※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

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討ち入り前、それぞれの決意はどうなのか、というお話です。最終日です。長くてすみませんでした。闇の遺跡に入ります。倒すのは次回です。それぞれが語ります。


それぞれの一週間・七日目

*ヤンガス(ゲルダのアジトにて)*

 

俺は夜明け前にゲルダのベッドを抜け出した。ゲルダは眠ったふりをしているんだろうか、それとも本当に眠っているんだろうか。俺は確かめることはせず、黙って家を出た。エイトの兄貴からもらったキメラの翼を天へ投げる。行先はもちろん、海辺の教会だ。移動呪文で消える俺の姿は、きっと笑えるくらいみっともないんだろう。ゲルダには見られたくねえな、と少し思った。

 

海辺の教会は、ゲルダのアジトのある地域に比べると、少し寒かった。海風も冷たく、強い。俺は心は落ち着いていたが、すぐに教会へは入らず、裏手で海を眺めながら夜明けを待った。今の俺の精神状態は「無」だ。何もかも捨てている。俺の運命はエイトの兄貴のサポート。結果は関係ない。

 

 

 

*ゼシカ・トロデ・ミーティア(アルバート家にて)*

 

「じゃあ、行って来るわね。また来るから。必ず」

朝日が眩しい。お母さんはもうあたしに何も言わなかった。

屋敷の前では王さまと馬姫さまが待っている。

「アローザ殿、世話になった」

王さまも緊張した面持ち……?

「ぷぷっ!」

「ゼシカ、何です? 笑うなんて」

だって、だって!

「ご、ごめんなさい……。お、王さまがっ……ぷぷっ……」

王さまったら、両手に山のようにフィナンシェを抱えて、ちっとも緊張した面持ちじゃないんだもの!

「すごく、嬉しそうで……あははは!」

あたしは我慢できなくなって大笑いしてしまった。

「……いや、ゼシカの言う通りじゃ。わしらはずいぶんよくして頂いて、こんな美味しい焼き菓子をたくさん……」

子供がお菓子をもらったみたいににっこにこなんですもの!

 

ひとしきり笑って息をついたとき、お母さんがあたしを見た。

「必ず! 必ず帰ってくるのですよ。王さまにしっかりお仕えなさい」

お母さん……。お母さんはいつだって真剣だった。あたしに行くなと言った時も、そして今も。

 

あたしは振り返らずに村を出た。馬姫さまの手綱に手を添え、キメラの翼を放る。すっと意識が遠くなる感覚があって、そのあと強い向かい風を通り過ぎると目的地に到達する。ふわりと着地する。

海辺の教会は今日も静かだった。

 

 

 

*ククール・エイト(サザンビークにて)*

 

「エイト?」

「うん?」

オレの胸に頬を寄せて眠るエイトをキスで起こした。

「立てるか?」

「たぶ……ん。……いっ」

そりゃ痛てえだろう。夕べのことを思い出しているのか、恥ずかしそうな顔がかわいい。

 

シャワーを浴び、身支度をきっちり整え、オレは誓った。

「ドルマゲスを倒す。お前に、オレの命をやる」

エイトは無言で頷く。

「もし生きて戻れたら、またここへ来よう」

オレはそう言ってエイトを抱きしめた。深く口づけ、もう一度力を込めて互いの温もりを刻みこんだ。

 

 

 

*エイト(海辺の教会にて)*

 

「ヤン、来てくれたんだね」

海辺の教会へ行くと、すでにヤンが到着していた。

 

「兄貴……」

「どうしたの?」

急に涙目になるヤン。

「なんでもねえでがすよ……。誓って、あっしは兄貴について行きやす」

「うん、頼むね」

ヤンて、なんか時々ずれてるよね。まあいいか……。ゲルダさんちで怖い目にあったのかもしれないね。

 

「ククールも一緒ですかい」

「うん。今、シスター口説いてる」

 

教会の扉が開く。

「エイト!」

「待たせたのう」

ゼシカと王も到着した。みんなの表情には少しの緊張が浮かんでいる。でも、どこか吹っ切れたような、清々しい感じがする。

 

「あら? ククールは?」

「いるよ」

「揃ったか」

シスターを口説いていたククールが奥からやって来る。

 

「張られたか? 片方赤いぜ?」

ヤンの言葉に見てみると、ほんとだ、ククールの左頬が赤くなってる。シスターの姿を探すと、神父さまになにやらぶつくさ訴えていた。

「ちょっと、ククールってばまたしつこく口説いてたんでしょ。泊まりにこられなくなっちゃうじゃない!」

「ああ、悪かったよ……。怒るなよ、ゼシカ」

「次にここに来るときは、ククールだけ夜営だね」

みんなげらげら笑う。

 

「のう、エイト。すぐに出発か?」

「はい。王……ところで、それ何ですか?」

王が物を持っているなんて珍しい。それも大切そうに。

 

「ああ、フィナンシェじゃよ。アローザ殿お手製の」

「あたしだって手伝ったわよ」

「へえ! 嬉しい差し入れだね」

王がバスケットを開くと、香ばしいバターと木の実の香りがした。

 

「クルミ入りだね?」

「さすが、エイト! よくわかるわね」

「こっちはドライフルーツ入りだな?」

「ククールったら、いやしいわね」

「なんだよゼシカ、リーダーはさすがで、オレはいやしい?」

またみんな笑った。

 

 

僕らはいい雰囲気のまま、闇の遺跡にルーラした。

一週間前とは全然違って、気持ちが落ち着いている。

 

「作戦は『いのち大事に』だよ。いいね」

「おう」

「いつもそうだけどね?」

「兄貴はあっしがおまもりいたしやす!」

「大丈夫。僕たちなら、必ず倒せる。じゃあ、僕、ヤン、ゼシカ、ククールの順で行こう」

「おう、回復はまかせろ」

「あたしは魔法攻撃中心で行くわね」

「兄貴はあっしがおまもりいたしやす!」

「うん、ありがとう。でもヤンもちゃんと攻撃するんだよ」

「しゃーねーべ。トゲトゲは他のこと言えねえんだろ?」

「何ッ! ドルマゲスの前に、やっぱりおめえを殺って……」

「ああ、もう、ヤンたら、冗談だよ、落ち着いて。ククールもふざけないで!」

僕たちらしい雰囲気が戻っている。

さあ、行こう。

 

僕たちは最奥に潜むドルマゲスを倒すため、再び闇の遺跡に足を踏み入れる。もう、ククールのブーツも緩まない。ゼシカも震えた声を出さない。ヤンも周囲を警戒しながら静かに進む。僕は道を間違えないように、後ろの3人の指示を聞きながら進む。仕掛けも間違えないように、確かめながら進む。

 

 




ちゃんとみんな集合しました。次はドルマゲス戦ですが、戦いの描写はありません。
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