俺とシャリリーゼは影のように戦況を俯瞰する。
コラッド達はよいパーティーだった。
コラッドが主力を担い、複数の敵がいる場合にはイニーチャが専守する。ポーラは持ち前の素早さを活かして敵の隙を作り、魔術師のクッキは飛び道具になる。連携が取れ、お互いを信頼しているのがよくわかる。
いとも容易くとまではいかないが、それでも彼らは着実にフォレストクラブを屠っていく。
一方、ラコーニコフを除く五人の騎士は二組に分かれ、防衛に専念していた。フォレストクラブがコラッド達を囲み孤立しないようにするためだ。このフォローにより、コラッド達がフォレストクラブと戦いやすくなっている。#影幕__シャドウカーテン__#の効果も切れた今、騎士らがいなければコラッド達はもっと苦戦していただろう。
フォレストクラブは既に半数以上数を減らしている。頃合か。俺はそばに控えていた騎士長に声をかけた。
「ラコーニコフ」
「はっ」
「そろそろ俺達も動こう。手始めに一番やっかいなのを殺してくれ。あとは手筈どおりに全員で押さえろ」
「心得ました」
俺はラコーニコフに
そして、
気配を消したラコーニコフは影のように忍び寄り、正確無比な剣筋がコラッドの心臓を貫く。ラコーニコフの顔は嗜虐の愉悦に彩られていた。
「なっ……!」
勇敢な冒険者の末期の言葉は驚愕で終わった。背信によりリーダーを失った動揺が、残りの三人を一瞬硬直させる。
ラコーニコフにはその一瞬で十分だった。ポーラのみぞおちを蹴り飛ばし気絶させる。
我に返ったイニーチャとクッキが背信者に意識を取られるのはやむをえないことかもしれない。しかし、フォレストクラブしてみれば敵の隙でしかない。
フォレストクラブの大鋏が二人を襲う。
「くそっ!」
体勢を崩しながらイニーチャが大盾でその一撃を防ぐ。
だがクッキに対する奇襲までは防げなかった。
そして、ラコーニコフが最後まで残ったイニーチャの右手首を切断した。
「そろそろか」
俺は隷属魔法を使って、フォレストクラブを支配する。
隷属魔法は知能が低く、魔法抗力のない対象ほどかかりやすい。フォレストクラブのような本能しかない魔物を隷属させることなどいとも容易い。
そう、冒険者の勇猛な活躍など最初から茶番劇だったのだ。
俺もシャリリーゼも初撃の魔法でフォレストクラブを全滅させないようにかなり気を使った。
騎士らが生き残った三人を捕縛する。
「くそっ、裏切ったな!」
イニーチャが怒鳴る。
「裏切ったと言われてもな」
「ですわね」
パーティーで一番厄介なコラッドはフォレストクラブの戦闘中に殺し、あとは愉しみのために残す。全て予定どおりだ。
「ラコーニコフ、ご苦労だった」
「いえ、このくらい造作もないですぜ」
ラコーニコフは騎士長のメッキがはがれた粗暴な口調で答える。
「それよりも、ローレンス様。この女はうちらで好きにしてもよろしいんですか?」
「まあ、とりあえず今は好きにしていいだろう。ただ外縁とはいえここは魔の森。警戒は怠るなよ」
「ヒヒ、わかってまっさあ」
ポーラは裸に剥かれ、猿轡を噛まされていた。
騎士の一人が小枝を折るようにポーラの両手足を折る。ポーラの絶叫は猿轡に阻まれて魔の森に響くことはなかった。
ラコーニコフはさっそくポーラの玉門に挿入する。
「やっぱ女は手足を折ったほうが締まるなあ。おい、頼むぜ」
騎士が順番にポーラの手の十指を折っていく。ポーラの体がその度に跳ね、ラコーニコフの顔も喜悦に歪む。
両手の指を折り終えた騎士は自分のものをポーラに握らせ、折れた指で無理矢理しごかせた。もう片方の手も同じように騎士のものを慰めるために使われる。壮絶な痛みに泣き喚くポーラを気にかける者はいない。ポーラの痴態を見て、騎士らはますます昂るばかりだ。
もはやポーラに人間としての尊厳は許されていない。ポーラは六人の騎士の獣欲に壊されていった。
俺とシャリリーゼはポーラの輪姦をしばらく見学してから、残りの二人を使うことにした。
地面に転がされている二人を見下ろして俺は言う。
「さて、お前達は自分の運命がどうなるかわかるか?」
「ふざけたことを言いやがって。どうせ殺すんだろう。さっさとやれ、人間の屑!」
イニーチャの罵倒に対し、俺は大袈裟に嘆息してみせる。
「ならば望みどおりにしてやろう」
俺は従魔にしたばかりのフォレストクラブ二匹に命令する。
フォレストクラブは二人の両脚をすり潰し、両手を粉々に砕き、腹の中にある臓物を少しずつ引きずり出して咀嚼していく。
生きながらにして地獄の責め苦を味わう二人は誇りも何もかもを投げ捨てて泣き喚き、助けてくれ、殺してくれ、と懇願する。
その妙なる調べを聞きながら、愉悦に頬を上気させていたシャリリーゼの
そして俺が埒を明けた頃になると、二人はもう虫の息であった。
俺はちょうど二人の真ん中あたりにナイフを放る。ほんの少し動けば二人がナイフを掴み、相手突き刺せるような位置だ。
「さて、お前達のうち一人はこのままフォレストクラブの餌になってもらう。だがもう一人は命を助けて傷も治してやる。餌になってもらうのは先に死んだほうだ。リーゼ、少しだけこいつらを治してやれ」
「はい、お兄様」
エミリカの手を借りてそそと服の乱れを直したシャリリーゼは、改変魔法で二人の左手の形を復元する。
「先に死ぬのはどっちかな?」
動いたのはイニーチャだった。イニーチャは左手で地べたを這うと、フォレストクラブが掴んでいる大腸がぶちぶちと千切れる。
必死の思いでナイフを手に入れたイニーチャは仲間であったクッキの胸にナイフを突き刺す。かつての仲間は声を出すこともできずに事切れた。その死体をフォレストクラブが貪り食う。
あははは! 背中を預けあった仲間を手にかけ、仇敵にすがってまでして己の助命をこびる。なんて滑稽なのだろう。やはり人間は最後には己を優先する卑しい生き物なのだ。
もちろん俺とシャリリーゼも同じ人間だ。しかし俺達は自分が人間であることを認め、人間であることを積極的に愉しんでいる。瀬戸際まで己の本質に気づけなかった間抜けとは違うのだ。
イニーチャは奴隷の瞳で俺達を見上げる。
「約束は約束だ。リーゼ」
シャリリーゼは混成魔法で、コラッドの死体を使ってイニーチャの体を再生させる。
俺はエミリカに命じてイニーチャの体を押さえつける。先の地獄の体験からか、イニーチャが抵抗することはなかった。
「これで約束どおり傷を治して命を助けてやった。何か文句はあるか?」
「ない、ない、ない……ないからもう助けてくれ」
「ああ、もちろんだとも。俺達は決してお前を殺さない。だがそのためにはしかるべき処置ってのが必要なのだ」
俺は哀れな冒険者の両手を切り落とし、眼を潰し、舌を切る。
「これでどこにでも好きに行くがいい。安心しろ、フォレストクラブにはお前を殺さないよう命じておこう。ああ、リーゼ、最後に耳を壊して止血してやってくれ」
シャリリーゼは改変魔法で、イニーチャの聴覚を壊し、止血をする。
エミリカがとんと背中を押すと舌を失ったイニーチャは声なき悲鳴をあげてよろよろと歩いて逃げた。もうじき血の臭いをかぎつけた獣がおこぼれを狙いに来る。これで魔の森から生きて出られたなら、イニーチャの幸運を素直に認めるべきだろう。それはそれで面白い。
十分遊びを満喫した俺達は、フォレストクラブの亜種を調べることにした。亜種と思しきフォレストクラブはポーラの言ったとおり甲羅に赤が混じっており、やや他より大きい。
シャリリーゼはそれを見て眉をひそめた。
「お兄様、このフォレストクラブは何か変ですね」
「そりゃあ亜種だからね」
「いえ。そうではなく上手くはいえないのですが、この亜種は不自然であるような気がします。上手く噛み合っていません」
シャリリーゼは混成魔法と改変魔法という類稀なる固有魔法の持ち主で、魔法的な改造を施すことに関してはずば抜けている。そんなシャリリーゼが不自然だと言うくらいなのであるから、このフォレストクラブの亜種には何かあるのだろう。
「そうか、リーゼが言うならそうなのだろう。だが俺が既に隷属させている以上、不自然だろうがなんら問題はない。今ここで気にしなくてもいいさ。手札を揃えてから考えよう」
「そうですね。このフォレストクラブはどうするのですか?」
「このまま隷属させて魔の森に潜伏させるよ。せっかくだから強化してくれ」
「わかりました」
こうして諸々の後始末を終え、俺達は魔の森を出た。
村長にはフォレストクラブの討伐部位と四人のギルドカードを渡し、冒険者ギルドに報告しておくよう命じる。
冒険者が全員戦死するような過酷な状況にあって領主自ら剣を振るって魔物を討伐したという粗筋は村民をいたく感激させた。まあ、気が向いたら奴隷を作るためにフォレストクラブにエペ村を襲撃させるのもいいだろう。
魔の森での輪姦でポーラの心はすっかり壊れていた。俺は隷属魔法でポーラを正気に戻した。まずはそっちのほうが愉しいからだ。
そして馬車の中で俺とシャリリーゼは代わる代わるにポーラを犯しながら帰った。屋敷に戻った時にはポーラは喜んで騎士の足の指を喜んでしゃぶる程度には従順になっていた。
俺とシャリリーゼはもう十分遊んだと思ったので、今回の褒賞としてこの女をラコーニコフに貸し与えることにした。ラコーニコフは部下と共有の奴隷にするそうだ。
終わってみればわりと充実した視察だったな。俺は久しぶりにソラリの内臓をナイフでかき混ぜながら、ゆっくりとその肉体を味わった。
今夜もよく眠れそうだ。
ルビのところが滅茶苦茶になっていた点はこれまでのものも含めて全て直したつもりですが、もしまだあったらご指摘くださいますようお願い申し上げます。