二人きりの夜道、ちょっとだけ遠回りしようなんてその日だけの思いつきだった。ライブハウスでお互いの音を重ね合っていたその時が信じられなくなるほど、静まり返った公園。ベンチに腰掛けて他愛のない話を交わしているとき、その事件は起こった。
「ね、ねぇ、さっきそこから」
「聞こえたな」
街灯が少ないわりに植え込みが多く、少なくとも一人で通ろうとは思えないようなその道。今日は二人きりになるには絶好だと思ってこの場所を選んだわけだが、後ろの方から聞こえた物音は不気味に響く。
腕にがっしりと捕まる和奏を連れ、ちらりとそちらを覗き見る。ゆっくりと暗闇に慣れていく目よりも先に、オレの五感はクラクラするような強烈な色に塗りつぶされた。
「……っ!」
「ちょっ、柊史、大丈夫?」
「大丈夫だけど、大丈夫じゃないかも」
暗闇で良く距離はつかめなかったが、近くの茂みの中で二人の男女がまぐわう様子がうっすらだが見えた。この脳を焼くような強烈な電流と、そして口の中に満たされる甘ったるいなにか。決してオレに向けられているわけではないとわかっていたとしても、それでも漏れてくる思考に押しつぶされそう。
「あっ……」
彼女もようやくその状況を察したらしく、静かにベンチへとオレを引っ張っていく。すでに一度、その熱気に当てられたオレは正気で居られるわけもなく、彼女の指先が触れるだけで感じてしまう程には敏感になっていた。
「ちょっと離れよう」
「わかった、わかったからそんなに引っ張られたら」
今はただ距離を取りたい。それだけを考えながら道路を挟んで反対側の暗がりへ。幸いにしてさっきまで伝わってきた強烈な甘味は引いて、代わりにほんのりと酸味混じりの何かが口の中へとやってきた。
力尽き地面へと座り込もうとするオレを、和奏がギュッと抱きしめ体を支えてくる。彼女の体から漂う女の子の香り、サラサラと頬を撫でるような髪。気付けばオレもその体を抱きしめ、抱きしめたまま倒れ込むような形になってしまった。
一度熱にあてられてしまったオレの性欲はとどまるところを知らない。彼女のシャツの下に手を入れ、後ろ手でゆっくりとブラに手をかける。一瞬体をこわばらせ、抵抗しようとする和奏だったが、観念したのか体からは力が抜けていった。
「ごめん、我慢できない」
「だからって、こんな、っ……んむっ、バカぁ」
口ではまだ抵抗してみるものの、すぐに唇を重ねて塞ぐ。暗闇でも良く輝いて見える白い頬も、今はもう紅く染まっていた。少し汗ばんだ肌に手をあて、ゆっくりと背中をさする。舌が絡み、お互いの唾液をぐちゃぐちゃにしていく。
「んむっ……こんなところで、そんな」
ブラが地面に落ち、服の中で小さな乳房を弄ぶ。手のひらでツンと立った乳房の感触を確かめながら、またキスを重ねていく。すでにオレの一物は痛いほどにカチカチになり、抱きつき密着した彼女のショートパンツ越しでもわかってしまうほどになっていた。
片手でチャックを下ろし、屹立したペニスを外に出す。和奏の手もその形やサイズを確かめるように手を添えてきて、ちょっと驚いてみせたがすぐに優しく握ってきた。
「カチカチ……外なのに、柊史のここ、こんなになってるんだ」
「和奏だって、さっきから気持ちよさそうな顔してる」
「そりゃ、こんな……はぁっ、んんっ」
キスをしながらも彼女の手はオレの陰茎を握り、そしてゆっくりと擦る。外気に触れて更に敏感になったそれは、また震えながら彼女の大事なところを求めていた。少し力を取り戻したオレが強引に立ち上がろうとして、彼女の体を持ち上げる。お互いに向かい合ったまま立ち上がった状態になり、めくれたシャツの下に、オレのそれを押し付けた。
「はぁっ……はぁっ……! 外でするなんて聞いてないって」
「もう我慢できそうにないかも」
ズボンを強引に下ろし、そして彼女を手近な壁へと追いやる。和奏の上に覆いかぶさるような形、草の上に膝をついたその状態で一気にペニスを奥まで押し込んだ。キスだけですでにトロトロになったその中、獣のように後ろから犯すその快感が脳を焼く。小さな乳房を握り、ちょっと痛そうな声すら出している彼女だったが、そんな事にかまっていられるほどに冷静でいられなかった。
「は、ぁっ……こんな、ぁっ、はぁぁぁっ」
肉棒が彼女の膣奥をコツコツと突く。必死で声を抑える彼女に構うことなく、腹膜を押し上げるように腰を動かした。余裕をなくした彼女の手が崩れ、地面へと崩れそうになるが、胸に添えた手がそれを許さない。もはや言葉を発する余裕すらなくしたのか、和奏の口からは断続的に吐息がこぼれていた。
「あ、か、はぁっ……」
後ろからの一突きが、彼女の一番気持ちいいところに到達する。小刻みに絶頂しているのか、膣が小刻みな痙攣を起こしていた。爆ぜるような射精がたちまちにやってきて、本能のままに精をぶちまけてしまった。
「でて、る……柊史の精液、アタシの中にいっぱい……」
射精しても止まる事を知らないペニスが、また彼女の膣奥をかき混ぜる。一層粘り気を強めた愛液が精液に混ざり、静かな公園に肉と肉がぶつかり、液体が泡立つ音と合わせて響いていく。さっきまで聞こえていた隣のカップルたちの嬌声ももはや聞こえなくなるほど、激しく交わり続けた。
彼女の限界がやってきたのか、オレのモノがズルリと抜け出る。彼女の肘はもう体を支えるほどの力を失っており、オレの前にその柔らかな臀部を突き出すような姿勢になっていた。まだまだ性欲に終わりが来ることはなく、もう一度彼女の小さな膣口へと亀頭をあてがい、そのまま奥までこじ開けていった。
「やっ、ばかぁ、アタシ、もうイッてるから……っ」
彼女の必死の懇願も、もはや聞こえなくなっていた。なにかに取り憑かれたかのようにペニスを押し込み、膣内を真っ白に染め上げようとひたすらピストンを続ける。恋人同士のセックスには程遠い、まるで野獣同士の交尾のような。そんな激しさすらある生殖行為を行っているという興奮がオレの正気を上書きしていった。
「あああっ、だめ、らめ、ぇ……」
ひとしきり精を吐き出し、ようやく陰茎を抜く。ぱっくりと開いたヴァギナの奥から、受け止めきれなかった精液がこぼれ、地面を汚していく。ひくひくと物欲しそうに動くそれは、まだオレを誘っているようにしか見えなかったが、それ以上に限界がやってきた。
「はぁっ、はぁぁっ……外なのに、はぁぁっ……」
激しい交尾を終え、涙声で抗議してくる彼女だったが、それに応えられる程の余力は残っていない。周りからは物音一つ聞こえなくなっていて、お互いが落ち着く頃までお互い地面に座り込んだままだった。
ようやく気力を取り戻した彼女が、汚れた秘部を拭くことなくズボンを上げる。中に放たれた子種が垂れてきたのか、しきりに腰のズレを気にしてみせる。オレもズボンから露出されたそれを収め、何事も無かったかのように彼女の手を握った。
「……ねぇ」
彼女が上目遣いにオレを睨む。先程までの性交に当然ながら不服そうな様子を見せるが、五感で伝わるその感情に拒絶は一切ない。
「今日、泊まっていいかな」
最後の方は正気を失っていた彼女は、むしろこの状況を不服にすら思っているような様子。先程までの咎めるような目はいつしか、もう一度懇願するそれになっている。そんな様子がまた愛おしく思えて、体を抱きしめて答えに代えた。