汚物食い転生──それは食えば食うほど強くなる禁断の力 作:関節ロック
ジュウゾウは街路に一人、静かに突っ立っていた。
ちなみに傍らにいる妖精は元気に飛び回っている。うざい。
ジュウゾウの目的はただ一つ──美少女からその腸に溜め込んでいる排泄物を奪うことだ。
人影はまばらだった。既に太陽は姿を隠し、辺りはうっすらとした闇に覆われている。
糞、早く通れよ、俺好みの女っ、ジュウゾウは小刻みに足を揺すりながら、
通りかかる女性の顔を一つ、一つ、値踏みしていった。
だが、どの顔もジュウゾウの好みではなかった。
ジュウゾウの苛立ちが募っていく。
炎暑のせいで、この町は日が暮れてもひどく蒸す。
そんな中で、ただじっと立っていたジュウゾウは、とうとう自問自答しはじめた。
そもそも何故、自分はこんな事をしているのだろうかと。
美人のひり出した糞を喰う。
そうだ、それが自分の目的なのだ。
だけど、それだけなら別にこんな町中で強盗をする必要はないのではないだろうか。
そうだ、例えばトイレに忍び込んで、排泄物を盗めばいいのではないのだろうか。
そう考えたジュウゾウはすぐ計画を変更すると、町中のトイレを探し始めた。
それはラブレー的慧眼とも言えるだろう。
「ちょっと、どうしたの、ジュウゾウ?」
妖精の呼びかけに小走りのままジュウゾウが答える。
「女子トイレの便槽に潜り込むんだよっ、そして獲物を待つんだっ」
「なるほど、考えたわね、ジュウゾウ」
そんな妖精にジュウゾウが得意げに鼻を鳴らしてみせる。
「俺は昔からやれば出来る子だって呼ばれてたんだぜ」
「でも、残念だけどこの国のトイレは男女共有よ」
その言葉に思わずズッコケたジュウゾウが、地面に思い切り顔面をぶつけた。
そして地面から顔を上げ、ジュウゾウは妖精に向かって文句を吐いた。
「そういうことは先に言えよ、このバカ妖精……」
ボブカットのヘアスタイルをした端正な顔立ちの娘が、トイレのドアを開けて入ってきた。
美形だが、美人というよりも可愛らしい感じの娘だ。
娘──キャスは革のスカートを捲くりあげると、その場にかがみ込んだ。
魅力的なヒップ
板を二枚敷いただけの簡易トイレ、裏通りの路肩に置かれた共同便所だ。
トイレの個室は薄暗く、黴臭かった。
トイレの穴の下には、し尿処理用の壺が置かれている。
壺の中にいるのは、数匹のグリーンスライム達だ。
そのスライム達が汚物を綺麗に分解してくれる。
キャスは今回の依頼が上手く成功したことに内心、喜んでいた。
依頼がうまくいって良かった、そう思いながらキャスが気張る。
キャスは新米の冒険者で、今回の依頼はダンジョンの探索だった。
それで同じような新入り冒険者数名と組んで、
ダンジョンを探索してどんな罠やモンスターがいるかなどを調べた。
成果は上々だ。
キャスの股ぐらから、シャーっという水音が響いた。
続いて若菊から、親指二本分ほどの太さの黄色い物体が押し出されていく。
便壺の中に潜んでいたジュウゾウは、娘の落下物を両手で受け止めると早速賞味することにした。
(やっぱりウンコだから臭いよな……でも、可愛い子のなら何とか食えるかも……)
ジュウゾウが生温かく、柔らかなキャスの排泄物をガブリと大きく口に入れた。
途端に脳髄が痺れるほどの刺激臭が鼻腔粘膜を犯し、強烈な苦味と渋味が味蕾を襲った。
糞を口にしながらジュウゾウは心の中で叫んだ。
畜生、なんていうクソッタレた酷い味なんだと。
食道からこみ上げる胃液を何とか押しとどめ、ジュウゾウは糞の欠片を必死で飲み込んだ。
だが、飲み込んだ量が不味かった。
これがもしも少量だったならば、あるいは耐えられたかもしれないが。
ジュウゾウの胃袋が溜まった胃液をポンプのように押し上げ、糞を追い出しにかかった。
そして胃液の猛攻に耐えられなかった食道は、ある種の悲哀と共に壮大にゲロをぶちまけた。
もしもグリーンスライム達がまだ生き残っていたならば、食べ物が増えたと喜んでいた事だろう。
ここでジュウゾウの胃袋と食道とのやり取りについて少し見てみたいと思う。
胃袋「ウンコは食べ物じゃないっ」
食道「だが、ジュウゾウはそのウンコを食べたんだから、お前も消化しろ」
胃袋「一体全体どうしたって言うんだっ、今までウンコなんて食べなかったじゃないかっ」
食道「そんな事俺は知らないよ。もしかしたら、飢饉が襲いかかって、ウンコを食べなくちゃいけなくなったのかも」
胃袋「クソっ、だからってウンコはないだろっ」
食道「つまらない冗談を言うのはよせ」
胃袋「俺は冗談を言っているわけじゃないっ」
食道「とにかく、お前は自分の役割を全うしろ」
胃袋「お断りだっ」
ジュウゾウが嘔吐した裏には、このような内蔵ドラマが展開されていたのだ。
肥壺の中から聞こえてきた何者かの呻き声と嘔吐音にキャスが後方に飛び、身構える。
「そこにいるのは誰よっ」
キャスは便壺に隠れ潜む相手に向かって誰何した。
バレてしまっては仕方がない。
ジュウゾウは便槽用の壺から這いずり出ると、キャスにその姿を見せた。