※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

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討ち入り前、それぞれの決意はどうなのか、というお話です。7日間使います(長くてすみません)。それぞれが語ります。


それぞれの一週間・二日目

*ヤンガス(ゲルダのアジトにて)*

 

「おい、ヤンガス? 俺は急な仕事が入った。サザンビーク方面に行かなきゃならねえ。ゲルダ姐さんの警護を頼むぜ」

エイトの兄貴のことを想いながら、馬小屋で一夜を明かした。朝イチの馬のクソを片付けたところで、このアジトを守っているマッチョ野郎が顔を出した。

「姐さんもしばらく空けていいっておっしゃったから、その間ゆっくりさせてもらうぜ」

うれしそうにそう言うと、マッチョ野郎はゲルダが横流ししたキメラの翼で何処か行きやがった。

 

「グズは嫌いだよ。さっさと朝飯食いな」

ゲルダに呼ばれて家に入ると、朝っぱらからこってりした匂いがしている。夕べの残りか? 席に着くと、デカい鍋を俺の前に置く。皿が用意されているってことは、自分でやれってことだ。俺は一番デカい肉の塊を遠慮なく皿に取る。ゲルダは向かいに座り、頬杖をついて俺の食べるのを見ていたが、そのうち安ワインを出してきて飲み始める。

 

「……で、あんたはそのなんとか言うヤツを倒しに行くってんだろ?」

「おうさ! 何べんだって話してやらあ。エイトの兄貴は弱冠17歳にして勇者の風格がおあり、どんな魔物でも、どんな迷路でも怯まずだな……」

俺は一日中かかって昨日までのいきさつを話した。ゲルダは聞いているのかいないのか知らないが、横から口出しもせず、黙って聞いていた。

 

 

 

*ゼシカ(アルバート家にて)*

 

「ゼシカ、いくら疲れていると言っても、もう朝食は出せませんよ」

寝すぎて頭が痛い。空腹を抱えたまま階段を下りていると、聞こえてきたのはお母さんのとがった声。でもあたしと目が合うと、お母さんは口角を柔らかく上げた。

 

「……ですから、ブランチの用意をしました」

「お母さん……」

今日はわたくしも一緒に、と言って、あたしと食卓で向き合って座る。メニューはパンケーキとサラダ。大きなティーポットから紅茶の香り。あたしはお母さんの分も紅茶を注ぐ。強めのストレートティーを用意してくれたのね。目が覚めそう。お皿にはパンケーキが食べきれないほど山と積まれている。もしかしたら、エイトと王さまたちも来るかもしれないから、その分ね。お母さんの優しさは嬉しいけど、でも……。あたしは熱い紅茶をゆっくり味わった。

 

「……ゼシカはサーベルトの仇、そしてあの王様のためにも、恐ろしい道化師を倒そうと言うのですね。女の身で」

「……そうよ、何回言えばわかってくれるの? とにかく、あいつを倒さないことにはあたしの怒りだっておさまらない。サーベルト兄さんだって浮かばれないわ」

あたしはこの家を出たときと同じくらいの勢いでお母さんに気持ちを伝えた。ブランチの後、夕食の準備が始まっても話し続けた。

 

 

 

*ククール(ドニの酒場にて)*

 

「ククール坊っちゃん、無事でよかった…」

オレはエイトと約束した通り、マイエラ修道院で一泊した。しかし、どうにも気分が悪くて一睡もしていない。

 

……というより、懐かしの宿舎から見える月を眺めてたら、いつの間にか朝になっちまってたんだが。で、修道院横の川っぺりで昼寝して、まだ日の高いうちからドニの酒場に来ている。酒場のおばちゃんはオレの手を握り、泣きながら話を聞いてくれた。

 

「まあ、楽な旅じゃねえけどさ、オディロ院長の仇の居場所をとうとう突き止めたんだ。オレは戦う。……うちのリーダーは確かに小僧だが、なかなか強いんだぜ。あいつが一緒ならなんとかなる。それにバカぢからのおっさんに、魔法使いのレディがいて……」

オレは、パーティの自慢をし続けた。「兄貴なんかいなくたって」の言葉を何度も飲み込みながら。

 

 

 

*エイト・トロデ・ミーティア(トラペッタからリーザス塔、アルバート家にて)*

 

マスターライラス。ドルマゲスの殺戮はここから始まった。あやつの師匠であるライラスとはどのような人物じゃったのか、今ではもうわからぬし、わかったところで何の意味もなかろう。

トラペッタでは、占い師ルイネロにちょっと会って来ます、と言い残し、ネズミのトーポさえ馬車において行った。じゃが、エイトはすぐに戻ってきた。浮かない顔をしていたところを見ると、知りたいことが明らかにならなかったのじゃろう。一体何を知りたかったのか。

 

エイトは続いてリーザス塔にルーラし、一人でリーザス像を見に行った。

ドルマゲスの目的がわからなくなったのは、この二つ目の殺人からじゃ。あやつが個人的に恨んでおったのは、マスターライラスだけ。ライラスを亡きものにするだけで終わりではなかったのか。

なぜ、第二、第三…第四と殺しを行ったのじゃろう。それが謎じゃ。エイトもその辺のことを調べているのじゃろうが……。

 

長い旅が続き、剣士としても旅人としても成長したようじゃ。迷子の得意なエイトでも無傷でリーザス塔から出てきおる。しかし表情は厳しい。

「王、ありがとうございました。トーポ?」

ネズミのトーポは姫のたてがみの中で気持ちよさそうに眠っていた。

「よいよい、トーポもゆっくりさせてやりなさい」

 

日暮れ近く、わしらはアルバート家を訪れた。出迎えてくれたゼシカは浮かない顔。

気のせいか、アローザ殿にも疲れが見える。

アローザ殿はわしらを歓迎してくれたのだが、馬小屋に泊めてくれと申したら、さらにがっかりした表情になる。

 

「マダム、ご好意はありがたいのですが、出入りの度にご迷惑をおかけできません。明日も出掛けますので、食事などのご心配は無用です」

そう言ったエイトの意図をわかってくれたのか、ゼシカも、わしたちの過ごしやすいようにしてくれとアローザ殿に言ってくれた。

 

「では、今夜だけでもご一緒にお食事を……」

わしはお言葉に甘えてアローザ殿と食卓についた。しかし、エイトは食事を持って馬小屋に入ってしまう。

ゼシカもさっさと食事を済ませて馬小屋へ向かった。

 

 

 

*エイト・ゼシカ(アルバート家の馬小屋にて)*

 

食事を馬小屋でとるなんて、失礼だったな……。なんて考えてるとゼシカがやってきた。

 

「エイト……大丈夫? なんか元気ないわね」

「大丈夫だよ。それより、食事は済んだの?」

「ええ。あたしが話すより、王様から話を聞いた方がお母さんも納得してくれると思う」

ゼシカは、デザートのレモンパイを持ってきてくれた。

「マダムは……やっぱりゼシカを行かせたくないだろうね」

「多分ね。いよいよドルマゲスと戦うって言ったら、急に……。でも、あたし行くわよ。このままじゃサーベルト兄さんだって浮かばれない。勝ってお母さんに認めさせなきゃ」

 

ゼシカの瞳の輝きは、その意思の強さを表しているようだった。

でもゼシカ、何を認めさせたいの? 自分の判断? それとも強さ?

 

「よく考えて……ゼシカがいいようにしてね」

「ね、エイトまさか一人で闇の遺跡に行こうなんて思ってないわよね」

「思ってないよ。それに無理だよ、あんな怖いところ一人でなんて」

「……そう。良かった。みんなに実家に帰れなんて言うから、一人で行っちゃうのかと思ったわ」

そんなつもりはないんだけど、やっぱりそういう風に見えるのかな。

 

「ゼシカ、明日は?」

「アルバート家のお墓参りに行こうと思ってる。あとリーザス像見に行くわ。エイトは?」

「多分、マイエラ修道院。オディロ院長のことでちょっとね。あと、まだマルチェロさんに挨拶入れてないから……」

 

ゼシカが家に帰ったあと、僕は風車の下に行って月を見上げた。

一週間も長すぎたかな。でもゼシカにはすこし落ち着いてもらいたかったし、ヤンだって、考えなしに僕に着いてきててもいいのか考えたほうがいいんだ。ゲルダさんとなら、遠慮なく話せるし、それで考えが変わるならそれでいいんだ。二人がもし来なかったらそれでいい。また対策を考える。僕がもっと強くなればいいんだし。ただ、ドルマゲスの力が弱まっているという今はチャンスだ。できればみんなに戻ってきてほしい。

もし、ククールが来なかったら、僕はどうなるんだろう。マルチェロさんに言いつけに行っちゃうのかな。

 

僕は、どうしてマルチェロさんに会わなきゃって思うんだろう。あの人に、何を言いたいんだろう。

……ククールは、今どこにいるんだろう。

 




面倒な一週間になっています。次は三日目です。
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