかもしれない。

 

 

 だが――叶ったのは刹那の快楽。

 

 

◇◇◇

 

 

 神代利世(大喰い)という女を捜しに、万丈数壱という喰種があんていくを訪れていた。屈強な身体で厳つい風貌である彼は、アオギリの樹が11区を根城にするまで、11区のリーダー的存在だった者。

 今でこそアオギリで使い走りのような役割だが、共に来ているガスマスクを被っている者達から慕われているように、良いリーダーだったのだろう。

 店番をしていたカネキとトーカが万丈の対応をしていたのだが、万丈が何かを勘違いしたのかカネキに突然殴りかかる。カネキは反射的に反撃してしまい、万丈を気絶させてしまった。

 

 万丈を別室で寝かしつけたり、起きた万丈に詳しく事情を聞くカネキ。

 どうも11区ではアオギリという喰種組織が台頭し、喰種捜査官(白鳩)を駆逐して、配下を増やしているそうだ。アオギリにはトーカの弟も所属している。思う所があるのだろう、彼女は考えるような素振りをしながら黙って万丈の話を聞いていた。

 11区の白鳩を殲滅させた後、20区にもアオギリがやって来るかもしれない。逃げて欲しいとリゼへ伝言を頼む万丈だったが、窓を壊し、トーカの弟(アヤト)が万丈を蹴飛ばしながら侵入して来たのだ。

 

 これにはトーカとカネキも驚く。対するアヤトは、まるで何かに対して焦っているかのような様子。

 

 「アヤト……」

 

 トーカは久々に再開した弟に対して話しかけようとするが、アヤトと呼ばれた彼女の弟はカネキを睨みながら、何かしようとした。その矢先。

 あんていくの客が勝手に従業員用の部屋にやって来た。屈強そうな男とオネエ系のような男がカネキを見つけ、ビンゴとでも言いたげだ。アヤトは苦虫を噛み潰したような、何とも言えない顔になる。

 リゼ、あるいはリゼの匂いがする者をアオギリは捕獲しようとしている。とっとと連れて帰りましょう。オネエ系が発する言葉に戦闘態勢になるカネキとトーカだったが、勝手を振舞えるのが強者の特権とでも言うのだろうか。トーカやアヤトを無視するように力尽くで、カネキをあんていくから拉致するのであった。

 

 「タタラさん。リゼ持ちは捕まえました」

 

 建物の屋上で何者かと連絡を取り合う屈強そうな男。

 

 「はい? あぁ、そっちの方はまだ足取りも掴めていません」

 

 飛ばしの携帯片手に事務的に報告する屈強そうな男。大守八雲。ヤモリともジェイソンとも呼ばれる、13区の強者。コクリアに収監された過去を持つ。食より遊で人を襲って殺す所がある。少し変わった喰種。

 彼は少しだけ口元を歪めながら、嘘の報告をする。本当は情報が入ってきている。だが報告なんてしない。する訳が無い。

 

 「あら、報告しなくていいの?」

 

 オネエ系の男がヤモリへ忠告するように話しかけるが――

 

 「僕はね、彼(、)の情報なんて知らないし、部下も知らない」

 「そう……」

 

 アオギリの樹でリゼやリゼ持ちを探す命令の他に、とある喰種の探索命令も下されている。下されているが、ヤモリは命令に従わない。部下達が品川区付近で、対象である喰種に似た者を見かけたという情報を彼は握りつぶした。

 

 「……」

 

 彼はコクリアに送られた過去を持っている。担当した捜査官が、少々変っていて、拷問される日々を送り続けたのだが、彼の眼が死ぬことは無かった。

 

 捜査官に拷問されるより過去に、少なからず影響を受けた、ある出来事を思えば、捜査官の拷問さえ可愛く見えた。ヤモリは13区で頭角を現すよりも昔に、体験したアレを懐かしむ。

 

 それはとある喰種が13区で行った無差別強姦――人間も喰種も関係ない。園児だろうが、小学生だろうが、中学生だろうがお構いなしの存在を見て、感銘を受けたからに他ならない。

 止めようとする警察官(人間)、喰種の男共を、ただ触手を振り回すだけで戦闘不能にし、見せ付けるように犯し続ける。ヤモリも戦闘不能にされた男の一人だった。

 

 何を勝手に自分の縄張りでやっている。ヤモリは当時、敵愾心しか持ちえていなかった。殺気が篭った視線を、好き勝手にヤっている喰種へ向ける。

 だが、そんなヤモリも眼中に無いのか。とある喰種はお構いなしに犯し続けるのだ。

 

 泣き喚く子供を、少女をいつのまにか悦楽に歪んだ表情へと変えていく。少女を犯しながら片手間に襲ってくる男喰種を蹴散らしている。辺り一面に触手のような赫子。喰種にも相性というモノがあるのだが、そんなモノは関係ないと。まるで質量の桁が違えば相性など意味を成さないとでも言うのか。

 羽赫持ち、甲赫持ち、鱗赫持ち、尾赫持ち。男喰種達はそれぞれ13区でも強者の部類であったが、完全に無視された挙句、横たわるハメになった。触手から吐き出される白い液体が辺りを淫らに照らす。性による匂いが漂う。まるで世界はヤリ部屋だと語っているような気がした。

 

 ――ああ、本当の強者は戦闘に興味すら無いんだ。

 

 ヤモリは少し歪んだ強者観を、とある喰種に植えつけられた。それは何年経っても色褪せない性の旋律。暴力のみによる蹂躙など二流。圧倒的な暴力と性によって屈服させるのが一流の強者だとヤモリは教えられたような気がした。

 収監され、拷問を受けても精神が弱らなかったのは、もしかしたら――とある喰種の行動に起因するのかもしれない。

 ヤモリは捜査官の隙を逃さず拷問部屋から脱走する。ヤモリが脱走した部屋からは、栗の花、あるいはイカのような臭いが充満していたと、脱走を発見した喰種捜査官は後に語る。

 

 

 

 

 金木研はアオギリの構成員であるヤモリという男に拉致られていた。

 ヤモリがカネキをアオギリのアジトへ運ぶ。アジトで下っ端がやる仕事をカネキは手伝わされた。食料を加工する手伝いなどをさせられたり、普通に生活しようとしていたカネキにとって、とてもショックな事ばかり。常に側に居てカネキに気を遣う万丈が心の支えだった。

 カネキを見たアオギリの幹部であるタタラは、カネキが隻眼の喰種である事を加味しても要らない模様。幹部達に好きにしろと言い残し、その場を後にした。ならば自分が貰おう。人工物であるものの、この珍しい隻眼の喰種(金木研)で遊ぶのだ。

 カネキは気が気ではない。色々と気を遣ってくれた万丈一派や、アオギリのアジトで、反アオギリの喰種達と知り合い、共に脱走を図る。逃走中にアオギリの構成員に見つかり、戦っていたカネキ。だが、ヤモリには勝てなかった。カネキはヤモリの捕虜となる。

 

 カネキが連れてこられたヤモリの隠れ家。部屋には拷問器具のようなモノが大量にある。これから自身に使うつもりなのだろうかとカネキは顔を青くするが。

 

 「ああ、アレを君には使わないよ」

 「……」

 

 怯え黙るカネキに、こっちを使うと取り出したモノは――

 

 「えっ……」

 「君には僕のコレを使う」

 

 とある喰種には性的な技術。とある捜査官からは拷問の技術を学んだヤモリは、変わった拷問方法を思いつく。カネキは拷問を受ける事になるのだが、それは身体的痛みよりも、精神的痛みに拷問されると言った方が正しい拷問。ヤモリから拷問を受ける度にカネキの精神が磨り減っていく。

 気が付けばカネキの髪は拷問によるストレスからか、黒色だった髪が全て真っ白に変わっていた。髪色が変わり、身体中赤と白の液体塗れになったカネキと、部屋から漂うイカ臭い香り。例え現場を見ずとも、惨たらしい拷問が行われた事は明白だ。

 

 「今日はちょっと趣向を変えてみよう」

 

 あまり反応しなくなったカネキに、ヤモリは口元を歪めながら語りかける。

 

 「なっ……」

 

 驚いた様子でヤモリが連れて来た人物達を見遣るカネキ。

 

 「父親と子供どっちを拷問する(犯す)か」

 

 選べ。そうカネキに宣告するヤモリ。連れて来られた親子はカネキにとって顔見知りであり、逃がそうとした喰種でもあった。何故逃がされていない。約束は。色々な疑問が浮かぶが、それよりも他者を犯すという行為に忌避感が湧き上がる。どちらも選べないカネキ。自分を犯せとヤモリに言い出す始末。自己犠牲の精神は尊い。

 しかし、この場に置いてはソレは場違いで間違いだ。ヤモリは少々不機嫌そうに子供の前で父親を犯そうとする。だが、そこに待ったをかける声。オネエ系の男が部屋にやって来た。

 

 「ヤモリ」

 「……あ?」

 「子供の前で父親を犯すなんて、いくらなんでも可哀想よ」

 

 何の真似だニコと、怪訝そうな表情のヤモリ。ニコと呼ばれたオネエ系の男は、ヤモリに悲しそうな瞳で静かに語りかける。

 もしかしたら、止めようとしてくれているのかもしれない。カネキは希望の篭った瞳で待ったをかけたニコへ視線を向ける。

 

 

 だが――

 

 「仲間はずれは良くないわ。私も入れて5Pよ」

 

 カネキは頭の中も真っ白になった。

 

 

◇◇◇

 

 

 強姦魔(レイパー)が去った後の貨物室。先ほどまでの喧騒が嘘のように静まっている。

 ピエロの二人組は既に部屋から去っている。この場に残っているのは12区の代表格と捕虜であるVという組織の者達のみ。

 彼らは強姦魔が居る時と違う雰囲気を醸し出していた。

 

 「どう落とし前をつける」

 

 軍服男が捕虜を見遣りながら静かに語りかける。

 

 「男なぞ要らんだろう。捨てるか返したらいい」

 

 まるで利用する価値すら見出せないとでも言いたげに、老紳士は静かに返す。

 

 「ただ返すだけではつまらぬ。お館様の顔に泥を塗ったのだ」

 

 淡々とサムライヘアーが言葉を返す。

 ここに強姦魔が居た時のように、表情豊かに話したりする者は誰一人として存在しなかった。人間、喰種の裏社会、その重鎮達が裏の顔を覗かせる。

 強姦魔の懐刀を自負しているサムライは淡々と己の考えを二人へ語る。

 

 「ご大層に懐刀を気取ってんのか知らねぇが、妖刀の類いじゃねえかお前」

 「……忠誠心の欠片も無いお主が拙者を愚弄するか」

 「忠誠? ハッ! そんなモンあの人は求めてねえよ……ヤんのか? いいぜ、かかってこいよ」

 

 刀身を覗かせ、鋭い視線を軍服男へ向けるサムライ。立ち上がり首をほぐしながらサムライを睨む軍服男。険悪なムードが漂いはじめる。そこへ待ったをかけるように老紳士が言葉を発するのだが。

 

 「やめぬか……あやつがおらんとすぐこれだ……」

 「アンタもアンタだぜ。あの人が何も言わない事をいい事に、代弁者でも気取ってんのか?」

 「それについては拙者も同意見でござる。付き合いが長いのは拙者とて同じ、お館様の事を一番わかっているのは……」

 「付き合いの長さなんて関係ねえよ。男はハートが通じたら1秒でも理解しあえる。お前らが一番わかってない」

 

 言い争いながらも二人の矛先が自分にも向かってくる始末だ。老紳士は頭を抱える。

 

 「屈強な身体に似合わず、女々しい台詞でござる。お主もやはりこちら側なのでは?」

 「お前と一緒にすんじゃねえ!」

 

 間違った武士道を持っている彼は、衆道にも目覚めかけている。もしや軍服男も自分と同じかもしれないと言い返すと、違うと激昂する軍服男。更に場が荒れそうになったが、縛られていた黒服、捕虜の一人が目を覚ます。何を言い争っているのかはわからないが、彼は付け入る隙だと思い、彼らへ喋りかける。

 だが、付け入る隙どころか完全に無視である。老紳士はヒートアップし母国語で捲くし立てる軍服男に偉そうに講釈を垂れていた。無駄な争いは強姦魔も自分達も望んでいないだろうと。

 

 サムライヘアーは肩をすくめ、取り出した刀の手入れをし始めた。

 

 彼らを黙らせられるとしたら強姦魔くらいだろう。もっとも、美少女以外に興味が無い彼は、わざわざ男同士の諍いなど関わる事も無く無視するだろうが。

 そもそも彼らは、それぞれが組織の長のようなモノ。誰の指図も受ける気はない。

 

 そんな彼らが一目置いている存在。ソレはどういったモノなのか。

 

 信仰心など欠片も無い人間や喰種ですら、神という存在に触れる事がある。それは圧倒的精力。圧倒的性技。たった一人で数百、あるいは千近く居たであろう男の喰種捜査官を、無視するように戦闘不能にし、並み居る女性捜査官を触手で蹂躙する淫らな神だった。世界の常識を鼻で笑うような蹂躙劇を、彼らは皆固唾を呑んで見ていた。なるほど。ああいった撃退方法もあるのだなと。対喰種組織の人間には、こう対処する事も可能なのだなと。三者三様に感心したものだ。

 だが、彼らは強姦魔(レイパー)に戦闘力を期待しているわけではない。力だけの者など、どうとでも出来るくらいには彼らは狡猾で、長年人間社会に溶け込み、生き抜いてきた強者。だが、誰もが皆、人間との争いに疲れ、辟易していた。母国で何者かに敗北し流れ着いた訳ではない。各々が母国に部下も居れば、ツテもある。彼らは、ほとぼりが冷めるまで、休息ついでに来日していただけに過ぎない。

 

 そんな彼らが注目したのは、性による人間と喰種の共同作業の部分だ。食料としか見ていなかった人間。その活用方法。共存の仕方。

 

 仮に、強姦魔(レイパー)が頭ごなしに命令などする、並大抵の強者(王)だった場合。とっくの昔に暗殺でもされていただろう。もしくはCCGにでも売り渡し、自分達の安全を確保する種にしていたに違いない。

 結局彼は男共や戦闘にまったく興味を示さないまま、ずっと少女の尻ばかり追いかけていた。だがそれは、結果的に強姦魔にとって最良の結果を残し続ける事になる。

 

 彼をずっと見ていたからだろうか。彼らは内に秘められた性衝動を、暴かれるように開花させていく。

 

 ある者はパーティは開催するも、自分は参加すらしなかった。だが、彼を見ては性の悦びに気付き、積極的に参加するようになる。

 

 ある者は食料としか見ていなかった対象。人間の下着。その味を覚え、下着を集める趣味に目覚める。

 

 ある者は制服少女をよく犯していた男を見て、ふと自分が着たら、あんな風に犯されるのだろうかと。倒錯的な思考から目覚める。

 

 愉しさを、悦びを、彼らは強姦魔(レイパー)を見る中、学んだ。例え、嫌がり憎悪の瞳を灯す少女だろうが、お構いなしに犯し絶頂へ導く。その超絶技巧。世界で一番かもしれない性技。まるで啓示のように、彼らへと示す。秘められていた彼らの内なる灯火。その火が再び、性なる炎をくべられ燃やされたのだ。

 強姦魔は、彼らに何か命令をする事も無い。たまにお願いをするくらいだ。あくまで対等に。そんな彼の元へ、ただ自然にヒトや喰種(変質者)は集まっていく。

 

 ――疲れ果て、そのまま影でひっそり閉じる生でいいのか?

 

 口にはしないが、誰もが皆、思っていた事である。

 

 そんな事情など知らないVの者達にとって、彼らは未知でしかなかった。何を目的として12区を巣にしている。何をやらかす気なのだ。まさか全員が徒党を組んでいるとは思ってもみなかった。調べてみれば強姦魔(レイパー)など足元にも及ばないほど、残虐な者達。何故、少女の尻ばかり追いかけるような者に付き従う。

 12区に長く住まわねばわからない。彼らの事情。彼らのライフスタイル。一応は常識を持っているVという組織に属する者。常識という偏見(、、)を持っているが故に――絶対気付く事はありはしない。彼らの望みを。

 

 言い争う音が止む。軍服男が呆れた表情をしながら、馬鹿らしくなったのかソファーに深く座り込む。辟易とした表情で老紳士は椅子にもたれる。ずっとVの構成員が話しかけて居たが無視したまま。捕虜である彼は、呆然と彼らの言い争いを聞いていたが、無視された怒りからか叫ぶ。

 流石に気付いたのか、あえて気付かない振りをしていたのかはわからないが、彼らの視線がようやく捕虜へと向く。何が言いたいのか、言ってみろ。そう言わんばかりの表情で。

 ようやくまともに話せる。Vの構成員が落ち着きを取り戻しながら彼らへ語る。明らかに誰の下にもつかなそうな者達へ。

 

 「何故、あんな子供のような者に付き従う?」

 

 恐らく自分達に言っているのだろう。三人の老王達は同時に鼻で笑う。質問した者を馬鹿にするように。

 

 「小僧に付き従うように見えるのか。まぁ、あながち間違い(、、、)ではない」

 

 明らかにプライドの高そうな老紳士が言葉を返す。だが要領を得ない返事しか返ってこない。孫と遊んでいるようなものだと言い出す始末。

 

 「貴様らは……何なのだ、何が目的だ」

 「下着集めに決まってるだろ。頭湧いてんのか?」

 

 軍服男が心底不思議そうに反応する。何言っているんだコイツは。と、言いたげに。質問者であるVの者には、意味がわからない。まだまともな返事が返ってきそうなサムライヘアーの方へ視線を向け質問を続ける。

 

 「悪戯に秩序の天秤を揺るがす、貴様らの思想は何なのだ……」

 

 黒いスーツコート。Vの構成員は睨みつけながら問う。貴様らは何を目的として、何を主軸として行動しているのかと。

 

 サムライヘアーは質問者へ呆れた眼だけで答える。言葉も交わす価値も無いと言いたげに。常識(、、)が無いのかと。彼らに決まった思想(ドグマ)なんてモノは存在しない。あるとしても全員がバラバラだ。

 異な事を。拙者達にとって重要なのは、快か不快か(、、、、、)。これに尽きる。そう言っているかのように、乳首を弄りながら、自慰に耽っている。まともな言葉が返ってきそうに見えたのは、幻想だったようだ。この中で一番頭がおかしい。時折スイッチをオンオフしているのか、機械が振動する音だけが木霊している。

 

 この世に善悪ほど儚く、脆く崩れるモノは無い。意思を持ち、考える能力がある生物は、どんな聖人君子だろうと、悪逆非道な輩だろうが、両方持っている。その根底にあるモノ。それぞれが産まれ育む価値観から構築されていくのかもしれない。彼らはそういったモノに振り回される事を嫌う。

 

 善が翌日には悪になる事。その逆もよくある事なのだ。歴史が語っている。彼らはどちらか一方に染まる事は無かった。ヒトも喰種も沢山の種類を見てきた。彼らを悪だと断じ、歯向かってくる者。正義だと、媚びへつらう者。皆それぞれ善悪に振り回され、破滅していった。

 

 ――繰り返されるヒトと喰種が殺し奪い合うだけの、惰性で続く螺旋。誰もが断ち切らずに放置するままだった。

 

 そんな彼らだったが、様々なモノで蓋をされていた根底にある欲望。ソレがある人物を観察していくにつれ肥大化していく。

 彼が奏でる――性なる旋律に魅了された彼らを、もう誰も止められない。端からみたら馬鹿にされるであろう行動も、彼らは恥も悔いも無く、誇らしげに行う。そこに善悪は存在せず、本能が赴くままに。

 

 正義を語ろうなら鼻で笑おう。綺麗事を抜かすゴミは焼却処分だ。

 

 悪を語ろうなら、踏みにじってやろう。血に染まる悪の華でも咲かせてろ。

 

 善悪に拘り、性による愉しさを逃すほど愚かな事は無い。常識(普通)という鎖で雁字搦めになりながら、もがき苦しむのが好きならそうしろ。我々はそうならない。

 

 ――隻眼の王? どうでもいい。王なら間に合っている。

 

 ――アオギリの樹? 歯向かって来るなら潰せ。犯せ。

 

 ――ピエロ? 我々と性に踊る内は捨て置け。邪魔になれば排除すれば良い。

 

 ――CCG? 買収しろ。懐柔しろ。それでも歯向かう者は犯せ。殺せ。

 

 ――V? 1度は許そう。次は無い。指を咥えて黙って見ていろ。

 

 彼らがその気になれば、この国の組織を一笑に伏し、潰すだろう。Vと呼ばれる組織と密接な関係にあるCCG。それすら精々数千規模。極東にある小さな島国の雑魚共が粋がっているだけにすぎない。彼らは世界レベルの喰種(強者)。何者にも縛られる気は無い。各々が王を自負しているが故に。もし、彼らの過去行った所業が明るみになり、CCGがレート設定している喰種達と結びつけた場合、SSあるいはSSSレート認定されているほど危険な者達。

 そもそも国も被害者の数も規模が違うので、比べる事自体あまり意味は無いが、危険度で言えば日本に居る喰種など、目ではないだろう。

 そんな者達が、極東で見つけてしまった。自分達が魅了され止まないあの男。彼のあり方、性技、精力。少女を好み、純粋な瞳で犯し絶頂させ続ける。性欲という三大欲求を体現しているような者。性により人間と喰種とを結びつけた者。

 

 ――足りない部分は自分達で補ってやろう。だから魅せてくれ。

 

 『アンタの』

 『小僧の』

 『貴殿の』

 

 生き様を。彼が描く未来を、導く世界を、自分達も見たい。強姦魔(レイパー)が存在しなければあり得なかった、彼らの奇跡的な共存。彼が存在しなければ、三者は攻撃しあって自滅していたかもしれない。もしくは、さっさと休暇を切り上げて母国に帰っていたかもしれない。

 

 人間を利用する事はあっても、仲間意識なんてモノは存在しなかった彼らに、人間と喰種の共同体という概念を示した。その総数は数十万を軽く越える。皆が皆、戦える訳ではないが、数は脅威だ。今はまだ、誰も知らない恐ろしい事実。

 己、あるいは自分達が率いる者達しか信用しなかった。そんな者達が期待する、淫奔掌する背徳の王(彼らの神)。黒く輝く太陽。けして彼を裏切るような真似はしない。言葉で直接伝える事も無い。だが、目には見えない、硬く太い絆で結ばれ、彼らは性に輝く太陽の下に集う。

 

 

 

 

 撮影会が終わり、ピエロの二人組は船内の廊下を歩く。

 宗太は、わざわざやって来たのにもかかわらず、目的を果たせずに居た。収穫が皆無かと言えばそうでもない。12区という、彼にとって邪魔者達(イレギュラー)との面識は出来た。利用するか、それとも破滅させるか。彼は様々な事を考えながら仮面の下で、歪んだ笑みを浮かべる。

 とある存在達を排除するのに利用するのが、一番効率がいいかもしれない。ならば自分はどう動く。どう誘導する。

 

 思考に耽る宗太を横目で見遣りながら、これから動画編集の作業を行う為、機材を置いてある部屋へ向かうオナホールを手にはめている男。彼も仮面の下で歪んだ笑みを浮かべている。

 何を考えようと、どう動こうと関係ない。例え宗太が和修一族に連なる者(CCG創設者の一族)だったとしても。

 

 ――最後に笑顔で絶頂できるのは、コバンザメ共(自分やあいつ等)でもなく、ましてやVでもなければ、ピエロでもない。旦那(■■さん)だけだ。

 

 ついでに目的を果たせれば御の字だ。全ては己が彼の為に奏でる前奏曲(プレリュード)に過ぎない。自然とオナホに突っ込まれた拳に力が入る。彼は他の三人と違い、はじめ(出逢った頃)から強姦魔(レイパー)に心酔している。狂信に近いソレは、例え強姦魔が力を持たない一般人だったとしても、喜んで味方するほどに熱く滾っている。

 

 闇に蠢く者達が、重い腰を上げようとしていた。




嘉納先生が拉致られるのとカネキ君が拉致られるのが同タイミング的なターニングポイント。

今後エロチャート
アカデミーの生徒(ゲスト和修政)→やべーやつの妹→ピエロ創設者
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