「今すぐ! これら全て処分しなさい!!」
あちこちに、一目見れば判る高価な調度品が飾られた、豪華な――悪く言えば成金らしい、悪趣味な――部屋に澄み渡るような、しかし激情を伴った怒声が響きわたる。
声の主であるあたしは顔を怒りと羞恥で紅く染め、綿糸のように艶のあるツインテールを揺らしながら、肩をぷるぷると震わせていた。
そして机を挟んだあたしの目の前で、ふんぞり返りながら偉そうに座っている、小太りの男を睨みつける。
「いやいやエルシーさん、こちらはこれが最大の稼ぎ頭でしてぇ。これら全て破棄となるとぉ、その損なわれる利益やらなにやらがー」
手のひらサイズの骨董品を指で弄りながら、男は大して動じた様子も無く、半ば適当に話を流そうとしている。
「勝手に撮ったもので! 当人の承諾なしに!! なにいっているのよ!!!」
思わず両手で力強く机を叩きつけ、それに驚いた男が、手の中のよくわからない骨董品を取り落とす。
「!」
突然鳴った音に、あたしの後ろで監視するように突っ立っていた、二人組の
その動きに座っている男があわてて手で制すると、荒事は嫌いなのか、話を続けた。
「まぁまぁ、確かに貴女の言うとおり、本人の承諾を得ていないものもありますねぇ」
「なら話は早いわ、その当人であるあたしが言っているのだから」
しかしですがねぇ、と男に遮られる。
「そもそもなのですがぁ、貴女は本当にぃ、
「な、なにを・・・・・・っ、当たり前じゃない、そんなの!」
あの、という含みが何を意味しているのか、即座に理解してしまった自分に、嫌悪と恥ずかしさが同時に込みあげてくる。
そう、今のあたしの目的は、この大陸に少なからず出回っている、多数のマライズを全て回収し、破棄する事だった。
なぜなら今現在も出回っているそれらは・・・・・・あたしの、本来ならあってはならなかったはずの、絶対に人に見られてはいけない
「んーしかしそんな言葉だけでわぁ、いまいち信憑性にかけますなぁ。 今までもそういったニセモノのマライズだってぇ、たくさんあるんですよぉ?」
「この中に映っているヒトがぁ、貴女だという保証はないですよねぇ?」
「そんな、ふざけた事を」
あからさまな言いがかりに歯軋りする。加えて男の喋り方も癪に障り、冷静さが奪われる。
しかし、男の言葉は半分事実でもあり、数週間かけてようやく出所を突き止めてみれば、似ても似つかない女性が、それっぽい服と鬘を被っただけのフェイクマライズだったなんて事もあった。無論潰したわ。
「・・・・・・ならどうやって証明しろというの」
兎にも角にも、これらのマライズは全て処分せねばならない。
だがこの手のクズ共は、力づくで処分させたところで、必ずといっていいほど何かしらの方法で、密かに他の人の手に渡ってしまう事を経験していた。
だから完全に処分させるため、強力で正当な契約を結ばなければならず、そしてそのために交渉をしなければならなかった。
(まさかあの老人との問答がヒントになったなんて、ホント、皮肉なものね)
闘技場で迂闊にも好好爺の誘いに乗って、挑んでしまった事を思い出す。
そのせいであたしは、辱しめられただけに留まらず、女性として知られてはいけない秘密までもが、白日の下に曝されてしまったのだ。
一瞬でも思い出してしまった事に後悔して、頭を振る。
しかし交渉するという事は、あたし自身も譲歩しなければいけなくて・・・・・・
(今回が初めての試みなのだから、慎重にいきなさい、エルシー)
一旦冷静さを取り戻そうと、意識を落ち着かせようと深く息を吸い込むが、続く男の言葉に息が止まってしまうこととなる。
「どうにもぉ、貴女のような美しく可憐な女性がぁ、こんないやらしい
話しながら男の左手側にあったマライズ再生機器が、男の手によって突如再生され、映像が映し出される。
あっけからんとした物言いの男とは対照に、あたしはその映像に驚愕し顔が熱くなる。
「なっ!」
「たくさんのぉ、チンポを頬張るようなヒトにわぁ、見えないんですがねぇ」
「!!!」
映像の中に映っている少女は、裸でひざ立ちになり、何人もの男たちに囲まれていた。
両手に醜悪な男性器を握らされ、小さな口で口腔奉仕を強要される、少女。
二つに結ばれた
それにもかかわらず、その技巧はとてつもないものなのか、左右の手がそれぞれ独立しているかのように巧みに肉棒を扱き、男共を悦ばせていた。
『んっ、ぶっんむぅっ、ぐっんんっんぶっ』
『むほっ、すげえ吸い付きで、おほぉっ、しぼりとられるぅ』
『激しい手コキで、へへっそんなにザーメンぶっかけられたいのか、この淫乱め!』
『ああ、いいよっきもちいいよ、――ちゃん裏筋もっと擦って』
「ヒッ」
思考が真っ白になる。
その間にも、映像の中の少女は、その口に対して余りにもサイズ差のある男性器を、口に含んだと思えば、あっという間に根本まで銜え、傍から見ても解るほどに舌を蠢かせ、顎を、首を激しく動かし、興奮するオスを容易く絶頂に導いていた。
そうでもしないと、その悪夢を一刻も早く終わらせることができないと知っていたから。
どれだけ嫌がっても、出された精液をその少女が全て飲むまで口が開放される事は無く、しかし無理やり飲み干したところで、再び別の肉棒が突きこまれていた。
「そんな、イヤ・・・・・・これは」
その少女が誰なのかは最初から理解していた。
でも認めたくは無かった。
もうゆるして、と泣き叫ぶ
その身体は既にオスの尽きる事のない欲望にまみれ、股の間からはどろりとした濃厚な精液がゆっくりと垂れていた。
過去にかつて経験したそれを、映像を通して五感に蘇らせる。
顔や胸に精液がべっとりとこびりついて、いつまでも垂れ落ちる事なく肌の内側へと吸収されていくような錯覚が、また胃の中も精液だけが注がれ続け、吸っても吐いても鼻をつく、えぐい臭いが嗅覚と味覚の、その根元にまで浸み込み、決して拭い去る事のできない染みとなって、今もなおあたしを苛み続ける、呪いが。
眩暈と吐き気に襲われ、立つことすら辛くなる。
そんな時、
「もう一度お聞きしますよぉ?」
男の言葉にハッとする。気づけば体中が汗で濡れていた。
「このたくさんのオス達に囲まれてぇ、チンポしゃぶってぇ、あまつさえザーメンを飲み干しているぅ、淫らで浅ましいメスがぁ、貴女なんですよねぇ??」
「う、あ、あ・・・・・・」
この以上ないほどの品を損なったその言葉に、しかしあたしの身体が燃え上がるように疼きだしていくのを感じずにはいられなかった。
(あたしの身体、またこんなことで・・・・・・)
度重なる陵辱に唇も胸もお尻も、そしてもっとも大切な聖域たる子宮までをも犯され続け、あたし自身が女性である前に、一匹の雌であることを刻み込まれた身体。
それは、あたしの理性がどれだけ拒否していても、
「・・・・・・そうよ、そこにいるのは・・・・・・あたしよ」
「ほうほう、ほほぅ」
しきりにうなずいて、こちらを見て下卑た笑顔を見せる。
後ろにいるゲス共からも同様の気配が漂ってきていた。
次に紡がれる言葉は半ば想像がついた。
「であればぁ、事実確認のためにぃ、今ココで、その口と手で
「!! いやっ、この、離しなさいよ!」
二人の男に後ろから両肩を掴まれ、片方には胸を、もう一人には尻を揉みしだかれる。
この二年で信じられないほどのボリュームを得たあたしの胸は、自身のスレンダーなウエストと相まって、暴力的なまでに男を誘き寄せてしまうほどになっていた。
それに以前から、コンプレックスを感じていたヒップも更にサイズを増し、上下共に特注品の服を何度も買いなおすはめにもなっていた。
「んっ、ヤメテッ! あっ、あんっはぁん」
(わかってはいたけど、このっ、いやぁ、こんなので感じたくないのにぃ!)
形が変わるほどに胸を揉まれ、その頂点が徐々に硬く勃っていく。
おしりの全体を撫でられたかと思うと、突如谷間に指を挟みこみ、円を描くようにアヌスを弄繰り回される。
そうして触れられた部分から不穏な熱が帯びだし、幾度もの精を受けた子宮へと媚熱を流し込んでくる。
「んー? そんなこといっていいのですかなぁ? 証明出来ないのであればぁ、あのマライズは通常通り流通させますよぉ?」
「くっ・・・・・・」
しかしあのマライズを止めるためには、またあの屈辱を受け入れなければならないのだ。
選択の余地は無いのだろう。
「なら・・・あっ・・・契約を結ばせてもらう、んっ、わよ」
「よろしいでしょう!」
小太り男はあっさりと、あたしが何度も何度も隙の無いようにしたためた、強力な魔法契約に同意した。
(口と手だけならまだ・・・・・・それでも・・・・・・)
膣を犯されるよりは幾分かマシだと、そう思い込む。
それでも自らの、女性という大切なものを利用しているかのような行為に、激しい自己嫌悪と喪失感に陥る。
(なのに、どうしてあたしの身体、疼いちゃうのぉ)
雄の精を受ける事が出来る気配に膣が悦び、とめどなく愛液が分泌される。
羞恥と愛撫によって身体全体が紅潮しはじめ、無意識的にメスのフェロモンを部屋中に撒き散らす。
それに誘惑されたオスが三匹、興奮によって股間を盛り上がらせる。
「さぁ、こちらにきてぇ、ご奉仕してもらいましょぉかぁ! ほらほらあなた方も」
「いいんですかい? へへ・・・・・・」
「うひょお! こいつは役得だぜ!」
「っ・・・・・・」
あたしは無言で小太り男の下へ進み、ゆっくりと跪いた。
つづきます。