※この作品はR-18です。

ようこそ強姦魔のいる教室へ   作:生太郎

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21話

 この島は管理されていると先に述べた。

 

 無人島というには不自然なところに道があったり、なぜか小屋みたいなものがあったり、Bクラスのベースキャンプに至っては井戸があったりする。しかし人が住んでいたというには、その形跡は少なすぎる。

 

 なんともチグハグな印象を受ける島である。

 

「あっ、礼司君。あれは何? 食べられるかな?」

 

 桔梗が木にぶら下がっている謎の果実を指さしていた。

 パックリと割れている果実である。

 事前にサバイバルの予習をしていた俺はよどみなく答えを言った。

 

「あれはアケビだな。中にある種子は甘くて、果皮は苦いが山菜として食えるらしい」

 

 サバイバル系の本は丸暗記していた。

 テストで百点取れるチート頭脳だからな。九十九点だったけど。

 

「なら採っておくね」

 

 かろうじて手の届く高さに実っていたので、桔梗は「んんんっ!」と背伸びしてアケビを採取する。他にも二つ実っていたが、それは桔梗の背では届きそうにない。代わりに俺が取ってやった。

 

「ありがと。でもこの量だとみんなには行き渡らないよね。もっと取らないと」

 

「いや、別にアケビにこだわる必要はないぞ。他にも色々食えるものがある」

 

 俺たちは食料を調達するために森に入っていた。

 

 桔梗の他にも六人の女子が付いてきていた。その中には佐藤と長谷部が含まれている。

 

 彼女たちに食べられるものをレクチャーするのも目的の一つである。放っておいたらポイントで食料を買い出すのは目に見えていたし、生活レベルもどんどん低下しそうだった。しばらくはこうして面倒を見るつもりだ。

 

 鈴音は他クラスの偵察である。

 

 用心棒として綾小路を付けておいた。平田は男子の統率で忙しく、他に適任者がいなかったからだ。須藤が「なぜ俺じゃねぇんだ!」と叫んでいたが、あれは論外。龍園に挑発されたら殴りかねない。

 

 軽井沢をリーダーとするチームは薪拾いだ。

 

「きゃぁっ! 虫っ! 虫がいた! キモイっ!」

 

 佐藤が悲鳴を上げながら俺の背中に抱き着いてくる。

 むむむ。大きさは並だと思っていたが、こいつ意外とあるぞ。

 

「ちょ、佐藤さん!」

 

 桔梗があたふたしている。かわいい。

 

 俺は色んな意味で鼻の下を伸ばさないように表情をキリッとさせる。

 

「虫なんてそこら中にいるだろうに」

 

 俺は佐藤の傍の茂みにパッと手を伸ばした。

 バッタだ。

 羽と足をむしって焼いたら食えそうだが、そこまですることもないだろう。

 

 頭を潰してポイしておく。やめなされやめなされ。むごい殺生である。

 

「あっ、ごめんね。うざかったよね」

 

「いや、別にうざくはないが」

 

 答えながら、俺は地面に屈み込む。

 持っていた石器ナイフで、足元にあった植物を一本だけ刈り取ってみた

 

「これはツワブキだな。たしか灰汁抜きしないと食えないんだよな」

 

「どうする? 採っておく?」

 

「やめとくか。薪がもったいない」

 

 俺はツワブキをポイした。

 

「もっと手ごろなものは……」

 

 俺は辺りを見回して食料を探す。

 石器ナイフを鉈のようにして邪魔な枝を払いながら道を切り開いた。

 

「そうそう、これだよこれ」

 

 言いながら近くに落ちていた石で地面を掘り始める。

 

「何か埋まってるの?」

 

 桔梗たちが近付いてくる。

 いい匂いがした。こいつら香水なんて持ち込んでいないはずなんだけどな。

 

 俺は掘り返したものを彼女たちに見せ付ける。

 

「芋だ」

 

「ええっ! 芋って、あの芋!」

 

 桔梗の驚き方が意味不明だった。他に何の芋がある。

 ちなみにこれはタロイモだ。全世界で食用にされているポピュラーな芋である。

 

「なんか田中君ってすごいね。頭でっかちなだけって思ってた」

 

 長谷部が感心したように俺を見ていた。

 

「だよねだよねっ! 見直したって言うか、ホントすごくて言葉にできない感じ!」

 

 佐藤も俺の傍でぴょんぴょんしている。

 

 桔梗が「むぅぅ」と不満そうに唸っていた。

 そんな顔をされると俺も困る。俺は桔梗の髪を撫でてやった。

 

「えへへ」

 

 現金なものである。

 一方、佐藤は悲しそうに俺を見ていた。

 

 あちらを立てればこちらが立たず。

 

 まぁ俺は桔梗を優先するから仕方ないんだけどな。

 

 それから俺は食べられる山菜などを採取しながら森を巡回した。

 

 女子たちが疲れる前に食料集めを切り上げる。全員の鞄がパンパンになるまでとは行かなかったが、今日の夕食は腹一杯になるほどには集められたと思う。

 

 ベースキャンプに戻ると、男子が魚を焼いていた。

 

 見張りとして残っていた篠原たちが出迎えてくれる。

 俺たちの戦利品に喜びの声が上がった。あれを作ろうこれを作ろうと盛り上がっている。

 

 軽井沢たち薪拾いグループも戻ってきているようだ。

 筋肉痛になったのか足を伸ばしたり、女子同士でマッサージしている。

 

 女同士か。アリだな。

 でもジロジロ見ていたら桔梗が悲しむので目を逸らしておいた。

 

 鈴音はまだ戻って来ていない。

 三クラス回っているから時間がかかるのだろう。そろそろ戻って来そうだが。

 

「田中君、これ何?」

 

「ああ、これは……」

 

 篠原が食材を指さして尋ねてくる。

 俺は食材の名前から調理法まで説明した。

 

 楽しそうにしていた篠原だったが、ふと暗い顔をした。

 

「調理器具を男子から借りないといけないんだよね」

 

 それだけではなく調味料も借りる必要があるだろう。

 すでに塩を借りている。

 そういえば敵に塩を送るという言葉も……って今は関係ないか。

 

「あのさ、私、みんなに言いたいことがあるんだけど」

 

 篠原が周りにいた女子たちに声をかけた。

 

 シリアスな雰囲気を感じたか、軽井沢もこちらに歩いてくる。

 

「どうしたの、篠原」

 

「私、男子に謝ってくる。それで調理器具とか借りられるようにする」

 

「いいの? あんたが引いたら、シャワーの話も押し切られるよ?」

 

 シャワー室の共有を断固として拒否したのは篠原のグループだけだ。

 他の女子は嫌だけど仕方ないという考えである。

 篠原が譲歩したらシャワーの共有は止められなくなるだろう。

 

「いいよ。流石に男子も可哀想でしょ」

 

「あんたがそう言うなら、あたしは何も言わないけどね」

 

 軽井沢は興味なさそうに言うと、テントの方に戻って行った。

 

 篠原が少し震えながら俺に声をかけてくる。

 

「田中君。一緒に来てくれる?」

 

「いや、悪いが……」

 

 俺は首を横に振った。

 

「俺が行ったら余計にこじれそうだ。俺は男子に嫌われてるからな。桔梗、頼めるか」

 

「うん、任せて!」

 

 そう言えば久しぶりに桔梗にお願いをしたかもしれない。

 自分が役に立てるのが嬉しいのか、桔梗は明るい笑顔を俺に向ける。

 

「ごめん、そうだよね。なら櫛田さん。悪いけど付き合ってくれる?」

 

「いいよ。一緒に男子に謝りに行こう」

 

 と言うわけで、桔梗と篠原は男子のところに向かい――。

 

 五分と経たずに篠原が顔を真っ赤にして戻ってきた。

 

 あれぇ?

 

「男子の奴ら、信じらんないっ!」

 

 篠原が川辺に落ちていた大きめの石を拾い上げて、頭上から水面に叩き落とす。

 ばしゃんと音がして大量の飛沫がまき散らされた。

 

 篠原は顔も服も水浸しだ。

 体操服が透けてブラが見えている。水色か。爽やかだな。

 

「ちょっと篠原っ!? 何やってんの!?」

 

 慌てて他の女子が声をかけていた。

 

 篠原は「はぁ、はぁ」と肩で息をしていた。よほど腹に据えかねたのか顔が真っ赤である。

 

「何が食料を寄越せよ! 頭おかしいんじゃないの!?」

 

 ボチャン、ボチャンと何個も石を投げつける。

 

 篠原の周りにいた女子が悲鳴を上げながら避難していた。

 

 よくわからんな。男子が何かやらかしたか?

 

 俺のところに戻ってきた桔梗が事情を教えてくれる。

 

「男子はもう水浴びで済ませる決意をしちゃってたみたい」

 

 なるほどな。

 男子はそこまでシャワーにこだわる理由もないのか。

 

 一週間なら我慢できる。

 女子に媚びてシャワーを借りるよりマシだ――と言うところか。

 

「それで調理器具を借りたいなら、代わりに何か寄越せって言ってきたの。それが嫌なら土下座しろって。あ、ほとんどの男子はそこまでしないでいいよって雰囲気だったんだよ。だけど一部の男子が大声で主張して……」

 

 大方、須藤あたりがマウントを取ろうとしたのだろう。

 

 俺の策、駄目だったわ。ごめんな平田。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 仕方がないので調理器具と調味料、あと紙皿などの食器も購入した。

 男子がまたしても勝手にポイントを使うなとキレていたが、もう俺にもお手上げだ。

 

 結束力は原作以下である。

 まぁ、原作では鈴音がリタイアしてマイナス三十ポイント、綾小路が点呼に遅刻してマイナス五ポイントされている。それを回避すれば調理器具のマイナスは帳消しにできるだろう。幸い今のところ鈴音の体調は問題なさそうだ。

 

「Cクラスはポイントをすべて使い切っていたわ。あのような愚かな策が存在するなんて、信じたくないわね。龍園君は人を導く立場としては失格と言わざるを得ないわ」

 

 各クラスを偵察してきた鈴音が頭痛を堪えるように話す。

 

 夕食後、俺は鈴音が偵察で得た情報を話し合う会議を開いていた。

 

 参加しているのは俺と鈴音、桔梗、あとは綾小路である。

 

 綾小路は男子から裏切者扱いされないように、こっそりと抜け出してきたようだ。

 

「綾小路の意見はどうだ?」

 

「概ね堀北と同意だ」

 

 どうやら俺に教えるつもりはないらしい。やはり食わせ者だ。

 まぁ、言わないなら言わせるだけだが。

 

「その場にあった物資のポイントは?」

 

「……百二十ポイント程度だった」

 

 Cクラスは石崎と小宮のリタイアで二百四十ポイントからのスタートだ。

 百二十とはその半分でしかない。

 ポイントを使い切ったと断言するのは早計である。

 

「でもCクラスは伊吹さんと、他にも一人追放しているわ。点呼で二人不在だと一日あたり十ポイント。初日と最終日の点呼は一度だけだから、試験終了までに六十ポイントを失うことになる。ポイントを温存していても失う一方よ」

 

「それは鈴音の言う通りだ。Cクラスがポイントを使い切っているのは間違いないだろう」

 

 俺が同意すると鈴音は嬉しそうに頬を染める。

 ごめんな、俺の話はまだ途中なんだ。

 お詫びに鈴音の黒髪を撫でてやった。サラサラして手触りがいい。

 

「問題はその物資をどこに貯め込んでいるかだ」

 

「それは食料としてテントに……」

 

「見たのか?」

 

「……いいえ、見ていないわ」

 

 鈴音が肩を落としていた。

 

「さて、ここで答え合わせをしよう。綾小路。Aクラスの状況を教えてくれ」

 

「葛城が頑として見せてくれなかったから詳しくは語れないぞ。ただ拠点にしている洞窟の入口には仮設トイレが二つ、シャワー室が一つ設置されていた」

 

「仮設トイレが二つか。贅沢なものだな」

 

「ちなみにBクラスの仮設トイレは一つだった」

 

 綾小路はもはや隠す気がなくなったのか先んじて説明してくれる。

 あとで聞かれて説明するのが面倒だったんだろう。省エネってやつだ。

 

「その気になれば簡易トイレでも我慢できるんだ。なのに仮設トイレをいきなり二つも購入するというのが不自然すぎる。俺なら他のクラスの様子を見ながらにするぞ」

 

「あっ」

 

「他クラスに二十ポイントも水を開けられるような選択をするほどAクラスは馬鹿なのか?」

 

 これは葛城のミスだ。

 トイレを男女別にするのは常識的に考えれば普通である。

 

 洞窟で籠城作戦をするにあたって女子の不満を抑えるためにも必要だったのだろう。

 

 しかし、こんなミスはポイントに余裕がある者しか犯さない。

 一ポイントでも多く節約する者なら“我慢”という選択肢が頭に浮かぶはずだ。

 

「ならCクラスの物資がAクラスに?」

 

「おそらくな。龍園はAクラスに物資を売ったようだ」

 

 鈴音は目を見開いて驚いていた。

 それから感極まったように俺に抱き着いてくる。綾小路は白けた顔をしていたが。

 

 ちなみに会話に入っていけない桔梗は愛想笑いを浮かべていた。

 

 とりあえず他クラスは原作通りに動いているようだ。

 Dクラスだけは原作とかけ離れているけどな。……どうしたものか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悩んでいても時は過ぎる。特別試験は四日目に入った。

 

 この日は午前から食料集めに動いた。他のチームも同様だ。

 

 昼からを自由時間にするためだった。

 

 サバイバル生活である。

 女子たちには相当なストレスになっているはずだ。たまには息抜きも必要だろう。

 

 女子たちがスポットを占有していた。

 十人ぐらいの女子がスポットの機械をぐるりと取り囲み、その輪の中には鈴音と桔梗、軽井沢がしゃがみ込んでいる。

 二重のセキュリティである。もし輪の中を見られても、次に待つのは三択だ。

 

「終わったよー! 自由時間にごめんね! みんなありがとう!」

 

 桔梗が声をかけ、女子たちがホッとした顔をして戻っていく。

 

 俺は自由時間を使って他クラスの偵察でもしようかなと考えていると、仏頂面をした伊吹が俺のところまで歩いてきた。

 

「ちょっといい?」

 

 伊吹には昨日、絶頂を覚え込ませた。

 足腰立たなくなるまでヤリまくってみた。

 

 ジジイは呆れた顔をして消えていったがな。

 つまり昨日の行為はレイプではなくなっていた。たぶんそろそろ墜ちるだろう。

 

「今日は奇襲じゃないんだな」

 

「あんたを奇襲しても意味がないでしょ」

 

「少なくとも嫌がらせにはなるぞ」

 

「馬鹿言ってないで、さっさとして」

 

 俺は肩をすくめた。

 伊吹に急かされてベースキャンプを後にする。

 

 男子は食料を探している。見付かると不味い。

 初日に使った洞窟まで離れておくべきだろうと思っていたら「どこまで行くの」とイライラした声をぶつけられる。

 

「ここでいいよ。別に誰も見てないでしょ」

 

 そう言いながら突っ込んできた。

 我慢できなくなったらしい。猪突猛進ガールだな。

 

 俺は嘆息しながら攻撃を捌いていく。

 回転蹴り、ワンツージャブ、アッパー、後ろ回し蹴り。

 

 俺は一歩も動かなかった。

 避けるものは避け、受けるものは受ける。

 

 名付けて田中ゾーンである。別に恐竜は絶滅しないけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 須藤たちは食料を探すために森を歩き回っていた。

 と言っても食べられるものなんて見分けは付かない。

 

 池にもわからない物は多かった。たぶん食えないんじゃね、と答えるしかない。

 

「クソッ! 田中の野郎、調子に乗りやがって!」

 

 須藤は足元の土を蹴り飛ばす。

 

「やめろよ、須藤。体力の無駄だぜ」

 

「ちげぇよ。芋でも埋まってねぇかと思っただけだ」

 

 須藤は明らかな嘘を吐く。

 池と山内はそれを見抜いたが指摘するのはやめておいた。疲れるだけだ。

 

「女子の奴ら、いいもん食ってたよな。芋だぞ芋。どこに埋まってるんだよ」

 

「そんなの俺にわかるわけねぇって」

 

「――チッ。役に立たねぇな」

 

 あんまりな言い草である。

 Dクラスの男子がまだ飢え死にしていないのは池のおかげと言ってもいいはずだ。

 

 池はただのキャンプ経験が豊富な少年である。

 ボーイスカウトをしていても芋の見つけ方なんて教えて貰えないだろう。

 

「ん? あいつら何やってんだ?」

 

 須藤は呟いた。

 

 あれは田中と……Cクラスの女子だ。たしか伊吹といったか。

 

 何をするのかと様子を窺っていると、二人はいきなり殴り合いを始めてしまった。

 

 喧嘩か?

 いや、痴情のもつれかもしれない。

 

 伊吹は地面に手をついて宙返りするように蹴りを放っている。

 女子とは思えないフィジカルだ。

 Dクラスの男子でも彼女に勝てるのは一握りだろう。須藤は負ける気がしなかったが。

 

 しかし田中はまったく動じず、的確に伊吹の攻撃を捌いている。

 

 やがて田中が反撃した。その一瞬で勝負が付いていた。

 

 地面に転んだ伊吹の顔面に、田中が拳を寸止めしている。

 

 何が起こったのか須藤にも理解できなかった。気付いたら終わっていた。

 

 伊吹は溜息を吐きながら立ち上がる。

 

 それからおもむろに服を脱ぎ始めた。

 

「ちょ――」

 

 池の口を山内が押さえる。グッジョブだ。

 

 田中もズボンを下ろしていた。

 ……で、でけぇ。須藤は思わず声を出しかけた。

 日本人離れしたサイズだった。AVに出てくる黒人みたいで、それはもはや凶器である。

 

 全裸になった伊吹は田中の肉棒を手で握ると、それを自分の股に押し付けた。

 

 まさか、ヤルのか。

 あれはセックスなのか?

 

 童貞の須藤にはよくわからない。現実感が剥離していた。

 

「んっ」

 

 伊吹のいやらしい声が聞こえた。

 

 ゆっくりと巨大なペニスが少女の中に沈んでいく。

 

「……はぁ……はぁ……おっき、すぎ……」

 

「苦しそうだな。悪い」

 

 二人は立ったまま正面から繋がっていた。

 

 田中が伊吹の頭を撫でていた。その瞬間だけ伊吹が頬を緩ませていた。

 

 田中がゆっくりと腰を振り始める。

 

 伊吹はゾクゾクッと身を震わせた。

 

「うっ、ふっ、うぁっ……あっ……ああっ!」

 

 巨大なペニスがぬちゃぬちゃと出入りする。

 伊吹はしがみ付くように田中の服を握り締めていた。

 

「最初から濡れていたが、期待していたのか?」

 

「そ、そんなわけ、ないでしょ!」

 

 伊吹が田中を睨み付ける。しかし田中が腰をぐいっと押し上げると、伊吹は「ああぁんっ!」と甲高い声を上げた。

 

「ちょ、待って! だ、だめっ! 奥、深いからっ!」

 

「奥が好きなんだろう? もっと突いてやる」

 

「ちょっと! あっ、いやあっ! 頭おかしくなる!」

 

 田中が激しく腰を突き入れる。

 

 伊吹の肢体がオモチャのように揺さぶられていた。

 快楽から逃げるように腰を浮かそうとするが、田中の手がそれを許さない。

 

 腰をつかんでグロテスクな肉棒を暴力的に出入りさせる。

 

「ああんっ! だめっ! だめっ! あぁっ! あんっ!」

 

 伊吹は発情したメスの顔をしていた。

 

 すげぇ。須藤は無意識に声を漏らしてしまう。

 田中が振り返った……ような気がした。やべぇ、気付かれた!?

 

 須藤は焦ったが、しかし田中はすぐに伊吹に視線を戻した。

 

 気のせいか?

 

「伊吹。気持ちいいか?」

 

「あんっ、んっ、そ、そんなわけ、ないでしょ……」

 

「強情だな」

 

 田中は苦笑してから伊吹の片足を持ち上げる。

 

 パンッ、パンッと腰をぶつける音をさせながらピストンした。

 須藤たちに見せ付けているようだった。現に二人の結合部は丸見えになっている。

 

 田中は余裕のある腰使いで、伊吹の膣内を味わうように動いていた。

 

「あああっ! やあぁっ! それ、やめっ! いやっ! あっ、ああぁぁ!」

 

 伊吹は背中を仰け反らせながらビクビクと痙攣した。

 

 軽く絶頂した……のだろうか?

 伊吹の膣口から透明な液体があふれ出している。

 

「嘘はよくないな。潮を吹くほど感じてるじゃないか」

 

「……はぁ……はぁ……これは、ちがうから」

 

「何が違うんだ?」

 

 伊吹が頬を背けてそっぽを向く。

 

 田中は伊吹の顎を引いて振り向かせると貪るようなキスをした。

 

 伊吹は目をとろんとさせてキスを受け入れている。

 びちゃびちゃと舌を絡める激しいキスだった。

 

 キスが終わると伊吹は名残惜しそうに田中を見詰めていた。

 

「膣内が締め付けてるぞ。身体は正直だな」

 

「だから違うって言って――――ああぁぁ!」

 

 伊吹の言葉の途中で、田中がピストンを再開した。

 

「あぁんっ! あっ! ちがうからっ! 感じて、ないから! あんたなんて、あっ、どうでも、いいから!」

 

 伊吹は自分から腰を振り、より深く繋がろうとしていた。

 

 田中の首の後ろに手を回して、愛おしそうに抱き着いている。

 

「ああっ! いやっ! いやっ! イッちゃう! やだっ! イクっ! イクぅっ!」

 

「やっと素直になったな」

 

「あっ、あっ、ああぁぁぁ! イクっ、イクっ、イっくぅぅぅ!」

 

 田中はニヤリと笑うと、止めを刺すように腰を突き上げた。

 

 伊吹は空を見上げるように仰け反り、爪先をピンと伸ばして嬌声を上げた。

 

 伊吹が荒い息をして、ぐったりと脱力する。

 田中は落ちないように優しく伊吹を抱き締めると地面に腰を下ろした。

 

 伊吹は田中にもたれかかって呼吸を整えている。

 

「俺はまだイってないんだけどな」

 

 田中が笑いながら言う。伊吹は恨めしそうに田中を睨み付けた。

 

「まだ無理だから。ちょっと休ませてよ」

 

「キスしてくれたら待ってあげてもいいけど?」

 

「……馬鹿」

 

 二人は唇を重ね合わせていた。

 

 恋人同士がするようなキスだった。

 

 どれだけの時間が経っただろう。

 田中は伊吹の腰を持ち上げ、大きなペニスを伊吹に挿入する。

 

「もういいよな?」

 

「…………うん」

 

 伊吹は恥ずかしそうにコクリと頷いた。

 

 座ったままで行為が始まる。

 その姿勢では田中は動けない。伊吹が動くしかなかった。

 

 伊吹が上下に腰を使う。くちゅくちゅと感じる場所に田中のものを押し付けていく。

 

「あっ……ああっ……あっ……あんっ……」

 

 先ほどとは違う、ゆったりとしたセックスだった。

 

 田中は自分からは動かず、伊吹に任せるようにしていた。

 

「……ねぇ」

 

「どうした?」

 

「あんたは……その……気持ちいい、の?」

 

 伊吹が恥じらいながら言うと、田中は優しく微笑んだ。

 

「ああ、気持ちいいぞ」

 

「そうなんだ……べ、別に、ちょっと気になっただけだから」

 

「そうか。伊吹は可愛いな」

 

 田中はすべて見通していると言いたげだった。

 

 伊吹の顔が真っ赤になる。

 

「なっ! いきなり何言ってんの!? ば、馬鹿っ!」

 

 田中はもう何も言わず、伊吹の尻をつかんで動かし始めた。

 

「ああっ! だ、だめっ! いやあぁっ!」

 

 伊吹はポロポロと涙をこぼしながら田中に抱き着いている。

 

「あんっ! あんっ! あんっ!」

 

「いいぞ、伊吹。そろそろ出すからな」

 

「……か、勝手に、すればっ」

 

 言葉とは裏腹に、声は甘くとろけていた。

 伊吹とはこのような声を出す少女だったろうか。

 

 田中は伊吹の奥深くにペニスを打ち込み、そして動きを止めた。

 

「あっ、あぁっ! また、イクっ! イクぅぅぅ!」

 

 同時に伊吹が絶頂する。田中の肩にぐっと噛み付いて、ぶるるっと震えていた。

 

 どれだけ射精したのだろう。

 二人の結合部からは入りきらなかった精液が漏れ出している。

 

「ふぅ。よかったぞ、伊吹」

 

「……馬鹿」

 

 伊吹は田中の胸板に頭を乗せて、すねたように呟いていた。

 

 

 

 

 

 すごいものを目撃してしまった。

 あれから田中たちは五回もセックスを続けていた。

 

 六回目に入り、そこで山内が撤退を進言した。

 二人が行為に夢中になっている間に立ち去った方がいいと言うことだ。

 

「もし俺たちが見ていることがバレたらどんな報復をされるかわからないだろ」

 

「ビビりすぎだろ。田中なんて俺の敵じゃねぇよ」

 

 以前に小手返しで投げられたことは記憶の彼方である。

 

「にしても、田中と伊吹がなぁ。付き合ってんのか?」

 

 池が首を傾げていた。

 そりゃセックスしていたんだ。付き合っているに決まっているだろう。

 

「いや、田中って一之瀬と付き合ってるんだろ?」

 

「あと櫛田と堀北とも」

 

「三股かけてるんだよな。ってことは、これで四股か?」

 

 とんだ最低野郎だった。

 

 田中のことを思い出すと、須藤の腸が煮えくり返ってくる。

 

 意味不明なことを言いながら女子に取り入り、気付いたら女子をまとめ上げている奴だ。

 おかげで男子は割りを食ってばかりだった。

 鈴音もなんであんな奴の傍にいるのだろう。田中に弱味でも握られているのだろうか。

 

「……シメるか」

 

 須藤はボソリと呟いた。

 

 前から気に入らない奴だったが、もう限界だ。

 あいつは調子に乗り過ぎている。痛い目にあわせて反省させるべきだ。

 

 田中が手も足も出ずにボコられているのを見たら、鈴音も目を覚ますだろうしな。

 

「ちょ、やめとけよ! 殺されるぞ!」

 

 山内が顔を真っ青にさせて叫んでいた。ビビりすぎだ。

 

「まぁ見てろよ。俺があいつに身の程ってもんを教えてやるからよ」

 

「須藤。悪いことは言わないからやめておけって」

 

「お、俺は関係ないからなっ!」

 

 山内が速足で去って行った。

 

 池は溜息を吐いて山内を追いかける。

 

「何だってんだ?」

 

 取り残された須藤は不思議そうに首を傾げた。

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