「ククール、ごめん」
「バーカ」
僕たちはサザンビークの宿屋にいる。
「この前、気持ち良かった」
「バーカ。当たりめえだ。オレ様のテクを見くびるなよ」
一瞬でも唇を離していたくない。
ちゅ、と唇が触れあう合間をぬってしゃべるから、熱い吐息が口の中に入ってきてあっという間に身体の芯に火がつく。
「会いたかった」
「バーカ。毎日一緒にいるだろ?」
舌が侵入してくる。混ざり合う唾液を吸いあう。僕もククールもそれを夢中で飲み込む。
ククールの舌は僕の舌を捉えて蹂躙を続ける。キスだけでイッちゃいそう。
「…ぁ…ん…」
「バーカ、我慢するな。いい声聞かせろよ……」
もう……バカバカ言わないで……。
僕たちはキスしたままなんとか服を脱ぎ、シャワー室に行った。
「きれいだ……ククール……君の身体」
シャワーのお湯がククールの白い肌を真珠のように輝かせる。僕は背伸びして首に両腕を回した。ククールはすぐに唇をくれる。
「バーカ、お前こそエロいんだよ、その鎖骨……」
ククールは僕の首筋から鎖骨の部分が好きだ。指がなぞり、舌が這う。
もう、どんなふうにすれば僕が気持ちいいか、ククールは知ってる。丁寧に、少し焦らしながら攻められ、堪えていたため息が漏れる。
「ああっ…ふぅん…んっ…」
「いいぞ、エイト。こっちまでゾクゾクしてくるぜ」
身体を密着させ、互いの背をきつく抱く。ククールは更に執拗に首筋を攻める。右手で僕の腰を抱きしめ、左手は僕の耳をくすぐる……もう……腰が砕けそうだよ……。
そっと目を開けると、シャワーのお湯がククールの銀の髪を濡らしているのが見えた。その髪を指で絡めとり、唇に当てた。
「きれいな髪……濡れちゃったよ」
「お前だって……」
ふと見せたククールの真顔。
大好きなククールが僕をまっすぐ見てくれている。
サファイアの瞳に映る僕の瞳……。愚かな僕を愛してくれる君……。
「ねえ……愛してる……」
「エイト……やっと言ったな。待ってた……」
再び唇が塞がれる。重なりあう二人の唇から、はあはあと熱い吐息が漏れる。
湯気のなかはただでさえ息苦しいのに、それがちょっと気持ちいい。意識が朦朧としてきて、いい。
このまま、窒息して死ねたら……幸せだ。
ククールの手が下に下がって来る。もう僕らの中心ははち切れそうに立ち上がっていて、お互いを刺激しあっていた。
一緒に相手の中心に手をかける。ゆるゆるとしごき合う間も、空いている方の手はせわしなく互いの身体をまさぐる。
「ククール……今日は……僕が気持ちよくしてあげる……」
「お、おう……」
泉で君を見た時から決めていた。
愛してるんだ。ククールを…誰よりも。たくさん大切な人はいるけれど、僕が全力で愛したい人はククールなんだよ。
僕は膝まづき、シャワーを受けながら、ククールの中心に唇を近づける。
手でこすり上げ、先端を舐める。次はすっぽりと口に含み、上下に動かす。口の中で舌を尖らせて刺激する。
ククールは頭上で息を詰める。感じてくれてるんだね……。
僕は動かす手に少し力を入れた。
僕の肩に置いた手が、時折、ぎゅうと力を入れてくる。
ああ、好きだよ……ククール。
「離……せ」
根元の部分が膨らんできた。
僕はククールから口を外し、両足を少し開かせて、裏筋を舐めた。
「バカ……そんな所に潜るな……」
ククールはびっくりして片足を上げる。僕はその長い足を肩にかけ、内腿を吸った。
……僕だって、ククールの後ろを見たい……。
「ああっ…」
「ここは嫌なの?」
ククールの後ろはきゅっとしまっている。でも、未経験じゃない……。ククールのいた修道院だって胡散臭いところなんだから、相当若いときにバージンを捨ててるはず……。
広げて舌を差し込む。ちょっと痛いかもね。でも僕はククールに挿れたいわけじゃない。ただ、ククールの全てが見たいんだ。
小さく窪んだ周りも優しく舐め、下から柔らかいふくろ部分も舐め上げる。
「エイト……お前、顔が濡れて……すげえやらしいぜ……」
シャワーのお湯は容赦なく僕を打つ。呼吸が苦しい。……それが気持ちいい。
愚か者……か。
なんだか笑っちゃう。
賢者さまに「愚か者」って言われて、初めムカッとしたけど、話しを聞けば聞くほど楽になっていった。「勇者」ってみんなに言われて、自分でもどんどん強くなるのがわかっていて、自信がついてたんだ。……それなのに、ゴルドの一戦……。強かった……マルチェロさん。容赦なかった。美しい強さだった。
ククールに助けられて、ゴルドを一人去る時も、あの気高さ、あのプライドは揺るぎなかった。
あの人は、まるで孤高の鷹だ。
マルチェロさん……あなたがいない今も、僕は変わらず、ククールを愛しています。誰よりも、僕はククールを愛しているんです。
再びククールの中心を口に含む。ああっ、とククールの切羽詰まった声が頭上でした。
「いいよ……イッてよ……」
「うっ……ん……」
限界が近い……。上目でククールを伺うと、天井を見上げて堪えている。
僕は根元を優しく握り、口をすぼめて上下の動きをスピードアップさせた。くびれ部分にわざと引っ掻けるように唇に力を入れる。
「ああっ……よせ……もう……」
よせって言いながら、僕の頭をがっちり支える。ククールの先端が喉の奥に触れるほど差し込まれる。もう口を上下に動かせない。
代わりに僕は舌を縦横無尽に動かして煽った。
うっ……と一瞬聞こえ、根元の膨らみに集まっていた欲望の力が一気に放出された。
「ああっ……うっ……」
ビクビクと脈打ち、青くさいあの液が僕の喉に流れ込んだ。口の中で徐々に形を変えていくククールの中心を追い、舌で優しく絞りとる。
……全部僕のだ。ククールの全部……。
ククールの身体がふるっと震え、はあはあと上がっていた息が穏やかになる。
ククールはゆっくりとしゃがみ、僕と向かい合った。
「すげえ……気持ちよかった……」
「当たり前だよ。僕のテクも見くびらないで」
ククールは嬉しそうに僕を抱きしめる。身体が熱い。
「のぼせた……続きはベッドで……」
ククールは僕をひょいと抱え上げ、ベッドに連れて行った。
「お前もよくしてやる」
「ダメ。今日は僕なの」
僕はサイドテーブルのミネラルウォーターを口に含んだ。喉がカラカラだ。
ククールに覆い被さり、丁寧に触っていく……あれ?
「バカ! オレの番だ」
ククールは僕の背中をぐっと抱き、体を入れ換えた。すぐに両腕が縫いとめられる。
「エイト……触りたいんだ……舐めたい……挿れたい……」
もうこの後は、なし崩し的にククールのリードでイカされ、挿れられ、さんざん揺すられて……。
幸せだった。