七海が寝取るお話です。
任務中に不意の事故で多少の怪我をするなんてのは、その仕事の性質上たまには起きうる。ただ、今日は足を滑らせた位置が悪すぎた。幸い受け身は取れたから骨を折るような重傷にはなっていないものの、緊張が途切れた途端意識が朦朧としてきた。
夜中に学院の生徒が校外で大怪我、なんて当然ごまかしが効かない。となれば無理にでも寮に戻ってベッドから落ちたとでも言い訳するしかない。そんないい加減な理由が通用するのかは疑問が残るところだが。
「……っ、だめか」
ベッドの上でも痛みは引かず、このままでは寝付けるわけもなさそうだ。痛み止めを打つと痛みは引いてきたものの、今度は薬剤の効果で視界が歪み始める。確か、部屋に帰ってから何かしなきゃいけないことがあったような……回らない頭で考えたところで、思い出すことは叶わなかった。
部屋に誰かが入ってくる。時計ははっきりと見えないけれども、差し込む月光はさっきとさほど変わった様子はない。そうか、任務が終わったら千咲に連絡しなきゃいけなかったんだっけ。それで連絡がないからこっそりやってきたのか。
髪を両脇の高い位置で束ねた少女が、俺の枕元にやって来る。どこか違和感を覚えては居たけれども、その理由を考えられるほどにまだ頭は働いていない。着の身着のまま寝転がった俺の体から服を甲斐甲斐しく脱がし、タンスに仕舞っていた寝間着を取り出していた。何か言っているのは聞こえるけれども、目の前の少女の顔すらはっきり捉えられないような状況では、何を言われても理解できるわけがない。
「……が、………ね」
「何を、っ……」
体がじんわりと暖かくなる。血の巡りが突然良くなったかのような、そんな感覚だ。千咲はいつもの寝間着姿のまま、まだ裸同然の俺にぴったりと密着している。全身に力は入らなくても、そんな状況では反応するところが反応してしまう。それを見た千咲は、ちょっと驚きながらもそっと布の上から労るように手をさする。
「わっ……こうすると気持ちいいんだ」
まるで初めてかのようなことを言いながら、なおも擦る手は止まらない。次第に彼女も俺のソレにあてられたのか、顔を紅潮させ自らの秘所に手を滑り込ませている。俺のモノを隠す布は彼女によって取り払われ、勢いよく中空に屹立した。
千咲が唾液をしっかり溜め込んだ口の中に、俺の肉棒を咥え込む。生暖かいその口内で、ぎこちなく転がされるたびに痛み以上の快感が走る。ちょっと頭を上下させるたびに小さな口の中に当たって気持ちよさが増していた。
「んむ……っ、はむっ……」
大きさに驚いたのか、目を少し見開いたかと思えばすぐに目を閉じ、口の中に入ったペニスを味わうように舐めている。喉の奥まで咥えるのはまだ怖いのか、傘のあたりをちろちろといじめてきた。
普段の彼女からは想像できないほどに嗜虐的な様で、ペニスをまた咥えてはひたすらに愛撫を続ける。千咲の口の中で幾度も転がされ、すぐに細かい絶頂がやってくる。陰茎から伝わる感覚が今までにないほどに刺激的で、痛み止めのおかげで朦朧とした意識が更に怪しくなってきた。うまく脳波をコントロールして意識を保とうとしても、こんな状況ではまともなコントロールができるわけもない。
「……っ、千咲、出るっ」
「んぐっ……ぐっ、んんっ……」
溢れるように出てきた精液をすべて彼女の口内にぶちまける。小さな口の中に放たれたそれをすべて飲み干し、また吸い出すようにペニスに食らいついてくる。一度絶頂を迎えたはずなのに、まだ自分の肉棒は硬く、太くなっていく。今までにない感覚に、まるで精力剤でも打たれたかのような錯覚も覚えていた。
「良いよ……もっともっと、いっぱい出してね」
聞こえた声は千咲のそれではない気がしたが、目の前にいる少女は紛れもなく千咲に見える。考えることを放棄して、またやってくる快感に身を任せる。吸い上げ、溢れ出てきた精液を飲み下しながらなおも口淫をやめない彼女にされるがままになっていた。
少しして、今度は口からペニスが離される。唾液や体液でドロドロになったソレが外気に触れて、射精後の敏感になっているところにむず痒いような気持ちよさがやってきた。千咲は自分のズボンを脱ぎ、割れ目にそっと俺のものをあてがう。まるで生娘のようにぎこちない手付きで、それをゆっくりと掴み挿入していく様に、背徳感を感じずには居られない。
「入っ……たぁ……。お兄ちゃんの、こんな奥まで入っちゃってるよ」
「……っ?」
俺の上にまたがる少女は確かにいつものツインテールで、特徴的な髪飾りをつけている。そのはずなのに、今聞こえた言葉は千咲が言うそれではない。一度放り投げた疑問がまた頭を支配する。
「さっき射精してたのに、もうこんなに……お兄ちゃんの、やっぱり硬くて、太くて、気持ち、いい……」
しかし、そんな言葉もしっかりと聞き取ることができないほどに、彼女の腟内がうねり俺のものを締めあげてくる。愛液が泡立ち、肉と肉が当たるたびに部屋に音が響く。時折交じる彼女の嬌声が何度目かの射精を懇願するように聞こえてきて、いつしか俺も腰を突き上げはじめていた。
半透明の液体が結合部をしっかりと浸し、どんなに擦っても痛みを感じないほどにヌルヌルとしていた。見せつけるように後ろにのけぞり、嬉しそうにしている彼女の顔はどこか誇らしげにも見える。彼女の蜜壺からはなおも液が溢れ、お互いの太ももを汚している。
「んっ、は、ぁ……はぁ……、お兄ちゃんのおちんちんが、わたしの奥まで」
「いきなり、っ、ん……」
彼女の言葉の意味を考えるよりも早く、千咲がペニスを擦り、膣内でグリグリと全方位から刺激する。狭い中をかき混ぜるように動くペニスは、俺の意に反して脳を焼き切るような快感をもたらしてくる。本能に従い、直に何度目かの射精を迎えてしまった。
「んっ―――ッ」
彼女の膣奥をいっぱいにするほどの射精を済ませ、力なくペニスがお腹の上に転がる。余韻で荒くなった息に合わせて俺の体が上下しているのを見て、彼女は満足げにほほえみ、自らの着衣をかき集め、部屋から出ていこうとする。その時に見た後ろ姿は、紛れもなく、千咲ではなかった。
お兄ちゃんの部屋の外、冷静になった頭で、ようやくことの重大さを思い知る。わたしのココは今もまだヒリヒリと少し痛いけれども、それ以上に満足感で満たされている。それなのに、千咲ちゃんを裏切ってしまったことへの罪悪感がまだ拭い去れていない。
ことの発端はあの薬だ。幻覚作用があるということは聞いていたから、それを投与したお兄ちゃんのもとに行ったら自分の気持を抑えきれなくなってしまった。無論、彼女の髪型を真似てみたところから、もしかしたらという気持ちもあったかもしれない。
「……だめ、だよね。でも、もう」
お兄ちゃんの精液を受け止め、今もなお少しずつ垂れてきているようだ。願わくば、お兄ちゃんがこの夜のことをすべて忘れて、明日はまた何事もなかったかのようになってほしい。でも、それはもう叶わない願いだと知っている。
「……っ、誰?」
「あれ、七海ちゃん? どうしたの、こんな夜中に」
「千咲ちゃんこそ、ど、どうして」
「あー、えっと……」
恥ずかしそうに顔を赤らめ、もじもじとする様から何をするか想像するのは容易だった。心に満たされる邪悪な感情が、千咲ちゃんを止めたいという気持ちにもなるが、そんなことができるほどわたしは非情になれなかった。
「そっか、見つからないようにね」
当たり障りのないことをひとこと告げて、そっと部屋に戻る。失恋の悲しみを癒そうと、お兄ちゃんにあんなことを仕掛けたことを後悔してもし足りなかった。