小説で記念って言われても難しいところですよね。せっかく記念なんだから全員出したいと強引にまとめきった感じがありますが、まぁ書きたいことはかけたかなぁ......
「センパイって、なにかやり直したいって思うようなことありますか?」
「やり直したい……うーん」
ある日の放課後、部活動にやってきた皆と特にすることもなく雑談をしていたときのことだった。唐突な因幡さんからの問いかけに皆が頭を悩ませている。
「俺はもちろん、あの女に関するアレコレだな!」
「っていうか、どうして海道まで部活にやってきてるんだよ」
「細かいことは気にするなよ。本当、あのときの俺は若かったなぁ……」
どういう風の吹き回しかついてきた海道が、いの一番にさっきの問いかけに答える。前に海道の色恋沙汰についてちょっと聞いたことはあったが、あれはやり直したいことの1つだったのか。
「そもそも海道って彼女いたんだ」
「和奏ちゃんひどいな!? 俺だって彼女の1人や2人……いや、この話はもうやめにしよう」
「……海道先輩って、もしかして結構遊び人なんですか?」
同じく海道と一緒についてきた仮屋に突っ込まれ、また同時に因幡さんからジトッとした目で見られている。助け舟を出す気にもならない自爆っぷりに、少しため息をつきたくもなった。
「そんな俺を汚いものを見るような目で見ないでくれ! それなら、椎葉さんは何かやり直したいことはあるのか?」
「わ、ワタシ? えっと……何かあるかな……」
「めぐるも、紬先輩のやり直したいこと気になりますっ」
椎葉さんがやり直したいことといえばきっと魔女のことだろうか。だとしたらここでそのことは言えないだろうけれども、それ以外にも何かあるのか。かなり悩んでから返ってきた答えは意外なものだった。
「ワタシはないかな。確かに後悔していることはあるけど、それでもやり直したいことはないよ」
「ええっ、本当にないんですか?」
「うん、ないよ。めぐるちゃんは?」
「めぐるの……やり直したいこと……」
ないと言い切る彼女の様子からは嘘や隠し事は全くなさそうだ。オレの能力だから分かってしまったことだが、それでも魔女の契約を含めてもやり直したいとは思ってなさそうなことにはちょっと驚いた。一方の因幡さんはさっきからどんどん顔色が悪くなっていく。
「ええと……まずは入学するところからやり直したいですぅ……」
「確かに、無理なデビューしようとしてたっけ」
「ちょっと、センパイその言い方はひどくないですか!?」
「えっと、めぐるちゃんそんなことしてたの?」
「そんな、めぐるを可哀想な子みたいな目で見ないでください!」
そういえば椎葉さんが転校してくるまでに、因幡さんの高校デビューの話は終わっていた。彼女が知らないのも無理はない。とはいえ自分で言いだしたのだから因幡さんもあたふたするばかりだった。
「それなら、戸隠先輩は何かあるんですか?」
「うーんと、そうだねぇ……私はほら、普段から思い残すことがないようにしているから」
「なんだかその言い方、すごくデキる人というよりもうすぐ死んじゃう人みたいですよ」
「あはは、私はそんなつもりじゃないんだけどね。でも、毎日後悔したくないなって思っているのは本当だよ」
助け舟を出そうと、今度は戸隠先輩に話を振ってみた。答える先輩の表情が一瞬曇ったように見えたが、すぐにいつもの調子に戻る。何か持病が、なんて話を聞いたこともないし気のせいだとは思うけれども、これ以上聞くのはできなさそうな雰囲気を出していた。オレも無理に聞き出すつもりはないから、また別の人に話を振ってみる。
「それじゃ、仮屋は?」
「アタシは……あるといえばあるけど、やり直したいって言われたら違うかな」
「なんだそれ」
「だって、やり直そうとしても多分アタシじゃ同じことしかできないと思うし」
「仮屋さん、結構訳ありな事情があるの?」
「アタシというより……いや、ごめん、忘れて!」
何か言いよどんで、そして撤回されてしまった。ちらちらとオレを見ていたような気がするけれども、それについて深く聞くのはやめておく。人の秘密に踏み入ったら痛い目に遭うのは、オレは文字通り”身をもって”知っている。
「そういえば、さっきから寧々先輩の姿が見えませんね」
「確かに、どうしたんだろう」
「ごめんなさい、ちょっと席を外していました」
ここでまだ聞いていない人は……と全員が綾地さんを探していたタイミングで帰ってきた。当然、全員の目を集めてしまっている彼女は、今どういう状況なのかつかめなくて困っていた。
「寧々先輩、もし何かやり直せるとしたら、何かやり直したいことってありますか?」
「えっと、私のやり直したいこと……ですか」
しばらく迷っている彼女の様子を皆が見守る。そして、ようやく口を開いた。
「私は……」
最後の寧々の言葉は、人によって解釈違いがありそう。
5年も前の作品なのに、まだまだいろんな絵や小説が出ているサノバウィッチ、これからも推していきたいですね。