囚われのトワ 〜教官としての責務〜 作:Washi
トワがジョルジュの奴隷になってから、彼の宣言通り毎日なにかしらの指示が与えられた。そして、守れなければ教え子を1人殺された。
指示の内容は必ずなにかしら性的なことであり、達成がほぼ不可能な難易度だった。男5人を同じタイミングで射精させろ、5分以内に1人の男を3回イカせろ、勃起していない状態から1分でイカせろ、などである。そのどれもが、未達成だった。
5日目が終了した時点で、すでに5人が殺されている。トワは恥も外聞も捨てて全身全霊で挑んでいるにも関わらず、ことごとく失敗していた。
1人失うごとに、魂の一部がごっそり削られるかのようだった。ジョルジュの手によって、トワの心は確実に摩耗していた。
そして、6日目を迎える。
*
今日の命令は、トワが充てがわれている部屋の中で実行されていた。相手となる男が不要なため、移動する必要がなかったのだろう。
「ん……はっ……んんッ!」
トワの艶かしい嬌声と共に、クチュクチュと粘っこい液体が泡立つような音が、部屋を満たす。その音の正体は、トワの陰部から発せられているものだった。
「ぅ、ぅうん……ッ、ンッ……ァ、ハァ……ッ!」
裸になり、トワは透き通るように白い肌を余さず晒している。彼女は枕を背もたれにしながら、ベッドの上で大きく足を開いていた。恥部が丸見えになっていて、淫らな体液で塗れている。屈辱的な格好だが、トワはそれを意に返さない。これも、指示の内なのだ。
「ァ……クゥ……あん、ん、ン、ゥ、ンンゥ!」
両手を秘部に添えて、忙しなく動かしている。右手の人差し指と中指を己の膣に挿入し、中身をめちゃくちゃに搔き回す。左手でクリトリスを弄るのも忘れない。指で挟んだり、擦ったりする。トワは今、ジョルジュの指示で自身を慰めていた。
「2分経ったよ。どんな調子だい?」
「ッ!? ンン、ハァ、アアッ……ッ、ゥン!」
ジョルジュの言葉に急かされ、トワは手淫のペースを速める。興奮により少しずつ感度が上がり、胸元に汗を滲ませながら熱い吐息を漏らす。それを見つめるのは無表情のジョルジュと、ジーッとレンズをこちらに向けている映像用の導力カメラだった。
カメラの前でオナニーして5分で絶頂する。それが、今日与えられた指示だった。ジョルジュが言うには、カメラで撮られている映像は彼らの協力者たちにリアルタイムで中継されているらしい。
「君のアソコは今、どんな感じだい? カメラに向かって説明するんだ。なるべく、いやらしい感じで頼むよ」
「ッ……私の……、ぉ、おま◯こが、えっちな汁でびしょびしょに濡れていて……指でナカを混ぜるとグチョグチョってなって……小さなお豆を擦ると、とても気持ちがいいです……」
「へえ、君の知らない男たちにたくさん見られているのに、気持ちいいんだ。そんなに股を濡らすなんて、トワは変態なんだね」
「ッ……そ、そう……です。私は……アッ……みんなに見られると悦ぶ……変態さんです……ンッ!」
カメラ越しとは言え、見知らぬ男たちに己の痴態を見られている。しかも、今みたいに卑猥な言い回しを強要される。本来ならば顔から火が出るくらい恥ずかしい状況だが、今のトワにそんなことを気にする余裕はない。
なにせ、トワの失態で5人もの教え子を失っている。捕虜となっていた全分校生の約3割だ。今度こそ、今度こそは成功させなければという強迫観念のような感情に突き動かされながら、両手のもたらす快感に集中する。
(リィン君……リィン君……ッ!)
リィンにアソコを愛撫されたり、ナカにペニスを突き込まれたときのことを思い浮かべながら、自慰に耽る。次第に、記憶に刻まれたセックスの快感が鮮明に蘇る。じんわりと身体の内部が熱くなり、いやらしい官能の渦が子宮のあたりを中心に広がっていく。
「ンッ! フゥ……ッ! うん……リぃ……ん……そう……ッ、そこ……アアン、ンン! ン、ゥウン……ンン!」
視界の端にカメラのレンズを捉えながら、見せつけるように指を踊らせていく。
ぷっくりと充血した陰核を、中指の腹の部分で小刻みに擦り上げる。回転している車輪を当て続けているかのように、間断なく刺激を与える。クリの内部で強烈な快楽が次から次へと生まれ、パンパンに詰め込まれる。凝縮された快感が暴れ回り、トワの意識とは関係なく腰がビクビクと跳ねる。
一方で、膣内を弄るのも忘れない。2本指で膣壁の最も弱い部分を探り当てて、トントンッ、と何度も圧迫する。その度に、スポンジのように快楽物質が溢れ出す。それが麻薬のように内部に浸透し、トワの感度を倍加させる。
「ぁ、ぁ、ァ……ァ、ァ、ァ、ア! アッ! アア!」
膨れ上がる快楽が最高潮に達しようとしている。いつの間にか両足は痙攣し、つま先がピンと伸びている。サウナにいるかのように体が火照り、全身から大量の汗が流れる。喘ぎ声から羞恥心が消えていく。
(……来る……来ちゃう……早く、来て……!)
指の疲れを無視して一段と激しく己を攻め立てる。秘所を弄っている右手は体液で濡れてヌラヌラと光沢を放つ。指で掻き出された愛液は白濁としていて、尻の間を伝ってシーツを濡らす。絶頂は、もう間も無くだった。
「ンン! ンァ! アア! ア、アッ…………ッ、アアアアアアアアアア!!」
顔を勢いよく天井に向け、発情した雌犬のような淫らな声をあげた。それが一際強くなった瞬間、トワは絶頂していた。身体に電気が流れているかのように、四肢をけたたましく痙攣させた。
「ぁ……はぁ、はあ……っ……」
しばらくして、一気に体が弛緩した。トワは肩で息をしながら、だらんとベッドに沈み込んだ。
カチリ、と音が鳴る。トワは視線だけそちらに向ける。そちらには、カメラとは別に、とあるセンサーがあった。手のひらに収まる程度の球状の物体で、宙に浮いてレンズをこちらに向けている。設置時は赤い光を発していたが、今は緑となっている。
ジョルジュが言うには、それは女性の絶頂を検知するセンサーらしい。つまりは、演技などのズルへの対策だ。どういう原理で動いているか全く分からないが、実際にトワが果てた直後にライトが切り替わったことから、精度は確かなようだ。
「ふむ、ちゃんとイッたようだね。それで、時間は……」
ジョルジュは懐中時計を確認する。すると、意外そうに眉を上げた。
「へえ……やるじゃないか、トワ。初めての成功だ」
「ぇ……ほ、ほんとうに?」
「ああ。指示をちゃんと守れたからね、今回は殺しもなしだ」
そう告げると、ジョルジュは無線越しに殺害の中止を命令する。本当に、殺害はなくなったようだ。
(やっと……守れた……)
官能の熱が引いていく中、トワの胸中には久々に穏やかな感情が注ぎ込まれた。5人も守れなかったくせになにを勝手な、と思われるかもしれない。それでも、ようやく守れたのだ。どうしても、安心してしまう。そして、残った教え子だけでも絶対に助けると、決意を新たにしたのだった。
……さらなる悪意が、トワを待ち受けているとも知らずに。
*
7日目となった。トワは再びジョルジュの先導で拠点内を移動していた。頻繁に連れられていた例の拷問部屋とは、明らかに別のルートだった。
特にそれが顕著だったのが、エレベーターを降りたときの光景だった。デアフリンガー号の車内のような、近代的な見た目の廊下に様変わりしたからだ。地精の工房に使われている階層なのでは、とトワは予想した。
しばらく廊下を進むと、ジョルジュが足を止める。目の前には、スライド式のドア。ジョルジュがカードを通すと、空気の抜ける音と共に開いた。彼に促され、トワは入室する。部屋は真っ暗だったが、トワが入室した途端に部屋の様子がぼんやりと分かる程度には明るくなった。
「ここは……」
一見すると、なにもなかった。白っぽい床と壁があるだけの、正方形に近い形の部屋だった。掃除も、行き届いている様子だった。
わざわざ連れて来たのだ。なにもない筈がない。しかし、トワの知識ではどのような部屋なのか見当もつかなかった。
「部屋の真ん中まで行って、服を脱ぐんだ」
「……はい」
唯々諾々と従う。トワは真ん中まで移動すると、衣服を脱ぎ始めた。
上着を脱ぎ、ブラウスを外し、スカートを床に落とす。ストッキングを下ろし、ブラを外す。最後にショーツを脱ぐと、トワは生まれたままの姿となった。リボンだけは解かなかったが、それ以外はなにも身につけていない。全裸のまま、ジョルジュと向き合う。
(ぅ……)
どんな辱めも覚悟はしているものの、全裸でいることへの抵抗自体は消えていない。こうして行為が始まる前からジロジロと見られているとさすがに恥ずかしく、顔を僅かに熱くしたまま俯いてしまう。
「それじゃあ、今日も始めようか」
ジョルジュは端末を取り出すと、カチカチと操作している。また虚空に映像を映し出すのだろうかと思ったが、そうではなかった。
変化が起きたのは、この部屋全体だった。幾重にも折り重なった轟音が鳴る。壁、床、天井……部屋のあらゆる面から一斉に、数えるのが億劫になるほどの穴が開いた。大小は様々で、頭くらいの大きさから指くらいのものまであった。
直後、それらの穴から魔獣の触手のようなものが飛び出してきた。形状こそ違うが、表面の見た目は白い戦術殻のものに似ていた。四方八方からトワのもとへ殺到し、彼女の視界を埋め尽くす。
「えっ……! な、なに……っ!?」
驚きのあまり、避ける暇すらなかった。弾丸のようなスピードでトワの四肢に絡みつき、彼女の自由を奪う。
「い、いや! 離して……! っ、く」
未知なる存在に対する本能的な危機感故か、半ばパニックに陥りながら必死に振り払おうとする。しかし、大型の魔獣に捕らわれているかのようで、ビクともしなかった。
車が急発進したときのような勢いで体が浮き上がる。触手によって、部屋の中央あたりまで持ち上げられたのだ。トワの身体が、完全に宙に浮く。
振り解こうにも、踏ん張る地面がなくて上手く力を乗せられない。それどころか、腕を振ろうが足で蹴ろうが触手が柔軟に形を変え、なんの手応えも得られない。まるで、水中でジタバタしているかのようだ。
「あ……! いや、こんな格好……!」
弄ぶように触手が蠢き、トワの体勢を無理やり変える。うつ伏せのような格好で両手を吊るし上げ、両足を大きく開く。秘所が外気に晒され、冷んやりとした感触をもたらす。
巨大な蜘蛛の巣に引っかかってしまったような、地上では決して取れない体勢だった。一つだけ言えるのは、そのポーズは普通に足を開くよりもかなり恥ずかしいということだった。
しかも、それで終わりではなかった。トワの目の前に、親指ほどの小さな触手が2本現れる。ミミズのように、クネクネとうねっている。
すると、先端が6つに割れて花弁のように開いた。隙間は水かきのように繋がっており、トワにはそれが吸盤のようにも見えた。
(……ッ! も、もしかして……)
今日までに受けた辱めが全て性的なものであったためか、トワはその2本の触手がなにをしようとしているのかを直感的に理解してしまった。そして、トワの予想が正解だと言わんばかりに、それぞれの先端が胸元に狙いを定めた。
次の瞬間、蛇が獲物に噛み付くときのような機敏さでトワの胸の両端に食いついた。ほんの僅かにある膨らみが、微かに形を変えた。
「んぅ……ん……!」
ちゅうちゅうと、わざとらしく音を立てて、まだ柔らかい小さな蕾を吸い上げる。どうやら、触手の内部に舌のような突起が無数に内蔵されているらしい。触れるか触れないくらいの強さで、突起が乳首の全身を優しく撫でる。
「ん……ふぅ……ぁ」
その動きは相当に上手く、トワは早くも色の混じった声を漏らす。身体の中で眠っている快感を掘り起こすような、絶妙な力加減だ。
「戦術殻に使われている素材をもとに開発した、拘束用のアームだ。動きは魔獣の触手を参考にしている」
トワが胸を触手に愛撫されている中、ようやくジョルジュが口を開いた。スピーカーでも設置してあるのか、触手に囲まれたトワにもはっきりと聞こえた。
「今日の命令だ。今から1時間、そのアームが君に様々な性的な快楽を与える。その間、1度も達してはいけないよ。1度達したら、その度に命令違反と見なす。いいね?」
「…………え?」
一瞬、聞き間違いかとも思った。なぜなら、彼の言葉をそのまま受け取ると、場合によってはこの1回で何人もの教え子を失うことになる。だから、聞き間違えであってほしかった。
しかし、現実はそれほど甘くなく、残酷な事実を突きつける。
「昨日使ったセンサーがあるから、ごまかしは効かない。時間が経過すればするほど、アームの動きはより激しくなる。今日だけで全ての教え子を失いたくなかったら、頑張った方がいいと思うよ」
「そんな……んっ! ん、んん……ゃ、舐めない……で」
ヌメリと生温かい感触が乳首を包み込む。突起の細かい凹凸が乳首を擦り上げ、くすぐりに近い微弱な快楽をもたらす。もどかしい刺激に、トワは上半身をくねらせる。
(ダメ……感じちゃ……だめ……)
トワは深呼吸を繰り返して、意識を快感から逸らす。とにかく1時間耐えねばと、なるべく無心でいようとする。
……そんなトワの甘い目論見を突き破ったのは、下半身から背筋へ突き抜けた甘い痺れだった。
「んッ!? アアッ!」
不意打ちで訪れた快感に耐え切れず、はしたない声を響かせる。あまりの刺激に脳が一時的にショートする。そのせいで、快感の正体が陰核への愛撫だと気づくのにしばらくかかった。比較的自由な首を曲げて確認すると、胸と同じような大きさの触手が陰核に吸い付いていた。
「ふぁあ! ぁ……ま、って……んんッ! そんな、同時に吸っちゃ……だめぇ……っ」
固くなった乳首をねぶられ、クリトリスを音を立てて吸われる。攻められている3つの性感帯が熱く疼き、快感の波を発する。それらが複雑に混ざり合い、増幅して、トワの身体を駆け抜けた。早くも深呼吸が狂い、呼吸は荒くなっていく。
「はぁ、んっ……ゃ、ぁ……んんッ……ァアア!」
下腹部に熱が集まる。トロリと、股の間からなにかが溢れ出す。言うまでもなく、愛液だろう。太ももに垂れ落ちると、足の形に沿ってゆっくりと下る。最後に、足の指の間を通って床に落ちた。
3点を同時に攻められるというのは、トワにとって初めての経験だった。それ故、彼女には刺激が強すぎた。気持ちよすぎて、頭が真っ白になっていく。
淫らな熱がそれぞれ弄られている箇所に集まり、弾けようとしている。絶頂の予感を、ひしひしと感じた。
(来ちゃう……来ちゃいそう……!)
絶頂が目前まで迫ったことで、理性が飛ぶ。快感のことしか考えられないくらい、気持ちよくてしょうがない。もっと触って欲しい身体が叫ぶ。なにもかもどうでもよくなって、襲い来る快楽の波に身を委ねていく……いや、委ねようとした。
そんなトワの頭の片隅を過ぎったのは、教え子たちが笑い合う光景だった。その瞬間、トワは己の痴態を自覚しながらも、必死に理性をかき集め、首を横に振った。ギリギリのところで、教官としての責任感が欲望を打ち砕いた。
昨日、1人だけでも助けられたというのは、それくらいトワにとって大きなことだったのだ。
(我慢……しないと……! 教官……なんだから……1人でも多く、守らないと……!)
深呼吸が出来ないトワは、代わりに自らの舌を思いっきり噛んだ。鋭い痛みと、鉄の味が舌の上に広がる。その痛みは僅かながらも快感に対する感度を鈍くし、生々しい鉄の味は昂ぶりつつある心を萎えさせた。
3本の触手はそれぞれが独立した動きをもって、緩急織り交ぜた強烈な快感をトワに与え、イかせようとする。しかしトワも負けじと舌を噛んだり爪を手のひらに立てたりしながら、快感に耐える。
一進一退の攻防は、それからさらに10分ほど続いた。その間、トワが絶頂することは1度もなかった。
その後も触手による辱めは激しさを増すも、薄氷の上を歩くようなギリギリのラインでトワは踏み止まり続けた。
*
「ンンッ!! ぁ、くぅ……う、ゥウンッ! っ、はあ……はあ……」
(今……どれくらい、経ったの……? 早く、早く……終わって……)
触手たちの苛烈な攻めに耐え続けていたトワは、全身に汗を滲ませていた。髪は乱れ、膣口からは洪水のように止めどなく愛液が流れ出している。ムワッとした湿っぽい吐息を漏らし、息も絶え絶えとなっている。その原因は、トワの下半身にあった。
最初の小さな3本の触手に加え、トワの手首ほどもある太さの触手が2本、膣とアナルにそれぞれ差し込まれている。2本の触手は、好き勝手に抜き差しを行う。2人の男に同時に入れられているようで、とても苦しかった。
「ンッ! ンンッ! っ……ッ、ふ、ぅ……ッ!!」
ずりゅずりゅ。じゅぷじゅぷ。
2本の触手がうねり、トワの身体の芯の奥深くを犯す。
ヌププ、と触手の先端がトワの膣内に入り込んでゆく。表面の細かい突起が膣壁と擦れ、甘美な痺れに全身がガクガクと悦びに震える。
先端はさらに突き進み、通常のペニスでは決して到達できない領域まで侵入する。そして先端に隠している舌のようなものを突き出し、最奥の肉壁を舐め回す。腹部のすぐ下あたりで、熱いものが這い回る。
「ッ……!! ァ、ァ……!!」
ゾワゾワと鳥肌が立つような、未知の刺激。気持ちいいとも痛いとも言えぬ形容しがたい感覚。判別不能な感覚を、脳がとりあえず快感に割り振ったような感じだ。トワは言葉にならない嬌声をあげる。
一方で、もう1本の触手も負けじと動く。グププ、と空気を漏らしながら尻の穴に潜り込む。そして、尻穴が傷つくのも厭わない激しさで触手の出し入れを行う。
「ア……ッ! ンンゥ、んぐ……や……お尻……へん……ッ!」
侵入するときは直腸の内側をゴリゴリと削り、快楽のツボを圧迫する。そして、抜けるときには排泄時の解放的な快感が広がり、身体が弛緩する。
今日、初めてアナルを弄られたトワは、最初はまるで本当に漏らしてしまっているような感覚に不安を覚え、戸惑ってばかりだった。しかし、次第に身体が触手に馴染み、尻穴がほぐれていくと、性的な快楽を伴うようになった。
生理現象である排泄行為に限りなく近い行為であるにも関わらず、感じてしまっている。そんな倒錯的な状況に、トワの理性はガリガリと削れていった。
「ンッ! アア! ンァ! アアアンッ!」
両端の乳首、陰核、膣、そしてアナル。5箇所の性感帯を同時に攻められる。男1人では決して与えられぬ快楽の波状攻撃。それぞれが相乗効果で互いの感度を高め、快感が青天井のように膨らむ。トワはタガが外れたように法悦に満ちた嬌声をあげ、発情した獣のように啼く。
触手の動きは、もはや人間には不可能なレベルの激しさとなっている。全力でトワを犯し、イかせようとしている。万人であれば数分と保たないであろうし、実際にトワはかなり限界に近い。いつ果てても、おかしくないほどに。
だが、驚くべきことに、そんな臨界点ギリギリの状態がすでに數十分も続いていた。
これまでの経験を遥かに上回る快楽を絶えず与えられ、身体は完全に屈している。トロトロに濡れた淫裂がその証拠だ。
それでも、心は屈していなかった。驚異的な精神力で欲望を抑え込み、身体が絶頂に至ることを一切許さなかった。
「……正直、驚いたよ。この段階で1度も達しないとは思わなかった」
ずっと沈黙を保っていたジョルジュが、ぽつりと呟いた。その発言の内容が終了を告げるものでなかったことに、トワは嫌な予感がした。
「残り10分ちょっとしかないし、仕方ない。これは保険に用意しただけだったんだけどね」
「ほ、保険って……ンンッ!?」
直腸に埋まっている触手の先端が膨張する。次の瞬間、熱いものが中で逆流した。触手が、なにかを中に注ぎ込んだのだ。熱いものが満ちる。粘性があるのか、直腸の内側に絡みついて離れない。
(なに……これ……?)
注ぎ込まれた一瞬、確かに身体が悦びで疼いたが、逆に言えばそれだけだった。なんの変化もない。それでも油断はせず、警戒を続ける。
……その直後だった。ドクン、と心臓が強く高鳴った。
「ンッ……!? アア、ハァ……ゥ、ハッ……な、なに……!?」
(身体……熱くなってくる……!!)
ふつふつと熱湯が煮えたぎるように、抑えていたはずの欲望が再燃する。風邪のときのように頭がぼーっとする。ただでさえ荒くなっている息が、ますます荒くなる。快感の源が火で直接炙られているようで、どんどんいやらしい感情が湧き上がってくる。
警戒など、無意味だった。
「アア!? ンンッ、アッ! ンン! アアアア!!」
触手が攻め立てている各部の快感が、バネが弾けたように一気に跳ね上がる。各部が強烈な快楽の波動を発信し、限界のさらに向こうにある限界すらも突き抜ける。もはや、理性だけではもうどうしようもなかった。全身が性器になってしまったような快楽に、トワはよがり続けるしかなかった。
「即効性の強力な媚薬だ。とてもじゃないけど、ただの人間に耐えられる代物じゃないよ。君は、いつまで保つかな?」
ジョルジュの声が遠い。なにかを言っているようだが、トワにはよく聞こえなかった。
ジュブ、グチュ、ジュプププ! チュウ、チュ、チュルルルル!
触手が両穴の最奥に何度も突き込まれる。子宮を突かれる快感と、排泄の快感が交互に訪れ、快楽の誘爆を互いに引き起こす。
腫れてしまいそうなくらい強く胸を吸われ、乳首が淫らな熱で火傷する。ジンジンと、小さな快感の波を発する。
触手の突起がクリトリスに絡みつき、撫で回す。内部に閉じ込められていた小さな快楽の粒が次々と弾け、小さくも強烈な快感が機関銃のように炸裂する。
もはやなにをされても気持ちよく、トワの頭の中で火花が何度も弾ける。どっちが上か下かも分からない。分かるのは、今にも上り詰めてしまいそうということだけだった。
「ッ……!? アッ! アアッ!! だ……めっ! ンンンッ!! 来ちゃ……だめなのに……ハァアアン!! ウゥン!! アアアア!!」
トワは力の限り歯を噛み締め、目を瞑る。イキたくない、イキたくないと首を横に振り、まぶたに涙を浮かべる。
しかし、トワの思いとは逆に肉体は熱く昂り、無秩序に震え始める。腰がどんどん浮き上がり、背中の反りと相まって体操のブリッジのようになる。
膣内が忙しなく収縮し、精液を搾り取ろうと触手を締め上げる。実際は、射精などしないのに。
「アアアア!! ァアアッ!! アアアアアアア!!!」
視界が白い光で真っ白になる。光はさらに膨れ上がり、大きくなる。まだまだ……もっともっと大きくなる。それこそ、全容が分からなくなるくらい。光が大きくなるにつれて、身体の快感が十倍……数百倍……数万倍と無尽蔵に増え続ける。
終わりがないと思われた光の膨張が最高潮に達した瞬間……トワの身体に蓄積されていた快楽が一気に爆発した。
「いやぁ! いやぁああ!! ッ、ア、アア……アアアアアアアア!!!」
跳ねるように四肢が痙攣し、絶頂に至った。爆発した快感が全身の神経を駆け抜け、トワを啼かせ続けた。
……そんな中、1本の触手が現れ、トワの眼前に迫る。その先端は、緑の光を発していた。
「あ……あ……嘘……」
その意味を理解したトワの声が恐怖で震える。実際、彼女の恐れている通りになる。間を置かずして、銃声が響いた。何が起きたかは、説明不要だろう。
「1回目。残り8分だ」
ジョルジュによって、最小限の情報のみ伝えられる。それが却って、自身の犯した罪が浮き彫りになるような気がした。
1人死ぬ度、トワは自身の心に彼らの死体がしがみついているような錯覚を覚える。血を流し、この世の全てを恨むような視線で、トワに罵詈雑言を浴びせる。なぜ助けてくれなかったのか、と。
(ごめんなさい……ごめんなさい……!)
それに対して、トワは謝ることしかできない。そして罪の意識に押し潰されながらも、まだ生きている者のために頑張るしかない。
そんなトワの悲壮な願いですら蹂躙するがごとく、再び触手が蠢いた。絶頂の余韻がほとんど引いておらず、淫らな熱がすぐさま勢いを取り戻した。
「ん、ん、ンンッ!? もう……許し……アアッ!!」
媚薬が効き続けているということと、イッたばかりということもあり、身体の感度は先ほどまでよりも一層強まっていた。ロクな精神的な抵抗も出来ず、快楽の濁流に呑まれる。
(我慢しないと……いけないのに……気持ちいいの……全然止まらないッ!!)
一度堰を切られた川の流れが止まらないのと同じだった。どれだけ自制をかけようとしても、触手の動きに阻害され、熟達した愛撫に翻弄される。
「ンンッ!! アアンッ!! アア! アアッ!! ウグッ……ァアアア!!!」
最大限という言葉ですら生温いほどに高められたトワの感度は、彼女を拘束する触手が肌を這い回るだけでも、性感帯を弄られているかのように気持ちよかった。ならば、本当の性感帯から与えられる快感がどの程度のものかは、言うまでもない。
「アッ! ア! ッ……ァ!! ハァ……ァ……アアア!!」
声が掠れ、途切れ途切れになる。快楽を司る脳の神経が焼き切れ、危険なくらいに快楽物質を分泌する。麻薬のように、トワの理性をトロトロにする。
絶頂への階段を、数段飛ばしで駆け上がる。どうにかしようと爪を立て、舌を噛む。しかし、今となっては痛覚ですら快楽のスパイスでしかなかった。結局、絶頂を早めるだけの行為だった。
「アアアアアアアア!!!!」
凄まじい電気の奔流と共に、トワは2度目の絶頂を迎えた。1回目よりも、遥かに短い時間での到達だった。
そんなトワを現実へ引き戻すかのように、鼓膜を突き破るような銃声が鳴った。
「ッ!! あ……いや……違うの……」
「2回目。残り6分だ」
「ぅ……っ……ひっ、くっ……」
教官としての意地など忘れてしまったかのように、大粒の涙が頬を伝う。
悔しかった。許せなかった。こんな簡単に肉欲に屈してしまう自分が。教え子を守るという、絶対に譲れなかった筈の一線を易々と譲ってしまう自分に。そして、こんな汚らわしい行為で教え子を失っているという事実に。
内戦のときから、なにも進歩していない。親友1人救うことすらできなかったし、大局を揺るがすような大きな流れの前では、全くの無力だった。
まだ生きている教え子がいる以上、諦めるわけにはいかない。だが、こんな無力な自分に何を守れるのかと、決意が揺らぎ始めていた。
「ン、ンンッ……!!」
触手の動きは止まらない。そのまま続けてトワを絶頂に導こうと、終了時間が来るまで休まずトワの体をなぶり続けた。
その後もトワは己を抑えきることができずに、絶頂を繰り返す。しかも、回数を重ねる度に次の絶頂までの感覚が短くなっていった。
最終的に、10分という短時間で、5人もの教え子を一挙に失うこととなった。最初に数十分もの間を耐え切ってしまったことで、結果的により苦しむこととなってしまった。
残った教え子はたったの4人。トワの心のヒビは、順調に割れ広がっていた。