※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

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暗黒魔城の玉座でラプソーンと戦います。エイトさんの語りです


暗黒魔城

「腕がなるわ!」

 

暗黒魔城を訪れている。今回はゼシカも一緒だ。

 

「やっぱり、ゼシカがいねえとダメだな。オレたちだけじゃ半分だぜ」

「ちょっと、あたしは男3人分だってわけ?」

ククールの言葉に、ゼシカがヒュンとムチを鳴らす。

 

ヤンのガハハという笑い声が辺りにこだまして、魔城に潜む魔物が返事を返した。その声にみんな身構えながらも、気分は高揚しているみたい。

 

いよいよ最後の戦いだ。

僕たちは四人揃った。今が最強。

 

「4人そろってでないとうちのパーティーは本領発揮できないね」

「ちょっと、エイトまで何よ!」

そう言うゼシカの笑顔に向かって、僕も目一杯の笑顔を返す。

 

本当に、ゼシカの魔力は凄い。

ムチの技術も高いけれど、魔術の力はそれよりも遥かに高いところへ到達している。

 

僕たちは迷わずに地下へと降りて行った。

 

途中の魔物も強いけれど、僕たちは余裕でなぎはらって行った。

 

ククールと僕で防衛体制を作り、ヤンとゼシカには思う存分戦ってもらう。防御万端になれば、僕の力も発揮できる。

 

何度も訪れたこの魔城。強い敵が出ることもわかってる。地下へ地下へと降りて行けば、その不気味な空気は精神的なところを突いてくる。

僕たち男が怯んじゃダメなんだ。ゼシカに「大丈夫だ」と言いながら進む。僕たちに心のスキができると、ゼシカはすぐにそれを察知し、無理をしてしまうから。ゼシカに安心して戦ってもらうために、僕たち三人はここで強くなったんだ。

 

一番ダメダメなのは僕だった。一人で無意味に精神的に追い詰められていた。仲間を信じてまっすぐ前を向けば、今は何をすべきかわかっていたのに、その後のことを考えて、自分だけがモヤモヤしていたんだ。

 

でももう迷わない。

 

暗黒神を倒し、悪をすべて終わらせる。

 

 

地下の町へやってきた。次第に崩れゆく町並みに、ゼシカが身体をこわばらせる。僕とククールでしっかり両脇を固め、ゼシカの不安を受け止める。

 

「ち…近い」

そう言ってゼシカは立ち止まった。この場所は、ゼシカ抜きの三人で到達できた最奥。ここから先は、初めて足を踏み入れる。僕らの行く手には、うっすらと暗い通路のようなものが見えていた。

 

「ごめんね、ゼシカ。いくらなんでも歩きにくいよね」

ゼシカを安心させたくて、ちょっと近づきすぎたみたい。

 

でもゼシカはゆっくりと首を振った。

 

「違うわ。杖が……暗黒神が近いの」

 

 

!!!!!

 

 

「ラプソーンか!」

ククールがゼシカの肩を抱く。

 

うなずくゼシカ。

 

緊張が走った。

 

ヤンがぶるりと身体をふるわせる。

 

ククールは目を閉じて、ふうと息をはく。

 

「いるわ…あの杖の感じ……人の無力さを笑い、懸命に生きることは虚しいことだと洗脳し、杖の力に屈服しろって誘ってくるの。その杖、いえ、暗黒の力がが持ち主の手にある……。いえ、杖から解き放たれた力こそ、ラプソーン。杖の力の正体よ。人間世界を支配下に置こうとしている」

杖に操られたことのあるゼシカ。

気丈さを見せていても、その表情に戸惑いが現れている。

 

僕たちはゼシカを真ん中にして集まった。

「この先……この先にもう……すぐ近くにいるわ」

ゼシカの肩は小刻みに振え、大きな目は涙でいっぱいだ。

 

「ゼシカ。君は一人じゃない。大丈夫だ。みんなであいつを倒そう。僕たちならきっとできる。君は思いっきりメラゾーマを見舞って。僕とククールが守備を固める。ヤン、ヤンも遠慮いらないよ。あいつが諸悪の根元なんだ。大丈夫、僕がみんなを守るから。誰も死なせない」

「リーダー……よく言ったぜ。その通りだ。ゼシカもトゲトゲも安心してくれ。オレとリーダーで回復させてやる。休む暇はやらねえからな!」

ゼシカとヤンが力強くうなずく。

 

僕が先頭。リーダーだからね。

二番手にヤン。思いっきり攻撃してくれよ。

その次はゼシカ。何かあったらヤンとククールがかばうから。

しんがりはククール。任せたよ。バランスを見て、必要なら指示を出して。

 

「行こう。僕らは、勝つ!」

 

 

「まちかねたぞ、幾度となく我が行く手をさえぎろうとした、愚かなる者たちよ……」

 

ラプソーンは、まるで小さな宇宙だった。

長い杖を自在に操り、インパクトのある強い呪文攻撃を仕掛けてきた。

思った以上の強敵。

 

余裕があれば僕も攻撃に回るつもりだったが、なかなかそのチャンスは与えてもらえない。

炎と吹雪の攻撃に加え、痛恨の一撃をくり出してくるラプソーン。ククールとゼシカがギリギリのところで耐える。

 

僕は常にみんなのダメージ回復に努める。

時にはゼシカも回復役をやって。

 

 

「なかなかくたばらねえな」

ククールがみんなにスクルトをかけながら言った。

 

「神さまだもんね」

ゼシカがラプソーンをにらむ。

 

「そういや、エイトの兄貴? なんで神さまのくせに、女神にケンカ売ったんでがすかね」

気合いためをしているヤンは首をかしげた。

 

そうだね。

ラプソーンは神さまなんだ。

 

「神さまなんてのは、オレたちがそう呼んでいるだけかもしれねえな。ただの小悪党じゃねえの?」

僕らがそう呼んでいるだけ?

 

「そういえば、なんか可愛らしいトコあるわね。ラプソーン。赤ちゃんみたい……きゃ?」

ゼシカが「赤ちゃん」と言った瞬間、ラプソーンが怒ったように見えた。

 

そこへヤンの正拳突きがまともに入る。

よろめく黒いラプソーン。

 

「チャンスだ、リーダー! ジゴスパーク決めろ!」

よし!

 

僕は大きくうなずいて、地獄のいかずちを呼び寄せる。

 

僕の英雄のヤリに力がたまる。この重い力をすべて、僕の身体を通して解き放つ!

 

ラプソーンは、はじけ飛んだ。そして金色の液体になって、床に広がった。

長い戦いの末、僕たちの力は、ついに暗黒神ラプソーンを倒した。

僕はヤリを背に戻し、みんなの顔を見た。

 

安堵と、昂揚感にあふれたみんなの表情は明るい。

さあ、早く出よう。

今度こそ、呪いが解けていますように……。

 

「ねえ、なんかおかしいわ……」

「?」

ゼシカの言葉に、みんな周りを見る。

地震?

魔城全体が小刻みに揺れ、あちこち崩れ始めた。

危ない! 僕は慌てて脱出の呪文を唱えた。

 

「リレミトが発動しない!」

「逃げましょう!」

もうそれしかない、僕たちは来た道を逆に走り出した。

 

途中で襲いかかる異常な強さの魔物たち……。

モタモタ戦っている間にも、魔城はどんどん崩れていく。

 

「逃げられない……!」

「ゼシカ! 大丈夫! 僕らの力を信じよう」

「そうだ、ハニー、あきらめるな! みんな一緒だぜ」

「嬢ちゃん、身の安全を確保しろよ……っ!」

焦っちゃだめだ。僕も自分に言い聞かせながら、回復役に回る。

 

「なんだよ、これ!」

石像の魔物。僕たち4人を模写しているのか?

 

「あ、兄貴! エイトの兄貴を殺るなんて……!」

ヤンが涙目になりながら震えている。

 

「アホか、トゲトゲ! これは魔物だ! ぶっとばせ!」

「そ、そうか、そうだな。兄貴の真似をするなんて許せねえ!」

ヤンが果敢にオノを振るう。ゼシカもメラゾーマ連発だ。

回復が…間に合わない!

 

僕は自分の姿の石像に思いきり体当たりされ、体力のほとんどを失った。

 

「おい、自分も守れよ! 死ぬなっつったお前が瀕死でどうする? しっかりしろ!」

「ククール……ごめん!」

瀕死の僕を蘇生させてくれたのはククール。みんなの体力もキープしてくれる。

 

「兄貴、任せてくだせえ!」

ヤンのオノが敵全体にダメージを与えた。

 

「仕上げよ!」

真っ赤な炎の塊が、ゼシカの両手から発射され、魔物の群れが焼き付くされた。

 

「走って!」

出口まではだいぶある。僕らは全力で魔城の外を目指した。

 

「おいおい、今度は何だよ!」

「サメか? 海竜の色違いじゃねえか。なんだって空飛ぶ城の中に住んでやがる?」

ククールとヤンがあきれ返る。階段を登っている途中で、赤い海竜に襲われた。

「覚悟しやがれってんだ!」

ヤンの蒼天魔斬が決まって、また逃げる。

 

「きゃあ! なんなの、あれは?」

ようやく外へ出た僕たちを、奇妙な光がさえぎった。

続いて目の前に巨大な岩の化け物が! これもラプソーンの力なんだろうか。

 

「躊躇してるヒマはねえ、リーダー、気合入れろ」

ククールが檄を飛ばす。

そうだね、考えてる暇なんてない。僕はヤリを構え直した。

 

「兄貴! こういうヤツはあっしの得意分野でげす…。おいククール、俺にバイキルトやってくれ!」

普段あまり相容れない性格のヤンとククールが、うなずきあい、力を合わせる。ゼシカもみんなのために、杖を振るう。

 

巨大な岩の化け物は、ヤンの強打がかなりきいている。大きくダメージを受けると、最後の力をふりしぼるかのように全身に力をためてきた。

 

「ヤン、思いっきりお願い!」

ヤンは、僕にグッと親指をたてて見せ、力を解き放った!

 

化け物はゴゴゴゴゴゴーーーッと地鳴りを響かせ、ガラガラと崩れ落ちる。

僕たちは神鳥の魂の力で飛び、脱出した。

 

「やったわね! えっ?」

誰もが敵を倒したと思っていた。いや、倒したんだ、確かに!

 

「か、壁が…」

ゼシカの指し示す方を見る。

暗黒魔城の壁がどんどん変形し、何かに吸収されていく。

すごい風が吹き荒れ、うまく飛ぶことができない!

 

「兄貴、あれ!」

何だ! あれは……。

 

「ラプソーンか?」

何? ラプソーン!

 

宙に現れた黒い塊が、何かをしている。

空がよじれるのが見えた。

いや、正確には、別の空間が見えた。

あれは…闇の世界……?

 

空に開いた穴から、黒い魔物がどんどん飛んでくる。

僕らはその魔物に攻撃され、あちこちに飛ばされる。

 

「み、みんな! どこ?」

落ちていく。真っ逆さまに。

僕は両手を夢中で泳がせた。飛べるわけないのに、みんなの姿を掴もうとしていた。

 

城の瓦礫がすぐ横を掠めていく。みんな、大丈夫なの? みんなの姿を探せない。目も開けていられない。

落下速度はぐんぐん上がり、息苦しい。声が出なくてみんなを呼べない!

 

バサッバサッ!

 

 

巨大な岩の塊がすぐ目の前に迫っていたその時だった。

僕は柔らかい何かに着地し、次の瞬間、浮いた。

 

 

「エイト!」

ゼシカだ。

 

「ゼシカ! 良かった、無事で……これって……」

僕は自分の着地地点をよく見た。青紫の輝く羽…。レティスの背中…。

 

「レティスが助けてくれたんだね……」

「うん、ヤンガスもいるわ」

辺りを見回すと、横たわっていたヤンガスが、血だらけの顔をくしゃっとほころばせた。

 

「ヤン! 血が!」

「大丈夫でがすよ。嬢ちゃんに薬もらって、血は止まりやした」

僕がヤンの肩に手を載せると、ヤンはにっこり笑って目を閉じた。

 

「さあ、あと一人です。体を低くして下さい。急旋回して切りもみに入り、彼を乗せて急上昇します」

レティスの声が心地よく響く。

 

レティスはククールを見つけ出し背に乗せ、瓦礫の渦の外側に向かって急上昇した。

 

「神よ! なぜあなたは我々に試練を与えたもうのか? この若者らに、どのくらいの勇気を示させれば気が済むのですか?」

 

レティスが天に向かって叫ぶ。

何があったの?

僕たち、ラプソーンを倒したんだよね……。

 

 

 

 

僕たちはレティシアに舞い戻った。

 

みんな無言だ。

 

僕たちは、レティスの言葉を待っている。

 

止まり木で羽を休ませるレティス。

 

「……闇の世界の扉が開かれ、光の世界とつながってしまいました。私が光の世界に来られたのもそのせいですが、暗黒の魔物も同時にやってくることになりました。……今となっては、あの者を倒し、永久に消し去るよりほかにこの世界を救う方法はないのです。……あの暗黒神をうち滅ぼせる可能性は、ごくわずか。でも、あなたなら……あなたならば、暗黒神にも打ち勝つことができるかもしれません。……強力な闇の結界に守られている暗黒神……まずあの結界を破らなくてはなりません……」

 

 

 

「なんてこったい……」

ヤンが青空を見上げながら、ため息まじりにそう言った。

 

「また……お使いなのね? あたしたち……」

 

「祈りたいくらいだぜ、女神さんによぉ」

 

あーあ。

まだ終わらない。

僕らの旅……。

 

 




やっとちびラプ撃破しました。
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