※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

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前回の続きです。リーザスの宿屋に戻ったところから始まります。しょーもない展開です。ククールの語りです。R-18設定なので、どの宿屋もシャワー付き個室ありで二階建てです。ククールの語りです。


リーザスの夜は更けて

「すみません、手違いで」

宿屋に行くとおばちゃんがすまなそうに言った。

「じゃあ、大部屋は一人分で、あとは個室なんですか」

エイトの具合が心配だったから、食事前に個室と大部屋二人分を予約したつもりでいた。今、大部屋にはヤンガスが寝ている。

 

「お前は個室で休め」

「ククールはどうするの?」

「オレは朝まで飲んで……」

「お客様すみません、もう閉店しました」

リーザスは夜早いんだっけか。相変わらず行儀がいいぜ。

 

「あの、毛布を余分に借りられませんか? そしたら一人が個室の椅子で寝ますから」

まあ、そうするしかねえな。

「いいですよ。本当にすみませんでしたね。お代はまけときますから」

おばちゃんは、では、お持ちしますからちょっとお待ちください、と言って部屋の鍵を寄越した。

 

「先に行ってるか?」

「……じゃあ、そうしようかな」

エイトは階段に向かった。

 

「……ごめんなさいね、私、間違えちゃって……」

そう声をかけてきたのは予約の応対をしてくれた姉さんだった。

「ああ、気にしないでくれ」

「ね、ベッド足りないんでしょ? 私の部屋に来ない?」

……そういうことか。オレは階段を上るエイトを見た。エイトは一瞬止まってこっちを見たが、すぐに行ってしまった。

 

「ありがとうな。でも、連れが調子悪いんだ」

「そお? ならなおさら一人で休ませてあげましょうよ、ね?」

姉さんはシナを作ってオレに寄りかかってくる。

「ハニー? 残念だけど、連れはさみしがり屋でね」

「彼、でしょ? まさか女の子なの?」

「彼、だよ。怖いんだぜ、ああ見えて」

「そういうコトなの。わかったわ。私、気にしないけど?」

オレが返事の代わりに二階に目をやると、姉さんはホモ野郎、と小さく吐き捨てて受付の奥に消えた。

 

入れかわるように、おばちゃんが毛布を持ってやって来た。

「すまなかったね、あの子、新人でね」

「いや……。なあ、おばちゃん、パルミドをネグラにしてる美人局盗賊団てのが、こっちの方にも来てるって話だぜ。気をつけなよ」

オレは適当なことを言って、毛布を受け取り、二階へ上がった。

 

鍵がかかってやがったから、ノックした。

「オレだ。入れてくれ」

エイトはなかなか開けてくれない。

シャワーの音がやんで、ようやく扉が開いた。

「来たんだ」

「何だそれ。一緒でいいって言ったのお前だろ? てゆーか、またフロかよ」

さっぱりした顔に、不快感が浮かんでいる。

 

「てっきりあのお姉さんと寝るのかと思って」

「おい! オレはそんなに軽くねえ。それにオレだって選ぶ権利はある。あの女は危険だ。ヤバイのが後ろにいる」

「じゃあ、ヤバくなきゃ寝たんだ?」

挑むような目。オレは言い返せなかった。

いやにつっかかるな。さっきまではふらついてたのに。

 

「おい、お前、酒?」

驚いた。サイドテーブルのウエルカムドリンクがからっぽだ。アルコール度数の低い果実酒のようだが、酒場でも少し飲んでいたし、酒に弱いんだからあっという間に酔いが回る。そのあとでシャワーなんてやばいぞ。

 

「……まあ、いいや。ククールがベッドで寝て」

そう言ってエイトは、オレから毛布を取り上げた。目が据わっている。早く冷ましてやらないと……。

 

「オレが椅子で寝る。……お前さ、オレがゴルドでやられた日、マイエラまで連れてってくれて、朝まで床にいたろ? またそんなじゃ……」

「へえ、覚えてたの? そんなこと」

そんなこと? ああ。そんなこと、ね。お前にとっちゃそんなことなんだな。オレはすげえ嬉しかったのに。

エイトはオレが差し出したミネラルウォーターをひったくり、ごくごく飲んだ。口の端からたらたらこぼしている。……なんかやらしい……。

いや、そんなこと考えてる場合じゃねえ。

 

「……わかった。じゃ、そうさせてもらうよ」

オレが黙ってるもんだから、エイトは背中を向け、髪をごしごしと拭くと、ベッドに潜り込んだ。

いつもと違うエイトの対応に、オレは複雑な気持ちになった。寂しい? いや……。

 

とりあえずオレもシャワーを済ませた。バギで髪を乾かす。寒っ。バギにも温風があればいいのにな。部屋へもどり、あわてて毛布をまとうが、やっぱり寒い。

個室だから狭いのは仕方がないが、いやに圧迫感があるな。暗いからか。

ひととおり見回すと、小さな窓の他、天井近くにも申し訳程度の灯り取りの窓がついている。月は雲に隠れたままのようで、町のうすらぼんやりした灯りの一部が入ってくるだけ。

 

エイトは気配を消している。眠っていない。構うもんか。何不機嫌になってんだか。

オレは椅子に座った。

 

……寝にくい。

これなら起きている方がましじゃねえか?

なんとなしにエイトの顔を覗きにいくと、エイトは頭まですっぽりと毛布をかぶってしまった。このヤロウ……。

 

「眠ってないんだろ?」

エイトは答えない。

かわいげねえな。

「椅子じゃ眠れねえ。やっぱりお前起きろ」

オレはエイトの毛布をはぎ取った。

 

「わっ! 何するんだよ。寒いじゃないか!」

「うるせ。オレがベッドで寝ていいって、さっき言ったろ?」

「さっきはさっき。今は今」

生意気だな。エイトは動こうとしない。

 

「じゃあ、一緒に寝るか?」

「……やだね」

「じゃあ、どけ」

「やだ!」

エイトはくるんと丸まった。まるで小動物みたいだ。オレはおかしくなり、もっとからかってやりたくなる。

 

「じゃあ一緒に……」

エイトは答えない。冗談が通じねえのか。……オレは一緒に寝てもいいんだが。あったかそうだし。

いや、別の感情が沸き起こってくる……。エイトがいいよって言ったらどうしよう……一緒にベッドに入ったらオレ、なんかしちゃいそうだ……なんてな。いや、でも……。

エイトは丸まったまま動かない。小せえな。バカぢからあるくせに……。困らせちゃかわいそうだな。ここんとこ、ずっと疲れてるみてえだし。

 

「……悪い。冗談だよ……オレが眠れないのにお前が寝るのはずるいって、ちょっとふざけすぎた。もう言わないから……安心してゆっくり寝ろ」

オレはどうにか誤魔化そうとした。冗談だと言えば許してくれるだろう。エイトだって兵士なんだから、そのくらいのジョークはわかるはずだろ?

「うるさい!」

「んだよ! うるさい?」

なんだよ、この切り返し。かわいそうは撤回だ。

「ククールなんてどっか行っちゃえ! 女の人と寝ればいいんだ。……どうせ」

「おい! どうせ? どうせ、なんだよ?」

オレは頭にきた。なんでこんな言われかたをされなきゃなんねえ?

「……冗談だよね」

は?

「僕と寝るなんて……バカみたい」

「バカとはなんだよ!」

「バカだから、バカだって言ったんだ!」

エイトは勢いよくベッドから降りた。そして冷たい無表情をオレに向ける。

「わかった。どうぞ。僕は出て行くから、君はヤバくない女の人とここで寝ればいい」

「何だそれ! どういう意味だ!」

エイトの無表情は怖い。目がマジだ。いつもならクラクラしそうなくらい艶っぽい黒目が、仲間を見捨てた群れのリーダーみたいに冷たい。いや、それでも、黒曜石のような輝きはぞくぞくするほど魅力的だ……とりつかれてんのか? オレ。

 

『……ちょっと……うるさいわね……』

と、突然、壁の向こうから声が。

『気にするな……早く』

続いて恥ずかしい声が聞こえてくる。

『あ……ん。ダーリン、待って……うふん……』

『……我慢しないで声を聞かせてくれ……』

『イヤよ……あっ……ダメ……ああん……』

……声はだんだん大きくなる。

『そうだ、もっと……隣にも聞かせてやれ……』

恥ずかしい声と一緒に、行為の激しさを伝える音が……。オイオイ、もっと控えめにしてくれよ……。

『はぁん……あっ……奥まで来てる……いいわ……あ……はぁん……もっと……』

エイトは真っ赤になって固まっている。オレたちは下らないケンカを続けることができなくなっていた。

『……い、いくっ……っあ……あっ……!』

極まった悲鳴に似た女の声が一回聞こえた直後、ドカドカと足音が入って行った。

『おい貴様ッ! 俺の女房に何をしてる!』

『あんたっ! 助けて!』

『違っ……』

『このオトシマエ、どう付けてくれる?』

 

何だか物騒なことになってきたな。

「ク……ククール、この部屋鍵かけた?」

エイトの視線が扉に向かう。

 

「大丈夫だ」

念のため鍵を確認する。まあ、オレたち何もしてねえし。びくつくこともないんだが。

「くしゅん」

エイトがくしゃみをする。確かに寒い。

 

「出て行かない方がいい。オレが悪かったよ。何もしないから、ベッドに寝かせてくれ。背中合わせで眠ろう」

寒冷地での夜営ではこうやって暖をとる。エイトだって兵士なんだから知っているはず。

「うん。そうしよう。僕こそごめんね……」

 




背中合わせで一つベッドに入った二人です。何が起こったかを知りたい方は次の()つきのほうでどうぞ。たいした描写はありません。内容は表題通り。
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