※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

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訴えかけてくる声に頭を悩ませています。ククールの語りです。


センチメンタルククール?

ベルガラックの噴水にいた大王イカをやっつけたオレたちは、そのままベルガラックに一泊することになった。

ゆうべはラパンハウスで、今夜はベルガラックで宴会だ。

 

オレたち、オーブを探してんだよな。

まあ、いいか。

 

頭上のラプソーンは何か悪さするわけでもなし。どうやら機をうかがっているようだ。悪い予感もない。

ない。

ない……んだが。

 

「ククール? 今日は進まないんだな。違うワインにするかい?」

おっと、いけねえ。

 

「いや、オーナーのフォーグ殿、お気遣いは無用ですよ」

「やっだー、ククールったら、丁寧じゃない、気持ち悪い」

妹のユッケがバシバシとオレの背を叩く。

 

その様子を見てみんながゲラゲラ笑う。

いい雰囲気だよな。

今日はフォーグとユッケも一緒。ゼシカもエイトもヤンガスも楽しそうだ。

 

フォーグとユッケの二人がオレたちと年齢が近いことで、他の場所より盛り上がる。二人はいろいろ苦労もしてるし、さすが客商売には慣れている。話が面白い。

 

だが。

どうも、誰かが呼んでいる気がする。死ぬのか? オレは。

 

まあ、暗黒魔城にのりこんでから、死についてまともに考えられるようになったし。

そう、やけっぱちの無駄死になんてしねえ。オレの命はオレのものであり、エイトのために使うんだ。そのために生きている。

 

「ああ~、楽しい。でも眠くなっちゃった……」

エイトが酒でぽーっとした笑顔を向ける。

 

「今日はもう寝るべ」

「うん」

頭を撫でてやれば、テーブルにひじをついて、顔をのせる。

 

笑みを浮かべたまま、ゆっくり目をとじるエイト。

かわいい……。

襲いたい。

 

「いてっ!」

またヤンガスに殴られたか? いや、ヤツはトロデのおっさんと盛り上がっているし。

頭が痛い。またあの声だ。不思議な遺跡にいたときの。

 

ガンガンしてきやがる。

そして、『早く…早く』とひっきりなしだ。

 

「さあ、もう休みましょう。あらあら、エイトったら寝ちゃったじゃない! ほら、起きて! エイト!」

ゼシカがエイトを揺り起こす。だが、エイトはふにゃふにゃと笑うだけ。

 

「やだー、エイトって可愛いのね。竜骨の迷宮に行ったときの凄まじいバカぢからがウソみたい」

ユッケに笑われ、「んあ? うん、ごめん?」なんて寝ぼけるエイト。

 

ヤンガスが心配して支えに来る。

ゼシカは笑いすぎで涙が出ている。

 

平和なパーティー。

安らかな、穏やかな時間。

 

なのにこの胸騒ぎはなんだ?

 

 

みんなが部屋に引き上げた後、オレは一人で表に出た。

 

雨のベルガラック。

頭が痛い。

 

早くどこへ行けばいいんだ?

リブルアーチか?

 

迷わずに、まっすぐ進んで行きたいのに。何かがオレに干渉してきてうっとおしい。

リーザスにいたなら、こんな時、風車の下にお前は来る。

 

だがここはベルガラック。

まだ客がうろうろしている。

歓楽街らしく、活気に満ち溢れている。

おそらく夜明けまで人通りは途絶えないだろう。

 

こんな夜に、オレは孤独だ。

 

月もなく、サアサアと細い雨が天からこぼれる。

ラプソーンも、この雨に打たれているんだろうか。

チェルスのオーブは、ハワード邸にあるだろう。メディさんのはあの離れに。最後の法皇さまのは……。

法皇さまか。

 

……あいつ、法皇になって何をするつもりだったんだろう。

 

あの演説を聞く限り、自分が長になり、統治国家かなんかを作りたかったのかと思える。それぞれの国は独立し、神の名ではなく、あいつの……人同士、平等に……。

 

今、あいつはひとりぼっちで、どこでどうしているのか。

ゴルドに落ちた連中のことを、どう思っているだろうか。

みじめに生きのびているんだろうか。

 

生きて……いるんだろうか。

 

雨は優しくオレを打つ。

涙が流れた感覚は嘘だ。きっと、この雨だ。

 

あいつがオレを追い出した先が、こんなにも苦難の道だとは思わなかっただろう。そして、こんなにも充実しているなんてさ。

 

あいつは、オレを追い出したことを後悔しているだろうか。野望達成目前にして、剣を交え……。負けて。

 

バカ兄貴。

オレたちに負けるなよ……。

 

……共に剣をとればよかったんだ。「みじめに生きのびろ」なんて言って、オレもバカだ。

 

『ククール……、早く……早く見つけて……』

痛い。あの声。

 

雨がオレの脳細胞を刺激する。意識は強く、はっきりとして、オレに違う風景を見せてくる。意識が研ぎ澄まされているのに、映像が危うい。目は見えているのに、霧のせいで見えないという感覚だ。

 

「よお、兄さん、一人かい? なんなら一緒に飲まねえか? それともナンパか?」

酔っぱらいの1組が声をかけてきた。

 

「あいにく酔いざましなんだ。すまねえな、今日はお開きだ」

オレがそう言うと、酔っぱらいは「ああ、そうかい~」と陽気に去って行った。

 

そう、お開きだ。

 

何でもねえ。宴が終わった。

明日はリブルアーチへ行く。それだけの話だ。

 

 

部屋に戻る。今日は大部屋だ。エイトもヤンガスもすでに眠っている。エイトはちゃんと風呂に入ったようだな。つやつやした薔薇色の頬……風呂上がりのエイトの顔だ。

 

オレに寄りかかればいい。お前はただ、がむしゃらに前へ進め。オレが、守ってやる。たとえどんな時でも。

 

『ククールさ……ん? 早く。お願いします、早く助けて下さい』

誰だ。

 

『私たちは、団長を信じています……』

この期に及んで、何を言っている?

 

あいつに与するだと?

自分勝手で、高慢ちきで、人一倍ストイックで、どうしようもない、バカ野郎に……。

 

『早く……早く……』

うるせえ!

 

わかったから、寝かせてくれよ。

ちゃんと、探すからさ。

 




センチメンタルと言うより、謎の声に悩まされるククールなのでした。ククールに訴えかけているのは、ゴルドの底に落っこちた騎士団員です。次はリブルアーチに行きます。
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