冒険者の朝は早い。大抵日の出には起きているものだ。ただ、常に寝坊するオチバはニニャより早く起きることはない。ニニャは朝起きると、寝ている間に体勢を変えたのだろう自分の胸を枕にして眠るオチパの頭を抱き、手触りの良い髪を撫でた。
オチパの事が好き、自分の胸で眠るオチパが愛おしい。でも……とニニャは考えてしまうようになった。
何もかも飛ばして肉体関係になり、甘酸っぱい交際や日常での心のふれあいが少ない気がするのだ。姉を見つけるまで男でいるつもりだったニニャに女心が芽生え、成長した結果、そういう事をしたいという欲求が生まれた。
少なくとも冒険者として活動している間はダメだ。仲間に迷惑がかかってしまう。じゃあ冒険者じゃない時は? 昨日の夜のように、昼間でも冒険者じゃない自分を作れないだろうか。幸い今いるのは王都で、顔見知りはほとんどいないだろう。
女の格好をしてウィッグをかぶれば早々バレないだろうし、バレたとしても女装しているということでごまかすことができないろうか。ただ、そのウィッグをどこで手に入れるかが問題なんですどね……。
悶々とそんな事を考えていると、オチパがニニャの胸をぺろっと舐めた。
「んっ、オチパ、起きたの?」
「んんー。ちゅぅうう」
「あんっ、もぅ、朝からそんな……んっ、ダメですよ、あんっ」
ニニャはオチパを抱えてずり上げるとオチパの身体が自分の乳首を擦り甘い声を出した。そして断固として寝たふりをするオチパにキスをした。
「ちゅっ、んんっ……、あふっ、くちゅ、くちゅ、んふぅっ、こくっ、くちゅ、くちゅ……」
舌を絡め、唾液を流し込まれながらニニャはだんだん増えていく甘い痺れで思考にモヤがかかり、その甘い痺れを求めるように身体をゆるゆると動かし始めた。夢の中にいるはずのオチパもゆるゆると身体を動かし始め、肉棒を硬くし、ニニャの湿ったワレメに沿わせる。
「んっ、んんっ、んっふぅ、
キスで口をふさがれながらもニニャはそう口に出したが、あまり言葉になっていなかった。それに下のお口はぬるぬると愛液を滴らせ始め、堅くなった肉棒に挿入前の奉仕をする。
「んんんんぅっ、もふっ、くちゅ、くちゅ、うぁんっ、おぐぅっ、ごくっ、んぅっ……」
オチパの腰がニニャの足の下にもぞもぞと入り込み、肉棒の先端が下のお口にキスをすると足を押し上げるようにゆっくりと進み、肉棒がニニャの体内へと飲み込まれていった。
挿入が終わってもオチパはそのままキスを続け、ゆるゆると腰を動かし、ニニャの狭くてぬるぬると暖かい体内を味わった。ニニャもオチパの背に腕を回し、背中をさするように撫で、甘い刺激の中でゆっくり腰を動かした。
ゆっくりとしたセックスで長い時間甘い痺れを感じ続け、ニニャはボーっとした頭で気持ちよさと幸せを味わっていた。そして、ちょうどいい気持ちよさがしばらく続き、オチパの身体がビクッと揺れると、ニニャの体内にトクントクンという肉棒の鼓動と吐き出される精液の熱が広がった。
朝までに溜まった精子をすべて吐き出し、小さくなった肉棒がニニャのキュウッと締め付けるキツイ穴から押し出されると、オチパはニニャの首下に顔をうずめ、再び寝息をこぼし始めた。ニニャは首下に感じるくすぐったさに「ふふっ」と笑みをこぼすと、そのまま背中を撫で続け、寝起きの気持ち良い気だるさのような甘い痺れを味わい続けた。
ニニャが軽い睡魔に襲われ、再び目を覚ますとすでに日は昇っていた。上に覆いかぶさるオチパをどかし、破かれた下着を脱ぐと昨日貰い結局使わなかった冷たくなったお湯で身体を拭いた。濡れたタオルを股に挟むとニニャは持ち物の中から以前履いた下着と共に着替えを取り出し、少し臭いを嗅いでみた。
最初に着替え、ずっと放置されていた下着は臭いもきつく、ぶっちゃけ臭かった。これをオチパが嗅いで嬉しく思うのか甚だしく疑問だった。そっと下着をオチパの顔に近づけると、オチパはくんくんと臭いを嗅いだあと、さっと手で奪い、「えへへ」と笑いながら身体に包み込んだ。
えー……。わたしってこんなに臭いのかな? ちょっとショックですね……
ニニャは少しショックを受けながら、オチパの行動に少し引いた。そして脱ぎ散らかされたオチパの衣服が目に入ると、ちょっとした好奇心とイタズラ心から、オチパの衣服を着てみることにした。オチパの方が少し小さいが着れるだろうと思ったのだ。
ニニャは股に挟まったタオルを桶に投げ入れると、オチパの下着の匂いを嗅ぎ、あまり匂わない事に疑問を持ちながらも清潔だろうと判断してそれを履いた。そして、オチパがいつも下に着ている白いヒラヒラのついたブラウスに袖を通そうとすると、袖がスッと避けた。
「あれ?」と思いながら何度か試しているうちにオチパが起きた。
「おはよう、ニニャさん。匂いフェチに目覚めたの?」
「ちょっ、そ、そんなことありません。ただちょっとオチパに昨日最後の服を汚されてしまったので代わりに借りようと思っていただけです」
「そっかー。でもそれ男性専用にしちゃったからなー。あ、じゃあちょうどいいのあるからちょっと待ってね」
オチバは
ニニャの汚いパンツは再回収の恐れがあったため、一応
「え?」と驚きを口にして固まるニニャにオチバは近づくと、ウィッグの色をニニャの髪の色に調整し、髪型のチョイスに迷いながらも無難にゆるいウェーブのかかった肩より少し長い程度のセミロングヘアに設定すると、ニニャの頭に被せた。
そして「うんうん、似合ってるよ。ニニャさん」と言いながら白いワンピースを上から被せ、固まるニニャの両腕を袖に通すと、「やっぱり大きいすぎかなー」と言いつつニニャのスカート丈を調節し、新たに取り出した柔らかい赤い布でニニャの腰を締めた。最後に魔法の付与されたローファータイプの茶色の靴をニニャに履かせる。
白いワンピースは綿の生成りで、所々装飾のように襟や胸元に赤い布飾りがついていた。しかし、ニニャの身体には大きすぎ、襟は両肩までばっくりと開き胸の布は明らかにだぶだぶとしていた。
ニニャの硬直が解け、再起動を始めると、ニニャは自分の頭や着せられた服を触って確認した。そして、ニニャの聡明な頭脳が動き出す。
この髪はきっとマジックアイテムですね。手触りもいいですし、目の前で変更できるなんてそれしか考えられません。靴もまるで絨毯の上にいるみたいな履き心地ですね。サイズがぴったりですしこれもきっとマジックアイテムです。きっと前から持っていたものでしょう。
ですが、この服はなんですか!? どう見ても別の女に合わせて買った物です。色々な部分がだぶだぶ通り越してぶかぶかです。特に胸がっっっ!
「オ、オチパ? あの、この服はいつ誰のために買ったものですか?」
「確か漆黒の剣に合流する日の午前中にイシュペンさんかウィナさんにあげようかなと……」
「イシュペンさんは胸が大きいんですね……。ところでウィナさんって誰でしょうか」
「えっと……、イシュペンさんの同僚でお尻が大きめの受付嬢さんで……」
「そうですか……。それでなんでこれをわたしに着せたんですか?」
どんどんとドロドロとしていくニニャの感情を察知し、オチバの声も少しずつ小さくなっていった。しかし、オチバが「イシュペンにあげる機会が無さそうだし」とか「今日は冒険者をやめて女の子のニニャさんになりましょう」とか「今日は着替えや下着を一緒に買いに行きたかったので」などと下心9割本音1割で話すと、ニニャの機嫌は回復した。
「しょ、しょうがないですね。オチパがそう言うなら今日はこの格好に付き合ってあげます」
「ええ、かわいいですよ、ニニャさん」
「もう……」
ニニャの首から冒険者プレートを取り外し、アイテムボックスに入れると、女の子になったニニャの胸を布越しに触りながら片腕で抱き寄せ、ニニャとキスをしていると扉がノックされた。
「おーい、ニニャ、オチパ、起きてるかぁ? メシ行くぞぉ~」
「んむっ、ぷはっ、はぃ――むぐっ」
キスをやめたニニャが返事しようとした所でオチパはその口を手で塞いだ。「起きてますよー。今開けますねー」と言うとニニャの静止も聞かず部屋の鍵を外し、扉を開いた。
「よぉ、おはよう。オチ……――え?」
「おはようございます。ルクルットさん。どうしました?」
「いや、その、とりあえずお前服着ろよ……なんで全裸で扉開けるんだよ……」
「あ、忘れてました」
オチパがいそいそと予備の下着を取り出し、服を着始めると、ルクルットはニニャをちらりと見た。女の子のニニャは自分がどう見えるのか気にはなったが色々あってかなり恥ずかしかった。
「そんでこのお嬢ちゃんはどこの誰だ? 確かにかわいいかもしれねぇが、ニニャほっぽリ出してどこで引っ掛けてきたんだ? そんでニニャはどこ行ったんだ? 愛想つかされたか? 事と次第によっちゃあ―――」
「―――え?」
「え?」
「……いや、ニニャさんなら目の前に」
ルクルットとニニャが見つめあったまま時間が止まった。オチバにとってある種のお約束であり、ルクルットならすぐバレると思いつつもやってみたのだが、まさか引っかかるとは思わなかった。
こうかはばつぐんだ。
オチバはさっさと服を着て、部屋に設置したマジックアイテムやニニャの所持品をすべて
ルクルットが来る前に仲間にバラすため、
こうかがばつぐんすぎた。
「おはようございます。ぺテルさん、ダインさん」
「お、おはようございます。ぺテル、ダイン」
そっとニニャを降ろし、オチバが挨拶すると、抱えられて恥ずかしい思いをしていたニニャもたどたどしく照れながら挨拶した。
「えっと、ニニャか?」
「う、うむ……、おはようである」
「え、ええ。そんなにおかしいですか? オチパもしかして……」
「いやいや、充分かわいいですよ。ちょっと待ってくださいね」
そういえばニニャは自分の姿が分からないんだなとオチバは
「え? 誰?」とニニャが鏡に映る自分の腕を上げたり後ろを向いて振り返ったりと初めて鏡を見た人間のように戸惑っていた。そんな光景をオチバはニマニマ見つつ、これならバレなさそうだと安心した。これで王都では女の子のニニャとデートし放題である。
ぺテルとダインが困惑していたので、オチバは種明かしする事にした。と言ってもマジックアイテムのウィッグを色々と変更するだけである。ニニャの頭の上に手を置くと、ピンクのツインテールにしてみたり、黒髪のお姫様カットにしてみたり、金髪のドリルヘアにしてみたり、赤髪のパーマのキツイロングヘアにしてみたり……。
ペテルとダインが納得いった表情を浮かべたので最終的に最初の髪型に戻した。
「す、すごいマジックアイテムをお持ちだったのですね」
「うむ。髪型でまったく印象が変わるのであるな」
「え、ええ。あ、もう一度黒髪にしてみていただけませんか?」
「はーい」
ニニャは黒髪が好きなのかな? 黒髪姫カットもロマンだよね。などと思いながらオチバはニニャの髪を黒髪姫カットに変更した。そしてようやくルクルットが再起動を果たし、部屋に戻ってきた。
「お、お前ら、ニニャが……え? ど、どちらさまでしょうか! けっこ―――」
「落ち着けルクルット!」「ルクルット、落ち着くのである」
「そうですよ。ちょっと服装と髪型が変わっただけじゃないですか」
ニニャは仲間の反応から女の子としての自信を持ったのか余裕の表情で鏡に向って髪を振ってみたり後ろから見てみたり自分の姿を確認していた。少しかがんだ時に胸元が見えそうになったので気をつけようと心にとめた。いきなりロングヘアにした事で後ろが重かったのでオチパに短くしてもらった。
その光景を見てようやく落ち着いたルクルットを仲間が宥め、今後の行動方針を決める事になった。オチパはニニャを連れて知り合いの下へコンタクトを取りにいき、人脈を伝っていく事に決めていたのでそれを話した。ペテルとダインは今の所出来る事はないのでギルドの訓練施設で訓練し、ルクルットは「色々と当たってみるわ」と情報収集に励むらしい。
一日一度は戻り、報告会をする事になったが、場合によってはお泊りもありうるのでその際は宿に伝言を入れる事になった。オチバは大勝利を確信した。ガゼフは何もしていないがガゼフ様様だった。
遅めの朝食を食べ、それぞれ動き出すと、オチバはニニャと一緒にひとまず王城へと向った。途中で買い食いや露店を冷やかし、たまに購入し、ニニャに服のだぶつきを抑えるためにブローチを買ってあげたり、と時間を潰しつつ向った。
ニニャは少し不安を覚えたが、「まぁ最初は時間を取ってもらうために行くようなものだから」というオチパの言葉でどうせなので楽しんだ。
買い物の途中で、オチパがそういえば、と冒険者プレートを外し、
「ニニャさん、今から冒険者プレートをつけていない僕はオチバです」
「え? 偽名ですか?」
「いえ、むしろどちらかというとオチパが偽名かな……?」
「そ、そうだったんですね……、オチバ、オチバ……」
「はい、ですのでよろしくお願いしますね。ニニャさん」
「はい、オチバ」
高級住宅街の区域に入ると、一気にそこにいる人間の質が変わった。この辺りの人間は皆仕立てのよい服を着ており、歩く者はメイドや執事、それに出入りの商人のような人間ばかりだった。そのため、当然見知らぬ人間であるオチバとニニャは警備の衛兵に声をかけられた。ただ、オチバの身なりがよかったのであまり威圧的ではなかった。
「君達。見ない顔だね? どなたかのお知り合いかな?」
「あ、衛兵さん。こんにちは。先日、エ・ランテルから来たばかりでして。ガゼフ・ストロノーフさんと縁がありまして、お宅に伺おうかと思ったのですが……」
「おや、王国戦士長と? うーん……。そうですな。何か証しのような物はお持ちか?」
「はい、ちょっと待ってくださいねー。はい、どうぞ」
オチバはガゼフがくれた身分証を渡したが、衛兵はガゼフの筆跡をほとんど見た事がなかった。しかも書かれている内容に疑問を持ち、オチバを訝しげに見ていた。オチバはまさかガゼフがくれた身分証が使えないとは思っていなかったので少し焦ったが、よくよく考えれば書かれている内容はざっとしか聞いてなかった。
そんな様子を見ていたニニャは焦った。まさかオチバの言っていた知り合いが王国の英雄、王国最強の戦士、戦士長ガゼフ・ストロノーフだとは思わなかったからだ。確かに貴族ではないが、普通に会えるとは思えない人間だった。
衛兵はいぶかしみながらもガゼフの家へ案内する事にした。ガゼフの家人に見せて判断してもらい、偽物なら捕まえればいいのだ。「それでは私が案内しましょう」といってオチバに身分証を返した衛兵にニニャは安堵のため息をついた。
ガゼフ・ストロノーフの家はちょっとした平民が住むような二階建ての普通の家だった。高級住宅街から移動したせいもありとても簡素に見えた。衛兵が代わりに家人を呼び、出てきた老人は執事というより使用人だった。幸いガゼフの書いた身分証が通ったのでオチバとニニャは家の中へと招待された。
オチバはナチュラルに無詠唱化した《
王都のちょっとお高い区域に戻ると、高級衣料を扱うお店に入り、女の子のニニャに似合いそうな服や下着を買った。特に下着はオチバの趣味で様々なものを大量に購入した。冒険者としてでも使えるような汚れの目立たない灰色のスポーツっぽい下着やシルクのような肌触りと光沢を持つ真っ白な下着、キャミソールやベビードールなど趣味全開でそれらを金貨をばら撒きながら買うオチバに店員は軽く引いた。
オチバは身なりはいいが、どう見ても子供なのだ。後日受け取りに来るのが面倒くさかったのでその場で持って帰れるものをチョイスしたのだが、服や下着はその場でニニャに合わせて調整してもらった。さっそくニニャに新しく買った下着に着替えてもらい。ニニャも照れながらこの状況を満喫していた。
ちょうどお昼になったので王都で最高級の宿に食事に行った。滞在費が非常に高いが高級感溢れる宿で、一階が食堂兼酒場になっているとの事だったのでちょっと高級なレストラン感覚でニニャを連れて行った。
店内に入り、おのぼりさん全開でオチバが「へーへー」と店内を見回す姿にニニャは「恥ずかしいからやめてください」と小声で注意した。ただ、興味もあったが警戒のためにそんな行動を取っていたオチバは片隅のテーブルにつく二人の冒険者が目に入ると、一瞬目を細め、警戒した。
こっそり《
一人は今まで目にした中では派手な部類に入る鎧にでかくて派手な
二人セットでテーブルについている所からオチバは自分と同じ境遇の人間、つまりプレイヤーではないかと疑った。そして、プレイヤーならお高い宿や国の中枢にいてもおかしくない。そう思い、プレイヤー関連の情報を集めなかった事や居そうな場所にむやみに近づいた事を少し後悔した。
オチバはニニャと冒険者を挟む位置に座ると、ニニャにメニューを読んでもらいつつ
王国冒険者組合に所属するアダマンタイト級冒険者チーム青の薔薇のチームメンバー、戦士のガガーランと
店内に入ってきた時は身なりの良い少年が、全力で背伸びをして気になる女の子をデートに誘って昼食をとりにきたのだと思った。実際、そういう人間は少なからずいる。宿の雰囲気が良い事もあるが、ここを拠点にしている王国最高峰のアダマンタイトチームがいる可能性が高い。それを一目見ようという理由もあった。
ガガーランは見た目に反して気の良い人間なので、そんな客にファンサービスを行うこともあった。大抵は気さくに少し話をする程度だが、興が乗って特別サービスを行うこともある。サービスを受けた童貞の男性は一部分が再起不能になると知れ渡り、知っている人間はそうそう受けようとは思わない。
黒髪二人の若い男女の組み合わせはこの宿では珍しかったが、ことさら注意を払う対象ではなかった。しかし、オチバが
ガガーランは一度イビルアイに向かい合い、テーブルに手をつき立ち上がる際にイビルアイに顔を近づけた。
「様子を見てくる」
「やりすぎるなよ」
ガガーランはニヤリと笑うと席を立った。イビルアイはガガーランの戦士としての勘が何か感じたとは思ったが、イビルアイから見るとただのデートに来たガキだった。
「おう、見ねぇ顔だな。青の薔薇のガガーランだ」
「初めまして、オチバです。今デートで忙しいのですが、どのようなご用件でしょうか」
「ちょっ、オチ――バ。すみません。ガガーランさん。初めまして、ニニャと申します。青の薔薇の方に声をかけていただけるなんて光栄です」
ガガーランが近づいた時にオチバの左肘が少し下がった。本人は気付いていないだろう。戦士のガガーランだけがその動きにつながる心情を捉えた。故に先に声をかけた。
「はっはっは! ファンサービスってやつさ。童て……いじゃない……だと!?」
「す、すみません。ちょっと初めてのデートで緊張しておりまして……。ニニャ、青の薔薇って何ですか?」
「えっと―――」
ガガーランの目の前で堂々と聞くオチバにニニャは戸惑った。青の薔薇といえば王国に二つしかない最高峰の冒険者チームの一つ。女性だけで編成された冒険者チームでリーダーは貴族の出だという。見ただけで自慢できるような相手だ。ニニャはそんな相手に話しかけられる事など考えた事もなかった。
ニニャはガガーランの方を向くと、「なんだ知らないヤツもいるんだな」と言いながら頷いていたのでニニャはオチバに説明した。オチバは警戒しつつも「おお、そんな方だったとは失礼しました」と言いながらプレイヤーかどうかの質問をいくつかしてみる事にした。
つまるところ、ガガーランの装備の出処である。そしてこの世界で手に入れたものだと聞かされ、警戒を解いた。しかし、次はガガーランの質問が待っていた。
ガゼフが無事に王都に帰って来たこと、オチバという黒髪の少年に手助けしてもらったことはガゼフから王や都市長、冒険者組合長などに知らされており、そこから巡りめぐってガゼフの生還に疑問を持っていたラナーの耳に入り、彼女の興味を引いた。
さらにラナーから青の薔薇のリーダー、ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラに伝わり、自身の戦力を欲している事を隠しつつラナーが「会ってみたい」と言った事で青の薔薇の全員にオチバの偉業と名と人相が伝えられた。ただ、陽光聖典を単独で全滅させた事には疑問に思ったが、青の薔薇が頬に傷をつけた相手、陽光聖典のリーダー、ニグンの生首が王都に届くと認めざるを得なかった。
そしてそのオチバと名乗った少年が目の前にいる。聞いた装備、風体、年齢、名前、完全に一致していた。しかし、エ・ランテルからの情報ではオチパという双子の全く同じ外見の人物もいると聞いた。ガガーランの身内にもティアとティナという見分けが付かないほどの盗賊がおり、名前も一字違いだ。故にオチパの可能性もあった。
「で、お前が陽光聖典を全滅させたって聞いたんだが本当か?」
オチバの体がピクリと動いた。
あれ? ガゼフが六色聖典のどれかって言ってたヤツだよね? マジ?
「え、ええ。お知り合いでしたか?」
「ああ、まぁ色々とな……」
遠い目をしたガガーランにオチバはさらに焦った。
マジで知り合いだったぁぁぁああ!? しかも王国最高の冒険者のお知り合いだったぁぁぁあああ!?
「す、すみません。デモ色々アリマシテ……。あの時は雇われの身でしたので苦情は当時の雇用主のガゼフ・ストロノーフの方にデスネ……」
急にしどろもどろになったオチバにガガーランは少し疑問に思ったが、因縁のある相手を横から掻っ攫われたとしても特に思う事はない。ただこの少年が噂どおりの実力なのだろうということは分かった。
オチバはガゼフがそこまで嫌われているとは思わなかった。しかし、冷静に考えれば、ガゼフの評判を聞いた相手はガゼフの部下だけだ。頼る相手を間違えたかもしれないとオチバは考え始めていた。
一緒に聞いていたニニャは全く話に付いていけなかったが、ガゼフの名前が出た事で、それで知り合ったのかと一つ疑問が解けた事でモヤモヤが一つ減った。
「いやいや、因縁ってやつだよ。また会ったらやり合ってただろうよ。だから気にすんな!」
ガガーランがオチバの背中を叩くと、オチバはホッとした。そしてオチバの中のガゼフの地位も保たれた。
料理が来る段で、ガガーランがどうせなら一緒にと言い出し、青の薔薇の専用テーブルと化している席に移動させられた。イビルアイとも自己紹介を終えると、ニニャは同じ魔力系
デートとはなんだったのか……。そんな事を考えつつオチバはガガーランから冒険の話や青の薔薇のメンバーの話を聞いた。特に興味を引かれたのは貴族の出のラキュースと双子の盗賊ティア、ティナだった。
貴族の出であればそちらの方面に影響力を持っているだろうし、アダマンタイト級の盗賊であればニニャの姉の追跡も可能なのではないかと考えたのだ。
「ところでガガーランさん。青の薔薇の依頼料って高いですか?」
「あん? まぁ、結構高いと思うぜ? しかも今は依頼受けるかわからねぇしなぁ……。何かあったのか?」
「ええ、まぁ……」
食事をしながらニニャに一度確認し、ニニャの姉に関して話をした。依頼内容はニニャの姉の現在の場所、境遇の確認だ。貴族の妾として連れて行かれた以上、本当に妾として愛されている可能性もある。しかし、それなら境遇だけでも知っておければ今後の行動につなげられるだろう。
「うーん……。力を貸してやりたい所だが、ちょいと難しいかもしれねぇなぁ……」
「ギルドを通すのも難しいですよね……」
「いや、その辺りはそこまで問題じゃねぇんだ―――」
「話しすぎだガガーラン。オチバとやら、こちらにも色々あってな」
人情家のガガーランとしては受けてやりたかった。貴族が絡んでいる以上、ラキュースの力が必要になるだろう。王国にあるもう一つのアダマンタイト級チーム、朱の雫でも可能かもしれないが、ティア、ティナという優秀な盗賊を二人抱える青の薔薇の方が達成可能性は高い。
というかむしろ過剰戦力な感もあり、ガガーランなどは役に立つ場面があるかすらわからない。ただ、現在青の薔薇はラナーの依頼で動いているのだ。八本指という王都に巣食う巨大な犯罪組織がライラの粉末――通称、黒粉という中毒性の高い麻薬を蔓延させており、その捜索と対処に当たっているのだ。
ティアとティナは情報収集と王城にあがるラキュースの警護に、ラキュースはラナーと相談に、ガガーランとイビルアイは情報が入り次第動くことになる。つまり今は動けないのだ。
しかし、自分の姉に関してオチバが交渉しているのにニニャがあまり口出し出来ないのは本人としても頼りすぎな気がした。相手がアダマンタイト級冒険者だとしても、格が全く違うとしても、訴えるくらいはできるはずだ。
「あの、皆さんから見れば大した事ではないのかもしれません。でもどうしても姉を見つけたいのです。お金は用意します。何とかならないでしょうか」
「ニニャ……って言ったか。俺としても何とかしてやりてぇんだがよ……。今はちょっとな……」
「何か依頼でも受けているのですか? そっちの依頼を僕がお手伝いする代わりに受けてもらうことはできないでしょうか」
食事も終わり、食後の紅茶を飲みながら何とか受けてもらえないか食い下がったが、一緒に聞いていたイビルアイがイライラし始めた。
「小僧……。こちらの事情を話すつもりはない。諦めろ。大体お前の噂は聞いているがわたしは信じてない。お前の実力を知らない以上、お前の手伝い程度が交渉を有利に運べると思わんことだな」
「そうですね。ガガーランさん、変な話をして申し訳ありませんでした。イビルアイさんもご不快にさせてすみません。他をあたってみますので、忘れてください」
オチバは会計を終え、ニニャを連れて宿をでた。そんな様子を見ていたガガーランはイビルアイと会話を続ける。
「おい、ラキュースに相談してからでもよかったんじゃねぇか? 王女様も興味を示してる相手だし、俺たちならすぐ終わる依頼じゃねぇか?」
「黙れ脳筋。あの話が本当かどうかもわからんのだぞ? しかも貴族とやりあうのは冒険者の仕事じゃない。大体、本当なら今日会ったばかりの相手に話すより、ギルドを通すべきだろう」
「でもよぉ、アイツの実力は気になるぜ?」
「それこそ杞憂だ。お前の観察眼を信じてないわけじゃないが、恐らくガゼフが助かったのはヤツが持つ装備による所が多いんじゃないか?」
「まぁその線もあるけどよぉ……」
食事を終えて、ニニャは少し沈んでいた。ガガーランさんは受けてくれそうな雰囲気があったが、あの小さな魔力系
ニニャがこんな状態では連れ込み宿に入った所で盛り上がらないだろう。オチバは少し面倒くさくなってきていた。ガゼフは力になるかわからない。青の薔薇は動いてくれそうだったが動けない。なんかもう自分でやっちゃった方が早いんじゃないかなと思い始めていた。
貴族に手を出すリスクを考えて避けていたが、最終的に手詰まりだったなら結局自分で動く必要がある。手を出したあとガゼフに尻拭いを押し付ける方針で準備をしておくべきだと感じた。
夕方になるまで今度は冒険者向けの店を巡った。魔法詠唱者用のお店で杖やマジックアイテム、ローブなどを見たり、野営用に必要な道具を扱っている店でオチバが二人用の高級マットを買おうとしているのをニニャが止めたり、前衛の武器を扱っている店でペテルやダイン、ルクルットが使えそうな武器を見たり、こっそりオチバが手ごろで安価な短剣を数本買ったり、弓を扱う店では試しに撃っていいと言われ、ニニャと一緒に何本か撃ってみた。当然すべて外した。
買い物を始めるとニニャの気分もよくなり、気持ちを切り変え純粋に買い物デートを楽しんでいた。青の薔薇にすげなく断られたのはそれなりにショックだったが、ギルドを通さず依頼した上に、それでも話が出来ただけでもすごい事なのだ。それに平民出身の王国戦士長という希望もまだあるのだ。
夕方になりオチバとニニャがガゼフの家を訪れるとすでにガゼフは帰宅しており、出迎えてくれた。「あの時は助かった」など様々なガゼフのお礼をサクサクと捌き、オチバが本題を切り出すと、ガゼフの顔が曇った。
王国戦士長として王と話す機会はある。他の貴族も同様だ。しかし、所詮ガゼフは平民出身で王の警護しか考えておらず、むしろ貴族は自分の足を引っ張る存在だった。そのような相手に協力を求めても、どんな借りができるかわからない。その行動で王の足を引っ張る事もあるだろう。王派閥に関しても信用できる相手はいなかった。
確かに戦力としてオチバに貸しを作り、取り込む事もできるだろうが、そういった考えはガゼフは苦手だった。結局「機会があれば信用できる人に言ってみる」程度に収まった。
案外役に立ちそうもないガゼフにオチバはできる限り単独で解決する方法を本格的に考え始めた。問題は漆黒の剣の依頼だ。エ・ランテルに戻ったらちょうど二週間を越える程度には日数がたっている。その依頼を達成させ、しばらく一人になれる時間を手に入れるべきだろう。
ニニャの姉の名前もニニャの姉を連れて行った貴族の名前も聞きだしてある。あとは変装でもして制限ナシで動けば解決しそうな気がした。
宿に戻り、オチバはガゼフがイマイチ動いてくれない事や、青の薔薇に偶然会い話してみたが今は難しそうな事を仲間に告げ、一度エ・ランテルに戻ることを提案した。ルクルットは「まぁ、しゃあねぇよな」と言いつつも同意し、他の仲間も腑に落ちない感じを受けながらも翌日王都を出ることになった。
夕食を食べ、部屋に戻るとオチバは荷物の整理を始めた。アイテムボックスの中から空いている
ニニャはそんなオチバの様子に不安と寂しさが募った。今日の二人だけの行動が楽しく幸せを感じていただけに、この別れの前の餞別を仕分けるような作業にエ・ランテルに着いたらオチバが別行動をするのだと感じた。
関係が終わり、別々の人生を進むなんて事は考えられない。きっと姉さんを探すために必要なことなんだろうと察しは着く。しかし、本当に自分の下に帰ってきてくれるか心配になった。少しなら我慢しようとは思っても本当は姉を探すためであっても一緒に行動したかった。
「ねぇ、オチバ……。わたしはもう不要ですか?」
「いえ、ニニャはもうずっと僕のものです。要らなくなることはありません」
「ふふっ、そうですよね……。ですが、不安なので証をください」
「え?」
まさかチンコに刺青を入れられるのかと焦ったオチバだったが、ニニャは自分のポーチから一枚の複雑な模様の入った真っ白な小さな布を取り出すと、「わたしには必要ないと思ってたんですけどね」と言いながらオチバに見えるように広げた。
◇
そして、ニニャが今日のデートでこっそり買ったこの布について説明した。このマジックアイテムは比較的安く手に入る妊娠検査薬のようなもので、女性の秘所に当てると色が変わる。孕みやすい日にはその可能性の高さを示すように薄い赤から真っ赤に染まり、妊娠すると真っ青に染まるのだ。
ニニャは説明を終えると、オチバの目の前でよく見えるようにスカートをたくし上げ、下着を脱ぎ、スカートの端を口に挟むとその布を自分のワレメに当てて再び布を開いた。その布は真っ赤に染まっていた。
「ふふっ、実はエ・ランテルを出た日から避妊薬飲んでないんですよ。もう出来てるかもしれないと思いましたがまだでしたね」
ニニャはそう言って布を振ると元の真っ白な色に戻った。その布をテーブルに置くと、ボーっと見ているオチバの服を手慣れたようにすべて脱がし、ベッドに押し倒した。そして、再びスカートをたくし上げ、自分のワレメをオチバの肉棒に沿わせ始めた。
オチバは子供欲しいの? とか、まだお姉さん見つかってないのに!? とか、子供できたらこれからどうしよう。などなどオチバの頭の中にぐるぐると不安や焦りが巡ったが、スカートをたくし上げ、下着を脱ぐ時にニニャのワレメからとろっと糸を引いた愛液を見た時からすでにそんな思考は性欲に押されに押され、思考が止まった。
オチバはいつの間にか全裸でベッドに寝そべり、ニニャが滴る愛液を見せ付けるようにスカートをたくし上げながらそっと跨る。そして少しざらつきながらも暖かくぬめるニニャのワレメを肉棒から感じ、オチバの思考は完全に落ち、もう孕ませることしか考えられなくなっていた。
「んっ、んっ、ふふっ、入れますね……。ちゃんと孕ませてくださいね。んんっ、ああああっ」
「うん、ニニャ、ニニャを孕ませる」
「あんっ、あんっ、いつもより、感じちゃっ、あんっ、あっ、あっ、あっ」
「ニニャの中すごく熱くてぬるぬるしててっ、準備できてるんだねっ」
「あんっ、そう、ですよ! わたし、あなたの、子供ほしいのぉっ、ああっ、あっ」
オチバの脇に両腕を置き、向き合いながら前かがみになったニニャのだぶだぶの首元からツンと立った乳首が見えていた。そしてぬっちゅぬっちゅとニニャが腰を振るたび、熱く絡みつく膣内がキュンキュンと肉棒全体を締め付け、すでに降りてきていた子宮口が吸い取るように亀頭に吸い付いた。
オチバはもうニニャを孕ませる事しか考えられなかった。この女に自分の子供を孕ませる。ずっと自分だけのものにする。そんな事しか考えられず、攻め立てられた肉棒はあっという間に限界に達し、オチバはニニャに抱きついた。
「おぐぅっ」
「あっ、あついっ、孕む、孕むぅぅううう! ああああああっ!」
精子が吸いだされ、肉棒が力を失うとニニャはそのままオチバに抱きつきキスをし、欲望のままに唾液をたらして飲ませ、舌をからめてキスを楽しんだ。
そして肉棒が再び力を取り戻すたびニニャはその精液を搾り取り、最後には限界を超え、気絶するように跨ったまま眠った。オチバもすべてを絞り尽くされ、子供が出来る恐怖を忘れるように快楽だけを感じてニニャを伸せたまましがみつくように抱きついて眠った。
翌朝、ニニャは起きるとしがみついて眠るオチバの精液を搾り取り、下腹をさすった。「ふふっ、できたかな?」とつぶやくと精液がこぼれないようきゅっとワレメを手で閉じ、昨日買ってもらった女性用の下着の中でもきつめのものを履いた。
そして汚れたオチバの肉棒を口に含んでキレイにし、体を拭くと冒険者に戻るため、ウィッグを外し、服を着替えた。
◆
冒険者ギルドで特に依頼も受けず申請だけ出し、冒険者だけでの移動は来た時とは違い、4日でエ・ランテルへ着いた。その足でエ・ランテル冒険者ギルドへ向い、オチバに関する依頼の達成処理を行った。ギルドマスターへの報告は戻ってきたばかりだったので翌日へ持ち越しとなった。そして漆黒の剣が使う宿へと戻ってきた。
夕食後の話し合いで、オチバは漆黒の剣とはしばらく別行動をする旨を話した。ニニャはそれとなく気付いていたが他のメンバーは驚いた。漆黒の剣は難色を示したが、オチバは変装してニニャの姉を見つけてくる事と、一緒に動くとバレる可能性が高い事を話すと、しぶしぶながら了承した。
そして、その日の夜、ニニャとオチバが二人部屋で愛し合ったあと、ニニャが恥ずかしそうに青い布をオチバに見せた。
「ちゃんと帰ってきてくださいよ?」
「えっと、うん。ニニャさん……。遅くなってもちゃんと帰ってきます」
「ふふっ、あまり無茶しちゃダメですからね? ちゃんと帰ってきたら色々飲ませてあげますから……あんっ」
散々愛し合った翌朝、ニニャが起きるとオチバの荷物はすでに無く、拙い字で「ニニャ、オチバ専用」と書かれた紙が残っていた。