個人的には和奏ちゃんはちょっと柊史のことを意識してたと思うんですよね、だからその場の勢いに流されただけじゃなくて、酒の勢いですべて吐き出しちゃうような感じがいいかなと。
姫松学院を卒業して、オレは近くの大学に進学した。あのときのハロウィンパーティでベースをその場しのぎで始めたつもりが、気付いたら趣味の一つになっていて、適当なサークルに入って活動も始めた。
「……あれ、保科?」
「仮屋もこのサークルだったんだ」
「この学校でバンドやりたいなら、ここが一番だしね」
入学してすぐに、仮屋がこのサークルに入っているのを知った。知り合いがいるのは心強いと、それから授業の代返や持ってないプリントの改修などなど、腐れ縁のような関係で気づくと二年ほど経っていた。
……そして、今は部屋に仮屋がいる。お互い長期休暇と言ったものの、暇で仕方ないわけで、こうやって意味なく集まってはオレの部屋で酒を飲む事も増えてきた。お互い、それなりに人見知りしてしまう方なのもあって、サークルでもバンドメンバー以外とあまり話さないとなれば、学校で知り合いを増やすことも出来ない。そうなってしまえば、共通の知り合いを呼ぼうにも呼べないので当然二人きりになる。
「でさ、この前のライブで……って聞いてる?」
「ごめんごめん、それで」
「メンバーの一人が風邪引いちゃって、とりあえず代わりのメンバー入れてなんとかしたけど……流石に即席だとうまく行かなかったんだ」
「そりゃまぁ、大変だったな」
「アタシだってたまには風邪引いたりして流しちゃうこともあるけど、もう少し申し訳無さそうにしてほしかったね」
お互い、メンバー間の意思疎通には苦労しているのだろうか、大体顔を合わせるとそんな愚痴が飛び交う。しかもお互い飲んでいるとなれば、少々過激な発言も飛び出してしまいかねない。
「そういえば、後期の授業はもう決めたの?」
「一応決めてるけど、時間割見る?」
「うん、見せて」
身を乗り出してオレの携帯を覗き込んでくる仮屋の無防備さには、たまにドキッとさせられる。お互いに家が近いのもあって、仮屋も適当な格好でやって来ることが多い。なんというか、異性としては見られてなさそうなぐらいにラフな格好だ。
「ちょっと、近いって」
「うひひ、ごめんごめん」
「それで、時間割はこれ」
グイッと近寄ったときに胸元が少し見える。控えめながらもしっかりと主張しているその膨らみも、そしてその内に着ているキャミソールも。それどころか、もっと見えてはいけない所、つまりは乳房の方まで見えてしまいそうなぐらいだ。
「ふーん……あっ、これアタシと同じじゃん」
「それならまた代返とか頼むかも」
「えー、それなら保科もたまにはやってよね」
そう言いながら、体を擦り寄せてくる和奏にドキドキせずにはいられない。鼻腔をくすぐるような甘い匂いと、柔らかな肌の感覚に惹かれる。仮屋の白い肌は、すでにほんのりと上気した様子で、それが酒なのか興奮からなのか、皆目見当がつかなかった。
「てか、ちょっと近いって」
「良いじゃん、アタシと保科の仲だし」
机の上に置いていたチューハイの缶を手にして、わざとらしく頭を寄せてくる。一回り以上小さい仮屋の体は、こうして見ると少し儚げでどうしようもなく庇護欲が湧いてくる。自分もいよいよ酔いが回ってしまったのかと考え、どうにか冷静になろうとしても熱は冷めない。たまらず、机においてあったまだ冷たいビール缶を開け一気に流し込む。度数はそんなに強くないはずなのに、冷たさとその勢いで軽くめまいがする。
「そんな事言って、オレだって男だからな」
「へぇ、保科もそんな事言うんだ」
普段のオレなら言いそうにもない言葉が口をついて出る。それに対する返答は、明らかに舐められているような気がして、オレの中の加虐心に火がついた。この部屋にはオレと仮屋だけ、そして時間帯も深夜。ちょっと脅すぐらいなら良いだろう。そう思って仮屋の眼前まで顔を近づけ、そしてキスするようなフリをしてみる。その刹那、姿勢を崩して完全に押し倒してしまい、彼女の上で四つん這いになった。
「ちょ、ほ、保科?」
「えっと、その、悪い」
「……ねぇ、保科。アタシのこと、どう見えてるの」
答えに窮する。仮屋は高校の同級生で、そして今はサークルの同期で……。正直、さっき迫られて一瞬グッとくるものはあったが、異性として意識したことはほとんどなかった。まぁ、今のこの行動の後にそんなことを言ってもウソにしかならないが。
「仮屋は……いや、ごめん」
「バカ……そんなこと言って」
突然押し当てられた唇の意味を理解するまで、時間はそうかからなかった。オレが押し倒して、そしてその答えがこれ。仮屋が何を望んでいるのか、これ以上言う必要もない。そう、これはすべてお酒が悪いんだ、と言い聞かせて再度彼女の唇に重ねた。
「んっ……ちゅっ、保科、やっぱりアタシみたいなちっぱいじゃダメ……なのかな」
「そんなわけ、あるかよ」
「そっか、今の保科、とってもエロい目してるもんね」
お互い酒臭い息だから、気になることは何もない。酔いが十全に回ってやや眠たそうな彼女の瞳を見つめていると、吸い込まれそうな魅力を感じる。もしかしたら、もっと前から仮屋のことが好きだったかもしれない、そして仮屋も……そんな勘違いすら起こしてしまいそうな情熱的なキスを交わす。
「保科……やっ、んんっ、ちゅ……アタシ、こんなエッチな子じゃじゃないのに」
「自分からキスしてきて、今更」
「それは……! 保科が、ああっ、んっ……」
床に寝そべる彼女を引き起こし、そしてベッドへと導く。その間に、彼女は我を忘れるためのように缶を空にしていく。オレも同じように、酒を加えてこの一晩のことを忘れるようにする。そう、仮屋はあくまで同級生で……。いや、今はそんなことを考えるのはよそう。
「アタシ、こんな小さいけど……」
「今更そんな事言うなよ。オレにとってはそれでも十分魅力的だから」
「そっか……」
彼女はちょっと安堵した様子で体の力を抜く。そして彼女は更に酒を飲み始める。いよいよ彼女の限界を超えるのではという心配をしつつも、それでも彼女を止める理由はなかった。
「ふぁぁ……保科、アタシ、もう酔っちゃって、なにら、なんらぁ……」
「本当に、良いのか?」
「うん、アタシ、保科なら、いい、よ。ねっ、キス……しないの?」
普段の仮屋じゃ想像がつかないような甘えっぷりを見て、我慢の限界を迎えた。押さえつけられ続けた性欲が一気に爆発して、仮屋の唇を体を、自分のものにしたくてひたすらキスを続ける。確かに、小さなその乳房は彼女がコンプレックスにするのも仕方ないというのはあったが、同時にその体を自由にできることが妙な背徳感を引き起こす。
「アタシ、保科になら……もう、こんなになっちゃって」
「仮屋、もう、オレ」
彼女の着ている服をゆっくりとめくっていく。白い肌がどんどん顕になっていって、そのたびに興奮は高まっていく。彼女のショーツやキャミソールは、どうやら新調したばかりのようだった。そんな彼女の下着越しに、彼女の秘部の匂いを嗅いでみる。
「やあっ……保科、そんな」
「仮屋だって、期待してたんじゃ」
「そんな……ね、ねぇ……でも、保科はまだ満足して……ないよね」
その答えは行動で示した。布で覆われた彼女の秘部をゆっくりと顕にしていく。すでにしっかりと濡れていた彼女のなめらかな秘部がオレの眼前に晒され、そこを弄びたくなってくる。味わうように舌を這わせていくと、彼女の敏感なところに触れてしまったのか、体を震わせ反応してみせる。初めてみたナマの女性のソレだというのに、魅力的にテカテカと濡れていて、下半身に血流が集まっていく。
「保科……ねぇ、アタシ、もう良いから」
「それじゃ……」
キャミソールをめくりあげ、彼女の小さな乳房を顕にしてから、濡れた秘部に怒張したペニスを押し当てる。初めてだというのに、それはすんなりと仮屋の中に飲み込まれていって、正直失神しそうになるほどの快感だ。
「保科のここ、アタシ……んっ、ああっ」
すぐに仮屋の最奥を突く。彼女の膣内は窮屈で、ちょっと気を抜いただけですぐに射精してしまいそうな、そんな苦しい気持ちにすらなる。こんな、その場のノリで童貞を失ってしまった、という事実よりも、今はこの瞬間を大事にした。
「仮屋、これ、って……」
「あ、アタシ……保科が好きで、好き……ああっ、保科、保科ぁ……アタシ、おかしくなっちゃ」
突然の愛の告白に、一瞬意識が飛びそうになる。そういえば、初めてのセックスでは破瓜の痛みや出血があると聞くが、もしかして仮屋は……。いや考えないでおこうとしても、もしかしたら態度に出てしまったのかもしれない。
「アタシ……保科が好きで、ああっ、ダメ、ダメッ……アタシ、恥ずかしいこと、言っちゃって……」
言葉に出さなくとも、すべてお見通しということか。仮屋が自らの情事について語る瞬間がまた興奮を催す。初めてだというのに、彼女の膣はオレのモノを包み、痛いほどに強い刺激を与えてくる。一突きごとに体の奥底から何かが沸き起こってくる。
「ね、保科、アタシ……いっぱい、保科の、らしてぇ……ああっ、んっ」
「そんな、良いのか」
「いい、よ……保科なら、いい」
その言葉に呼応するかのように膣内に大量の精液を流し込む。酒の勢いで押し倒してしまい、そしてあろうことか中にすべて注ぎ込む。あまりにいきあたりばったりの行動だが、溜まりに溜まった精を吐き出さずにはいられなかった。抱き寄せ、今度は唇を重ねる。今度は、彼女が舌を絡ませてきた。
「んっ……保科、好き、好きぃ……」
「オレもだよ、仮屋」
甘く切ない愛のことばをささやきながら、彼女の小さな、か細い体を抱きしめてジッとしていた。
翌朝、起きてようやく何が起きたかを理解した。隣にはすやすやと、気持ちよさそうに寝ている仮屋。そしてお互いの姿は一糸まとわぬ生まれたままの姿。昨日は、酒を飲んで……そして。
「もしかして、オレは」
「んにゃ……保科……好きぃ……」
気持ちよさそうな寝顔を見て、全てどうでも良くなってしまった。もし、昨日の情事が勘違いからの始まりだったとしても、いつか仮屋とはこうなるような気がしていた。少なくとも、今はこの仮屋を抱きしめて、そして大事にしたいとただ思えて仕方ない。