ようこそ強姦魔のいる教室へ 作:生太郎
ボウリングの最高スコアをご存じだろうか。
三百点である。
一回のミスも許されないため、プロでも達成するのは稀だと言う。
「ヒャッハー!」
俺の右腕が唸りを上げ、ボールが高速で転がっていく。
十本のピンが吹き飛び、スコアボードに表示された数字に観衆がドッと沸いた。
三百点だった。チートしゅごい。
「田中君すごい! 連続パーフェクトとか人間辞めてない!?」
席に戻った俺の腕を引くのは佐藤麻耶だ。
この前のプールから距離感が近くなっていた。
鈴音や桔梗がこの場にいれば半眼になっていただろう。
「流石は田中君だね。もう無敵って感じ」
そう言って佐藤の反対側から俺に寄りかかってくるのは軽井沢だ。
わははは。もっと褒めろ。もっと俺を讃えるんだ。
調子に乗る俺である。と言うか現実逃避だった。
坂柳に目を付けられ、クソザコナメクジに絡まれ、最近の俺はやること為すこと上手くいかない気がする。おかげで俺の心はボドボドだ。
ちなみに今回のメンバーは軽井沢のイケイケ女子グループである。
他には篠原とか松下などがいる。彼女たちは隣のレーンでボウリングを楽しんでいた。
「次は軽井沢さんの番だよ。さっさと行ったら?」
「やだ。もう疲れた。あたしあんまり上手くないし、他の人が代わりに投げてよ」
「軽井沢さん、それはないよ!」
佐藤が唇を尖らせて軽井沢に抗議している。
しかし軽井沢のスコアは十フレーム目にして六十という超低空飛行をしている。
低スコアを周りに見せびらかすのは面白くないだろう。
「なら俺が投げるぞ。ヒャッハー!」
俺はボールを構えた。
十フレーム目なので二回投げられる。もちろん連続ストライクだ。
いよっし、とガッツポーズをしながら席に戻ると、軽井沢と佐藤が固まっていた。
二人の横で銀髪の美少女が俺に手を振っていた。
俺は佐藤たちに笑顔で告げた。
「俺もう帰るわ。サヨナラ!」
「待って下さい」
声の主は許してくれなかった。
そいつは銀色の髪を揺らして、杖を突きながら俺の前までやって来る。
坂柳有栖だった。
「礼司君。あなたは私に言うべきことがあるのでは?」
「退院したんだな。おめでとう」
「ありがとうございます」
坂柳は微笑んだ。目だけ笑っていなかった。
「礼司君はついぞ電話には出てくれませんでしたね」
「電話にでんわ」
「はい? 何か言いましたか?」
激寒ギャグで隙を作ったつもりの俺は坂柳の横を颯爽と通り抜けようとした。
その寸前で俺の身体が杖でブロックされる。
力尽くで突破するのは容易だったが、それをすると坂柳が転んでしまう。
周りから見られている状況で坂柳を突き飛ばすのは拙いだろう。
「礼司君」
坂柳が邪悪な笑みを浮かべる。やばい。怒らせてしまった。
「私の胸を見たことへの謝罪は何時聞かせて貰えるのでしょうか」
「……うぐぅ」
たい焼き。
俺の精神に多大なダメージが入る。
様子を見守っていた軽井沢と佐藤が目を見開いていた。
見たよ。
たしかに見た。
けどそれは救命処置をするためだ。
チェスで心停止した坂柳に心臓マッサージを施すために上着を脱がせたのだ。
「田中君。坂柳さんが言ったことって、本当なの?」
「軽井沢、それは違う! 坂柳が勝手に!」
「私のファーストキスを奪った責任は取って頂けるのでしょうか」
「そんな……田中君が……坂柳さんと……」
もうやめて、坂柳。タナカスのライフはゼロよ。
俺の精神に多大なダメージが入る。
俺を不安そうに見詰めていた軽井沢と佐藤が泣きそうになっていた。
キスしたよ。
たしかにした。
けどそれは救命処置をするためだ。
チェスで呼吸停止した坂柳に人工呼吸をするために唇を合わせただけだ。
「た、田中君。本当に坂柳さんとキスをしたの?」
「そうですよ。私たちは情熱的に何度も唇を重ね合いました。心臓が破裂しそうでした」
愕然としている佐藤に、坂柳は演技で照れながら説明する。
タナカスへの質問を横から取らないでね。あとその時の君は心臓が止まってたからね。
「あ、あの。坂柳さん。そろそろ勘弁して貰えないっすか?」
「反省してますか?」
「はい」
「次からはちゃんと電話に出て下さいね?」
「はい」
「胸を見たことと、キスしたことの責任を取ってくれますね?」
「いいえ」
坂柳が不満げに俺を睨んだ。
と言うか責任取って欲しいの? 俺に惚れてるわけでもないんだろ?
「礼司君。往生際が――」
「おいおい、タナカスがまた女を引っかけてるのかよ」
坂柳が言いかけたところで、野次馬の声がそれを遮った。
「あれってAクラスの坂柳だぞ。どう言う組み合わせだ?」
「今度は坂柳かよ。一之瀬を捨てたばかりだろ」
俺を揶揄する声が聞こえてくる。
坂柳が沈黙する。
その表情は常の微笑みだったが、俺には苛立ちが見えた。
周りに野次馬が集まっていた。
坂柳は美少女だ。タナカスは悪い意味で有名だった。
坂柳は辺りを見回して「うるさいですね」と小声で呟いた。
「今夜、あの場所で待っています」
あの場所か。おそらくは園芸部の温室だろう。
「それではまた。皆さんもお騒がせしてすいませんでした」
せめて時間指定してくれませんかねぇ。
後でチャットで確認しないといけないのか。鬱だ(コミュ障)
時刻は午後十時。
そろそろ坂柳との約束の時間だった。
俺が身支度していると、背後からジジイが話しかけてきた。
「タナカス。レイプはまだか」
「おじいさん。レイプなら先週やりましたよ」
痴呆老人のように扱ってみると、ジジイは悲しそうな目をした。
「タナカス。もう限界なんじゃ。レイプを。レイプをくれ」
佐藤のレイプ失敗が響いている。
貴重な原作キャラを一人落としてしまった。こんなことになるぐらいなら池と山内にやらせた方がよかったかもしれない。
「そうだな。残っているのは軽井沢か。篠原も有りかな」
「タナカスよ。そのレイプではない。お主は何時まで目を背けるのじゃ」
「三年の橘茜とか……」
「もっと身近なところにレイプがいるではないか」
俺は黙り込んだ。
ジジイは聞きわけのない子どもを諭すように言う。
「一之瀬帆波はレイプしないのか?」
「……しないって」
俺は聞きわけのない子どもだった。
エゴである。佐藤麻耶はレイプできて、一之瀬帆波はレイプできないのだ。
俺はパソコンを立ち上げてレイプ動画を再生した。
ジジイは見向きもしなかった。
「タナカスよ。たしかにレイプ動画はいいものだ。だがそれはレイプ同人誌で抜くようなもの。現実のレイプとは次元が違う。所詮は代償行為でしかないのだ」
「……帆波は、レイプできない」
帆波との関係が壊れるのは、どうしても耐えられない。
「ならば坂柳有栖をレイプするか?」
「……いや。坂柳は、無理だ」
俺は言葉を詰まらせた。
坂柳は生まれつき身体が弱く、レイプすれば死んでしまうかもしれない。
「あのレイプも駄目。このレイプも駄目。わがままじゃのう」
ジジイが呆れた溜息を吐いて、おもむろに右手を持ち上げた。
ゴッドハンド。金城が落車させられそうな、イカ臭そうな手だった。
洗脳。以前の恐怖が蘇る。
「……わかった。レイプする」
「レイプ」
ジジイは頷いた。
クソッ。言わされてしまった。
「レイプの手助けは必要か?」
「必要ない」
「うむ。よろしい。では一之瀬帆波と坂柳有栖。どちらかをレイプするのじゃ」
「……ああ」
無慈悲な宣告が下された。
どちらをレイプするべきか。迷う時間はほとんどなかった。
坂柳有栖が行儀よく椅子に座って俺を待っていた。
「……よう」
「こんばんは、礼司君」
テーブルにはチェスボードが置かれている。
そこに並べられているのは、以前の俺との対局だった。
「少し相手をしてくれませんか?」
坂柳がテーブルの上を指し示す。
流れるようにチェスボードの駒を動かして初期位置に戻していく。
なるほど。これが駒の持ち方か。
動作の一つ一つが見惚れるほど洗練されていて美しかった。
「もうあんなことは御免だぞ」
「また私が倒れても礼司君が助けてくれますよね?」
「さぁ、どうだかな」
「ふふっ」
坂柳が小悪魔っぽく笑う。
チェスの対局が始まった。
坂柳はゆったりと手を進めてくる。
以前のようなことにはならず、坂柳は劣勢に追い込まれても汗一つかいていなかった。
一時間ほど。静かに駒音だけが響いていた。
「私の負けですね」
坂柳が投了する。負けたと言うのになぜか嬉しそうだった。
「礼司君」
「なんだ?」
「この間の勝負、勝者は礼司君です」
「そうだな」
無茶苦茶な内容の勝負……いや、賭け事だった。
「礼司君。契約書はお持ちですか?」
「ああ」
俺はポケットからメモ帳の切れ端を取り出した。
そこにはこう書かれている。
『坂柳有栖が田中礼司に敗北した場合、坂柳有栖は田中礼司に初めてを捧げる』
『処女』ではない。『初めて』だ
俺が口頭で内容を告げて、それを聞いて契約書を書いたのは坂柳である。
俺は坂柳の憎悪を買うことを怖れて保険をかけて、坂柳はそれに便乗した。
そして人工呼吸によって『初めて』のキスはすでに捧げられている。
「私は礼司君に『初めて』を捧げました。残念でしたね」
「そうだな」
俺は席を立った。
こんなことになるならレイプすると書かせておけばよかった。
頭が痛い。
よりにもよって今夜の坂柳は護衛を連れてきていない。
護衛がいればレイプできない口実になったものを。
いや、その場合は帆波を襲うことになるのか。
ならば俺はそれを喜ばなければならないわけだ。
「坂柳。ちょっといいか」
「礼司君? どうしたんですか?」
「坂柳。悪いとは思うが、いや。謝ったところで……だな」
俺は携帯を操作する。
「何をしているんですか?」
「監視カメラの映像を差し替えている」
「クラッキング? この一瞬で?」
俺は携帯を録画モードにすると、百均の携帯スタンドに置いてアングルを固定した。
これで監視カメラの記録は残らない。坂柳への脅迫材料も手に入る。
と言っても、坂柳なら何とかしてしまいそうな怖さはぬぐい切れないのだが。
「――きゃっ! 礼司君!?」
坂柳を押し倒した。
予想以上に可愛らしい短い悲鳴が上がる。
椅子が倒れて杖が転がった。
坂柳は驚きもせず、ただ静かに俺を見上げていた。
「礼司君。一体これは何のつもりですか?」
「これからお前をレイプする」
坂柳は一瞬、言葉を詰まらせた。
俺がこんな愚かな行為をするとは思わなかったのだろう。
「……油断したようですね。礼司君がこのような人だったとは見損ないましたよ」
坂柳が目を細めた。声が低くなっていた。
「そうか。お前の目は節穴だったな」
「警告します。やめて下さい。今なら罪に問いません」
俺は無視して坂柳の上着を脱がせた。
「礼司君。これ以上は冗談では済みません。やめて下さい」
ブラジャーをむしり取った。
わずかに膨らんでいるだけの貧相な胸があらわになった。
「本気と言うことですか?」
「ああ。悪いな。大人しく犯されてくれ」
坂柳は溜息を吐いた。
諦めてレイプされるつもりになったのか。
後日の復讐を考えているだろう。今はよくても後が怖すぎる。
それでも俺は後には退けない。坂柳をレイプするしか生きる道はないのだ。
「そうですか。わかりました」
坂柳は目を閉じて、もう一度溜息を吐いた。
目を開けた坂柳は薄っすらと微笑んでいた。
俺は強烈な違和感を覚えた。
「いいですよ。好きにして下さい」
なんだ、これは。
どうなっている。演技しているのか?
「坂柳。俺はお前をレイプするんだぞ?」
「そうですね。流石の私もレイプまでは想定していませんでした」
「嫌じゃないのか?」
坂柳は口元に指を当てて思案する。いちいち仕草が可愛いなこいつ。
「私はここに来る前にシャワーを浴びてきました。その意味がわかりますか?」
「綺麗好きなんだな」
「実は少しだけ期待していたんです」
俺の言葉はスルーされた。
「礼司君と勝負する前はあなたの保険を利用させて貰うつもりでした。でも、実際に負けてみると気持ちが変わったんです。不思議ですよね」
演技だな。うん。演技だ。タナカスは騙されないぞ。
「好きか嫌いか、その結論はまだ出ていません。ですが私から勝利をもぎ取ったご褒美として、礼司君に処女を捧げても構わないと思っています」
お前精神状態おかしいよ……。
「でもこれ、レイプだぞ?」
「礼司君が倒錯した趣向を持った変態だとしても、受け入れる度量は持っているつもりです」
「だから、レイプだぞ?」
「いいですよ。レイプでも」
坂柳は覚悟の決まらない俺を嘲笑うように、俺の手を取って己の胸に導いた。
ちっぱい。ちょっと柔らかい。
でもシコりがある。これは強く触ったら痛いやつだな。
「んっ、ちょっとくすぐったいですね」
「じゃ、レイプするぞ?」
「はい。どうぞレイプして下さい」
なんだこれ。
俺は首を傾げてから坂柳の乳首に吸い付いた。
「あっ……んっ……礼司君……可愛いです」
乳首を舌で転がし、空いた手で反対側の乳首を弄る。
坂柳は身体をくねらせて悶え、俺の頭をよしよしと撫でた。子ども扱いかよ。
「無理やり乳首を嬲られて感じるとはな。この変態が」
「礼司君。そのキャラ付け、やめませんか。似合っていませんよ」
「……言うな」
だってこれ、レイプじゃねぇよ。完全にクライアントお怒り案件だよ。
あー。ジジイに何て言い訳をしたらいいんだ。
原作キャラをまた一人落としてしまったぞ。頼むから俺にレイプをさせてくれ。
俺は苦悩しながら坂柳のスカートを脱がし、ショーツをゆっくりと引きずり下ろした。
ショーツのクロッチの部分から糸が引いていた。
これはレイプ。これはレイプ。俺は自分に言い聞かせる。
「もう濡れているのか。淫乱だな」
「……言わないでください」
坂柳が頬を染める。初めての反応だ。ちょっと萌える。
坂柳の女性器はぴったりと閉じている。
男を知らない無垢な身体だった。
俺はじゅるっと下品な音を立てて、坂柳の蜜を吸い上げた。
「……はぁ……あっ……あっ……ぁんっ……」
舌先で性器の入口を擦ると、坂柳の身体が熱を持った。
びちゃびちゃという水音が次第に大きくなっているような気がする。
坂柳の呼吸が荒れる度、俺は怖くなる。
「坂柳。背中は痛くないか? 身体は大丈夫なのか?」
チェスで心停止するぐらいだ。
性行為に耐えられる身体なのか心配で気が気ではない。
「礼司君になら殺されても構いませんよ」
「おい」
「冗談です」
俺は溜息を吐いた。洒落にならない冗談だった。
坂柳の陰部はもう充分に濡れていた。
挿入できるのだろうか。行為の途中で死ぬんじゃないだろうか。
過保護すぎるほど心配してしまうが、後はもうやってみるしかないだろう。
「坂柳。挿れるぞ」
「礼司君。今さらですがお願いがあります」
やめてくれと懇願するのだろうか。……そんなわけはないか。
坂柳は頬を染めて、目を逸らしながら呟いた。
「どうか私のことは有栖と呼んで下さい」
名前呼びをご所望だった。
坂柳の方が馴染みがあるので違和感が凄いが、いずれ慣れるだろう。
「わかった。有栖。挿れるからな」
「はい。来て下さい。……あっ、ああぁぁっ」
メリメリと巨大な肉の槍が有栖を貫いていく。
想像を絶する衝撃と激痛に、有栖は空気を求めて口をパクパクさせていた。
「あぁっ、痛い。痛い、です」
有栖がポロポロと涙をこぼしている。
あの坂柳有栖が泣いている。
俺にはこれが夢に思えて、どうにも心が落ち着かない。
「一回抜くか?」
「大丈夫です。どうか、そのままで」
有栖が大丈夫と言うので、痛みが引くまで待つことにした。
見下ろしてみると俺たちの腰が密着している。
巨大な逸物が小柄な少女の中に埋まっていた。冒涜的な光景だった。
有栖の中は狭く、俺のものを痛いぐらいに締め付けている。
やばい。興奮しすぎて気を抜くと出してしまいそうだ。
「礼司君。あの。キスして下さい」
「ああ。これはレイプだからな。ついでに唇も奪ってやるよ」
「んっ……ちゅっ……」
ジジイに対する言い訳のように呟いてから有栖の唇を吸う。
唇を合わせているだけなのに頭が痺れそうだ。
有栖の方も目がとろんとしていた。二人とも夢中になって唇を貪り合う。
びちゃびちゃと音を立てて、舌をからませて唾液を交換する。
そうこうしているうちに有栖の痛みが引いてきたようだ。
「礼司君。もう大丈夫です。動いてもいいですよ」
「わかった。無理そうならすぐに言えよ」
腰を引く。
ずるりと肉棒が抜けていった。
「あっ……ちょっと、気持ちいいかもしれません……」
「そうか。有栖の中はきつくて気持ちいいぞ」
「そうなんですか? ちょっと嬉しいです。私で気持ちよくなって下さいね」
有栖が淡い笑みを浮かべた。
互いの唇が引き寄せられるように重なった。
キスをしながら俺はゆっくりと腰を動かしていく。
「有栖。痛くないか?」
「はいっ。あっ、痛みは、もう、わからないですっ」
有栖が俺の身体に抱き着いて、熱のこもった声を上げていた。
「はぁ……ああっ……礼司君……礼司君……」
俺も段々と速度を上げて肉棒を送り込む。
逸物で奥部を叩く。有栖の子宮を小突くと、有栖は身もだえして大声で喘いだ。
「あんっ! あっ! ああっ! あっ! やっ! ひぃうぅぅぅっ!」
互いに生まれたままの姿になって、肌をこすり合わせていた。
有栖は声を抑えきれず、みずから腰を開いて俺のものを受け入れている。
身体は汗でびしょ濡れになっており、股間は愛液でぬるぬるになっていた。
「あっ、あんっ、あっ……そ、想像以上、でした……」
「ん?」
「セックスがこんなに気持ちいいものだったなんて」
処女なのに感じまくっている。おかしいよね。ファンタジーかな。
これはレイプのはずなのだが。
「あうぅっ、はぁんっ、あっ、やっ、やっ……い、いいですっ」
有栖は俺にしがみ付いて、何度もキスをねだってきた。
甘えん坊だ。可愛すぎて胸がきゅんきゅんする。俺もう駄目になりそう。
「好き、かもしれません。私、礼司君のことが、好きになりそうです」
「ストックホルム症候群だろ」
「あっ、あんっ……礼司君、本気で言ってるなら怒りますよ?」
坂柳が俺を見上げて睨んでくる。
そんなことを言われても、お前のことが信用できないんだもん。
「大体、綾小路はどうなったんだよ。最初はあいつが目的だったんだろ?」
「私が綾小路君のことが好きだと? 勝手に決め付けないで欲しいです」
「違うのかよ」
「たしかに彼のことは気になっていました。そのことを否定するつもりはありません。いずれ勝負の場に引きずり出して引導を渡してあげるつもりです。それが私の幼少期の決意だからです。そして、それとは別に私を倒したのがあなたです。礼司君」
有栖が真剣な目をしていた。
シリアスな雰囲気なのだが、合体しながらする話なのだろうか。
「入院先の病室で何度もあなたとの対局を並べ続けました。朝から晩まで駒を並べ続けて、やがて父や医師がストップをかけてきました。また倒れられては敵わないとばかりにチェスボードまで没収されて、それならと私は頭の中で礼司君との対局をひたすら並べ続けました」
あ、あの。動きたいんだけど。これは焦らしプレイですか。
「もっと指したい。もっと勝負したい。私の本気をぶつけたい。私はずっとあなたのことばかり考えていました。それで一日が終わることもありました。これは恋なのでしょうか。私はずっと自分に問いかけています。答えはまだ出ていませんが、そろそろ得られるような気がしています」
「あの」
「はい。何でしょう?」
「動いていい?」
有栖がムッとすると、俺の唇を奪った。
チクッと痛みが走る。口の中で血の味がした。
有栖が己の唇をペロッと舐めてから目を背ける。
「……礼司君なんて、嫌いです」
「そうか。残念だ」
俺は腰を振り始めた。
「うぅ、くぅ! あっ、ああっ、はぁっ!」
有栖の身体はすぐさま燃え上がる。感じやすい身体だった。
「あっ、あっ、ああっ! ああぁっ! んちゅっ、んっ、んっ……」
有栖の頭を引き寄せてキスをする。
「んっ、んんっ! ああっ、あっ、ああぁっ!」
俺の肉棒は限界まで膨張していた。有栖の狭い膣内を押し広げている。
有栖の性器が俺専用の大きさに変わっていくような気がした。
「あっ! 礼司君! ああっ、ああっ! ああっ! も、もう、イキそうです!」
「そうか。俺も出すぞ」
「はいっ! 中に! 中に出して下さいっ!」
中でいいのか。俺は戸惑った。
俺の迷いを感じたのか、有栖は両手を俺の背中に回して抱き着いてきた。
まぁ本人がそう言うなら大丈夫なんだろう。
俺はラストスパートをかけて腰を振りたくる。
「あっ、あっ、あっ、あっ! はげしいっ! ああっ! ああぁっ! 礼司君っ! いくっ! あっ、いっ、くっ! ああぁぁぁぁぁぁ!」
俺は有栖の膣内をこすり上げ、一番奥に亀頭を密着させた。
「ああぁぁっ! 出てる! ひうぅぅっ!」
有栖は両足の爪先をピンと伸ばして絶頂する。
「うっ、くっ、あっ……あっ……」
びゅっ、びゅっ、と有栖の子宮に精液を叩き付ける度に、痺れるような快感が走り抜けた。
入りきらなかった精液が結合部から漏れ出ている。危険日だったら確実に妊娠している量だ。
「……はぁ……はぁ」
「有栖。大丈夫か?」
「平気です。いえ、少し苦しいかもしれません」
「おい!」
俺は慌てて身を起こそうとするが、その前に有栖が俺に抱き着いて動きを止めさせた。
「だから、もう少しだけ、このままでいて下さい」
「……わかった。好きにしろ」
俺は体重をかけないように有栖を抱き締めた。
あー。やっちまった。
これのどこがレイプという話だ。レイプ(純愛)は有りなのだろうか。
「月が綺麗ですね」
漱石か。
俺は夜空を見上げた。
「曇ってるぞ」
「もう。礼司君はいじわるです」
有栖が頬を膨らませる。
そう言えばジジイが静かだった……と言うか、姿が見えない。
と、そこで――。
エロ動画を撮影していた携帯の通知ランプが光っていることに気付いた。
俺は有栖の膣内から肉棒を引き抜くと、携帯を手に取った。
「あんっ……もう少し余韻を楽しませてくれてもいいのに……」
見ると鈴音や桔梗、帆波や軽井沢、佐藤までもが俺の携帯に着信を入れている。
これは、何かあったか。
俺は桔梗の携帯に電話をかけた。
『礼司君! やっと繋がった! えっと、その、た、大変だよ!』
桔梗が取り乱している。それが事態の大きさを感じさせた。
俺は有栖の方を見た。
有栖は微笑みながら首を横に振った。
違う。今回は有栖は無関係だ。有栖がDクラスに何かを仕掛ける理由がない。
嫌な予感しかしない。
電話先から「連絡が付いたの!?」という鈴音の声が聞こえてきた。
『礼司君。池君と山内君が……』
『一之瀬さんを襲ったのよ』
鈴音が言葉を詰まらせる桔梗から電話を奪い、疲れた声で俺に告げた。
ああ、なるほど。
ジジイが居なかったのは、そう言うことか。
俺と有栖の行為を見たジジイは見切りを付けたのだ。
以前からの宣言通り、池と山内を使って一之瀬をレイプしようとしたのだろう。
「帆波は無事か?」
声が震えてしまった。
鈴音は俺の動揺を感じ取って一瞬だけ沈黙するが、すぐに答えを言う。
大丈夫だ。俺は自分に言い聞かせる。
帆波がレイプされていたら、鈴音は今より取り乱している。
『ええ。結論から言うと彼女は無事よ』
鈴音は俺を落ち着かせるための言葉を選んでいた。有能すぎて泣けてくる。
『池君と山内君は須藤君とお泊り会をしていたの』
男子三人でお泊り会って何だよ。女子会ならぬ男子会かよ。
『ところが急に二人の様子がおかしくなって、須藤君の声もまったく届かなくなって、飛び出すように部屋を出て行った。須藤君は二人を追いかけて、一之瀬さんの部屋のドアに体当たりしている二人を殴って気絶させたそうよ』
やるじゃん、須藤。見直したわ。
だから俺は前から言ってるだろ。
池や山内のスペックではレイプは無理だ。俺がサポートしてもボロを出しかけるぐらいだ。
洗脳によって知能がさらに低下しているのだろう。
部屋のドアを体当たりでこじ開けようとするお粗末さである。
「帆波は今どうしているんだ?」
『先生たちから事情聴取を受けているわ。さっきまでずっとあなたに電話をかけていたのよ。どうして出てあげなかったの?』
「悪い。寝てた」
『その謝罪は一之瀬さんにすることね』
だよな。
有栖とレイプ(純愛)してたんだよな。
俺はすぐにそちらに向かうと告げて電話を切った。
「面白いことになっているみたいですね」
有栖が目を細めて笑っていた。電話の会話を聞いていたようだ。
面白い、か。おそらく今のは本心からの言葉だろう。
「いきなり私のことをレイプすると言い出したあなたと、一之瀬さんの部屋を襲撃したあなたのクラスメイト。そこに因果関係を見出してしまうのは私だけでしょうか?」
「お前だけだよ」
「真面目に答えてくれませんか?」
痛いところを突いてくる。
有栖は呆れた溜息を吐いてから、気だるげに衣服を身に着け始めた。
「俺は帆波のところに行くから、送ってやれなくて悪いな」
「何を言っているんですか?」
「ひょ?」
「私も一緒に行きますから」
何でさ。
嫌そうにしているのが俺の顔に出ていたのだろう。
「連れて行ってくれないと礼司君にレイプされたと言いふらしますから」
「それだとレイプ被害者だと公言することになるぞ」
「構いませんよ」
レイプ(純愛)の動画も一応こちらの手にある。
しかし有栖はまったく物怖じせずに満面の笑みで俺に言い放った。
「私の処女を奪った責任、取って貰いますからね」
……ああ、今夜はこんなにも、月が綺麗だ(曇り空)
俺は白目をむいた。
やはり坂柳有栖は手を出してはいけない人物だったようだ。