※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

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エイトさん告白の翌日、勘違いのヤンガスがやってきて、また下ネタです。ヤンガスの語りです。ついでに太陽の鏡ができます。


太陽の鏡

「開けてくだせえ、エイトの兄貴! 兄貴!」

俺は取り返しのつかないことをしてしまった。兄貴の入浴シーンの妄想で飲み過ぎたなんて、言い訳にならねえ!

明け方、外が騒がしくて起きてみると、男女がもめていた。

簡単に言えば美人局ってやつで、被害にあった男はすっからかんにゴールドを巻き上げられていた。女の方は宿屋の受付だってんだから驚きだ。リーザスみてえなのんびりした田舎にもこんなのがいるなんて、不景気なんだな。

山賊稼業から足洗って良かった。エイトの兄貴に出会えて……、と思ったところで、兄貴の姿のないことに気づいたんだ。ついでにククールの野郎もいない。嫌な予感がした。あわてて宿屋のおばちゃんに尋ねれば、二人で個室使ってるって言うじゃねえか!

俺は走った。兄貴の部屋の扉が開かねえ。しっかり鍵をかけていらっしゃる。いや、これはきっとククールの野郎がかけたに違いねえ! 兄貴、兄貴の貞操が……。俺は扉を叩きまくった。

 

「は~い。あっ、おはよう。ヤン。どうしたの? あわてて」

「兄貴!」

俺は兄貴の横をすり抜け、部屋に入った。

こんな、こんな狭い空間に二人きりで夜を! おまけに、何だ、ムンムンする。

 

「兄貴! 兄貴! 何されたんです? あっしはククールを殺ります。何処です? 奴は」

ククールぅ? シャワー浴びてるよ、と、兄貴はあくびなさりながらおっしゃった。

ククールめ、汗をかくようなことを……。

 

「ヤン、朝からテンション高いねぇ」

気だるそうにおっしゃる兄貴。そんなに激しくされたんですかい……?

シャワー室が開いた。

 

「ククール! 覚悟!」

「わっ! なんだよトゲトゲ!」

「兄貴を汚した罪で、死刑だ!」

「バカ、よせ! こんなトコでオノふり回すな!」

「じゃあ表へ出ろ!」

「何だってんだよ、朝稽古か? なら服くらい着させてくれ」

 

「ちょっと、今度は何だい?」

宿屋のおばちゃんが来たようだ。だが今はそんなのに構ってられねえ。

「おかみさーん、ゼシカお嬢様が!」

「何だって?」

階下から声が聞こえたと思ったら、おばちゃんはドタドタと降りて行った。

 

ククールはのんびり着替えていやがる。

「ヤン、ヤンもシャワーつかったら? お酒くさいよ。僕は汗くさいのとお酒くさいの嫌いなんだ」

そうだ。兄貴はきれい好きでいらっしゃる。

「わかりました。返り血を浴びるかもしれませんから、殺ったら、使います」

「ヤン、気合い入ってるね」

「当たり前でがす! あっしの大切な兄貴の貞操を奪われ……」

 

「えっ? 何か盗られたの? 大切なもの? まさか換金用の特薬草? 世界樹の葉じゃないよね? バウムレンの鈴とか?」

「何、盗難か? 何盗られたんだ? バニースーツだったら悲しいぜ?」

「ちょいと、何だって? あんたたち、何か盗られたのかい?」

再びおばちゃんが現れる。ゼシカの嬢ちゃんも一緒だ。

 

「おかみさん、ありがとう、この部屋だわ」

「ゼシカお嬢様のお知り合いなんですか? これはご迷惑かけて申し訳ありません。一応保険には入ってますけど、何を盗られたんです?」

「盗難? ちょっと! この宿屋はそんなに物騒なの? 一体何を盗られたのよ! あたしの気に入ってる踊り子の服じゃないでしょうね?」

ゼシカの嬢ちゃんまで加わって、一斉に俺に注目した。

「ヤン、何がなくなったの?」

「ゴールドか? バニースーツか?」

「あっ、いや、その……」

 

 

クソッ! 結局、俺が寝ぼけて騒ぎを大きくしたことになりやがった。いくら朝が弱いからって、そんなにボケてねえ。俺は頭にきた。きたんだが……。

「ヤン、でも僕嬉しかったよ。すごく心配してくれたんだね」

と兄貴に言われちゃ……。照れるしかねえ。兄貴は、俺の肩をポンと叩きなさった。さりげない優しさ……俺は朝ということもあって血液が一ヶ所に集中し、貧血をおこしかけた。

 

「ヤン、大丈夫? やっぱりまた駄目?」

また駄目って? 兄貴、俺たちはまだ……。

 

「ちょっと、ヤンガスったら朝っぱらから貧血? しっかりしてよね」

嬢ちゃんにバシバシ背中を叩かれ、俺はむせた。最近、嬢ちゃんのスナップがやけに効いている。

 

「トゲトゲ、その様子じゃ朝稽古は無理だな。また今度な」

ちくしょう、全部おめえのせいだってのに!

 

「ヤンが一番やる気あるよね。さすがだよ」

兄貴のおっしゃる「やる気」は、俺がやりたいことの「ヤる気」じゃねえな。ふう、言葉って難しいぜ。

 

 

まあ、そんなこんなで、俺たちは船に乗りこむ。海竜のジゴフラッシュを浴びに、海辺の教会から出発だ。

 

「なあ、相談なんだが。いや、是非同意してくれ」

ククールが真面目な顔でみんなを甲板に集めた。

「……並び順を変えよう。トゲトゲ、リーダー、オレ、ゼシカだ」

 

「えっ? どうして? 僕、前がいいのに」

そう、エイトの兄貴は前がお好き。

「駄目だ。リーダー、船苦手だろ? 無理することねえよ。トゲトゲのが防御強いんだから。お前の後ろはオレが……」

「ちょっーと待ったァ!」

「何よ、ヤンガス、古くさいギャグ?」

うるせえ、ギャグじゃねえ。兄貴の後ろをククールなんかに……。

 

「うん、いいよ、ククール」

何ですって? かたくなに先頭を渡さなかった兄貴が……。

「ヤン、ヤンなら……僕いいよ」

くぁーっ!

 

「ちょっと、ヤンガス、おかしいわよ! そんなフラフラして先頭大丈夫なの?」

「ゼシカ、大丈夫だよ。僕はヤンを信じてる。ヤンはきっと上手くやってくれる」

上手くやってくれる、ですって?

「兄貴、あっしでよければ、いつも何度でも……」

「オイ、それへんな婆さん出そうだからやめろ!」

「デスセイレス? それなら大丈夫よ。あたしのが勝ってるから……って、ククールどこ見てんのよ!」

「はいはい、もうやめようね。じゃ、ククールの言う通りの順でいい?」

「駄目でがす」

俺は許さねえ。兄貴の後ろにククールなんて!

 

「……あっし、ククール、嬢ちゃん、兄貴で」

「ククールがそんな前じゃ駄目だよ。守りが一番甘いんだから」

「ふふ。私生活と一緒ね」

「ひでえな、ゼシカ。心が広いと言ってくれ」

「じゃ、ヤンガス、エイト、あたし、ククールでどう?」

「それならいいぜ」

ククールなんかより嬢ちゃんの方が100倍安心だ。

 

「うん、そうだね。僕がヤンを援護するから、ククールはいつも通りスクルトとゼシカの回復をお願いね」

「いいぜ。リーダー、無理しねえで自分回復するんだぜ? トゲトゲはオレが回復してやるから安心しろ」

「うん……。じゃ、そんな感じでいこう」

 

さんざん並び順でもめたが、海竜はすぐにやってきて、いともあっさり太陽の鏡が復活した。

俺たちはドルマゲスの結界を解くため、再び闇の遺跡に向かう。

いよいよ、決戦だ。

 




エンディングまで長いゲームですが、勇者一行は、ドルマゲスを倒す目的で動いているので、「最後の戦いだ」と決意をもって臨んでいるだろうと考えました。この後ドルマゲス討伐までまた数日かかります。
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