笛口リョーコとヒナミを喰種捜査官達から、結果的に守った
彼はもちろん助ける気で動いた訳ではない。ヒナミという無垢な少女が、もしかしたら、死んでしまうかもしれない。全ての美しい女性――無垢な少女は自分のモノという、最低な独占欲と性欲によって、動いただけに過ぎない。
色々と聞きたい事もあるが、感謝が先だと、笛口リョーコは、自分の娘をじっと見つめている覆面の喰種に、きちんとした礼をしようとする。
彼はリョーコとヒナミに感謝され、何か考えているような仕草で礼を受け取る。そんな彼をよそに、礼を言うだけでは笛口親子は、感謝しても、しきれないらしい。
「たいした事ではありませんので」
「いえ、貴方が助けてくれなければ、私は、私達は死んでいたでしょう……本当に感謝します……」
「お母さんを助けてくれてありがとう! 覆面のお兄さん!」
彼は謙遜しているが、たいした事である。喰種捜査官から守るというのは、簡単なようで難しい事なのだ、彼ですら本来は。
少女が飛び出して、助けを叫ばなければ、彼は赫者に変化すらせず、そのまま、なあなあで妙な空間が続いていただろう。もしかしたら、ヒナミだけを探し出して、欲望の赴くまま連れ去って、20区から12区へ悠々と凱旋していたかもしれない。
そもそも彼はヒナミだけを求め、わざわざこの区画にやってきたのだ。その他はついでに過ぎない。そう、母を想う少女の気持ちが、喰種捜査官の前に出た、その勇気が、
そんな事とは露知らず、笛口親子は是非お礼に、何かしたいと男に提案してしまう。覆面でよく見えない、彼の瞳が怪しく光る。
「どうしてもですか……でしたら、貴女の娘さんをください」
「えっ」
「ふぇ?」
恩人からの突如の要求。それは娘だった。ヒナミは最初何の話かわからなかったが、考えていくにつれ、母に読み聞かされた本の知識からか、自分と結婚する為に、結婚報告を母にしているみたいだと、恥ずかしくなり顔を赤くさせる。
「あの?」
「冗談ではないですよ。ワタシは至って真面目です。娘さんが欲しい」
真剣な声で語る男。
笛口リョーコは恩人の要求に困惑する。普通の感性の喰種ならば、百歩譲ってリョーコを求めるかもしれない。娘を求められるとは、彼女は露ほどにも思わなかった。
思いがけない要求に、リョーコはどうしようか迷っていると、先ほどまで黙って様子を見ていた金木研が、立ち話もなんですし、あんていくで話しませんかと、困惑するリョーコへ提案するように助け舟を出す。
この言葉に、熱い
「お兄さん?」
「……まあ良いでしょう。その
「はい! 案内します!」
ヒナミは、先ほどまで元気だった、男の変わり様を不思議に思いつつ、お兄さんこっちです。迷わないように手を繋いでいいですかと、彼に断りを入れながら、迷わぬよう彼の手を引き、案内し始める。
赤くなった表情が、元に戻ったヒナミに、男は話しかけられ、返事を返す。彼はヒナミに案内され、手を引っ張られるように歩いている。例えるなら、突然のデキ婚を親へ報告しに行く、放蕩息子の心境ですかねと、小さく呟く彼の言葉が、街の雑踏に紛れながら消えていく。
◇◇◇
あんていくに着いた
とても穏やかな雰囲気の喫茶店で、確かに落ち着いて、話すにはもってこいだと、年中好みの少女を犯す事しか考えない彼でも、不思議と和んでくる。
霧嶋董香という可愛らしい店員が、店内に入って来た一行を見て話しかける。
「あれ、リョーコさん、ヒナミ? それにカネキと……誰?」
董香は不思議に思った。食料ならもう店長から貰ったはず。笛口親子は狩りが出来ない。だから定期的にあんていくに来ては、
あんていくは表向きただの喫茶店だが、こういった人を狩ることすらままならない喰種を助ける側面もある、
金木研も実はここでアルバイトしている。故に霧嶋董香とは顔見知りであり、小柄な喰種だけが不思議な存在なのである。
喰種である董香には一般客ではなく、この見慣れない小柄な人物も喰種だと匂いでわかった。
そんな注目の的である彼は、董香を見た後、金木研を見て、何かに納得しているような様子。彼にしては珍しく、自分から男性を見た瞬間でもある。
「っ!」
「店長?」
「……大丈夫だよトーカちゃん。手を滑らせてしまっただけだよ」
店内に何かが割れる音が響き渡る。老人と言って差し支えない、あんていくの店長、芳村がコーヒーカップを落としてしまったのだ。覆面の小柄な喰種を見て、一瞬、驚いた表情をした芳村。思うところがあるのだろう。複雑な表情で、何かに気付いたような様子だ。
笛口リョーコに話しかけられ、驚いた表情で彼女の話を聞いている芳村。落ち着いて話がしたいとの事で2階へと、先ほどコーヒーカップを割ってしまった、芳村自ら一行を案内する。金木研は割れたカップの後始末を買って出て、董香と共に1階に残るようだ。
「……」
あんていくの店長、芳村の様子がいつもと違う。笛口リョーコは不思議に思った。非常にそわそわしている。表情は普段と変わらず、優しげな感じなのだが、先導しながら、小柄な喰種をチラチラと伺うようなそぶりを見せる。
一方小柄な喰種と言えば。
「ほう。ここで食事を、よくなさっているのですか」
「はい。お母さんも私も、狩りができないから……いつも、お世話になってるんです」
「なるほど」
彼は、リョーコの隣に座っているヒナミとの会話に花を咲かせていて、様子を伺う芳村もリョーコも眼中になさそうである。部屋にたどり着き、案内を終えた芳村。部屋から退出するものだとリョーコは思ったのだが、芳村は動かない。
「あの?」
リョーコが話しかけるが、芳村はどこか上の空で、呆然と、ヒナミと談笑している彼を見つめている。
「そう言えば何で覆面とらないんですか? お兄さん」
「ああ、そう言えば、ここに居るのは喰種だけでしたね。とっても問題無さそうだ」
ひとえに恩人である、小柄な喰種の素顔を見てみたいという好奇心からか、ヒナミは覆面をとって見せてくださいと、可愛くおねだりする。これが普通の女性ならば、彼も覆面を外したりしなかっただろう。だが、ヒナミは彼好みの美少女だ。
彼は躊躇無く覆面を脱ぐ。緑色の髪が解放され、素顔があらわになる。ヒナミは彼の素顔を見て、どこかで見たことあるなあと思いながらも、綺麗だと評した。リョーコも恩人の素顔が気になり、娘と同じように彼を見る。作家の高槻泉とそっくりだと思った。
もしかしたら芳村は、小柄な喰種の正体が高槻だと知っていて、そわそわしていたのかもしれない。作家の高槻泉が、実は自分達と同じ喰種という、衝撃の事実と共に、結構ミーハーな所もあるのだなと、リョーコは微笑みながら芳村の方へ振り向く。
すると芳村は俯きながら立ちつくしていた。どうしたのかと問おうとするが、よく見ると床に水滴が零れ落ちて濡れている。リョーコは芳村に問えずにいた。
芳村は感極まったのか、素顔をあらわにした小柄な喰種へと近寄る。流石に涙を流しながら近付くのだから、彼も、様子のおかしな芳村を目にすると思われたが、彼はヒナミにご執心である。
これにはヒナミも気の毒だと思い、お兄さん店長さんが何か話したそうだよと、彼に困ったような笑顔で諭す。彼はしょうがないと言わんばかりの表情で、芳村の方へと振り向く。
やはりこの男、無垢な少女の話しか、まともに取り合わない。
「元気そうで……良かった……っ!」
「……ええ、元気です」
芳村は小柄な彼を抱きしめる。何の事かわからない、笛口親子は揃って首を傾げるだけだ。笛口親子の様子がツボったのか、彼はヒナミが先ほど見せたような表情をしつつ、小さな声で静かに語りかける。まるで長年行方知らずだった者との再会を喜ぶように、芳村は泣き笑いの様相を帯びた表情をみせる。
彼にしがみつくように芳村は涙を流す。もう離してはならないと、己を戒めるかのように力強く彼を抱きしめる。数分ほどだろうか、落ち着きを取り戻した芳村は、少々照れくさそうに、困ったことがあったら、いつでも頼ってくれていいとだけ言い残し、逃げるように部屋を後にした。
「えっと……店長さんとお兄さんって?」
「言っていいのか、わかりませんが、貴女とお母さんのような関係ですよ」
「えと……えっ? えっ? 店長さんがお父さん?」
「ええ、ここだけの話にしてくださいね。内緒ですよ?」
「う、うん!」
黙って二人を見ていて、疑問に思ったヒナミが彼に問いかけると、どうやら親子らしい。内緒だよと、悪戯っ子のような表情で、彼はヒナミの唇の上に人差し指を置く。ヒナミは聞いてはいけない事を聞いてしまったと思い、真剣な表情で頷く。
ヒナミと彼の話を聞いていたリョーコは、変な思い違いをしていたと、少々恥ずかしくなり、頬を赤くする。そんなリョーコに、彼は真剣な眼差しで語りかける。
「それはそうと、話の続きをしましょうか」
「続き? あっ……そうですね」
そう、彼にとっては親との再会よりも、無垢な少女と
男に話を切り出されるまで、何故再び、あんていくに訪れていたか忘れていたリョーコは、同じように真剣な眼差しで、彼と話し合いをする事にした。
◇◇◇
話し合いの邪魔にならないよう笛口ヒナミが2階から降りて来る。1階の店内では金木研と霧嶋董香、先に戻っていた、あんていくの店長が談笑していた。
「あ、ヒナミ」
おかえりと、董香はヒナミに微笑みながら無事でよかったと、金木研から事情を詳しく聞いていた為、嬉しそうにヒナミを抱きしめる。あんていくの店長である芳村も、そんな二人の様子を見て微笑みながら、お皿やコーヒーカップを洗っている。
「それにしても、
「さぁ……?」
「トーカお姉ちゃん! あのお兄ちゃんは店長さんの子供だよ! あっ……秘密って言われてたのに言っちゃった……」
「えっ、店長の!?」
董香の疑問にヒナミは、先ほど内緒だと言われたのにもかかわらず、恩人を悪く言われそうになり、つい言ってしまう。だが、例えこの場に本人が居たとしても笑って許すだろう。可愛い無垢な少女なら致し方ないと。彼の中の最優先事項は無垢な少女。
金木研は、喰種捜査官から不穏な名詞を聞いてはいたが、とても年頃の女の子に対して、言って良い名詞では無いので言っていない。それに、彼が変化した姿を董香にどう説明しろというのだ。絶対に言ってはいけない。思い出しただけで、恥ずかしくなる。
色々と思うところはあるものの、あのような二つ名、笛口親子を救った人物に対して失礼だと思い、その辺りはぼかしたのだ。気遣いのできる、心優しい少年、金木研。彼は説明する時も、曖昧な表情だった。
当然疑問の矛先は、謎の喰種の親と言われるあんていくの店長、芳村にいく。
「あの子は……私を父だと、思ってくれていたのか……」
ヒナミの言葉に、彼は俯き、また床を濡らしてしまった。
これには質問をぶつけた董香も、どうしたらいいのか困惑する他ない。いつも優しげな表情で、新入りである金木研の、様々な質問にも快く答える芳村。
俯いて表情は見えないが、雰囲気から喜んで涙を流しているのだろうと、この場に居る者達は察する。芳村が過去に、あの人物との間に何があったかは知らないが、嬉しそうなら良かった。つまるところ、あの人物は、芳村の子という事で間違いが無いらしい。
穏やかに談笑する彼らだったが、芳村が目を拭いながら、コーヒーを出す事すら忘れていた事に気付く。せっかく来てくれたのだ、自慢のコーヒーを彼にも味わってもらいたい。芳村は、自分で持っていくにも気恥ずかしく。金木研に、淹れたてのコーヒーを持っていってもらう事にした。
カネキ、こけて零すなよと董香にからかわれながらも、彼はリョーコと芳村の子供がいる部屋へ向かう。淹れたてのコーヒーを彼らの元へ。ヒナミが閉め忘れたのであろう、ドアが少々開いていた。カネキは喰種でも人間の少女と変わらず、子供らしい所もあるんだなと、微笑む。
金木研。最近人間から喰種になった特殊な存在。色々とあり、このあんていくで世話になっている、喰種の一員でもあったのだ。
ドアの隙間から中の様子が漏れる。ノックをしようと近付いたカネキ。中の光景を少し見てしまった彼の、その手が止まる。
『おや、全然勃ちませんね。やる気があるのですか?』
『そんな……ヒナミが居た時は、あんなに元気だったのに……』
作家の高槻泉が、笛口ヒナミの母親に股間を弄られている。白昼夢でも見ているのだろうか。カネキは隙間から漏れる光景に息を呑む。衝撃的。淫靡で、背徳的な光景に驚いたカネキ。
彼と同じように、いつのまにかやって来て、部屋の中を覗いていた魔猿、古間円児が覗き見をするカネキに、優しく小さい声で諭す。
「駄目だよ。覗いちゃ。ムッツリなカネキくん」
「……ッ!」
「しー。コーヒーは代わりに持っていくから、カネキくんは1階に戻りなよ」
魔猿に注意され、恥ずかしい所を見られたと、カネキは彼にコーヒーを渡しながら1階へ戻る。何だったのだろう。あの夢のような光景は。あまりにも現実的ではなかった。もしかしたら、自分の無意識的な性的欲求が、あのような光景を見せたのだろうか。悶々としたカネキ。彼はこの日以降、ロッカールームに居る時間が長くなる。
カネキは先ほど見た光景を思い出し、勃起していた。だが、流石にあんていくで自慰する訳にはいかない。彼はロッカールームに避難していた。自分の欲望を治めようと、ふとロッカーにある、自分の荷物の中にあった高槻泉の本を取り出す。
ああ、やはり彼女の本は良い。カネキは落ち着きを取り戻す。一瞬、この本にサインでもして貰いに行こうかと思ったが、今はどんな顔をして顔を合わせればいいのかわからない。ヒナミの母と高槻泉の、背徳的なシーンを思い出して、己の股間が元気になってしまうかもしれない。それに彼女は今オフで、行っても迷惑になるだろう。
サインはサイン会などで頼もう。そう、思いなおしつつ、冷静になったカネキはロッカールームを後にするのだった。
話し合いは終わったのか、2階から笛口リョーコと覆面を被った喰種が降りて来る。芳村は、リョーコと覆面を被った喰種に複雑な顔をしながら経緯を聞き、真剣な声で彼に小声で耳打ちする。
「……」
「あ、お母さん!」
彼らの話し声はヒナミの声にかき消され、誰もわからない。
どうやら笛口親子はこれから、彼のマンションへと行く事になったらしい。喰種捜査官に面が割れた彼女達は、このまま20区に居ると危難を招く故に。
素性がまったくわからないままならば、董香は反対していたかもしれない。だが、店長の子ならば安心して預けられる。それほどまでにあんていくの店長は、ここに居る喰種達から信頼を置かれているのだ。
またねと董香とカネキが、笛口親子と覆面の喰種を見送る。
――誰も、笛口リョーコの作り笑いに気が付かないまま、
◇◇◇
喰種対策局、通称CCG。捜査官である亜門鋼太朗は、20区支部の資料室で、真戸呉緒と調べ物をしていたが、本部の者達が到着したという知らせを聞き、20区へ配置される、本部からやって来た捜査官達を出迎えに行っていた。
第二会議室に、本部の捜査官達が居るらしい。一体どんな人物が配属されたのだろう。ベテランは13区や11区へ回され、ここに来る者は若手だろうと、あまり期待していない亜門。
「えっ、篠原さん?」
「亜門、久々だな」
亜門が会議室のドアを開けると、旧知の仲である篠原幸紀が居た。彼は亜門のアカデミー時代の教官だ。特等捜査官でもある。ガタイのしっかりした男。いかにも強そうな姿だ。
彼は現場での叩き上げ組。そのガタイは見せかけでは無く本物だ。真戸呉緒の初代相棒でもある。
「鋼太朗君」
「法寺さん……これは一体……」
法寺項介。まるで銀行員のような、真面目そうな風貌。しかし、彼はこう見えて武闘派だ。真戸呉緒からクインケと呼ばれる、喰種捜査官専用の武器、仕事道具の使い方を徹底的に仕込まれた実力派。
会議室にはベテランだけではなく、滝澤という新米捜査官も居たが、これは亜門の想定内。亜門のファンで、握手を求められるのは想定外だったようだが。
何故、20区にこれほどの実力者が配属されるのか。亜門は不思議に思う。
「私から、この区に来てもらうよう要請したんだ、亜門くん」
「真戸さん!」
先ほどまで、亜門と資料整理をしていた真戸呉緒が、彼の後ろから肩を叩きながら、会議室へと入ってくる。自己紹介も程ほどに、彼らは話し合う。
「11区と12区のCCG支部が機能していない事は皆知ってるな?」
篠原は確認作業のように、この場に居る人間に話す。
「ええ、11区は、ほぼ壊滅状態で、本部から増援を派遣していると。12区は……」
「ああ、うん。12区は刺激しない限り問題ないよ。下手に巣を刺激すると、東京中が乱交パーティだ」
「……」
「納得いかなそうな顔してるな、亜門。だが、あそこはデリケートなんだ。それに……外交問題になる恐れも出てきた。資料を見てくれ」
篠原の答えに、微妙な表情をしていた亜門は黙る。そう、12区はデリケートな場所。不法滞在者が多いのだが、そんな事は些細な事とも言える位、頭を悩ませる場所なのだ。何せ人間と喰種が共犯で、何かしら事件を起こす区なのだから。
配られた資料を見て、ますます亜門は妙な表情になる。
「篠原さん……これは本当なんですか」
「外務省に確認した。本当だ」
渡された資料。目を疑う現実に、亜門は渋い表情をする。
12区に居るとされる、喰種の疑いのある者達。とある国の元知事、とある国の独立戦争の英雄。とある国の海運王。名だたる顔ぶれは、表社会でも有名な、裏社会の重鎮達だった。
元々外務省と警視庁に資料があったのだが、ここ最近喰種である疑いが、浮上してきたのだ。それぞれの国の大使館からもたらされた情報は、彼らが関与を疑われた犯罪履歴が、詳細に記されていた。喰種かもしれないという、疑惑が脳裏を過ぎる。
――元知事は、夜な夜な乱交パーティをしているという、スキャンダルで辞職。毎回パーティでの参加者が、行方不明になっており、関与を疑われ、国外へ逃亡。現在日本でバカンス中。写真に写る、ピンクローターを咥える老人。
――独立戦争の英雄だった男は、戦後捕虜の扱いで、国際指名手配され、部下と共に行方をくらます。日本で最近よく目撃されるようになる。プロレスラーのような出で立ちの男。連続下着泥棒の疑いがあり。
――日本かぶれの海運王。この者の裏の顔は武器商人だ。殺人容疑で逮捕されそうになり、国外逃亡。日本へ不法入国し、女学生の制服が気に入ったのか、制服を着ている。通称12区のセーラー服おじさん。人身売買や、喰種の国外逃亡を幇助している疑いあり。
国を追われるように、彼らは過去、日本にやって来ている。そんな彼らが、喰種だった場合、最悪、戦争にまで発展するかもしれない。こんなモノを公表した日には、混乱どころの騒ぎではない。東京から皆逃げ出すだろう。亜門は頭を抱えた。
「うん、まあ、気持ちはわかるよ。表の社会的地位も、ある奴らだからね。そんな奴らが20区で目撃された」
「それで……」
20区に一体何があるのか。裏社会で危険視される者達が集ってきた。
それだけでは、喰種捜査官は動かない。
「何か起こるんじゃないかって、外務省と公安も大騒ぎさ。12区から、彼らが出てくる事は無かったからね」
「なるほど……」
12区の喰種と疑われている存在達と、あの例の喰種。もしかしたら繋がりがあるかもしれない。真戸呉緒は疑う。出来れば外れて欲しい勘。
20区へのベテラン派遣は、真戸の要請が決まりとなった。真戸呉緒の勘は昔から良く当たる。良い方にも、悪い方にも。彼らは疑っている。この裏社会の住民達も、喰種ではないかと。その予防対策としての側面もあり、集まったのだ。20区は昔から、単体で脅威になる喰種が多い。どんな化学反応が起こるか未知数。
ただでさえ、アオギリの樹という、喰種組織の対応に忙しいというのに、これ以上騒ぎを起こさないでくれ。この場に居る、全員の心が一致した瞬間でもあった。
「12区は一旦おいて置こう。問題はこいつらの方だ。奴らも20区で目撃された」
「組織化されているという、あの?」
「今から資料を渡す。各自、読んでくれ」
幸い、こちらから手を出さなければ、12区は問題ない。後回しでいい。問題は、最近存在を確認できた喰種組織。アオギリの樹。こちらは、喰種捜査官に、非常に攻撃的な組織だ。アオギリの樹の構成員にも、
また外務省に、問い合わせなければならない。彼ら、喰種捜査官の苦悩は続く。
■ボツネタ■
「コーヒー!
明らかに幼女と言って良いお客の女の子に、突然叫びだす
董香やカネキは、慌てて男を止めようとする。お客の女の子は、最初は笑っていたものの、壊れたように男が連呼するものだから、ついには泣いてしまう。彼好みの女の子は泣きながら、店を逃げるように母親と後にした。
「流石にクビだね……」
これには店長である芳村も我が子を庇えない。芳村は泣きながらクビを宣言する。わずか一日であんていくをクビになった男が居た。尚、梟討伐作戦には間に合う模様。
※折角コーヒー出るんだし外国語ネタやりたいなって悩んだけど、絶対続かないので没です。