ダブルベッドの上に仲良く並ぶ二つの山。
その山の片方の犯人である睦月は布団の中で静かに寝返りを打った。視線の先、もう片方の山には如月がこちらを向いて可愛らしい寝息をたてている。
昔から二人で一つのベッドに寝ることが多く、提督からベッドを新調して貰うときもダブルでと頼んでいた。
「如月ちゃんはやっぱりかわいいなぁ…」
如月を起こさないように慎重にその柔らかな頬をつつくと、如月はくすぐったそうに笑う。
指に食いつくような弾力の肌と愛らしい反応に睦月は何度も何度も如月の頬をつついていた。
「およ? あわ、あわわ……」
つついていた指を突如掴まれ焦る睦月。
しっとりと湿った如月の手は、睦月の細い指をしっかりと包み込むと手に馴染むように握る手に力を入れたり抜いてみたりし始めた。
指全体に伝わる如月の体温にどうにもくすぐったく、でも、もっとして欲しいようなもどかしい想いでいた。
「ふぁっ、き、如月ちゃん……それは、さすが、にゃぁ、んぅぅ……」
如月は掴んだ手を睦月の指を掴んだまま、薄い桃色の唇へと運んだ。
なにが起こるのか、起きて見ていた睦月にはすぐに分かり如月に手から逃れようと咄嗟に力を入れた。しかし、睦月はまだ"改"。"改二"へと改造されている如月の前ではなんの抵抗にもならなかった。
如月は握りこぶしから覗く、睦月の指の先端だけを執拗に舐め続けた。
「如月ちゃ、ごめんねっ、やぁっ、起きてるのっ、し、しらなっ、ひゃぅっ……」
爪と指の間。そこは体の中でも重要な神経が多く集まる部分。たとえ内側に入らないとしても先端というのはくすぐったいもので、更に睦月の場合は如月が小まめに整えてくれていて、長すぎず短すぎない健康的な爪の長さであった。
すると長すぎて爪が邪魔だったり、短すぎて鈍くなったりすることなく、如月の尖った舌は睦月の指の一番気持ちが良い場所をくすぐり続けているのだ。
「ふふふっ、もう今夜は沢山気持ち良くなったのだし、ゆっくり寝ましょ?」
「ふぇぇ……、ごめんねっ、ごめんね……」
涙を目尻に溜めた睦月の頭を抱き抱えるように近付けた如月。
中睦まじい二人は先程まで性的行為をしていたわけである。
* * *
ここはとある鎮守府。
いつものように近海遠征から帰還した睦月は補給を終え整備室へと向かう。
整備室とは艦娘のコンディションを整え、次なる戦闘に備える部屋である。言うなれば、雑談部屋というような軽い部屋なのだが。
睦月は軽い足取りで睦月型用整備室へと入れば、そこには専属整備士にマッサージをしてもらっている文月が居た。
「ふぁぁ、睦月お姉ちゃん~。お疲れなの~」
「ああ、睦月さん、もう少し待ってて下さいね。そろそろ終わるので」
いつもの調子で挨拶をしてくれた文月と睦月が入ったことで立て込み始めた整備室に焦る整備士さんに睦月は思わず笑みがこぼれた。
室内に何個か用意されている椅子を取り出してきて、マッサージによって解れていく文月の顔を見ていると和やかな気分になれる。睦月はこんな幸せな日々がずっと続くように密かに思っている。
文月のマッサージが終わって、手を振りながら出て行く文月に笑顔で手を振り返すと今度は睦月の番になった。
「今日は、なにをしますか?」
この整備士さん、なんでもこなすことが出来るスーパーエリートだと睦月は気付いている。
睦月が言うことをなんでも叶えてくれるし、相談すれば親身になって答えてくれる。睦月型の中でも一番戦力にならない睦月に対してだっていつでも優しくて、素敵なお兄さんのような男性だと思う。
「うーんとっ、そろそろ梅雨なのです。だから、てるてる坊主作りたいのね!」
睦月のお願いに整備士さんはにっこり笑うと何枚かの白い布とペン、あと紐を持ってきた。
「睦月さんは手先が器用ですからね。色んな顔のてるてる坊主を作りましょう!」
「ふっふふっふーん♪」
両腕に抱える程のてるてる坊主を持ち、鎮守府の廊下をスキップで進む睦月。
「おや? 睦月か。どうしたそんなに嬉しそうにして。ん? それは、てるてる坊主か?」
「長門さん!! そうなのね!! 整備士さんと一緒に作ったのね!! あっ! 長門さんと陸奥さんのもあるのですよ?」
「私と陸奥の…?」
抱えていたてるてる坊主を一旦床に下ろし、睦月は長門のてるてる坊主を探し出す。
「どうぞ!」
差し出されたてるてる坊主には長門の特徴を細かく捉えた精巧なイラストが描かれていた。
睦月からてるてる坊主を受け取った長門はいかにも真面目な目つきで見るものだから、睦月は少し不安になった。
「これは……悪くないな。ありがたく使わせて貰うぞ」
「えへへっ♪」
床に下ろしたてるてる坊主を拾い直した睦月は長門と別れ、その後すれ違う艦娘全員にてるてる坊主を配っていくのだった。
「如月ちゃんっ♪てるてる……およ?」
抱える程あったてるてる坊主も残り3つとなり軽い足取りで自室に入った睦月。如月に渡す想像をしていたが、いつも部屋に居るはずの如月は今は居なかった。
「うーん…先に提督に渡してこよっと」
初めての3人称視点なので読みにくいかもしれませんね。