ようこそ強姦魔のいる教室へ 作:生太郎
俺は櫛田を連れて爆発現場から逃げ出した。
闇夜に紛れて身を隠したので野次馬にも目撃されていないと思う。
それから俺は櫛田の部屋に転がり込んだ。
事情を知りたいのだろう。櫛田はせがむように「部屋に来て」と頼み込んだ。
「田中君、大丈夫?」
「ああ、特に問題はない」
「でも服がボロボロだよ」
俺は制服の上着を脱いで確かめる。
地面の小石などが爆風で吹き飛び、俺の制服をズタズタに切り刻んでいた。
ダメージジーンズみたいにこれもファッションで通るかな、なんて冗談を考える。頭おかしい人間と思われるだけだろう。
肌にも無数の切り傷があった。
爆弾の中に金属片が混じっていたら死んでいたかもしれない。
綾小路にも破片が飛んできて自爆するかもしれないのでやらなかったのだろうが。
俺には綾小路がどこか手を抜いていたように思えた。
なぜ遠距離から俺を爆殺しなかったのだろう。
殺す気はなかった?
いや、違う。奴の殺意は本物だった。綾小路にも手加減をしているような余裕はなかったはずだ。そんなことをしていたら俺に返り討ちにあっている。
俺と話をして殺すかどうか判断するつもりだった……と言うところだろうか。
「怪我の手当てをしないと! えと、その、服を脱いで!」
「放っておいても治る怪我だが」
「駄目だよ、ちゃんと手当しないと!」
「……まぁ、いいか」
「わっ、ちょ、ちょっと!」
カッターシャツを脱ぐと、櫛田が両手で顔を隠していた。
照れるなよ。俺まで恥ずかしくなってくるだろうが。
櫛田は顔を真っ赤にしながら指の隙間からチラチラと俺の身体を見ていた。
「……やっぱやめとくわ」
「わわっ! ごめんなさい! すぐに手当するから!」
諦めてシャツを着ようとすると、櫛田が慌てて動き出した。
救急箱――ではなく百均のプラスチックケースを持ってくる。中には絆創膏や包帯などが入っていた。
「すごいな。こんなものを準備していたのか」
「えへへ、そうかな?」
正直感心した。俺は絆創膏の一枚すら常備していない。
風邪薬や胃薬、頭痛薬などは常備している。あとは火傷用の軟膏はあるが、怪我に対する心構えはまったくしていなかった。
「ちょっと染みるかもしれないよ」
櫛田が水で濡らしたガーゼで傷を拭いてから消毒液を吹きかけていく。
痛いというほどではなかった。浅い切り傷ばかりなので櫛田の処置は大げさに思える。
ただ、こうして心配されるのも悪くはない。
「……えと、下の方も、いいかな?」
「いや、そっちは必要ない」
足には擦過傷があった。櫛田を庇いながら地面に転がった時に負った傷だった。
しかし櫛田は上半身を見ただけであんなに照れていたのだ。ズボンを脱いだらフリーズするかもしれない。
「駄目だよ! 私が診るから!」
「いや、しかし……」
「田中君って自分のことは適当だから信用できないよ!」
言われてみればその通りかもしれない。よく見ている。俺は軽い怪我なら唾付けとけば治るって考えをしているからな。
俺が黙っていると、櫛田が何を思ったのか俺のズボンを脱がしにかかった。
「おい! ちょ、やめろ!」
「田中君はジッとしてて! すぐに済むから!」
「わかったから引っ張るな! 自分で脱ぐ!」
ズボンを引きずりおろしたらパンツまで脱げてしまう。
黒人サイズのグロチンを見せたら櫛田に新しいトラウマを植え付けてしまいそうだ。
カチャカチャとベルトを外す。
櫛田がゴクリと生唾を呑んでいた。だからそういう反応はやめてくれませんかね。
「……やっぱり怪我してる。隠さないでよ」
ズボンを下ろすと、櫛田が悲しそうな目をした。
櫛田は落ち込みながら傷の処置をした。最後に四角い絆創膏を貼って終わりだ。
「ありがとう。助かったよ」
「……うん」
服を着るために腰を上げようとすると、櫛田が俺に抱き着いてきた。
以前にも似たようなことがあったな。
あの時は制服に指紋を押し付けられ、隠したカメラで映像を取られていた。
今回はカメラは見当たらない。
「……怖いの」
櫛田が上ずった声で言った。身体を小刻みに震えさせていた。
「私たち、あの爆発で死んでいたかもしれないんだよね」
「そう、だな」
「田中君も殺されていたかもしれないんだよね」
「ああ、そうだ」
「もう駄目。私、頑張れない。何なのこの学校。絶対におかしいよ」
溜まっていたものが溢れ出すように櫛田が言う。
それから俺に唇を押し付けて来た。
舌を入れるようなキスではなかった。しかし長いキスだった。
櫛田が濡れた瞳で俺を見詰めていた。
「……櫛田。自暴自棄になるな。お前は俺が守ると言っただろう」
「うん。それは信じてる。田中君は何時も私を守ってくれたよね」
リボンを外す音がした。
シュルっと床にリボンが落ちる。
さらに櫛田は制服のボタンを外していく。
その意図は明らかだった。
「待て。それはお前の本心なのか?」
櫛田は強い男の庇護を求めようとしている。
死の恐怖から解放されるために安易な手段に手を伸ばしているだけだ。
そう思っていた俺に、櫛田が暗い感情をぶつけてきた。
「ふざけないで」
鋭い目をして俺を睨み付けている。
普段の櫛田ではない。これはおそらく櫛田の裏の顔だ。
「私が好きでもない相手に身体を許すような安い女だと思ってるの? 打算だけであんたに付きまとっていると思ってるの? 私にも打算はあるよ。でもそれが普通じゃない。借金塗れの男と結婚したい女はほとんどいないでしょ」
彼女は俺を睨み付けていた。
「レイプされていた私を助けてくれたんだよ。異性として気になる理由としては充分でしょ。なんでそんなに信じてくれないの。なんでずっと私のことを疑ってるの。そんなに私のことが信用できない? 何でここまでしているのか、わかってくれないの?」
俺は何も答えられない。櫛田の気迫に完全に気圧されていた。
「好きだからに決まってるじゃん! わかってよ! お願いだから!」
櫛田は泣いていた。
最初からこうしてくれたらと俺は思った。
隠しカメラを使ったり小細工したりせず、正面から本音をぶつけてくれていたら、もっと違った結果になっていたかもしれない。
しかし最終的には俺が憶病だったから、櫛田をここまで追い詰めてしまった。
責任を取るべきだ。
でも、このまま櫛田を抱いていいのだろうか。
頭に浮かんだのは、黒髪の少女だった。
「……俺は」
「聞きたくない!」
言葉を遮られる。
女の勘ってやつか。察しがよすぎて言わせてくれない。
「いいじゃない。私、処女じゃないし。都合のいい女扱いして抱いていいんだよ?」
「しかし櫛田、それではお前があまりにも――」
「そういう優しさはもういらない」
櫛田が立ち上がる。
ボタンが外されていた上着とシャツ、スカートが床に落ちる。
ピンク色の下着だった。櫛田らしい色合いだ。
櫛田はハンガーにかけられた制服を指し示す。
「田中君ならもうわかってるよね。指紋もあるし映像もあるよ」
「……そこまでするのか」
俺は溜息を吐いた。脅して犯す。これでは立場が逆だな。
櫛田は捨て身だ。
使えるものをすべて使って俺を手に入れようとしている。
俺が好きといった言葉は偽りとは思えない。
もしこれも嘘だったなら、もう俺の手に負えないな。その時は潔く諦めよう。
「わかった。だが、一つだけやっておくことがある」
「……なに?」
櫛田は俺から目を逸らした。怯えているような、後ろめたいような表情をしていた。
その隙をついて携帯を奪った。
櫛田があっと驚いてから、慌てて手を伸ばす。その手を俺が押さえ込む。
別に奪った携帯で何かをするわけではない。
俺がその気になれば携帯の中にあるデータを消すことができる。破壊することもできると見せ付けただけだ。
まぁデータのバックアップをしているのだろうが、これはそういう演出だ。
「俺は脅されたからお前を抱くわけじゃない。そう言うことにさせてくれ」
「…………えと……う、うん!」
櫛田が一瞬ポカンと口を開けて、やがて意味を理解したのだろう。
泣き笑いを浮かべながら、俺の抱擁を受け入れた。
俺は怯えていた。
池と山内にレイプさせた櫛田から好意を寄せられて、その罪深さに頭を抱えていた。
けど、迷うのは今日で終わりにしたい。
俺の罪は消えない。それを背負って生きて行かなければならない。その覚悟を今決めた。
櫛田が風呂場から戻って来た。
一糸まとわぬ姿をしながら、バスタオルで髪を拭いている。
「あの……あまり見ないで」
俺に見られた櫛田は恥ずかしそうに両胸を隠していた。
「俺もシャワー浴びてくる。風呂場を借りるぞ」
「待って!」
櫛田が俺の手を引いた。
「も、もう待てないよ」
顔を真っ赤にして、ごにょごにょと呟いていた。
「ドキドキして、もう頭がおかしくなりそうなの。シャワーを浴びてる時も、ふらふらって眩暈がしたし。田中君を待っている間に倒れちゃうかもしれないよ」
「だが俺は汗臭いぞ」
綾小路とバトった後だ。
地面をゴロゴロ転がったりもしたし、あまり清潔ではない。
「いいよ。田中君の臭い、嫌いじゃないから」
「……わかった」
俺は櫛田をそっとベッドに押し倒した。
「あっ、やだ、恥ずかしいよ」
櫛田は両手で顔を隠して恥じらっている。なんか新鮮だな、こういうの。
「櫛田。キスしよう」
「う、うん、私もキスしたい」
初体験同士のカップルみたいな、ぎこちないキスをする。
なぜか俺はドキドキしていた。
櫛田の反応が初心すぎるからだろうか。
いや、違う。こういうことは俺にも初めてだった。
俺は今までレイプから始まるセックスしかしていなかったのだ。
「なんかすごいね。心がぽかぽかする」
「俺もだ」
櫛田のことが愛おしく思えてくる。
何人もの女子と関係を持っているというのに、男というのは身勝手なものだ。
俺は櫛田の割れ目に手を這わせた。
指先がくちゅりと濡れる。
櫛田は泣きそうな顔をしていた。
「お風呂で洗ってたら、こうなってたの。私、変かな?」
「大丈夫だ。自然なことだと思う」
「やだ、恥ずかしいよ。絶対変だって思われてる」
「思ってないから」
俺はパンツを下ろした。
肉棒はもうガチガチになっている。
櫛田は両目を見開いていた。
「え、こんなに大きいの?」
「いや、まぁ、そうだ。悪いな」
巨根はビクビクと脈打っている。普通の女なら怖気付くサイズだ。
「えと、それ、入るのかな?」
「たぶん入ると思う。濡らさないと痛いかもしれないが」
他の女にも入ったし。
もちろんそんなことを説明できるわけがない。
堀北ならもう慣れているからローションなんて使わなくてもいいのだが、櫛田とするなら使った方がいいだろう。
しかし櫛田とこうなるなんて予想していなかったので用意していなかった。
「うん、わかった」
俺の逸物を不安そうに眺めていた櫛田は、決心するようにぎゅっと拳を握り締めると、俺の股間の前に屈みこんだ。
ペロッと舌を出して俺の肉棒を舐め始める。
チロチロッと亀頭を舐めてから、口を開けて肉棒をしゃぶり始めた。
「おいっ」
フェラチオは池や山内たちにやらされていたので初めてではないだろうが、ほとんど躊躇わずに俺のペニスを舐めに来るとは予想外だった。
「田中君、気持ちいい?」
「ああ、すごいな。気持ちいいぞ」
ちょうど真下にあった櫛田の頭を撫でてやる。
彼女はくすぐったそうに目を細めると、俺の肉棒にじゅぽじゅぽと奉仕した。
堀北のフェラチオは一向に上達しなかったが、櫛田の舌使いはすごかった。
「櫛田。もういいぞ」
「うん」
「すごい気持ちよかったよ。ありがとうな」
「よかった。私、田中君に気持ちよくなって貰いたくて」
櫛田のひたむきな想いが伝わってくる。
俺は胸の中から溢れ出た感情に突き動かされて櫛田を抱き締めた。
「田中君、苦しいよ」
「……お前、それは反則だろ」
櫛田は不思議そうな顔をしていた。
櫛田が愛おしい。抱きたい。もう我慢できない。
俺は逸物を膣口に押し付けた。
亀頭が愛液で濡れた。櫛田の方も準備できていた。ペニスを唾液で濡らさなくても、愛液だけで挿入できたのではと思うほどだ。
「入れるぞ」
「うん、きて」
櫛田が両手を広げて俺の背中に手を回す。
俺はゆっくりと櫛田の中に入っていった。
「あっ、入って、きてる」
櫛田の中は蕩けるように熱かった。
とろとろになっていて、すっかり出来上がっている。
「嬉しい。やっと田中君と一つになれたんだ」
櫛田の目から滴がこぼれた。
「ごめんね、初めてじゃなくて。私の処女、田中君にあげたかったな」
「言うなよ」
俺は櫛田の唇を奪う。今度は舌を入れて、貪るようなキスをした。
最初はされるがままだった櫛田も、やがて俺の舌に自分のものを絡めてくる。
口を離す。唾液の糸が伝っていた。
「……田中君。ごめんね」
「気にするなって。俺は全然気にしてないから」
「……うん」
ぶっちゃけ処女の方が好きだ。俺って処女厨だし。
でも、櫛田レベルの美少女だと、そこまでこだわることでもない。
「動くぞ。苦しかったら言えよ」
「う、うん」
俺は探るようにゆっくりと腰を前後させる。
「……はぁ、はぁ、あぁ」
櫛田は腰をひくひくさせていた。どうやら大丈夫そうだ。
「た、田中君。なんか、変かも。セックスって、こんなんだったっけ」
「……いや、そう言われてもな」
何が言いたいのかよくわからない。
よくわからないが、まぁいいか。俺は考えるのをやめて腰を突き出した。
「あんっ!」
櫛田が可愛らしい声を上げる。
彼女は驚いた目をして自分の口を手で押さえていた。
「あ、あれ? なんで?」
「どうした?」
「わからないの。私、おかしいよ。私、こんなの知らないよ」
そう言うことか。俺はようやく櫛田の困惑の理由を察した。
別に何の問題もないだろう。俺はピストンを再開する。
「あっ、ちょ、田中君! だ、だめっ! やだっ! こんな声、恥ずかしいよ!」
甘えるような上ずった声だった。
俺は段々とスピードを上げて行く。
「あっ、んっ……あっ、あっ、あっ!」
結合部からはジュポジュポといやらしい音がしていた。
櫛田はすごく感じていた。
池や山内との行為では櫛田は快楽を得ていなかった。これは彼女にとって初めての経験だった。
「ああっ、やあぁぁっ、田中君っ! なんかすごいよ! やだよっ、私、ぜったい恥ずかしい顔しちゃってる! あっ、やだっ、見ないでっ! 見ないでっ!」
「いや見せてくれよ。今の櫛田、すっごく可愛いぞ」
「いやだっ、あっ、はぁっ! あっ、あんっ、ああぁぁ!」
やがて会話が無くなり、互いの息遣いだけになっていく。
俺の悩みも櫛田の悲しみもすべてが溶けていく。
俺は夢中になって腰を振り続けた。
櫛田も俺を迎え入れるように腰をくねらせた。
「はぁ、あっ、あんっ! あっ、あっ、ああぁっ!」
無意識にキスをしたり胸を揉んでいたりする。
櫛田の膣口からはドロドロとした愛液が溢れていた。
俺も最初にしていた気遣いなんてとっくに吹っ飛んでいる。
狂ったようにピストン運動を繰り返す。パンパンと腰を叩き付ける。
「あああぁぁぁぁぁっ!」
櫛田が絶叫しながら俺に抱き着いた。
肉壁が俺のものを締め付ける。絶頂したようだった。
「はぁ……はぁ……」
息も絶え絶えといった様子の櫛田。
しばらく待っていると、不意に櫛田が呟いた。
「……私、もう田中君から離れられないよ」
熱い告白に、俺は胸を打たれた。
櫛田の回復を待つつもりだったのに我慢できなくなってしまう。
「悪い、櫛田」
「うん、いいよ」
櫛田が柔らかく微笑んだ。
俺はそれで我を失った。己の欲望を櫛田にぶつけていく。
「あぁぁっ! あんっ! あっ! ぁんっ! あっ、あっ、あっ!」
「櫛田っ!」
「田中君っ!」
名前を呼びかけると櫛田はそれに答える。
何も言っていないのに、惹かれ合うように接吻する。
その間も腰の動きは止まらない。
「あっ、ああっ! やぁっ! いいっ! すごいっ! ああんっ!」
「櫛田、そろそろイキそうだ」
「うん、いいよっ! 膣内に出して!」
いいのかと視線で問う。櫛田はにこりと笑った。
「大丈夫だよ。アフターピルがあるから」
池と山内の時のものだろう。微妙な気分になったが、許可が出た。
俺はラストスパートをかけていく。
「あぁぁーっ! あっ! ああぁっ! 激しいっ! わ、わたしも、イキそうだよっ! ああぁぁっ! 田中君っ! きてっ! きてぇっ!」
「――っ、櫛田!」
俺は櫛田の一番奥に腰を突き入れる。
亀頭を子宮口に密着させて、思い切り射精した。
「いっ、くぅぅぅぅ!」
櫛田が悲鳴を上げながら俺を抱き締める。背中に爪を立てられた。
最後の一滴まで注ぎ込む。
櫛田は両足を俺の腰に巻き付けて子種汁を受け入れた。
「はぁ……はぁ……セックスって、すごいね」
「櫛田って結構乱れるんだな」
「もう、言わないでよっ!」
櫛田はぷんぷんと怒っていた。かわいい。
そんなことを考えていると、ふと櫛田の身体から力が抜ける。
「ご、ごめんね。ちょっと、もう、限界かも」
「おい」
櫛田は糸が切れたように眠ってしまった。
今は午前五時。おまけに爆発事件の後だ。
俺に本音をぶつけてきたり、トラウマだったセックスをしたりで、櫛田の精神は限界を迎えたのだろう。
こればかりは仕方ない。俺は櫛田をゆっくりと休ませてやりたいところだったが。
……寝る前にアフターピル飲んでくれませんかね。