※この作品はR-18です。

囚われのトワ 〜教官としての責務〜   作:Washi

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後編

 トワは性的な無理難題を振られては、失敗する度に教え子を殺され続けた。何度も、何度も、何度も。教え子1周分の指示を終えたころには、心身共にボロボロだった。

 

 罪の意識で精神はバラバラに引き裂かれ、微かに残った理性の糸がかろうじて縫い止めている。ほんの少しのきっかけがあれば、精神は完全に崩壊するだろう。

 

 そしてジョルジュは、そんな彼女にトドメを刺すべく、最後の指示を与える為にある人物を伴って彼女の部屋を訪れるのであった。

 

 

*

 

 

 ジョルジュが入室したにも関わらず、トワはこちらを向くことはなかった。ベッドに腰掛け、顔を俯かせている。部屋が薄暗い上、手入れのされていないボサボサの長髪が顔を隠しているため、正確な表情は分からない。

 

「……なさい……めん……ぃ」

 

 両手で拳を作って膝に乗せ、ぶつぶつと何かを呟いている。懺悔の言葉かなにかだろうか。壊れたラジオのように、繰り返し繰り返し唱えていた。

 

(……これはひどいね)

 

 仮にも2年間、同じ学院で過ごした仲だ。ジョルジュの意思でやったこととはいえ、いざその結果を目の当たりにすると、思うところがないわけでもなかった。

 もっとも、だからと言って手を抜くつもりはない。長の命令である以上、やるべきことはやる。

 

(これなら、あと一押しだな……)

 

「トワ、聞こえているかい?」

「ぇ……ひっ、……じょ、ジョルジュ……くん……」

 

 ようやくジョルジュの存在を認識したトワは、彼の姿を見るや否や酷く震えた声と共に肩を跳ね上げた。末期の患者のように顔色が悪い。夜通し泣いていたのか、目は真っ赤に充血し、目元には真っ黒な隈が浮かんでいた。

 

 トワがジョルジュに怯えているのは明らかだ。カレイジャスが爆散したときに浮かべていた表情など、今のものと比べれば、ままごとのようなものだった。

 

「とりあえず、今の状況を確認しようか」

 

 ジョルジュは懐から端末を取り出し、これまでの命令の結果を宙に表示する。しかし、トワは画面を見ようとはしなかった。代わりに、ジョルジュが読み聞かせる。

 

「8回の命令の内、守れたのはたったの2回。14人の君の教え子の内、12人が死んだ。生き残ったのは、カイリとサンディって子だ。確か、入学した学生は20人だっけ? 壊滅状態じゃないか。もっとも、全部君のせいだけどね」

 

 敢えて、トワの傷口に塩を塗り込むような言葉を選ぶ。トワの心を抉り、粉砕する準備を整える。

 

「実際、僕の予想より遥かに悪い結果だ。僕が思っていたほど、君は教え子のことを大切に思っていなかったんだね」

「っ……そ、そんなこと……っ、その……」

 

 トワは弱々しい声で反論しようとしたが、すぐに言い淀んでしまい、口をつぐんでしまった。その隙を突いて、ジョルジュは畳みかける。

 

「だってそうだろう? 本当に大切なら、なにがなんでも守ろうとする筈だ。そのためなら、なんだって出来る筈だ。僕の言っていること、なにか間違っているかい?」

 

 トワは再び顔を俯かせてしまい、なにも答えなかった。答えられるわけがない。死んだ人間は生き返らない。それが、世間一般の常識だ。取り返しのつかない結果を招いてしまった以上、どんな理不尽な言い分も受け入れざるを得ない。それが、トワという人間だ。

 

「……なんなら、もう1度だけ試してみようか。君が、本当はどれだけ必死になれるのかを」

「っ……まだ……なにかするの……? お願い…………もう、これ以上は……」

「君は奴隷の身だ。口答えする権利はないよ。……ほら、これを見るんだ」

 

 ジョルジュは、端末を操作して映像を切り替えた。しばらくの間、トワは画面を見ることはなかった。だが、ジョルジュが促すとゆっくりとした速度で顔を上げた。

 直後、トワの両目は目が飛び出さんばかりに大きく見開いた。

 

 

*

 

 

 嘘だ。嘘であってくれと心の底から祈った。それだけは止めてくれと、トワの心が必死に叫ぶ。

 しかし不幸にも、トワの明晰な頭脳は目の前に映っているものが現実であると認めていた。最も恐れていた光景が、映像に映し出されていた。

 

「叔母さん! 叔父さん! カイ君ッ!」

 

 映っていたのは、トワに唯一残されていた血の繋がりのある家族だった。壁に鎖で繋がれ、猟兵たちに銃を向けられている。

 

「帝都の混乱に乗じて捕らえた。僕の指示があれば、いつでも殺すことが出来る。……どうだい? これなら本気になれるんじゃないかい?」

「どうして……どうして、こんなことを……」

「……見たいんだよ。君みたいなキレイな心を持った人間がボロボロになって、壊れるところを」

「そんな……」

 

 優しかったころのジョルジュと今の冷酷なジョルジュの表情が重なる。こんな酷いことが出来る人間だとは、当時は思いもしなかった。

 

 親友の喪失と裏切り、何人もの教え子の喪失、そして家族の危機的状況。数千もの針で心臓が内側から貫かれているような痛みが走る。

 胸が苦しい。これならいっそ殺して欲しかったと、心のどこかで願ってしまうくらいには。

 

「指示に従わないならそれでいい。君の家族が死ぬだけだ。それで、どうする?」

「…………やる。やるから……!」

 

 それでも、投げ出すことは出来なかった。家族という何者にも代えがたいものを、見捨てる訳にはいかなかった。

 

「そうかい。……それじゃあ、入ってくるんだ」

 

 きぃ、と扉が開いた。そこから現れたの人物を見て、トワは両手で口元を押さえた。それくらい、衝撃だった。

 

「リィン……君」

 

 現れたのは、トワの恋人でもあるリィン・シュバルツァーだった。先の戦いで、ずっと囚われていたと聞いたが、どうやら無事だったようだ。

 いや、無事というには語弊があるかもしれない。何故なら、今のリィンはトワの知る彼とは様子が全く異なっていたからだ。

 

「ウウゥ……グ、グゥ……」

 

 リィンは獣のような唸り声を上げる。髪は月のような銀髪で、目が血のように真っ赤に染まっている。その真紅の瞳からは理性が感じられず、遠目で分かるほどに血走っている。人伝に聞いた、暴走時の彼の姿そのものだった。

 

 それともう1つ、異常があった。彼のズボンの局部が、大きく膨らんでいる。トワの知る彼のモノの大きさからはありえないほどの巨大さだった。

 

「ど、どうしたの……リィン君? 一体、なにが……」

「……今の彼は鬼の力を暴走させた状態で、通常の数十倍の濃度の催淫剤を打ち込んだ。僕の指示以外の言葉は全く受け付けない。今のリィン君は、発情期の獣とほとんど変わらない。いや、もっとタチが悪いかもね」

 

 さて、とジョルジュは前置きしてから説明を開始した。

 

「今の彼を鎮める方法は1つ。性欲が収まるまで、射精させるしかない。そこで、最後の指示だ。今からリィン君を放す。君は、彼が正気に戻るまでの間、中に出させなければいい」

 

 ギラリ、とリィンの瞳がトワを捉えた。その鋭い眼光に身の危険を感じて、思わず肩を抱いて身体を丸めた。そしてそれは、中出しを防ぐ意味でも間違っていない。

 

「それじゃあ、始めようか。……好きにしていいよ」

 

 ジョルジュの許しが出た瞬間、リィンの姿が消えた。いや、厳密には消えた訳ではない。トワの目にも止まらぬ速度で動いただけだ。もっとも、トワには見えなかったことには変わりない。

 トワは逃げる間もなくリィンに捕らえられ、ベッドに押し倒された。

 

「ッ!? ゃ、離して!」

 

 ジタバタとあらん限りの力で暴れる。いや、暴れようとする。しかし、ビクともしない。元々の男の力に加え、鬼の力まで発動している。たとえ力自慢の男であっても歯が立たないだろう膂力の前に、為す術もなくベッドに縫い付けられた。

 

「ッ、ガァアア!!」

 

 続けて、リィンはトワの服に手をかけ、強引に引っ張った。すると、まるで紙のように服が破かれ、下着が露わになる。

 下着を両手で押さえようとしても無駄だった。圧倒的な力で腕を剥がされ、下着も破り取られてしまった。トワの裸体が、リィンに晒される。

 

「待って……お願い……リィン君……」

 

 涙声を混じらせながら、トワは懇願する。中出しを防がないといけないというのもあるが、同時にこんな姿のリィンを見ているのは辛かった。

 

 確かに、リィンとは何度も身体を重ねた。でも、獣と化した今の彼と交わるのは率直に言って怖かった。心境的には、戦時に女性が酷いことをされるときの気持ちとほとんど同じだった。

 だからこそ、止めてくれと懇願する。元に戻ってくれと心から願う。

 

 だが、リィンは止まらなかった。リィンはトワを押さえたまま、ズボンのチャックを下ろす。すると押さえつけられていた剛直が勢いよく飛び出した。

 

「ッ……嘘、そんな……おっきいの……」

 

 目の前に現れた肉竿は、想像を絶する大きさだった。トワの知るモノとは倍くらいサイズが違った。しかも、その佇まいも異様だった。

 ペニスの胴の血管ははっきりと形が分かるくらいに盛り上がり、鮮やかさを失った先端は赤黒く染まっている。興奮が収まらないのか、すでにガマン汁が噴水のように溢れ、ペニス全体をぬめった粘液で覆っている。はっきり言って、グロテスクだった。

 

(こんなの……入れられたら……裂けちゃう……!)

 

 そう思わずにはいられなかった。小柄なトワには、普段のリィンのサイズですらきついのだ。それとは倍のサイズを突っ込まれればどうなるかは……想像に難くない。

 そんな想像をしている間にもリィンの動きは止まらない。亀頭を膣口に密着させ、トワにのしかかる。ミチミチと嫌な音と共に先端が沈み込む。まだ準備の出来ていない膣口が無理に押し広げられ、裂けるような痛みが走った。

 

「ッ、っく……!! ダメ、リィンく……ん、入れないで……っ」

 

 両手両足を使って必死に押し返そうとする。腰を引いて、挿入を妨げようとする。だが、結局同じことの繰り返しだった。リィンの身体は石像のように微塵たりとも動かず、少し腰を引いたくらいでは時間稼ぎにしかならない。

 

 メリメリ、グププププ、ミチ……ミチミチ……っ!

 

「う……ぐ……はぁ……ああ……っつ」

 

 腹部が破裂しそうなくらいの圧迫感にトワは呻き苦しむ。リィンにとっても相当狭いのか、彼はグッ、グッと何度も腰を押し込む。ハンマーで釘を打ち込んでいくように、徐々に怒張が内部を突き進んでいく。そしてついに、最奥に到達した。

 

「はぁ……はぁ……痛い……苦しいよ……お願い……抜いて……抜いてぇ……っ!」

 

 トワの要望通り、リィンは腰を引いてペニスを引き抜いていく。もっとも、それは断じて行為を中断する為ではない。

 亀頭が抜けようとした辺りで、ピタリと止まる。そして再度、弾けるようにしてリィンの腰が前に押し出された。バチン! と勢いよく腰同士が密着する。

 

「あ……がッ! い、ぎぃ!!」

 

 まだほとんど濡れてない膣壁が擦られ火花が走る。内部が鋸で削られるような痛みにトワは歯を食い縛る。痛みが思考を乱し、打開策を練ることが出来ない。

 

「ッ! ガァ! グゥ!」

 

 リィンが本格的に抽送が開始した。女側の負担を全く顧みずに、烈火のごとき荒々しさで腰を振る。肌がぶつかり合う度に鞭で打つような音が響く。ただただ男が快楽を貪ることを目的とした、愛の欠けらも感じられない動きだった。

 

「ンン! っく、はぁ、ああ!! ぐっ、うう、うっ……!」

 

 トワはリィンに腕や足を絡め、爪を立ててしまうくらい強く抱きしめる。そうしないと、痛みのあまり悲鳴を上げてしまいそうだったからだ。

 

 じゅ……じゅぷ、じゅぷ、じゅぷぷ……!

 

 痛みに対する防衛機構が働いたのか膣内が湿り始め、抽送が滑らかになっていく。水音が増すに連れて痛みが和らぐ。代わりに、痛みの影に隠れていた甘い疼きが姿を現した。痛みが和らげば和らいだ分だけ、快感が強くなる。

 

「ん、んん… …! あ……やぁ……! んん、くぅうん……ッ!!」

 

 痛みによる呻きに、色が混じり始める。気持ちよくなっている場合じゃないのに、身体が言うことを聞かない。交互に訪れる快感と痛みに膣が収縮を繰り返す。リィンを受け入れようと、身体が多量の愛液の分泌を続ける。その甲斐あって、今の肉竿のサイズでもどうにか裂けずに済んだ。

 

「ンンッ、ぁ、アア! そこ、ダメ……ンンゥ!!」

 

 やがて、痛みと快感の割合が逆転する。ズプリと突かれれば身体が悦び震え、意図せぬ嬌声が漏れる。かつて愛し合っていたときのように身体が熱く火照り、感度を最高潮に高めようとする。

 

(感じちゃダメなのに……中に出させちゃ……ダメなのに……! 身体が、反応しちゃう……!)

 

 肉体が覚えているのか、リィンのペニスが行き来すると膣内が蠢き締め付けようとする。まるで、挿入を歓迎しているかのように。

 

(ちが……う……! 今のリィン君は……リィン君じゃ……ない……!)

 

 確かに肉体はリィン・シュバルツァーそのものだ。だけどその中身はただの獣だ。こんなの、獣に犯されているのと大して変わらない。そしてその獣に、今にも家族が殺されようとしてる。なんとか、しなければならない。

 

「リィン君……ッ! ねえ……ンンッ! ぁ、あんっ……ふぅ、聞こえる……!? お願い……ァアア!! 元に……戻って……ンンぁあアン!!」

 

 快楽の暴風雨に晒される中、トワは声を張り上げて必死に呼びかける。本能的な恐怖を感じるリィンの血みどろの瞳から視線を外さずに、何度も叫ぶ。

 

「無駄だ。今のリィン君は心にダメージを負い過ぎている。現に捕らえている間、彼はずっと自分の殻に閉じ篭っていた。いくら君でも、そんな状態で暴走している彼を引き戻すのは無理だ」

「そんなの……やってみなくちゃ……っ……アアアア!!」

 

 ズン、と最奥を突き破りそうな勢いで突かれた。子宮に導力車の衝突のような衝撃が走り、腹部で快楽の爆竹が炸裂する。絞り出されるように淫らな熱が燃え広がり、身体の芯を灼く。

 

 リィンはさらに腰を押し付けるようにグリグリと密着させ、持続的に子宮の入り口を圧迫する。サイズが大き過ぎるせいか、Gスポットも同時に圧迫される。さらにリィンの肌がクリトリスと触れ、腰が動く度に擦れる。

 

 グリグリ、こすこす、ジュプジュプッ!

 

「ふぁああ!! ゃ……ンン! ンンンッ!!」

 

 3箇所から同時に快感が走る。快楽で意識が宙に浮き上がるかのようだった。膣内がジワリと熱くなり、淫乱なエキスをドバドバと垂れ流す。お漏らしのようにシーツが汚れ、臀部に湿った感触が伝わる。

 

「リィ……ん、く……ンンゥ!? アア! アッ、アアぁあンン!!」

 

 身体の中で火薬が何度も爆発しているような暴力的な快感に、もはやリィンに呼びかける余裕すらない。淫らな電撃が流れる度に視界にノイズが走り、頭の中が真っ白になる。身体中の神経に快楽物質が流し込まれ、ヴァギナの快感が全身に拡散する。

 

 身体が弛緩する。拳を作ろうとしても、指から力が抜ける。ずっと躊躇っていた腕への噛みつきも実行したが、歯がほとんど食い込まなかった。

 

「ッ!! ぃ、が、ガァアアア!!」

 

 突然、ナカに入っているペニスが膨張した。Gスポットへの圧迫感が、さらに強くなる。脳に直接媚薬を注ぎ込まれているような快感に、一瞬意識が飛んだ。どうやら、軽い絶頂に至ってしまったようだった。

 

(!? こ、これ……もしかして、出すの……!?)

 

 これまでのリィンとの経験のおかげで、彼の射精の前兆を読み取れた。リィンは体重のほとんどをトワに預け、猿のように腰を振る。極太のペニスが膣口を限界まで押し広げ、グチュグチュと愛液を掻き出す。

 

 ジュップ! ジュプ! ズプッ! ジュプ、ジュプ、ジュプッ!!

 

「だ……め、抜いて……ンァ! ンンッ! ンンンンんンンゥ!!!」

 

 軽くイッたトワの身体はリィンのピストンに過敏に反応し、再度の絶頂に向けて感度が指数関数的に高まっていく。

 全身が痙攣し、リィンに全体重で押さえつけられていることもあって抵抗は不可能だった。

 

「ァ、ぁあアアアーッ!! ッアアアアんゥンンッ!!」

 

 言葉の発音を忘れたように、本能が赴くままに喘ぎ続ける。肉体が意識から切り離されたように、好き勝手に上り詰めていく。

 

(動いて、動いて……私の身体……! いや……出さないで……お願い、お願いーッ!!)

 

 トワの最後の祈りは届くことはなく、その瞬間はやって来た。

 

「ーッ!! ガぁアアアアアアアッ!!!」

 

ドクドクン! ドピュ、ドピュ! ビュクククッ!!!

 

 トワの身体が浮き上がるほど強く腰が叩きつけられた瞬間、ナカでリィンの欲望が爆発した。全身に響き渡るような強烈な脈動と共に、子宮が一瞬で熱いモノで満たされた。ジェットのような勢いで膣内を逆流し、精液が子宮の入り口をぶち破ったのだ。

 

「ァアアアアアアアアーッ!! ッ、ハァ、ンン、ンンゥーッ!!」

 

 陸に上がった魚のように腰を跳ね回らせながら、トワも絶頂に達した。大きく口を開け、端から唾液が垂れる。

 放たれた精液が子宮を打つ度、甘美な痺れが走った。ぎゅうぅうう、と膣壁がペニスを締め上げ、尿道に残った精液を子宮まで運ぶ。

 

 射精が終わるころには、トワは息も絶え絶えだった。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

「……失敗だね。じゃあ、叔父から行こうか」

「ッ……まって……はぁ、はぁ……ぉ、ねがい……」

 

 疲労と絶頂の余韻で、声を張り上げることすら出来なかった。無慈悲にも銃声が映像越しに響き、映像に映っていた叔父が倒れた。

 

「ぁ……ぁ……」

「ほら、まだ終わってないよ。ちゃんと最後まで相手をしてあげるんだ」

 

 悲しむ暇すら与えられないまま、ペニスを引き抜いたリィンはトワの肩を掴んでうつ伏せにした。ペニスが抜けた一瞬の隙に逃げようとしたが、頭を力づくで押さえられて叶わなかった。

 結果的に、尻を突き出した四つん這いの格好となってしまった。膣から、ポタポタと愛液やら精液やらが垂れ落ちる。

 

「ウゥ……グゥ……ッ」

 

 リィンが、全く固さを損なっていないペニスを添えた。ただし、今度は膣口ではなかった。ミチリ、と肛門の括約筋が広がるのを感じたその瞬間、直腸内に巨大な異物が侵入した。

 

「ッー!?」

 

 空気を飲み込んだような声にならぬ声が漏れる。同時に、膣では味わえない、寒気で身震いするような快感が肛門を中心に広がった。排泄感に限りなく近いおぞましい感覚に、トワは体を捩らせた。

 以前、機械の触手にアナルを嬲られて以来、トワのアナルは性感帯として開発されてしまった。

トワが望む望まないに関わらず、剛直を突っ込まれれば簡単に感じるようになっている。

 

「……あらかじめ言っとくけど、直腸に出された場合でも中出しと見なすからね」

「そ、そんな…… ンンッ!?」

 

 リィンがペニスを引き抜いた。排泄時の解放感と共に脳が灼けるような快感が突き抜けた。未だ慣れぬ類の快感にバチバチと視界が弾ける。

 愛液がペニスにたっぷりと絡みついていたせいか、ペニスの動きはスムーズだった。引っかかりを感じないと見るや、リィンの動きにエンジンがかかった。トワの尻をがっちりと掴み、導力バイクのエンジンのような唸り声を上げて乱暴に腰を振る。

 

 グプッ! グプッ! じゅぷ、じゅぷ! ズププププ!!

 

「ぁあ、ぐ……ンぁアアアンっ!! ハァあ……ぁンン!!」

 

 リィンの苛烈な攻めに、トワの身体が前後に揺れる。挿入の様子が見えない分、アナルで感じる快感が強く感じる。

 極太のペニスが直腸を押し広げ、隣接する膣すらも圧迫する。まだまだ絶頂の余韻が残っていたトワは、アナルと膣内の両方の快感を享受することとなった。

 

「ンッ! ンン! ンンンッ……ゃ……ンァああ! ぅうウンンッ!!」

(だめ……おかしくなっちゃう……! にげ、逃げないと……!!)

 

 幸い、正常位のときよりは身体の自由が効く。這うようにして、リィンに気づかれないように少しずつ離れようとした。

 しかし、リィンはより深くトワと結合しようと、前進するようにして腰を叩きつける。這って移動してもすぐに距離を詰められ、ほとんど意味がなかった。そんな追いかけっこもベッドの端まで追い込まれた瞬間に終わってしまった。トワの上半身が、ベッド近くの壁に押し付けられる。

 

 ズップ! ジュプジュプ! ジュププッ!!

 

「ッー!! ぁ、ァアアア! おくに……響いて……ゃ、ァアあンン!!」

 

 逃げ場がなくなったことで、リィンの体当たりのような挿入の衝撃を全て受け止めてしまう。ペニスが肛門付近をゴリゴリっと削り、気持ちよさのあまりビクビクンと腰が痙攣した。ぷしゅ、と秘所が軽く潮を吹き、トワの太ももにかかった。

 

「随分気持ちよさそうじゃないか、トワ。もう君の家族が1人死んでいるのに、君はそうやってリィン君とまぐわって発情した雌猫みたいに喘いでいるのか。いい身分じゃないか」

「ッー!!」

 

 ジョルジュの、言う通りだった。トワはロクに抵抗することも出来ず、リィンの剛直から逃れることも叶わず、犯されているにも関わらず絶頂するほど感じてしまっている。それが、リィンのペニスだからというだけで。

 

 自分が嫌になる。今もこうしてリィンの肉竿で悦んでいる自分が。悦の入った嬌声を上げてしまう自分が。大事な家族すら守れない、自分が。

 

 そして、これほどの自己嫌悪に陥っているにも関わらず、身体は2度目の絶頂に向けてプルプルと震える。リィンも射精が近いのか、動きが加速する。

 

(……どうせ、私には何も守れないんだ。2人助かったのも運がよかっただけ。だってほら、また中に出されそうなのに、全然力が入らないんだもん)

 

 ピシピシと、視界にヒビが入る。ここに来て、トワは始めに抱いていた筈の決意がぷっつりと切れてしまった。叔母か従兄弟の死が間近なのに、何の闘志も湧いてこないのがその証拠だった。

 

 もう、何も見たくないし、何も考えたくない。全てを放棄したトワは頭を空っぽにして快楽に身を委ね、性欲に導かれるがままに嬌声を上げ続けた。

 

「ぁア! ンンッ! ンァアアアアん!! ぃ、の……ッ!」

 

 快感のボルテージが有頂天に達し、トワは背中を思いっきり仰け反らせた。トワが達するのとリィンが果てるのは、ほぼ同時だった。

 

 膣内とほぼ同じ量の精液が直腸を満たし、真っ白な光と共にトワの視界は砕け散った。

 

 残ったのは、全てを呑み込む真っ暗な闇だった。

 

 

*

 

 

 2人もの家族を失ったトワはそんなことを気にすることもなく、焦点の合わない瞳を潤わせながら、リィンとのセックスに夢中になっていた。そんな様子を、ジョルジュは遠巻きに眺めていた。

 現実から目を反らす為に、快感を貪るだけの世界に逃げてしまったようだ。ジョルジュの想定した結果と少々違うが、トワの精神を崩壊させるという結果は得られた。

 

(最後の1人は殺す必要もないか。そもそも、見た目そっくりなだけの人造人間だしね)

 

 実のところ、今まで映像越しに殺していたのは全て人造人間だ。本人たちは、アンゼリカ・ログナーと同じ場所に秘密裏に匿っている。

 地精の長に、ジョルジュが彼らを匿っている可能性そのものに至らせないために、わざわざトワへの罰として1人ずつ殺したのだ。2人も救うことに成功したことには驚いたが、そちらも後で適当に理由をつけて殺すつもりだ。証拠を残す訳にはいかない。

 

 ただ、トワの心を壊すことに関しては本気でやった。指示が殺すというものでなかった以上、どうあがいても誤魔化す方法がなかった。何がトワの心にダメージを与えるのに有効かを真剣に考え、心を鬼にして実行してしまった。

 

(……すまないトワ、リィン君。許してくれるとは思わない。でも、僕にとっては君たちよりアンの方が大事なんだ)

 

 結局のところ、ジョルジュの行動原理はそこにあった。アンゼリカとトワを天秤にかけて、匿っている最中のアンゼリカを選んでしまっただけの話だ。

 

 結果として、トワの心は壊れた。リィンも、正気に戻れば更なる自己嫌悪でより強く己の殻に閉じ篭ってしまうだろう。

 

 ただ、同時に心のどこかで信じていた。たとえこれだけボロボロになっても、きっと再び立ち上がるだろうと。心を取り戻すだろうと。都合のいい、妄想かもしれないが。

 

(アンが知ったら、きっと僕を殺すだろうね。こんな畜生には、それがお似合いだろうけど)

 

 恋人になった2人を分校で見たとき、それはそれは幸せそうだった。それをジョルジュがバラバラに引き裂いたのだ。誰よりも2人を祝福していたアンゼリカだ。楽な死に方は出来まい。

 

(……リィン君なら、きっと君の心を取り戻せる。だから、辛くても今は生きててくれ、トワ。その間、命だけは守るから)

 

 そう遠くない内にほぼ確実に訪れるであろう自身の最期を覚悟しながら、ジョルジュは2人の交わりが終わるのを待ち続けるのだった。 

 

 

 

 

 

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