目が覚めたその時、布団の中には自分ではないぬくもり。正体を探ろうと布団を捲った瞬間、不意打ちの大きな力で体を押さえつけられる。頭上にいるのは茉子、慌てて喋ろうとする俺の口を塞ぎ、静かにと伝えてくるその意図が未だに理解できない。
「将臣さん……まだじっとしててください」
「どうしたって、こんな朝はやくに、しかも」
「シッ、静かに」
またしても口を塞がれる。床板が鳴る音が遠ざかり、そして彼女の体が少し俺のもとから離れる。押し付けられた乳房の柔らかさ、手のひらのぬくもりが少しもったいなく思えた。
彼女は仰向けで寝る俺の上に乗るように、うつぶせで寝ている。俺の胸元にちょうどやってくる彼女の黒髪は手を伸ばせばすぐにでも撫でられそうだけれども、伸ばしたその瞬間にそれは拒まれてしまった。
「今日はワタシが、将臣さんに房中術を仕掛けるために来たんですから」
「房中……術?」
言葉の真意を測りかねているその間にも、彼女の手は俺のズボンへとかかっていた。夜這いならぬ朝這いとでも言うのか、彼女はこんな早朝にも関わらず俺の一物を刺激しようとしてきた。まだ寝起きということで硬いままのそれは、すぐ彼女に見つかり玩具にされてしまう。
「あは、もうこんなガチガチになっちゃって」
「これは生理現象で……っ!」
彼女の細い指が絡み、寝起きで敏感なそれが刺激される。艶めかしい手付きは触手かのように気持ちいいところを撫で擦り、少しでも気を抜いたら絶頂へと導かれてしまいそうだった。声を出そうにも、大きな声を出したら廊下にまで響いてしまう。今はひたすら、吐息まじりに耐えるしかなかった。
「茉子っ、そこは……」
「ワタシも、ちょっと我慢できなくなっちゃいました」
続く愛撫が止まったかと思えば、顔に彼女の柔肉が押し当てられる。すでにしっとりと濡れた秘部に顔を近づけようとしたそのときに、彼女もまた俺のモノを咥え刺激し始める。互いの気持ちいいところをこんな早朝から貪り合う、その背徳的な興奮を楽しみながら二人だけの秘密の朝を過ごす。
茉子の大事なところからは愛液がとろとろと溢れ、俺の顔を少し濡らす。固くなったペニスにも彼女の舌が絡み、また包み込むように刺激を続けてくる。たまらず身を捩ると、彼女の体はピッタリと俺の体を掴んで離してくれそうになかった。
「は……んっ、んちゅぅ……ひゃ、ひぁぁぁっあああっ」
仕返しとばかりに彼女の陰裂に舌を差し込み、クリトリスに小刻みな刺激を加える。茉子の口から溢れる声に少し満足感を覚えながら、また彼女からの愛情表現を受け止める。陰茎はもう限界まではちきれんばかりに膨らんでいるけれど、もう少しだけ我慢できそうだ。
「良いん、ですよ……将臣さんのおちんちん、もうこんなに大きく……」
声に合わせて震え、また射精したくなってきた。衝動をぶつけるかのように、茉子の臀部を鷲掴みにして舌を這わせてみる。ヒクヒクと動く膣肉の様子から彼女が小刻みな絶頂を迎えていることは伝わってきたが、それでもなお俺をイカせようとしてくる彼女の献身的な様についに限界がやってきた。
「ん……んんっ、けほっ、んん……将臣さんの、ドロドロで濃厚です」
「茉子だって何度もイッてたでしょ」
「そ、それは……ナイショです」
一度射精したばかりの陰茎はまだ硬くなり、そして彼女もまた満足していないようで顔を赤らめていた。今度は彼女を押し倒し、はだけた着衣を無視して一気にペニスを押し当てる。割れ目はまるで俺のモノを受け入れようとしているかのように、すぐにペニスが入っていく。そのまま陰茎を押し込み、一気に膣奥を激しく突き上げる。
肉と肉がぶつかり合う音はまだ布団に吸われているけれど、彼女の口からは徐々に嬌声が溢れてくる。時折ゆっくり、そしてまた加速するような抽送に茉子は反抗することすらできそう。
「ん、あ、はぁっ……今日は将臣さんを……っ」
「茉子だってもうイキそうになってる」
余裕そうな声で話すも、もちろん俺だって限界を迎える寸前だった。彼女の肉壷をぐちゃぐちゃと生々しい音を鳴らしながらかき乱すたびに、精液は一気に管を駆け上ろうとしてくる。
「は、ぁっ、まだ、目的が達成できて……っ」
茉子の中で一気に果てる。すでに受け入れるための準備ができていたかのように、震える膣内がすべてそれを受け止めていた。注ぎ込んだ後もなお、彼女は満足しないかのように腰を振り、精液のすべてを搾り取ろうとしてくる。
「あ、はぁ……出しちゃいましたね、それなら、ワタシの番ってこと……ですよね」
射精の反動を無視するかのように体を揺らされ、豊満な乳房が眼前で揺れる。今度は自分の意に沿わない、むしろ強引なまでに彼女のペースに飲まれながらのセックス。ゆっくりと射精したいという欲はせり上がってくるけれど、声が出ないほどの快感に頭を支配されていた。
「茉子……っ、今動かれたら」
「今は、将臣さんを気持ちよくしているんですから」
彼女の中、精液に愛液がまじりぐちゃぐちゃと静かな和室に響く。もうすぐやってくる何度目かの絶頂が限界に達しそうなとき、彼女の動きがぴったりと止まる。
「は、あっ、ワタシも気持ちよくなっちゃい、ました」
彼女の絶頂に合わせ、また精液が吸われる。膣内に満ちていたはずの精液を更にかき分け、また一気に出し、そして今度こそ力なくペニスは垂れ下がる。お互いにドロドロだというのに、もはや動く気力なんてなくなっていた。
「将臣さん、どうですか。これが秘伝の房中術ですよ」
「……すごかったけど、俺に仕掛けるのは何か違うような」
「誤差ですよ、誤差」
ほどなくしてやってくる女将さんたちの声が遠く聞こえたけれど、朝から疲れ果てた俺たちに何か取り繕うような余裕なんてなくなっていた。