指揮官のモデルは飛龍と最期を遂げたあの人
曰く重桜の女は昔ながらの古風な価値観のものが多い、らしい。無論西洋的な価値観のものもいるし、一概にそうと言い切れるものではないにせよ、彼女も大まか古風な価値観を持っていた。ケッコンするまでは艶染みたことは抜き。ケッコンしても恥じらいは忘れない。男を立てる。などなど。肝心の本人が男らしさ女らしさを致命的に勘違いしていることを除けば重桜の女らしい、と言えよう。
「お、おはようございます! 今日もいい朝ですね!!」
指揮官たる男は、ひきつった顔で朝の支度をしている新妻のでかすぎる朝の挨拶に耳が痛い思いをしながら、寝間着姿でキッチンへと足を踏み入れた。近代的なシステムキッチンに、白いエプロン一枚だけを着込んだ、白髪をポニーテールに結い上げたうさ耳の長身の女子が料理をしている。裾が短い以前にエプロンだけでは健康的な臀部を守ることなど不可能で、後ろからだと艶めかしい腰の女性的なラインまでよく見えた。
「ぜっっっったいおかしいですよこれ! 本当に女の子らしい恰好なんですか!? 姉さまに聞いても無言でうなずいて肩に手を置いてくるだけで教えてくれないし鈍い僕にだってわかります。間違ってるんでしょう!」
涙目でそのようなことを訴えかけてくる新妻に対し、男は腕を組み首を振った。
「いいや新婚夫婦がするという正装であって俺の願望を反映したわけじゃないぞ!!」
「へぇ~じゃ、あ・な・た・も裸にエプロン、着て貰いましょうか? 断らないですよねぇ。ぼくとおんなじ恰好」
青筋を浮かべて拳を握りしめる飛龍に対し、しかし男は動じることなく応じて見せた。視線は赤城などの女性らしすぎる体躯を持つフネと比べれば慎ましけれど形の良くみずみずしい胸元や、エプロンの裾から覗くすらりとした二の足に注がれていた。
男が裸エプロンを提案したのが昨日。渋りまくる飛龍を魔法の舌で丸め込んで着せることに成功した結果がこれである。むしろ願望欲望情欲しかない疚しさ100%だったが、飛龍は恥ずかしがりながらも翌日その恰好で朝食を作ってくれたのだ。誰もみていないならまだしも見られて羞恥心が出てきたのか、顔を真っ赤にしていた。
「俺は男だ。そしてどんな時も一枚上手を行くのが指揮官としての責任だ。ということで裸エプロンから一枚脱いでここは全裸になってやろう。男に二言はないぞ」
などと言いつつ既にシャツを放り投げてパンツ一丁になっていた。更にパンツに手をかける。
あまりの脱ぎっぷりに飛龍は一瞬唖然としたが、腐っても正規空母。すぐに持ち直すと顔を隠して反対側を向いた。
「指揮官! ばばばっばばばバカですか!? そんな恰好で……!?」
「指揮官呼びは家ではやめるんだ。そうそう、尻が丸見えだぞ」
「くっ………こ、この!」
「話せばわかる!」
式神――飛龍の式神は花札という形で使役される――がどこからともなく飛んでくると飛龍の手に収まった。仰け反り手を防御姿勢にする男へと、花札が解き放たれる。数にして九枚。それを瞬時に砲弾よろしくぶん投げることができるのは流石艦船少女であろうが、投げられる側はたまったものではない。のちに指揮官たる男はこう語る。
『九枚投げて三枚しか当たらないとは流石は俺の嫁である』と。
「―――ということがあったんです蒼龍姉様! こんなんじゃいつまでたっても女の子らしい女の子になれそうにないですよ!」
「そうね」
蒼龍は悩みを抱えた妹が溜息を吐きお茶を一気飲みするのを見つつ、己は優雅に温かい緑茶を嗜んでいた。一気飲みははしたないからやめなさいとあれほど言ったが治っていない。いうのに、指にはエンゲージリングがかかっている。“あの”豪快な男ならばそんな些細なことは気にしないのだろう。
「裸エプロンって……男の人はこういうのが好きなんでしょうか? こういうのがそそるとかなんとか言ってましたけど。で、変な服買ってきては着てくれ着てくれ言ってくるんですよ。僕ってそんなに着せ替え甲斐があるんでしょうか」
「飛龍。彼は喜んでくれるんでしょう? なら、あなたはどうなの? 嫌なら嫌と言えばいいんじゃなくって?」
「そ、それはそうですけど………本音を言うと満更でもないというか……で、でも妙に薄い服とか水着とか着せようとするのって……」
カフェテラス。というよりも食堂と表現したほうがいいであろう、庶民的なつくりをしている食事場にて姉妹が話し合っていた。艦船少女に真の意味で人間と同じような肉親というものは存在しない。メンタルキューブに記憶や概念を読み込ませて誕生する(詳細はよくわかっていない)彼女たちは、人の胎を使わずこの世に生まれてくる。そんな飛龍にとって蒼龍は親のような存在でもあり、あこがれの存在であり、一番の相談相手でもあった。
しかしである。はたから聞いているとバカップルの痴話喧嘩にしか聞こえない話を毎度毎度されるといい加減うんざりしてくるというものだ。愛する妹の相談とはいってもだ。何しろ飛龍はなんだかんだ初夜を迎えて『そういうこと』をある程度経験している。こうなると何が恥ずかしくて悩んでいるのかまったくわからない。
(……こっちは素敵な人の一人巡り合わないのに)
蒼龍の内心は複雑だ。妹に先を越されたというのはあるが、身の回りに恋愛感情を抱けそうな人がいないのだ。指揮官はいい男性だとは思うがあくまで上司としてだ。結ばれたのは喜ばしいことだし、幸せそうな日々を送るのはいいことなのだ。だが、相談相手としては少々不適格なのだ。男性との付き合いが実はほぼないなどと今更口が裂けても言えないわけなのだ。
(ペンシルバニアに相談してみようかしら……)
ユニオンのネバタ級改良型であるペンシルバニアは艦船少女(少女という年齢でもないが)でありながら人間の男性との付き合いが豊富である。相談するならうってつけの相手であろう。
「いいんじゃないかしら。飛龍あなたも嫌がってないみたいだし、指揮官もそういうのが好きなんでしょう。問題があるようには思えないのだけれど。夫婦間のあれこれについては本人と話し合ったほうがいいのではないのかしら」
「それが! 大問題なんですよ! 姉様! もっとこう女の子らしい恰好をですね……!」
と、話は堂々巡りを始めるのだった。
「ほっほっほ。青春とは良いものじゃのう。どれ、ここはいんたーねっとで仕入れたスケベ衣装を………ほ? あっなにをするのじゃ~~!?」
とどこぞの駆逐艦の大先輩が指揮官にちょっかいを出そうとして風紀の腕章をつけた重巡にけちらされていたとか。
飛龍はふうとため息を吐くと、ぐつぐつと煮えている鍋の火力を調整した。普段は後ろで結い上げている白髪をゆったりと下ろし、ハチマキで凛々しく逆立てている前髪も垂れているせいか、どことなく幼い印象が優先していた。
指揮官の現在の住まいの家事の一切は飛龍に任せられていた。ほかの母港では指揮官と複数人もとい複数隻の艦船少女が恋仲になっていることもあるというが、この母港の指揮官は飛龍以外には目もくれなかった。よって通い妻よろしく数人が出入りするということもなく、飛龍一人ですべてをやっていた。
扉が開かれ、靴を脱ぐ音がする。飛龍は手を拭きながら玄関に向かった。
「おかえりなさい。ご飯にしますか! お風呂にしますか!!」
「ただいま帰ったぞ。なぜキレてるんだ? 美人な顔が台無しじゃないか」
開幕一番吹っ掛けられるおかえりなさいの言葉はなぜか鼓膜よ破れよと言わんばかりの声量だった。表情も若干硬い。というのに、帽子を脱ぎ上着を脱ぎシャツを脱ぎズボンを脱ぎと全裸に近い恰好になり始める男は、それがどうしたと飛龍の頬に手をあて始める始末だった。
「ひあっ!? もう………早く服を着てください。ご飯にするんでしょう? あなたは人一番食べるんだから。おなかをすかせて帰ってくるだろうと思って量は揃えておきましたから」
飛龍は仰天して仰け反った。が、すぐ持ち直した。冬だろうが構わず暑い暑いといって服を脱ぎ始めるこの男である。驚くに値しないことなのだろうことは理解しているが、突然頬に触られると驚いてしまう。
「よし、飯にしよう! そうだ小耳に聞いたんだが」
「ええ」
「俺が持ってくる服が気に食わないらしいな」
「えっそれは……」
人の噂は壁に耳あり障子に穴あり。一度漏らせばあっという間に広がるもので、例えば人通りの多い場所で悩み事相談でもしようものならば、ブン屋を自称するものやカメラマンにパパラッチされても不思議はない。
飛龍は不満があるとはいったが、内心では女の子にしか着れない服を着せてくることに喜びを感じていた。愛する者にそれを誤解されたくないがために、どうするべきか必死で考え、考えて、男がにやりと笑うのを見た。
「おおかた恥ずかしくて仕方がないけど嬉しくてたまらないとかそんなところだろ。俺は詳しいんだ」
「――――ぐっ!? な、なぜわかったんですか!?」
いやらしい笑いを浮かべながら男は飛龍の肩をがっしり掴んだ。女性としては背丈が高い飛龍も、男と並ぶと小さく見える。
「いやなにセイレーンの技術のちょっとした応用でな……嘘だ。とある情報筋からわかり切ってる癖に踏ん切りがつかないのがいるから背中を押せと言われてるわけだ。でどうなんだ。本当はうれしいんだろ」
こうなれば後には引けない。飛龍は顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
「嬉しいに決まってるでしょう! ぼくだって女の子なんですよ。す、すきな人にあれこれ着せられて可愛い可愛い言われたら……」
「でも恥ずかしいと。最高かよ。恥じらいはいいことだぞ」
「そうなんですよ! あれ?」
言いくるめた未満の言葉遊びであるがいつのまにか納得していたことにされて飛龍は首を傾げていた。女が言葉が上手いというが、飛龍はその正反対である。簡単に言いくるめられてしまう。指揮官たる男はどちらかと言えば言葉が上手いほうではないが、それでも飛龍を言いくるめるくらいはたやすくやってのけるのであった。
男がフフフと怪しい笑みを浮かべ仕事鞄とは異なるもう一つの鞄の口を開けて妙に薄い水着やら体操着やらを取り出し始めた。
「いろいろ用意してきたぞ……!」
「は、は、恥ずかしいと言ったじゃないですか! 今日こそは着ませんからね!」
「その言葉が聞きたかった」
すると男はあっさり鞄を閉じて難しそうな顔を作った。
「重桜の女は嘘をつかない。と聞いたが本当だな」
「もちろんです。誠実と度胸がぼくの取柄ですし」
「服を着ないならいいんだな。なにも着ないんだな? 男に二言はないという。女はどうだか知らんが嘘はつかないと確かに言ったな」
「えっ……」
それは想定していなかった。
うろたえる飛龍に対し男は親指で風呂場の方を指した。
「飯はあとだ。背中を流してくれ。何も着ないよな。これも女子力の修行だぞ飛龍よ、俺は嘘をつかない」
飛龍はうめき声をあげ頭を抱えた。
「遅かったな!」
服を脱ぐ。タオルをきっちり巻き付けて、ほどけないかを確認する。髪の毛をまとめるかどうか悩んだ末にまとめないことを選択する。入ることに躊躇してどうでもいい洗面台の汚れを指で擦って落とす。などと時間稼ぎした挙句、そろりそろりと入室してみるとガシガシと強く頭を洗っている男がいた。男の体型は言うならば脂肪も多いが筋肉も多い大柄体型で、背中を丸めて風呂椅子に腰掛けていると格闘技の選手か何かにしか見えなかった。しかしこれは幸いなことだ。何せ夫たる男は目をつぶってシャンプーの真っ最中なのだから。
飛龍は、蒼龍曰く指揮官とは正反対という引き締まった肢体がしっかりタオルで隠れていることを確認しながら、ゆっくりと背後についた。
「お背中流しますね」
「いや頭にしてくれ。お前どうしたんだガチガチじゃないか。職場じゃマァ硬いくらいが緊張感あっていいがここは家だぞ。しかも風呂場だ好きにしろぃ」
「はぁー……わかりました。頭、流しますね」
「おう頼むぞ、あとは流すだけでいい」
飛龍はとりあえず温度を最大限にあげたシャワーをなんの前触れもなく頭部にかけてみた。男が頭を振って悶える。
「あっつ!? 熱い! 愛情を感じるぞぉぉぉぉ!?」
「何をバカなことをいってるんですか……ごめんなさい。ついやってしまいました」
なんだか楽しくなってきた飛龍は口元が緩むのをこらえながら言った。
「いいとも。これくらいでどうかなる鍛え方はしてないからな。ちなみにいうと体ももう洗ってしまってな。次はお前を洗ってやろう」
「えっ」
「嫌か」
「嫌じゃありませんけど……その、ぼくだって女の子なんですよ。恥ずかしくて」
男が顔にかかった水気を飛ばすと、おもむろに立ち上がり飛龍と向かい合う位置に立った。うむと頷くと半ば強引に椅子に座らせてソープを手に取って泡立てる。
「今更だがこうしてお互いの裸を見るのも初めてじゃないだろう。恥ずかしがることもないと思うんだが」
「あなたが……ぼくを女の子として扱うから……」
「いいや何度でも言うがお前は立派な女の子だよ」
「で、でもぼくは姉様みたいに可愛くてクールで頭がよくもないし、ユニオンのエンタープライスみたいに振舞えないし、あなたみたいにみんなにやさしくもできないし」
飛龍が俯き加減にそういうのはコンプレックスの数々だった。どこか女の子らしさを勘違いしている節のある彼女であるが、彼女も彼女なりに悩んでいるのだ。
「それがいいんだろ。お前だからいいんだよ。そうやって女の子っぽくなりたいけどなれなくて悩んでるお前がいいんだよ」
「っん……ひあっ! するんですか……?」
男がかがむと、飛龍の首筋に口づけて強く吸い上げた。どこか甘い声が上がる。疑問形でありながらも、理解して同意しているように。頭の上でウサギの耳がぴくんと跳ねた。次に指が、タオルに覆われた瑞々しい胸元にかかる。布地の隙間から指が潜り込むと、あっという間にずりおろしてしまう。
二人が体を重ねた回数は片手で数えられるほどしかないが、何度味わっても味わい尽くせない程甘美なものであると男は思っていた。筋肉の乗った兎が如くしなやかな肢体がぴんと張り詰める様を見てもいいし、手で覆うにはちょうど良い大きさの胸元を揉むのもよい。ハスキーボイスが行為に酔いしれ甲高くなるのを聞いていてもよい。
「女の子だからとかそんなことはどうでもよくてお前がいいんだ。わかってくれるな?」
「……はい。でも、やっぱり恥ずかしくて」
「ふーん? 俺としては姉様が風紀なら不良だって言いながら制服着てたけどあの足丸出しお腹丸出しの格好の方が遥かに恥ずかしいと俺は思うが……あの格好もいいよな……足が見えて」
「あれは! あれは……不良って調べたらあんな感じの服装だったので自分でアレンジしてみただけです。足は関係ないでしょ」
一時期飛龍は昔でいうところのスケバンな恰好をしていたことがある。ただし本人が不良というものをイマイチ理解していないで服を用意したので、かなりチグハグな出来栄えであったが。
「いや足はいいぞ。お前も好きだろ足」
男の手が胸元にかかり、そして滑っていくと、結び目をあっという間に解いてしまう。もう片方が腿を伝う。羚羊の様な無駄のない筋肉で構成された足は、鍛え抜かれた武術家のそれとよく似ている。
「すき、ですけどぉっ……! くるぶしとか、姉様の足みたいになりたいです」
「足になりたいのか……まぁいい。力を抜いて」
ここでからかいの水を差すほど男はふざけてはいなかった。軽く触れるだけであとは水に流し、椅子に座ることをやめてこちらにもたれてくる新妻の胸元を愛撫しながら、足を撫でて、その付け根へと指先を侵入させていくことに集中する。
「ん……? やっぱり期待してたんだな。濡れてるぞ」
「…………っぅぅぅ……だって、だってぇ……」
飛龍がまるで子供のようにぐずりながら切ない吐息を漏らす。例え相手が姉であっても弱気など見せなくても、男が相手だと別になる。
男は軽くいじっただけというのにぐしゃぐしゃに濡れている秘所を指でかき回し始めた。指を二本まとめて埋め込むと、愛液という潤滑油を使い腹側まで遊んでいく。つんと張ったおわん型の程よい大きさの胸元を手で包み込み、じらすように桃色の突起を指でしごき立てる。
「~~~ひ、ゃあっっっ! っくぁ、ふぁ……」
ぷくりとした恥丘を指で撫で上げ、ウサギの耳を歯で優しく甘噛みをする。途端に飛龍が鼻にかかった蕩け声を上げて肢体を痙攣させた。
「イッたのか。ん? どうなんだ? ん?」
「……ぼくのことをからかってるんですか」
男は涙目で振り返るその額にキスをした。
「存分にイかせてやるからな」
男の低い声に飛龍の首筋の後ろから背中にかけて電流が流れていった。行為は二桁にも達しない程度しか経験していないが、この男がこう宣言したからには一晩中かかることであろうことが想像ついた。男はやるといったら命がけでやる主義で、夫婦生活も手を抜かなかった。
男が飛龍をあっさりひょいと持ち上げると、片足を持ち上げ背後から貫く姿勢をとった。
「まっ っつああぁぁぁぁぁぁあっ!」
男が許可も得ず飛龍を自分自身で貫いた。みちみちと肉をどかして強引に奥底にタッチすると、小刻みに、緩やかに、愛する妻の中で一物を蠢かす。
「締まるな……よしよし、いい子だから」
「ぼくは子供じゃないんですよ!」
「はっはっはっ! 威勢がいいほうがいい!」
不満を漏らしながらも既に頬を緩ませ陶酔した色艶を浮かべる飛龍を、男は背後から猛然と突きまくった。全身の筋肉を使い姿勢を保持しなくてはならない飛龍はあっという間に息が上がってしまい、足が下がり、しまいには背後から抱えられる恰好で突かれることになった。
男は打つ度たゆんたゆんと波打つ乳房を掴むと、滑りの良い膣壁に自身を擦り付けていった。
「―――あんっ、ひぃっ! うしろからなんてケモノみたい……っん、ふぁぁぁっ! んっ、んっ、あっあぁぁひぅぅぅっ!」
「こういうのが好きなんだろっ!?」
男が珍しく口調を荒げて飛龍の両耳を掴んだ。ただでさえ敏感な耳を掴まれて腰を使われてしまうと、失神してもおかしくはない快楽が走り抜ける。
飛龍はもはや上半身を支えていられず、浴室の壁に上半身を押し付ける恰好になっていた。形の良い胸の肉が壁に押し付けられ広がっていた。
「すき、ってぼくのくちから……みみっ、み、むぁ、ぅぅぁあんっ! 気持ちいい……! ぼく、すきぃぃっ!」
もはや何を言っているのかも定かではないのだろう、あらぬ方角を向いて吠える新妻を絶頂させるべく男が腰のストロークを早めた。ぱちゅんぱちゅんと鳴り響く水音の感覚はもはや機械が起こすそれであり、筋肉が多いとはいえ横に広がった骨盤からなる腰を捕まえて激しく打ち付ける様は強姦かなにかにも見えなくもなかった。
「ッ……出るぞ!」
「ふぁぁっ、いっ、くぅぅぅぅ、ぅ、ああぁぁっ ッッ!」
男が獣のように喉を鳴らして飛龍の胸元を掴み上げ腰をぴったりくっつけると、飛龍は吠えるような嬌声を喉から迸らせて果てた。
「よし、一回目だ」
「ふぇ?」
男が荒い呼吸をしながら額の汗を拭い言った。そうだ、一晩中やるつもりなのだ、この男。
飛龍は疑問符を頭の上に浮かべていたが、男が体の中で硬さを保ったままなことを意識すると、腰を捻り振り返った。
「きて、ください……ぼくを、めちゃくちゃにして、ください……」
男は頷くとその唇を吸った。
「そういえば聞きたいことがあったんです」
「飯の感想か? 最高だったな。俺の胃袋はお前のもんだよ」
一組の男女は湯上りでほかほかの体を一つの布団の上に横たえていた。あの後男は一晩中女を鳴かせ続け、日付が変わっても行為を続けたのだった。当然飯は冷めきってしまい、ぐったりした体で温めて食べる作業が待っていたが、それをかろうじて乗り越えて寝床にたどり着いたのだった。
飛龍は髪の毛をまとめることもなく、適当なシャツを一枚ひっかけて横たわっていた。
「ありがとうございます。もっと腕前をあげておきますね。じゃなくて、ぼくが女子力の修行をしたいって言ったときなにもしなくていいって言ってきたのは……」
「こっち向いてみ」
「? はい」
飛龍は男が静かな声で求めてきたので、ごろんと寝返りをうった。その無防備なおでこにデコピンが襲い掛かる。
男は飛龍が涙目で額を押さえているのをみて呆れた顔を浮かべていた。
「あでっ!? なにをするんですか!」
「馬鹿野郎。将来嫁にする奴を最前線に積極的に送り込みたがる奴がいるかよ。いっそすぐにでも退役させてやりたいくらいだ。上の連中が首を振ればすぐにそうしてる。赤の連中と海の怪物を纏めて海底の舗装にしてやるまではそうもいかん」
まじめな顔で振り返った男も同じようにシャツに下着のみの恰好だった。最初から嫁にするつもりでしたと白状したような台詞であったが、男の性格からすればそれは想像するに難しいことではなかった。特に付き合いの長い飛龍には。
飛龍は、にししと快活な笑顔を浮かべた。
「大丈夫です。ぼくは、飛龍は、沈みません」
「飛龍。ちょっと来なさい」
「なんですか、蒼龍姉様」
「絆創膏を」
「えっ怪我なんてしてませんけど」
「首筋にね、痕が……あとは言わなくてもわかるわね?」
「………」
という後日談があったとか。
次は何にしようか悩んでます。神風おばあちゃんとかよさそう レパルスもいいし夕立もいいし
読みたいキャラ
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不知火をもっと書け
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エンプラさん
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ジャン・バール
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レパルス
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他の