※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

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不安でいっぱいのエイトさんを元気づけたククール。ゼシカにはバレバレです。ゼシカの語りです。


ゼシカ、大いに呆れる

「ちょっと! いつまで遊び歩いてるのよ!」

まったくもう!

 

あたしはね! 暗黒神を倒して、早く平和な世界を取り戻したいの!

それなのに、魔城の攻略は進まない、王さまとヤンガスは飲んでばかり、エイトとククールはイチャイチャしほうだい。

 

「こええなあ、嬢ちゃん……。まあ、ククールもエイトの兄貴も若いんだし、大目にみてくれよ」

もう……。わかってるわよ!

でもね、節度ってもんがあるでしょう、せ・つ・ど!

二人とも目の下にクマ作って、夕べは頑張りましたモード全開なんだから! 少しは恥じらいを持ちなさいよ!

 

なんて……。あたしだってわかってるわよ……。

暗黒魔城とうちの往復が数週間続いてて、あたしがお母さんにいい顔されてないから、三角谷に来たって。

 

暗黒魔城の攻略にあたしを外したのも…。

 

エイトは自分の焦りもあるんだろうけど、あたしの迷いを読み取ってたんだわ。おかげで、ちょっと戸惑っていた気持ちにも区切りがついた。大丈夫、あたしは自分の信じる道を進めばいいって。

 

さすが、エイトよね。拠点に三角谷を選ぶなんて。あたし、ラジュさん大好きだから。

 

結局、エイトなのよね。

 

何だかんだ言って、一番気を使ってる。

 

ああ、そうか。だからククールが……。

 

最近思うの。王さまは、エイトとククールのイケナイ関係に気づいてるんじゃないかって……。

 

不安定なエイトを気づかって、ヤンガスを誘って飲む……。その間エイトとククールは連れだって何処かへしけこむ……。

やだ、あたしったら、しけこむだなんて……。

 

そうそう、王さまのことよ。

王さまはエイトたちのこと、知ってるわよね。

複雑よね……娘が想いを寄せる相手が同性と付き合ってるなんて……。

 

でも、姫さまがどんなにエイトを好きでも、エイトは一介の兵士。身分が違いすぎる。……叶わぬ恋か……。

 

あ~あ。あたしも……いいえ、あたしはあたし。ピッカピカにオンナを磨いて、飛びっきりいいオトコをひざまづかせるんだから!

 

「おい、嬢ちゃん……おっかねえツラするなよ。ゲルダみてえだぞ。……ラジュが呼んでるって、確かに伝えたぜ。今日は魔城はムリだ……行くなら俺抜きで行ってくれ」

二日酔いのヤンガスは、眉間にしわを寄せて頭を押さえながら客室へ向かった。

 

わかってるわよ!

また今日も地図の研究でしょ!

 

 

「……ゼシカ?」

「なあに、エイト」

夕食後、エイトがあたしを呼び止める。

 

「明日、頼むね。やっぱり君がいないとムリだ。僕らは4人で一つのパーティーだから」

「大丈夫、準備万端よ」

エイトはいつも通り、目をちょっと細めてはにかむように笑う。……かわいいわ。ククールが襲いたくなる気持ちがわかる。

やだ、あたしったら、腐女子的妄想を……。

 

「じゃ、ちょっとまた作成会議」

「ええ」

 

でも、ここ数回……いえ、ここ数日で、エイトの色気が増してるような気がするの。ククールったら、エイトにどんなことを……ああ、いけない、あたしったら! 「萌え」ってこんな感じなの? 腰砕けエイトを妄想しちゃうなんて……。

 

「……で、こんな感じで行こう。ゼシカ? いい?」

「えっ?」

あらやだ、あたしったら!

エイトの顔ばっかり見て、全然話を聞いてなかった。

 

「おーい、ゼシカさん? リーダーに見とれてましたってカオしてるぜ?」

「ばっ! ちがうわよ。何言ってるの?」

ククールったら! まあ、そうだったんだけど。

 

「いや、最近のエイトの兄貴は、ずいぶん色気が出てきなすった。嬢ちゃんくらいの小娘には刺激が強え。ぼうっとしちまうってもんだ」

「ええっ! やだな、ヤン……色気だなんて……」

ヤンガスにもそんな風に見えるのね。よかった。あたしだけじゃなくて。エイトったら、真っ赤になってうつむいちゃった。かわいいわ……。

 

「おい、痴漢に気をつけろよ?」

「大丈夫だよ。ククールくらいしか痴漢いないから」

ちょっと! それ、ジョークにしては危険だわ!

ああ、ヤンガスが……ククールを睨んでる。

 

「おいククール、兄貴に手ェ出しでもしたら、ぶっ殺すからな。後ろに気をつけやがれ!」

「へいへい」

ヤンガス……知らないって、幸せね……。

ククール……あんた、何回分生き延びてるの?

やだ、あたしったら、何回だなんて……。

あ~あ。

 

「……カ? ゼシカ、聞いてる?」

「えっ、あ、ごめんなさい、なんの話だっけ?」

いけないいけない……あたしったら、また変な妄想を……。

 

「ちっ。……ハニー、ちょっと来い!」

「何よ、ククール、痛いじゃない!」

ちょっと、何なのよ! ククールったら舌打ちまでして!

 

あたしは、引っ張られるように、表に出された。

 

 

「なあ、勘弁してくれ……」

「……なんで謝るの?」

 

ククールは、目の前の滝に目をやった。

暗闇に白い水しぶきがぼんやり見える。誰かさんの不安のカケラみたいね。

小さくてふわふわして、はかなくて、冷たくて。

 

「……心配かけてるよな、オレたち」

「……」

……エイトに「萌え」てたなんて言えない。

 

「このところのリーダー、なんだか知らねえが、掴めなくてよ……」

「……」

それはあんたとマルチェロのことでしょ、なんてことはもちろん言えない……。

 

「オレが、しっかりさせるから、信じてやってくれ」

「ククール……」

すごい勘違いしてない? さっきの、エイトに見とれてました、ってほうが当たってるんですけど。

 

「さっきの話、もう一度ちゃんとリーダーに聞いてきてくれ。頼む」

「いえ……その、ぼんやりしてたのあたしだし……エイトのことはいつだって信じてるわよ。三角谷にきたのも、さすがだなーなんて……。だから、全然なんでもないし、明日は久しぶりの戦いだから……あはは、じゃあねー」

あーっ! もうっ。バカみたい!

 

あたしは走ってさっきの部屋に戻った。明るく、ごめんねって言わなきゃ。

 

 

ところが……。

 

「ゼシカ……」

部屋でエイトが泣いていた。

 

「あの、エイト?」

「ごめん、ごめんね……僕が不甲斐ないばっかりに……。ゼシカに心配かけて……」

ちょっと……どうしたのよ!

 

エイトは黒目がちな目をうるうるさせ、ぽろりぽろりと大粒の涙をこぼす。

 

「嬢ちゃん、俺からも詫びを言わせてくれ。すまない、エイトの兄貴を支えなきゃいけねえ俺が、おっさんと飲んだくれてばかりで……すまねえ。兄貴を責めないでくれ!」

「はあ?」

ヤンガスったら、土下座なんてやめてよ。

 

「別に、あたしは何も……」

二人とも聞いてないわね……。

 

エイトはしくしく泣くし(これがまた迷子の子犬みたいに可愛くてたまらないわ!)、ヤンガスはいくら言っても頭あげないし……。

 

「だ~か~ら~! 明日の作戦、もう一回説明して!」

らちがあかないので、グリンガムのムチを鳴らした。

 

「ひいっ!」

「ごめんなさい!」

 




次は暗黒魔城のラプソーン戦です。
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