※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

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宴会の翌日です。ベルガラックに行きます。ヤンガスの語りです。


イエローオーブ

「またおいでなされよ」

ラパンハウスで宴会をした俺たち。一夜明け、今度こそベルガラックへ向かう。

二日酔いのせいでスタートが遅れたが、まだ昼を少し過ぎたばかりだからいいか。

まあ、早寝早起きのエイトの兄貴も目をこすってらっしゃるし……。

 

兄貴……。夕べはいつの間にか消えてらした。ククールの野郎とまたドニでも行かれたんだろう。……最近、消えるのがうまくおなりじゃないですかい?

 

「ちょっとヤンガスってば、なにニヤニヤしてるのよ、気味が悪いじゃない?」

「えっ? そうか、すまねえ」

いけねえいけねえ。兄貴の昇天シーンをつい想像しちまったぜ。

 

……それにしても、ゼシカの嬢ちゃん、二人が夜遊びしていることを知っているんじゃねえだろうか。俺は、二人が連れ立って遊びに行くのを黙認しているが、嬢ちゃんだけには気づかれまいとしていたんだが。あの勘のいい嬢ちゃんだ、いずれ気がつくだろうとは思っていたんだが、まさかこんなに早く……。

 

夕べだって、俺が気づいたのは二人の姿がすっかり消えてからだった。だが、嬢ちゃんは「ああ、エイトとククールなら仲良くお出かけしたわよ」だと。

 

女ってのはつくづくおっかねえ生き物だ。ただ、生死をわけた戦いの合間に女遊びしている仲間がいるなんざ、15、6の小娘には刺激が強くねえだろうか?

 

……いや、今どきの娘はそんなウブじゃねえのかもな。嬢ちゃんだって、破談になったとはいえ、婚約者がいたわけだし……、それ、そういうことは……。

 

「……ン! ヤンたら!」

「へっ? へい、何でがすか?」

 

「何でじゃねえよ、ギャリングの家か、カジノ、どっちだと思うんだ?」

「いてえな、メットを叩くんじゃねえよ。……なにがどっちだって?」

ククールは再び俺のメットを小突く。俺も痛いが、てめえの拳もただじゃすまねえぜ。

 

「だから、話聞いてろよ。ギャリングのおっさんのオーブがカジノにあるか、家にあるか、トゲトゲはどっちだと思うんだ?」

「ああ、そういうことか。そうさなあ……今までは賢者が命を落とした場所にあったから、やっぱり部屋じゃねえのか?」

オディロ院長もマスターライラスも、サーベルトも殺害現場だったからな。

ギャリングだってそうだろうよ。

 

「でもね、サーベルト兄さんのオーブはリーザス像の前にあったけど、兄さんが刺されたのは、厳密にいえば、フロアの中央なのよ。兄さんのオーブは、リーザス像の前に誰かが置いたのよ。目印みたいに」

兄貴の話となると、目くじらたてやがる嬢ちゃん。ったく、ブラコン発動だ。

 

まあ、殺害現場とオーブの発見場所がちょっと離れてたからって、特に問題ねえだろうけどな。

しかし、珍しくエイトの兄貴が反論なさった。

 

「いや、違うよゼシカ。きっとサーベルトさんは、忌の際、最後の力を振り絞って、リーザス像の前まで行ったんだよ。像に願いをこめるために……」

そう考えりゃ、女神さまのお膝元に召された瞬間は、リーザス像の前だったかも知れねえしな。

うーん、と黙り込む嬢ちゃん。

 

「なあゼシカ、サーベルトの第一発見者は誰だ?」

「ええと、うちの護衛よ。リーザス像のある場所で亡くなってたって……うっ……うっ」

泣き出す嬢ちゃん。

 

「ちょっとククール? ゼシカにそんな話させるなんて、君にはデリカシーってものはないの? ……大丈夫? ゼシカ。言わなくていいよ、サーベルトさんが亡くなった厳密な場所なんて」

「いいえ! エイト、言わせてちょうだい。兄さんが見せてくれたあの悲しい名場面では、兄さんはド、ドルマゲスの杖……杖に……うっ……うっ」

嬢ちゃんは大粒の涙をポロポロこぼしながら、あの回想シーンを語る。

 

「……まあ、とにかくだ、ゼシカの話は説得力がある。そう考えれば、ギャリングはカジノに違いないぜ」

「どうしてそうなるの? ……いや、仮にそうだとしても、先に部屋を訪れるのに問題ある?」

兄貴とククールが一触即発だ。

 

俺はハラハラしている。兄貴、ククールとケンカしたら、ドニ遊びがしづらくなりやすぜ?

どっちだっていいじゃねえですか?

 

「あの、兄貴? 別にどっちも行けばいいんじゃねえんですかい? どっちかじゃなきゃ笛が吹けねえわけじゃありやせんから」

「そうなんだけどさあ……」

「絶対カジノよ。ギャリングさんはカジノをこよなく愛していたんだし、魂が宿るとしたらカジノだわ」

「いや、ゼシカ、ギャリングさんがこよなく愛していたということを考えれば、やっぱり家だよ。フォーグとユッケの二人に違いないんだから」

なんだってまた、こんなめんどくせえ話になってんだ?

 

どっちだっていいんじゃねえの?

 

???

 

そうか。

 

ククールだ。

 

ヤツを見ろ、カジノと言い張る嬢ちゃんに味方していやがる。

兄貴はおそらく、カジノにヤツを行かせたくないんだ。

俺は怒った。

 

「ククールてめえ、カジノで散財するつもりだな?」

「なっ? なに言ってんだよ、んな訳ねえだろ?」

「ええっ? そうなの? ククール」

「いや、そうじゃねえし……ゼシカ、にらむなよ……」

ククールめ、この期に及んでまだ遊ぶことを考えてやがるのかっ!

 

てやっ!

 

「わっ! バカ、なにしやがる? いてえだろ! 真空波なんて!」

「うるせえ! 文句があるならかかって来やがれ!」

俺の起こした真空波は、ククールの長髪を何本かみじん切りにしてやった。

 

俺は捨て身の構えをとり、再び真空波を起こそうと力をためた。

 

「ヤン、ヤン、やめて! いいんだよ、もう。ちょっとカジノ行くくらいなら……」

「そうよ、ヤンガス、ほんのちょっとやり過ぎよ、気合い入りすぎ」

兄貴に両手を優しく握られて、俺のテンションは一気に別の種類へ変わった。

 

「ぶほっ!」

「ヤン!?」

 

 

 

俺は、横たわっている……。静かな……森の中のようだ……。

耳をすませば、人の話し声。誰だ……?

 

 

「……バカじゃねえ? ちょっとリーダーが手を握っただけで鼻血なんてよ。チュウでもされたら死ぬんじゃねえの?」

「あはは、それって悶絶死?」

「萌え死だな」

 

なんだ? 何の話しだ?

クスクスと笑い声まで聞こえる。一体、何を話してやがる?

すると、兄貴のかわいらしい声が聞こえてきた。良かった、兄貴のお側にいられて……。

 

「もうやめてよ二人とも。カジノが先でいいから、早く行こう? 今日中にリブルアーチに行きたかったのに、もう日が暮れちゃう」

日が暮れるだって?

 

俺はガバッと起き上がった。

 

「わっ! なんだよ、急に! びっくりするだろ?」

「ヤン、急に起きちゃダメだよ、貧血なんだから!」

「出血多量よ……ふふっ」

 

「日が暮れるっておっしゃいましたか、兄貴!」

「え? あ、うん」

なんてこった!

 

「すいません、兄貴……。あっしのせいで……」

「いいんだよ、それより大丈夫?」

ああ、なんて優しさだ……兄貴。

女ができた後でも、俺にこんなに優しくしてくださる……っ、涙がっ……。

 

「今度は涙かよ、水分出過ぎじゃねえの?」

「お前には言われたくねえ!」

「あーはいはい、わかったから、早く行こうぜ」

うるせえククール! 全ててめえのせいだ!

誰のせいであっても、てめえのせいにしてやる!

 

 

 

俺たちはベルガラックで食事をし、まずカジノへ行ったが、オーブはなかった。次に部屋へ行こうとしたんだが、表で声がする。何か騒ぎが起こったらしい。外はぽつぽつと雨が降り始めていた。

 

「か……かっ……いっ……かっ……いかっ!」

ギャリングの屋敷の使用人があわてている。何を言ってるんだ?

 

さすがに困っている人を無視していくわけにもいかず、というより、エイトの兄貴はすでに人だかりの中へ。兄貴、もしかして兄貴はお人よしじゃなくて、ただの野次馬なんじゃねえでがすか……?

仕方がないので俺たちも後を追う。見れば、噴水でバカでかいイカが行水をしていやがった。

 

「ああ、こんなモノを見た日にゃ……」

ククールが額に手を当て、天を仰ぐ。

 

「あたしたち、オーブ探してるのよね?」

嬢ちゃんもため息交じりだ。

 

全ての観衆の目が、兄貴に期待している……。

『そいつをやっつけるのは、キミだ!』と。

 

にこやかに振り返る兄貴に従い、俺たちはそれぞれ武器を構えた……。

 

 

「すみません、お礼をいたしますから、フォーグさまとユッケさまにはどうか内密に……」

ちょちょいと大王イカをやっつけた俺たちは、屋敷の使用人からたんまりと報酬をうけとった。

 

 

 

やっと部屋へ向かう。

 

ピロリロ~。

 

……ピロリロ~。

 

あった。オーブだ。

 

「さあ、ヤン!」

兄貴に促され、俺はオーブに触れる。ちょいと緊張が……。

 

「熱っ!」

「熱い? あわただしいじゃなく?」

嬢ちゃんが不思議そうに俺を見る。

 

「ああ、あわただしいどころじゃねえ、今しがた、ここに置かれた感覚だ。ちょいと前だ。大急ぎの逃走だ」

「逃走ねえ……」

 

ユッケによれば、直前にお参りしてくれた人がいたらしいが。そのせいであわただしくなったんだろうか。

 

ともあれ、ようやく4つ目だ。

今日はベルガラックに泊まるらしい。ふう。

 




やっと4つ目ですが、次もまだベルガラックにいます。
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