※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

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不思議な泉を訪れた一行。そのあとサザンビークに向かいます。勘違いなヤンガスの語りです。


ヤンガスの得意なこと

「物知りの学者がいて……サザンビークは豊かに潤っていた。年老いてなお、その手腕を求められたが、病を理由に隠居し、二度と表舞台に立つことはなかった。未開の森に住み、人の足を遠ざけた。学者の存在は伝説化し、人々は時と共に彼のことを忘れていった……」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ、ククール。どうしたの? あんたがマトモなこと言うなんて!」

「何だよ、博学なククールさまに惚れ直したか? ハニー」

「バカなこと言わないで。あんたに惚れるくらいなら、おじいさんちの泥人形と付き合った方がましよ」

「ひでえ! オレは泥人形以下かよ!」

「はいはい、夫婦漫才もそのへんでね」

「あっ……エイト、ごめんなさい」

「謝ることないよ、ゼシカ。それよりどうしたの? みんな……」

「どうしたのだと? それはオレが聞きたいぜ、リーダー?」

 

エイトの兄貴……ホントに変でがすよ。どうしちまったんでがすか……。兄貴はククールの問いに返事をせず、小さなため息をつかれた。

 

「別になんでもないよ。さあ、回復したことだし、サザンビークに向かおうか。またパンサーに来てもらおうね。商人のテントで一度休憩して地図確認して行くよ」

そうおっしゃる兄貴の笑顔はいつも通りだった。

「兄貴がああおっしゃるんだ。何でもない。余計な詮索はなしだぜ、ククール」

納得いかねえ顔してやがるククールに、俺は言った。

不思議な泉を後にした俺たちは、無言でパンサーを駆った。この時ばかりは、パンサーの足音と馬車の音で会話できないことが助かる。

 

 

ぎこちない雰囲気のまま、俺たちはサザンビークに到着した。エイトの兄貴は、場を取り繕うわけでもなく、普段通り、にこにこされている。もしかして、さっきまでの元気のなさは、キラパン酔いでいらっしゃったんじゃ……。

 

「大きなお城だね!」

「でかきゃいいってモンでもないだろ?」

「そうでがすよ。掃除なんかがたいへんでがしょうね」

「やだ、ヤンガスったら。お掃除の仕事する人いるから大丈夫なのよ」

掃除か。いつかエイトの兄貴がトロデーンにお帰りになったら、掃除で雇ってもらうのもいいな……。たまにはお宝を頂戴して……。

 

「ヤン、好きでしょ? ていうか、得意だよね?」

へっ? 何がでがすか? 盗賊の鍵の使い方でがすか?

 

「実はさ、僕さ、ずっと我慢してたんだ。ヤンにお願いしたいんだよ」

何ですって!

兄貴が我慢してらっしゃる? それは大変だ、早く出して差し上げないと。

「あ、あっしにできることでしたら、何なりとおっしゃって下せえ。兄貴のためなら……」

「やだなあ、ヤンたら。大げさなんだから。じゃあ、お願いね」

えっ? ここで……でがすか? みんなの前で?

俺はどうしていいかわからず、戸惑ってしまった。

 

「ちょっとヤンガス? 何してるのよ、早くして。ヤンガスがやらないなら、あたしがやるわ」

えっ、嬢ちゃんがっ! いつの間にかそんな関係に?

確か嬢ちゃんは「エイトの恋人になりたいわけじゃない」ってベルガラックで言ってたよな……。でもそれとこれとは別なのか?

 

「おい、トゲトゲ! ぐずぐずするなよ。ならオレが……」

「待てっ! お前だけにはやらせねえ」

ククールなんぞには指一本触れさせやしねえ。俺の大切な兄貴!

 

「そうだよ。ここはやっぱりヤンじゃないとね」

エイトの兄貴! そこまでして俺を……。感激でがす。エイトの兄貴はさりげなく俺の肩に手を置きなさった。ああ、熱い……自分の中心も我慢できなくなるんじゃないかと心配だ。ここは兄貴と一緒に……。

 

「じゃあ、頼むよ。ヤンが一番上手いんだから」

えっ? 一番上手い? 誰と何を比べたんです? い……いつ? 俺はまだ、兄貴のアレは……。

 

「そうね。ヤンガスが適任だわ。あたし、まだ上手くやれる自信ないし」

嬢ちゃん! 経験済み? 何てこった!

「そうだな。ちっとも羨ましかないけどな」

ククールは興味なしか。まあ、普通、男同士じゃやらねえだろ。いや、こいつは修道院出身。あんなことやこんなことはお手のものだろうが……。

 

「さあ、ヤン」

エイトの兄貴はにこにこ微笑んで俺の前に立ちなさった。……俺はさりげなく兄貴の中心あたりに目をやる……。

しかし兄貴は、じゃっ、お願いね、とおっしゃって、くるりと背を向けなさった。

 

「全部済んだら、迎えに行くわね。お城はやっぱりエイトがいないとだから」

「うん」

何? 城?

「一人で大丈夫か? ゼシカについてってもらう方がよくないか?」

「ダメよ、ククール。あんたとヤンガスの二人行動は信用ならないわ。昼間っから酒場に行かないとも限らないし。あたしが見張ってないと」

「そうだね。ヤンとククールの二人じゃ、いかにもだから、皆さんに警戒されちゃう」

「ああ、不本意だが、そう見られても仕方ないな」

「でも、確かに心配だわ。ね、ククールがエイトを宿屋に送りに行ってよ」

「そうだな。すぐに追いつくから、先に行っててくれ」

 

俺は……また俺だけが話の流れを読めていない。

「嬢ちゃん、兄貴はどうかなさったのか? 様子が変だったが……」

「もう、ヤンガスっていつもボケてるわよね。エイトは乗り物酔いしたの。ろくに休憩しないでパンサーにのりつづけてたでしょ? あたしたちが街の宝物を探す間、宿屋で休憩してもらうって話したじゃないの……」

やはり、兄貴はキラパン酔いにおなりだったのか。で、今ククールが兄貴を宿屋に……。

「大変だ! 兄貴が危ねえ」

 

俺は二人の後を追った。またゴルドの時みたいに痴漢に襲われちまう。ククールなんぞに任せてられるか!

「ヤンガス、ねえ! 待ってよ!」

 

宿屋に駆け込む。閉じられたドアに近づくと、声が聞こえた。

「エイトは、オレの……」

何だと?? よりによってククールの奴、「エイトはオレの」だぁ?

「待ってってば、ヤンガス」

いつの間に来たんだか、嬢ちゃんが俺の後ろで何か言ったようだが、そんなこと構っちゃいられねえ。

俺は扉を蹴破った。

 

!!!

 

「あ、兄貴?」

兄貴はベッドに腰掛け、ククールはひざまづき……、俺は一気にテンション50になった。

 

「うわぁ、びっくりした! どうしたの、ヤン? ゼシカまで」

兄貴は憂いを秘めた黒い瞳をくるりと丸くし、小首をかしげなさる。

少し青ざめたお顔が、はかなげで愛らしい……。

 

「えっ、あの……あのね。ちょっと、やっぱりククールも一緒の方がいいかな……って」

嬢ちゃんは俺と兄貴とククールを交互に見やりながら答えた。

「そうだろ、ハニー。わざわざ迎えに来てくれたんだな。サンキュー」

ククールの野郎は、立ち上がって嬢ちゃんの肩に手を置き、白々しくそう言った。嬢ちゃんはピシリとその手を払いのける。

「やっ、あの、迎えに来たわけじゃないんだけど……。まあいいわね。じゃあ、エイト? 行って来るわ。ちゃんと休んでね」

「うん、頼むね。あっ、ククール、……ありがと。送ってくれて」

「ああ。……じゃあな」

 

俺は……俺は……。何があったのかさっぱりわからないまま、二人に連れられて宝探しに出かけた。

 




次は王家の山へ行きます。ククールの「エイトはオレの……」発言を引きずるヤンガスがいます。R-18設定なので、どの宿屋もシャワー付き個室ありで二階建てです。
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