実際、実家から何か送ってもらうシチュってのは一人暮らしあるあるですよね。基本的に古い参考書や服とか、普段使わないけどたまに欲しい物が届く感じ。
今回は別にエロくはないです。R-18なのは合説の帰りにでも発作的に書いているかもね。あとはワンライでそろそろ書けるキャラをください(懇願)
★Capriccio(あやせ・七海・羽月・茉優・千咲・恭平)
とある休日。親父に頼んでいた本がちょうど届いたらしい。滅多にないが、実家に置きっぱなしにしてしまっていたものはこうやって時折送ってもらっている。この本も、ちょうどそういった類のものだ。
「……あれ、やけに重さが偏ってるな」
受け取ったものはそこそこの厚みがある本のはずだ。それなのに、何故か中で少し動く感触や、重さが偏っている感覚がある。ちょっと細長目の、棒状の重みがある何かだろうか。少なくとも、本ではないことは確かだろう。親父に頼んで、間違えるとはちょっと珍しいな……
「あっ、お兄ちゃん。お父さんから荷物届いたの?わたしが頼んだものも一緒に入ってるかな」
「そうだけど、なんか俺が頼んだのは入ってないみたい」
「お父さんが間違えるって珍しいね……今からちょっと用事あるから、後で取りに行くね」
先を急ぐ七海に軽く応え、荷物を部屋に持ち帰る。箱のサイズが大きいのは、七海宛の荷物まで混ぜたことが原因だったのか。とはいえ、さっきからいくら振っても本は入っている感じがしない。少なくとも、俺が頼んだものについては入れ忘れているようだ。
「俺宛に送ったのに、俺の荷物は忘れるってどういうつもりだよ……」
そこにいるはずのない親父相手に少し悪態を付きつつ、蓋を開ける。そこにあったものは、俺の想像を遥かに凌駕するものだった。
「これは……」
箱を揺さぶったときに感じたあの重みと丸っこさ。その感覚に一切の間違いはなかった。なかったのだが、まさかこんなものが入っているとは夢にも思うまい。パステルカラーの、男性器を模した形のそれが箱の中に堂々と鎮座しているのだ。側面にはところどころに突起物がついており、おそらくはそういう用途に使われるためのものだろう。更に下部にはトグルスイッチがついている。試しに押してみたら振動を始め、少しうねる様子が見られた。なるほどアダルトグッズに疎い俺だったが、世の人々はこういった物を使っているのか……などとひとしきり感心してみせた所で、正気に戻る。
さっき、七海は「わたしが頼んだもの」と言っていた。仮にこれが七海の頼んだものならば、兄として緊急事態なことは想像に難くない。親父がこれを送ってきたという事実、そして七海がこれを頼んでいたという事実。どちらをとっても俺からしたら絶望ものだ。一縷の望みをかけて、箱の中身を念の為見分するも、ピンク色のローターが追加で見つかったぐらいだ。むしろ見つからないでほしかった。知りたくない事実が増えていく。今、俺は親父から送られてきたディルドとローターを持っている。
「お兄ちゃん、もう箱開けたよね?」
思考がフリーズし、永遠にも思える数分間が過ぎ去った。ドアの前には用事を済ませた七海が待っている。仮にこれが七海のものだとして、兄としてこれを引き渡して良いものか。それに、親父にこんなものを送らせるような七海ではない。むしろこんなものを親に頼む人がいるなら見てみたいぐらいだ。ここは一旦、七海のものも届いてないと伝えて親父に電話をしよう。
「ごめんごめん、開けてみたら七海のもないみたい」
「そんな、もしかしてお兄ちゃん、何か隠してる?」
「隠すようなものも……ないでしょ」
「あっ今何か隠そうとした!」
なんとかして逃げようと言いよどんだのを、七海は許してくれなかった。このままだと部屋に入ってきて強制的に見ようとする。七海にこんなものを渡すなんて、兄の尊厳に関わる。仮にこれが本当に七海のものだったとしても、俺からこれを手渡したくはない。明日から七海を見る目が180度変わってしまいかねない。
「もう、お兄ちゃんったらどうしたの」
「違うんだ、本当に、親父が間違えてて」
「わたしが見たらすぐ確認できるから早く開けて!」
ドアを挟んで繰り広げられる押し問答。俺は必死でドアを押さえ、七海は必死でドアを押し開けようとする。ドアの強度は十分だが、あまりの狼狽ぶりに体に力が入らない。だが、ここで侵入を許したら兄として終わりだ。妹にディルドとローターを渡す兄というその図だけですでに犯罪じみている。
「あれ、どうしたの」
「恭平!?とりあえずまずはそこの七海をなんとかしてくれ!原因は後で話す」
「えっ、ええ?」
突然の頼み事に困惑しつつも、しっかりと七海を引き剥がすことに成功する恭平。やはり持つべきものは友だ、と一人で頷いているとドアがゆっくり開く。ちらっと覗いたその青髪は、七海ではなく恭平だった。即座に招き入れ、ドアを閉める。内側から鍵をかけ、ロックをつけ、完全な個室を作るだけでなく窓にもカーテンを閉める。七海が裏技として上から降りてきたら話にならない。
「……で、なんで僕は兄妹喧嘩に巻き込まれたの」
「違うんだ恭平、これを見てくれ」
そう言いつつ、さっきの箱から太くて長い、パステルカラーのソレを取り出す。同時にピンク色の物もベッドの上に置く。最初は呆れたような目でこっちを見ていた恭平も、徐々に困惑が満ちていく。
「これって……」
「そう、これが届いた」
初めて見たのだろうか、置かれた物をゆっくりとながめる。そして重い口が開かれたその時、俺はその判断を後悔することになった。
「あのさ……もしかして、暁って僕のこと男だって思ってない?」
「は?」
「だって、こういうのを僕に見せるって……その……」
「いや男だからこそ、相談に」
「申し訳ないけど、僕はそういうのに興味はないから」
「だから俺をそういう扱いにするな!」
告ってもいないのに振られたような気分だ。見せたソレは、確かにそういう趣味の男性が使ったとしてもおかしくはないだろう。とはいえ、いくらなんでも俺は恭平に使う趣味はない。その2つの性具は、俺からしたらあくまで誤配送の結果届いただけの物だ。決して人に使おうなどとは思ってもいなかった。
「全く……こんなことなら僕ももうちょっと格好良い顔に生まれたかったな」
「だから違うって!」
恭平の誤解は解けそうになく、結局そそくさと帰られてしまった。恭平いわく、「こういうのを持った暁といるのは身の危険を感じるから」と。完全に危険人物の認定をされてしまった。どうしてくれる。
同刻、周防先輩のとりなしで一旦は暁の部屋から遠ざかった七海だったが、あの必死そうな態度に少なからず疑いを抱いているのであった。
「……ねぇ、千咲ちゃん」
「どうしたの、七海ちゃん」
「男の人が隠し事するときって、何かあると思う?」
「うーん……人にもよりますけど、ズバリ、エロいことが第一候補」
質問に対し、ど直球で返していく千咲。七海の顔が一気に紅潮する。体中の血液が顔面に集まってきたのかという程に赤くなった彼女の横顔は、それだけでも十分恋に落ちそうなものだが。
「え、え、エロいことって……お兄ちゃん、もしかしてわたしに黙って」
「あんまり人の家に口を挟むのもなんですけど、在原先輩も男の子ですし、そういうことはあるんじゃないですかね」
「だって、あれ、私が」
顔が真っ赤になる七海と、淡々と応えていく千咲。そして、そこを通りかかった他の先輩たちも話に加わろうとして来るお陰で、更に混沌としていく。
「んん?どうしたんだ。在原くん達が揉めるとは珍しい」
「もしかして、暁くんと何かやっちゃったの」
「在原くん、もしかして七海さんに……」
皆七海のその不安そうな顔を案じて集まってきた。そして七海が事情を話し終えた所で、皆がそれぞれに話し始めた。
「うーん、お姉さんもそういったことは経験ないかな……まぁでも、暁くんはたまに強情なときもあるし」
「ワタシとしては兄妹喧嘩は良くないと思うな。たまに喧嘩をすれど、最後は仲直りする。それが健全な兄妹仲だと思う」
「確かに、在原くんがそこまで強硬な反応をするのは不思議ですね……」
結局、皆で話しても結果は出ず。喧嘩ではないものの、進展の糸口を掴むために皆で揃って暁の部屋を訪れることにした。
「暁くん、さっきはちょっと強く言い過ぎちゃってごめん。何があったの?」
「いや、これはその」
「もしかして、七海ちゃんには言えないような物を持ってるとか……」
「ちょっと、千咲ちゃん」
「そこまでだ在原くん。風紀擾乱を働くものはここで成敗してみせよう
「だから違うって!」
ドアの外からは複数の気配を感じる。声が聞こえた七海に壬生さん、二条院さんはともかくおそらくあと2人。恭平は部屋に戻っているから、三司さんと茉優先輩だろうか。なおのことドアを開け放つわけには行かなくなった。
「そろそろ開けないと、寮長の権限のもと強制的に解錠させるしかなくなるな」
「ひどい横暴!?」
多勢に無勢。ましてや寮長があちらにはいる。荷物をベッドの下に隠し、そしてドアの施錠を解除する。適当に箱の中身を偽装したが、時折部屋に来る七海が変化に気づかないことを祈るしかない。
「あれほど隠した割には、何の問題もなさそうだが」
「ふーん……暁くんの部屋ってこんなだったんだ」
ドアを開放すると5人がなだれ込んでくる。そして、部屋中を見て回り、怪しいものがないことを確認していく。先頭で入ってきた二条院さんが部屋奥を見て、机周りを七海、ベッドを茉優先輩、入り口は三司さんと壬生さんが確認している。これでようやく濡れ衣は晴れ、更に七海を不適切なものから守ることが出来た。そう、ホッと胸をなでおろしたその直後だった。
「暁、さっきはごめん。僕は暁が、そういう趣味だったとしても止めはしないよ」
それは天然ゆえの発言だったのか、あるいは俺をハメるための発言だったのか。その言葉に反応をした皆が部屋中を漁り、そしてベッド下から例のブツを取り出すまでには時間がかからなかった。
「寮長の権限として没収することもやぶさかではないが、先に話を聞こう」
「暁くん……いくらなんでもこういうのを妹に見せるのはどうかと思うな」
「わ、わたしがこんなもの頼むわけないでしょ!」
「ほんと、これはサイテーとしか言いようがないですね……」
「在原先輩、ちょっと失望しました」
見つかり、ベッドの上で正座する俺の目の前に並べられるディルドとローター。見せるとは言ったものの、俺は別に見せようとしていたわけではない。もっと言えばむしろ必死で隠そうとしていたほうだ。理不尽なまでの言葉の暴力に狼狽えつつ、険しい顔の5人を前に、前を向けない。
「言葉もありません。きちんと処分します」
「うむ……それならワタシからは特にない。後は兄妹の間の問題だろう」
「まぁ、これで当分ここの人たちに軽蔑されちゃうのは仕方なさそうですけどね」
「壬生さんひどくない?」
「で、暁くん。これはどういうことなの」
「だから親父から」
「何でお父さんがこんなもの送ってくるの?」
「それは間違えたからだって」
4人が退出していく中、残った七海に詰められる。必死で言い逃れをしようとするも、これは聞き入れてくれる様子はない。たまらず、業務時間中の親父に電話をするという暴挙に出た。
「もしもし、こんな時間にどうした」
「親父、もしかして配送品間違えてないか?」
「ん?俺がそんな初歩的なミス……おい、お前、もしかしてそれ」
「……サイテーな親父だな」
「すまん!これは本当に間違えただけなんだ!決して俺が使っていたとか、そういうわけじゃないから」
「別に親父が恋人を作っていてもいいけど、俺に誤配するのはおかしくないか?」
「違うんだ、同タイミングで送った証拠物品と中身が入れ替わってしまったみたいだ」
「これ、証拠物品だったのか……」
親父の言うことを信用するかはともかく、証拠物品というその発言を一応は信じてみる。さて、そういうことであるならば、もう一方は証拠としてどこかに送られているはずだが。横を見ると七海が顔を真赤にしている。一体何を送らせようとしていたのか、それはそれで気になるが今は聞かないでおこう。
「とりあえず、それはすぐに送り返してくれ。証拠品の紛失なんて一個間違えたらちょっとした不祥事じゃ済まないレベルになる」
「で、俺のものは」
「すぐに送る。本当にすまなかった。
結局、俺の失われた社会的信用は戻っては来なかったが、数日後に確かに本は届いた。七海が顔を真赤にしていた理由はわからないままだった。なぜなら俺宛の荷物というのに全力で回収にかかってきたから。最初はそう隠す様子もなかったのに、なぜ今頃……新たな謎が深まったが、これ以上詮索すると七海から本当に口を聞いてもらえなさそうなのでやめておいた。
ディルドとピンクローターが配送されてくる寮、何事なんだ。
七海ちゃんが隠したかったものって何でしょうね。正直私の中ではいくつか候補があるような、ないような。とんでもない物を頼んでたらエロ派生もあったかもね?