囚われのトワ 〜教官としての責務〜 作:Washi
世界の命運がかかった、黒キ聖杯を巡る戦い。トールズ士官学院第Ⅱ分校と旧Ⅶ組は、全身全霊でその戦いに挑んだ。しかし、その結果は敗北だった。
離脱に成功したほんの数名を除き、彼らは全員拘束された。そして、地精の拠点に閉じ込められてしまった。それは、教官のトワ・ハーシェルも例外ではなかった。
*
地精の一員、”銅のゲオルグ”ことジョルジュ・ノームは、地精の長に呼び出され、彼の部屋を訪れていた。長は彼を一瞥すると、淡々と口を開いた。
「クロウ・アームブラストが記憶を取り戻したようだな。あれは、お前の差し金か」
「はい。オルディーネの力を十全に引き出すには、それが最善ですので」
一方のジョルジュも常人が聞けばゾッとするくらい、感情のない声で答える。まるで機械が合理的に物事を判断し、決定を下すかのように。
「なるほど。しかし、奴は学院においてはお前と親しかったようだな? 情による判断で記憶を復活させたわけではないと証明できるか」
「できません。ですが、先ほど述べたことが全てです」
「なるほど、ならば証明してもらおう」
そう言われたジョルジュは、怪訝そうに眉を寄せる。たった今、証明はできないと言ったばかりだ。
それを察していたのか、長は言葉を続ける。
「要は、お前が情けをかけないかをこれから実証できればよいのだ。先の戦いで捕らえた者たちの中にもう1人、お前と親しくしていた者がいたな?」
「ええ。トワ・ハーシェルのことですね」
「そうだ。そこで、そうだな……」
長は一旦言葉を切ると、真っ直ぐジョルジュのことを見据える。その視線は、部下であるジョルジュですら心臓を鷲掴みにされたような錯覚に陥るほど、鋭かった。
数秒ほどの間を置いたあと、長はジョルジュに一言告げた。
トワ・ハーシェルの心を壊せ、と。
*
帝国のどこかにあるであろう地精の拠点。暗黒時代の遺跡を思い起こすような、石造りの建物。無数の階層と部屋で構成されており、増設による積み重ねか、廊下は複雑に入り組んでいる。その全容を把握するのは、容易ではないだろう。
そんな建物のとある1室に、トワは軟禁されていた。部屋の内装はそこらの宿とそう変わらない。ただ、部屋が地下にあるのか窓の類は一切なかった。おかげで時間の流れが不明瞭で、トワは閉じ込められてからの正確な日数を数えることができずにいた。
トワはベッドに腰掛けたまま、身じろぎ1つしない。黒キ聖杯の戦いから少なくとも数日は経過していたが、トワの胸の内は未だに失意に支配されたままだった。
なにせ、親友だと信じていたジョルジュ・ノームが実は地精の1員で、敵として立ち塞がったのだから。しかも、彼は同じく親友のアンゼリカ・ログナーを殺害していた。
トワは最初、そのことを信じていなかった。あのジョルジュがそんなことをする筈ないと。しかし、彼が爆弾でカレイジャスごとアルゼイド子爵、トヴァル・ランドナー、そしてオリヴァルト皇子を屠ったことで、否が応でも思い知らされた。トワの知っていた彼は、都合のよい幻想だったことを。
さらに、記憶を取り戻したらしいクロウ・アームブラストまでもが敵方についたままだった。つまり、トワは親友だと思っていた3人を全て失ってしまった。しかも、世界の命運をかけた戦いにも敗北し、恋人であるリィンまで奪われてしまった。
無力感と悲しみと喪失感が幾重にも折り重なって、トワの心を締め付ける。その苦しみは、数日程度で和らぐものではなかった。涙を見せないのは、教官としてのせめてもの意地だ。
(この世界は、どうなっちゃうんだろう……)
ずっと閉じ込められていたため、外の様子は分からない。しかし、世界が終わろうとしているのだけは、敗北したときに感じた禍々しい気配で分かった。
そうやって世界の行く末を案じていたそのとき、かちゃりと部屋の扉の鍵が開くような音がした。音に反応してトワがそちらへ顔を向けると、扉が開いた。
扉の向こうから部屋に入って来たのは、親友だと信じていたジョルジュだった。
「ジョルジュ、君……」
「やあ、トワ。元気そうだね」
あまりの皮肉に、さすがのトワも怒りを感じた。だが、それもすぐに霧散した。ジョルジュの仮面のような無感情な視線で射抜かれたからだ。冷たい刃のような瞳に本能的な恐怖が湧き上がり、体が萎縮してしまった。
(これが、あのジョルジュ君……?)
改めて、ジョルジュがトワやアンゼリカのことを何とも思っていなかったという事実を突きつけられる。胸が、ズキリと痛んだ。
「話がある。一緒に来てもらうよ」
それだけ告げると、ジョルジュはトワに手錠をかけ、紐を繋げる。繋いだ紐は彼が持った。トワは抵抗することもなく、大人しくしていた。反抗する気力がないというのもあるが、教え子を置いての逃亡はできないからでもあった。
ジョルジュに連れられ、部屋を出る。移動中、トワは周囲を観察する。廊下を曲がり、エレベーターに乗り、階段を上り下りする。現時点ではなんの役に立つか分からないものの、トワは念のためルートを頭に入れておいた。
5分ほど経っただろうか。やがて、ジョルジュは足を止める。目の前には、中世のものと思しき鉄製の扉があった。
「ここは?」
「知る必要はないよ。いいから入るんだ」
会話をする気はないという強い意思を感じ取ったトワは、言われた通りに入室する。そしてその内装を見て、息を飲んだ。
(これって……)
小さな明かりがいくつかあるだけの薄暗い部屋。床、壁、天井の全てが石材で構成されていて、ひんやりと肌寒い。壁や床にはいくつかの黒い染みと、固定された鎖や手錠がある。
知識としては知っていたが、実際に見るのは初めてだった。この部屋は、かつては拷問部屋として使われていたに違いないとトワは判断した。もしや拷問されるのではないかと、背筋が凍った。
(……ううん。弱気になっちゃダメ。せめて、最後まで教官らしくいないと)
小さく首を横に振り、心の内で己を奮い立たせる。自身は教官であり、教え子を守る立場であるという自覚が、弱気になっているトワの心を僅かに支えた。
続いて、ジョルジュが入室する。彼は鉄の扉に鍵をかけると、トワの拘束を外した。入室した扉とは別の扉が正面に見えるものの、状況的に鍵がかかっているか出口には繋がってなさそうだった。
「さて、念のため確認だ」
ジョルジュの声が聞こえたトワは、そちらを向く。そこそこ広い空間のためか、声が反響する。
「1度だけ聞くよ。僕たちに協力する気はないかい、トワ?」
「……ないよ。今ここでジョルジュ君に殺されるのだとしても、仲間にはなれない」
トワは即答する。トワにはトワの信じるものがあり、守るべきものがある。たとえ全てが手遅れだとしても、それだけは変わらない。
「……警告はしたからね」
トワの返答を聞いたジョルジュは懐から手のひらサイズの端末を取り出す。どのような機能を持つかトワには検討がつかなかったが、すぐに分かった。ジョルジュが端末を操作すると、なにもない虚空に映像が映し出されたからだ。改めて、地精の高い技術力を思い知らされる。
最初に映ったのは、なんの変哲もないレンガの壁だった。しかし、すぐに状況は変化する。画面の外から、人影が出てきた。その人物の顔を見て、トワは両目を見開く。
「ミハイル、少佐……」
それはトワたち教官陣をまとめる主任教官であり、優れた統率力で分校生たちを率いていたミハイル・アーヴィング少佐だった。彼もトワたちと同じく、先の戦いで囚われた。
映像に映る彼は、まさに捕虜と言うべき姿だった。両手を前で拘束され、上着を脱がされてタンクトップのみとなっている。普段と変わらないのは、その鋭い眼光のみだ。
映像の中のミハイル少佐は、《赤い星座》の1員と思しき赤い兵装の男に連れられ、映像の真ん中に当たる位置に座らせられた。それを見た瞬間、トワは嫌な予感に襲われた。
(え……これって、まさか……)
トワの疑念に答えるかのように、ジョルジュは新たな端末を取り出す。その正体はトワにも分かった。無線だ。ジョルジュは無線を口元に近づける。
「僕だ、やってくれ」
「っ!? まっ……!」
待って、と言う暇すら無かった。映像越しにライフルのものと思しき銃声が鳴り響く。次の瞬間、ミハイル少佐が倒れた。崩れ落ちた瞬間、全身が画面の外に出てしまったので詳細は分からない。しかし、いつまで待っても彼が再び起き上がる気配はなかった。
「嘘……」
「これで、君の上司が死んだ。君が、僕に逆らったからね」
ミハイル少佐が死んだという確たる事実が告げられる。しかも、最終的に引き金を引いたのは自身の選択だった。それらが重石となって、トワの両肩に重く伸し掛かった。
(私の……せいで)
自身の招いた結果に、目眩を覚える。泣き叫びたくなる衝動に襲われたが、ジョルジュは彼女にそんな暇すら与えなかった。
「次は、君の教え子を1人殺そうか」
「っ、ダメ! それだけはダメ! お願いだから、止めて!」
トワは体裁を一切繕わずにジョルジュに縋り付き、大声で懇願する。教官として、それだけは絶対に防がないといけなかった。
「じゃあ、僕の言うことを聞くんだ。いいね?」
「聞く! 絶対聞くから!」
「もし指示を守れなければ、その度に1人殺す。覚えておくんだ。君の教え子の命は、君次第だということを」
トワが必死に訴える中、ジョルジュは事務事項でも告げるかのような平坦な声だった。それが、今の2人の力関係を如実に表していた。
こうして、トワはかつての親友であるジョルジュの従順な奴隷となった。
*
事実上の奴隷になることを誓わされたトワは、拷問部屋で1人待機していた。ジョルジュに、ここで待っていろと言われたからだ。彼は現在、入ったときとは別の扉の向こうでなにかをしている。
すでに逆らう気のないトワは、死人のように静かだった。こんな不気味な部屋でなにをやらせるつもりなのだろうかと、気が気でなかった。
しかも、指示を守れなければ教え子を殺される。なんの拍子で指示を破ってしまうことになるか、気が気でない。恐怖で、喉がカラカラだった。
「待たせたね」
扉の向こうから聞こえた声に、トワは両肩を跳ねらせる。そちらを向くと、ジョルジュが戻ってきたところだった。扉は、半開きのままだ。
「じゃあ、早速だけど最初の指示だ。準備はいいかい?」
「……うん」
トワは小さく頷く。それを確認したジョルジュは、入ってくるんだ、と奥の部屋に向かって声をかけた。その直後、扉が再び開く。奥の暗闇から、続々と新たな人影が現れた。
「ぅ……え……っ、ッ!?」
人影を見た瞬間、トワは顔が沸騰したように熱くなるのを感じた。
無理もない。たった今入室して来た男たちは全員が全裸で、男の象徴をギンギンに滾らせていたのだから。
「ぅ……あぅ……」
目のやり場に困り。どぎまぎと視線が彷徨う。総勢10人分の大小様々な男性器が並んでいる。恋人と数回程度の経験しかないトワには、刺激が強すぎた。状況を理解しつつも、恥ずかしさで死んでしまいそうだった。
「目を逸らしちゃダメだよ」
トワの様子を見てか、ジョルジュが指示する。それに従うしかないトワは小さく呻きつつ、彼らを見渡した。
長身で筋骨隆々の男、小太りの男、トワと似たり寄ったりの体格の男など、様々な姿の男が立っていた。皆一様に、腰のモノを勃たせている。それでいて、どこか虚ろな瞳をしていた。トワには、それが人形のように見えて不気味だった。
「仕様はOzとは違うけど、彼女らと同じ人造人間だ。意識は少々希薄だが、正常な性欲は兼ね備えている。むしろ意識が希薄な分、そういう本能的な部分は強まっているかもね」
そこで言葉を切ると、ジョルジュは懐中時計を取り出す。時間を確認したのか、一瞥だけするとトワに向き直る。
「そうだね……今から15分あげるよ。だから時間内に、彼らを全員1回ずつ口で射精させるんだ」
「ぇ……」
トワはその言葉の意味を理解するのに、数秒を要した。しかし理解した直後、生理的な嫌悪感に吐き気が込み上げてきた。
見知らぬ男の性器をしゃぶって射精させる? それも10人? その光景を想像するだけでも、気持ちが悪かった。
「そ、そんなこと……」
「出来なければ、君の教え子が死ぬだけだ。まあ、僕はどっちでも構わないけどね」
「ぅ、くっ……」
卑怯者と言い返すことすらできない。ジョルジュの機嫌を損ねた場合、なにをされるか分かったものではないからだ。悔しさのあまり、トワは痛くなるくらい強く歯ぎしりをする。
「それと言っておくけど、もう時間は計り始めてるからね。そこで立ち尽くしてる場合じゃないんじゃないかな?」
ジョルジュが煽るように懐中時計を振る。彼にとってはなんてことはない動作かもしれないが、トワにはそれが死神が鎌をちらつかせているように見えた。全身の血流が止まってしまったかのようなおぞましい感覚に、息が苦しくなる。
単純計算で1人90秒。1秒とて、無駄にはできない状況だった。
(やるしか、ない……!)
指示がなんであれ、守れなければ教え子が死ぬことに変わりはない。トワの決断は早かった。悲壮な覚悟で嫌悪感を押し殺し、彼らの前で跪いた。トワの前に、数本の竿が並ぶ。
「うっ……」
雄特有の、鼻につくような匂いに顔をしかめる。しかし、怯みはしなかった。最も近い正面の竿を右手で握る。持ち主はまんまると太った、どこぞの侯爵のような男だった。顔を先端に近づけると、むせそうなくらいに匂いが濃くなる。トワはその匂いごと、大きく口を開けて先端を咥え込んだ。
「ん、んちゅ……ちゅる、じゅ、じゅるる!」
部屋中に響き渡るような派手な水音を立て、首を前後に動かす。同時に右手で根元を圧迫し、残像が見えるくらい素早く擦り上げる。最初から全力の、射精を促す動きだ。
ピクピクと、赤熱した鉄の棒が口内で跳ねる。竿から伝わってくる微妙な反応を頼りに、トワは舌を這わせて刺激を変化させる。
「ちゅ、ちゅる、れろ、じゅ……じゅるるっ!」
「ぅう、ぐぁ……」
鈍い呻き声が頭上から聞こえる。気持ちがよい証拠だろう。トワは口を窄め、唇を吸盤のようにしてからカリのザラリとした部分に吸い付く。そのまま竿の敏感な部分を集中的に攻めた。小刻みに何度も何度も唇を往復させる。
「じゅぷ! じゅる! じゅぅう! ん、ジュルルル!」
「ぉ、ぉ、おおおお……っ!」
男の声が大きくなる。腰のモノがさらに膨れ上がり、上向きになる。太ももに添わせていた左手が、男の両足の小さな痙攣を感じ取る。不幸中の幸いと言うべきか、快楽への耐性は低いようだ。
「随分と上手だね、トワ。いつもそうやってリィン君にしてあげてたのかい?」
「っ! じゅ、ジュプッ! じゅ、じゅる、ジュルルルル!」
ジョルジュの言葉による辱めに、トワは両耳が燃えるように熱くなるのを感じた。それでも、手は休めない。休めるわけにはいかない。羞恥と焦燥の板挟みの中、口淫を続けた。
「じゅる、じゅるる、ンッ、ジュルル! ンン、ちゅ、チュパ、チュウウウッ!」
「おお、グゥ、グアッ……ァ」
鈴口や裏スジをつついたりしながら、唇を竿の形に沿って滑らせる。粘液が空気を含み、白く泡立つ。少しずつ、男の声から余裕が消えていくのを感じる。
早く出してくれと祈りながら、トワは先端を強く吸い上げた。ストローでジュースを飲み干すときに近い、卑猥な水音が鳴った。
「ぉ、ぐ、グァ、ァアアアッ!」
突如、男が知性の欠片も感じられぬ大声で吠えた。同時に、陰茎が膨張と痙攣を繰り返す。少なからずフェラチオの経験があるトワは、それが射精の前兆だと分かった。右手でしっかりと竿を固定し、根元近くまで深く咥え込む。
痙攣が最高潮に達したとき、それは訪れた。
「グァアアアアアア!!」
「ん、ンンッ!」
ブルブルと腰を震わせ、男は腰のモノを爆発させた。決壊したダムのように、トワの予想を遥かに上回る量の精液が口内へと射出される。それも1度ではなく、何度も。口内で受けきれなかった分が唇から溢れ、床に落ちる。
(っ、すごい……濃い……)
最後に出したのは何週間前なのか。そう思わずにはいられないほど濃厚で、ネバついていた。精液特有の苦味が何倍にも凝縮され、トワの舌の上に広がる。どうにか吐き気を抑えられたのは、ジョルジュの機嫌を損ねることを恐れたからだ。
幾度もの脈動を経て、ようやく射精が終わる。それを確認したトワは、尿道に残った分を吸い上げるようにしながら、手早く引き抜いた。力を失った陰茎がぐったりと項垂れた。
(これで……1人。早く次に行かないと)
急いでいるため、はしたないと思いつつも口に含んだ精液を床に捨てようとした。しかし、そこでジョルジュから静止がかかった。
「ダメだ、トワ。ちゃんと飲み込むんだ」
「ッ……!」
直前で口から捨てるのを止め、トワはすぐさま実行に移した。顔を上に向け、精液を喉へ運んでいく。
「ん、んく……こく……ぅ……!」
ところが、粘度が高すぎてなかなか喉を通らない。唾液を混ぜ、何度も嚥下する。喉に纏わりつくものを感じながらも、なんとか飲み干していく。
全てを飲み干すころには、相当な時間が経過していた。
「んっ……んくっ……ぁ、はあ、はぁ……」
「のんびりしてる暇はないよ。もう4分経ってる。このままだと、半分も終わらないよ」
「ぇ……ッ! ん、あむっ……!」
すでに4分が経過しているという事実に背筋が凍り、トワは弾けるように次の男の股間にしゃぶりついた。背丈がトワと同じくらいの童顔の男だ。サイズもどちらかと言うと小さい。しかも、勃起しているにも関わらず先端の大部分が皮で覆われていた。
(皮……被ってる。先に、剥かないと……)
「ん、れろ……んっ、ちゅる、んる……」
皮の間に舌を差し込み、唾液で濡らしていく。それに合わせて、右手で皮を根元の方へと寄せていく。痛いのか、男にしては高めの声で呻き声を漏らすが、トワは無視して強引に剥がしていく。
「ん、ちゅ……んちゅ、ちゅぷ、れろ、あむ……」
亀頭が完全に露わになったところで舌を這わせる。カリや裏スジなどの敏感な部分をチロチロと撫でてやる。先ほどと比べると小ぶりな分、敏感な部分を的確に刺激できる。
「ふぁあ……っ! ん、んん……っ!」
まるで女の子のような喘ぎ声を男が発する。その一方で彼のモノは硬度を増し、先走り液を垂らし始める。トワはそれを舌先ですくい、唾液と共に亀頭にまぶしていく。滑りがよくなったところで、口による抽送を速めていく。
「ん、じゅる! じゅぷッ! ジュルルル!」
「ああ、ふあ、は……ァアア……ッ!」
男は分かりやすいくらいに悶える。刺激が強すぎるのか、腰がどんどん後ろに下がっていく。このままだと抜けてしまいそうだ。
「待っふぇ……あむッ、んちゅるる!」
1度離れたら大幅なタイムロスになる。トワは慌てて男の腰に抱きつき、唇が根元に達するくらい深く咥え込んだ。
「ぁ、ぁ、あああ……っ、ァアアア!」
「ん、んぶ、んく、じゅる、ジュルッ!」
男が下がろうとすれば、トワは両手に力を込めて男の腰を引き寄せる。快感で腑抜けている今の彼ならば、トワの力でも容易いことだった。
自らの顔を彼の腰に押し付けながら、腰を両手で揺らしてやる。口を窄め、バキュームのように吸い上げるのも忘れない。いやらしい水音が辺りを包み込む。
「ぁ、ぁ、アアッ! ゃ、ァ、アアアア!」
「ンンッ、ンン、ジュル、ジュルルルル!」
ついに、絶頂の兆しとなる痙攣が始まった。サイズも少しばかり大きくなり、先端が喉の入り口に触れる。腰に強く抱きつき、唇を根元にぴったりと密着させ、そのときを待った。
「ァ、ァ、ッ……ゥアアアアッ!」
「ん、ングゥ、ンンッ!?」
男が情けない声で喚いた直後、トワの喉奥が一瞬で熱々の精液で満たされた。喉を容赦無く灼き、食道を流れていく。
「ンンッ! ン、ごほっ、げほッ!」
その体格からは考えられないような膨大な量の精液に、トワは思わずえずく。一旦せき止めようにも、直接喉に流し込まれているので止められない。噴火による溶岩が山を下るように、吐き出された精液はゆっくりと胃に落ちていく。
精液が熱を持っているため、体内のどこを流れているのかがはっきりと分かる。なぜだか、自身が酷く穢れた存在のように思えた。
「ん、んぐっ……はあ、はあ……」
陰茎が柔らかくなったのを見計らって、口から出す。竿に纏わりついていた唾液が、ポタポタと床に垂れ落ちていた。
「射精まで3分。さっきよりは早かったね。残り8分で8人だよ」
(ぅ……まだ8人も)
最初から全力で首を動かしていたせいか、すでに痛みを訴え始めている。それに、2度に渡って大量の精液を飲み干したせいか、胸焼けで体調が悪くなってきた。教え子を守りたいのは嘘ではないが、身体的な負担がトワを苦しめる。
それでも続けなければと、次の竿を探す。その直後だった。
「ぅ、うおおおお!」
「ン、ンブゥ!?」
突如、頭を両手で固定された上で口の中に怒張を捻じ込まれた。今日相手にした男の中で最も大きく、熱かった。視線を上に向けると、見事に割れた腹筋が目に入った。おそらくは、長身の筋肉質の男だろうと判断した。
前の2人の淫行で興奮を抑えきれなくなったのか、男は自ら腰のモノをトワに突っ込み、腰を振り始めたのだ。トワの負担を完全に無視し、自らの快楽を貪るかのように乱暴に腰が叩きつけられる。
「おぶっ、んぐ、んぷ、ンンンッ!!」
対するトワは、頭を掴まれているために離れることもできない。両手を彼の腰に当てて強く押すも、ビクともしなかった。
「ンン、ンプ、ちゅるッ……!」
ならばせめて、少しでも射精を早めようと出し入れに合わせて舌を動かす。突き込まれる瞬間に舌を尖らせて弱点を突いてやる。効果は覿面だった。
「うぁ、うぉッ!? ッ、ぅああアア……!」
男の動きが加速する。本能だけで動いているせいか、獣のように荒々しく容赦がない。怒張が喉の奥まで侵入し、ぎちぎちと内部を押し広げる。呼吸が一気に困難になった。
「うぇ……ング! ンブ! ンッ、ンンッ、ウグッ!」
喉を膣にでも見立てているのか、何度も何度も同じ場所を往復する。粘膜では保護しきれないほどの摩擦が発生し、内部を傷つけていく。喉を内側からナイフで切られるような痛みに、トワは顔を歪ませる。
「ンンッ! ングッ! アグッ、オゴッ、んンンゥ!」
(早く……早く、出して……ッ!)
痛みのあまり、トワは心の内で射精を懇願する。この瞬間だけは、教え子のことも忘れて苦痛が過ぎ去ることだけを願っていた。
その願いが叶うのに、そう時間はかからなかった。絶頂が近いのか、ストロークがどんどん速く、短くなっていく。ピストンの度に空気を含んだ水音が響き渡る。様々な体液の混ざった液体が、口内から掻き出されて床にぶちまけられる。
「ゥウウウウッ! ァアアアアッ!」
「ん、ンンゥ!!」
ズン、と最奥まで勢いよく突き込まれた瞬間、男の欲望が炸裂した。本日3度目にして、最大の量と勢いを誇る精液が、濁流がごとく胃の中へと雪崩れ込んだ。
(また……熱くてドロドロしたものが、中に……!)
無害とは言え、本質的には食べ物ではない精液を大量に取り込んだ胃が不調を訴える。胃酸が逆流し、異物を吐き出そうとする。それをなんとか押し留めながら、今なお注がれ続ける精液を受け止める。
「ぅ、んん、んく……んぐっ」
酸素が不足し、意識が朦朧とし始めたころにようやく射精の勢いが収まり始める。竿が少しばかりサイズダウンしたことで、呼吸が楽になった。深く、空気を取り込んでいく。
男の方は満足したのか、柔らかくなりつつある竿を引き抜いていく。しかし、射精は完全には止まっておらず、途中でトワの口内をめちゃくちゃに汚した。先端が口内を出る直前、トワは思い出したかのように鈴口から残りを吸い出した。
「ん、ん……こくん……っ」
最後に、トワは口内に絡みついた精液を舌で集め、1度で飲み干した。だがやはり一部が喉に絡みつき、不快な感触を残す。何度か唾を飲み込んでみるも、無駄だった。
「今回は1分半か。だいぶ効率がよくなってきたね。このまま行けば、間に合うかもね」
(っ、残り6分半で……7人……)
もう、1人に使える時間が1分を切っている。疲労と焦燥感で、額に汗を滲ませる。急がなければと、トワはすぐさま次の陰茎を口に含んだ。
その後もトワは必死に奉仕を続け、見知らぬ男たちを射精へと導いていく。腹の中を精液でタプタプにし、唇が精液でヌルヌルになりながらも、決して口淫を止めなかった。
しかし、1人満足させる度に大きく消耗しているトワが、1人1分未満というハイペースで射精させられるわけがなかった。
8人目に取り掛かっている最中に、ジョルジュが口を開いた。
「時間切れだ。15分で7人。残念だけど、未達成だ」
「あ……! お願い、待って! お願いします……!」
肩を震わせながら、トワは喉の痛みを無視して慈悲を乞う。そんな彼女をジョルジュは冷めた目線で見下ろしながら、無線に告げた。やれ、と。
直後、無情にも映像越しに銃声が鳴り響いた。急いで振り返ったトワの視界の端に、糸の切れた人形のように崩れ落ちる教え子の姿が映った。トワの担当クラスである、主計科の子だった。
「あ……あ……」
足元に、大きな穴が空いた気分だった。奈落に落ちたかのように、トワはペタンと座り込んでしまう。床は様々な体液が撒き散らされて汚れていたが、そんなのは些事だった。
カレイジャスが堕ちたときや、ミハイル少佐が殺されたときも、胸元に刃が突き刺されるような痛みを感じた。しかし、今回はその比ではない。大量の槍で何度も何度も体を貫かれるような、耐え難い痛みだった。
「ぅ……うう……ぐすっ……ひぐっ……」
とうとう心の痛みが教官としての責任感を上回り、視界が滲み始める。大粒の涙が次から次へと床に落ちる。
だが、彼女に降りかかった悪意はまだ序の口だった。
「これから毎日、今日と同じような指示を出す」
「……っ……ぐす……え?」
「指示を守れなければ、今みたいに殺す。これを少なくとも、1周はやるつもりだ」
「な……なん、で……」
「質問は許可していないよ。……君の教え子は残り13人。何人生き残るかは、君の頑張りにかかっている。1つ言えるのは、今日みたいな有様だと全員死ぬだろうね」
今日、トワは思い知った。この世の真の悪意というものを。地獄というのがどういうものなのかを。今まで乗り越えた修羅場など、児戯に等しかったことを。
絶望の日々が、始まった。
3話構成の予定。